JP4604438B2 - 光配向膜用材料、光配向膜およびその製造方法 - Google Patents

光配向膜用材料、光配向膜およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子に用いられる光配向膜に関し、さらに詳しくは、光を照射することにより、ラビングを行うことなく液晶分子を配向させることができる光配向膜の形成材料、該材料からなる光配向膜、その製造方法及び該光配向膜を用いた液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置においては、液晶の分子配列の状態を電場等の作用によって変化させて、これに伴う光学的特性の変化を表示に利用している。多くの場合、液晶は二枚の基板の間隙に挟んだ状態で用いられるが、ここで液晶分子を特定の方向に配列させるために、基板の内側に配向処理が行われる。
【0003】
通常、配向処理には、ガラス等の基板にポリイミド等の高分子の膜を設け、これを一方向に布等で摩擦する、ラビングという方法が用いられる。しかし、この方法は、製造工程において静電気や埃が発生するため、配向処理後の洗浄工程が必要となる。また、特に近年多く用いられているTFT方式の液晶セルでは、ラビング時の摩擦により静電気が発生し、あらかじめ基板に設けられたTFT素子が破壊されることもあり、これが製造における歩留まり低下の原因にもなっている。
【0004】
これに対し、近年、斜方蒸着法、LB(ラングミュアー−ブロジェット)膜法、フォトリソグラフィ法、光配向法等のような、ラビングを行わない液晶配向制御技術が注目されてきている。とりわけ、偏光された光を基板上に設けられた塗膜に照射して、液晶配向性を生じさせる光配向法は、簡便且つ、配向処理後の洗浄工程が不必要であることから、盛んに研究が行われている。
この光配向法は、有機分子中の光配向機能を発現させる光配向性基、例えばアゾ基等の光異性化反応、シンナモイル基、クマリン基、カルコン基等の光二量化反応、ベンゾフェノン基等の光架橋やポリイミド樹脂等の光分解反応等を利用したものが報告されている。これらは、ガラス等の基板に塗布した際に均一な膜が得られるように高分子材料を用い、かつ光配向性基を側鎖や主鎖に導入する場合が多い。また、光配向性を有する分子をゲスト分子とし、高分子化合物からなるホスト化合物に分散させて用いる場合もある。
【0005】
しかし、これらの高分子材料を用いた光配向膜材料の多くは、液晶配向能および耐熱性が十分ではないといった問題がある。例えば、液晶表示素子の製造工程では、基板に液晶配向膜を形成後液晶セルに組み立てる際、封止剤を硬化させる目的で加熱処理が行われるが、この時、液晶配向膜の耐熱性が十分でないと、液晶配向能の劣化を生じてしまう。
耐熱性を向上させるためには、架橋構造を有する高分子材料を用いる場合があるが、架橋構造を有する高分子化合物の多くは、溶剤に対する溶解性が乏しく、基板に塗布する際に用いることのできる溶剤の種類が著しく制限され、実用的には好ましくない。
【0006】
このような欠点を克服し、光配向膜の液晶配向能を安定に得る方法として、光配向性基を有する重合性モノマーを基板上に塗布した後、重合させる方法が、特開2001−48904号公報に開示されている。しかし、モノマーを熱もしくは光重合させるには重合開始剤の添加が必要となる。この重合開始剤は低分子化合物であるため、重合後であっても、長期間が経過すると、セル内の液晶層に残存する重合開始剤が拡散し、液晶表示素子としての特性、例えば電圧保持率を劣化させるおそれがある。また、酸素による重合阻害を防ぐために窒素雰囲気下で重合を行わなければならないといった問題もある。
【0007】
重合開始剤が不要で空気中でも光重合反応が可能な化合物として、マレイミド化合物が挙げられる。このようなものとして、特開2001―122981号公報には、重合性マレイミド基を有する芳香族化合物を用いた光配向膜材料が開示されているが、この化合物による光配向能は未だ十分ではない。
【0008】
一方、液晶配向膜に求められる特性の一つに、液晶分子に適度なプレチルト角を与えることが挙げられる。特に、TNやSTN方式の液晶表示素子では、プレチルト角が小さいと、ねじれ方向の異なるドメイン状の欠陥が生じたり、ディスクリネーションと呼ばれる線状の配向欠陥を生じることがある。
従来のラビング膜は、一定の向きにラビング処理を施すことによって容易に液晶分子のプレチルト角を得ることができる。しかし、光配向膜の場合、桂皮酸誘導体やクマリン誘導体を側鎖に有する高分子膜よりなる光配向膜に斜め方向から直線偏光や無偏光を照射する方法によりプレチルトが得られることが知られているが、得られるプレチルト角は小さいうえ、加熱あるいは経時的に不安定であるといった問題を有する。また、上記のマレイミド化合物を使用した光配向膜用材料であっても、十分なプレチルト角は得られず、実用化にはなお問題を有している。
【0009】
以上のように、優れた液晶配向能が得られ、生産性に優れ、耐熱性や長期安定性を有し、且つ十分なプレチルト角を得られるとともに、良好な液晶素子特性を示す光配向膜用材料は未だ得られていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、塗布時の溶媒に対する溶解性が高く、さらに良好な液晶配向性を示すとともに、十分な液晶分子のプレチルト角が得られ、かつこのプレチルト角が熱的、経時的に十分な安定性を有する液晶表示素子用の光配向膜を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、(a)1分子中に光二量化反応により光配向機能を発現する少なくとも1個の光配向性基と、少なくとも2個の重合性マレイミド基とを有する単量体、及び、(b)1分子中に炭素原子数4〜30のアルキル基と、1又は2個のマレイミド基とを有するが、光配向性基を有さない単量体を含有する光配向膜用材料を提供する。
【0012】
また、本発明は上記課題を解決するために、(a)1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する単量体、及び、(b)1分子中に炭素原子数4〜30のアルキル基と、1又は2個のマレイミド基を有するが、光配向性基を有さない単量体との共重合体を含有し、(a)の単量体が有する光配向性基の光二量化により発現した光配向機能と、(a)及び(b)の単量体が有する重合性マレイミド基の重合により生じた架橋構造とを有する光配向膜を提供する。
【0013】
また、本発明は上記課題を解決するために、上記記載の光配向膜用材料を基板上に塗布し、該塗膜を加熱することにより前記重合性マレイミド基の熱重合反応を生起させて架橋された高分子膜を形成し、前記高分子膜に光照射することにより前記構造単位の光二量化反応を生起させて前記高分子膜に光配向機能を発現させる光配向膜の製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は上記課題を解決するために、内側に配向膜を有する二枚の基板間に液晶を挟持した構造を有する液晶表示素子において、前記配向膜が、(a)1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する単量体、及び、(b)1分子中に炭素原子数4〜30のアルキル基と、1又は2個のマレイミド基を有する単量体との共重合体を含有し、前記光配向性基の光二量化により発現した光配向機能と前記重合性マレイミド基の重合により生じた架橋構造とを有する光配向膜である液晶表示素子を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の光配向膜用材料に使用する、1分子中に、光二量化反応により光配向機能を発現する少なくとも1個の光配向性基と、少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する単量体において、光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基は、偏光照射によって引き起こされる異方的な二量化反応により、光反応を生起し、配向性が得られるような官能基であるならば特に限定されないが、中でもC=C、C=Oで表わされる少なくとも一つの二重結合(但し、芳香環を形成する二重結合を除く)を有する構造単位が特に好ましく用いられる。
【0016】
これらの光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基の基本構造としては、以下のものが挙げられる。
C=C結合を有する光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基としては、例えば、ポリエン骨格、スチルベン骨格、スチルバゾール骨格、スチルバゾリウム骨格、シンナモイル骨格、ヘミチオインジゴ骨格、カルコン骨格等の構造を有する基が挙げられる。C=O結合を有する光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基としては、例えば、ベンゾフェノン骨格、クマリン骨格等の構造を有する基が挙げられる。
【0017】
中でも、ベンゾフェノン骨格、シンナモイル骨格、カルコン骨格及びクマリン骨格からなる1〜4価の基の群から選ばれる光配向性基が好ましく、具体的には、以下の構造で表される。勿論、これらの構造にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロゲン化アルキル基等の置換基を有していても良い。
【0018】
【化4】
Figure 0004604438
【0019】
具体的には、1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する単量体は、一般式(1)
【化5】
Figure 0004604438
で表わされる化合物が好ましく、これらの中でも、一般式(4)
【0020】
【化6】
Figure 0004604438
で表わされる化合物が好ましい。
【0021】
一般式(1)及び(4)において、Rは、炭素原子数1〜30の直鎖状又は分岐状アルキレン基、炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基、アリールアルキレン基及びシクロアルキルアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基を表わす。
【0022】
を表わす基の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基の如き直鎖状アルキレン基;1−メチルエチレン基、1−メチル−トリメチレン基、2−メチル−トリメチレン基、1−メチル−テトラメチレン基、2−メチル−テトラメチレン基、1−メチル−ペンタメチレン基、2−メチル−ペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、ネオペンチル基の如き分岐アルキル基を有するアルキレン基;
【0023】
シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基の如きシクロアルキレン基;ベンジレン基、2,2−ジフェニル−トリメチレン基、1−フェニル−エチレン基、1−フェニル−テトラエチレン基の如き主鎖または側鎖にアリール基を有するアリールアルキレン基;シクロヘキシルメチレン基、1−シクロヘキシル−エチレン基、1−シクロヘキシル−テトラエチレン基の如き主鎖あるいは側鎖にシクロアルキル基を有するシクロアルキル−アルキレン基等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1〜30のアルキレン基又は炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基が好ましい。
【0024】
また、Rは、これら上記に挙げた基の2〜5個が、単結合、エステル結合、エーテル結合またはウレタン結合で連結した基であっても良い。
【0025】
このような連結された基としては、例えば、少なくとも2つのアルキレン基が、エーテル結合で結合された(ポリ)エーテルから構成される基、少なくとも2つのアルキレン基がエステル結合で結合された(ポリ)エステルから構成される基、少なくとも2つのアルキレン基がウレタン結合で結合された(ポリ)ウレタンから構成される基、少なくとも2つのアルキレン基が、エーテル結合で結合された(ポリ)エーテル(ポリ)オールと(ポリ)カルボン酸とをエステル化して得られる(ポリ)カルボン酸{(ポリ)エーテル(ポリ)オール}エステルから構成される基等が挙げられる。
【0026】
上記一般式(1)及び(4)において、Rは上記した光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基を表わす。
【0027】
一般式(1)及び(4)で表わされる化合物において、これらRで表わされる光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基は、Rで表わされる基と、単結合、エステル結合又はウレタン結合を介して結合している。光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基の結合数は、1分子中に有する重合性マレイミド基の数と同数であるが、本発明で使用するマレイミド誘導体は、複数の重合性マレイミド基を有するため、その数は2から4までの範囲が好ましい。中でも、重合性マレイミド基の重合が容易に進行し、安定なマレイミド重合体を形成すること、光配向機能を発現する光配向性基の光配向を発現するに必要な光エネルギーの量が比較的少ないことから、光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基の結合数は2個であることが好ましい。
【0028】
上記一般式(1)及び(4)において、R及びRは、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表わす。
【0029】
上記一般式(1)において、nは、2から4までの整数を表わす。中でも、重合性マレイミド基の重合が容易に進行し、安定なマレイミド重合体を形成すること、光配向性基の光配向機能を発現するに必要な光エネルギーの量が比較的少ないことから、nが2である一般式(4)で表わされる化合物が特に好ましい。
【0030】
本発明で使用する、1分子中に炭素原子数4〜30のアルキル基と、1又は2個のマレイミド基を有する単量体は、具体的には、一般式(2)又は(3)で表される。
【0031】
【化7】
Figure 0004604438
【0032】
【化8】
Figure 0004604438
【0033】
一般式(2)および(3)において、R、R、R10、およびR11は、炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状アルキレン基、炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基、アリールアルキレン基及びシクロアルキルアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基を表す。
【0034】
これらR、R、R10、およびR11の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基の如き直鎖状アルキレン基;1−メチルエチレン基、1−メチル−トリメチレン基、2−メチル−トリメチレン基、1−メチル−テトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、1−メチル−ペンタメチレン基、2−メチル−ペンタメチレン基、3−メチル−ペンタメチレン基、2,2−ジメチル−トリメチレン基の如き分岐アルキル基を有するアルキレン基;
【0035】
シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基の如きシクロアルキレン基;ベンジレン基、2,2−ジフェニル−トリメチレン基、1−フェニル-エチレン基、1−フェニル−テトラエチレン基の如き主鎖又は側鎖にアリール基を有するアリールアルキレン基;シクロヘキシルメチレン基、1−シクロヘキシル−エチレン基、1−シクロヘキシル−テトラエチレン基の如き主鎖あるいは側差にシクロアルキル基を有するシクロアルキル−アルキレン基等が挙げられる。これらの中でも炭素原子数1〜10のアルキレン基又は炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基が好ましい。
【0036】
また、R、R、R10、およびR11は、これら上記に挙げた基の2〜5個が、単結合、エステル結合、エーテル結合、またはウレタン結合で連結した基であっても良い。このような連結された基としては、例えば、少なくとも2つのアルキレン基が、エーテル結合で結合された(ポリ)エーテルから構成される基、少なくとも2つのアルキレン基がエステル結合で結合された(ポリ)エステルから構成される基、少なくとも2つのアルキレン基がウレタン結合で結合された(ポリ)ウレタンから構成される基、少なくとも2つのアルキレン基が、エーテル結合で結合された(ポリ)エーテル(ポリ)オールと(ポリ)カルボン酸とをエステル化して得られる(ポリ)カルボン酸{(ポリ)エーテル(ポリ)オール}エステルから構成される基等が挙げられる。
【0037】
上記一般式(2)および(3)において、RおよびR13は、炭素原子数が4〜30のアルキル基を表す。具体的には、ステアリル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、セチル基、ヘプタデシル基、ノナデシル基等が挙げられる。なお、これらのアルキル基は、置換基としてアルキル基を有していても差し支えない。
【0038】
上記一般式(2)および(3)において、R、R、R14、R15、R16およびR17は、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜8個のアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表す。
【0039】
上記一般式(3)において、R12は炭素数1〜10の3価の炭化水素基を表す。価すなわち遊離原子価は炭化水素基のどの部位に存在しても良く、3つの価のうち2つに、上記R、R10で表される基を介してマレイミド基が、1つに、R11で表される基を介してR13で表される炭素原子数4〜30のアルキル基が結合する。これらの炭化水素基は、直鎖状でも分岐状でも構わない。具体的には、例えばメチリジン基、エチリジン基、プロパニリジン基、ブタニリジン基、1−エタニル−2−イリデン基、1,2,3−プロパントリイル基、1−プロパニル−3−イリデン基、1,2,4−ブタントリイル基、1−ブタニル−4−イリデン基、1,2,5−ペンタントリイル基、1,3,5−ペンタントリイル基、1−ペンタニル−5−イリデン基、
【0040】
1,2,6−ヘキサントリイル基、1,3,6−ヘキサントリイル基、1−ヘキサニル−6−イリデン基、2−プロパニル−1−イリデン基、2−メチレン−1,3−プロパンジイル基、1−プロパニル−3−イリデン基、3−ブタニル−1−イリデン基、1,2,3−ブタントリイル基、1−ブタニル−2−イリデン基、2−メチル−1−プロパニル−3−イリデン基、2−メチル−1,2,3−プロパントリイル基、2−エチル−1,2,3−プロパントリイル基、2−ブタニル−1−イリデン基、2−ブタニル−3−イリデン基、2−ブタニル−4−イリデン基、の如き3価の非環式炭化水素よりなる基;1,2,3−シクロペンタントリイル基、1,2,5−シクロペンタントリイル基、1−シクロペンチル−2−イリデン基、1−シクロペンチル−3−イリデン基、1,2,3−シクロヘキサントリイル基、1,2,4−シクロヘキサントリイル基、1,3,5−シクロヘキサントリイル基、1−シクロヘキシル−2−イリデン基、1−シクロヘキシル−3−イリデン基、1−シクロヘキシル−4−イリデン基、シクロヘキシルメチリジン基、4−シクロへキシレンメチレン基、1−シクロヘキシル−2−エタニル−1−イリデンの如き環式脂肪族炭化水素を含む3価の炭化水素よりなる基;1,3,5−ベンゼントリイル基、ベンジリジン基、2−フェニル−1,2,3−プロパントリイル基の如き芳香族炭化水素を含む3価の炭化水素よりなる基等が挙げられる。
【0041】
本発明の光配向膜用材料は、上記一般式(1)で表される、1分子中に少なくとも1個の1光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する単量体と、上記一般式(2)又は(3)で表される、1分子中に炭素原子数4〜30のアルキル基と、1又は2個のマレイミド基を有する単量体とを含有する。一般にラビング配向膜は、長い分子鎖を有する化合物からなる層が基板面上に設けられており、その長い分子鎖が配向している場合、この層に隣接している液晶分子は、長鎖方向にその長軸を揃えて配向すると考えられている。本発明の光配向膜用材料は、配向および重合処理を行うことで、炭素原子数が4〜30のアルキル基が基板面に対してある角度をもって配向し、液晶のプレチルト角が得られるものと考えられる。
【0042】
しかし、一般式(1)の単量体の含有量が少ないと十分な光配向性が得られないため、本発明の光配向膜用材料100質量部に対して、上記一般式(2)又は(3)で表される、1分子中に炭素原子数4〜30のアルキル基と、1又は2個のマレイミド基を有する単量体の含有量は、10〜70質量部の範囲が好ましく、20〜60質量部の範囲が最も好ましい。
【0043】
次に、本発明の光配向膜用材料を用いて、光配向膜とこれを具備した液晶表示素子を製造する方法の例を述べる。
【0044】
まず、本発明の光配向膜用材料は適切な溶媒に溶解して用いる。この際、溶媒は特に限定されないが、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ブチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン等が一般的に用いられる。中でもブチルセロソルブ、γ−ブチロラクトンは塗布性が良好で、均一な膜が得られることから、特に好ましい。これらの溶剤は、塗布性や、塗布後に短時間で溶剤を揮発させることを考慮して、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0045】
上記光配向膜用材料の溶液を基板上にスピンコーティング法、印刷法等の方法によって塗布し、乾燥後、重合性マレイミド基の重合および光配向操作を行う。
【0046】
本発明で使用する基板は、光配向膜に通常用いられる基板であって、熱硬化に耐えうる耐熱性を有するものである。そのような基板としては、ガラス基板が挙げられる。
【0047】
光や熱による重合性マレイミド基の重合操作は、光二量化反応によって光配合した構造単位に影響を与える恐れがあるため、配向操作に先立って行うことがより好ましい。
【0048】
重合性マレイミド基の重合は紫外線等の光照射あるいは加熱によって行う。光照射で行う場合は、光配向性基が光配向機能を発現しない波長の光で行うことが好ましい。一方、加熱による重合は、光配向操作の前に行うと、基板に塗布する際に用いた溶媒の乾燥も兼ねることができ、より好ましい。また、重合性マレイミド基を完全に重合させるため、最初に、光照射あるいは加熱で重合を行い、次に光照射により光配向を発現する操作を行った後、更に加熱もしくは重合性マレイミド基の光重合に適した無偏光の光照射を行っても良い。
【0049】
一方、重合性マレイミド基が重合する光の波長と光配向機能を発現させる光の波長とが近い場合には、重合性マレイミド基の重合と光配向機能を発現させる操作を一回の光照射で同時に行うことが可能である。このような重合性マレイミド基の光重合に用いる照射光は特に限定されないが、紫外線が好ましく使用することができる。照射方法についても特に限定されず、無偏光あるいは直線偏光、楕円偏光などの偏光を使用することができる。
【0050】
光二量化反応によって光配向を発現させる操作は偏光を照射することによって行う。偏光の波長は、光配向性基が効率よく二量化する波長が選ばれ、可視光線、紫外線等が挙げられるが、中でも紫外線が好ましい。また、偏光は、直線偏光や楕円偏光が多く用いられる。このとき、プレチルトを得るためには、基板に対して斜め方向から偏光や無偏光の照射を十分な照射光量で行うか、基板面に対して垂直方向からの偏光照射に引き続いて、この斜め方向からの照射を行うことが好ましい。
【0051】
本発明によれば、1分子中に、光二量化反応により光配向機能を発現する少なくとも1個の光配向性基と、少なくとも2個の重合性マレイミド基とを有する単量体、及び、1分子中に炭素原子数4〜30のアルキル基と、1又は2個のマレイミド基を有する単量体とを含有する光配向膜材料を基板に塗布した後、重合性マレイミド基を重合させ、さらに光配向性基の光二量化反応を生起させることによって光配向膜を得る。本発明で使用するマレイミド化合物は、低分子であるため、溶剤溶解性が高く、塗布が容易であるという特徴を有する。また、長鎖のアルキル基が光配向膜表面に多く分布することで、十分な液晶分子のプレチルト角を得ることができ、さらにマレイミド基が重合し網状構造を有する塗膜となることで、熱や光に対して安定な光配向膜を得ることができる。
また、マレイミド基による重合は重合開始剤を必要としないため、液晶セル作製後に、液晶中に重合開始剤が溶出することがなく、電圧保持率の低下等、液晶表示素子の性能劣化を防ぐことができる。
【0052】
【実施例】
以下、合成例、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0053】
[参考例1]マレイミド酢酸の合成
撹拌機、温度計、滴下ロート、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量500ミリリットルの4つ口フラスコに、トルエン140g、p−トルエンスルホン酸一水和物5.2g及びトリエチルアミン2.8gを順次仕込み、撹拌しながら無水マレイン酸30gを加えた後、30℃まで昇温させながら溶解させた。さらにグリシン23gを加えた後、撹拌しながら70℃で3時間反応させた。トルエン50g、トリエチルアミン60gを加え、溶媒を加熱還流させて生成する水を除去しながら1時間反応させた。反応混合物から溶媒を留去して得られた残留物に、4mol/dm3塩酸を加えてpH2に調整した後、加熱−再結晶して、マレイミド酢酸の淡黄色固体7.3gを得た。
【0054】
[参考例2] 4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノンの合成
攪拌機、温度計、滴下ロートおよび冷却管を備えた容量300ミリリットルの4つ口フラスコに、2−ブロモエタノール62.5gを入れ、氷浴による冷却下、撹拌しながら、N−メチルピロリドン100gを加えた。これにp−トルエンスルホン酸一水和物10mgを加え、ジヒドロピラン42.1gを約10分かけて滴下した。氷冷下で2時間撹拌し、さらに室温で2時間撹拌した後、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン42.8gおよび炭酸カリウム69.1gを加え、120℃で3時間反応した。冷却後400mlの水に反応混合物を加え、400mlのトルエンで2回抽出し、得られたトルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーターで溶媒を留去した。
得られた残渣にメタノール450g、水70g、濃塩酸1.0gを加え、室温で一晩撹拌し、生成した沈殿を濾過し、メタノールでよく洗浄した後に乾燥させ、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン52gを得た。
【0055】
[参考例3]2,2−ジメチル−5−エチル−5−(ブロモメチル)−1,3−ジオキサン(化合物A)の合成
撹拌機、温度計及び塩化カルシウム乾燥管を付けた冷却管を備えた容量500ミリリットル4つ口フラスコに、トリメチロールプロパン67.1g、2,2−ジメトキシプロパン57.3g、トルエン100g及びp−トルエンスルホン酸一水和物2.9gを入れ、60℃で3時間撹拌した。冷却後、炭酸カリウム 2.5gを加え、一晩室温で撹拌した。フラスコ内の固体を濾過で除き、減圧下、溶媒を留去して中間体A80.6g(液体)を得た。
【0056】
撹拌機、温度計、窒素導入管及び塩化カルシウム乾燥管を付けた冷却管を備えた容量500ミリリットル4つ口フラスコに中間体A43.8g、四臭化炭素116.6g及びN,N−ジメチルホルムアミド300mlを加え、窒素雰囲気下、撹拌しながら氷塩浴で充分に冷却させ、トリフェニルフォスフィン91.9gを少しずつ、液温が0℃を越えないように加えた。トリフェニルフォスフィン添加終了後、30分氷塩浴中で撹拌し、その後、氷浴中で1時間、室温で2時間撹拌した後、溶媒を50℃で減圧下、留去した。濃縮された混合物をアセトン−ヘキサン混合溶媒(1/3)200gで3回抽出し、得られた抽出液を、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーで精製して目的の化合物A 47gを得た。
(収率 79%)
【0057】
[合成例1]
攪拌機、温度計、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量500ミリリットルの3つ口フラスコに、参考例1で得られたマレイミド酢酸8.8g、参考例2で得た4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン6.1g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.4g、ヒドロキノン20mg及びトルエン150mlを順次仕込み、減圧下、90℃に加熱して、溶媒を環流させて生成する水を除去しながら15時間反応させた。反応終了後、反応混合物を熱時濾過し、得られた固体をメタノールでよく洗浄し、乾燥させることにより式(5)
【0058】
【化9】
Figure 0004604438
Figure 0004604438
で表される2官能マレイミド誘導体8.6gを得た。
【0059】
[合成例2]
撹拌機、温度計、滴下ロート及び冷却管を備えた容量300ミリリットル4つ口フラスコに、2−ブロモエタノール6.3gをいれ、氷浴による冷却下、撹拌しながらN−メチルピロリドン10gを加えた。これにp−トルエンスルホン酸一水和物2mgを加え、ジヒドロピラン4.2gを約10分かけて滴下した。氷冷下で2時間撹拌し、さらに室温で2時間撹拌した後、7−ヒドロキシクマリン 8.5gおよび炭酸カリウム6.9gを加え、120℃で3時間反応した。冷却後、100mlの水に反応混合物を加え、100mlのトルエンで2回抽出し、得られたトルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレータで溶媒を留去した。得られた残渣にメタノール45g、水7g、濃塩酸0.5gを加え、室温で一晩撹拌した。溶媒を留去後、トルエン250gを加えて溶液とし、50gの水で2回洗浄した。
【0060】
撹拌機、温度計及び冷却管を備えた容量500ミリリットル3つ口フラスコに、上で得られたトルエン溶液を入れ、参考例3で合成した化合物A10.5g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.9g及び40%水酸化ナトリウム水溶液80gを加え、撹拌しながら5時間還流した。冷却後、この混合物を分液ロートに移して、水層を分離、除去し、20gの水で3回洗浄した。
得られたトルエン溶液を減圧下で溶媒を留去し、残渣をテトラヒドロフラン100gに溶かし、6%塩酸30gを加え、室温で4時間撹拌した。減圧下、溶媒を留去し、得られた固体を水洗後、濾過、乾燥した。
【0061】
撹拌機、温度計、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量500ミリリットルの3つ口フラスコに、得られた固体10.8g、マレイミド酢酸12.6g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.8g、ヒドロキノン40mg及びトルエン200ミリリットルを順次仕込み、減圧下、90℃に加熱して、溶媒を還流させて生成する水を除去しながら15時間反応させた。反応終了後、反応液にトルエン200ミリリットルを加えて希釈し、50gの水で4回洗浄した。このトルエン溶液を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、得られた固体を、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーで精製することにより式(6)、
【0062】
【化10】
Figure 0004604438
Figure 0004604438
で表される2官能マレイミド誘導体16gを得た。
【0063】
[合成例3]
攪拌機、温度計、滴下ロート及び冷却管を備えた容量300ミリリットルの4つ口フラスコに、参考例3で得た化合物A11.9g、ステアリルアルコール13.8g、N−メチルピロリドン40gを加えて撹拌した。均一な溶液になったところで、炭酸カリウム7.1gを加え、150℃で2時間反応させた、冷却後、減圧下、溶媒を留去し、濃縮した混合物を4リットルの酢酸エチルに溶解した。この溶液を500gの水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を減圧下、留去した。得られた18.8gの固体をテトラヒドロフラン100gに溶かし、6%の塩酸30gを加え、室温で4時間撹拌した。減圧下、溶媒を留去し、得られた固体を水洗後、濾過、乾燥した。
【0064】
攪拌機、温度計、ディーンスターク分留器および冷却管を備えた容量500ミリリットルの3つ口フラスコに、得られた固体9.4g、マレイミド酢酸12.6g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.8g、ヒドロキノン40mgおよびトルエン200ミリリットルを順次仕込み、減圧下、90℃に加熱して、溶媒を環流させて、生成する水を除去しながら15時間反応させた。反応終了後、反応液にトルエン200ミリリットルを加えて希釈し、50gの水で4回洗浄した。このトルエン溶液を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し、得られた固体を、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーで精製することにより式(7)
【0065】
【化11】
Figure 0004604438
Figure 0004604438
で表される2官能マレイミド誘導体19gを得た。
【0066】
[実施例1]
合成例1で得られたマレイミド誘導体(5)50質量部およびラウリルマレイミド(大八化学製)50質量部を、N,N−ジメチルホルムアミドに溶かして、固形分濃度5%溶液とし、これを0.45μmのフィルターで濾過し、光配向膜用材料溶液とした。得られた光配向膜用材料溶液を、スピンコーターにてITO電極付ガラス基板に均一に塗布し、190℃で1時間加熱し、溶媒の乾燥およびマレイミド基の熱重合による硬化を行った。次に、得られた塗膜表面に超高圧水銀ランプを用い、波長313nm、エネルギー密度20mW/cmの紫外線の直線偏光を50秒間照射した。続いて、波長313nm、エネルギー密度40mW/cmの無偏光の紫外光を、先に照射された直線偏光の偏光方向と垂直な方向で、かつ基板面から45°の角度から120秒間照射し、光配向膜を作成した。
【0067】
上記の方法で得られた光配向膜付基板の周囲に直径5μmのスチレンビーズを含んだ熱硬化性接着剤を液晶注入口を残して塗布し、もう1枚の光配向膜付基板を配向面が相対し、かつ先に照射した直線偏光の偏光方向が一致するように重ね合わせて圧着し、接着剤を150℃で90分かけて硬化させた。次いで、液晶注入口よりネマチック液晶組成物ELS−001(大日本インキ化学工業(株)製)を加温しながら等方相の状態で真空注入により充填を行った後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。このようにして得られた液晶素子を偏光顕微鏡で観察し、液晶の配向を確認した。このとき、配向欠陥によるディスクリネーションは認められなかった。
次に、この液晶素子の液晶のプレチルト角を回転結晶法により測定した結果、プレチルト角は3.2°であった。また、液晶素子を3ヶ月間、自然光下、室温で放置してもプレチルト角には変化は認められなかった。
【0068】
[実施例2]
合成例2で得られたマレイミド誘導体(6)50質量部およびラウリルマレイミド50質量部を、N,N−ジメチルホルムアミドに溶かして、固形分濃度5%溶液とし、これを0.45μmのフィルターで濾過し、光配向膜用材料溶液とした。これを、ガラス基板上に実施例1と同様の方法で塗布、加熱による乾燥および熱重合を行い、さらに紫外光の照射を行った。さらに、実施例1と同様の方法で液晶セルの作製、液晶の注入を行うことで液晶素子を作製した。このようにして得られた液晶表示素子を偏光顕微鏡で観察し、液晶の配向を確認した。このとき、配向欠陥によるディスクリネーションは認められなかった。
次に、この液晶素子の液晶のプレチルト角を回転結晶法により測定した結果、プレチルト角は3.5°であった。また、液晶素子を3ヶ月間、自然光下、室温で放置してもプレチルト角には変化は認められなかった。
【0069】
[実施例3]
合成例2で得られたマレイミド誘導体(6)50質量部、および合成例3で得られたマレイミド誘導体(7)50質量部をN,N−ジメチルホルムアミドに溶かして、固形分濃度5%溶液とし、これを0.45μmのフィルターで濾過し、光配向膜用材料溶液とした。これを、ガラス基板上に実施例1と同様の方法で塗布、加熱による乾燥および熱重合を行い、さらに紫外光の照射を行った。さらに、実施例1と同様の方法で液晶セルの作製、液晶の注入を行うことで液晶素子を作製した。このようにして得られた液晶表示素子を偏光顕微鏡で観察し、液晶の配向を確認した。このとき、配向欠陥によるディスクリネーションは認められなかった。
次に、この液晶素子の液晶のプレチルト角を回転結晶法により測定した結果、プレチルト角は4.0°であった。また、液晶素子を3ヶ月間、自然光下、室温で放置してもプレチルト角には変化は認められなかった。
【0070】
[比較例]
式(8)で表される、4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド(ケイ・アイ化成(株)製)、
【0071】
【化12】
Figure 0004604438
Figure 0004604438
【0072】
をN,N−ジメチルホルムアミドに溶かして、固形分濃度5%溶液とし、これを0.45μmのフィルターで濾過し、光配向膜用材料溶液とした。これを、ガラス基板上に実施例1と同様の方法で塗布、加熱による乾燥および熱重合を行い、さらに紫外光の照射を行った。さらに、実施例1と同様の方法で液晶セルの作製、液晶の注入を行うことで液晶素子を作製した。このようにして得られた液晶素子を偏光顕微鏡で観察したところ、液晶の配向が確認された。
次に、この液晶素子の液晶のプレチルト角を実施例1と同様に回転結晶法にとって測定を行ったが、プレチルト角はほとんど観測されなかった。
【0073】
【発明の効果】
本発明の光配向膜用材料を使用した光配向膜用材料を用いることにより、生産性に優れるとともに、良好な液晶配向性を示し、十分な液晶分子のプレチルト角が得られ、かつこのプレチルト角が熱的、経時的に十分な安定性を有する液晶表示素子用の光配向膜を得ることができる。

Claims (6)

  1. (a)1分子中に光二量化反応により光配向機能を発現する少なくとも1個の光配向性基と、少なくとも2個の重合性マレイミド基とを有する単量体、及び、(b)1分子中に炭素原子数4〜30のアルキル基と、1又は2個のマレイミド基とを有するが、光配向性基を有しない単量体、とを含有することを特徴とする光配向膜用材料。
  2. 前記(a)光配向性基を有する単量体が一般式(1)
    Figure 0004604438
    Figure 0004604438
    (式中、Rは、炭素原子数1〜30のアルキレン基又は炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基、あるいは、これらの基の2〜5個が単結合、エステル結合、エーテル結合又はウレタン結合で連結された基、を表わす。Rはベンゾフェノン骨格、シンナモイル骨格、カルコン骨格及びクマリン骨格からなる1〜4価の基の群から選ばれる光配向性基を表わし、R及びRは各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表わし、nは、2〜4の整数を表わす。)
    で表わされる化合物である請求項1に記載の光配向膜用材料。
  3. 前記(b)1分子中に炭素原子数4〜30のアルキル基を有する単量体が、一般式(2)又は(3)
    Figure 0004604438
    (式中、Rは単結合、炭素原子数1〜10のアルキレン基、炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基又はフェニレン基、あるいは、これらの基の2〜5個が単結合、エステル結合、エーテル結合、又はウレタン結合で連結された基を表す。Rは炭素原子数4〜30のアルキル基を表し、R及びRは各々、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表す。)
    Figure 0004604438
    (式中、R、R10、およびR11は各々、単結合、炭素原子数1〜10のアルキレン基、炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基又はフェニレン基、あるいは、これらの基の2〜5個が単結合、エステル結合、エーテル結合、又はウレタン結合で連結された基を表す。R12は炭素数1〜10の3価の炭化水素基を表す。R13は炭素原子数4〜30のアルキル基を表し、R14、R15、R16、及びR17は各々、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表す。)
    で表わされる化合物である請求項1に記載の光配向膜用材料。
  4. (a)1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する単量体、及び、(b)1分子中に炭素原子数4〜30のアルキル基と、1又は2個のマレイミド基を有するが、光配向性基を有さない単量体との共重合体を含有し、該共重合体中の(a)の単量体残基が有する光配向性基の光二量化により発現した光配向機能と、(a)及び(b)の単量体が有する重合性マレイミド基の重合により生じた架橋構造とを有することを特徴とする光配向膜。
  5. (a)1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する単量体、及び、(b)1分子中に炭素原子数4〜30のアルキル基と、1又は2個のマレイミド基を有するが、光配向性基を有しない単量体とを含有する光配向膜用材料を基板上に塗布し、該塗膜を加熱することにより前記重合性マレイミド基の熱重合反応を生起させて架橋された高分子膜を形成し、前記高分子膜に光照射することにより前記構造単位の光二量化反応を生起させて前記高分子膜に光配向機能を発現させることを特徴とする光配向膜の製造方法。
  6. 内側に配向膜を有する二枚の基板間に液晶を挟持した構造を有する液晶表示素子において、前記配向膜が、(a)1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する単量体、及び、(b)1分子中に炭素原子数4〜30のアルキル基と、1又は2個のマレイミド基を有する単量体との共重合体を含有し、前記光配向性基の光二量化により発現した光配向機能と前記重合性マレイミド基の重合により生じた架橋構造とを有する光配向膜であることを特徴とする液晶表示素子。
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