JP4756296B2 - マレイミド誘導体及びそれを用いた光配向膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶の配向方法に関し、特に光を照射することで、ラビングを行うことなく液晶分子を配向させることのできる光配向膜に関する。本発明の光配向膜は、液晶表示素子用等の液晶配向膜として好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置においては、液晶の分子配列の状態を電場等の作用によって変化させて、これに伴う光学的特性の変化を表示に利用している。
多くの場合、液晶は二枚の基板の間隙に挟んだ状態で用いられるが、ここで液晶分子を特定の方向に配列させるために、基板の内側に配向処理が行われる。
【0003】
通常、配向処理は、ガラス等の基板にポリイミド等の高分子の膜を設け、これを一方向に布等で摩擦する、ラビングという方法が用いられる。これにより、基板に接する液晶分子はその長軸(ダイレクタ)がラビングの方向に平行になるように配列する。
例えば、ツイストネマチック(TN)セルでは二枚の直交した偏光板の間に、内側に配向膜が塗布された二枚の基板を対向させ、そのラビング方向が互いに直交するように配置し、光透過率の変化による表示を可能にしている。
【0004】
しかしながら、ラビング法は製造装置が簡単であるという利点を有するものの、製造工程において静電気や埃が発生するため、配向処理後に洗浄工程が必要となるとともに、特に近年多く用いられているTFT方式の液晶セルでは静電気によりあらかじめ基板に設けられたTFT素子が破壊され、これが製造における歩留まりを下げる原因にもなっている。
一方、液晶表示素子においては構成されている液晶分子の傾きに方向性があるため、表示素子を見る方向によって表示色やコントラストが変化する等といった視野角依存性が問題となっている。
【0005】
これを改善する方法の一つとしては、一画素を分割して、領域ごとに液晶分子のプレチルト角(特開昭62−159119号公報)や配向方向(特開昭63−106624号公報)を変える配向分割法が考案されている。このような、分割領域ごとの配向は、従来のラビング法ではプロセスが煩雑で実用には適さない。
【0006】
かかる問題を解決するために、近年ラビングを行わない液晶配向制御技術が注目されている。このようなラビングレスの配向技術としては、斜方蒸着法、LB(ラングミュアー−ブロジェット)膜法、フォトリソグラフィ法、光配向法等が検討されてきた。とりわけ、偏光された光を基板上に設けられた塗膜に照射して、液晶配向性を生じさせる光配向法は簡便であり、配向処理後に洗浄工程が不必要であり、さらにフォトマスク等を用いることにより上記の配向分割を容易に行うことができるため、盛んに研究が行われている。
この光配向機構としては、例えばアゾベンゼン基等の光異性化によるもの、シンナモイル基、クマリン基、カルコン基、ベンゾフェノン基等の光二量化反応によるもの、ポリイミド樹脂等の光分解によるもの等が報告されている。
【0007】
これらの光異性化、光二量化や光分解反応を利用した光配向材料は、ガラス等の基板に塗布した際に均一な膜が得られるように、ポリマーなどの高分子化合物が用いられることが多く、アゾベンゼン基、シンナモイル基等の光配向性を示す構成単位がこの高分子化合物の側鎖や主鎖に導入される場合が多い。また、光配向性を有する分子をゲスト分子とし、高分子化合物からなるホスト化合物に分散させて用いる場合もある。
【0008】
しかし、光異性化型の場合、偏光紫外線の照射による分子の可逆的な異性化反応を利用していることが多いため、光配向処理後の光安定性に問題がある。また、光分解型の場合、光配向処理を行った際に生じる分解生成物により液晶が汚染されるおそれがあるため、処理後に基板を洗浄する必要があり、光配向膜の洗浄不要といった特長が失われる。また、高分子化合物を用いた光配向材料の多くは溶剤に対する溶解性が低く、基板に塗布する際に使用できる溶媒の種類が限られるといった問題がある。
【0009】
例えば、WO9637807号公報には、光異性化可能であって二色性を示す構成単位及び反応性官能基を有する樹脂を使用した液晶配向膜が開示されているが、この材料は高分子化合物であり、基板に塗布する際に使用できる溶媒の種類が限られ、一般にN,N−ジメチルアセトアミドやN−メチル−2−ピロリドンのような高沸点の極性溶媒が使用される。この場合、塗布後に溶媒を揮発させるために長時間を要し、生産性を低下させる。さらに、従来の光配向膜材料の多くは熱的安定性に関しても不十分であるという問題もある。
【0010】
これらの問題点を解決し、光配向膜の液晶配向能が長期間安定に得られるようにする方法の例としては、偏光照射によって配向性を示す構成単位付加した重合性モノマーを熱もしくは光重合させ、かつ偏光照射によって光配向させる方法がある。しかし多くの場合、モノマーを熱もしくは光重合させるには重合開始剤の添加が必要となる。この重合開始剤は低分子化合物であるため、光配向膜の硬化後であっても、長期間が経過すると、セル内の液晶層に重合開始剤が拡散し、液晶表示素子としての特性、例えば電圧保持率を劣化させるおそれがある。
【0011】
重合開始剤の不要な光重合性基としては、マレイミド基がある。このマレイミド基を有する化合物を用いた光配向膜は特開2000−53766号公報や特許2962473号公報に開示されている。これらはポリマレイミドに光配向性基を側鎖として付加した高分子化合物であり、やはり前記したような溶剤に対する溶解性の問題がある他、耐熱性や液晶配向能の長期安定性についても未だ不十分である可能性がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、溶剤溶解性が高く生産性に優れ、かつ良好な電圧保持率等の液晶表示素子特性を有し、良好な配向安定性と光や熱に対する十分な耐久性を有する光配向材料を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定のマレイミド誘導体を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、
【0014】
(A) 一般式(1)
【化2】
【0015】
(式中、R1、R2及びR3は各々、単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基、及びアリーレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基、もしくは、これらの炭化水素基の複数個が単結合、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、及びウレタン結合からなる群より選ばれる結合基で連結している有機基を表す。R4は3価の炭化水素基を表す。R5は光配向性を示す構成単位を表し、R6、R7、R8及びR9は各々、水素原子、1〜8個の炭素原子を含むアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表す。)で表されるマレイミド誘導体を提供する。
【0016】
また、本発明は、(B) 上記(A)を含有する光配向材料、及び、それを用いた光配向膜の製造方法を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、光配向性を示す構成単位を含む特定の2官能マレイミド誘導体を含有する光配向材料、及びそれを用いた光配向膜に関するものである。
【0018】
本発明のマレイミド誘導体は、光を照射することで二量化、異性化等の配向性が得られるような光反応を生じる構成単位を有するマレイミド誘導体であり、具体的には一般式(1)、
【0019】
【化3】
【0020】
(式中、R1、R2及びR3は各々、単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基、及びアリーレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基、もしくは、これらの炭化水素基の複数個が単結合、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、及びウレタン結合からなる群より選ばれる結合基で連結している有機基を表す。R4は3価の炭化水素基を表す。R5は光配向性を示す構成単位を表し、R6、R7、R8及びR9は各々、水素原子、1〜8個の炭素原子を含むアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表す。)で表される。
【0021】
一般式(1)において、R1、R2及びR3は各々、単結合、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、シクロアルキレン基、及びアリーレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基を表す。これらの炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基の如き直鎖状アルキレン基;シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基の如きシクロアルキレン基;フェニレン基の如きアリーレン基が挙げられる。
【0022】
また、R1、R2及びR3は各々、上記に挙げた炭化水素基の複数個が単結合、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、及びウレタン結合からなる群より選ばれる結合基で連結していてもよい。中でも、エステル結合、エーテル結合が好ましい。このような連結された有機基としては、具体的には、例えば、少なくとも2つの炭化水素基が、エーテル結合で結合された(ポリ)エーテルから構成される基、少なくとの2つの炭化水素基がエステル結合で結合された(ポリ)エステルから構成される基、少なくとも2つの炭化水素基が、アミド結合で結合された(ポリ)アミドから構成される基、少なくとも2つの炭化水素基がウレタン結合で結合された、(ポリ)ウレタンから構成される基や、少なくとも2つの炭化水素基が、エーテル結合された(ポリ)エーテル(ポリ)オールと(ポリ)カルボン酸とをエステル化して得られる(ポリ)カルボン酸{(ポリ)エーテル(ポリ)オール}エステルから構成される基等が挙げられる。
【0023】
一般式(1)におけるR4は、3価の炭化水素基を表す。価すなわち遊離原子価は炭化水素基のどの部位に存在しても良く、3つの価のうち2つに、上記R1、R2で表される有機基を介してマレイミド基が、1つに、R3で表される有機基を介しR5で表される光配向性を示す構成単位が結合する。これらの炭化水素基は、直鎖状でも分岐状でも構わない。具体的には、例えばメチリジン基、エチリジン基、プロパニリジン基、ブタニリジン基、1−エタニル−2−イリデン基、1,2,3−プロパントリイル基、1−プロパニル−3−イリデン基、1,2,4−ブタントリイル基、1−ブタニル−4−イリデン基、1,2,5−ペンタントリイル基、1,3,5−ペンタントリイル基、1−ペンタニル−5−イリデン基、1,2,6−ヘキサントリイル基、1,3,6−ヘキサントリイル基、1−ヘキサニル−6−イリデン基、2−プロパニル−1−イリデン基、2−メチレン−1,3−プロパンジイル基、1−プロパニル−3−イリデン基、3−ブタニル−1−イリデン基、1,2,3−ブタントリイル基、1−ブタニル−2−イリデン基、2−メチル−1−プロパニル−3−イリデン基、2−メチル−1,2,3−プロパントリイル基、
【0024】
2−エチル−1,2,3−プロパントリイル基、2−ブタニル−1−イリデン基、2−ブタニル−3−イリデン基、2−ブタニル−4−イリデン基、の如き3価の非環式炭化水素よりなる基;1,2,3−シクロペンタントリイル基、1,2,5−シクロペンタントリイル基、1−シクロペンチル−2−イリデン基、1−シクロペンチル−3−イリデン基、1,2,3−シクロヘキサントリイル基、1,2,4−シクロヘキサントリイル基、1,3,5−シクロヘキサントリイル基、1−シクロヘキシル−2−イリデン基、1−シクロヘキシル−3−イリデン基、1−シクロヘキシル−4−イリデン基、シクロヘキシルメチリジン基、4−シクロへキシレンメチレン基、1−シクロヘキシル−2−エタニル−1−イリデンの如き環式脂肪族炭化水素を含む3価の炭化水素よりなる基;1,3,5−ベンゼントリイル基、ベンジリジン基、2−フェニル−1,2,3−プロパントリイル基の如き芳香族炭化水素を含む3価の炭化水素よりなる基等が挙げられる。
【0025】
上記一般式(1)において、R5は、光を照射することで二量化反応又は異性化反応のような、配向性を示す光反応を生じる構成単位(以下、光配向性を示す構成単位と略す)を表す。光配向性を示す構成単位としては特に限定されないが、中でも、C=C、C=N、N=N、及びC=Oからなる群より選ばれる少なくとも一つの二重結合(但し、芳香環を形成する二重結合を除く)を有する構成単位が特に好ましく用いられる。
【0026】
これらの光配向性を示す構成単位としては、以下のものが挙げられる。
例えば、C=C結合を有する構成単位としては、ポリエン、スチルベン、スチルバゾール、スチルバゾリウム、シンナメート、ヘミチオインジゴ、カルコン等の骨格が挙げられる。C=N結合を有する構成単位としては、芳香族シッフ塩基、芳香族ヒドラゾン等の骨格が挙げられる。N=N結合を有する構成単位としては、アゾベンゼン、アゾナフタレン、芳香族複素環アゾ、ビスアゾ、ホルマザン等のアゾ骨格や、アゾキシベンゼンを基本構造とするものが挙げられる。C=O結合を有する構成単位としては、ベンゾフェノン、クマリン、アントラキノン等の骨格が挙げられる。
【0027】
具体的には、例えば、以下の構造が挙げられる。勿論、これらの構造にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロゲン化アルキル基等の1つ以上の残基が結合していても差し支えない。
【0028】
【化4】
【0029】
中でも、光二量化により光配向性を示すシンナメート、クマリン、カルコン、又はベンゾフェノンの骨格、あるいは、光異性化反応により光配向性を示すアゾベンゼン又はアントラキノンの骨格を有する光配向性基を有するマレイミド誘導体は、光配向に必要な偏光の照射量が少なく、かつ得られた光配向膜の熱安定性、経時安定性が優れているため、特に好ましく、シンナメート、クマリン、カルコン、又はベンゾフェノンの骨格を有するマレイミド誘導体が最も好ましい。
【0030】
上記一般式においてR5は、単結合あるいはエステル結合、エーテル結合、アミド結合、又はウレタン結合等の結合基を介してR1と結合している。
【0031】
R6、R7、R8及びR9は各々、水素原子、メチル基、エチル基等の1〜8個の炭素原子を含むアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表す。
【0032】
本発明の光配向材料においては、光配向性を示す構成単位の導入密度を調整し、液晶の配向状態を向上させる目的、あるいは一般式(1)で表される光配向性を示す構成単位を含むマレイミド誘導体の結晶性を下げ、基板に対する塗布性、成膜性を改善する目的等で下記一般式(2)で示されるような光配向性を示す構成単位を含まないマレイミド化合物を適宜混合したものを塗布し、一般式(1)で表される光配向性を示す構成単位を含むマレイミド誘導体と共重合させても良い。この光配向性を示す構成単位を含まないマレイミド誘導体の混合割合は全体に対し0〜80重量%の範囲内であることが好ましく、特に好ましくは0〜50重量%の範囲である。
【0033】
【化5】
【0034】
(式中、R10は、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン鎖、シクロアルキレン基、及びアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基、もしくは、これらの炭化水素基の複数個が単結合、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、及びウレタン結合からなる群より選ばれる結合基で連結している有機基を表す。R11、R12、R13及びR14は各々、水素原子、1〜8個の炭素原子を含むアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表す。)
【0035】
上記一般式(2)において、R10は各々独立して、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン鎖、シクロアルキレン基、及びアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素基を表す。
【0036】
これらの炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基の如き直鎖状アルキレン基;1−メチルエチレン基、1−メチル−トリメチレン基、2−メチル−トリメチレン基、1−メチル−テトラメチレン基、2−メチル−テトラメチレン基、1−メチル−ペンタメチレン基、2−メチル−ペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、ネオペンチル基の如き分岐アルキル基を有するアルキレン基;
【0037】
シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基の如きシクロアルキレン基;ベンジレン基、2,2−ジフェニル−トリメチレン基、1−フェニル−エチレン基、1−フェニル−テトラエチレン基の如き主鎖または側鎖にアリール基を有するアリールアルキレン基;シクロヘキシルメチレン基、1−シクロヘキシル−エチレン基、1−シクロヘキシル−テトラエチレン基の如き主鎖あるいは側鎖にシクロアルキル基を有するシクロアルキル−アルキレン基等が挙げられる。
【0038】
また、R10は、これら上記に挙げた炭化水素基の複数個が、単結合、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、及びウレタン結合からなる群より選ばれる結合基で連結しても良い。
【0039】
このような連結された基としては、具体的には、例えば、少なくとも2つの炭化水素基が、エーテル結合で結合された(ポリ)エーテルから構成される基、少なくとの1つの炭化水素基がエステル結合で結合された(ポリ)エステルから構成される基、少なくとも2つの炭化水素基が、エーテル結合された(ポリ)エーテル(ポリ)オールと(ポリ)カルボン酸とをエステル化して得られる(ポリ)カルボン酸{(ポリ)エーテル(ポリ)オール}エステルから構成される基等が挙げられる。
【0040】
R11、R12、R13及びR14は、各々水素原子、メチル基、エチル基等の1〜8個の炭素原子を含むアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表す。
【0041】
本発明の光配向材料は、光配向性を示す構成単位(以下、光配向性を示す構成単位を光配向性基と略す。)を有する一般式(1)のマレイミド誘導体を含有することを特徴とする。次に、本発明の光配向材料を用いて、光配向膜とこれを具備した液晶表示素子を製造する方法の例を述べる。
【0042】
本発明の光配向材料は、適切な溶媒に溶解して用いる。この際、溶媒は特に限定されないが、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ブチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン等が一般的に用いられる。中でもN−メチルピロリドン、ブチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、は塗布性が良好で、均一な膜が得られることから、特に好ましい。
【0043】
上記光配向材料の溶液をガラス等の基板にスピンコーティング法、印刷法等の方法によって塗布し、乾燥後、マレイミド基の重合および光配向性基の配向操作を行う。マレイミド基の重合は光照射もしくは加熱によって行われる。光による重合操作は、既に配向した光配向性基に影響を与える恐れがあるため、光配向性基の配向に先立って行うことが好ましいが、アゾベンゼンのような可逆的な光異性化による光配向の状態を固定化する目的で、光配向を行った後にマレイミド基の重合操作を行う場合もある。
【0044】
マレイミド基が重合する光の波長と光配向性基の配向が生ずる光の波長とが異なる場合、光による重合操作は、光配向の生じない、マレイミド基が重合する光の波長にできるだけ近い波長の光を用いることが好ましい。一方、マレイミド基が重合する光の波長と光配向性基の配向が生ずる光の波長とが近い場合には、マレイミド基の重合と光配向性基の光配向操作を一回の光照射で同時に行うことが可能である。このようなマレイミド基の光重合に用いる照射光は特に限定されないが、紫外線が好ましく用いられる。照射方法についても特に限定されず、無偏光あるいは直線偏光、楕円偏光などの偏光が用いられる。
【0045】
一方、マレイミド基の重合操作を加熱によって行う場合は、その工程は光配向性基の配向操作の前後いずれでも良い。また、マレイミド基を完全に重合させるために、最初に光照射又は加熱で重合を行い、次に光配向操作を行った後、再び光照射又は加熱を行っても良い。
【0046】
光配向性基の配向操作は偏光もしくは無偏光の光を照射することによって行われる。照射光の波長は光配向性基が効率よく光反応する波長が選ばれ、可視光線、紫外線等が挙げられるが、特に紫外線が好ましい。照射方法は特に限定されないが、例えば、偏光を照射して光配向操作を行う場合は、直線偏光や楕円偏光が多く用いられる。このとき、液晶分子のプレチルトを得るために、偏光を基板に対して斜め方向から照射する方法や、偏光照射後に斜め方向から無偏光の光を照射する方法を用いても良い。また、無偏光のみを照射して光配向を行う場合は、基板に対して斜め方向から照射する方法が好ましい。
【0047】
本発明の光配向材料を用いた液晶セルは、前記配向膜が形成された2枚の基板を配向膜に照射した偏光の方向が所定の角度となるようにした上で、所定の大きさのスペーサーを介して対向させることによって構成される。この液晶セルに液晶を充填する際には、液晶が等方相となる温度にまで加熱した後、毛細管法、真空注入法によって充填することが好ましい。
【0048】
液晶材料としては、例えば、4−置換安息香酸4’−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4’−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4’−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4’−置換シクロヘキシルエステル、4−置換4’−置換ビフェニル、4−置換フェニル−4’−置換シクロヘキサン、4−置換4”―置換ターフェニル、4−置換ビフェニル4’―置換シクロヘキサン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジン等を挙げることができる。
【0049】
本発明においては、光配向性基を有するマレイミド誘導体を含有する光配向材料を基板に塗布した後、マレイミド基を重合させ、さらに光配向性基を配向することによって光配向膜を得る。塗布する材料がモノマーであるため、溶剤溶解性が高く、塗布が容易であるという特徴を有する。また、両末端にマレイミド基を有していることから、重合後は架橋構造となるため、光や熱に対する安定性が高い光配向膜が得られる。また、光配向性基がマレイミド基を有する主鎖に対して側鎖となるように結合しているため、マレイミド基が重合した後も、光配向性基の自由度が高く、光の照射により高感度でかつ大きなプレチルト角を有する配向膜が得られる。
【0050】
また、マレイミドによる重合は重合開始剤を必要としないため、液晶セル作製後に、液晶中に重合開始剤が溶出することがなく、電圧保持率の低下等、液晶表示素子の性能劣化の原因を取り除くことができる。
【0051】
【実施例】
以下、合成例、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0052】
[参考例1]マレイミド酢酸の合成
撹拌機、温度計、滴下ロート、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量500ミリリットルの4つ口フラスコに、トルエン140g、p−トルエンスルホン酸一水和物5.2g及びトリエチルアミン2.8gを順次仕込み、撹拌しながら無水マレイン酸30gを加えた後、30℃まで昇温させながら溶解させた。さらにグリシン23gを加えた後、撹拌しながら70℃で3時間反応させた。トルエン50g、トリエチルアミン60gを加え、溶媒を加熱還流させて生成する水を除去しながら1時間反応させた。反応混合物から溶媒を留去して得られた残留物に、4mol/dm3塩酸を加えてpH2に調整した後、加熱−再結晶して、マレイミド酢酸の淡黄色固体7.3gを得た。
【0053】
[参考例2]2,2−ジメチル−5−エチル−5−(ブロモメチル)−1,3−ジオキサン(化合物A)の合成
撹拌機、温度計及び塩化カルシウム乾燥管を付けた冷却管を備えた容量500ミリリットル4つ口フラスコに、トリメチロールプロパン67.1g、2,2−ジメトキシプロパン57.3g、トルエン100g及びp−トルエンスルホン酸一水和物2.9gを入れ、60℃で3時間撹拌した。冷却後、炭酸カリウム 2.5gを加え、一晩室温で撹拌した。フラスコ内の固体を濾過で除き、減圧下、溶媒を留去して中間体A80.6g(液体)を得た。
【0054】
撹拌機、温度計、窒素導入管及び塩化カルシウム乾燥管を付けた冷却管を備えた容量500ミリリットル4つ口フラスコに中間体A43.8g、四臭化炭素116.6g及びN,N−ジメチルホルムアミド300mlを加え、窒素雰囲気下、撹拌しながら氷塩浴で充分に冷却させ、トリフェニルフォスフィン91.9gを少しずつ、液温が0℃を越えないように加えた。トリフェニルフォスフィン添加終了後、30分氷塩浴中で撹拌し、その後、氷浴中で1時間、室温で2時間撹拌した後、溶媒を50℃で減圧下、留去した。濃縮された混合物をアセトン−ヘキサン混合溶媒(1/3)200gで3回抽出し、得られた抽出液をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーで精製して目的の化合物A 47gを得た。(収率 79%)
【0055】
[合成例1]
撹拌機、温度計及び塩化カルシウム乾燥管を付けた冷却管を備えた容量100ミリリットルの3つ口フラスコに化合物A11.9g、7−ヒドロキシクマリン 8.3g、N−メチルピロリドン40gを加えて撹拌した。均一な溶液になったところで、炭酸カリウム7.1gを加え、150℃で2時間反応させた。冷却後、減圧下、溶媒を留去し、濃縮された混合物を4リットルの酢酸エチルに溶解した。この溶液を500gの水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を減圧下、留去した。得られた13.5gの固体をテトラヒドロフラン100gに溶かし、6%塩酸 30gを加え、室温で4時間撹拌した。減圧下、溶媒を留去し、得られた固体を水洗後、濾過、乾燥した。
【0056】
撹拌機、温度計、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量500ミリリットルの3つ口フラスコに、上で得られた固体9.4g、マレイミド酢酸12.6g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.8g、ヒドロキノン40mg及びトルエン200ミリリットルを順次仕込み、減圧下、90℃に加熱して、溶媒を還流させて生成する水を除去しながら15時間反応させた。反応終了後、反応液にトルエン 200ミリリットルを加えて希釈し、50gの水で4回洗浄した。このトルエン溶液を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下、溶媒を留去して得られた固体をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーで精製することにより式(3)
【0057】
【化6】
で表される2官能マレイミド誘導体12gを得た。
【0058】
[合成例2]
撹拌機、温度計、滴下ロート及び冷却管を備えた容量300ミリリットル4つ口フラスコに、2−ブロモエタノール6.3gをいれ、氷浴による冷却下、撹拌しながらN−メチルピロリドン10gを加えた。これにp−トルエンスルホン酸一水和物2mgを加え、ジヒドロピラン4.2gを約10分かけて滴下した。氷冷下で2時間撹拌し、さらに室温で2時間撹拌した後、7−ヒドロキシクマリン 8.5gおよび炭酸カリウム6.9gを加え、120℃で3時間反応した。冷却後、100mlの水に反応混合物を加え、100mlのトルエンで2回抽出し、得られたトルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレータで溶媒を留去した。得られた残渣にメタノール45g、水7g、濃塩酸0.5gを加え、室温で一晩撹拌した。溶媒を留去後、トルエン250gを加えて溶液とし、50gの水で2回洗浄した。
【0059】
撹拌機、温度計及び冷却管を備えた容量500ミリリットル3つ口フラスコに、上で得られたトルエン溶液を入れ、参考例2で合成した化合物A10.5g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.9g及び40パーセント水酸化ナトリウム水溶液80gを加え、撹拌しながら5時間還流した。冷却後、この混合物を分液ロートに移して、水層を分離、除去し、20gの水で3回洗浄した。
得られたトルエン溶液を減圧下で溶媒を留去し、残渣をテトラヒドロフラン100gに溶かし、6%塩酸30gを加え、室温で4時間撹拌した。減圧下、溶媒を留去し、得られた固体を水洗後、濾過、乾燥した。
【0060】
撹拌機、温度計、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量500ミリリットルの3つ口フラスコに、上で得られた固体10.8g、マレイミド酢酸12.6g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.8g、ヒドロキノン40mg及びトルエン200ミリリットルを順次仕込み、減圧下、90℃に加熱して、溶媒を還流させて生成する水を除去しながら15時間反応させた。反応終了後、反応液にトルエン200ミリリットルを加えて希釈し、50gの水で4回洗浄した。このトルエン溶液を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下、溶媒を留去して得られた固体をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーで精製することにより式(4)、
【0061】
【化7】
で表される2官能マレイミド誘導体16gを得た。
【0062】
[合成例3]
攪拌機、温度計及び塩化カルシウム乾燥管を付けた冷却管を備えた容量100ミリリットルの3つ口フラスコに参考例1で得られた化合物A11.9g、4−ヒドロキシカルコン11.5g、N−メチルピロリドン40gを加えて撹拌した。均一な溶液になったところで、炭酸カリウム7.1gを加え、150℃で2時間反応させた。冷却後、減圧下、溶媒を留去し、濃縮された混合物4リットルの酢酸エチルに溶解した。この溶液を500gの水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を減圧下、留去した。
得られた15.0gの固体をテトラヒドロフラン100gに溶かし、6%塩酸30gを加え、室温で4時間撹拌した。減圧下、溶媒を留去し、得られた固体を水洗後、濾過、乾燥した。
【0063】
攪拌機、温度計、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた500ミリリットルの3つ口フラスコに、上で得られた固体10.4g、マレイミド酢酸12.6g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.8g、ヒドロキノン40mg及びトルエン200ミリリットルを順次仕込み、減圧下90℃に加熱して、溶媒を乾留させて生成する水を除去しながら15時間反応させた。反応終了後、反応液にトルエン200ミリリットルを加えて希釈し、50gの水で4回洗浄した。このトルエン溶液を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去して得られた固体をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーで精製することにより、式(5)
【0064】
【化8】
で表される2官能マレイミド誘導体13gを得た。
【0065】
[合成例4]
撹拌機、温度計、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量500ミリリットルの3つ口フラスコに、参考例1のaで得たマレイミド酢酸8.8g、数平均分子量400のポリプロピレングリコール5.0g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.4g、ヒドロキノン20mg及びトルエン150mlを順次仕込み、減圧下、90℃に加熱して、溶媒を還流させて生成する水を除去しながら15時間反応させた。反応終了後、反応混合物を希水酸化ナトリウム溶液で2回、次いで純水で3回洗浄し、トルエンを留去して式(5)、
【0066】
【化9】
で表されるマレイミド誘導体7.7gを得た。
【0067】
[比較合成例1]
合成例1のマレイミド誘導体の合成において、マレイミド酢酸の代りにアクリル酸を用いて式(7)
【0068】
【化10】
で表される2官能アクリレートを得た。
【0069】
以上の合成例及び比較合成例によって得られたマレイミド誘導体及び光配向材料を用いて、光配向膜を作製し、物性評価を行った。光配向膜の作成方法及び物性評価方法は下記の方法に従って行った。
【0070】
[光配向膜の作製方法]
a.光配向膜溶液の調整
合成例で得られたマレイミド誘導体を、N−メチルピロリドン/ブチルセロソルブ=1/1の混合溶媒に溶かして、固形分濃度5%溶液とし、これを0.1μmのフィルターで濾過し、光配向材料溶液とした。
【0071】
b−1.光配向膜作製(熱硬化方法)
上記a.の方法で得られた光配向材料溶液を、スピンコーターにてITO電極付ガラス基板上に均一に塗布し、190℃、1時間で乾燥及び硬化を行った。次に、得られた塗膜表面に超高圧水銀ランプより、積算光量で10J/cm2の365nm付近の直線偏光した紫外光を照射し、光配向膜を作製した。
【0072】
b−2.光配向膜作製(光硬化方法)
上記a.の方法で得られた光配向膜溶液を、スピンコーターにてITO電極付ガラス基板上に塗布し、100℃、15分乾燥した後、塗膜表面に超高圧水銀ランプより、積算光量で10J/cm2の波長313nm付近の直線偏光した紫外光を照射し、光配向膜を作製した。
【0073】
c.液晶セルの作製
上記b−1または2で得られた光配向膜基板の周囲に直径8μmのスチレンビーズを含んだエポキシ系接着剤を液晶注入口を残して塗布し、配向面が相対するように、かつ偏光光の方向が直交する無機に重ね合わせて圧着し、接着剤を150℃、90分かけて硬化させた。次いで、液晶注入口よりネマチック液晶(5CB)をアイソトロピック相の状態で真空注入し、充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。
【0074】
[光配向膜の評価方法]
d.液晶配向性評価
上記c.の方法で得られた液晶セルを、偏光方向が直交する2枚の偏光板の間に挟み、電極間5Vの電圧を印加してON/OFFすることで、明暗をスイッチングさせることにより、液晶の配向性を評価した。
【0075】
e.電圧保持率の測定
上記c.の方法で得られた液晶セルに、5Vの直流電圧を64マイクロ秒間印加し、続いて16.6ミリ秒間開放した後の初期印加電圧に対する電圧の保持率を測定した。
【0076】
f.耐久性の測定
この液晶セルを80℃にて1000時間保持した後の配向性を目視評価した。
【0077】
[実施例1]
合成例1で得られたマレイミド誘導体(3)を用いて、上記光配向材料溶液の調整方法に従って光配向材料溶液を調整し、次にb−1.の光配向膜の熱硬化作製方法に従って光配向膜を作製した。得られた光配向膜を用いて液晶セルを作製し、上記評価方法に従って物性評価を行った。この結果、電圧保持率は99%、また液晶配向性、耐久性共に良好であった。
【0078】
[実施例2]
合成例1で得られたマレイミド誘導体(3)を用いて、上記光配向材料溶液の調整方法に従い、光配向材料溶液を調整し、次にb−2.の光配向膜作製方法に従って光配向膜を作製した。次に、基板面の法線と入射方向を含む面が、b−2.の偏光方向と平行で、かつ基板面と入射方向とがなす角が45°となる方向より波長313nm、積算光量10J/cm2の無偏光の平行光を照射した。
得られた光配向膜を用いて液晶セルを作製し、上記評価方法に従い、物性評価を行った。この結果、電圧保持率は99%、また液晶配向性、耐久性ともに良好であった。
また、上記により作製した液晶素子を回転結晶法により測定した結果、プレチルト角は3°であった。
【0079】
[実施例3]
合成例1で得られたマレイミド誘導体(3)を、合成例1で得られたマレイミド誘導体(3)及び合成例4で得られたマレイミド誘導体(6)の重量比1/1の混合物とした他は、実施例1と同様にして評価を行った。この結果、電圧保持列は99%、また液晶配向性、耐久性ともに良好であった。
【0080】
[実施例4]
合成例1で得られたマレイミド誘導体(3)を、合成例2で得られたマレイミド誘導体(4)に代えた他は、実施例1と同様にして評価を行った。この結果、電圧保持率は99%、また液晶配向性、耐久性共に良好であった。
【0081】
[実施例5]
合成例1で得られたマレイミド誘導体(3)を、合成例3で得られたマレイミド誘導体(5)に代えた他は、実施例1と同様にして評価を行った。この結果、電圧保持率は99%、また液晶配向性、耐久性ともに良好であった。
【0082】
[比較例1]
合成例1で得られたマレイミド誘導体(3)を、比較合成例で合成したアクリル酸誘導体(7)、及び開始剤として、これに対して0.1%の2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを加えたものに代えた他は、実施例2と同様にして評価を行った。この結果、液晶配向性、耐久性は良好であったが、電圧保持率は89%と低かった。
【0083】
[比較例2]
合成例1で得られたマレイミド誘導体(3)を、合成例4で得られたマレイミド誘導体(6)に代えた他は、実施例1と同様にして評価を行った。
この結果、液晶配向性は認められなかった。
【0084】
【発明の効果】
本発明のマレイミド誘導体を含有する光配向材料を用いることにより、良好な液晶表示素子特性、例えば電圧保持率を有し、かつ良好な配向安定性と光や熱に対する十分な耐久性を有する光配向膜を得ることができる。
Claims (5)
- 一般式(1)
- 請求項1又は2に記載のマレイミド誘導体を含有する光配向材料を基板上に塗布し、光照射によりマレイミド基の重合を行い、同時に、光配向性を示す構成単位の光反応を行う光配向膜の製造方法。
- 請求項1又は2に記載のマレイミド誘導体を含有する光配向材料を基板上に塗布し、光照射によりマレイミド基の重合を行い、次いで、光配向性を示す構成単位の光反応を行う光配向膜の製造方法。
- 請求項1又は2に記載のマレイミド誘導体を含有する光配向材料を基板上に塗布し、加熱によりマレイミド基の重合を行い、次いで、光照射により光配向性を示す構成単位の光反応を行う光配向膜の製造方法。
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