JP4603203B2 - 液体クロマトグラフ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体クロマトグラフ装置及び該液体クロマトグラフ装置を用いた測定方法に関し、より詳細には、例えばヘモグロビン類などの測定に好適に用いられる、ステップグラジュエント方式を用いた液体クロマトグラフ装置及び測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体クロマトグラフィーにおいて、複数の移動相を使用して測定する方法として、移動相を所定のタイミングで切換えるステップグラジュエント方式(段階溶出法)が広く用いられている。
【0003】
上記ステップグラジュエント方式で測定するための液体クロマトグラフ装置としては、低圧グラジュエント方式のもの及び高圧グラジュエント方式のものが知られている。
【0004】
しかしながら、低圧グラジュエント方式では、送液ポンプが一台でよいものの、移動相の切換えをステップ的に速やかに行うことができないという問題があった。
【0005】
他方、高圧グラジュエント方式では、移動相を速やかにステップ的に切換えることができるものの、移動相の種類に応じた送液ポンプを用意しなければならなかった。従って、クロマトグラフ装置の小型化及び低価格化を進めることができないという問題があった。
【0006】
そこで、特開平7−280789号公報には、グラジュエント式の液体クロマトグラフ装置であって、測定時間の短縮化、測定器の小型化及び低価格化を図り得る構造が開示されている。
【0007】
この先行技術に記載の液体クロマトグラフ装置では、第1の移動相を送液する送液ポンプと分離カラムとを連結してなる流路において、送液ポンプと分離カラムとの間に試料及び第2の移動相を上記流路に導くためのインジェクターが接続されている。このインジェクターは、試料または第2の移動相を吸引するサンプリングノズルと、サンプリングノズルに連結された切換え弁と、試料または第2の移動相を保持する液体保持流路とを有する。切換え弁を切換えることにより、第1の移動相が流路に流され、試料または第2の移動相が上記液体保持流路に導かれる第1の切換え状態と、第1の移動相を液体保持流路に導入し、かつ試料または第2の移動相を液体保持流路から流路に導く第2の切換え状態とが実現される。
【0008】
従って、高圧グラジュエント方式を用いているため、複数の移動相をステップ的に速やかに切換えることができ、測定時間の短縮が果たされるとされている。また、上記液体保持流路を用いることにより、送液ポンプの台数を少なくすることができ、装置の小型化及び低価格化が図られるとされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平7−280789号公報に記載の液体クロマトグラフ装置では、液体保持流路に試料や第2の移動相を交互に導く動作、並びに試料導入後の洗浄動作を順に実施する必要があった。従って、総動作時間が測定時間内に収まるように測定条件を設定する必要があった。よって、測定時間を短縮しようとした場合、測定条件に制約があった。
【0010】
また、上記先行技術に記載の液体クロマトグラフ装置では、上記液体保持流路に試料や第2の移動相が交互に導かれるため、液体保持流路に至る流路部分に存在していた移動相が、次の洗浄工程において洗浄液に置換される。すなわち、置換される移動相が測定に使用されないことになる。従って、移動相の無駄が多かった。
【0011】
加えて、注入される試料の量と第2の移動相の量が異なる場合には、注入量の多い方を満たすように上記液体保持流路が構成されていなければならない。上記先行技術の実施例の欄では、試料が10μL、第2の移動相が150μLとされているが、この場合には液体保持流路の容量は最低でも150μLとしなければならない。他方、試料の注入に際し、気泡が注入されてはならない。従って、試料の先端部が洗浄液で希釈されることになるので、上記のような小さな容量の液体保持流路の該容量よりも少ない量の試料を高精度に注入することは非常に困難であった。そのため、試料の注入量のばらつきが大きくならざるを得なかった。
【0012】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、移動相をステップ的に速やかに切換えることができ、装置の小型化及び低コスト化を果たし得るだけでなく、測定時間の短縮に際しての測定条件の制限が少なく、移動相の無駄が少なく、かつ試料を高精度に注入することができ、従って高精度に測定を行うことを可能とする液体クロマトグラフ装置及び該液体クロマトグラフ装置を用いた測定方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の広い局面によれば、少なくとも2種類の溶離液A,Bを用いた液体クロマトグラフ装置であって、カラムと、前記カラムの下流に配置されており、測定対象成分を検出するための検出器と、前記カラムの上流に配置された流路切換え部材と、試料もしくは洗浄液または溶離液Aを一時的に保持するための第1の保持流路と、溶離液Aまたは溶離液Bを一時的に保持するための第2の保持流路とを備え、前記流路切換え部材が、溶離液Aを導入するための溶離液A導入ポートと、溶離液Bを導入するための溶離液B導入ポートと、試料または洗浄液を導入するための試料等導入ポートと、試料もしくは洗浄液を排出する試料等排出ポートと、溶離液Aまたは溶離液Bを排出する溶離液排出ポートと、前記溶離液A,Bまたは試料をカラムに流出させるカラム接続ポートと、前記第1の保持流路の一端に接続されており、第1の保持流路に試料もしくは洗浄液または溶離液Aを流出する第1の流出ポートと、第1の保持流路の他端に接続されており、第1の保持流路から試料もしくは洗浄液または溶離液Aが流入される第1の流入ポートと、前記第2の保持流路の一端に接続されており、第2の保持流路に溶離液Aまたは溶離液Bを流出する第2の流出ポートと、前記第2の保持流路の他端に接続されており、第2の保持流路から溶離液Aまたは溶離液Bが流入される第2の流入ポートとを有し、前記流路切換え部材は、第2の保持流路が、カラム接続ポートに接続される第1の状態と、第1の保持流路がカラム接続ポートに接続される第2の状態との間で切換えられるように構成されている液体クロマトグラフ装置が提供される。
【0014】
上記流路切換え部材としては、特に限定されるわけではないが、本発明の特定の局面では十方バルブが用いられ、すなわち市販されている十方バルブを上記流路切換え部材として用いることができる。
【0015】
本発明に係る液体クロマトグラフ装置は様々な試料の分析に用いられ得るが、特に、測定対象成分としてのヘモグロビン類を含む試料の測定に好適に用いられる。
【0016】
本発明に係る測定方法は、本発明に従って構成された液体クロマトグラフ装置を用いた測定方法であり、前記溶離液Bの溶出力が溶離液Aの溶出力よりも大きく、前記流路切換え部材を第2の状態として前記カラム接続ポートに溶離液Aを送液しつつ、試料をカラムに導入した後、前記流路切換え部材を第1の状態に切換えてカラムに溶離液Bを導入することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明をより詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施例に係る液体クロマトグラフ装置の概略構成図である。本実施例の液体クロマトグラフ装置では、分離カラム1の下流側に検出器2が配置されている。分離カラム1としては、試料及び測定目的成分に応じた充填剤が充填されたものが用いられる。また、検出器2としては、分離カラム1から流出してきた移動相中の目的成分を検出するための適宜の検出装置が用いられる。
【0019】
分離カラム1の上流側には、流路切換え部材3が配置されている。流路切換え部材3は、本実施形態では、十方バルブを用いて構成されている。従って、流路切換え部材3は10個のポートを有する。10個のポートの詳細は以下の通りである。
【0020】
まず、洗浄液または試料が導入される試料等導入ポートa、後述の第1の保持流路c1の一端に接続され、試料もしくは洗浄液または溶離液Aを第1の保持流路c1に流出する第1の流出ポートb、溶離液Aを導入するための溶離液A導入ポートc、第2の保持流路c2の一端に接続されており、第2の保持流路に溶離液を流出する第2の流出ポートd、溶離液Bを導入するための溶離液B導入ポートe、溶離液を排出するための溶離液排出ポートf、第2の保持流路c2の端部に接続されており、第2の保持流路c2から溶離液を流入させる第2の流入ポートg、前述した分離カラム1に接続されており、分離カラム1に移動相溶離液A,Bまたは試料を与えるカラム接続ポートh、第1の保持流路c1の端部に接続されており、第1の保持流路c1から試料もしくは洗浄液または溶離液Aが流入される第1の流入ポートi、洗浄液または試料を排出する試料等排出ポートjとを備える。
【0021】
本実施形態の液体クロマトグラフ装置では、溶離液A導入ポートcに、送液部材4が接続されており、該送液部材4により、溶離液Aが溶離液A導入ポートcに送液されるように構成されている。送液部材4としては、例えば、プランジャー式ポンプなどの適宜の液体移送手段を用いることができる。
【0022】
切換え部材3に溶離液Aを供給する流路と、切換え部材3から分離カラム1及び検出器2に至る流路とが、この液体クロマトグラフ装置の主流路を構成している。
【0023】
他方、試料等排出ポートjには、試料等導入部材5が接続されている。試料等導入部材5は、ポンプなどの適宜の液体移送手段により構成されており、陰圧により、試料または洗浄液等を切換え部材3に導入し、かつ試料等排出ポートjから外部に排出し得るように構成されている。また、溶離液排出ポートfには、同様に、溶離液導入部材6が接続されている。溶離液導入部材6は、同じくポンプなどにより構成されており、陰圧により、溶離液Bを切換え部材3に導入し、かつ溶離液Aまたは溶離液Bを外部に排出するように構成されている。
【0024】
試料等導入ポートaには切換え弁7が接続されている。切換え弁7は、サンプリングノズル8に接続されており、サンプリングノズル8の先端が試料X内に浸漬した状態または洗浄液Y内に浸漬した状態とを切換え得るように構成されている。切換え弁7の上記切換えは、モータや電磁弁などを用いて行われ得る。
【0025】
試料X及び洗浄液Y内にそれぞれ浸漬された複数のサンプリングノズル8が設けられており、切換え弁7によって接続が切換えられるように構成されてもよい。
【0026】
他方、溶離液B導入ポートeには、切換え弁9が接続されている。切換え弁9は、ノズル10に連結されている。図1では、ノズル10の先端は溶離液Bに浸漬されているが、切換え弁9を切換えることにより、溶離液Bを溶離液B導入ポートeに供給し得る図示の状態及び供給しない状態を実現することができる。
【0027】
第1の保持流路c1は、前述した第1の流出ポートb及び第1の流入ポートi間に接続されている。また、第2の保持流路c2は、第2の流出ポートd及び第2の流入ポートgに接続されている。
【0028】
切換え部材3を構成する十方バルブは、第1の保持流路c1を、前述した主流路に接続した第2の状態IIと、第2の保持流路c2が前述した主流路に接続される第1の状態Iとで切換えられるように構成されている。また、第1の状態Iでは、溶離液B導入ポートeと、溶離液排出ポートfとを結ぶ流路p3が切換え部材3内において構成され、溶離液Bは外部に排出されるように構成されている。また、第2の状態IIでは、試料等導入ポートaと、試料等排出ポートjとが後述の流路p1により接続され、試料または洗浄液等が外部に排出されるように構成される。
【0029】
第1の状態I及び第2の状態IIにおける切換え部材3内での状態及び各ポート内で構成される内部の流路は後述の通りである。
また、第1の保持流路c1への試料の導入は、第2の状態IIにおいて、切換え弁7を切換え、試料Xをサンプリングノズル8が吸入する状態とし、試料等導入部材5の陰圧を利用して行われる。また、第1の保持流路c1の洗浄は、サンプリングノズル8から洗浄液Yを吸入し得るように切換え弁7を切換え、同様に試料等導入部材5の陰圧を利用して洗浄液が第1の保持流路c1に流される。
【0030】
他方、第2の保持流路c2への溶離液Bの導入は、上記第1の状態Iにおいて、溶離液導入部材6の陰圧を利用して行われる。
なお、本実施例では、試料等導入部材5及び溶離液導入部材6は、切換え部材3の下流側に配置されており、上記のように陰圧を利用して試料等または溶離液が流されるように構成されているが、吸引及び吐出機能を有するピストンポンプなどを用いることにより、切換え部材3の上流側に、試料等導入部材5及び溶離液導入部材6を配置してもよい。すなわち、切換え弁7と試料等導入ポートaとの間にピストンポンプなどからなる試料等導入部材5を接続してもよく、切換え弁9と溶離液B導入ポートeとの間に同様にピストンポンプなどからなる溶離液導入部材6を配置してもよい。
【0031】
なお、本実施形態の液体クロマトグラフ装置を構成する上記送液部材、試料等導入部材5及び溶離液導入部材6を構成するポンプなどは市販のポンプを用いて構成することができ、切換え部材3を構成する十方バルブ、切換え弁7,9及び検出器2なども、市販されている十方バルブ、切換え弁及び液体クロマトグラフ用検出器により構成され得る。
【0032】
また、自動測定を行うには、これらの各ユニットを制御するコントローラーにより、以下の測定方法における各切換え部材や切換え弁等の切換えのタイミングを制御すればよい。
【0033】
次に、図2〜図10を参照して本実施形態の液体クロマトグラフ装置の測定方法を説明することにより、上記切換え部材3の構造の詳細も明らかにする。
なお、図2〜図9は、この測定に際しての各動作ステップにおける切換え部材3の状態と試料X、洗浄液Y、溶離液A,Bの流れる状態を示す図であり、試料X、洗浄液Y、溶離液A及び溶離液Bは、それぞれ、細い破線、太い破線、実線及び二点鎖線で示されている。図10は、これらの各動作ステップにおける主流路における送液内容を、切換え部材3の切換え状態、及び検出器により得られるクロマトグラムの時間的変化を示す図である。
【0034】
まず、図2に示すステップS1では、切換え部材3は第1の状態Iとされている。図2においては、切換え部材3の中央に、第1の状態であることを示すIが記されているが、以下の図3〜図9においても同様に切換え部材3の切換え状態を切換え部材3の中央に示すこととする。
【0035】
ステップS1においては、切換え部材3が第1の状態に切換えられており、第2の保持流路c2が溶離液A導入ポートcと、カラム接続ポートhに接続されている。すなわち、第1の状態Iでは、切換え部材3内において、第2の流出ポートdと溶離液A導入ポートcとが接続されており、第2の流入ポートgとカラム接続ポートhとが接続されている。従って、溶離液Aは、主流路の途中で第2の保持流路c2を流れ、カラム1に与えられる。従って、第2の保持流路c2には溶離液Aが満たされる。他方、ステップS1においては、第1の保持流路c1には、破線で示すように試料Xが満たされている。この第1の保持流路c1への試料Xの充填は後述のステップS6〜8と同様にして行われるため、後ほど詳細に説明する。
【0036】
ステップS1においては、試料等導入ポートaと、第1の流出ポートbとが接続されており、第1の流入ポートiと試料等排出ポートjとが接続されている。そして、試料導入部材5を駆動することにより、試料Xまたは洗浄液Yが搬送されるが、ステップS1においては、上記のように第1の保持流路c1に試料Xが満たされており、試料Xの後ろに、洗浄液Yが配置されている。この場合、サンプリングノズル8は、洗浄液Yに浸漬されるように切換え弁7が切換えられている。従って、図2にYで示すように、試料Xの後ろから洗浄液Yが移送される。
【0037】
なお、第1の状態Iにおいては、溶離液B導入ポートeは、溶離液排出ポートfと接続されており、従って、溶離液Bは、溶離液導入部材6の陰圧により、第2の保持流路c2に満たされる。
【0038】
次に、ステップS2において、切換え部材3が第1の状態Iから第2の状態IIに切換えられる。図3に示すように、第2の状態IIでは、溶離液A導入ポートcが第1の流出ポートbに接続され、第1の流入ポートiがカラム接続ポートhに接続される。従って、溶離液Aが第1の保持流路c1側に向かって流れることになり、該溶離液Aに押されて、試料Xが分離カラム1側に移動する。
【0039】
他方、試料等導入ポートaと、試料等排出ポートjとが接続され、試料または洗浄液は、試料排出部材5の陰圧により外部に排出される。また、溶離液B導入ポートは、第2の流出ポートdに接続され、第2の流入ポートgが溶離液排出ポートfに接続される。従って、溶離液Bが、第2の保持流路c2内に導入される。
【0040】
よって、ステップS3において、試料Xが溶離液Aに押されることにより、分離カラム1側に押し出されていく。すなわち、図4に示すように、溶離液Aが第1の保持流路c1内に侵入するにつれて、試料Xが分離カラム1側に流される。
【0041】
また、第2の保持流路c2には、溶離液Bが流されるが、第2の保持流路c2には、前回の測定に際し溶離液Aが満たされていたため、溶離液Aと溶離液Bとの混入を防止するために、空気を介在させて、溶離液Bが流される。
【0042】
また、ステップS4では、流路p1の試料Xを置換して洗浄するために、切換え弁7が切換えられ、サンプリングノズル8が洗浄液8に浸漬され、洗浄液8が流路p1に向かって流される。この場合においても、空気を送った後に、洗浄液Yが流される。動作が進行するにつれて、図5に示すように、ステップ4において、第1の保持流路c1に溶離液Aが満たされ、さらに溶離液Aが分離カラム1に向かって流れる。他方、第2の保持流路c2は溶離液Bで満たされる。なお、第2の保持流路c1に溶離液Bが満たされた後に、溶離液Bの後に空気が位置するように、切換え弁9が切換えられ、サンプリングノズル10が溶離液Bに浸漬された状態から空気を吸引する状態に切換えられる。
【0043】
このようにして、第2の保持流路c2に溶離液Bが充填される。
【0044】
次に、図6に示すように、ステップS5において、切換え部材3が第2の状態IIから、第1の状態Iに切換えられる。ステップS5においては、第2の保持流路c2が、再度溶離液Aが供給されるように、第2の保持流路c2が分離カラム1に接続される。従って、送液部材の駆動により溶離液Aが第2の保持流路c2に向かって流されることになるため、溶離液Aにより溶離液Bが押し出され、第2の保持流路c2から分離カラム1側に向かって流れる。このステップS5においては、溶離液導入部材6はその駆動が停止されている。
【0045】
次に、図7に示すように、ステップS6において、試料等導入部材5を駆動し、かつ切換え弁7を切換え、サンプリングノズル8を洗浄液Yを吸引する状態から試料Xを吸引する状態へ移動させる。この場合、洗浄液Yから一旦引き出されたサンプリングノズル8は、空気を吸引し、しかる後試料Xに浸漬された後に、試料Xを吸引する。従って、図7に示すように、空気を介在させた後、試料Xが第1の保持流路c1に供給される。
【0046】
このようにして、第1の保持流路c1に、試料Xが充填されていく。この間、第2の保持流路c2には、溶離液Aが順次満たされていき、溶離液Bは第2の保持流路c2から分離カラム1側に向かって押し出されていく。
【0047】
次に、ステップS7では、図8に示すように、上記のようにして試料Xが第1の保持流路c1に満たされている。しかる後、ステップS7において、切換え弁7が切換えられ、サンプリングノズル8が洗浄液Yに再度浸漬される。この切換えに際し、サンプリングノズル8は、試料Xから引き出された際に空気を吸入し、しかる後洗浄液Yに浸漬される。従って、試料Xの後に空気が吸引される(図8参照)。
【0048】
次に、図9に示すように、ステップS8において、切換え部材3が第1の状態Iから第2の状態IIに切換えられる。その結果、第1の保持流路c1に溶離液Aが流れ、再度試料Xが分離カラム1側に流される。他方、洗浄液Yが流路p1を洗浄するように切換え部材3の試料等導入ポートに向かって流れる。
【0049】
図10から明らかなように、上記ステップS1〜S8に従って液体クロマトグラフ装置を駆動することにより、試料Xを分離カラムに導いた後、溶離液A及び溶離液Bを順に用いて、目的成分の溶出を行うことができる。また、図10から明らかなように、本実施形態の液体クロマトグラフ装置では、上記のように第1,第2の保持流路c1,c2を用い、試料あるいは溶離液A,Bの分離カラム1への供給のタイミングが切換えられるので、図10から明らかなように、溶離液Aと溶離液Bとを高精度に階段状に供給することができ、溶離液A及び溶離液Bの溶出力を利用して目的とする成分を高精度に検出することができる。
【0050】
しかも、本実施形態では、2つの保持流路c1,c2を用いているため、第2の移動相を測定前に置換する必要のないことがわかる。加えて、試料と溶離液Bとが、異なる保持流路c1,c2を用いて供給されるので、試料の量が少ない場合であっても、試料注入を高精度に行うことができ、試料注入精度のばらつきを低減することができる。
【0051】
なお、上記実施形態では、溶離液Bの溶出力が溶離液Aの溶出力よりも高くされている。もっとも、本発明では、3種以上の溶離液を用いてもよく、その場合には、溶離液A,溶離液Bよりも溶出力の小さい溶離液を溶離液Aの前に流せばよく、溶離液A,溶離液Bよりも溶出の大きい溶離液は溶離液Bの後に流せばよい。
【0052】
さらに、上記実施形態では、ヘモグロビン類の分離及び測定に用いた例を示したが、他の様々な成分の分離及び測定に本発明に係る液体クロマトグラフ装置を用いることができる。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る液体クロマトグラフ装置では、カラム及び検出器の上流に流路切換え部材が配置されており、該流路切換え部材を第2の状態IIとすることにより、第1の保持流路がカラムに接続され、第1の状態Iとすることにより、第2の保持流路をカラムに接続された状態とすることができる。従って、本発明の測定方法に従って、第1の保持流路により試料及び溶離液Aをカラムに与えるように、かつ第2の流路c2により溶離液A,Bの供給を行うことにより、測定時間の短縮、測定前に溶離液を置き換える作業の省略、並びに試料の注入量のばらつきの低減を果たすことができる。よって、安価であり、かつ比較的短時間に、目的とする成分を高精度に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る液体クロマトグラフ装置の概略構成図。
【図2】本発明の一実施形態において、ステップS1において、試料Xが第1の液体保持流路に充填されている状態を示す概略構成図。
【図3】本発明の一実施形態の測定方法のステップS2において、試料が分離カラムに溶離液Aにより押されて移動する状態を示す概略構成図。
【図4】本発明の一実施形態に係る測定方法のステップS3において、第1の保持流路c1に洗浄液が注入される工程を説明するための概略構成図。
【図5】本発明の一実施形態の測定方法のステップS4において、第2の保持流路c2が溶離液Bで満たされる工程及び第1の保持流路c1が洗浄される工程を説明するための概略構成図。
【図6】本発明の一実施形態の測定方法のステップS5において、溶離液Bが分離カラムに与えられる工程を説明するための概略構成図。
【図7】本発明の一実施形態に係る測定方法のステップS6において、第1の保持流路c1に試料を導入する工程及び第2の保持流路c2に溶離液Aを供給する工程を示す概略構成図。
【図8】本発明の一実施形態の測定方法のステップS7において、第1の保持流路c1が試料により満たされている状態及び第2の保持流路c2が溶離液Aにより満たされている状態を示す概略構成図。
【図9】本発明の一実施形態の測定方法のステップS8において、切換え部材が第2の状態に切換えられ、試料がカラムに与えられる工程、及び流路p3から試料が排出される工程を説明するための概略構成図。
【図10】本発明の一実施形態の測定方法における各動作ステップと、切換え部材切換え状態と、主流量における送液内容と、検出されたクロマトグラムとの各時間変化を示す図。
【符号の説明】
1…分離カラム
2…検出器
3…切換え部材
4…送液部材
5…試料等導入部材
6…溶離液導入部材
7…切換え弁
8…サンプリングノズル
9…切換え弁
10…ノズル
a…試料等導入ポート
b…第1の流出ポート
c…溶離液A導入ポート
c1…第1の保持流路
c2…第2の保持流路
d…第2の流出ポート
e…溶離液B導入ポート
f…溶離液排出ポート
g…第2の流入ポート
h…カラム接続ポート
i…第1の流入ポート
j…試料等排出ポート
Claims (4)
- 少なくとも2種類の溶離液A,Bを用いた液体クロマトグラフ装置であって、
カラムと、
前記カラムの下流に配置されており、測定対象成分を検出するための検出器と、
前記カラムの上流に配置された流路切換え部材と、
試料もしくは洗浄液または溶離液Aを一時的に保持するための第1の保持流路と、溶離液Aまたは溶離液Bを一時的に保持するための第2の保持流路とを備え、
前記流路切換え部材が、
溶離液Aを導入するための溶離液A導入ポートと、溶離液Bを導入するための溶離液B導入ポートと、試料または洗浄液を導入するための試料等導入ポートと、試料もしくは洗浄液を排出する試料等排出ポートと、溶離液Aまたは溶離液Bを排出する溶離液排出ポートと、前記溶離液A,Bまたは試料をカラムに流出させるカラム接続ポートと、前記第1の保持流路の一端に接続されており、第1の保持流路に試料もしくは洗浄液または溶離液Aを流出する第1の流出ポートと、第1の保持流路の他端に接続されており、第1の保持流路から試料もしくは洗浄液または溶離液Aが流入される第1の流入ポートと、前記第2の保持流路の一端に接続されており、第2の保持流路に溶離液Aまたは溶離液Bを流出する第2の流出ポートと、前記第2の保持流路の他端に接続されており、第2の保持流路から溶離液Aまたは溶離液Bが流入される第2の流入ポートとを有し、
前記流路切換え部材は、第2の保持流路が、カラム接続ポートに接続される第1の状態と、第1の保持流路がカラム接続ポートに接続される第2の状態との間で切換えられるように構成されている液体クロマトグラフ装置。 - 前記流路切換え部材が十方バルブである請求項1に記載の液体クロマトグラフ装置。
- 前記試料が測定対象成分としてのヘモグロビン類を含有する試料である請求項1または2に記載の液体クロマトグラフ装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の液体クロマトグラフ装置を用いた測定方法であって、前記溶離液Bの溶出力が溶離液Aの溶出力よりも大きく、前記流路切換え部材を第2の状態として前記カラム接続ポートに溶離液Aを送液しつつ、試料をカラムに導入した後、前記流路切換え部材を第1の状態に切換えてカラムに溶離液Bを導入することを特徴とする、液体クロマトグラフ装置を用いた測定方法。
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