JP4600990B2 - ドリル刃の動振れ測定方法 - Google Patents
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Description
これに対して本発明者は先にフレネル回折を生じた光の回折パターン(強度分布)をハイパボリックセカント関数sech(x)によって近似した近似式を用いて、そのエッジ位置を簡易にしかも高精度に求める手法を提唱した(例えば特許文献4を参照)。また本発明者は、複数の受光セルが一方向に所定ピッチで配列されたラインセンサに向けて単色平行光を発する光源が照射する光路中に位置付けた高速度に回転駆動されるドリル刃等の棒状体の芯ぶれを光学的に、しかも簡易に検出可能とする方法を提唱した(例えば特許文献5を参照)。或いは発明者はラインセンサの出力からその光路中に位置付けられた遮蔽物のエッジ位置を、簡易にしてしかも精度良く検出することのできるエッジ検出装置も提唱している(例えば特許文献6を参照)。
より具体的にドリル刃7の二つの刃部7a(エッジ位置)の光軸方向の差をφh、光軸に直角方向の差をφvとすれば、点光源2a近傍側のドリル刃7の刃部7aとラインセンサ1との距離ZLは、点光源2aとラインセンサ1との距離をSD、ドリル刃7とラインセンサ1との距離をWDとすれば、
ZL=WD+φh/2
であり、ラインセンサ1の受光面近傍側のドリル刃7とラインセンサ1との距離ZRは、
ZR=WD−φh/2
である。すると投光部2近傍側のドリル刃7のエッジにおける拡大率MLおよびラインセンサ1に近い側のドリル刃7のエッジにおける拡大率MRは、それぞれ、
ML=SD/(SD−ZL)
MR=SD/(SD−ZR)
となる。したがって、ラインセンサ1の受光面上における遮蔽長さ2Dは、
2D=φv/2×ML+φv/2×MR
になる。よって、センタ位置のずれΔDは、
ΔD=(φv×ML+φv×MR)/4−φv/2×MR
となる。このためドリル刃7のセンタ位置は、真のドリル刃7のセンタ位置からΔDだけずれることになり、正しいセンタ位置を検出することができないという問題がある。
前記演算部は、前記ドリル刃をその軸方向に移動させながら回転させたとき、該ドリル刃のエッジが前記ラインセンサの受光面を変位する最大変位幅の計測値から該ドリル刃がラインセンサを遮光する最大遮光幅の計測値を引いて前記ドリル刃の動振れ幅を求めることを特徴としている。
或いは前記演算部を、前記ドリル刃を軸方向に移動させながら回転させたとき、該ドリル刃のエッジが前記ラインセンサの受光面を遮光する幅が最小になったときにおける前記ドリル刃のセンタ位置の変位幅の最大値を、前記ドリル刃の動振れ幅として求めるように構成することも可能である。
図1は、ドリル刃の動振れ測定に用いられる動振れ検出装置の要部概略構成を示し、図2は、図1の要部概略構成から投光部および受光部近傍を抽出して描いた概略構成図である。
概略的には上述したように構成される装置に適用される本発明のドリル刃の動振れ測定方法が特徴とするところは、ドリル刃7をその軸方向に移動させながら回転させたとき、該ドリル刃7のエッジがラインセンサ1の受光面を変位する最大変位幅の計測値からドリル刃7がラインセンサ1を遮光する最大遮光幅の計測値を引いてドリル刃の動振れ幅を求める点にある。
ラインセンサ1は、チャッキングされて、その軸方向をラインセンサ1の配列方向と略直角にして投光部2から放射される単色発散光の光路に位置付けられて回転するドリル刃7が遮光する遮光量を検出する。このときドリル刃7が検出する遮光幅は、例えば図8に示すようにドリル刃7が一回転することを一周期としてφhとφvが周期的な変化を繰り返す。これはドリル刃7が前述した図4(a)に示したように二重螺旋構造をもつ刃部7aを有しているため、その断面が図4(b)に示されるような二つの刃部7aが突出した鍵状に扁平した形態になっていることに由来する。
この場合、ドリル刃7が図3(a)に示す状態、即ちドリル刃7の断面の長手方向が光路に対して直交する方向になったとき、ドリル刃7の遮光量の計測値が最大(最大遮光幅Smax)になる。即ち、この最大遮光幅Smaxは、投光部2とラインセンサ1との距離をSD、ドリル刃7とラインセンサ1との距離をWDとすれば、ドリル刃7の直径φhmaxを次式で示される光学系の拡大率Mによって拡大した値に等しい。
またドリル刃7によって遮光される遮光領域は、ドリル刃7の回転(動振れ)にともなって、ラインセンサ1の受光面上を変位する。エッジ検出部3bは、この受光面上を変位するドリル刃7のエッジを検出して、その変位幅の最大値(最大変位幅Dmax)を計測する。
SW=(Dmax−Smax)/M
の演算をすれば、動振れ幅を求めることができる。
この方法は、動振れしながら回転するドリル刃7の径が最大になるのは、ドリル刃7が公転軌道を一回転するうち二回あることを利用している。具体的には、図6のAおよびBの部位にドリル刃7が来たとき、ラインセンサ1が最大遮光幅Dmaxを検出する。この図の状態になるようにドリル刃7をその軸方向に移動させて検出される最大遮光幅になったときにおける両端のエッジ位置の計測値から、そのセンタ位置を求め、このセンタ位置の変位量CDを検出すれば、ドリル刃7の動振れ幅SWを光学系の拡大率M倍した値が得られる。したがって、動振れ検出部3dは、[SW=CD/M]とした演算を施せばドリル刃7の動振れ幅SWを求めることができる。
したがって公転軌道上を回転するドリル刃7の径が最小になるのは、ドリル刃7が一回転するうち二回ある。具体的には、図7のAおよびBの部位にドリル刃7が来たとき、ラインセンサ1が最小遮光幅Dminを検出する。この図の状態になるようにドリル刃7をその軸方向に移動させたときに最小遮光幅が検出されたとき、両端のエッジ位置から、そのセンタ位置を求め、このセンタ位置の変位量CDを検出すれば、ドリル刃7の動振れ幅SWを光学系の拡大率M倍した値が得られる。したがって、動振れ検出部3dは、求めるドリル刃7の動振れ幅SWを[SW=CD/M]とした演算を施して求めることができる。
例えば、ドリル刃7をその軸方向に移動させたときに図6のCおよびDの位置にドリル刃7が来たとき、それぞれの遮光幅の計測値は、極小になる。そこで動振れ検出部3dは、Cの位置にドリル刃7が来たときに計測される遮光幅からドリル刃のセンタ位置CLを求め、次いで、Dの位置にドリル刃7が来たときに計測される遮光幅からドリル刃のセンタ位置CRを導く。するとCLとCRの差の最大値から動振れ幅を求めることができる。
2a 点光源
3 装置本体
3a 入力バッファ
3b エッジ検出部
3c ドリル刃径計測部
3d 動振れ検出部
3e 駆動制御部
4 単色光
7 ドリル刃
8 駆動部
Claims (1)
- 複数の受光セルを一方向に所定のピッチで配列したラインセンサと、
このラインセンサの上記複数の受光セルに向けて単色光を投光する光源と、
軸方向を前記受光セルの配列方向と略直角にして上記単色発散光の光路に位置付けられて回転すると共に前記軸方向に移動するドリル刃の径を、前記ラインセンサの出力を解析して求める演算部を具備し、
前記演算部は、前記ドリル刃をその軸方向に移動させながら回転させたとき、該ドリル刃のエッジが前記ラインセンサの受光面を変位する最大変位幅の計測値から該ドリル刃がラインセンサを遮光する最大遮光幅の計測値を引いて前記ドリル刃の動振れ幅を求めることを特徴とするドリル刃の動振れ測定方法。
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