JP4594497B2 - 高負荷伝動用vベルト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高負荷伝動用Vベルトに関し、特に、張力帯の長手方向に多数のブロックが連続して装着された高負荷伝動用Vベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の高負荷伝動用Vベルトは、例えば無段変速機の分野で使用されている。この無段変速機は、それぞれ固定シーブ及び可動シーブからなる駆動側と従動側の少なくとも2つの変速プーリ間に、上記高負荷伝動用Vベルトを巻き掛けて構成されている。この高負荷伝動用Vベルトは、例えば実開平6−69490号公報に示されているように、硬質ゴム製の保形ゴム層の中に心線を通した構成のエンドレスの張力帯に、多数のブロックを該張力帯の長手方向に連続するように固定して構成されている。
【0003】
上記ブロックは、ベルト幅方向に延びる上側ビームと、上側ビームよりも幅の狭い下側ビームと、両ビームの左右中央部同士を上下に接続するセンターピラーとから、略H字状に形成されている。そして、上記張力帯は、ブロックの上側ビームと下側ビームの間に、上記センターピラーの両側から挿入することにより該センターピラーと当接するように装着されている。
【0004】
この種のVベルトでは、その曲易さを確保するために、各ブロックを張力帯に対して接着することは行わず、ブロックの上下のビームに形成した凸部と張力帯の上下の面に形成した凹部を係止させるように構成されている。そして、ブロックと張力帯をこのように物理的な係止状態(噛合状態)により固定して、張力帯と各ブロックとの間で動力の授受を行うようにしている。
【0005】
一方、上記Vベルトでは、例えば、張力帯の噛合厚さ(上表面と下表面との間隔)をブロックの噛合隙間(上側ビームと下側ビームとの間隔)よりも大きく設定して、張力帯が厚さ方向に圧縮された状態でブロックの嵌合部に挿入嵌合されるように、締め代が設けられる。そして、ベルト組み立て時にブロックに張力帯を圧入することで生じる初期締め代によって張力帯とブロックとの間のガタを必要な水準に保ち、騒音の上昇、ブロックの摩耗、及び心線の疲労を抑制するようにしている。
【0006】
さらに、例えば、張力帯に各ブロックの側面から100μm程度突出するように出代を設けて、この出代によってプーリへのブロックの進入衝撃等を緩和し、ベルト走行時の低騒音化を図ることがある。つまり、ブロック側面と張力帯側面との両方がプーリ溝面と接触するようにしてプーリからの側圧をブロックと張力帯とで分担して受けることで、ブロックがプーリ溝に突入する際の衝撃を張力帯の側部の出代により緩和し、ブロックと張力帯の間でがたつきを発生しにくくして、騒音の発生も緩和している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高負荷伝動を可能にし、かつ張力帯の心線の疲労を低減するため、ゴム架橋物の弾性率はある程度高くする必要があり、このため、張力帯の保形ゴム層には、従来よりメタクリル酸亜鉛で強化された水素添加ニトリルゴムがよく用いられている。また、弾性率を高くするために、保形ゴム層のメタクリル酸亜鉛量を通常は40質量%以上にしている。
【0008】
一方、メタクリル酸亜鉛量を上述した割合で(40質量%以上)含む従来の保形ゴム層は、弾性率に関する条件は満たすものの、圧縮永久歪が大きい。このため、ベルトの走行過程において、時間の経過とともに、張力帯の係止部のへたり(老化)が生じやすい。その結果、張力帯とブロックとのかみ合いがルーズになってブロックのがたつきが生じ、それが原因で張力帯の心線の疲労が生じやすくなったり、ブロックの揺動によって騒音が大きくなったりする場合があった。
【0009】
また、従来の材料ではゴム架橋物の耐熱性が低いため、ベルトの走行中、比較的早期に保形ゴム層のクラックが発生しやすく、その結果、心線の疲労・切断が生じやすくなってしまうという欠点もあった。
【0010】
なお、上記締め代や出代を大きくすると、ブロックのがたつきが小さくなり、比較的長期に亘って騒音の発生を抑制できると考えられる。しかし、この場合には摩擦抵抗が大きくなるために、特にベルトがプーリに馴染んでいない走行初期の発熱が大きくなることがある。さらに、この場合でも、時間の経過とともに張力帯が摩耗して出代が小さくなると、騒音が大きくなってしまう。
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的とするところは、高負荷伝動用Vベルトにおける張力帯の弾性率を確保しながらへたり(老化)を抑えることであり、それによって、心線の疲労を防止して耐久性を高め、発熱や騒音も抑えられるようにすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、保形ゴム層の弾性率と圧縮永久歪を所定の範囲内に特定するようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
具体的に、本発明が講じた第1の解決手段は、保形ゴム層の内部に心線を埋設してなる張力帯と、該張力帯に噛合して係止することによりベルト長さ方向に並んだ複数のブロックとから構成された高負荷伝動用Vベルトを前提としている。そして、保形ゴム層のベルト長さ方向の貯蔵弾性率を、温度100℃、静荷重0.29MPa、動歪1%、周波数10Hz、引っ張りモードの条件で、60MPa以上で85MPa以下とし、かつ、圧縮率10%、温度120℃の条件で24時間後の圧縮永久歪を60%以下としたものである。また、保形ゴム層は、金属塩モノマーで強化された水素添加ニトリルゴムからなるとともに、水素添加ニトリルゴムと金属塩モノマーの合計100質量%あたり、水素添加ニトリルゴムを65質量%以上、75質量%以下の割合で含有し、かつ、水素添加ニトリルゴムと金属塩モノマーの合計100質量部あたり、酸化亜鉛を20質量部以上、40質量部以下の割合で含有している。
【0014】
また、本発明が講じた第2の解決手段は、上記第1の解決手段において、水素添加ニトリルゴムのムーニー粘度を120ML1+4(100℃)以上で200ML1+4(100℃)以下としたものである。
【0015】
また、本発明が講じた第3の解決手段は、上記第1または第2の解決手段において、金属塩モノマーをアクリル酸亜鉛またはメタクリル酸亜鉛としたものである。
【0016】
また、本発明が講じた第4の解決手段は、上記第2または第3の解決手段において、保形ゴム層を、カーボンブラック、シリカ、及び炭酸カルシウム・タルクよりなる群から選択される少なくとも1種の充填材により補強するようにしたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の実施形態に係る高負荷伝動用VベルトBを示し、このベルトBは、左右1対のエンドレスの張力帯1,1と、この張力帯1,1にベルト長手方向に連続して係止した多数のブロック10,10,…とから構成されている。図2及び図4に拡大して示すように、各張力帯1は、硬質ゴムからなる保形ゴム層2の内部に、スパイラル状にしたアラミド繊維(組紐)等の高強度高弾性率の心線3が配置されて埋設されたもので、この各張力帯1の上面には各ブロック10に対応してベルト幅方向に延びる一定ピッチの溝状の上側凹部4,4,…が、また下面には上記上側凹部4,4,…に対応してベルト幅方向に延びる一定ピッチの下側凹部5,5,…がそれぞれ形成されている。また、張力帯1の上下表面には、クラックの発生を防止することや、耐摩耗性を向上させることなどを目的として、帆布6,6が一体的に接着されている。
【0019】
上記保形ゴム層2を構成する硬質ゴムは、メタクリル酸亜鉛やアクリル酸亜鉛などの金属塩モノマーで強化された水素添加ニトリルゴムで、それに補強を目的として有機短繊維7,7,…を全体に混入して強化することで、耐熱性に優れかつ永久変形し難い硬質ゴムとされたものが用いられている。このように、上記保形ゴム層2のゴムを、メタクリル酸亜鉛で強化された水素添加ニトリルゴムとすることで、硬質で耐摩耗性に優れた保形ゴム層2用のゴムが得られる。また、上記硬質ゴムには、JIS−C硬度計で測定したときに75°以上のゴム硬度のものが用いられる。
【0020】
なお、上記有機短繊維7は、例えば6,6ナイロン繊維、6ナイロン繊維、4,6ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維等、保形ゴム層2のゴムよりもプーリ溝面(図示せず)との摩擦係数が低い短繊維で、ベルト幅方向に配向されている。また、心線3に対するゴムのグリップ力を高め、張力帯1の耐久性を向上させるとともに、プーリからの側圧を張力帯1が分担するように幅方向に高いゴム弾性率を与える必要があるときには、上記ナイロン繊維に加えてさらにアラミド繊維やPBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維等を併用するのが好ましい。
【0021】
そして、上記保形ゴム層2と心線3及び各帆布6とは、その心線3及び各帆布6に対する適切な接着処理により、ゴムの架橋時に強固に接着されて一体化されている。
【0022】
本実施形態の特徴として、保形ゴム層2は、ベルト長さ方向(ポリマー鎖の配向方向と直角をなす方向)の貯蔵弾性率が、温度100℃、静荷重0.29MPa、動歪1%、周波数10Hz、引っ張りモードの条件(Rheometrics 社製RSAIIによる)において、60MPa以上で85MPa以下であり、かつ、圧縮率10%、温度120℃の条件で24時間後の圧縮永久歪(JIS K6262に準ずる)が60%以下であるように設定されている。
【0023】
また、保形ゴム層2は、上述したようにアクリル酸亜鉛またはメタクリル酸亜鉛(金属塩モノマー)で強化された水素添加ニトリルゴムからなり、該水素添加ニトリルゴムのムーニー粘度は、好ましくは120ML1+4(100℃)以上で200ML1+4(100℃)以下に設定される。
【0024】
また、保形ゴム層2は、上記金属塩モノマーを20質量%以上で35質量%以下の割合で含むポリマーを成分とするゴム組成物により構成することが好ましい。さらに、保形ゴム層2は、カーボンブラック、シリカ、及び炭酸カルシウム・タルクよりなる群から選択される少なくとも1種の充填材により補強されていることが好ましい。また、保形ゴム層2は、金属塩モノマーで強化された水素添加ニトリルゴム100質量部あたり、酸化亜鉛を20質量部以上かつ40質量部以下の割合で含有していることが好ましい。
【0025】
一方、図2及び図3に拡大して示すように、各ブロック10は、ベルト幅方向左右側部に上記各張力帯1を幅方向から着脱可能に嵌装するための切欠き状の嵌合溝11,11を有するとともに、この嵌合溝11を除いた左右側面にプーリ溝面と当接する当接部14,14を有している。そして、この各ブロック10の嵌合溝11,11にそれぞれ張力帯1,1を嵌合させることで、ブロック10,10,…が張力帯1,1にベルト長手方向に連続的に噛合して係止している。
【0026】
具体的に、上記各ブロック10における各嵌合溝11の上壁面には、上記張力帯1の上面の各上側凹部4に噛合する凸条からなる上側凸部12が、また嵌合溝11の下壁面には、張力帯1の下面の各下側凹部5に噛合する凸条からなる下側凸部13が、それぞれ互いに平行に配置されて形成されている。そして、この各ブロック10の上下の凸部12,13をそれぞれ張力帯1の上下の凹部4,5に噛合させることで、ブロック10,10,…が張力帯1,1にベルト長手方向に係止している。
【0027】
上記各ブロック10は、基本的に硬質樹脂である熱硬化性フェノール樹脂材料から形成されているが、図2等に示すように、その内部にはブロック10の厚さ方向の略中央に位置するように軽量アルミニウム合金等からなる高強度、高弾性率の補強部材15が埋設されている。この補強部材15は、例えば上下の凸部12,13(張力帯1との噛合部)や左右側面の当接部14,14(プーリ溝面との接触部)では硬質樹脂中に埋め込まれてブロック10表面に顕れないが(つまり、これらの部分は硬質樹脂からなっている)、その他の部分ではブロック10の表面に露出していてもよい。
【0028】
補強部材15は、ベルト幅方向(左右方向)に延びる上側及び下側ビーム15a,15bと、これら両ビーム15a,15bの左右中央部同士を上下に接続するセンターピラー15cとからなっていて、略H字状に形成されている。そして、この補強部材15を熱硬化性フェノール樹脂中にインサートしてブロック10が成形され、さらに、必要により各種の成形加工が追加されてブロック10の強度が高められている。
【0029】
さらに、予め、上記硬質ゴムからなる張力帯1の上下の凹部4,5間の噛合厚さt2、つまり図4に示す上側凹部4の底面(詳しくは上側帆布6の上表面)と該上側凹部4に対応する下側凹部5の底面(同下側帆布6の下表面)との間の距離が、ブロック10の噛合隙間t1、つまり図3に示す各ブロック10の上側凸部12下端と下側凸部13上端との間の距離よりも例えば0.03〜0.15mm程度だけ若干大きく(t2>t1)設定されている。このため、張力帯1への各ブロック10の組付時に張力帯1がブロック10により厚さ方向に圧縮されて組み付けられ、このことで締め代t2−t1(ブロック10に対する張力帯1の初期圧入代)が設けられている。
【0030】
また、図2に示すように、ベルトBの左右両側のプーリ接触面において、張力帯1におけるベルト幅方向外側の側面1aが、各ブロック10の樹脂からなる当接部14,14の面よりも若干(例えば0.03〜0.15mm)突出している。そして、このことにより、各張力帯1の外側側面1aと各ブロック10の左右側面である当接部14との双方がプーリ溝面に接触するように、張力帯1についての出代Δdが設けられている。
【0031】
この出代Δdは、ベルトBが組み立てられたときにブロック10の側面の当接部14から張力帯1の側面1aを意図的にはみ出させるように設けたもので、張力帯1のピッチ幅(心線3を通る平面上での幅)を、ブロック10の噛合部である嵌合溝11の挿入ピッチ幅(嵌合溝11に嵌合された張力帯1の心線3の位置での溝深さ)に対して調整することで自由に変えられる。各張力帯1は各ブロック10の嵌合溝11に対し圧入して挿入され、この圧入を完全にするためには、ベルトBが実際の使用時にプーリから受ける力以上の力で張力帯1を圧入する必要がある。この出代Δdは、組立後にベルトBの左右側面をコントレーサ(輪郭形状測定器)で走査すれば容易に測定することができる。
【0032】
そして、各張力帯1の側面1aが各ブロック10の側面の当接部14よりも突出して出代Δdが形成されているので、この張力帯1の側面1aがブロック10の側面の当接部14と共にプーリ溝面と接触してプーリからの側圧をブロック10と張力帯1とが分担して受けることとなり、各ブロック10がプーリ溝に突入する際の衝撃が張力帯1の側部により緩和される。
【0033】
【実施例】
次に、具体的な実施例について説明する。高負荷伝動用Vベルトは、ベルト角度を26度、ベルトピッチ幅を25mm、ブロックピッチ(ベルト長さ方向)を3mm、ブロックの厚さを2.95mm、ベルトの長さを612mmとした。
【0034】
そして、張力帯に用いるゴムは、下記の表1に示す基本配合とした。つまり、ベルトの張力帯のマトリックスゴムとして、2種類の水素添加ニトリルゴムから一つを選択し、該水素添加ニトリルゴムはメタクリル酸亜鉛またはアクリル酸亜鉛で強化されたものとした。また、該ゴムには所定量の酸化亜鉛と、炭酸カルシウム、シリカ、カーボンブラック(これらは1種以上を適当に組み合わせて使用すればよい)よりなる充填材と、老化防止剤、硫黄、パーオキサイドを配合した。このゴムに対し、ナイロン短繊維とアラミド短繊維を表1の割合でそれぞれ加えて混練りし、短繊維強化ゴムを準備した。これをカレンダーで圧延して短繊維を圧延方向に配向させた。そして、このゴムシートを用いて、ベルト幅方向が短繊維の配向方向になるように、張力帯を所定の形状に加工した。
【0035】
【表1】
Figure 0004594497
【0036】
なお、上記の表1において、水素添加ニトリルゴム(1)のムーニー粘度は85ML1+4(100℃)であり、水素添加ニトリルゴム(2)のムーニー粘度は120ML1+4(100℃)である。また、配合量はメタクリル酸亜鉛またはアクリル酸亜鉛で強化された水素添加ニトリルゴム100質量部に対する割合を示している。
【0037】
一方、ブロックは、厚さが2mmの軽量高強度アルミニウム合金からなる補強材をフェノール樹脂中にインサート成形して作製し、この成形後に熱処理を行って樹脂の物性が所定値となるようにした。
【0038】
そして、実施例及び比較例として、水素添加ニトリルゴム(1)または水素添加ニトリルゴム(2)を、所定量のメタクリル酸亜鉛またはアクリル酸亜鉛で強化したゴムに、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、シリカ、カーボンブラックを異なる割合で配合し、実施例及び参考例と比較例の張力帯を作成した。具体的には、各実施例及び参考例は下記表2〜表4に示す配合とし、各比較例は下記表5,6に示す配合とした。
【0039】
【表2】
Figure 0004594497
【0040】
【表3】
Figure 0004594497
【0041】
【表4】
Figure 0004594497
【0042】
【表5】
Figure 0004594497
【0043】
【表6】
Figure 0004594497
【0044】
また、この張力帯と上記ブロックとを組み合わせたベルトにより耐久走行試験を行った。なお、張力帯とブロックの初期締め代は、各実施例、参考例及び比較例とも、0.07mmとした。
【0045】
走行試験は、比較例、実施例及び参考例のベルトのそれぞれについて、図5に示す耐熱試験装置を用いて行い、ベルトの走行時の耐久性を測定した。図5(a)は耐熱試験装置を上側から、図5(b)は前側からそれぞれ見た概略断面図である。この耐熱試験装置は、前面上部の左右略中央位置に直径40mmの熱風入口20aが、上面の左側端部に直径90mmの熱風出口20bがそれぞれ開口した耐熱ボックス20を有している。この耐熱ボックス20内の左側部(熱風出口20b側)には駆動軸21に設けたピッチ円直径126.43mmの駆動プーリ22が、また右側部には従動軸23に設けたピッチ円直径70.8mmの従動プーリ24が、互いに軸間距離148.5mmを離して配置されている。そして、これら両プーリ22,24間に各実施例及び比較例の各ベルトBを巻き架け、耐熱ボックス20内に熱風入口20aから熱風を送ってそれを熱風出口20bから排出させながら、各ベルトBを下記表7の条件で走行させた。
【0046】
【表7】
Figure 0004594497
【0047】
そして、各ベルトBについて、100時間走行後の締め代、温度、騒音を測定した。具体的に、ベルトBの温度は、張力帯の側面を100時間走行後に非接触温度計で測定した。
【0048】
また、騒音については、上記耐熱試験装置(図5参照)でのベルトの走行を100時間走行後に止めてベルトを取り外し、図6に示す騒音試験装置で計測した。図6(a)は騒音試験装置を上側から、図6(b)は前側からそれぞれ見た図である。この騒音試験装置の左側には、駆動軸31に設けたピッチ円直径50.7mmの駆動プーリ32が、また右側には従動軸33に設けたピッチ円直径113.3mmの従動プーリ34がそれぞれ軸間距離174.4mmの間隔で配置されている。そして、これら両プーリ32,34間に各ベルトBを巻き架けて、駆動プーリ32を2500rpmで回転させてベルトBを走行させ、そのときに駆動軸31の中心から50mmで手前側に100mm離れた測音位置Pでの騒音をマイクロフォン等により測定した。なお、この騒音特性試験の具体的な条件は、下記表8に詳しく示している。
【0049】
【表8】
Figure 0004594497
【0050】
なお、騒音の測定結果は、比較例1での騒音値(dB)に対する各例での騒音値の割合を百分率で表し、相対値とした。さらに、上記耐久走行試験は、騒音の測定後も継続し、張力帯の保形ゴム層にクラックが発生した時間と、ベルトが切断した時間とを測定した。
【0051】
以上の試験による測定結果を、上記表2〜表6に、各例の架橋ゴムの物性と併せて示している。なお、物性値のうち、熱老化破断伸び残留率はJIS K6257,K6250,K6251に準じ、ダンベル状3号型、引っ張り速度500mm/min、測定温度:25℃、老化条件:150℃、168時間とした。
【0052】
この結果から分かるように、実施例及び参考例はいずれも弾性率、圧縮永久歪、耐熱老化性のバランスがよいため、走行後も締め代が所定レベルに維持され、ブロックの固定度が高い。また、騒音が平均的に小さくてクラックも発生しにくく、ベルトの耐久性に優れている。
【0053】
具体的には、比較例1〜4において、弾性率が極端に高いためにゴムクラックが早期に発生し(特に比較例1,2)、比較例5〜14において、弾性率が低いために心線疲労によるベルト切断が早期に起こっているのに対し、各実施例及び参考例では、弾性率を60〜85MPaとしているので、心線疲労によるベルトの切断が平均して生じにくく、ゴムクラックも長期間生じにくい(特に実施例3〜18)。
【0054】
また、参考例1,2において、水素添加ニトリルゴム(2)(ムーニー粘度:120)を用いているのに対し、比較例3,4は水素添加ニトリルゴム(1)(ムーニー粘度:85)を用いている点が異なり、その他の配合は参考例1,2と同じである。そして、比較例3,4では圧縮永久歪の値が高いために張力帯のへたりが大きく、ベルト走行後の締め代がルーズになって騒音も大きいのに対し、参考例1,2ではムーニー粘度が高いために、圧縮永久歪を60%にまで抑えて張力帯のへたりを小さくすることができる。したがって、ムーニー粘度を120以上にすれば、ベルト走行後の締め代が参考例3,4ほどルーズにはならず、騒音を抑えられることが分かる。
【0055】
一方、参考例3がメタクリル酸亜鉛を35質量%含むのに対して、比較例1,3はメタクリル酸亜鉛をそれぞれ50質量%と40質量%含んでいる。また、実施例4〜6と参考例8〜12がメタクリル酸亜鉛またはアクリル酸亜鉛(金属塩モノマー)を25質量%含むのに対して、比較例7〜14はメタクリル酸亜鉛またはアクリル酸亜鉛を15質量%含んでいる。そして、実施例4〜6及び参考例8〜12と比較例7〜14を比べると分かるように、各比較例7〜14のように金属塩モノマーの配合量が少ないと弾性率が低下し、心線の早期疲労が原因でベルト切断時間が短いのに対し、各実施例4〜6及び参考例8〜12では心線疲労による切断が生じにくくなる。また、比較例1,3あるいは比較例2,4から分かるように、金属塩モノマーの配合量が多いと圧縮永久歪が大きくなり、締め代がルーズになって騒音も大きくなるのに対し、実施例3などでは圧縮永久歪を適度に抑えて締め代を所定レベルに維持し、騒音を抑えられる。
【0056】
なお、比較例7〜14において弾性率をあるレベルまで高めようとすると、充填材を必要以上に多く配合する必要があり、その結果、ゴムのクラックが発生しやすくなり、ベルトが切断しやすくなってしまう。
【0057】
また、例えば参考例3と実施例1〜3、あるいは参考例8と実施例4〜6を比較すれば分かるように、酸化亜鉛を10質量部配合していたものに対して20〜40質量部配合するようにすると、熱老化破断伸び残留率が高くなる。つまり、実施例1〜3や実施例4〜6では参考例3や参考例8よりも耐熱性が向上し、クラックが発生しにくくなるため、ベルトの耐久性を高めることができる。なお、酸化亜鉛が少なすぎると耐熱性が十分に高められず、多すぎると耐クラック性が低下するので、実施例1〜3や実施例4〜6のように酸化亜鉛は20〜40質量部にするとよい。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、保形ゴム層のベルト長さ方向の貯蔵弾性率を所定の範囲(60〜85MPa)に設定しているので、保形ゴム層の耐クラック性と心線の耐疲労性を両立させることができる。つまり、貯蔵弾性率が上記の範囲よりも低いと心線の屈曲疲労が促進され、該範囲よりも高いと走行早期に保形ゴム層にクラックが発生し、近傍の心線に集中的な応力が作用してベルトが早期に切断してしまうおそれがあるのに対して、このような問題を防止できる。また、保形ゴム層の圧縮永久歪を60%以下に設定しているので、張力帯のへたりを抑制し、ブロックの固定度を維持して騒音を低減できる。さらに、張力帯のへたりを抑制できることから初期の締め代を小さくすることが可能なり、それによってベルトの発熱を抑えられる。
【0059】
また、酸化亜鉛の量が少ないと耐熱性が十分に向上せず、多いと架橋ゴムの耐クラック性が低下するのに対して、酸化亜鉛を20質量部以上で40質量部以下にすることで、架橋ゴムの耐熱性が向上し、ベルト走行後期のクラック発生を抑えてベルトの耐久性を高めることができる。
【0060】
また、保形ゴム層の水素添加ニトリルゴムのムーニー粘度を120ML1+4(100℃)以上に特定しているので、加硫ゴムの弾性を高め、保形ゴム層のクリープなどによるへたり現象を抑えられる。さらに、ムーニー粘度が高すぎるとゴムの加工性が低下するが、ムーニー粘度を200ML1+4(100℃)以下に特定しているのでそのような問題も防止できる。
【0061】
また、金属塩モノマーをアクリル酸亜鉛またはメタクリル酸亜鉛に特定し、充填材をカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウムに特定したことで、耐久性に優れた保形ゴム層を実用化できる。また、本発明はポリマー中の金属塩モノマーを比較的少ない範囲に特定したものであるが、上記充填材の配合量を適宜調節すれば、保形ゴム層の弾性率が低下しすぎることなく、最適な範囲に設定しつつ、圧縮永久歪みも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る高負荷伝動用Vベルトの斜視図である。
【図2】 図1のII−II線拡大断面図である。
【図3】 ブロックの拡大側面図である。
【図4】 張力帯の拡大側面図である。
【図5】 ベルトの耐熱試験装置を示す図である。
【図6】 ベルトの騒音試験装置を示す図である。
【符号の説明】
B 高負荷伝動用Vベルト
1 張力帯
2 保形ゴム層
3 心線
4 上側凹部
5 下側凹部
10 ブロック
11 嵌合溝
12 上側凸部
13 下側凸部
14 当接部(ブロック側面)
15 補強部材
t1 ブロックの噛合隙間
t2 張力帯の上下凹部間の噛合厚さ
t2−t1 締め代
Δd 出代

Claims (4)

  1. 保形ゴム層の内部に心線が埋設されてなる張力帯と、該張力帯に噛合して係止することによりベルト長さ方向に並んだ複数のブロックとから構成された高負荷伝動用Vベルトであって、
    保形ゴム層は、ベルト長さ方向の貯蔵弾性率が、温度100℃、静荷重0.29MPa、動歪1%、周波数10Hz、引っ張りモードの条件で、60MPa以上で85MPa以下であり、かつ、圧縮率10%、温度120℃の条件で24時間後の圧縮永久歪が60%以下であり、
    保形ゴム層は、金属塩モノマーで強化された水素添加ニトリルゴムからなるとともに、水素添加ニトリルゴムと金属塩モノマーの合計100質量%あたり、水素添加ニトリルゴムを65質量%以上、75質量%以下の割合で含有し、かつ、水素添加ニトリルゴムと金属塩モノマーの合計100質量部あたり、酸化亜鉛を20質量部以上、40質量部以下の割合で含有していることを特徴とする高負荷伝動用Vベルト。
  2. 水素添加ニトリルゴムのムーニー粘度が120ML1+4(100℃)以上で200ML1+4(100℃)以下であることを特徴とする請求項1記載の高負荷伝動用Vベルト。
  3. 金属塩モノマーがアクリル酸亜鉛またはメタクリル酸亜鉛であることを特徴とする請求項1または2記載の高負荷伝動用Vベルト。
  4. 保形ゴム層は、カーボンブラック、シリカ、及び炭酸カルシウム・タルクよりなる群から選択される少なくとも1種の充填材により補強されていることを特徴とする請求項2または3記載の高負荷伝動用Vベルト。
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