JP4594488B2 - スパッタリングターゲット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスパッタリングターゲットに係り、特にターゲットの結晶粒を粗大化させることなく、バッキングプレート材とターゲット材とを高い接合強度で一体に接合でき、スパッタリング時におけるパーティクルの発生量を低減できるスパッタリングターゲットおよびバッキングプレート材に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス等の電極,ゲート,配線,素子,保護膜等の各種膜を基板表面に形成する方法としてスパッタリング法が広く利用されている。スパッタリング法は、所定の金属成分から成るターゲットにアルゴンなどの加速粒子を衝突させて金属成分を放出せしめ、この放出成分をターゲットに対向した基板上に堆積させ成膜する方法である。
【0003】
上記ターゲットを構成する材料としては、形成する膜の組成に対応してAl,Al合金やW,Mo,Ti,Ta,Zr,Nb等の高融点金属またはそれらの合金あるいはMoSix,WSixなどの高融点金属シリサイドが使用されている。
【0004】
また、上記ターゲットをスパッタリング装置内に固定するため、さらに高温度のターゲットを冷却し過熱を防止するため、およびチャージアップによる異常放電を防止するなどの目的から、ターゲットはバッキングプレートと称する裏当て材に一体に接合された状態で使用される場合が多い。
【0005】
上記バッキングプレートを構成する材料としては、ターゲットの効率的な冷却のために、特に高い熱伝導特性と高い電気伝導性とを有する無酸素銅(OFC)が多く使用されるが、Cu合金,Al合金,ステンレス鋼(SUS),Ti,Ti合金などから成るバッキングプレートも使用されている。
【0006】
従来、上記ターゲット材とバッキングプレートとの接合法としては、インジウム(In),錫(Sn)を含有する低融点ろう材を介して両部材を接合するろう付け法が一般的に使用されている。
【0007】
一方、近年、半導体素子の高集積化に伴い、素子と金属配線とを接続するコンタクトホールの径はより小さくなる一方、その深さは大きくなり、コンタクトホールのアスペクト比が増加する傾向にある。このような高いアスペクト比を有するコンタクトホールの内面および底部に均一な厚さの膜を堆積させて被覆することは、通常のスパッタリング条件下では困難になっており、スパッタ粒子を可及的にコンタクトホールの垂直方向に入射させることが課題となっている。上記課題に対して、スパッタリング装置の機能改善によりスパッタ粒子の入射方向を電気的に揃えるコリメータ法やターゲットと基板との間隔を長くとり垂直成分のみを取出すロングスロースパッタ法などが実用化されている。
【0008】
しかしながら、上記のような特殊な方法を採用した成膜プロセスにおいては、スパッタリングを実施するために投入される電力を増加させる必要があり、具体的には従来の2〜3倍である数10kWを超える高電力が投入される場合もある。このため、スパッタリング時にターゲットが従来よりも高温度に加熱されることになり、ターゲット材とバッキングプレートとの接合強度が低下しターゲットの接合部の信頼性が低下し、パーティクルの発生量が増加して成膜の特性を劣化させる問題点があった。
【0009】
上記問題点を解決する手段としてターゲット材とバッキングプレートとを拡散接合する方法が従来から提案されている。例えば、Tiターゲットの場合には、そのターゲットと接合するバッキングプレートとしては、アルミニウム合金製のバッキングプレートが一般的に使用されており、両部材を直接接合したり、あるいは、ターゲット材よりも低融点のインサート材(箔状のCu,Niまたはこれらの合金)を介して拡散接合する方法が広く採用されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにアルミニウム合金製のバッキングプレートを使用した場合には、アルミニウム合金の熱伝導率が銅と比較して大幅に低いため、ターゲットの冷却効率が低く、高電力負荷条件下におけるターゲットの過熱を防止することが困難であり、高温度によりターゲットの接合強度が低下するとともにパーティクルの発生量が増加する問題点があった。
【0011】
前記のように、ターゲットの冷却効率を考慮すると、バッキングプレート材としては熱伝導性が高い材料を使用することが、成膜の特性を改善するとともにパーティクルの発生量を低減する上で重要である。したがって、上述のTiターゲットの場合には、アルミニウム合金よりもさらに熱伝導率が高い無酸素銅などの銅系材料をバッキングプレート構成材として使用することが好ましい。
【0012】
また、ターゲット材の結晶粒径を微細化することにより、スパッタリング時のパーティクル発生量を低減でき、さらにはスパッタ粒子の方向性を揃えることも容易になる。
【0013】
しかしながら、ターゲット材であるTiとバッキングプレート材である無酸素銅とを低温度で拡散接合させることは困難であり、ある程度の接合強度を得るためには、高温度での接合操作が必須となる。しかしながら、高温度の接合操作はターゲットの結晶粒の粗大化を招く問題点があり、いずれの場合においてもパーティクルの発生量の増大につながり成膜の特性を劣化させる問題点があった。
【0014】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、ターゲットの結晶粒を粗大化させることなく、バッキングプレートとターゲット材とを高い接合強度で一体に接合でき、スパッタリング時におけるパーティクルの発生量を低減できるスパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係るスパッタリングターゲットは、3層以上の金属層から成るバッキングプレート材とターゲット材とが拡散接合または溶接により一体に接合されたスパッタリングターゲットであり、前記ターゲット材がTiから形成されたものであり、前記バッキングプレート材の金属層は、前記ターゲット面側の金属層と、前記ターゲット面に対して反対側の表面である他方の面側の金属層とが、アルミニウムから成り、前記ターゲット面側の金属層と前記他方の面側の金属層との間の金属層が、無酸素銅から成ることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るスパッタリングターゲットは、バッキングプレート材を構成する金属層の各層間の接合および/またはバッキングプレート材とターゲット材との接合は、拡散接合および/または溶接接合であることを特徴とする。
【0017】
また、バッキングプレート材のターゲット材側の金属層をアルミニウム(Al),アルミニウム合金,銀(Ag)および銀合金の少なくとも1種から構成する一方、他の金属層を無酸素銅または銅合金から構成するとよい。
【0018】
さらに、ターゲット材がTi,Zr,Hf,W,Mo,Ta,Nb,Cu,Co,Ni,Pt,Ru,Ir,Al,SRO(Sr−Ru−O組成物),BTO(Ba−Ti−O組成物)およびSBTO(Sr−Ba−Ti−O組成物)の少なくとも1種から形成されていることが好ましい。
【0019】
また、バッキングプレート材が3層以上の金属層から成り、バッキングプレート材のターゲット面側と他方の面の金属層が同一材料から構成するとよい。
【0020】
さらに、ターゲット材がTiから形成され、バッキングプレートが無酸素銅から成る金属層とアルミニウムから成る金属層とから成り、ターゲット面側および他方の面側の金属層がアルミニウムから成ることが好ましい。
【0021】
また、金属層相互間およびバッキングプレート材とターゲット材との各接合面における接合強度のばらつきが±30%の範囲内であることが好ましく、各接合面における接合強度の平均値のばらつきが±30%の範囲内であることが好ましい。
【0022】
さらに本発明に用いられるバッキングプレート材は、複数の金属層からなることが好ましい。このバッキングプレート材において、プレート材を構成する金属層の各層間の接合は、拡散接合および/または溶接接合であることが好ましい。
【0023】
本発明において、バッキングプレート材のターゲット材側の金属層としては、ターゲット材の融点より低い融点を有するAl,Al合金,Ag,Ag合金が使用され、これらの金属層は前記ターゲット材と固相拡散接合されて強固な接合体が形成される。
【0024】
一方、バッキンクプレート材の本体側を形成する他の金属層としては、熱伝導率が高く放熱特性が良好な無酸素銅または銅合金が使用され、この金属層によってターゲットが効果的に冷却されてターゲットの過熱が防止される。
【0025】
上記バッキングプレート材を構成する各金属層の厚さは、特に限定されないが、概略、次のような範囲が好適である。すなわち、ターゲット材側の金属層の厚さは、ターゲット材の厚さの1/10〜3/10の範囲が好ましい一方、高い熱伝導性を確保するための金属層の厚さは、ターゲット材の厚さの1〜2倍の範囲が好ましい。
【0026】
上記バッキングプレート材を構成する複数の金属層およびターゲット材の接合面に酸化物等が形成されると拡散接合が困難となり十分な接合強度が得られなくなるため、接合操作に移る前に各構成材をアセトンのような有機溶媒により十分に脱脂し洗浄しておくことが肝要である。
【0027】
上記各構成材を接合して本願発明のスパッタリングターゲットを形成する方法は概略下記の通りである。すなわち、各成分から成るインゴットを鍛造・圧延加工した後に所定形状に切削加工して得たターゲット材およびバッキングプレート材を構成する各金属層(板)を十分に脱脂・洗浄し、それらの各構成材を積層する。次に得られた積層体をホットプレス装置またはHIP炉に投入し、一般に10−1〜10−3Torrの真空下で20〜30MPaの面圧を作用させた状態で300〜600℃の接合温度範囲内で加熱し、各接合面において固相拡散接合することにより、本発明のスパッタリングターゲットが形成される。
【0028】
上記製法においては、特に各構成材表面に酸化物が形成されることを防止するため、10−1Torr以下の真空雰囲気中で上記拡散接合操作を実施することが好ましい。
【0029】
また、上記拡散接合操作を実施する際に積層体に作用させる面圧は、接合温度や各構成材の種類によって異なる。しかしながら、各接合界面に十分な拡散を生じるように圧接するためには少なくとも20MPaの面圧(押圧力)が必要である。一方、面圧が30MPaを超えるように過大になるとターゲット材の変形や損傷を招く危険性が増大してしまう。
【0030】
また、接合強度は300〜600℃と低い温度範囲に設定される。接合温度が300℃未満と低い場合には、構成原子の拡散が不十分で、十分な密着性および接合強度が得られない。一方、接合温度が600℃を超える場合には、ターゲット材またはバッキングプレート材の結晶組織が粗大化してパーティクルが発生し易くなったり、機械的特性が劣化し易くなる。さらにターゲット材とバッキングプレート材との熱膨張差により、反りや歪みを生じその矯正加工に過大な労力を要し加工コストを増加させたり、接合不良を生じてターゲットの信頼性が低下し易くなる。
【0031】
上記接合操作によって発生する反りを防止するために、ターゲット材を接合する側とは反対のバッキングプレート材の裏面側に背面金属層を一体に接合することがより好ましい。上記背面金属層は、バッキングプレート材のターゲット材側の金属層と同一材料で構成される。そして、バッキングプレートの本体となる無酸素銅または銅合金で形成された金属層の表面および裏面に同一材料から成る金属層および背面金属層が接合されているため、バッキングプレート本体の拡散接合による変形や反りやが効果的に防止でき、各接合界面で発生し易い接合応力を効果的に緩和することが可能になり、各接合界面で剥離することがない強固なターゲット接合体が得られる。この場合、背面金属層は、一般にはターゲットとの接合を行った後、切削除去されるのが好ましい。
【0032】
上記のように得られた接合体の金属層間およびバッキングプレート材の各接合面における接合強度のばらつきは±30%の範囲内であり、剥離による損傷やパーティクルの発生量が少ないターゲットが得られる。また、各接合面における接合強度の平均値のばらつきが±30%の範囲となり、ターゲット全体としての耐久性に優れ、長期間に亘って安定して成膜が可能なターゲットが得られる。
【0033】
上記構成に係るスパッタリングターゲットによれば、バッキングプレート材とターゲット材とのいずれの材質とも低温度で接合可能な金属層を介してバッキングプレート本体材と拡散接合または溶接により多層化しており、さらにターゲット材と拡散接合しているため、ターゲット材の結晶粒を粗大化させることなく低温度で接合することが可能になる。したがって、粗大な結晶粒に起因するパーティクルの発生を効果的に防止でき、高品質のスパッタ膜を形成することができる。
【0034】
また、ターゲット材とバッキングプレート本体を構成する金属層との中間の熱伝導率を有する金属層を介在させて両部材を接合しているため、スパッタリング時にターゲット材に生じた熱を傾斜的に放散させることが可能になり、接合界面における剪断応力を緩和することもでき、接合強度の低下が少なく、耐久性に優れたターゲットが得られる。
【0035】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態について添付図面を参照し、以下の実施例に基づいて具体的に説明する。
【0036】
実施例1〜4
表1に示すようにターゲット材として真空溶解して得られた純Tiインゴット,等を冷間にて鍛造・圧延加工を施し、さらに切削加工して直径300mmの円板状Tiターゲット材等を用意した。
【0037】
一方、バッキングプレート材を構成する金属層として表1に示すように直径が300mmであり、無酸素銅(OFC)から成る円板状の金属板と、直径が300mmであり、Al合金(A6061)から成る円板状の金属板等を用意した。
【0038】
上記のバッキングプレート材を構成する各金属板およびターゲット材の接合面をアセトンにより十分に洗浄した後に脱脂した後に、図1に示すように下方から順に無酸素銅製金属層2と、Al合金製金属層3とターゲット材5とを配置して積層体とした。次に各積層体を真空ホットプレス(内部の真空度10−1Torr)中に配置し、表1に示す面圧,温度,時間の条件下で拡散接合せしめることにより、実施例1〜4に係るスパッタリングターゲットをそれぞれ調製した。
【0039】
各実施例に係るスパッタリングターゲット1は、図1に示すように、無酸素銅製の金属層2とAl合金製の金属層3とから成るバッキングプレート材4の表面にターゲット材5が一体に拡散接合した構造を有する。
【0040】
実施例5
実施例1において、バッキングプレート材4のターゲット材5側のAl合金製金属層3を、バッキングプレート材4の裏面にも背面金属層6として配置した点以外は実施例1と同一条件で処理することにより、図2に示すような4層構造を有する実施例5に係るスパッタリングターゲット1aを調製した。
【0041】
比較例1
実施例1において、バッキングプレート材4のターゲット材5側のAl合金製金属層3を設けず、ターゲット材5と無酸素銅から成るバッキングプレートとから成る2層構造のスパッタリングターゲットを実施例1と同一条件の拡散接合法で一体化することを試みたが、温度500℃では十分に原子の拡散が進行せず、十分な接合強度が得られなかった。そこで接合温度を800℃に上昇させたところ、100MPaの接合強度が得られた。しかしながら、高温度処理を実施したため、ターゲットの結晶粒が粗大化してしまったため、パーティクルの発生量を低減することは、期待できなかった。
【0042】
上記のように調製した各実施例および比較例に係るスパッタリングターゲット1,1aについて、ターゲットの平均結晶粒径および接合強度を測定するとともに、図1〜図2に示す第1〜第3接合面における接合強度のばらつきおよび各接合面における接合強度の平均値のばらつきを測定した。さらに各スパッタリングターゲットの中心を基準とした最大反り量を測定した。
【0043】
また、各スパッタリングターゲット1,1aをマグネトロンスパッタリング装置に装着し、Arイオン照射によるスパッタリングを実施し、直径8インチのポリシリコンウエハー(基板)上に厚さ300オングストロームのTi薄膜等を形成した。そして、このTi薄膜中に混入した粒径0.3μm以上のパーティクル数を測定した。各測定結果を下記表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
上記表1に示す結果から明らかなように、複数の金属層2,3から成るバッキングプレート材4にターゲット材5を一体に拡散接合して形成された3層構造の各実施例に係るスパッタリングターゲット1によればターゲット材5の平均結晶粒径が10μm程度と微細結晶組織が得られており、パーティクルの発生量も少なくなることが確認できた。
【0046】
また、各接合界面における接合強度も100〜150MPaと高く、各構成材が強固に接合されており、高いスパッタリング電力を投入しても剥離や損傷が少なく優れた耐久性が得られた。またTiターゲット材5とAl合金製金属層3との間、およびAl合金製金属層3と無酸素銅製金属層2との間の各接合面内での接合強度のばらつきはいずれも±30%の範囲であり、また各々の接合界面における接合強度の平均値のばらつきも±15%の範囲内であり、ターゲット全体としても強固な接合強度が得られた。そのため、各スパッタリングターゲットを使用して成膜した場合においても、パーティクルの発生量が少なく、成膜の品質を大幅に向上させることが可能となった。
【0047】
ここで、接合強度のばらつきは、次の方法により測定される。すなわち、図3に示すように、例えば円板状ターゲットの中心部(位置11)と、中心部を通り円周を均等に分割した4本の直線状の外周近傍位置(位置12〜19)およびその1/2の距離の位置(位置20〜27)からそれぞれ直径5mmの試験片を採取し、これら17点の試料について引張り試験を実施することにより個々の試料の接合強度求める。そして、それらの接合強度の最大値および最小値から{(最大値−最小値)/(最大値+最小値)}×100の計算式に基づいてばらつき(%)を求めるものとする。
【0048】
さらに図2に示すように無酸素銅から成る金属層2の裏側にもAl合金から成る金属層を背面金属層6として配置してTi/Al合金/Cu/Al合金という4層構造を有する実施例5に係るスパッタリングターゲット1aによれば、ターゲット材5の反り量は0.3mmとなり、背面金属層6を有しない3層構造の実施例1に係るターゲット1と比較して、反りなどの変形が小さくなることが確認できた。
【0049】
すなわち、実施例1のようにバッキングプレート材4の本体を無酸素銅から成る金属層2とし、Tiターゲット材5との間にAlまたはAl合金から成る金属層3を介装した3層構造のスパッタリングターゲット1では、熱膨張率が最も大きいAlまたはAl合金から成る金属層3が介在するため、接合処理時にAl金属層3にはTi側およびCu側の両方から大きな界面応力が作用し、ターゲット材5に反りを生じたり、Alと無酸素銅の界面で剥離を生じる場合がある。
【0050】
しかしながら、図2に示すように、無酸素銅から成る金属層2の裏面側にもAlまたはAl合金から成る背面金属層6を配置し、Ti/Al/Cu/Alという4層の積層構造に形成することにより、Al/Cu界面で発生する接合応力を緩和することが可能になり、接合界面での剥離が少なくなり強固なターゲット接合体が得られるのである。この場合、一般にはAlよりなる背面金属層は切削除去して使用されることが好ましい。
【0051】
【発明の効果】
以上説明の通り本発明に係るスパッタリングターゲットによれば、バッキングプレート材とターゲット材とのいずれの材質とも低温度で接合可能な金属層を介してバッキングプレート本体材と拡散接合または溶接により多層化しており、さらにターゲット材と拡散接合しているため、ターゲット材の結晶粒を粗大化させることなく低温度で接合することが可能になる。したがって、粗大な結晶粒に起因するパーティクルの発生を効果的に防止でき、高品質のスパッタ膜を形成することができる。
【0052】
また、ターゲット材とバッキングプレート本体を構成する金属層との中間の熱伝導率を有する金属層を介在させて両部材を接合しているため、スパッタリング時にターゲット材に生じた熱を傾斜的に放散させることが可能になり、接合界面における剪断応力を緩和することもでき、接合強度の低下が少なく、耐久性に優れたターゲットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスパッタリングターゲットの一実施例を示す断面図。
【図2】本発明に係るスパッタリングターゲットの他の実施例を示す断面図。
【図3】接合強度の測定箇所を示すターゲットの平面図。
【符号の説明】
1,1a スパッタリングターゲット
2 金属層(無酸素銅)
3 金属層(Al合金)
4 バッキングプレート材
5 ターゲット材
6 背面金属層(Al合金)
Claims (4)
- 3層以上の金属層から成るバッキングプレート材とターゲット材とが拡散接合または溶接により一体に接合されたスパッタリングターゲットであり、
前記ターゲット材がTiから形成されたものであり、
前記バッキングプレート材の金属層は、
前記ターゲット面側の金属層と、前記ターゲット面に対して反対側の表面である他方の面側の金属層とが、アルミニウムから成り、
前記ターゲット面側の金属層と前記他方の面側の金属層との間の金属層が、無酸素銅から成ることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - バッキングプレート材を構成する金属層の各層間の接合および/またはバッキングプレート材とターゲット材との接合は、拡散接合および/または溶接接合であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリングターゲット。
- 金属層相互間およびバッキングプレート材とターゲット材との各接合面における接合強度のばらつきが±30%の範囲内であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリングターゲット。
- 各接合面における接合強度の平均値のばらつきが±30%の範囲内であることを特徴とする請求項3記載のスパッタリングターゲット。
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