JP4586743B2 - プロジェクタ - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載のプロジェクタでは、インテグレータ照明光学系として、ランプから射出された光束の光軸に直交する面内に、複数の小レンズがマトリクス状に配列された第1レンズアレイと、当該複数の小レンズに対応する複数の小レンズを有する第2レンズアレイと、第2レンズアレイの各小レンズから射出された光束の偏光方向を揃える偏光変換素子と、当該偏光変換素子から入射する光束を液晶パネルの画像形成領域に重畳させる重畳レンズとを備えている。そして、このインテグレータ照明光学系によって、ランプから射出された光束の照明領域における光量の均一化が図られ、液晶パネルの画像形成領域が均一に照明される。
このような問題から、光源ランプの発光部が、光学部品の位置決め固定後に電極間の略中央から移動した場合でも、光変調装置の画像形成領域における照度ムラを抑制できるプロジェクタが要望されてきた。
すなわち、第1レンズアレイを構成する複数の第1レンズの第2方向における焦点位置が、当該第1レンズから射出される光束が入射される偏光分離層の中央に設定されているため、当該第1レンズから射出された光束は、偏光変換素子に対して狭い照明範囲で入射する。この際に、光源における発光部が、偏光変換素子の偏光分離層および反射層の配列方向である第2方向に移動した場合、発光部における当該発光部の移動方向側の端部位置から射出された光が第1レンズを介することで形成される部分光束は、その略全ての光が偏光変換素子の光束入射面に入射せず、発光部における中心近傍から射出された光が第1レンズを介することで形成される部分光束は、その略全ての光が、偏光変換素子の光束入射面に入射するようになる。すなわち、発光部におけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される各部分光束が、それぞれ割合を変えて光束入射面に入射するのではなく、発光部におけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される部分光束のうち、一部の部分光束を構成する光の略全てが、偏光変換素子の光束入射面に入射することとなる。
このような色分離光学系としては、所定波長の色光を透過し、他の波長の色光を反射するダイクロイックミラーや、入射光束を全反射する全反射ミラーを備えた構成を例示することができる。また、色合成光学装置としては、クロスダイクロイックプリズムや、複数のダイクロイックミラーを備えた構成を例示することができる。
本発明によれば、色分離光学系にて分離された色光を、複数の光変調装置がそれぞれ変調し、当該変調された色光を色合成光学装置が合成して光学像を形成するプロジェクタにおいて、色ムラを抑制したカラー画像を形成することができる。
従って、入射する色光を変調する光変調装置が複数設けられ、当該各光変調装置により変調された色光を合成して光学像を形成する色合成光学装置が設けられている場合においても、色ムラの発生を抑えた光学像を形成することができる。
本発明では、前記光源から射出された光束を、複数の色光に分離する色分離光学装置と、前記光変調装置の光路の下流に配置される色合成光学装置とを備え、前記光変調装置は、前記複数の色光のそれぞれに応じて設けられ、前記光変調装置は、前記複数の色光の光路上にそれぞれ配置され、前記色合成光学装置は、前記光変調装置から射出された前記複数の色光を合成することが好ましい。
また、本発明では、前記第1レンズは、トーリックレンズで構成されていることが好ましい。
本発明によれば、第1レンズがトーリックレンズで構成されていることにより、第1方向および第2方向で異なる焦点位置を有する第1レンズを、簡易に形成することができる。従って、第1レンズアレイの製造を簡易に行うことができほか、構成を簡略化することができる。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)プロジェクタ1の構成
図1は、本実施形態に係るプロジェクタ1の概略構成を模式的に示す図である。
プロジェクタ1は、光源から射出される光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、形成した光学像をスクリーン(図示略)上に拡大投射するものである。このプロジェクタ1は、図1に示すように、外装筺体2と、投射光学装置としての投射レンズ3と、光学ユニット4等を備える。
なお、図1において、図示は省略するが、外装筺体2内において、投射レンズ3および光学ユニット4以外の空間には、プロジェクタ1内部を冷却する冷却ファン等で構成される冷却ユニット、プロジェクタ1内部の各構成部材に電力を供給する電源ユニット、およびプロジェクタ1全体を制御する制御装置等が配置されるものとする。
なお、外装筺体2は、合成樹脂等に限らず、その他の材料にて形成してもよく、例えば、金属等により構成してもよい。
投射レンズ3は、光学ユニット4にて形成された光学像(カラー画像)を図示しないスクリーン上に拡大投射する投射光学系である。この投射レンズ3は、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成されている。
光学ユニット4は、図1に示すように、照明光学装置41と、色分離光学装置42と、リレー光学装置43と、電気光学装置44と、これら光学部品41〜44を内部に収納配置するとともに、投射レンズ3を所定位置で支持固定する光学部品用筐体45とを備える。
照明光学装置41は、電気光学装置44を構成する後述する液晶パネル441の画像形成領域をほぼ均一に照明するための均一照明光学系である。この照明光学装置41は、図1に示すように、光源装置411と、第1レンズアレイ412と、第2レンズアレイ413と、偏光変換素子414と、重畳レンズ415とを備えて構成されている。
このような光源ランプ416としては、高輝度発光する種々の光源ランプを採用することができ、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプおよび超高圧水銀ランプ等を採用することができる。
この反射部416A1は、光源ランプ416の管球部4161の前方側(光束射出方向の先端側)の略半分を覆うように形成されており、略椀形状に形成されている。そして、反射部416A1には、当該反射部416A1の内面が光源ランプ416の管球部4161の球面に倣う、半球面状の反射面416A2が形成されている。
そして、当該リフレクタ417にて収束された光束は、平行化凹レンズ418によって照明光軸Aに対して略平行な平行光に変換される。これにより、光源装置411から射出される照明光束の中心軸は、照明光軸Aに一致する。
偏光変換素子414は、図1に示すように、第2レンズアレイ413と重畳レンズ415との間に配置され、第1レンズアレイ412で分割された複数の部分光束の偏光方向を揃えるものである。
この偏光変換素子414は、図4に示すように、照明光軸Aに対して略45°に傾斜し交互に配列された偏光分離層4141および反射層4142と、これら偏光分離層4141および反射層4142が形成されるガラス部材4143と、入射光束の偏光方向を変換する位相差層4144と、入射光束を遮光する遮光板4145とを備えている。
なお、偏光分離層4141および反射層4142は、図4に示すように、照明光軸Aに直交する面内における第1方向(垂直方向、図3中矢印C方向)に長手方向を有し、照明光軸Aおよび第1方向に直交する第2方向(水平方向、図2および図4中矢印B方向)に交互に配列されている。
反射層4142は、偏光分離層4141で反射された偏光光を、偏光分離層4141を透過した偏光光と同じ方向、すなわち、偏光変換素子414の光束射出側に向かって反射する層であり、単一金属材料または合金等で形成された反射膜により構成されている。
ガラス部材4143は、内部を光束が透過するものであり、本実施形態では、白板ガラス等を加工して形成されている。
具体的に、位相差層4144は、ガラス部材4143の光束射出端面のうち、偏光分離層4141を透過した直線偏光が射出される部分に貼り付けられ、偏光分離層4141を透過した当該直線偏光の偏光方向を90°回転させる。
なお、位相差層4144をガラス部材4143の光束射出端面のうち、反射層4142で反射された直線偏光が射出される部分に貼り付け、反射層4142で反射された直線偏光の偏光方向を90°回転させる構成とすることも可能である。
すなわち、遮光板4145は、第1レンズアレイ412および第2レンズアレイ413から射出された部分光束を、偏光分離層4141のみに入射させるように構成されており、反射層4142に入射しようとする不要光は、遮光板4145によって遮光される。従って、第2レンズアレイ413から射出された部分光束のほとんどは、遮光板4145で覆われていないガラス部材4143の光束入射側の面である光束入射面414Aに入射し、当該ガラス部材4143を介して、偏光分離層4141に入射する。
第2レンズアレイ413の第2レンズ4131から射出された部分光束は、遮光板4145間を通過して、偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射した後、ガラス部材4143を介して偏光分離層4141に入射する。この偏光分離層4141は、当該部分光束に含まれるP偏光を透過し、光路を90°変換するようにしてS偏光を反射層4142に向かって反射する。
反射層4142に入射したS偏光は、当該反射層4142で反射されることによって光路が光束射出側に向かって90°変換され、照明光軸Aと略同一方向に進む。
一方、偏光分離層4141を透過したP偏光は、位相差層4144に入射し、当該位相差層4144によって偏光方向が90°回転されることにより、S偏光として射出される。これにより、偏光変換素子414からは、略1種類のS偏光が射出される。
このようにして、偏光変換素子414によって略1種類の直線偏光に変換された各部分光束は、重畳レンズ415によって、電気光学装置44の後述する液晶パネル441の画像形成領域(光変調面)上にほぼ重畳される。
リレー光学装置43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433、および反射ミラー432,434を備え、色分離光学装置42で分離された赤色光を赤色光用の液晶パネル441Rまで導く機能を有している。
この電気光学装置44は、図1に示すように、光変調装置としての液晶パネル441(赤色光用の液晶パネルを441R、緑色光用の液晶パネルを441G、および青色光用の液晶パネルを441Bとする)と、これら各液晶パネル441の光束入射側にそれぞれ配置される3つの入射側偏光板442と、各液晶パネル441の光束射出側にそれぞれ配置される3つの視野角補償板443と、3つの視野角補償板443の光束射出側にそれぞれ配置される3つの射出側偏光板444と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム445とを備えて構成されている。
光変調装置としての液晶パネル441は、詳しい図示を省略するが、一対の透明なガラス基板間に電気光学物質である液晶素子が密閉封入した構成を有し、前記制御装置からの駆動信号に応じて、液晶素子の配向状態が制御され、入射側偏光板442から射出された偏光光束の偏光方向を変調する。
この視野角補償板443としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等の透明支持体上に配向層を介してディスコティック(円盤状)化合物層を形成したもので構成でき、WVフィルム(富士写真フィルム社製)を採用できる。
クロスダイクロイックプリズム445は、射出側偏光板444から射出された色光毎に変調された変調光を合成して光学像(カラー画像)を形成する。このクロスダイクロイックプリズム445は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層層が形成されている。これら誘電体多層層は、投射レンズ3と対向する側(G色光側)に配置された射出側偏光板444を介した色光を透過し、残り2つの射出側偏光板444(R色光側およびB色光側)を介した色光を反射する。このようにして、各入射側偏光板442、各液晶パネル441、各視野角補償板443、および各射出側偏光板444にて変調された各色光が合成されてカラー画像が形成される。
第1レンズアレイ412を構成する複数の第1レンズ4121は、前述のように、光源装置411から射出された光束を複数の部分光束に分割して、対応する第2レンズアレイ413の第2レンズ4131に射出する。これら第1レンズ4121は、トーリックレンズで構成されており、第2方向(偏光変換素子414の偏光分離層4141および反射層4142の配列方向である水平方向、図2中矢印B方向)における焦点位置と、第1方向(偏光変換素子414の偏光分離層4141および反射層4142の長手方向である垂直方向、図3中矢印C方向)における焦点位置とが、それぞれ異なるように構成されている。
なお、このような第1レンズ4121をトーリックレンズで構成することにより、第1方向および第2方向の各焦点位置を自由に設定することができるだけでなく、このような第1レンズ4121を容易に構成することができる。
また、第1レンズ4121の第1方向の焦点位置は、図3に示すように、当該第1レンズ4121から射出される光束の光軸方向における第2レンズアレイ413近傍、具体的には、対応する第2レンズ4131の略中央に設定されている。
(4-1)本実施形態に対する第1の比較例における光路
ここで、第1レンズアレイ412Aの各第1レンズ412A1の焦点位置が、第2レンズアレイ413近傍に設定されている第1の比較例について説明する。
図5は、第1の比較例としての第1レンズ412A1を備えた光学ユニット4における光源ランプ416から射出された光束の光路を示す模式図である。また、図6は、図5の一部を拡大して示す図である。なお、第1レンズアレイ412Aは、当該第1レンズアレイ412Aを構成する各第1レンズ412A1の第2方向における焦点位置が、第2レンズアレイ413近傍に設定されている点が、本実施形態の第1レンズアレイ412と異なるが、複数の第1レンズ412A1を有する構成は第1レンズアレイ412と同様である。
なお、図5および図6においては、説明を簡略化するために、照明光軸A方向の収差を含んでいない。また、図5および図6では、第1レンズアレイ412Aの複数の第1レンズ412A1のうち、1つの第1レンズ412Aに着目し、当該第1レンズ412A1に対応する第2レンズ4131および偏光変換素子414の対応部分を図示している。
光源ランプ416における発光部Dが、電極4164,4165間の略中央から第2方向(矢印B方向)に移動した場合、第1レンズ412A1を介して対応する第2レンズ4131に入射する部分光束は、前述のように、全体的に、当該発光部Dの移動方向とは反対方向側に偏って第2レンズ4131に入射し、さらに、偏光変換素子414の光束入射面414Aにおいても当該反対方向側に偏って入射する。
このため、発光部Dの位置がより大きく第2方向に移動した場合には、第1レンズ412A1から射出された部分光束は、当該部分光束が由来する光の射出位置が、発光部Dの中心Oから当該発光部Dの移動方向に遠ざかるにしたがって、光束入射面414Aには入射しづらくなる。
さらに、発光部Dが第2方向へ前記所定距離以上に移動すると、発光部Dにおける当該発光部Dの移動方向側の端部位置から射出された光により形成される部分光束における一部の光だけでなく、当該移動方向側の端部よりも中心Oに近い位置から射出された光により形成される部分光束における一部の光も、偏光変換素子414の光束入射面414Aから外れて、遮光板4145に入射してしまう。
図7は、上記比較例における発光部Dの第2方向への移動量と液晶パネル441での照度分布との関係を示す図である。詳述すると、図7において、実線は、発光部Dの中心Oが電極間の略中央に位置する場合での液晶パネル441での照度分布を示している。また、破線は、発光部Dの中心Oが電極間の略中央から第2方向へ移動した場合での液晶パネル441での照度分布を示し、一点鎖線は、破線で示した場合の発光部Dよりも当該発光部Dの中心が電極間の略中央からさらに第2方向に移動した場合での液晶パネル441での照度分布を示している。
例えば、発光部Dの中心Oから射出された光によって形成される部分光束が、その一方の端部側の一部の光を遮光板4145によって減じられて液晶パネル441の画像形成領域を照明するとともに、発光部Dの中心Oよりも当該発光部Dの移動方向側の位置から射出された光により形成される部分光束が、その一方の端部側の光を遮光板4145によって減じられて液晶パネル441の画像形成領域を照明することとなる。
次に、第2の比較例において、光源ランプ416における発光部Dの位置が第1方向に移動した場合を説明する。
この第2の比較例においては、第1レンズアレイを構成する第1レンズの第1方向(垂直方向)における焦点位置が、対応する偏光変換素子414の光束入射面414A近傍に設定されている。
詳述すると、光源ランプ416における発光部Dが第1方向に移動した場合、第1レンズを介して第2レンズ4131に入射する部分光束は、全体的に、当該発光部Dの移動方向とは反対方向側に偏って、対応する第2レンズ4131に入射する。このため、発光部Dの位置が、より大きく第1方向に移動した場合には、第1レンズから射出される部分光束は、当該光の射出位置が発光部Dの中心Oから当該発光部Dの移動方向に遠ざかるにしたがって、対応する第2レンズ4131に入射しづらくなる。
このため、部分光束の第2レンズ4131に入射する時点での照明範囲は大きくなっており、発光部Dが第1方向に所定距離移動すると、当該発光部Dの中心Oから射出された光により形成される部分光束においては、略全ての光が対応する第2レンズ4131に入射する。一方、発光部Dにおける当該発光部Dの移動方向側の端部位置から射出された光により形成される部分光束では、当該発光部Dの移動方向とは反対方向側の端部の一部の光が、対応する第2レンズ4131から外れ、第1方向に隣接する他の第2レンズ4131に入射する。
すなわち、発光部Dが第1方向へある程度移動した場合、発光部Dにおけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される各部分光束のそれぞれ一部の光が、対応する第2レンズ4131から隣接する他の第2レンズ4131に入射してしまう。また、第1方向に移動したある位置の発光部D内においては、発光部Dの中心Oから射出された光により形成される部分光束における当該他の第2レンズ4131に入射する光の割合と、発光部Dの中心Oから当該発光部Dの移動方向に離れた位置から射出された光により形成される部分光束における当該他の第2レンズ4131に入射する光の割合とを比較すると、後者である発光部Dの中心Oから離れた位置から射出される光に係る割合の方が大きい。
次に、第2方向(水平方向、図8中矢印B方向)における焦点位置が対応する偏光分離層4141近傍に設定され、第1方向(垂直方向、図3中矢印C方向)における焦点位置が対応する第2レンズ4131近傍に設定されている本実施形態の第1レンズ4121について説明する。
図8は、第2方向における焦点位置が偏光変換素子414近傍に設定されている第1レンズ4121を備えた本実施形態の光学ユニット4における光源ランプ416から射出された光束の光路を示す図である。また、図9は、図8の一部を拡大して示す図である。なお、図8および図9においては、説明を簡略化するために、照明光軸A方向の収差を含んでいない。また、図8および図9では、第1レンズアレイ412の複数の第1レンズ4121のうち、ある一つの第1レンズ4121に着目し、当該第1レンズ4121に対応する第2レンズ4131および偏光変換素子414の対応部分を図示している。
光源ランプ416における発光部Dが第2方向(水平方向)に移動した場合、第1レンズ4121を介して対応する第2レンズ4131に入射する部分光束は、全体的に、当該発光部Dの移動方向とは反対方向側に偏って第2レンズ4131に入射し、さらに、偏光変換素子414の光束入射面414Aにおいても当該反対方向側に偏って入射する。
前述した第1の比較例に対し、本実施形態の第1レンズ4121の第2方向における焦点位置は、当該第1レンズ4121から射出された部分光束の光軸(部分光束の中心軸)における偏光変換素子414近傍に設定されていることにより、図8および図9に示すように、光源ランプ416から射出され、第1レンズ4121を介した部分光束は、偏光変換素子414の光束入射面414A近傍で最も収束するため、偏光変換素子414の光束入射面414Aでの当該部分光束の照明範囲を小さくすることができる。
なお、第2方向において、第1レンズ4121の焦点位置が、当該第1レンズ4121から射出された部分光束の光軸における偏光変換素子414近傍に設定されていることにより、第2レンズ4131に入射する部分光束は最も収束する前なので、当該部分光束の照明範囲は大きくなる。しかしながら、第2レンズ4131の第2方向に沿ったそれぞれの幅は、偏光変換素子414の光束入射面414Aの第2方向に沿ったそれぞれの幅よりも広いため、発光部Dが第2方向にある程度移動した場合でも、偏光変換素子414の遮光板4145によって当該部分光束が遮光される前に、当該部分光束の一部の光が対応する第2レンズ4131に入射しなくなることはない。
図10は、本実施形態における発光部Dの第2方向への移動量と液晶パネル441での照度分布との関係を示す図である。詳述すると、図10において、実線は、発光部Dが電極4164,4165間の略中央に位置する場合での液晶パネル441での照度分布を示している。また、破線は、発光部Dが電極4164,4165間の略中央から第2方向へ移動した場合での液晶パネル441での照度分布を示し、一点鎖線は、破線で示した場合の発光部Dの位置よりもさらに第2方向に移動した場合での液晶パネル441での照度分布を示している。
つまり、例えば、発光部Dの中心Oから射出された光により形成される部分光束では、その略全ての光が液晶パネル441の画像形成領域を照明する。これに対し、発光部Dの中心Oよりも当該発光部Dの移動方向側の位置から射出された光により形成される部分光束では、その略全ての光が遮光板4145によって遮られ、液晶パネル441の画像形成領域を照明しないこととなる。
このように、本実施形態では、発光部Dが電極4164,4165間の略中央から第2方向へ移動した場合に、発光部Dにおいて、液晶パネル441の画像形成領域上に重畳される部分光束となる光を射出できる範囲が小さくなるものの、発光部Dの残りの範囲から射出された光により形成される部分光束の略全ての光は、液晶パネル441の画像形成領域上に重畳される。これにより、画像形成領域における照度は全体的に減少するものの、当該照度は、液晶パネル441の画像形成領域において均一となる。
また、このように、光源ランプ416における発光部Dが第2方向に移動した場合でも、各液晶パネル441の画像形成領域が略均一に照明されるので、当該各画像形成領域を透過した赤(R)、緑(G)、青(B)の各色光をクロスダイクロイックプリズム445により合成して形成される光学像を、色ムラを抑えた光学像とすることができる。
光源ランプ416における発光部Dが、電極4164,4165間の略中央から第1方向に移動した場合、第1レンズ4121を介して対応する第2レンズ4131に入射する部分光束は、全体的に、当該発光部Dの移動方向とは反対側に偏って、対応する第2レンズ4131に入射する。
このため、発光部Dの位置がより大きく第1方向に移動した場合には、第1レンズ4121から射出された部分光束は、当該部分光束に由来する光の射出位置が、発光部Dの中心Oから当該発光部Dの移動方向に遠ざかるにしたがって、対応する第2レンズ4131に入射しづらくなる。
このため、発光部Dが第1方向へ所定距離移動すると、当該発光部Dにおける中心Oから射出された光により形成される部分光束の略全ての光が、対応する第2レンズ4131に入射する。一方、発光部Dにおける当該発光部Dの移動方向側の端部位置から射出された光により形成される部分光束の略全ての光は、対応する第2レンズ4131から外れて、当該第2レンズ4131に対して第1方向に隣接する他の第2レンズ4131に入射する。
発光部Dが第1方向にさらに前記所定距離以上移動すると、発光部Dにおける当該発光部Dの移動方向側の端部位置から射出された光により形成される部分光束の略全ての光だけでなく、当該移動方向側の端部よりも中心Oに近い位置から射出された光により形成される部分光束の略全ての光も、対応する第2レンズ4131に対して第1方向に隣接する他の第2レンズ4131に入射する。
つまり、例えば、発光部Dの中心Oから射出された光により形成される部分光束では、当該部分光束の略全ての光が液晶パネル441の画像形成領域を照明する。一方、発光部Dの中心Oよりも当該発光部Dの移動方向側の位置から射出された光により形成される部分光束では、当該部分光束の略全ての光が、対応する第2レンズ4131に隣接する他の第2レンズ4131に入射し、液晶パネル441の画像形成領域を照明しないこととなる。
また、発光部Dが第1方向に移動した場合でも、各液晶パネル441の画像形成領域が均一に照明されるので、当該画像形成領域により形成された赤(R)、緑(G)、青(B)の各色画像をクロスダイクロイックプリズム445で合成することで、色ムラを抑えた光学像を形成することができる。
すなわち、第1レンズアレイ412を構成する各第1レンズ4121の第2方向(水平方向)の焦点位置は、当該第1レンズ4121から射出される光束の光軸における偏光変換素子414近傍に設定されている。
これによれば、光源ランプ416の発光部Dが第2方向に移動した場合に、当該発光部Dにおける光の射出位置に応じて、当該光が第1レンズ4121を介することで形成される部分光束が偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射するか否かが決定される。すなわち、発光部Dにおけるある位置から射出された光により形成される部分光束が光束入射面414Aに入射する場合には、当該部分光束の略全ての光が、遮光板4145によって遮光されずに光束入射面414Aに入射する。一方、発光部Dにおけるある位置から射出された光により形成される部分光束が光束入射面414Aに入射せず遮光板4145によって遮光される場合には、当該部分光束の略全ての光が、遮光板4145によって遮光される。このため、光束入射面414Aに入射した部分光束のほとんどは、その一部が減じられた光ではないため、当該部分光束を重畳することにより、液晶パネル441の画像形成領域を略均一に照明することができる。
従って、発光部Dが電極4164,4165間の略中央から第2方向に移動した場合でも、画像形成領域における照度ムラの発生を抑制することができる。
これによれば、光源ランプ416の発光部Dが第1方向に移動した場合に、当該発光部Dにおける光の射出位置に応じて、当該光が第1レンズ4121を介することで形成される部分光束が、当該第1レンズ4121に対応する第2レンズ4131に入射するか否かが決定される。すなわち、発光部Dにおけるある位置から射出された光により形成される部分光束が対応する第2レンズ4131に入射する場合には、当該部分光束の略全ての光が、当該対応する第2レンズ4131に入射する。一方、発光部Dにおけるある位置から射出された光により形成される部分光束が対応する第2レンズ4131に隣接する他の第2レンズ4131に入射する場合には、当該部分光束の略全ての光が、当該隣接する第2レンズ4131に入射する。このため、対応する第2レンズ4131に入射した略全ての部分光束は、その一部が隣接する第2レンズ4131に入射することで減じられた光ではないため、当該部分光束を重畳することにより、液晶パネル441の画像形成領域を略均一に照明することができる。
従って、発光部Dが電極4164,4165間の略中央から第1方向に移動した場合でも、画像形成領域における照度ムラの発生を抑制することができる。
従って、本実施形態のプロジェクタ1では、光源ランプ416の発光部Dが光学部品の位置決め固定後に移動した場合でも、液晶パネル441の画像形成領域における照度ムラおよび投射画像の色ムラの発生を抑制することができる。
次に、本発明の第2実施形態に係るプロジェクタについて説明する。
本実施形態のプロジェクタは、第1実施形態で示したプロジェクタ1と同様の構成を備えるが、照明光学装置を構成する第2レンズアレイ413と偏光変換素子414の配置位置が逆となっている点で、プロジェクタ1と相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態のプロジェクタは、前述のプロジェクタ1と同様の構成を備え、詳しい図示を省略するが、外装筐体2、投射レンズ3および光学ユニット4等を備えて構成されている。
光学ユニット4は、照明光学装置41Bと、色分離光学装置42と、リレー光学装置43と、電気光学装置44と、これら光学部品41〜44を内部に収納配置するとともに、投射レンズ3を所定位置で支持固定する光学部品用筐体45とを備えている。
このうち、照明光学装置41Bは、図11および図12に示すように、光源装置411、第1レンズアレイ412B、第2レンズアレイ413、偏光変換素子414および重畳レンズ415を備えて構成されているが、前述の照明光学装置41とは異なり、偏光変換素子414と第2レンズアレイ413との配置位置が逆になっている。
これら第1レンズ412B1の第2方向(水平方向、図11における矢印B方向)における焦点位置は、図11に示すように、当該第1レンズ412B1から射出される部分光束の光軸(光束の中心軸)における偏光変換素子414近傍に設定されている。詳述すると、第1レンズ412B1の第2方向における焦点位置は、対応する偏光変換素子414の偏光分離層4141の略中央に設定されている。
また、第1レンズ412B1の第1方向(垂直方向、図12における矢印C方向)における焦点位置は、図12に示すように、当該第1レンズ412B1から射出される部分光束の光軸(光束の中心軸)における第2レンズアレイ413近傍に設定されている。詳述すると、第1レンズ412B1の第1方向の焦点位置は、対応する第2レンズ4131の略中央に設定されている。
すなわち、第1レンズ412B1の第2方向(水平方向)の焦点位置が、対応する偏光変換素子414の偏光分離層4141の略中央に設定されているので、第1レンズ412B1を介して偏光変換素子414に入射する光束の照明範囲を小さくすることができる。
これによれば、光源ランプ416における発光部Dの位置が第2方向に移動し、当該移動方向とは反対方向に第1レンズ412B1から射出された光束の光路が移動した場合に、当該発光部Dにおける光の射出位置に応じて、当該光が第1レンズ412B1を介することで形成される部分光束が偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射するか否かが決定される。このため、発光部Dにおけるある位置から射出された光により形成される部分光束が偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射する場合には、当該部分光束の略全ての光を光束入射面414Aに入射させることができ、また、発光部Dにおけるある位置から射出された光により形成される部分光束が、偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射せずに遮光板4145に入射する場合には、当該部分光束の略全ての光を光束入射面414Aに入射させないようにすることができる。
従って、光束入射面414Aに入射した光束により液晶パネル441の画像形成領域を略均一に照明することができるので、当該画像形成領域における照度ムラの発生を抑制することができ、ひいては、形成画像の色ムラの発生を抑制することができる。
これによれば、光源ランプ416における発光部Dの位置が第1方向に移動し、当該移動方向とは反対方向に第1レンズ412B1から射出された光束の光路が移動した場合に、当該発光部Dにおける光の射出位置に応じて、当該光が第1レンズ412B1を介することで形成される部分光束が、対応する第2レンズ4131に入射するか否かが決定される。このため、発光部Dにおけるある位置から射出された光により形成される部分光束が、対応する第2レンズ4131に入射する場合には、当該部分光束の略全ての光を当該対応する第2レンズ4131に入射させることができ、また、発光部Dにおけるある位置から射出された光により形成される部分光束が、対応する第2レンズ4131に対して第1方向に隣接する他の第2レンズ4131に入射する場合には、当該部分光束の略全ての光を対応する第2レンズ4131に入射させないようにすることができる。
従って、第1レンズ412B1に対応する第2レンズ4131に入射した光束により、液晶パネル441の画像形成領域を略均一に照明することができるので、当該画像形成領域における照度ムラの発生を抑制でき、ひいては、形成画像の色ムラの発生を抑制することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、第1レンズ4121,4121Bの第2方向の焦点位置は、対応する偏光変換素子414の偏光分離層4141の略中央に設定されているとし、第1方向の焦点位置は、対応する第2レンズ4131の略中央に設定されているとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、第1レンズの第2方向の焦点位置は、当該第1レンズから射出される光束の光軸(光束の中心軸)における偏光変換素子近傍に設定されていればよく、また、第1方向の焦点位置は、当該第1レンズから射出される光束の光軸における第2レンズアレイ413近傍に設定されていればよい。
また、前記各実施形態では、光束入射面と光束射出面とが異なる透過型の液晶パネル441を用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。
また、前記各実施形態では、プロジェクタ1は、副反射鏡416Aを有する光源装置411を備えた構成としたが、本発明はこれに限らず、副反射鏡のない光源装置を有する構成を採用してもよい。
Claims (5)
- 光源と、当該光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置と、形成された前記光学像を投射する投射光学系とを備えたプロジェクタであって、
前記光源から射出された光束を均一化して、前記光変調装置の画像形成領域を均一に照明する均一照明光学系を備え、
前記均一照明光学系は、
前記光源から射出された光束の光軸に略直交する面内に複数の第1レンズを有し、当該複数の第1レンズにより前記光束を複数の部分光束に分割する第1レンズアレイと、
前記第1レンズアレイの前記複数の第1レンズに応じた複数の第2レンズを有する第2レンズアレイと、
前記第1レンズアレイの光束射出側に配置され、前記第1レンズアレイから射出された光束の偏光方向を略1種類に揃える偏光変換素子とを備え、
前記偏光変換素子は、
前記光源から射出された光束の光軸に略直交する面内における第1方向に長手方向を有し、入射光束における一方の偏光方向を有する偏光光を透過し、他方の偏光方向を有する偏光光を反射する偏光分離層と、
前記光源から射出された光束の光軸および前記第1方向に略直交する第2方向に沿って前記偏光分離層と交互に配置され、前記偏光分離層で反射した偏光光を、前記偏光分離層を透過した偏光光と同じ方向に反射する反射層と、
前記偏光分離層または前記反射層に対応する位置に配置され、入射する偏光光の偏光方向を他の偏光方向に変換する位相差層とを備え、
前記各第1レンズの前記第1方向における焦点位置は、当該第1レンズから射出された光束の光軸方向において、前記偏光変換素子より、対応する前記第2レンズに近い位置に設定され、
前記各第1レンズの前記第2方向における焦点位置は、当該第1レンズから射出された光束が入射される前記偏光分離層の中央に設定されていることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記均一照明光学系から射出された光束を、複数の色光に分離する色分離光学系を備え、
前記光変調装置は、前記複数の色光ごとに、当該色光の光路上にそれぞれ配置され、
前記各光変調装置の光路後段には、当該各光変調装置から射出された各色光を合成する色合成光学装置が設けられていることを特徴とするプロジェクタ。 - プロジェクタであって、
光源と、
前記光源から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光源から射出された光束の光軸に略直交する面内に複数の第1レンズを有する第1レンズアレイと、
前記第1レンズアレイの前記複数の第1レンズに応じた複数の第2レンズを有する第2レンズアレイと、
前記第1レンズアレイの光束射出側に配置される偏光変換素子とを備え、
前記偏光変換素子は、
偏光分離層と、
反射層と、
前記偏光分離層および前記反射層のいずれかに対応する位置に配置される位相差層とを備え、
前記第1レンズは、第1方向における第1焦点位置、および、第2方向における第2焦点位置を有し、
前記第1焦点位置は、前記第1レンズから射出された光束の光軸方向において前記偏光変換素子より前記第2レンズアレイに近い位置に設定され、
前記第2焦点位置は、前記第1レンズから射出された光束が入射される前記偏光分離層の中央に設定され、
前記第1方向は、前記光源から射出された光束の光軸に略直交する面内において前記偏光分離層が長い方向であり、
前記第2方向は、前記光源から射出された光束の光軸および前記第1方向にそれぞれ直交する方向であり、
前記偏光分離層および前記反射層は、前記第2方向に交互に配列されることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項3に記載のプロジェクタにおいて、
前記光源から射出された光束を、複数の色光に分離する色分離光学装置と、
前記光変調装置の光路の下流に配置される色合成光学装置とを備え、
前記光変調装置は、前記複数の色光のそれぞれに応じて設けられ、
前記光変調装置は、前記複数の色光の光路上にそれぞれ配置され、
前記色合成光学装置は、前記光変調装置から射出された前記複数の色光を合成することを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記第1レンズは、トーリックレンズで構成されていることを特徴とするプロジェクタ。
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