JP4581064B2 - インスリン分泌促進剤 - Google Patents

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Description

本発明は、インスリン分泌促進を必要とする疾患、特に糖尿病および/または糖尿病合併症の治療または予防に利用できるインスリン分泌促進剤に関する。
インスリンは膵臓ランゲルハンス島B(βとも言う)細胞から分泌されるホルモンで、その主な生理作用は血糖値を下げることにある。インスリンは、筋において、糖、アミノ酸、カリウムの取り込みの促進、グリコーゲン合成、タンパク質合成の促進、脂肪組織では糖の取り込みおよび利用促進、脂肪の合成促進および分解抑制、タンパク質の合成促進、肝では糖新生の抑制、グリコーゲンの合成促進および分解抑制、タンパク質の合成促進等の作用をもち、標的組織の細胞膜上にはインスリン受容体が存在する。食事等により血糖値が上がると、インスリンが膵臓から分泌され、上記の作用により血糖値を正常に保つ。
糖尿病は、インスリンの欠乏、または作用の不足によって、ブドウ糖の代謝に異常が起こり、血液中のブドウ糖が増えすぎて尿の中に糖が溢れてきた状態で、慢性的に高血糖状態が続いている病気である。この高血糖状態により、神経障害、白内障、腎障害、網膜症、関節硬化症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性壊疽等の種々の合併症を発症することがある。糖尿病には、I型糖尿病(インスリン依存型)とII型糖尿病(インスリン非依存型)がある。I型糖尿病は、主に15才未満の子供に見られ、「若年型糖尿病」とも呼ばれてきた。これは、膵臓B細胞が、なんらかの原因でインスリンを分泌できなくなり、高血糖として発症するものである。II型糖尿病は、インスリンの分泌量が低下するか(インスリン分泌不全)、インスリンの血糖を下げる作用が弱くなって(インスリン抵抗性)発症するもので、遺伝素因のほかに、エネルギーの過剰摂取や栄養の偏った食生活、運動不足、ストレスが大きく関わっており、日本人の糖尿病の90%を占めている。II型糖尿病の治療でも、血糖値をコントロールするためにインスリン投与が必要になることがある。
ここで、インスリンとは、21個のアミノ酸残基からなるA鎖と30個のアミノ酸残基からなるB鎖から構成されるペプチドであり、A鎖とB鎖は2箇所のジスルフィド結合で結合されている。インスリンは膵臓B細胞の粗面小胞体で前駆体であるプロインスリンとして合成され、インスリンに転換後、B顆粒内に貯蔵され、分泌刺激に応じて血中に放出される。分泌は主としてグルコースにより促進されるが、その他の分泌促進因子として、マンノース等の糖、アミノ酸(アルギニン、リジン等)、ペプチドホルモン(グルカゴン、ガストリック・インビビトリー・ポリペプチド等)、迷走神経刺激剤、交感神経系β受容体刺激剤、交感神経系のα受容体遮断剤、スルホニル尿素剤等がある。
糖尿病の症状を改善するには、インスリンを直接注射する治療法のほかに、前述のスルホニル尿素剤(トルブタミド、クロルブロバミド、アセトヘキサミド、グリクロビラミド、グリベンクラミド、グリクラチド等)のように膵臓B細胞に直接働き、インスリンの分泌を促進する薬剤を服用する方法がある。この場合は、膵臓からインスリンが分泌されていることが必要であるため、この方法はインスリン非依存型のII型糖尿病に用いられる。その他の治療法として、αグルコシダーゼ阻害剤(糖質の消化・吸収を遅らせる効果があり、食後の急激な血糖の上昇を抑制する)を服用する方法もある。
また、最近の報告によれば、グルカゴンやイソクレチン(腸管内分泌細胞から分泌される)がそれぞれの受容体に結合することによりアデニル酸シクラーゼが活性化され、サイクリックAMP(サイクリックアデノシン3', 5'- 一リン酸、環状AMP、cAMPとも言う)の産生が促進され、このサイクリックAMPがPKA(プロテインキナーゼA)依存性機構と、PKA非依存性機構(cAMP-GEFII)を活性化してインスリン分泌を促進する(非特許文献1)。一方、サイクリックAMPはサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼによって5'-AMPに分解される。したがって、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼはアデニル酸シクラーゼとともに、細胞内のサイクリックAMPの量的水準を調節しており、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼの活性を制御し、サイクリックAMPの濃度を調節することにより、インスリン分泌を調節することが可能と考えられる。
近年、血糖値上昇を抑制するための機能性食品、特に副作用が少なく、安全性の高い天然成分由来の機能性食品の研究が盛んに行われており、柑橘類から抽出されるノビレチン類(特許文献1)、ブリケリア属の植物抽出物、該植物から単離されたフラボノイド(ルテオリン、ミリセチン、ジヒドロキシケムフェロール、アピゲニン、ケルセチン)(特許文献2)、オリーブ葉またはその抽出物(ルテオリンを含有する)(特許文献3)、野菜または果物抽出物、該抽出物がヘスペリジン、ヘスペレチン、ナリンジン、ナリンゲニン、ジオスミン、ルチン、ケルセチン等のフラボノイド(特許文献4)、イソフラボン、イソフラボン配糖体(特許文献5)等の血糖値上昇抑制効果が報告されている。
しかしながら、これらはいずれも糖分解酵素の抑制あるいは動物実験での血糖値上昇抑制効果を記載しているだけであり、インスリン分泌促進効果を実験で証明したものはない。
一方、ロズマリン酸(3,4-Dihydroxycinnamic acid (R)-1-carboxy-2-(3,4-dihydroxyphenyl)ethyl ester)は、青ジソ、レモンバーム等のシソ科植物等に含まれているポリフェノールの一種で、抗酸化作用が強く、ヒアルロニダーゼの働きを抑制する効果が知られており(特許文献6)、化粧品成分としての有用性の他、花粉症に有効とされている。また、クミスクチンにαグルコシダーゼ阻害活性があり、阻害活性成分を同定したところ、ロズマリン酸であったこと、さらにロズマリン酸を含むクミスクチン粗精製画分が自然発症糖尿病マウスを用いた実験で血糖値上昇抑制活性があることが報告されている(非特許文献2)。しかし、ロズマリン酸がインスリンの分泌を促進させる機能を有することについての報告はされていない。
したがって、安全性が高い天然成分由来のインスリン分泌促進剤がいまだに必要とされている。
特開2001−240539号公報 特表2002−541116号公報 特開2002−10753号公報 特表2002−524480号公報 特開平11−116487号公報 特開平09−067251号公報 細胞工学, 21, 536-540 (2002) 沖縄県工業技術センター研究報告第4号, 85-92, 2002
本発明の課題は、安全性が高い天然成分由来のインスリン分泌促進剤を提供することである。
本発明者らは、天然成分由来のインスリン分泌促進物質を求めて鋭意探索した結果、ロズマリン酸、およびクミスクチン、クダモノトケイソウ、ヘチマまたはドラゴンフルーツ由来の物質が膵臓B細胞に働いてインスリン分泌を促進する効果を有することを見出した。
本発明者らはまた、ロズマリン酸、およびクミスクチン、クダモノトケイソウ、ヘチマまたはドラゴンフルーツ由来の物質が、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼの活性を阻害することを見いだした。
上記課題を解決する本発明は以下の発明を包含する。
(1)ロズマリン酸を有効成分として含有するインスリン分泌促進剤。
(2)クミスクチン、クダモノトケイソウ、ヘチマおよびドラゴンフルーツのうちの少なくとも一つに由来し、インスリン分泌促進活性を示す物質を有効成分として含有するインスリン分泌促進剤。
(3)クミスクチン、クダモノトケイソウ、ヘチマおよびドラゴンフルーツのうち少なくとも一つの抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有するインスリン分泌促進剤。
(4)ロズマリン酸を有効成分として含有するサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤。
(5)クミスクチン、クダモノトケイソウ、ヘチマおよびドラゴンフルーツのうちの少なくとも一つに由来し、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害活性を示す物質を有効成分として含有するサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤。
(6)クミスクチン、クダモノトケイソウ、ヘチマおよびドラゴンフルーツのうち少なくとも一つの抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有するサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤。
(7)上記(1)〜(3)のいずれか1に記載のインスリン分泌促進剤および/または上記(4)〜(6)のいずれか1に記載のサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤を含有する糖尿病または糖尿病合併症治療剤。
(8)食品に添加するための上記(1)〜(3)のいずれか1に記載のインスリン分泌促進剤。
(9)食品に添加するための上記(4)〜(6)のいずれか1に記載のサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤。
(10)クミスクチン、クダモノトケイソウ、ヘチマおよびドラゴンフルーツのうちの少なくとも一つを搾汁または粉砕する工程、該搾汁または該粉砕物を抽出する工程、および必要に応じて該搾汁または該粉砕物またはその抽出物に濃縮処理および/または精製処理を行う工程を含む、上記(2)〜(6)のいずれか1に記載のインスリン分泌促進剤またはサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤の製造方法。
本発明により、安全性が高い食品系植物由来のインスリン分泌促進剤およびサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤が提供される。
本発明のインスリン分泌促進剤およびサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤は、糖尿病および/または糖尿病合併症の治療に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの説明により限定されるものではない。
(1)ロズマリン酸
本発明は、ロズマリン酸を有効成分として含有するインスリン分泌促進剤またはサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤に関する。
ロズマリン酸は、上述のように、青ジソ、レモンバーム等のシソ科植物等に含まれているポリフェノールの一種である。本発明で用いるロズマリン酸は、市販のものを用いてもよいが、植物から得ることもできる。
植物から得る場合は、ロズマリン酸を含有する任意の植物を用いることができる。ロズマリン酸を含有する植物として、例えばクミスクチン、ローズマリー、レモンバーム、青ジソ、赤ジソ、夏枯草、好ましくはクミスクチンが挙げられる。例えば乾燥クミスクチン葉に含まれるロズマリン酸の量は、乾燥クミスクチン葉全体の重量に対して、0.2重量%である。また、植物は、その全体または茎、葉、花、果実、果皮等の搾汁をそのまま用いることができるが、植物の全体または根、茎、葉、花、果実、果皮等を破砕、粉砕等により粉末化処理したものを用いてもよい。また、該搾汁または該粉砕物の抽出物または該搾汁または該粉砕物またはその抽出物の処理物として用いることもできる。
本明細書において、「果皮」とは、果実の外側の皮の部分を意味するが、果肉の部分が付着していてもよい。また、「果肉」とは、果実の半透明のゼリー状の部分を意味するが、果皮、種子の部分が付着していてもよい。また、「抽出物」とは、植物の全体または根、茎、葉、花、果実、果皮等等の部分に含まれる成分を、水、エタノール等の溶媒に溶解させて抽出し適宜乾燥させた、通常は液体または固体の物質を指し、「処理物」とは、搾汁、粉末または抽出物に対してさらに濃縮処理や精製処理等を行うことにより得られる物質を指すものとする。
植物を抽出物として用いる場合、抽出時間は10分〜1時間程度、特に30分程度が好ましく、また抽出に使用する溶媒量は原料に対して質量比で2倍量〜10倍量、特に5倍量が好ましい。抽出溶媒は任意の溶媒であってよく、例えばメタノール、エタノール、酢酸エチル、その他の有機溶媒、および水のうち1種または2種以上を用いることができる。好ましくは、エタノールと水の混合溶媒を用いる。また、溶媒抽出の過程でケイソウ土を加えてもよい。さらに場合により、抽出後、ろ過または遠心分離により抽出残渣を除き抽出液を得ることができる。
また、搾汁、粉末または抽出液を濃縮処理することもできる。さらに、搾汁、粉末または抽出液には糖分や有機酸が非常に多く含まれるため、それらを除く精製工程を行うことも好ましい。精製処理の方法として、順相または逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過等が挙げられる。これらの方法を組み合わせて用いることもできる。
さらに、ロズマリン酸を単離精製することもできる。単離精製の方法としては、例えば抽出液をHPLC、合成吸着剤クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過等により単離する方法があるが、特に逆相系の担体を用いたHPLCを用いることが好ましい。この場合、抽出条件としては、例えば10〜50%アセトニトリル溶液を用いて溶出することが好ましい。
本発明のロズマリン酸を有効成分として含有するインスリン分泌促進剤またはサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤は、ロズマリン酸の搾汁、抽出物または処理物自体をインスリン分泌促進剤またはサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤としてもよい。
なお、ロズマリン酸を得るために用いる青ジソ、レモンバーム等のシソ科植物等の植物は、現在までに食品や飲料等に供されており、安全性は確立されている。
(2)クミスクチン
本発明はまた、クミスクチン由来であって、インスリン分泌促進活性および/またはサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害活性を示す物質を有効成分として含有するインスリン分泌促進剤またはサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤に関する。
クミスクチン(ネコノヒゲ、Orthosiphon aristatus (Bl.) Miq.)は、シソ科の多年草で、インドから東南アジア、オーストラリア北部に広く分布し、沖縄でも広く栽培されている。本発明で使用するクミスクチンの品種と産地は、特に限定されるものではない。
本発明で使用するクミスクチンは、全体または茎、葉、花、果実、果皮等の搾汁をそのまま用いることができるが、クミスクチン全体または根、茎、葉、花、果実、果皮等を破砕、粉砕等により粉末化処理したものを用いてもよい。また、該搾汁または該粉砕物の抽出物または該搾汁または該粉砕物またはその抽出物の処理物として用いることもできる。クミスクチンを抽出物として用いる場合、葉、茎、根または花の抽出物が好ましく、葉の抽出物が特に好ましい。
クミスクチンを抽出物として用いる場合の抽出時間等の条件や、処理物として用いる場合の精製処理の条件等は、上述(1)のロズマリン酸の場合に準ずる。
例えば、クミスクチン葉を抽出して用いる場合、上述(1)の方法に準じた条件下で、クミスクチンの葉を乾燥した後、遠心破砕器で破砕し、溶媒抽出を行い、抽出液を減圧下で乾燥することにより粉末として得ることができる。
(3)クダモノトケイソウ
本発明はさらにまた、クダモノトケイソウ由来であって、インスリン分泌促進活性および/またはサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害活性を示す物質を有効成分として含有するインスリン分泌促進剤およびサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤に関する。
クダモノトケイソウ(別名パッションフルーツ、Passiflora edulis)は、南米原産のつる性多年生熱帯果樹であり、現在では世界中の熱帯、亜熱帯地域に広まっており、オーストラリアや東南アジア、台湾等で産業的に栽培されている。日本では沖縄での生産が一番多いが、奄美諸島、小笠原諸島でも栽培されている。本発明で使用するクダモノトケイソウの品種と産地は、特に限定されるものではない。
本発明で使用するクダモノトケイソウは、全体または根、茎、葉、花、果実、果皮等の搾汁をそのまま用いることができるが、クダモノトケイソウ全体または根、茎、葉、花、果実、果皮等を破砕、粉砕等により粉末化処理したものを用いてもよい。また、該搾汁または該粉砕物の抽出物または該搾汁または該粉砕物またはその抽出物の処理物として用いることもできる。クダモノトケイソウを抽出物として用いる場合、果皮、果肉、果実、葉、茎または根の抽出物が好ましく、果皮抽出物または果肉抽出物が特に好ましい。
クダモノトケイソウを抽出物として用いる場合の抽出時間等の条件や、処理物として用いる場合の精製処理の条件等は、上述(1)のロズマリン酸の場合に準ずる。
例えば、クダモノトケイソウ果皮を抽出して用いる場合、上述(1)の方法に準じた条件下で、クダモノトケイソウの果皮をミキサー等で細かく破砕した後、抽出溶媒中で攪拌し、遠心分離または濾過により不溶物を除去し、上清または濾液を減圧下で乾燥することにより粉末として得ることができる。また、クダモノトケイソウの果肉を抽出して用いる場合、上述(1)の方法に準じた条件下で、クダモノトケイソウの果肉を水とともに攪拌し、遠心分離または濾過により不溶物を除去し、上清または濾液を分画分子量10,000の限外濾過膜を通過させ、回収した溶液を減圧下で乾燥することにより粉末として得ることができる。
(4)ヘチマ
本発明はさらにまた、ヘチマ由来であって、インスリン分泌促進活性および/またはサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害活性を示す物質を有効成分として含有するインスリン分泌促進剤およびサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤に関する。
ヘチマ(沖縄の方言名ナーベーラー、Luffa cylindrica (L.) Roem.)は原産地が熱帯アジアのウリ科の1年生草本で、沖縄では食用として栽培されている。本発明で使用するヘチマの品種と産地は、特に限定されるものではない。
本発明で使用するヘチマは、全体または根、茎、葉、花、果実、果皮等の搾汁をそのまま用いることができるが、ヘチマ全体または根、茎、葉、花、果実、果皮等を破砕、粉砕等により粉末化処理したものを用いてもよい。また、該搾汁または該粉砕物の抽出物または該搾汁または該粉砕物またはその抽出物の処理物として用いることもできる。ヘチマを抽出物として用いる場合、果実、葉、茎または根の抽出物が好ましく、未熟果抽出物が特に好ましい。
ヘチマを抽出物として用いる場合の抽出時間等の条件や、処理物として用いる場合の精製処理の条件等は、上述(1)のロズマリン酸の場合に準ずる。
例えば、ヘチマの未熟果を抽出して用いる場合、上述(1)の方法に準じた条件下で、ヘチマの未熟果を乾燥したのち、遠心破砕器で破砕し、これに水を加えて攪拌し、遠心分離または濾過により不溶物を除去し、上清または濾液を分画分子量10,000の限外濾過膜を通過させ、回収した溶液を減圧下で乾燥することにより粉末として得ることができる。
(5)ドラゴンフルーツ
本発明はさらにまた、ドラゴンフルーツ由来であって、インスリン分泌促進活性および/またはサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害活性を示す物質を有効成分として含有するインスリン分泌促進剤およびサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤に関する。
ドラゴンフルーツは中米原産のサボテン科の植物であり、太平洋側の中央アメリカ諸国で栽培されている。本発明に使用するドラゴンフルーツの品種と産地は、特に限定されるものではない。
本発明で使用するドラゴンフルーツは、全体または根、茎、葉、花、果実、果皮等の搾汁をそのまま用いることができるが、ドラゴンフルーツ全体または根、茎、葉、花、果実、果皮等を破砕、粉砕等により粉末化処理したものを用いてもよい。また、該搾汁または該粉砕物の抽出物または該搾汁または該粉砕物またはその抽出物の処理物として用いることもできる。ドラゴンフルーツを抽出物として用いる場合、果皮、果肉、果実、葉、茎または根の抽出物が好ましく、果皮抽出物が特に好ましい。
ドラゴンフルーツを抽出物として用いる場合の抽出時間等の条件や、処理物として用いる場合の精製処理の条件等は、上述(1)のロズマリン酸の場合に準ずる。
例えば、ドラゴンフルーツ果皮を抽出して用いる場合、上述(1)の方法に準じた条件下で、ドラゴンフルーツ果皮をミキサー等で細かく破砕した後、抽出溶媒中で攪拌し、遠心分離または濾過により不溶物を除去し、上清または濾液を減圧下で乾燥することにより粉末として得ることができる。
なお、上記(1)〜(5)で説明したインスリン分泌促進剤およびサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤は、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
(6)製剤化
上記(1)〜(5)で説明したインスリン分泌促進剤および/またはサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤を単独で、または組み合わせて、公知の医薬用担体と組み合わせて製剤化することができる。
投与形態としては、特に制限はなく、必要に応じ適宜選択されるが、一般には錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤等の経口剤、または注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、貼付剤、軟膏剤等の非経口剤として使用される。
経口剤は、例えばデンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等の賦形剤を用いて常法に従って製造される。
この種の製剤には、適宜前記賦形剤の他に、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を使用することができる。
結合剤の具体例としては、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、プルラン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、アラビアゴム末、寒天、ゼラチン、白色セラック、トラガント、精製白糖、マクロゴールが挙げられる。
崩壊剤の具体例としては、結晶セルロース、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、トラガントが挙げられる。
界面活性剤の具体例としては、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴールが挙げられる。
滑沢剤の具体例としては、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ロウ類、水素添加植物油、ポリエチレングリコールが挙げられる。
流動性促進剤の具体例としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムが挙げられる。
また、本発明のインスリン分泌促進剤およびサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤は、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤として投与する場合には、矯味矯臭剤、着色剤を含有してもよい。
ロズマリン酸、またはクミスクチン、クダモノトケイソウ、ヘチマおよびドラゴンフルーツのうちの少なくとも一つに由来し、インスリン分泌促進活性および/またはサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害活性を示す物質の添加量は、添加対象物の種類、投与目的、投与経路、剤形等の諸条件によって異なるが、ロズマリン酸を用いる場合は、通常、製剤全重量に対し1.0〜20重量%の範囲が好ましい。クミスクチン、クダモノトケイソウ、ヘチマまたはドラゴンフルーツの抽出物を用いる場合、例えば、クミスクチン抽出物、クダモノトケイソウ果皮抽出物またはクダモノトケイソウ果肉抽出物を用いる場合は、製剤全重量に対して0.1〜90重量%であることが好ましい。また、ヘチマ抽出物またはドラゴンフルーツ抽出物を用いる場合は、製剤全重量に対して0.5〜90重量%であることが好ましい。
(7)投与方法等
本発明のインスリン分泌促進剤および/またはサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害活性剤の投与量は、患者の年令、体重、疾患の程度、投与経路により適宜選択することができる。投与回数は、通常、経口投与では1日1回〜3回である。例えば、軽症の糖尿病患者にクミスクチン抽出物、クダモノトケイソウ果皮抽出物、クダモノトケイソウ果肉抽出物、ヘチマ抽出物またはドラゴンフルーツ果皮抽出物を含有するインスリン分泌促進剤を経口投与する場合は、1日当たり1mg/kg体重〜200mg/kg体重のインスリン分泌促進剤を、1日3回に分けて投与することが好ましい。
本発明のインスリン分泌促進剤および/またはサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤はさらに、常法に従って、清涼飲料、乳酸飲料等の飲料、スープ、ジャム、菓子類等の食品に添加することができる。また、ペットフードや飼料に添加してペットや家畜の糖尿病および/または糖尿病合併症の改善のために用いることもできる。
さらに、本発明のインスリン分泌促進剤および/またはサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤を用いて、いわゆる特定保健用食品(例えば、糖尿病予防食品)または機能性食品を製造することもできる。この場合、本発明のインスリン分泌促進剤および/またはサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤は、目的に応じて適量を添加すればよい。例えば、ロズマリン酸を有効成分として含有するインスリン分泌促進剤および/またはサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤を食品に添加する場合には、ロズマリン酸が食品中に、食品の全重量に対して0.1〜10重量%含有されるように添加することが好ましい。また、例えばクミスクチン抽出物、クダモノトケイソウ果皮抽出物、クダモノトケイソウ果肉抽出物、ヘチマ抽出物またはドラゴンフルーツ果皮抽出物を食品に添加する場合は、それぞれ食品の全重量に対して1.0〜100重量%含有されるように添加することが好ましい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1 ロズマリン酸のインスリン分泌促進活性
ラットの膵臓B株細胞RINm5F(ATCC CRL-2058)をDiabetes, Vol. 34, p. 717 (1985)に記載された方法に準じて培養した。具体的には、RPMI1640培地(グルタミン300 mg/lを含む、大日本製薬より購入)に炭酸水素ナトリウム2 g/l、非働化処理したウシ胎児血清10%、ストレプトマイシン100μg/ml、ペニシリン100 units/mlを添加した培地で、24穴(1穴2cm2)のマイクロプレートにて、5%CO2存在下、37℃で3日間の培養を行った。次いで、古い培地を捨て、各穴当たり1 mlの新しい培地を加え更に1日間培養した。
次にプレートの各穴の培地を捨て、1 ml のクレブス-リンガー重炭酸(KRB) 緩衝液(NaCl 129 mM、NaHCO3 5 mM、KCl 4.8 mM、KH2PO4 1.2 mM、CaCl21.0 mM、MgSO4 1.2 mM、Glucose 2.8 mM、 Bovine serum albumin 0.1%、HEPES 10 mM、pH 7.4)にて各穴を2回洗浄した。その後、360μl のKRB緩衝液に40μlの試料(125〜1000μMのロズマリン酸、または対照としての蒸留水、1μMのグルカゴン)を加えた溶液400μlを各穴に添加し、5%CO2存在下、37℃で0〜180分間静置した。なお、試料添加時における細胞数は1穴あたり1.2 x 106個である。
上清200μlを回収して、遠心により混入した細胞を除去した。上清中のインスリン濃度は、試料を希釈後、レビス インスリン‐ラットELISAキット(シバヤギ社より購入)を用いた酵素免疫測定法により測定した。その結果を表1および図1に示す。表1は120分後のKRB緩衝液中インスリン濃度をn = 3の平均値で示した。図1は試料添加後の各時間におけるKRB緩衝液中のインスリン濃度をn = 3の平均値で示した。ロズマリン酸にインスリン分泌促進効果が認められた。
次に、MTT (臭化3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]-2,5-ジフェニルテトラゾリウム)キット(Roche)により細胞増殖に対するロズマリン酸の影響を検討したところ、表1および図1の濃度範囲では細胞増殖に対して全く影響のないことが確認できた。
Figure 0004581064
実施例2 クミスクチン抽出物、クダモノトケイソウ果皮抽出物、クダモノトケイソウ果肉抽出物、ヘチマ抽出物またはドラゴンフルーツ果皮抽出物からなるインスリン分泌促進剤の製造法
クミスクチンの葉を60℃、12時間乾燥させ、これを遠心粉砕器(MRK-Retschm, ZM-100)を用いて粉砕し、0.5mmのスクリーンを通過したものについて、高速溶媒抽出装置(日本ダイオネクス社製、ASE-200)により溶媒抽出を行った。即ち、乾燥重量で2gの試料を8gのケイソウ土とともに抽出セルに装填し、25mlの50%エタノールを加え、抽出温度82℃、抽出時間10分、圧力1500psi、抽出回数2回で抽出し、抽出液約50mlを得、そのうち20mlを遠心式エバポレーターで乾燥させることにより300mgの粉末を得た。
クダモノトケイソウの果実3個から剥いた果皮(150g)をミキサーで細かく破砕した後、メタノール200mlを加え、電磁スターラーにより400rpm、60分間攪拌した。次いで、濾紙(アドバンテック東洋製濾紙、NO.2、直径30cm)による濾過を行って不溶物を除去した濾液を回収した。濾液をロータリエバポレーターで濃縮し、さらに真空ポンプによる減圧下で乾燥することにより、紫色の粉末3.6gを得た。
クダモノトケイソウの果実3個からゼリー状の果肉(種子を含む)110mlを採取し、これに同量の蒸留水を加え、電磁スターラーにより400rpm、60分間攪拌した。次いで、15,000rpmで20分間の遠心分離を行い不溶物を沈殿させ、上清を回収した。この溶液は限外濾過膜YM-10(分画分子量1万、Millipore)を通過させ、濾液を遠心式エバポレーターで濃縮し、さらに真空ポンプによる減圧下で乾燥することにより、薄いオレンジ色の粉末16gを得た。
ヘチマの未熟果200gを乾燥したのち、遠心破砕器(MRK-Retschm, ZM-100)で破砕し、0.5mmのスクリーンを通過したものを回収した。このうち1 gに40 mlの水を加え、電磁スターラーにより400rpm、60分間攪拌した。次いで、15,000rpmで20分間の遠心分離を行い不溶物を沈殿させ、上清を回収した。この溶液は限外濾過膜YM-10(分画分子量1万、Millipore)を通過させ、濾液を遠心式エバポレーターで濃縮し、さらに真空ポンプによる減圧下で乾燥することにより、0.56 gの粉末を得た。
ドラゴンフルーツの果実1個から剥いた果皮(84 g)をミキサーで細かく破砕した後、メタノール200mlを加え、電磁スターラーにより400rpm、60分間攪拌した。次いで、濾紙(アドバンテック東洋製濾紙、NO.2、直径30cm)による濾過を行って不溶物を除去した濾液を回収した。濾液をロータリエバポレーターで濃縮し、さらに真空ポンプによる減圧下で乾燥することにより、赤紫色の粉末1.2gを得た。
実施例3 クミスクチン抽出物、クダモノトケイソウ果皮抽出物、クダモノトケイソウ果肉抽出物、ヘチマ抽出物またはドラゴンフルーツ果皮抽出物のインスリン分泌促進活性
実施例1と同様に24穴のマイクロプレートにて培養したラット膵臓B株細胞RINm5Fの各穴をKRB)緩衝液で2回洗浄し、360μl のKRB緩衝液に40μlの試料(0.13〜4 mg/mlのクミスクチン抽出物、0.13〜40 mg/mlのクダモノトケイソウ果皮抽出物、2〜8 mg/mlのクダモノトケイソウ果肉抽出物、10〜40 mg/mlのヘチマ抽出物、10〜40 mg/mlのドラゴンフルーツ果皮抽出物、または対照としての蒸留水、1μMのグルカゴン)を加えた溶液400μlを各穴に添加し、5%CO2存在下、37℃で0〜180分間静置した。試料添加時における細胞数は1穴あたり1.2 x 106個である。上清200μlを回収して、遠心により混入した細胞を除去したのち、上清中のインスリン濃度を実施例1と同じレビス インスリン‐ラットELISAキットにより測定した。その結果を表2〜6および図1に示す。表2〜6は120分後のKRB緩衝液中インスリン濃度をn = 3の平均値で示した。図1はクミスクチン抽出物添加後の各時間におけるKRB緩衝液中のインスリン濃度をn = 3の平均値で示した。クミスクチン抽出物、クダモノトケイソウ果皮抽出物、クダモノトケイソウ果肉抽出物、ヘチマ抽出物またはドラゴンフルーツ果皮抽出物にインスリン分泌促進効果が認められた。
次に、実施例1と同様にロッシュ社のMTTキットにより細胞増殖に対するクミスクチン抽出物、クダモノトケイソウ果皮抽出物、クダモノトケイソウ果肉抽出物、ヘチマ抽出物またはドラゴンフルーツ果皮抽出物の影響を検討したところ、表2〜6および図1の濃度範囲では細胞増殖に対して全く影響のないことが確認できた。
Figure 0004581064
Figure 0004581064
Figure 0004581064
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Figure 0004581064
実施例4 ロズマリン酸、クミスクチン抽出物、クダモノトケイソウ果皮抽出物のサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用
サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用の測定は下記の方法により行った。
シグマ社より購入したウシ脳由来ホスホジエステラーゼアクチベータ(カルモジュリン)を緩衝液(62.5mMトリス塩酸緩衝液、pH7.5、6.3mM塩化マグネシウム、3.8mM β-メルカプトエタノール、0.038mM塩化カルシウム)に溶解し、14.3ユニット/mlのアクチベータ溶液とした。また、シグマ社より購入したブタ脳由来ホスホジエステラーゼを上記緩衝液に0.1ユニット/mlの濃度に溶解し、酵素溶液とし、1mMのサイクリックAMP水溶液を基質溶液とした。
0.5ml容量のプラスチックチューブに、アクチベータ溶液140μl、酵素溶液20μl、測定試料溶液20μl(0.5〜2 mMのロズマリン酸、0.2〜0.8 mg/mlのクミスクチン抽出物、2.5〜20 mg/mlのクダモノトケイソウ果皮抽出物)を入れ、30℃で5分間保温した後、基質溶液20μlを加えよく混合して、37℃で60分間反応を行った。その後、10%トリフルオロ酢酸60μlを添加することにより反応を停止させた。反応停止後、生成したAMPを下記条件下で高速液体クロマトグラフィーにより定量した。
高速液体クロマトグラフィー測定条件
カラム:μBondasphere 5μC18 300Å(ウォーターズ社3.9 x 150 mm)
溶出液:0.1%トリフルオロ酢酸を含む0〜63%のアセトニトリルの直線濃度勾配(20分)
流速:1ml/min
検出:260nmの紫外部吸収
このような実験を複数回行い、阻害率を次の式より算出した。
式1:
阻害率= (A - B) / A X 100 (%)
[式中、A:阻害剤を含まない場合のAMPのピーク面積、B:阻害剤添加の場合のAMPのピーク面積]
また、上記阻害率が50%になる阻害剤濃度をIC50値で表した。
このようにして得られたIC50値を表7に示す。
Figure 0004581064
図1は、ロズマリン酸またはクミスクチン抽出物を添加した場合のRINm5F細胞におけるKRB緩衝液中のインスリン濃度変化を示す図である。

Claims (2)

  1. ロズマリン酸を有効成分として含有するインスリン分泌促進剤。
  2. ロズマリン酸を有効成分として含有するサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害剤。
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