JP4572433B2 - N−アセチルホモピペラジン類の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬中間体として有用な化合物であるN−アセチル−1,4−ジアザシクロヘプタン等のN−アセチルホモピペラジン類を、1,4−ジアザシクロヘプタンなどのホモピペラジン類より高収率で選択的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホモピペラジン類、例えば、1,4−ジアザシクロヘプタン(通称ホモピペラジン)は医薬中間体として有用な化合物である。ホモピペラジン類は、アミノ基を2個有しているが、その一方だけをアセチル化したN−アセチル−1,4−ジアザシクロヘプタン(通称N−アセチルホモピペラジン)などのN−アセチルホモピペラジン類も極めて重要かつ有用な医薬中間体である。しかし、ホモピペラジン類の一方のアミノ基だけを選択的にアセチル化することは難しく、両方のアミノ基ともアセチル化されたジアセチルホモピペラジン類が大量に副生することを避けることは極めて困難であった。なお、ピペラジンの選択的アセチル化については数々の研究がなされている。しかし、これについても一方のアミノ基だけを選択的にアセチル化するのは難しく、例えば、リチャード バルツリ ら,J.Am.Chem.Soc.,66巻,263〜267頁(1944年)には、酢酸中でピペラジンを無水酢酸でアセチル化した場合、40%程度の収率にすぎなかったとの報告がある。
【0003】
上記のように、ホモピペラジン類の一方のアミノ基を選択的にアセチル化するのは難しく、高収率でN−アセチルホモピペラジン類を製造する方法の開発が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の課題を鑑み、ホモピペラジン類の一方のアミノ基を選択的にアセチル化し、高収率でN−アセチルホモピペラジン類を製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、N−アセチルホモピペラジン類の製造法について鋭意検討した結果、酸存在下、ホモピペラジン類をアセチル化剤と反応させることにより、高収率でN−アセチルホモピペラジン類が得られるという新規な事実を見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、酸存在下、ホモピペラジン類をアセチル化剤と反応させることを特徴とするN−アセチルホモピペラジン類の製造法である。
【0007】
本発明の方法において、反応の原料となるホモピペラジン類としては、その1,4位にアミノ基を有する、1,4−ジアザシクロヘプタン(ホモピペラジン)及び、その1,4位以外の位置に置換基が結合したホモピペラジン誘導体が挙げられる。置換基としては、本発明の方法において用いられる酸の効果を弱めないようなものであれば制限なく用いることができる。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基等の炭化水素に酸素や硫黄を介した置換基、カルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン、などホモピペラジンに結合可能な、電子吸引性、電子供与性を有する置換基が挙げられる。これらの内、電子供与性を有する置換基の場合にはアセチル化反応の反応性が高くなり好ましく用いられるが、アセチル化反応時に立体障害が生じるような嵩高い置換基や電子吸引性の基であっても同様に反応の選択性が高くなることがあり、用いることができる。また、置換基の数としても、1のみならず、2以上あっても差し支えない。
【0008】
以下の説明では、これらホモピペラジン類、すなわち、ホモピペラジン及びその誘導体をアセチル化する方法について、ホモピペラジンをその代表として述べる。
【0009】
本発明の方法において、酸存在下、ホモピペラジンをアセチル化する。用いられる酸としては、強酸、弱酸いずれを使用してもよいが、強酸を使用した方がN−アセチルホモピペラジンの収率は向上する。さらに具体的に酸を例示すると、塩酸、臭化水素酸、弗化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、ほう酸などの無機酸、ぎ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、フェノール、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの有機酸が使用できる。さらに、これらの内でも、安価で入手も容易であることから、無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸が、有機酸としては、ぎ酸、酢酸、フェノールが好ましく用いられる。また、これらの酸は1種単独のみならず、必要に応じて、2種以上を組み合わせて用いることもできる。 添加される酸の量は酸の種類により変動するため限定することは困難であるが、ホモピペラジン1モルに対し、0.1〜1.9モルの範囲が好ましく、さらに反応性の面から1.0〜1.9モルの範囲が好ましい。この範囲を逸脱して、0.1モル未満であると酸を添加した効果が著しく小さくなってしまうことがあり、1.9モルを越える量添加すると、アセチル化の速度が遅くなってしまうことがある。本発明の方法においては、その反応機構は必ずしも明らかではないが、アセチル化反応時に存在している酸がホモピペラジンの一方のアミノ基をブロックし、そのことによりアセチル化反応がもう一方のアミノ基に反応することで、選択的にN−アセチルホモピペラジンが高収率が得られるものと推定される。
【0010】
本発明の方法において、アセチル化剤としては、一般に知られているものならば特に制限なく使用することができるが、無水酢酸や、アセチルクロリドのようなアセチルハライドを使用するのが一般的であり、工業的にもコストの点から有利である。
【0011】
アセチル化剤の量はホモピペラジン1モルに対し、0.1〜1.9モルの範囲が、さらに反応性の面から0.5〜1.5モルの範囲が、特に1.0〜1.5モルの範囲が、好ましい。
【0012】
.この範囲を逸脱して、0.1モル未満あるいは1.9モルを越える量であると、N−アセチルホモピペラジンの収量は低下してしまうことがある。
【0013】
また、アセチル化剤の添加方法としては、ホモピペラジンを含む反応液に全量一挙に添加しても、少しずつ添加してもよいが、少しずつ添加した方が得られるN−アセチルホモピペラジンの収量は増加する。
【0014】
本発明の方法において、アセチル化反応を−40〜100℃の範囲で実施することが好ましく、さらに0〜100℃の範囲で実施することが好ましい。−40℃未満でも反応は進行するが、その進行速度が比較的遅くなることがあり、温度を下げる利点は少ない。また100℃を越える温度で反応させるとN−アセチルホモピペラジンの選択率は低下することがある。
【0015】
本発明の方法において、アセチル化反応は、ホモピペラジンを溶媒に溶かし、これにアセチル化剤を添加する方法で行うのが一般的であるが、用いられる溶媒はホモピペラジンを溶解しうるものなら制限はない。ホモピペラジンを溶解し得る溶媒として水、アルコール、酢酸などのカルボン酸、クロロホルムなどがあるが、経済面には水を使用するのが好ましい。
【0016】
本発明の方法において、アセチル化反応後は、一般に知られている方法でN−アセチルホモピペラジンを精製することができ、未反応の原料、溶媒は回収して再度使用してもよい。N−アセチルホモピペラジンの精製方法を例示すると、苛性ソーダを加え、N−アセチルホモピペラジンを多く含む層とそれ以外のものを多く含む層を分離し、その後N−アセチルホモピペラジンを蒸留または貧溶媒を添加した後、結晶化、再結晶して得る方法、反応液中のN−アセチルホモピペラジン塩を中和し、フリーのN−アセチルホモピペラジンを蒸留して分離精製する方法などがあるが、どの方法を使用しても一向に差し支えない。
【0017】
以上のように、本発明の方法によりホモピペラジン類よりN−アセチルホモピペラジン類を製造することができる。このため、用いる目的に応じて反応原料のホモピペラジン類の構造を設定し、本発明の方法を用いることで一方のアミノ基を選択的にアセチル化し、対応するN−アセチルホモピペラジン類を得、医薬中間体として種々の用途に用いることができる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例にて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
なお、表記を簡略化するために、以下の略号を使用する。
【0020】
HMP:ホモピペラジン
AHMP:N−アセチルホモピペラジン
実施例1
50mlのガラス製フラスコにHMP 5g(50mmol)、水25g、塩酸(50mmol)を入れ、撹拌しながら40℃にした。これに無水酢酸 5.5g(54mmol)を少しずつ滴下した。滴下終了後1.5時間40℃で撹拌を続けた。次に、苛性ソーダを加え、酸を中和した後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、HMPの転化率は89.6%、AHMPの収率は69.8%であった。
【0021】
実施例2〜4
表1に示す量の無水酢酸を加えた他は実施例1と同様の方法で反応を行った。
結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
実施例5、6
反応温度を表2に示す温度にした他は実施例1と同様の方法で反応を行った。
結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】
実施例7、8
塩酸に代えて表3に示す酸を50mmol使用した他は実施例1と同様の方法で反応を行った。結果を表3に示す。
【0026】
【表3】
【0027】
比較例
塩酸を加えない他は実施例1と同じ方法で反応させた。副生した酢酸を苛性ソーダで中和した後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果、HMPの転化率は81.0%、AHMPの収率は41.6%であった。
【0028】
実施例1と比較例とを比較すると、塩酸を反応系に存在させてHMPをアセチル化することでHMPの転化率が高くかつAHMPも収率が高くなることが分かる。
【0029】
また、実施例では、HMPの転化率及びAHMPの収率とも高いことが分かり、用いる酸としても、塩酸のみならず酢酸、フェノールにおいても十分に高いものとなっていることが分かる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、ホモピペラジン類の一方のアミノ基を選択的にアセチル化して、高収率でN−アセチルホモピペラジン類を製造することができ、工業的に有用な方法である。
Claims (7)
- 酸存在下、ホモピペラジン類をアセチル化剤と反応させることを特徴とするN−アセチルホモピペラジン類の製造法であって、
ホモピペラジン類が、その1,4位にアミノ基を有する1,4−ジアザシクロヘプタン(ホモピペラジン)、及びその1,4位以外の位置に、ホモピペラジンに結合可能な電子吸引性若しくは電子供与性を有する置換基が結合したホモピペラジン誘導体からなる群より選択され、
アセチル化剤が、無水酢酸及びアセチルハライドからなる群より選択されることを特徴とする製造法。 - ホモピペラジン類が1,4−ジアザシクロヘプタンであり、N−アセチルホモピペラジン類がN−アセチル−1,4−ジアザシクロヘプタンであることを特徴とする請求項1に記載の製造法。
- 酸が、塩酸、硫酸及び硝酸からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の製造法。
- 酸が、ぎ酸、酢酸及びフェノールからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の製造法。
- 添加する酸の量が、ホモピペラジン類1モルに対し、0.1〜1.9モルであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の製造法。
- アセチル化剤の量が、ホモピペラジン類1モルに対し、0.1〜1.9モルであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の製造法。
- 反応を−40〜100℃で行うことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の製造法。
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