JP4567137B2 - 自転車用チェーンケースおよびそれを備えた自転車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自転車用チェーンケースおよびそれを備えた自転車に関する。
【0002】
【従来の技術】
人力による駆動力をモータによる駆動力によって補うようにした電動補助自転車が各種、提供されているが、この種の電動補助自転車に限らず一般の自転車においても、チェーンケースとしては、一体成形品が用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来のチェーンケースは長尺であり、そのため、チェーンケースを車体フレームに取付ける際、作業性が悪く、特に、狭い場所での取付け作業が困難であった。また、チェーンケースは、デザインの自由度が小さかった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決すべく、取付け作業性が容易で、しかもデザインの自由度の高い自転車用チェーンケースおよびそれを備えた自転車を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明に係る自転車用チェーンケースは、クランク軸が挿通する貫通孔を有し、自転車の基体フレームに固定され、ドライブスプロケットおよび少なくとも前記ドライブスプロケットに係合している部分のチェーンを覆う内側カバー体と、前記クランク軸が挿通する貫通孔を有し、前部が前記内側カバー体に装着されるとともに、後部がチェーンステーに沿って延在する外側カバー体とからなる。前記外側カバー体は、前記後部が前記チェーンステーから斜め上方に傾斜した第1位置と、前記後部が前記チェーンステーに沿って延在する第2位置とにわたって回動自在に前記内側カバー体に装着され得るようにされている。当該自転車用チェーンケースは、補助動力ユニットを収納したボックス状のケーシングをさらに備える。前記内側カバー体には、前記第1位置から前記第2位置に回動した前記外側カバー体によって覆われる、前記内側カバー体を前記ケーシングに取り付けて固定するための取付孔が設けられている。また、このような自転車用チェーンケースを備えた自転車もまた、本発明の趣旨に含まれる。
【0006】
上記構成により、異なる材質や色彩等の内側カバー体と外側カバー体を組合わせることにより、デザインの自由度を従来よりも大きくすることができる。
【0007】
また、チェーンケースが2つの部材から構成されるため、従来のチェーンケースに比べて長さが短くなり、従って、狭い場所においてもチェーンケースの取付作業が容易となる。
【0008】
また、チェーンケースの一部が破損した場合に、従来ではチェーンケース全体を破棄する必要があるが、本発明では内側カバー体及び外側カバー体の一方が破損した場合、その一方のみを交換すればよく、修理コストの低減を図ることができる。
【0009】
なお、本発明は、電動補助自転車に限らず、電動でない通常の自転車にも適用することがてきる。
【0010】
また、本発明は、前記外側カバー体は、後部がチェーンステーから斜め上方に傾斜した第1位置と、後部が前記チェーンステーに沿って延在する第2位置とにわたって回動自在に前記内側カバー体に装着されていてもよい。このような構成であれば、取付寸法に余裕があるため、寸法のばらつきを吸収することができる。更に、サイズの異なる自転車においても、対応することが可能となる。
【0011】
また、本発明は、外側カバー体の内側面に係止突起を形成し、内側カバー体に係止突起が挿通する円弧状係止孔を形成するようにしてもよい。このようにすれば、外側カバー体を回動自在に構成することができる。
【0012】
また、係止孔は貫通孔の周囲に複数形成され、外側カバー体の前側部はクランク軸が挿通する挿通孔を有し、挿通孔の周囲に複数の係止孔に対応して複数の係止突起が形成されている場合もある。
【0013】
また、補助動力ユニットを収納したボックス状のケーシングをさらに備え、前記内側カバー体には、前記第1位置から前記第2位置に回動した前記外側カバー体によって覆われる、前記内側カバー体を前記ケーシングに取り付けて固定するための取付孔が設けられているので、取付孔が外部に露出されないため、美観が向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態によって本発明が限定されない。
【0015】
(実施の形態)
図1は本発明に係る自転車の全体構成を示す側面図であり、図2はドライブスプロケット付近の分解斜視図である。本実施の形態は、本発明を電動補助自転車に適用した例である。先ず、電動補助自転車の概略構成を説明する。車体フレーム10にモータなどを有する補助動力ユニットが搭載されている。車体フレーム10は、ヘッドパイプ11、ダウンチューブ12、シートチューブ13、シートステー14、およびチェーンステー15を一体に組み立てて構成される。ダウンチューブ12の下端部、シートチューブ13の下端部そしてチェーンステー15の前端部は連結され、その連結された部分には補助動力ユニットを収納したボックス状のケーシング16が取り付けられている。
【0016】
進行方向に向かってケーシング16の右側(以下、「右側」と略す)の外側面に近接して、チェーン20に係合するドライブスプロケット21がクランク軸22に取り付けられている。クランク軸22の両端部には、ペダル23を備えたクランク24が取り付けられている。また、ケーシング16の右側の外側面付近には、補助動力ユニットからの駆動力が伝達される補助動力スプロケット25及びチェーン20に一定の張力を付与するためのアイドラスプロケット26が配置されている。後輪27を回転自在に軸支する後ハブ軸(図示せず)には、小径のホイールスプロケット28が取り付けられている。このホイールスプロケット28、ドライブスプロケット21、補助動力スプロケット25及びアイドラスプロケット26には、チェーン20が巻掛けられており、ドライブスプロケット21からの駆動力及び補助動力スプロケット25からの補助駆動力がホイールスプロケット28に伝達され、後輪27が回転駆動される。
【0017】
進行方向に向かってドライブスプロケット21の右側には、チェーン20の一部を覆うチェーンケース30が配設されている。チェーンケース30は、ケーシング16に固定される合成樹脂製の内側カバー体31と、水平軸回りに回動自在に内側カバー体31に装着される合成樹脂製の外側カバー体32とから構成されている。
【0018】
図3は内側カバー体31の平面図であり、図4は図3の矢符A側から見た側面図であり、図5は図3のB−B矢視断面図であり、図6は図3のC−C矢視断面図であり、図7は外側カバー体32の平面図であり、図8は外側カバー体32の裏側から見た斜視図であり、図9は図7のD−D矢視断面図である。これらの図3〜図9、及び図2を参照して、チェーンケース30の具体的構造を説明する。
外側カバー体32は、内側カバー体31に装着される前部33と、前部33に連なりチェーンステー15の上方側でチェーンステー15に沿って後方に延在する長手状の後部34とを有する。この後部34は上側のチェーン20を覆う役割も有している。前部33には、クランク軸22が挿通する円形状の挿通孔35が形成されている。前部33の進行方向に向かって左側面(内側カバー体31に対向する側の面であり、前部33の内側面に相当する)には、挿通孔35と同心のリング状凸部36が形成されている。この凸部36には、周方向に等間隔をあけて複数(本実施の形態では3個)の係止突起37が形成されている。係止突起37の断面はL字状であって、軸部37aと、この軸部37aの端部から挿通孔35の中心側に向いて延びる挟持部37bとからなる。後部34の後端部には挿通孔39が形成されており、この挿通孔39をネジ40が挿通しチェーンステー15に取り付けられた固定金具(図示せず)に螺合して、後部34が固定される。
【0019】
内側カバー体31は、略円形状の本体部45と、後方側に突き出た突出部46とからなる。本体部45は主としてドライブスプロケット21を覆い、突出部46は主として補助動力スプロケット25及びアイドラスプロケット26を覆っている。本体部45のほぼ中央部には円形状の貫通孔47が形成され、この貫通孔47及び外側カバー体32の挿通孔35をクランク軸22が挿通している。本体部45の進行方向に向かって右側面(外側カバー体32に対向する側の面)で貫通孔47の周縁部には、外側カバー体32に向けて突出したリング状の凸部48が形成されており、この凸部48の外側円周部分には、ケーシング16側に凹んだ凹部49が形成されている。凹部49には、外側カバー体32の係止突起37が係止される係止孔50が形成されている。係止孔50は、貫通孔47と同心の仮想円に沿って延びる円弧状に形成されている。この係止孔50は、係止突起37に対応して貫通孔47と同心の仮想円周上で周方向に等間隔を開けて複数個(本実施の形態では3個)形成されている。係止孔50は、第1係止孔部分50aと、第1係止孔部分50aに連なり第1係止孔部分50aよりも孔幅が狭い第2係止孔部分50bとからなる。第1係止孔部分50aは、係止突起37の挟持部37bが挿通可能な孔幅を有している。一方、第2係止孔部分50bは、係止突起37の軸部37aは挿通可能であるが挟持部37bは挿通不可能な孔幅を有している。従って、係止突起37が第1係止孔部分50aに挿入された後、外側カバー体32の回動によって係止突起37の軸部37aが第2係止孔部分50bに移動することにより、挟持部37bが第2係止孔部分50bの周縁部と当接して係止されることになる。このように、外側カバー体32は、後部34がチェーンステー15から斜め上方に傾斜した第1位置と、後部34がチェーンステーに沿って延在する水平な第2位置とにわたって回動自在となっている。
【0020】
また、内側カバー体31にはケーシング16側に突出したボス60(図2、図4参照)が形成されており、このボス60には軸方向に延びる取付孔61が形成されている。取付孔61の一端は内側カバー体側31に開口している。この取付孔61は、外側カバー体32が第2位置に回動したとき外側カバー体32によって覆われるような位置に形成されている。
【0021】
次いで、上記構成のチェーンケース30を車体フレームに固定する方法について説明する。先ず、内側カバー体31をケーシング16に固定する。具体的には、貫通孔47にクランク軸22を挿通させるとともに、ボス60をケーシング16に形成されている取付穴70(図2参照)に対応させるように、内側カバー体31をケーシング16の外側に配置する。次いで、ケーシング16に予め固定されている固定金具71(図2参照)の取付孔72を内側カバー体31の側面に形成されている取付孔73(図3参照)に対応させ、ネジにより固定する。これとともに、ボス61の取付孔62内にタッピングネジを挿入し、このタッピングネジを締め付ける。これにより、内側カバー体31がケーシング16に固定される。
【0022】
次いで、外側カバー体32を内側カバー体31に装着する。具体的には、図10(a)に示すように、係止突起37を第1係止孔部分50aに挿入する。このとき、外側カバー体32は、図11の実線で示すように後部34が斜め上方に傾いた状態である。この状態が第1位置である。次いで、外側カバー体32を図11の仮想線で示す第2位置まで回動させる。このとき、係止突起37の軸部37aが第1係止孔部分50aから第2係止孔部分50bに移動する。これにより、図10(a)に示すように、係止突起37の挟持部37bが第2係止孔部分50bの周辺部に当接し、外側カバー体32が内側カバー体31に係止された状態となる。このような状態で、外側カバー体の後端部をチェーンステー15に固定することにより、外側カバー体32が第2位置で固定されることになる。こうして、チェーンケース30を車体フレームに固定することができる。
【0023】
なお、電動でない通常の自転車においても、上記と同様な固定金具を用いて車体フレームに直接固定することができる。
【0024】
(1)上記実施の形態では、電動補助自転車について説明したが、本発明は電動補助自転車に限らず、電動でない自転車にも適用することができる。
【0025】
(2)上記実施の形態では、内側カバー体31及び外側カバー体32はいずれも合成樹脂製であったが、内側カバー体31及び外側カバー体32の両者あるいは一方を金属製としてもよい。
【0026】
(3)上記実施の形態では、ボス60は内側カバー体31に形成されていたが、ケーシング16に形成するようにしてもよい。
【0027】
(4)上記実施の形態では、係止突起37は挿通孔35の中心側に向いていたが、これとは逆の外側に向いていてもよい。また、係止突起37はL字状に限らず、T字状であってもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、以下の効果を奏する。
【0029】
(1)内側カバー体及び外側カバー体は、従来のチェーンケースに比べて小さい。従って、チェーンケースの取付作業が容易となる。また、搬送段階においても、小さい箱に多くの部品(内側カバー体及び外側カバー体)を詰め込むことができ、搬送費の低減を図ることができる。
【0030】
(2)材質、色彩、形状の異なる複数種の内側カバー体と外側カバー体とを準備しておけば、それらを適宜選択して組合わせることにより、デザインの自由度を従来よりも高くとることができる。
【0031】
(3)自転車のサイズが異なる場合、外側カバー体のみ変えるだけでよく、内側カバー体は共用することができる。また、外側カバー体が内側カバー体に回動自在に装着されているため、外側カバー体の固定状態を若干傾斜した状態にすれば、固定金具の変更程度で外側カバー体についても共用することが可能となる。
【0032】
(4)チェーンケースの一部が破損した場合、従来ではチェーンケース全体を交換する必要があるが、本発明では内側カバー体及び外側カバー体の一方が破損した場合、その一方のみを交換すればよく、コストの低減を図ることができる。
【0033】
(5)内側カバー体に取付孔があっても、外側カバー体で覆い隠すことができる。従って、取付孔が外部に露出することがなく、外観美が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自転車の全体構成を示す側面図である。
【図2】ドライブスプロケット付近の分解斜視図である。
【図3】内側カバー体31の平面図である。
【図4】図3の矢符A側から見た側面図である。
【図5】図3のB−B矢視断面図である。
【図6】図3のC−C矢視断面図である。
【図7】外側カバー体32の平面図である。
【図8】外側カバー体32の裏側から見た斜視図である。
【図9】図7のD−D矢視断面図である。
【図10】係止突起37が係止孔50にはまり込んでいる状態を示す断面図である。
【図11】外側カバー体32の回動状態を示す図である。
【符号の説明】
20: チェーン
21: ドライブスプロケット
22: クランク軸
30: チェーンケース
31: 内側カバー体
32: 外側カバー体
37: 係止突起
37a: 係止突起の軸部
37b: 係止突起の挟持部
50: 係止孔
50a: 第1係止孔部分
50b: 第2係止孔部分
Claims (6)
- クランク軸が挿通する貫通孔を有し、自転車の基体フレームに固定され、ドライブスプロケットおよび少なくとも前記ドライブスプロケットに係合している部分のチェーンを覆う内側カバー体と、
前記クランク軸が挿通する貫通孔を有し、前部が前記内側カバー体に装着されるとともに、後部がチェーンステーに沿って延在する外側カバー体とからなり、
前記外側カバー体は、前記後部が前記チェーンステーから斜め上方に傾斜した第1位置と、前記後部が前記チェーンステーに沿って延在する第2位置とにわたって回動自在に前記内側カバー体に装着され得るようにされており、
当該自転車用チェーンケースは、補助動力ユニットを収納したボックス状のケーシングをさらに備え、
前記内側カバー体には、前記第1位置から前記第2位置に回動した前記外側カバー体によって覆われる、前記内側カバー体を前記ケーシングに取り付けて固定するための取付孔が設けられている自転車用チェーンケース。 - 前記外側カバー体の前部の内側面には、軸部と前記軸部の先端に設けられる挟持部とを有する係止突起が形成されており、
前記内側カバー体には、前記挟持部が挿通可能な孔幅を有する第1係止孔部分と、第1係止孔部分に連なり前記軸部は挿通可能であるが挟持部は挿通不可能な孔幅を有する第2係止孔部分とからなる円弧状の係止孔が形成されており、
前記第1位置では前記係止突起が前記第1係止孔部分に位置し、前記第2位置では前記係止突起が前記第2係止孔部分に位置して、前記係止突起の挟持部が前記第2係止孔部分に係止される請求項1記載の自転車用チェーンケース。 - 前記係止孔は前記貫通孔の周囲に複数形成され、前記外側カバー体の前部は前記クランク軸が挿通する挿通孔を有し、前記挿通孔の周囲に前記複数の係止孔に対応して複数の係止突起が形成されている請求項2記載の自転車用チェーンケース。
- クランク軸が挿通する貫通孔を有し、ドライブスプロケットおよび少なくとも前記ドライブスプロケットに係合している部分のチェーンを覆う、自転車の基体フレームに固定される内側カバー体と、前記クランク軸が挿通する貫通孔を有し、前部が前記内側カバー体に装着されるとともに、後部がチェーンステーに沿って延在する外側カバー体と、からなるチェーンケースを備え、
前記外側カバー体は、前記後部が前記チェーンステーから斜め上方に傾斜した第1位置と、前記後部が前記チェーンステーに沿って延在する第2位置とにわたって回動自在に前記内側カバー体に装着されており、
前記チェーンケースは、補助動力ユニットを収納したボックス状のケーシングをさらに備え、
前記内側カバー体には、前記第1位置から前記第2位置に回動した前記外側カバー体によって覆われる、前記内側カバー体を前記ケーシングに取り付けて固定するための取付孔が設けられている自転車。 - 前記外側カバー体の前部の内側面には、軸部と前記軸部の先端に設けられる挟持部とを有する係止突起が形成されており、
前記内側カバー体には、前記挟持部が挿通可能な孔幅を有する第1係止孔部分と、第1係止孔部分に連なり前記軸部は挿通可能であるが挟持部は挿通不可能な孔幅を有する第2係止孔部分とからなる円弧状の係止孔が形成されており、
前記第1位置では前記係止突起が前記第1係止孔部分に位置し、前記第2位置では前記係止突起が前記第2係止孔部分に位置して、前記係止突起の挟持部が前記第2係止孔部分に係止される請求項4記載の自転車。 - 前記係止孔は前記貫通孔の周囲に複数形成され、前記外側カバー体の前部は前記クランク軸が挿通する挿通孔を有し、前記挿通孔の周囲に前記複数の係止孔に対応して複数の係止突起が形成されている請求項5記載の自転車。
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