JP4562598B2 - 研磨布 - Google Patents

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Description

本発明は、研磨布に係り、特に、一面側に被研磨物を研磨するための研磨層を有し他面側が定盤に装着される研磨布に関する。
従来、レンズ、平行平面板、反射ミラー等の光学材料、ハードディスク用基板、半導体ウエハ(シリコンウエハ)、液晶ディスプレイ用ガラス基板等の材料(被研磨物)では、高精度な平坦性が要求されるため、研磨布を使用した研磨加工が行われている。通常、研磨加工には、被研磨物の両面を同時に研磨する両面研磨機、又は、片面を研磨する片面研磨機が使用されている。両面研磨機では、表面が平坦な上下定盤にそれぞれ研磨布を装着し研磨粒子等を含む研磨液を供給しながら被研磨物の両面が研磨加工される。一方、片面研磨機では、表面が平坦な保持定盤に被研磨物の一面側を保持させ、表面が平坦な研磨定盤に研磨布を装着し研磨液を供給しながら被研磨物の他面(加工表面)側が研磨加工される。
一般に、研磨布には、ポリウレタン等の樹脂を含浸した不織布等の繊維シート、ポリウレタン等の樹脂を湿式成膜した軟質発泡シート、樹脂を乾式成形後にシート状に切断した硬質発泡シート、無発泡の樹脂シート等が使用されている。これらのシートは、被研磨物の表面を研磨するための研磨層を有しており、その表面性状や研磨加工時に供給される研磨液中の研磨粒子の保持性等が異なることから、被研磨物の性質や研磨加工方法に合わせて選択される。このような研磨布で研磨加工するときには、通常、接着剤を使用して定盤に研磨布が装着される。例えば、研磨布の定盤側の面に接着剤を塗布しておき、そのまま定盤に装着する技術(特許文献1参照)やポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)等の基材の両面に接着剤を塗着した両面テープで装着する技術(特許文献2参照)が開示されている。
ところが、定盤に研磨布を装着するときに両面テープ等の接着剤を使用すると、研磨布及び定盤間にエアの咬み込みを生じることがあり、エア抜きができずに研磨布及び定盤間にエアが貯留する。エアが貯留したまま研磨加工を行うと、エアの貯留部分で被研磨物にかかる圧力が大きくなるため、当該部分の加工表面が大きく研磨加工され(エア貯留部分が被研磨物に転写され)て平坦性を損なうこととなる。このため、研磨布の貼り直しが必要となるが、両面テープで一度貼付した研磨布を剥離すると、却ってしわ等が発生する。特に、大型の研磨布ではエアの咬み込みが生じやすいため、定盤への装着には熟練を要する。研磨布の装着時にエアの咬み込みを防止するために、研磨布にドリル等で上下に貫通する孔を形成した研磨布が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
また、研磨布の寿命等で定盤から研磨布を剥離すると、両面テープ等の接着剤が定盤に付着したまま残る糊残りが生じる。糊残りが生じたまま新しい研磨布を装着すると、糊残りが生じた部分が盛り上がり平坦性を損なうため、研磨布の交換時には毎回、定盤に付着している接着剤(糊)等を剥がし取る清掃作業が必要となる。接着剤を剥がし取る手間を軽減するために、両面テープの基材を易接着タイプとすることで定盤への糊残りを生じ難くする技術が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開平8−293477号公報 特開2000−77366号公報 特開2001−219362号公報 特開2005−81486号公報
しかしながら、特許文献3の技術では、研磨布に上下に貫通する孔が形成されているため、エアの咬み込みを解消することはできるものの、定盤への装着には両面テープが使用されるため、研磨布を剥離するときや貼り直すときには、定盤に糊残りが生じる。このため、新しい研磨布を装着するには清掃作業が必要となり研磨布の装着の作業性が低下する。また、特許文献4の技術では、両面テープの基材が易接着タイプのため、基材及び定盤間の接着剤の基材に対する接着力が定盤に対する接着力より大きくなることから、研磨布を剥離するときに接着剤を研磨布と共に剥がし易くはなるものの、定盤に対する糊残りを防止するには不十分である。
本発明は上記事案に鑑み、定盤に容易に装着可能で装着の作業性を向上させることができる研磨布を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、一面側に被研磨物を研磨するための研磨層を有し他面側が定盤に装着される研磨布において、前記研磨布は、前記研磨層を有する研磨シート及び湿式成膜により形成されたスキン層を有する軟質プラスチックシートの背面同士が貼り合わされており、前記スキン層の表面側で前記定盤に装着されることを特徴とする。
本発明の研磨布では、研磨層を有する研磨シート及びスキン層を有する軟質プラスチックシートの背面同士が貼り合わされているため、定盤に装着する側に軟質プラスチックシートのスキン層が位置することから、該スキン層に水等の液体を含ませることでスキン層の微多孔に浸入した液体の表面張力が作用するので、水等の液体のみで定盤に研磨布を容易に装着することができ、定盤への装着の作業性を向上させることができる。また、研磨布を交換するときには、従来の両面テープ等の接着剤を使用する場合と比較して、定盤に接着剤が残留しないので、再装着に手間がかからない。
この場合において、研磨シート及び軟質プラスチックシートの背面同士が、基材と該基材の両面に配された粘着剤とを有する接着部材で貼り合わされていれば、研磨シート及び軟質プラスチックシートを個別に接着部材と貼り合わせることができ、貼り合わせ作業を容易に行うことができる。また、軟質プラスチックシートが、スキン層の内側に発泡層を有していれば、発泡層が弾性を有するので、定盤の表面に若干の歪みが生じていても研磨層側の表面を平坦にすることができる。更に、孔形成剤により、湿式成膜時に軟質プラスチックシートのスキン層の表面に多孔が更に形成されており、該多孔が発泡層に形成された発泡と連通していれば、定盤への装着時にエアの咬み込みが生じても多孔を通じて発泡層の発泡にエアが吸い込まれるので、エアの貯留を防止することができる。また、研磨シート及び軟質プラスチックシートのうち、少なくとも軟質プラスチックシートの背面側が、厚さが一様となるようにバフ処理されていれば、スキン層及び研磨層を損なうことなく研磨布の厚さを略均一とすることができ、スキン層側で定盤に平坦に装着することができる。また、研磨シートが、研磨層の内側に研磨布に弾性を付与する弾性層を有していてもよい。
本発明によれば、研磨布が、研磨層を有する研磨シート及びスキン層を有する軟質プラスチックシートの背面同士が貼り合わされているため、定盤に装着する側に軟質プラスチックシートのスキン層が位置することから、該スキン層に水等の液体を含ませることでスキン層の微多孔に浸入した液体の表面張力が作用するので、水等の液体のみで定盤に研磨布を容易に装着することができ、定盤への装着の作業性を向上させることができる、という効果を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明を適用した仕上げ研磨加工用の研磨パッドの実施の形態について説明する。
(研磨パッド)
図1に示すように、研磨パッド1は、ポリウレタン樹脂で形成された軟質プラスチックシートとしてのポリウレタンシート2と、ポリウレタン樹脂で形成された研磨シートとしてのポリウレタンシート6とを有している。ポリウレタンシート2は、研磨定盤に装着するための装着面Q側にスキン層(表面層)2aを有しており、スキン層2aの内側(ポリウレタンシート2の内部)にナップ層(発泡層)2bを有している。ポリウレタンシート6は、研磨加工時に研磨粒子を含む研磨液を介して被研磨物に当接可能な研磨面P側にスキン層6aを有しており、スキン層6aの内側(ポリウレタンシート6の内部)にナップ層6bを有している。ポリウレタンシート2の装着面Qの背面と、ポリウレタンシート6の研磨面Pの背面とが、両面テープ3(接着部材)を介して貼り合わされている。両面テープ3は、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルムの基材4の両面に粘着剤5が塗着されている。研磨面Pの背面側及び装着面Qの背面側は、それぞれポリウレタンシート2、6の厚さ(図1の縦方向の長さ)が一様となるようにバフ処理されている(詳細後述)。このため、研磨パッド1を装着面Q側で研磨定盤に装着することで研磨面Pが略平坦となる。
ポリウレタンシート2のスキン層2aには、図示を省略した緻密な微多孔が形成されている。ナップ層2bには、ポリウレタンシート2の厚さ方向に沿って丸みを帯びた断面略三角状の発泡7が形成されている。発泡7は、装着面Q側の孔径が装着面Qの背面側より小さく形成されている。発泡7同士の間のポリウレタン樹脂中には、スキン層2aに形成された微多孔より孔径が大きくナップ層2bに形成された発泡7より孔径が小さな図示しない発泡が形成されている。発泡7及び図示しない発泡は、不図示の連通孔で立体網目状につながっている。
ポリウレタンシート2の装着面Q(スキン層2aの表面)には、ナップ層2bに形成された発泡7と連通した多孔8が更に形成されている。多孔8の孔径は、スキン層2aに形成された微多孔より大きく、ナップ層2bに形成された発泡7より小さく形成されている。多孔8及び発泡7を連通する連通孔の孔径は、スキン層2aの微多孔の孔径より大きく形成されている。この多孔8は、後述するポリウレタンシート2の成膜時にポリウレタン樹脂溶液に添加された孔形成剤で形成される。
ポリウレタンシート6のスキン層6aには、図示を省略した緻密な微多孔が形成されている。ナップ層6bには、ポリウレタンシート6の厚さ方向に沿って丸みを帯びた断面略三角状の発泡7が形成されている。発泡7は、研磨面P側の孔径が研磨面Pの背面側より小さく形成されている。発泡7同士の間のポリウレタン樹脂中には、スキン層6aに形成された微多孔より孔径が大きくナップ層6bに形成された発泡7より孔径が小さな図示しない発泡が形成されている。発泡7及び図示しない発泡は、不図示の連通孔で立体網目状につながっている。ポリウレタンシート6の研磨面P側で、スキン層6aと、ナップ層6bの一部とを含む研磨加工に使用可能な厚さ分が研磨層を構成している。
(研磨パッドの製造)
研磨パッド1は、図2に示す各工程に従い、ポリウレタンシート2、6をそれぞれ作製した後、背面同士を貼り合わせることで製造される。
ポリウレタンシート2の作製では、まず、準備工程で、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂を溶解可能な水混和性の有機溶媒のN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)、添加剤及び孔形成剤を混合してポリウレタン樹脂を溶解させる。ポリウレタン樹脂には、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等の樹脂から選択して用い、例えば、ポリウレタン樹脂が30%となるようにDMFに溶解させる。添加剤としては、発泡7の大きさや量(個数)を制御するカーボンブラック等の顔料、発泡を促進させる親水性活性剤及びポリウレタン樹脂の凝固再生を安定化させる疎水性活性剤等を用いることができる。
また、孔形成剤としては、ポリウレタン樹脂溶解用のDMFに可溶性であり、水に難溶性又は不溶性のセルロース誘導体を所定量添加する。セルロース誘導体には、少なくともエステル系誘導体、エーテル系誘導体、エーテルエステル系誘導体及び芳香族含有誘導体から選択される1種を使用することができる。エステル系誘導体には、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースバレレート、セルロースアセテートブチレート等を挙げることができる。エーテル系誘導体には、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等を挙げることができる。エーテルエステル系誘導体には、アセチルエチルセルロース、アセトキシプロピルセルロース等を挙げることができる。このセルロース誘導体の添加量は、スキン層2aの表面での多孔8の孔径に合わせて設定する。得られた溶液を濾過することで凝集塊等を除去した後、真空下で脱泡してポリウレタン樹脂溶液を得る。
塗布工程、凝固再生工程及び洗浄・乾燥工程では、準備工程で得られたポリウレタン樹脂溶液を成膜基材に連続的に塗布し、水系凝固液に浸漬することでポリウレタン樹脂を凝固再生させ、洗浄後乾燥させてポリウレタンシートを得る。塗布工程、凝固再生工程及び洗浄・乾燥工程は、図3に示す成膜装置で連続して実行される。
図3に示すように、成膜装置60は、成膜基材の不織布や織布を前処理するための水又はDMF水溶液(DMFと水との混合液)等の前処理液15が満たされた前処理槽10、ポリウレタン樹脂を凝固再生させるための、ポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液25が満たされた凝固槽20、凝固再生後のポリウレタン樹脂を洗浄するための水等の洗浄液35が満たされた洗浄槽30及びポリウレタン樹脂を乾燥させるためのシリンダ乾燥機50を連続して備えている。
前処理槽10の上流側には、成膜基材43を供給する基材供給ローラ41が配置されている。前処理槽10には、成膜基材43の搬送方向と同じ長手方向の略中央部の内側下部に一対のガイドローラ対13が配置されている。前処理槽10の上方で、基材供給ローラ41側にはガイドローラ11、12が配設されており、凝固槽20側には前処理した成膜基材43に含まれる過剰な前処理液15を除去するマングルローラ18が配置されている。マングルローラ18の下流側には、成膜基材43にポリウレタン樹脂溶液45を略均一に塗布するナイフコータ46が配置されている。ナイフコータ46の下流側で凝固槽20の上方にはガイドローラ21が配置されている。
凝固槽20には、洗浄槽30側の内側下部にガイドローラ23が配置されている。凝固槽20の上方で洗浄槽30側には凝固再生後のポリウレタン樹脂を脱水処理するマングルローラ28が配置されている。マングルローラ28の下流側で洗浄槽30の上方にはガイドローラ31が配置されている。洗浄槽30には、成膜基材43の搬送方向と同じ長手方向で上部に4本、下部に5本のガイドローラ33が上下交互となるように配設されている。洗浄槽30の上方でシリンダ乾燥機50側には、洗浄後のポリウレタン樹脂を脱水処理するマングルローラ38が配置されている。シリンダ乾燥機50には、内部に熱源を有する4本のシリンダが上下4段に配設されている。シリンダ乾燥機50の下流側には、乾燥後のポリウレタン樹脂を(成膜基材43と共に)巻き取る巻取ローラ42が配置されている。なお、マングルローラ18、28、38、シリンダ乾燥機50及び巻取ローラ42は、図示を省略した回転駆動モータに接続されており、これらの回転駆動力により成膜基材43が基材供給ローラ41から巻取ローラ42まで搬送される。
成膜基材43に不織布又は織布を用いる場合は、成膜基材43が基材供給ローラ41から引き出され、ガイドローラ11、12を介して前処理液15中に連続的に導入される。前処理液15中で一対のガイドローラ13間に成膜基材43を通過させて前処理(目止め)を行うことにより、ポリウレタン樹脂溶液45を塗布するときに、成膜基材43内部へのポリウレタン樹脂溶液45の浸透が抑制される。成膜基材43は、前処理液15から引き上げられた後、マングルローラ18で加圧されて余分な前処理液15が絞り落とされる。前処理後の成膜基材43は、凝固槽20方向に搬送される。なお、成膜基材43としてPET製等の可撓性フィルムを用いる場合は、前処理が不要のため、ガイドローラ12から直接マングルローラ18に送り込むようにするか、又は、前処理槽10に前処理液15を入れないようにしてもよい。以下、本例では、成膜基材43をPET製フィルムとして説明する。
図2に示すように、塗布工程では、準備工程で調製したポリウレタン樹脂溶液45が常温下でナイフコータ46により成膜基材43に略均一に塗布される。このとき、ナイフコータ46と成膜基材43の上面との間隙(クリアランス)を調整することで、ポリウレタン樹脂溶液45の塗布厚さ(塗布量)を調整する。
凝固再生工程では、ナイフコータ46でポリウレタン樹脂溶液45が塗布された成膜基材43が、ガイドローラ21からガイドローラ23へ向けて凝固液25中に導入される。凝固液25中では、まず、塗布されたポリウレタン樹脂溶液45の表面でポリウレタン樹脂溶液45のDMFと凝固液25との置換が進行して緻密な微多孔が形成される。この微多孔は厚さ数μm程度に形成されスキン層2aを構成する。その後、スキン層2a及び成膜基材43間のポリウレタン樹脂溶液45中のDMFと凝固液25との置換の進行によりポリウレタン樹脂が成膜基材43の片面に凝固再生される。DMFの脱溶媒による凝固液25との置換に伴い、スキン層2aの内側には発泡7、及び、発泡7を立体網目状に連通する連通孔が形成されてナップ層2bを構成する。スキン層2aの厚さが数μm程度であることから、ポリウレタン樹脂溶液45の塗布厚さの大部分でナップ層2bが形成されるため、ナップ層2bの厚さはスキン層2aの厚さより大きくなる。また、脱溶媒時に、ポリウレタン樹脂溶液45に添加されているセルロース誘導体で多孔8が形成され、多孔8及び発泡7を連通する連通孔が形成される。発泡7は、PET製フィルムの成膜基材43が水を浸透させないため、ポリウレタン樹脂溶液45の表面側(スキン層2a側)で脱溶媒が生じて成膜基材43側が表面側より大きく形成される。
ここで、多孔8の形成について説明すると、ポリウレタン樹脂溶液45中では、セルロース誘導体及びポリウレタン樹脂の相溶性が乏しいため、2相分離していると考えられる。その上、ポリウレタン樹脂の凝固再生時には、セルロース誘導体及びポリウレタン樹脂の凝固液25中での凝固特性が異なるため、収縮量に差が生じ、また、相溶性が乏しいことから、セルロース誘導体及びポリウレタン樹脂間の界面接合力が小さくなり脱離的現象も生じるので、多孔8が形成されると考えられる。このため、多孔8はスキン層2aの微多孔より大きくナップ層2bの発泡7より小さくなり、多孔8及び発泡7を連通する連通孔の孔径は微多孔の孔径より大きくなる。
ポリウレタン樹脂の凝固再生は、ポリウレタン樹脂溶液45が塗布された成膜基材43が凝固液25中に進入してからガイドローラ23に到る間に完了する。凝固再生したポリウレタン樹脂は、凝固液25から引き上げられ、マングルローラ28で余分な凝固液25が絞り落とされた後、ガイドローラ31を介して洗浄槽30に搬送され洗浄液35中に導入される。
洗浄・乾燥工程では、洗浄液35中に導入されたポリウレタン樹脂をガイドローラ33に上下交互に通過させることによりポリウレタン樹脂が洗浄される。洗浄後、ポリウレタン樹脂は洗浄液35から引き上げられ、マングルローラ38で余分な洗浄液35が絞り落とされる。その後、ポリウレタン樹脂を、シリンダ乾燥機50の4本のシリンダ間を交互(図3の矢印方向)に、シリンダの周面に沿って通過させることで乾燥させる。乾燥後のポリウレタン樹脂は、成膜基材43と共に巻取ローラ42に巻き取られる。
裏面バフ処理工程では、乾燥後のポリウレタンシートの装着面Qの背面(裏面)側にバフ処理が施される。図4(A)に示すように、巻取ローラ42に巻き取られたポリウレタンシート2は成膜基材43のPET製フィルム上に形成されている。成膜時にはポリウレタンシート2の厚さにバラツキが生じるため、装着面Qには凹凸が形成されている。成膜基材43を剥離した後、図4(B)に示すように、装着面Qの表面に、表面が平坦な圧接ローラ65の表面を圧接することで、装着面Qが平坦となり、装着面Qの背面N側に凹凸が出現する。背面N側に出現した凹凸がバフ処理で除去される。本例では、連続的に製造されたポリウレタンシート2が帯状のため、装着面Qに圧接ローラ65を圧接しながら、背面N側を連続的にバフ処理する。これにより、図4(C)に示すように、背面N側がバフ処理されて平坦な背面N’が形成されたポリウレタンシート2は、厚さのバラツキが解消される。なお、図4(C)では説明をわかりやすくするために装着面Q及び背面N’を平坦に示しているが、ポリウレタンシート2の単体では両面共にポリウレタンシート2の厚さが一様となる凹凸を呈している。
ポリウレタンシート6の作製では、図2に示す準備工程で、孔形成剤を添加せずにポリウレタン樹脂溶液を調製する以外は、上述したポリウレタンシート2の作製と同様に、湿式成膜し(図3参照)、研磨面Pの背面側をバフ処理する(図4参照)。このため、ポリウレタンシート6のスキン層6aには、多孔8は形成されない。
図2に示すように、貼り合わせ工程では、ポリウレタンシート2の装着面Qの背面とポリウレタンシート6の研磨面Pの背面とを貼り合わせる。ポリウレタンシート2、6の貼り合わせには、基材4の両面に粘着剤5が塗着された両面テープ3を使用する。このとき、両面テープ3の片面にポリウレタンシート2を貼り合わせ、両面テープ3のもう片面にポリウレタンシート6を貼り合わせる。基材4には、PET等の可撓性フィルムを使用することができ、使用可能な粘着剤5としては、例えば、アクリル系粘着剤等を挙げることができる。裁断工程で円形等の所望の形状、サイズに裁断した後、汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を行い、研磨パッド1を完成させる。
被研磨物の研磨加工を行うときは、片面研磨機の研磨定盤に研磨パッド1を装着面Q側で装着し、研磨面P側で被研磨物の研磨加工を行う。図5に示すように、片面研磨機70は、下側に回転可能な研磨定盤71、上側に被研磨物78を押圧する加圧定盤72を備えている。研磨定盤71の上面及び加圧定盤72の下面は、いずれも平坦に形成されている。研磨定盤71の上面には研磨パッド1が装着されており、加圧定盤72の下面には被研磨物78を保持するための保持パッド75が貼付されている。研磨定盤71に研磨パッド1を装着するときは、研磨パッド1の装着面Q側に適量の水を含ませて研磨定盤71に押し付ける。装着面Q側のスキン層2aの微多孔に浸入した水の表面張力が研磨パッド1及び研磨定盤71間に作用すると共に、ポリウレタンシート2のポリウレタン樹脂の粘着性で研磨パッド1が研磨定盤71に装着される。研磨加工時には、被研磨物78及び研磨パッド1間に研磨粒子を含む研磨液を供給すると共に、加圧定盤72で被研磨物78に圧力をかけながら研磨定盤71を回転させることで、被研磨物78の下面(加工表面)が研磨加工される。
(作用等)
次に、本実施形態の研磨パッド1の作用等について説明する。
本実施形態の研磨パッド1では、ポリウレタンシート2の装着面Qの背面と、ポリウレタンシート6の研磨面Pの背面とが貼り合わされている。このため、微多孔が形成されたスキン層2aが装着面Q側に位置するので、スキン層2aの表面が研磨定盤71に装着される。研磨定盤71への装着では、スキン層2aに少量の水を含ませることで微多孔に浸入した水の表面張力等が作用するので、水のみで装着を容易に行うことができる。従って、研磨定盤71への装着時に位置ズレ、エアの咬み込み等が生じても容易に貼り直すことができるため、装着作業に熟練を要することなく大型の研磨パッドでも平坦かつ容易に装着することができる。
また、従来の研磨パッドでは、研磨定盤への装着に両面テープ等の接着剤が使用されるため、一度装着した研磨パッドを研磨定盤から剥離するためには接着剤の接着力以上の力を要し、剥離時に研磨定盤に接着剤が残留(糊残り)することがある。接着剤が残留していると、新たな研磨パッドを装着したときに糊残り部分が盛り上がるため、研磨パッドの表面(研磨面)の平坦性が損なわれる。これを避けるため、寿命等で研磨パッドを交換するときや貼り直しをするときには、研磨定盤に残留している接着剤を完全に剥がし取る清掃作業が必要となるので、清掃作業に手間がかかり装着の作業性を低下させる。これに対して本実施形態の研磨パッド1では、水のみで研磨定盤に装着することができるため、容易に剥離することができ、更に接着剤の残留が発生しない。このため、簡単に剥離でき、剥離したときの研磨定盤71の清掃を簡略化することができるので、手間をかけることなく研磨パッド1の脱・装着の作業性を向上させることができる。
更に、本実施形態の研磨パッド1では、ポリウレタンシート2、6の貼り合わせに、基材4の両面に粘着剤5を塗着した両面テープ3が使用されており、この基材4にはPET製フィルムが用いられている。このため、ポリウレタンシート2、6を個別に両面テープ3と貼り合わせることができ、貼り合わせ作業を容易に行うことができる。また、研磨定盤71の表面が若干の歪みを有していても発泡7が形成されたナップ層2bが弾性を有することから、基材4を介してポリウレタンシート2が研磨定盤71側へ押し付けられることでナップ層2bが変形し研磨定盤71の歪みを緩和することができる。更に、ポリウレタンシート6のナップ層6bが発泡7で弾性を有するため、研磨加工時に被研磨物に略均等に当接可能とすることができる。
また更に、本実施形態の研磨パッド1では、ポリウレタンシート2の装着面Qの背面、及び、ポリウレタンシート6の研磨面Pの背面がそれぞれポリウレタンシート2、6の厚さが一様となるようにバフ処理されている。このため、研磨面Pを含む研磨層及びスキン層2aを損なわずにポリウレタンシート2、6の厚さがそれぞれ均一化されるので、研磨パッド1全体の厚さが略均一となる。これにより、平坦な研磨定盤71に装着することで研磨面Pが略平坦となるので、スキン層6aを使用した仕上げ研磨加工で被研磨物78の加工表面の平坦性を向上させることができる。
更にまた、本実施形態の研磨パッド1では、装着面Qにナップ層2bの発泡7と連通した多孔8が形成されている。このため、スキン層2aに水を含ませて片面研磨機70に装着したとき、弾性を有するポリウレタンシート2が変形しナップ層2bの発泡7が変形する。これにより、研磨定盤71及び研磨パッド1間にエアの咬み込みが生じても、発泡7と連通した多孔8を通じて発泡7にエアが収容される(吸い込まれる)ので、研磨定盤71及び研磨パッド1間でのエアの貯留を防止することができる。このとき、スキン層2aには水を含ませているため、スキン層2aの微多孔にはエアが入り込むことができないが、多孔8では孔径が微多孔より大きいため、エアが入り込むことができる。従って、エアが貯留しないため、研磨パッド1を略平坦に装着することができると共に、研磨パッド1の装着力を高めることができるので、被研磨物78の加工表面を平坦に研磨加工することができる。
また、本実施形態の研磨パッド1では、ナップ層2bに形成された発泡7の孔径が多孔8より大きいため、スキン層2a及び研磨定盤71間に咬み込まれたエアを確実に収容することができる。更に、多孔8及び発泡7を連通する連通孔の孔径が、スキン層2aの微多孔の孔径より大きいため、咬み込まれたエアを円滑に収容することができる。また、発泡7間は連通孔で立体網目状に連通しているため、エアの咬み込み量が大きくてもナップ層2bに形成された発泡7の全体でエアを収容することができる。
なお、本実施形態の研磨パッド1では、軟質プラスチックシートにポリウレタン樹脂で形成したポリウレタンシート2を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、装着面Q側にスキン層2aを有していればよい。使用可能な樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。また、ポリウレタン樹脂を用いれば、湿式成膜法で容易にスキン層2aを形成することができ、樹脂自体の粘着性で研磨定盤71への装着力を高めることができる。
また、本実施形態の研磨パッド1では、研磨シートにポリウレタン樹脂を湿式成膜したポリウレタンシート6を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態以外で用いることができる研磨シートとしては、被研磨物の表面を研磨するための研磨層を有していればよく、例えば、ポリウレタン等の樹脂を含浸した不織布等の繊維シート、樹脂を乾式成形後にシート状に切断した硬質発泡シート、無発泡の樹脂シート等を挙げることができる。更に、ポリウレタンシート6の研磨面P側にスキン層6aを有する例を示したが、スキン層6aをバフ処理で除去してナップ層6bの発泡7を開孔させるようにしてもよい。このようにすれば、研磨液中の研磨粒子を発泡7に貯留させながら研磨加工を行うことができるので、例えば、研磨量を大きくする一次研磨加工にも使用することができる。また、硬質発泡シートを用いることで、化学的機械的研磨加工(Chemical Mechanical Polishing)に使用することができる。この場合、硬質発泡シートの研磨面の内側に形成される発泡の空隙率を調整することで、弾性を有する弾性層として機能させることができる。
更に、本実施形態の研磨パッド1では、ポリウレタンシート2、6の貼り合わせに、基材4の両面に粘着剤5を塗着した両面テープ3を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、基材4、粘着剤5をそれぞれ別に準備して貼り合わせるようにしてもよい。作業の簡便性を考慮すれば、両面テープ3を使用することが好ましい。また、基材4を使用せず粘着剤5のみで貼り合わせることも可能である。この場合、図6に示すように、研磨パッド81は、ポリウレタンシート6の研磨面Pの背面と、ポリウレタンシート2の装着面Qの背面とが粘着剤5のみで貼り合わされる。更に、ポリウレタンシート2、6の貼り合わせる面を加熱しながら貼り合わせることで粘着剤5を使用することなく樹脂自体の粘着性で貼り合わせてもよい。加熱時の温度管理で平坦性を確保しつつ貼り合わせることが可能である。このようにすれば、基材4や粘着剤5のコスト分を削減することができる。また、本実施形態では、基材4にPET製フィルムを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、不織布や織布等を使用してもよい。
また更に、本実施形態の研磨パッド1では、ポリウレタンシート2に多孔8を形成させる孔形成剤としてセルロース誘導体を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ポリウレタン樹脂の溶解に使用する有機溶媒に可溶性であり、凝固液に用いられる水に難溶性又は不溶性のものであればよい。このような孔形成剤としてはセルロース誘導体以外に、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニリデン/塩化ビニル共重合体、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の高分子化合物を挙げることができ、これらの高分子化合物や上述したセルロース誘導体の2種以上を混合して使用してもよい。また、ポリウレタン樹脂溶液45に添加するセルロース誘導体の添加量を変えることで、多孔8の孔径を調整することができる。
更にまた、本実施形態の研磨パッド1では、裏面バフ処理工程で研磨面P、装着面Qに圧接ローラ65を圧接させながら背面N側を連続的にバフ処理する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、バフ処理前のポリウレタンシートを所望の大きさに裁断した後、研磨面P、装着面Qに、平坦な表面を有する平板を圧接して背面N側をバフ処理してもよい。また、本実施形態では、成膜基材43にPET製フィルムを使用する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、不織布や織布を使用してもよい。この場合には、ポリウレタン樹脂の凝固再生後に成膜基材43を剥離することが難しいため、成膜基材43のポリウレタン樹脂が再生された面の反対面側をバフ処理することで、厚さを均一化してもよい。
また、本実施形態では、湿式成膜したポリウレタンシート2、6は、バフ機等で研磨面Pの背面側、装着面Qの背面側がバフ処理されるが、このときのバフ処理量はポリウレタンシート2、6の厚さの範囲(最大厚さと最小厚さとの差)の2倍以上の厚みをバフ処理することが望ましい。バフ処理ではサンドペーパーやダイヤモンドバフロール等の種々のものが使用されるが、均一な処理(研削除去)ができるものであればいずれも使用することができる。このとき、バフ番手(砥粒の粗さを示す番号)を高くする程、細かな砥粒で研削でき均一なバフ処理ができる。更に、バフ処理を、1回目で低いバフ番手(粗い砥粒)で研削をし、2回目で1回目より高いバフ番手のもので研削量を小さくしてバフ仕上げ処理することで、厚み精度を更に上げることもできる。また、例えば、ポリウレタンシート6に代えて、上述した研磨シートを使用することで研磨シートの厚み精度を向上させれば、ポリウレタンシート2のみをバフ処理すればよい。更に、成膜時にポリウレタン樹脂溶液45の塗布厚さの調整精度を高めることで、ポリウレタンシート2、6の厚み精度を向上させれば、バフ処理せずにそのまま貼り合わせることも可能である。また、基材4の一面側に湿式成膜で直接ポリウレタンシート2を形成し、他面側に上述した研磨シートを貼り合わせてもよい。更に、研磨シートについても基材を含めて作製し、これら基材面同士を接着剤、両面テープ等で貼り合わせてもよい。
更に、本実施形態では、ポリウレタン樹脂溶液45の塗布にナイフコータ46を例示したが、例えば、リバースコータ、ロールコータ等を用いてもよく、基材43に略均一な厚さに塗布可能であれば特に制限されるものではない。また、本実施形態では、ポリウレタン樹脂の乾燥にシリンダ乾燥機50を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、熱風乾燥機等を用いてもよい。
以下、本実施形態に従い製造した研磨パッド1の実施例について説明する。なお、比較のために製造した比較例の研磨パッドについても併記する。
(実施例1)
実施例1では、ポリウレタン樹脂として、ポリエステルMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)ポリウレタン樹脂を用いた。粘度調整用のDMFの50部、顔料のカーボンブラックを30%含むDMF分散液の20部を混合した。ポリウレタンシート2の作製では、セルロース誘導体としてセルロースアセテートブチレートを、ポリウレタン樹脂を30%含むDMF溶液100部に対して0.2部添加した。このとき、セルロースアセテートブチレートは固形物(固体)であるので、均一に混合させるために予め少量の粘度調整用のDMFで溶解して添加した。ポリウレタン樹脂溶液45を塗布する際に塗布装置のクリアランスを1mmに設定した。洗浄工程での洗浄効果を高めるために凝固再生後の洗浄を温水で行った。得られたポリウレタンシート2、6の厚さバラツキは、標準偏差σが0.013mmであった。裏面バフ処理工程では、バフ番手♯180のサンドペーパーを用い、バフ処理量を0.25mmとした。ポリウレタンシート2、6を両面テープ3で貼り合わせることで実施例1の研磨パッド1を製造した。
(実施例2)
実施例2では、両面テープ3に代えて粘着剤5のみでポリウレタンシート2、6を貼り合わせること以外は実施例1と同様にした(図6参照)。
(比較例1)
比較例1では、ポリウレタンシート6の研磨面Pの背面側をバフ処理せずに両面テープ3の片面を貼り合わせることで比較例1の研磨パッドを製造した。従って、比較例1の研磨パッドは、定盤への装着に両面テープ3を使用する従来の研磨パッドである。なお、両面テープ3のもう片面には剥離紙が貼付されている。
(評価)
次に、実施例及び比較例の研磨パッドについて、厚さ及びエア貯留の有無を測定した。厚さは、ダイヤルゲージ(最小目盛り0.01mm)を使用し加重100g/cmをかけて測定した。縦1m×横1mの研磨パッド1を縦横10cmピッチで最小目盛りの10分の1(0.001mm)まで読み取り、厚さの平均値、標準偏差σ、及び、最大厚さと最小厚さとの差を範囲Rとして求めた。エア貯留の有無は、オスカー式ガラス研磨機(加工回転数:30〜100rpm、加工圧力:30〜200gf/cm)を使用し、以下の方法で測定した。実施例の研磨パッド1の装着面Qに水をスプレで吹き付けた後、表面の水をワイパで軽く除き、表面が略平坦な直径1000mmの下定盤(研磨定盤71)に、少量のエアを故意に咬み込ませて装着した。比較例の研磨パッドは、剥離紙を剥がし、実施例と同様にエアを咬み込ませて研磨定盤に貼り付けた。次に、直径670mmの上定盤(加圧定盤72)に保持パッド75を装着し、470mm×370mm×0.7mmのガラス基板を保持させた。ガラス基板を保持させた上定盤を回転させないでそのまま下降させ、ガラス基板に100gf/cmの荷重がかかるように加圧した。1分後、上定盤を上昇させ、ガラス基板の加圧部分(470mm×370mm)においてエアの貯留に伴う研磨パッド1の部分的な盛り上がり状況を目視にて判定した。厚さ及びエア貯留の測定結果を下表1に示した。なお、表1において、比較例1の研磨パッドの厚さは、両面テープの剥離紙を含めて測定し、剥離紙の厚さを減算して求めた数値を示す。
Figure 0004562598
表1に示すように、バフ処理していない比較例1の研磨パッドでは、厚さの範囲Rが0.049mm、標準偏差σが0.012mmを示しており、エア貯留も認められた。このため、比較例1の研磨パッドでは厚さバラツキが大きいため、厚いところでは研磨加工が進み被研磨物に研磨パッドの厚さバラツキが転写されるので、研磨加工後の被研磨物の高度な平坦性を期待することはできない。これに対して、研磨面Pの背面側、装着面Qの背面N側をバフ処理した実施例1及び実施例2の研磨パッド1では、厚さの範囲Rがいずれも比較例1のポリウレタンシートより小さい数値を示し、標準偏差σがそれぞれ0.006mm、0.007mmを示した。このことから、背面側をバフ処理することで、研磨面P、装着面Qを損なうことなくポリウレタンシート2、6の厚さ精度を向上させることができ、研磨パッド1全体の厚さを均一化することができることが判明した。また、実施例1、実施例2の研磨パッド1では、定盤に装着する際に、それぞれの研磨パッド1と定盤との間でエア貯留を解消することができることが判った。両面テープ(基材に塗着された接着剤は一般的には感圧型である。)で定盤に装着する比較例1の研磨パッドでは、エアの咬み込みが生じると解消することができないため、部分的な盛り上がり(凸部)が生じた。このまま研磨加工を行うと被研磨物の平坦性を損なうため、針などで孔を空けて貯留したエアを抜くか、研磨パッドの貼り直し(剥がした研磨パッドを廃棄して新しい研磨パッドに交換する。)が必要となる。
また、比較例1の研磨パッドでは、定盤への装着に両面テープを用いるため、貼り直すとしわが生じてしまい、平坦に装着するのに手間がかかった。比較例1の研磨パッドを交換するときに、定盤に接着剤の残留が認められ、この残留した接着剤を剥がし取る作業にも手間を要した。これに対して、実施例1、実施例2の研磨パッド1では、装着に水のみを用いるため、貼り直しをしても容易に平坦に装着することができた。実施例1、実施例2の研磨パッド1を交換するときでも残った水分を拭き取るだけで、ほとんど手間がかからなかった。更に、実施例1、実施例2の研磨パッド1を用い、オスカー式ガラス研磨機でガラス基板の研磨加工を行った結果、研磨加工中に研磨定盤からの研磨パッド1の剥離が認められなかった。従って、ポリウレタンシート2、6を貼り合わせた研磨パッド1では、スキン層2aに含ませた水の作用で、定盤に容易かつ確実に装着することができ、装着の作業性を向上させることができることが判明した。
本発明は定盤に容易に装着可能で装着の作業性を向上させることができる研磨布を提供するため、研磨布の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
本発明を適用した実施形態の研磨パッドを示す断面図である。 研磨パッドの製造工程を示す工程図である。 研磨パッドのポリウレタンシートの製造に用いる成膜装置の概略構成を示す正面図である。 裏面バフ処理工程でのポリウレタンシートの変化を示す断面図であり、(A)は成膜基材に形成されたポリウレタンシート、(B)は圧接ローラに装着面を圧接したときのポリウレタンシート、(C)は裏面バフ処理後のポリウレタンシートをそれぞれ示す。 研磨パッドを装着した片面研磨機の装着部分を示す断面図である。 本発明を適用した実施例2の研磨パッドを示す断面図である。
符号の説明
P 研磨面
Q 装着面
1 研磨パッド(研磨布)
2 ポリウレタンシート(軟質プラスチックシート)
2a スキン層(表面層)
2b ナップ層
4 PET製フィルム
5 粘着剤
6 ポリウレタンシート(研磨シート)

Claims (6)

  1. 一面側に被研磨物を研磨するための研磨層を有し他面側が定盤に装着される研磨布において、前記研磨布は、前記研磨層を有する研磨シート及び湿式成膜により形成されたスキン層を有する軟質プラスチックシートの背面同士が貼り合わされており、前記スキン層の表面側が前記定盤に装着されることを特徴とする研磨布。
  2. 前記研磨シート及び前記軟質プラスチックシートの背面同士は、基材と該基材の両面に配された粘着剤とを有する接着部材で貼り合わされていることを特徴とする請求項1に記載の研磨布。
  3. 前記軟質プラスチックシートは、前記スキン層の内側に発泡層を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の研磨布。
  4. 前記軟質プラスチックシートは、孔形成剤により、湿式成膜時に前記スキン層の表面に多孔が更に形成されており、該多孔が前記発泡層に形成された発泡と連通していることを特徴とする請求項3に記載の研磨布。
  5. 前記研磨シート及び前記軟質プラスチックシートのうち、少なくとも前記軟質プラスチックシートの背面側が、厚さが一様となるようにバフ処理されていることを特徴とする請求項1に記載の研磨布。
  6. 前記研磨シートは、前記研磨層の内側に、前記研磨布に弾性を付与する弾性層を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の研磨布。
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