JP4562274B2 - 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク等の情報記録媒体に用いられる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、及び情報記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報記録媒体として代表的なものとしては、磁気ディスクがある。今まで、磁気ディスク用の基板材料としては、主としてアルミニウム合金が使用されていた。最近、ノートパソコン用ハードディスクドライブの小型化や磁気記録の高密度化にともなって磁気ヘッドの浮上量が顕著に減少してきている。これに伴い、磁気ディスク基板の表面平滑性について、きわめて高い精度が要求されてきている。
【0003】
しかし、上記要請に対して、アルミニウム合金の場合には、必ずしも十分な硬度を有するとは言えず、高精度の研磨剤及び工作機器を使用して研磨加工を行っても、この研磨面が塑性変形するおそれがあり、ある程度以上高精度の平坦面を製造することは困難である。たとえアルミニウム合金の表面にニッケル−リンめっきを施しても、平均表面粗さRaで5オングストローム以下にすることは極めて困難である。さらに、ハードディスクドライブの小型化・薄型化が進展するにつれて、磁気ディスク用基板の厚みを小さくすることも強く要求されている。しかし、このような要請に対しても、アルミニウム合金は、強度、剛性が十分でないので、ハードディスクドライブの仕様から要求される所定の強度を保持しつつ、ディスクを薄くすることは困難である。
【0004】
そこで、高強度、高剛性、高耐衝撃性、高表面平滑性を必要とされる磁気ディスク用基板として、ガラス基板が登場した。磁気ディスク用ガラス基板としては、基板表面をイオン交換法などで強化した化学強化ガラス基板や、結晶化処理を施した結晶化ガラス基板などが知られている。中でも、高強度、高剛性、高耐衝撃性を有する結晶化ガラス基板が近年注目されている。
【0005】
結晶化ガラス基板の表面は、結晶部と非晶質部とからなるため、基板表面を精密研磨しても結晶部の結晶粒子の平均粒径が大きかったため、高表面平滑性が得られないということがあったが、近年、結晶粒子の平均粒径の微細化を目的とした、高表面平滑性が得られる結晶化ガラス基板が提案されている(例えば、特願2000−216159号明細書等参照)。高表面平滑性を得るためには、上述の結晶粒子の平均粒径の微細化とともに、精密研磨方法も重要な要素である。従来の結晶化ガラス基板の研磨方法としては、例えば、特公平4−4656号公報に記載のものや、特許第2736869号明細書記載のものなどがある。
【0006】
特公平4−4656号公報に記載の結晶化ガラス基板の研磨方法は、比表面積130m2/g以下、粒径320オングストローム以下の球形無水アルミナ微粉末を純水中に懸濁させた液を研磨液として用い、ラップ荷重0.1〜2kg/cm2で精密研磨することで、表面粗度80オングストローム以下、かつ無歪の表面層を形成した磁気ディスク用ガラス基板の製造方法が記載されている。
【0007】
また、特許第2736869号明細書に記載の結晶化ガラス基板の研磨方法は、結晶相が二珪酸リチウム(Li2O・2SiO2)とα−クォーツ(α−SiO2)で、α−クォーツの成長結晶粒子が凝集して、0.3〜3.0μmの球状粒子構造を持つ結晶化ガラス基板を、球状粒子の粒子径よりも小さな砥粒径の研磨剤で研磨することが記載されている。具体的には、平均粒子径が3μm以下の球状粒子が散らしてなる結晶相を有する結晶化ガラスを、球状粒子の粒子径と同等以上の酸化セリウムで研磨した後、球状粒子の粒子径よりも小さな砥粒径のコロイダルシリカで研磨することが記載され、平均表面粗さ18オングストロームの平滑面を得ることが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述の通り、従来の結晶化ガラス基板の研磨方法では、酸化アルミニウム、酸化セリウム、コロイダルシリカなどを用いている。しかし、一般に非晶質ガラス(アモルファスガラス:例えば、化学強化ガラス)の精密研磨に用いられる酸化セリウムを、結晶化ガラスの研磨に適用しても、結晶部と非晶質部との間で研磨速度の差が大きく、研磨面に微細突起や凹部が生成し、高い平滑性が得られないことがわかった。
【0009】
一方、酸化アルミニウムを用いる場合は、砥粒が硬く、メカニカルな研磨作用が強く、研磨面にマイクロスクラッチが発生してしまう。また、コロイダルシリカを用いた場合は、上記のような問題は生じなく、平均表面粗さRaで1nm未満の表面欠陥のない研磨面が得られるが、コロイダルシリカは、研磨速度が非常に遅く、加工効率が著しく悪い。また、研磨液中のケミカル作用で研磨パッドの目詰まりが生じやすく、砥粒が数nm〜数百nmと小さいため、研磨パッドに捕捉されず、被加工物との間で滑りが生じてくることがわかった。即ち、研磨時間が経過するにつれ、研磨速度が遅くなってくるという問題があった。
本発明は、上述の背景の下でなされたものであり、表面欠陥の発生をおさえつつ高い表面平滑性を保ち、かつ、迅速な研磨ができる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するための手段として、第1の手段は、
ガラス基板の表面と研磨部材との間に研磨液を介在させ、ガラス基板と研磨部材とを相対運動させて研磨加工する情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記ガラス基板は、少なくとも基板表面にガラス相とセラミックス相とを有する結晶化ガラスであって、
前記研磨液は、ガラス相(非晶質相)に対してメカノケミカル(機械化学的)な研磨作用を有する第1研磨剤と、セラミックス相(結晶相)に対して主にメカニカル(機械的)な研磨作用を有する第2研磨剤とを混合したものであることを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
第2の手段は、
前記ガラス相(非晶質相)に対してメカノケミカル(機械化学的)な研磨作用を有する第1研磨剤としては、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マンガンの中から選ばれる少なくとも1種であって、
前記セラミックス相(結晶相)に対して主にメカニカル(機械的)な研磨作用を有する第2研磨剤としては、コロイダルシリカ、酸化チタンの中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする第1の手段にかかる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
第3の手段は、
前記研磨液中に占める前記セラミックス相(結晶相)に対して主にメカニカル(機械的)な研磨作用を有する第2研磨剤の含有量を、3〜30wt%とすることを特徴とする第1又は第2の手段にかかる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
第4の手段は、
前記研磨液中に占める前記ガラス相(非晶質相)に対してメカノケミカル(機械化学的)な研磨作用を有する第1研磨剤の含有量を、1〜20wt%とすることを特徴とする第3の手段にかかる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
第5の手段は、
キャリアによって保持されたガラス基板を、研磨布を張った上下定盤に挟持させ、研磨液を供給して上下定盤をそれぞれ回転させることにより、ガラス基板の表面を研磨加工する研磨工程を有する情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、
前記研磨液は、酸化セリウムと酸化ジルコニウムのいずれか一方又は両方と、コロイダルシリカとを混合したものであることを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
第6の手段は、
前記研磨液中にしめるコロイダルシリカの含有量を、3〜30wt%とすることを特徴とする第5の手段にかかる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
第7の手段は、
前記研磨液中にしめる酸化セリウム及び/又は酸化ジルコニウムの含有量を、1〜20wt%とすることを特徴とする第6の手段にかかる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
第8の手段は、
前記酸化セリウム、酸化ジルコニウムの平均粒径が、0.1〜3μm、コロイダルシリカの平均粒径が0.01〜0.2μmであることを特徴とする第5〜第7のいずれかの手段にかかる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
第9の手段は、
前記基板は、結晶化ガラス基板であることを特徴とする第5〜第8のいずれかの手段にかかる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
第10の手段は、
前記結晶化ガラスは、主結晶がエンスタタイト及び/又はその固溶体であることを特徴とする第1又は第9の手段にかかる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
第11の手段は、
前記結晶化ガラスの結晶粒子の平均粒子径は、100nm以下であることを特徴とする第1又は第9の手段にかかる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
第12の手段は、
第1〜第11のいずれかの手段にかかる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によって製造された情報記録媒体用ガラス基板上に、少なくとも記録層を形成することを特徴とする情報記録媒体の製造方法である。
第13の手段は、
前記記録層は、磁性層であることを特徴とする第12の手段にかかる情報記録媒体の製造方法である。
【0011】
上述の第1の手段にかかる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、ガラス基板がガラス相とセラミックス相とを有する結晶化ガラス基板の場合、ガラス相に対してメカノケミカルな研磨作用を有する第1研磨剤と、セラミックス相に対してメカニカルな研磨作用を有する第2研磨剤を混合したものを使用することによって、研磨速度が速く、さらに高い表面平滑性を有するガラス基板が得ることを可能にしている。
この点は、本発明者らが様々な研磨剤について、試行錯誤による実験を繰り返した結果、はじめて解明されたものである。すなわち、この実験結果の過程において、第1研磨剤の種類を変えたり、第1研磨剤として、複数の種類を組み合わせたり、あるいは、第1研磨剤による研磨の後、第2研磨剤による研磨を行う等の試みも条件を種々変えて徹底的になされた。しかし、いずれも、研磨精度と研磨時間との双方を実用的視点から十分に満たす結果は得られなかった。そこで、最後に、第1研磨剤と第2研磨剤とを混合して研磨する試みが念のためになされた。この試みは、それまで得られていた第1研磨剤単独による研磨作用と第2研磨剤単独による研磨作用との組み合わせとして、ある程度予測され、その予測によればあまり期待できないものであった。
ところが、予測に反し、実験が進むにつれ、上記単独の研磨剤の作用を単に組み合わせただけの作用としては説明がつかない際立った作用の得られることが分かってきた。特に、これまで全く困難であった結晶化ガラス基板においても、研磨精度を所定の精度以内におさめつつ研磨時間を画期的に短くできることがわかった。本発明は、このような解明事実に基づいてなされたものである。
【0012】
この場合、研磨方法としては、キャリアによって保持された複数のガラス基板を、研磨布を張った上下定盤に挟持させ、上下定盤を回転させることでガラス基板の両面を研磨加工する両面研磨方法、ガラス基板の表面にナイロン等からなるブラシ毛を回転させて基板の端面等を研磨する研磨方法、ガラス基板を回転させながら研磨テープを押し当てて基板表面を研磨する研磨方法などに利用することができる。
【0013】
本発明で使用するガラス基板の硝種、組成比については特に制限はない。例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノ珪酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、結晶化ガラスなどが挙げられる。尚、ガラス基板の機械的特性を向上させるために、低温型イオン交換法により化学強化した化学強化ガラス基板や、熱処理を施して表面を結晶化させた結晶化ガラス基板にも適用できる。特に本発明は、ガラス相とセラミックス相とを有する結晶化ガラス基板に有用である
【0014】
また、第2の手段のようにガラス相に対してメカノケミカルな研磨作用を有する研磨剤としては、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マンガンの中から選ばれる少なくとも1種の研磨剤とし、セラミックス相に対してメカニカルな研磨作用を有する研磨剤としては、コロイダルシリカ、酸化チタンの中から選ばれる少なくとも1種の研磨剤を使用することができる。尚、コロイダルシリカは、広義のシリカ研磨剤の中に含まれるものであるが、ヒュームドシリカや、シリカ(粉体状)のものを代用することもできる。
【0015】
尚、第3の手段のように、研磨液中に占める、セラミックス相に対してメカニカルな研磨作用を有する研磨剤の含有量を、3〜30wt%とすることにより、研磨速度が速く、表面欠陥が少ない高表面平滑性のガラス基板が得られるので好ましい。3wt%未満の場合、ガラス基板表面にピット(凹状欠陥)と呼ばれる表面欠陥が発生するので好ましくなく、30wt%を超えると研磨後の洗浄性が悪化し、また、研磨布(研磨パッド)の目詰まりが発生し、研磨速度が低下するので好ましくない。
【0016】
また、第4の手段のように、研磨液中に占める、ガラス相に対してメカノケミカルな研磨作用を有する研磨剤の含有量を、1〜20wt%とすることにより、研磨速度が速く、表面欠陥が少ない高表面平滑性のガラス基板が得られるので好ましい。1wt%未満の場合、研磨速度が低下するので好ましくなく、20wt%を超えると研磨後の洗浄性が悪化し、また、製造コストが高くなるので好ましくない。
【0017】
上述の手段において、好ましい態様としては、第5の手段のように、研磨液を酸化セリウムと酸化ジルコニウムの何れか一方又は両方と、コロイダルシリカを混合したものとすることにより、研磨速度が速く、さらに高表面平滑性のガラス基板が得られる。この場合、研磨液中に占めるコロイダルシリカの含有量は、3〜30wt%とすることが好ましい。上限値と下限値の理由は、上記第3の手段に記載した通りである。また、研磨液中に占める酸化セリウム及び/又は酸化ジルコニウムの含有量は、1〜20wt%とすることが好ましい。上限値と下限値の理由は、上記第4の手段に記載した通りである。また、第8の手段のように、酸化セリウム、酸化ジルコニウムの平均粒径は、0.1〜3μm、コロイダルシリカの平均粒径が0.01〜0.2μmとすることが好ましい。
【0018】
研磨工程は、1回又は複数段階に分けて行うこともできる。
複数段階に分けて行う場合、通常、研削工程後に行われる、ガラス基板表面の加工変質層、傷を除去すること、ガラス基板の端部形状を制御することを目的として行われる研磨工程と、ガラス基板表面を平滑にし、表面欠陥を除去することを目的として行われる最終研磨工程とを行う。
【0019】
前者の工程では、比較的硬い発泡ウレタンなどからなる研磨パッド(硬質ポリシャ)を使用し、後者の工程では、比較的柔らかい人工皮革スウェードなどからなる研磨パッド(軟質ポリシャ)を使用する。一次研磨の主目的は研削で残ったキズ等の表面欠陥を除去することで、研磨レートに主眼を置く。最終研磨では表面粗さのコントロールと、硬質なパッドを用いたために1次研磨で残った微少な表面欠陥を完全に除去することを目的としており、加工速度を犠牲にしても軟質なパッドを使用する。
【0020】
複数段階に分けて研磨工程を行う場合、前者の研磨工程においては、上記第3の手段及び第6の手段の研磨剤(コロイダルシリカ等)の含有量の好ましい範囲は10〜30wt%である。上記第4の手段及び第7の手段の研磨剤(酸化セリウム、酸化ジルコニウム等)の含有量の好ましい範囲は、1〜20wt%である。上記第8の手段の研磨剤の粒径は、コロイダルシリカ等の粒径は、0.01〜0.2μm、酸化セリウム、酸化ジルコニウム等の粒径は、1.5〜3μmである。
【0021】
後者の研磨工程においては、上記第3の手段及び第6の手段の研磨剤(コロイダルシリカ等)の含有量の好ましい範囲は3〜30wt%である。前者の研磨工程によって得られた基板の端部形状を維持させるためにより好ましくは3〜10wt%である。上記第4の手段及び第7の手段の研磨剤(酸化セリウム、酸化ジルコニウム等)の含有量の好ましい範囲は1〜20wt%である。上記第8の手段の研磨剤の粒径は、コロイダルシリカ等の粒径は、0.01〜0.2μm、酸化セリウム、酸化ジルコニウム等の粒径は、0.1〜1.5μmとすることが好ましい。
【0022】
研磨工程で使用する硬質ポリシャ、軟質ポリシャの材質には特に制限はない。
硬質ポリシャとしてはウレタンパッド、不織布パッド、エポキシ樹脂パッド等を使用することができ、軟質ポリシャとしてはスウェードパッド、不織布パッド等を使用することができる。
【0023】
また、第9の手段のように、本発明の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、結晶化ガラス基板に特に有用である。結晶化ガラスとしては、エンスタタイト、ムライト、フォステライト、コージェライト、クォーツ(α−クォーツ、β−クォーツ)、スピネル、ガーナイト、カナサイト、二珪酸リチウム等を主結晶とするものが挙げられる。
【0024】
中でも、第10の手段のように、エンスタタイト及び/又はその固溶体を主結晶とする結晶化ガラスは、非常に研磨がしやすく、比較的短い時間で所望の表面粗さが得られるという製造上の利点と、結晶粒子径が小さく高表面平滑性が得られるという利点、さらには結晶粒子径が小さくても高いヤング率が得られるという機械的特性上の利点などから好ましい。具体的には、SiO2:35〜65モル%、Al23:5〜25モル%、MgO:10〜40モル%、TiO2:5〜15モル%、Y23:0〜10モル%、ZrO2:0〜6モル%、R2O:0〜5モル%(但し、Rは、Li,Na,Kからなる群から選ばれる少なくとも1種を表す)、RO:0〜5モル%(但し、RはCa,Sr,Baからなる群から選ばれる少なくとも1種を表す)、As23+Sb23:0〜2モル%、SiO2+Al23+MgO+TiO2:92モル%以上であり、主結晶がエンスタタイト及び/又はその固溶体である結晶化ガラスが挙げられる。
【0025】
また、第11の手段のように、結晶化ガラスの結晶粒子の平均粒子径は、100nm以下とすることが好ましい。好ましくは、50nm以下、更に好ましくは、30nm以下が望ましい。結晶粒子の平均粒子径が100nmを超えると、ガラスの機械強度を低下させるだけでなく、研磨加工時に結晶の欠落を引き起こして、ガラス基板の表面粗度を悪化させる恐れがあるからである。このような結晶粒子のサイズの制御は、主に、含まれる結晶相の種類及び、熱処理条件によって行うことができる。構成11のエンスタタイト及び/又はその固溶体の主結晶が得られる熱処理条件において、上記した微細な結晶粒子サイズを得ることができる。熱処理条件としては、例えば、700〜850℃の範囲で熱処理をした後、さらに、850℃〜1150℃に挙げて結晶を成長させることにより、結晶を微細化させることができる。
【0026】
また、第12の手段のように、前記第1〜第9の手段によって得られた情報記録媒体用ガラス基板上に、少なくとも記録層を形成することで、高密度記録に対応した情報記録媒体が得られる。情報記録媒体としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスクが挙げられる。
【0027】
なかでも、第13の手段のように、記録層が磁性層とする磁気ディスクは、近年の高密度記録化に伴い、記録再生を行う磁気ヘッドと磁気ディスクのスペーシングが非常小さくする必要性から、磁気ディスクに使用する磁気ディスク用ガラス基板の表面が高表面平滑性のものが要求されており、特に有用である。
磁性層としては、Co合金が一般的に使用され、Co以外に、Pt,Cr,Ni,Ta,B,Nb,W等の元素を点かした材料(CoPt,CoNi,CoCr,CoPtCr,CoNiCr,CoCrTa,CoNiPt,CoCrPtTa,CoCrPtB,CoNiCrTa,CoNiCrPt,CoCrPtTaNb等)が使用される。
【0028】
また、所望の磁気特性を得るために、ガラス基板と磁性層との間に、シード層、下地層、中間層等を形成しても良い。また、磁性層上に保護層や潤滑層を設けても良い。シード層は、下地層、磁性層の結晶粒径を制御する役割があり、例えば、NiAl,CrTi,CrNi,NiPなどの材料が使用される。また、下地層は、主に、磁性層の磁気特性を向上する役割があり、CrやCr合金などの材料が使用される。Cr合金としては、CrV,CrMo,CrW,CrTiなどが挙げられ、単層、複数層設けても良い。また、中間層は、主に磁性層の結晶配向を制御する役割があり、CoCr,CoCrNbなどのHCP構造などの材料が使用される。保護層は、磁性層に対する耐食性、機械的耐久性のために設けられ、カーボン、水素化カーボン、窒化カーボン、SiC,SiO2,ZrO2などの材料が使用される。潤滑層は、磁気ヘッドの吸着防止、摩擦低減の役割があり、一般にパーフルオロポリエーテル潤滑材が使用される。これらの各層の膜厚、組成比については、所望な磁気特性、耐久性等が得られるように適宜調整して形成する。
【0029】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
この実施例にかかる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体の製造方法は、(1) 円盤状ガラス基板素材製造工程、(2) 結晶化ガラス製造工程、(3) 形状加工工程、(4) 端面研磨工程、(5) 研削工程、(6) 第1研磨工程、(7) 最終研磨工程、(8) 磁気ディスク製造工程の各工程を有する。以下、各工程を詳細の説明する。
【0030】
(1) 円盤状ガラス基板素材製造工程
まず、SiO2:46.00モル%、Al23:10.50モル%、MgO:31.00モル%、Y23:0.50モル%、ZrO2:1.97モル%、TiO2:10.00モル%、Sb23:0.03モル%の組成からなる原料を混合し、これを公知の溶融装置を用いて約1550℃の温度で溶融した溶融ガラスを、上型、下型、胴型を用いて、直径66mmφ、厚さ1.3mmの円盤状ガラス基板にプレス成型した。
【0031】
(2) 結晶化ガラス製造工程
上記のガラス基板を、砥粒の粒度が#400である両面ラッピング装置によってガラス基板の厚み、及び平坦度を整えた。このラッピングによって得られた平坦度は、0.5μmであった。その後、このガラス板を750℃で約4時間熱処理して結晶核形成後、約1000℃の結晶化温度で約4時間保持することにより、主結晶相がエンスタタイト及びその固溶体である結晶化ガラス基板を製造した。
結晶粒子の平均粒子径は電子顕微鏡観察によると、28nmであった。
【0032】
(3) 形状加工工程
上述の結晶化ガラス基板を、上記と同じ両面ラッピング装置によってラッピングして、ガラス基板の反りを取り除いた後、比較的粒度の粗いダイヤモンド砥石で、研削加工して直径65mmφ、厚さ0.7mmに成形してガラス基板を得た。このガラス基板の両面を粒度の細かいダイヤモンド砥石で研削加工し、さらに円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を開けると共に、外周端面も研削した後、外周面及び内周面に所定の面取り加工を施した。この時のガラス基板の表面粗さRmaxは、約10μmであり、ガラス基板端面の表面粗さRmaxは、約14μmであった。
【0033】
(4) 端面研磨工程
次いで、コロイダルシリカ(10wt%)と酸化セリウム(17wt%)を混合した研磨剤を使用して、線径が0.2mmのナイロンからなるブラシによるブラシ研磨により、ガラス基板及び研磨ブラシを回転させながら、ガラス基板の内周及び外周端面を研磨し、外周及び内周端面の表面粗さRmaxを0.1μmに仕上げた。
【0034】
(5) 研削工程
粒度#2000(粒径6〜8μm)のダイヤモンド砥粒を固定したペレットを貼りつけた上下定盤に、キャリアでガラス基板を保持し、潤滑油(クーラント)を供給しながら上下定盤を回転させてガラス基板の両面を研削加工した。加工条件は、加工圧力10〜200g/cm2、下定盤、上定盤回転数を3〜50rpmで調整して行った。この研削工程で得られたガラス基板の表面粗さをミツトヨ(株)製触針式表面形状測定機サーフテストによって測定したところ、平均表面粗さRaが0.03μm、平坦度が1μmと良好な値を示していた。上記、研削工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水の各洗浄槽に順次浸漬し、超音波洗浄した。
【0035】
(6) 第1研磨工程
次に、研削加工されたガラス基板に対して両面研磨装置を用いて研磨加工を行った。両面研磨機は研磨パッドが貼りつけられた上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、このキャリアを太陽歯車と内歯歯車とに噛合させ、上記ガラス基板を上下定盤によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラス基板の両面を同時に研磨加工するものである。尚、研磨加工は、以下の条件で行った。
ポリシャ:硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)
研磨液:コロイダルシリカ(30wt%)+酸化セリウム(17wt%)+水
砥粒粒径:コロイダルシリカ(0.1μm)、酸化セリウム(1.6μm)
加工圧力:120g/cm2
上定盤、下定盤回転数:5〜70rpm
除去量:20μm
研磨時間:80分
【0036】
上記第1研磨工程を終えたガラス基板を、フッ酸+ケイフッ酸とを混合した酸の水溶液、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し乾燥した。この得られたガラス基板の表面粗さをAFM(原子間力顕微鏡)で測定したところ、平均表面粗さRaが0.6nm、最大高さRmaxが4.2nmであった。また、研磨速度は、0.25μm/minであった。
【0037】
(7) 最終研磨工程
次に、第1研磨工程で使用した両面研磨装置を用い、以下の条件で最終研磨加工を行った。
ポリシャ:軟質ポリシャ(スウェードパッド)
研磨液:コロイダルシリカ(5wt%)+酸化セリウム(15wt%)+水
砥粒粒径:コロイダルシリカ(0.1μm)、酸化セリウム(1.1μm)
加工圧力:120g/cm2
上定盤、下定盤回転数:5〜70rpm
除去量: 3μm
研磨時間:20分
上記最終研磨工程を終えたガラス基板を、フッ酸+ケイフッ酸とを混合した酸の水溶液、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し乾燥した。
【0038】
この得られたラス基板の表面粗さをAFM(原子間力顕微鏡)で測定したところ、平均表面粗さRaが0.38nm、最大高さRmaxが3.9nmであった。また、微小うねり(95%PV値)は、 1.8nmと良好な値を示していた。また、研磨速度は、0.13μm/minであった。また、基板表面を微分干渉顕微鏡による表面観察を行ったところ、基板表面に傷やピット(凹状欠陥)等の欠陥は存在せず、良好な表面であった。また、基板の端部形状をサーフテスト(触針式表面形状測定機)によって測定したところ、ski-jumpの値が0.00μm、roll-offの値が‐0.03μmと、良好な値を示していた。
【0039】
ここで、微小うねり(95%PV値)とは、微小うねりの最大高さwaの95%PV値を意味する。この場合、微小うねりの最大高さwaとは、測定エリアにおいて全測定ポイントにおける測定曲線の最高点と最低点との高さの差の値である。そして、95%PV値とは、基板自体の表面状態を直接的には関係のないパーティクルなどの異常突起による測定誤差を除くための手法であり、全部の測定点について、測定値を横軸に、その測定値が得られた測定個数を縦軸に表したヒストグラム(測定値とその対応個数との関係を示す分布図であり、通常は正規分布曲線となる)をとったときに、その分布曲線において、測定値を最小値から次第に大きくしていきながら各測定値に対応する測定の個数を累積していったとき、その累積個数が全個数の95%になったときの測定値を有効な測定値の最大値とする手法である。この手法による最大値を「95%PV値」とし、この「95%PV値」を最大高さwaとし、この最大高さwaを微小うねりと表現するものである(詳しくは、特願2000−99720号明細書参照)。
【0040】
また、ski-jump及びroll-offとは、次のように定義されるものである。ski-jump値とは、基板の外周端部形状が、ガラス基板の主表面の平坦面を基準とした場合の最も高い点(Ski-jump点)の値をいい、Roll-Off値とは、前記平坦面を基準面とした場合のグライド領域の外周端位置における輪郭線上点(Roll-Off点)の値をいう。詳しくは、以下のように測定されるものである。
図3に示すように、円板状のガラス基板の中央を通り、主表面に垂直な面でガラス基板を切断した断面を考える。この断面において、主表面の輪郭線上の記録エリア内に2点の基準点を設定し、中央から近い順にR1,R2とする。また、記録エリアの外周端部からさらに外周方向に一定の距離のマージンをとった点R3(グライド領域の外周端位置)を設定する。次に、点R1と点R2とを結び、その延長線を描く。そうしたときに、点R2から点R3までの領域において、基板の輪郭線上の点と、直線R1R2(又はその延長線)との距離を測る。その距離が正の方向に最も高いところの基板の輪郭線上の点SがSki-jump(スキージャンプ)点であり、その距離sの値がSki-jump値である。また、点R3の位置における輪郭線上点RがRoll-Off(ロールオフ)点であり、点Rと直線R1R2(又はその延長線)との距離rがRoll-Off値である。
なお、基板のサイズに応じて、上記点R1、R2、R3を適宜選択する。例えば、外径サイズが2.5インチ、3.0インチ、3.5インチの基板の場合、R3点は、基板の側壁面(側壁部)から内側に1mmの位置に定める。また、外径サイズが2.5インチ(外径65mmφ)の基板の場合、例えば、基板の中心からの距離が、それぞれ、23mmの点(R1)、27mmの点(R2)、31.5mmの点(R3)、32.5mmの点(側壁面)のように定めることができる。
【0041】
(8) 磁気ディスク製造工程
上記工程を経て得られた磁気ディスク用ガラス基板の両主表面に、インライン型スパッタリング装置を用いて、Cr下地層、CoCrPtB磁性層、水素化カーボン保護層を順次成膜し、さらにディップ法によりパーフルオロポリエーテル潤滑層を成膜して磁気ディスクを得た。この得られた磁気ディスクについて、タッチダウンハイト試験を実施したところ、5.5nmと良好な値を示した。また、ロードアンロード試験(10万回)を行ってもヘッドがクラッシュすることがなかった。
【0042】
(実施例2)
上述の実施例1において、酸化セリウムを酸化ジルコニウムに変えた他は、実施例1と同様にして(酸化ジルコニウムの濃度は10wt%、粒径は1次研磨2.4μm、2次研磨1.0μm)磁気ディスク用ガラス基板、及び磁気ディスクを作成した。
【0043】
この得られたラス基板の表面粗さをAFM(原子間力顕微鏡)で測定したところ、平均表面粗さRaが0.5nm、最大高さRmaxが7nmであった。また、微小うねり(95%PV値)は、2.0nmと良好な値を示していた。また、研磨速度は、第1研磨工程では0.28μm/min、最終研磨工程では、0.15μm/minであった。また、基板表面を微分干渉顕微鏡による表面観察を行ったところ、基板表面に傷やピット(凹状欠陥)等の欠陥は存在せず、良好な表面であった。また、基板の端部形状をサーフテスト(触針式表面形状測定機)によって測定したところ、ski-jumpが0.00μm、roll-offが‐0.03μmと良好な値を示していた。この得られた磁気ディスクについて、タッチダウンハイト試験を実施したところ、6.5nmと良好な値を示した。また、ロードアンロード試験(10万回)を行ってもヘッドがクラッシュすることがなかった。
【0044】
(比較例1〜3)
上述の実施例において、研磨液を酸化セリウム(17wt%)+水(比較例1)、酸化ジルコニウム(10wt%)+水(比較例2)、コロイダルシリカ(30wt%)+水(比較例3)に変えた他は、実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板、及び磁気ディスクを作製した。
【0045】
その結果、比較例1、2では、基板表面に傷やピットといった欠陥が発生し(ガラス相とセラミックス相、固溶体部分の間で著しく加工速度が異なるため)、鏡面状態にならず、表面粗さは測定不能であった。また、研磨速度も酸化セリウムのみの場合、第1研磨工程では0.08μm、最終研磨工程では、0.04μmであり、酸化ジルコニウムのみの場合、第1研磨工程では0.09μm、最終研磨工程では、0.07μmでありほぼ同等の研磨速度であった。これらの研磨速度が低下した原因は、これらの研磨剤は結晶相及び固溶体相に対する研磨速度が著しく低いためだと考えられる。
【0046】
比較例3では、表面粗さは実施例1で得られたものと同程度であったが、基板表面に傷やピットといった欠陥は見られなかった。しかし、第1研磨工程での研磨速度が0.08μm/min、最終研磨工程での研磨速度が0.08μm/minと極端に遅くなり、実施例1とほぼ同等の表面を得るために約3倍の時間を要した。これは、コロイダルシリカはガラス基板に対して研磨速度が一般的に遅いことと、研磨時間が長くなるにしたがい研磨パッドの目詰まりが発生し研磨速度が低下したためと考えられる。一方、実施例1の場合には、コロイダルシリカ(0.1μm)に比べて粒子径の大きい酸化セリウム(1〜2μm)を含有するため、砥粒がパッドにトラップされ易く、被加工面とパッドの間の滑りが抑止されるため、目詰まりによる研磨速度の低下が起こりにくいためと考えられる。
【0047】
また、これらのガラス基板を用いた磁気ディスクについて、タッチダウンハイト試験、ロードアンロード試験を実施した結果、比較例1、2では、基板の表面状態が悪いためにタッチダウンハイトを測定することができず、ロードアンロード試験もヘッドクラッシュが発生してしまった。また、比較例3では、タッチダウンハイトが 5.5nmとほぼ実施例1と同様な結果で、また、ロードアンロード試験もヘッドクラッシュは発生しなかった。
【0048】
(実施例3〜6,参考例1)
次に、第1研磨工程における研磨液の研磨剤濃度を変えたほかは、実施例1と同様にして第1研磨工程を実施した例を実施例3〜6,参考例1として掲げる。
図1は第1研磨工程で研磨液の研磨剤濃度を変えて研磨した実施例3〜6,参考例1の場合の研磨速度、表面粗さRaを表にして示した図である。
【0049】
図1の表に示されるように、コロイダルシリカの濃度が高くなるに従い、研磨速度が早くなることがわかる。コロイダルシリカの濃度が5wt%では、表面に傷、ピットが発生することから、コロイダルシリカ濃度は、10wt%以上にする必要があることがわかる。また、コロイダルシリカの濃度を高くしても、得られる基板の表面粗さRaは変化しないことから、経済性を考慮すると、10〜30wt%が良い。
【0050】
(実施例7〜11,比較例4,参考例2)
次に、最終研磨工程における研磨液の研磨剤濃度を変えたほかは、実施例1と同様にして最終研磨工程を実施した例を実施例7〜11,比較例4,参考例2として掲げる。図2は最終研磨工程で研磨液の研磨剤濃度を変えて研磨した実施例7〜11,比較例4,参考例2の場合の研磨速度、表面粗さRaを表にして示した図である。
【0051】
図2の表に示されるように、コロイダルシリカの濃度が2wt%の場合、基板表面に傷やピットが発生してしまうことが分かる。また、研磨速度は、2〜30wt%では一定であった。また、コロイダルシリカ研磨剤濃度と、端部形状を観察したところ、研磨剤濃度が高くなるに従って、roll-offの値が大きくなる結果となり、研磨剤濃度は、5〜10wt%が好ましいことが分かる。尚、比較例4と参考例2では、基板表面に傷、ピットが発生したことから、触針式測定器での測定では再現性がなく、測定不能であった。
【0052】
(実施例12〜15)
実施例1において結晶化ガラスの代わりに他の種類の結晶化ガラスを用いた例として実施例12〜15を掲げる。すなわち、主結晶がコージェライトの結晶化ガラス基板を用いた例(実施例12)、スピネルの結晶化ガラス基板を用いた例(実施例13)、α−クォーツの結晶化ガラス基板を用いた例(実施例14)、リチウムジシリケートの結晶化ガラス基板を用いた例(実施例15)である。これらの実施例は、ガラスの種類を変えた他は、実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板、及び磁気ディスクを作製したものである。但し、本発明の範囲内で、砥粒の粒径及び濃度、加工圧力等の研磨条件は適宜調整して行った。
【0053】
その結果、いずれも基板表面には傷やピットといった欠陥は発生せず、基板表面の表面粗さRa、Rmax、微小うねりも実施例1と同様な値を示し良好であった。また、磁気ディスクのタッチダウンハイト試験、ロードアンロード試験もヘッドクラッシュは発生せず、良好な結果であった。
【0054】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、ガラス基板の表面と研磨部材との間に研磨液を介在させ、ガラス基板と研磨部材とを相対運動させて研磨加工する場合において、研磨液として、ガラス相に対してメカノケミカルな研磨作用を有する第1研磨剤と、セラミックス相に対して主にメカニカルな研磨作用を有する第2研磨剤とを混合したものを用いることを特徴とするもので、これにより、表面欠陥の発生をおさえつつ高い表面平滑性を保ち、かつ、迅速な研磨ができる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法及び情報記録媒体の製造方法を得ているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1研磨工程で研磨液の研磨剤濃度を変えて研磨した実施例3〜6,参考例1の場合の研磨速度、表面粗さRaを表にして示した図である。
【図2】最終研磨工程で研磨液の研磨剤濃度を変えて研磨した実施例7〜11,比較例4,参考例2の場合の研磨速度、表面粗さRaを表にして示した図である。
【図3】スキージャンプ及びロールオフの説明図である。

Claims (8)

  1. ガラス基板の表面と研磨部材との間に研磨液を介在させ、ガラス基板と研磨部材とを相対運動させて研磨加工する情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記ガラス基板は、少なくとも基板表面にガラス相とセラミックス相とを有する結晶化ガラスであって、
    前記研磨液は、研磨剤を含み、該研磨剤は、ガラス相(非晶質相)に対してメカノケミカル(機械化学的)な研磨作用を有する第1研磨剤と、セラミックス相(結晶相)に対して主にメカニカル(機械的)な研磨作用を有する第2研磨剤とを混合したものであり、
    前記第1研磨剤は、酸化セリウム、酸化ジルコニウムの中から選ばれる少なくとも1種であり、前記第2研磨剤は、コロイダルシリカであり、
    前記第1研磨剤の粒子径は、前記第2研磨剤の粒子径より大きいことを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記研磨液中に占める前記セラミックス相(結晶相)に対して主にメカニカル(機械的)な研磨作用を有する第2研磨剤の含有量を、3〜30wt%とすることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記研磨液中に占める前記ガラス相(非晶質相)に対してメカノケミカル(機械化学的)な研磨作用を有する第1研磨剤の含有量を、1〜20wt%とすることを特徴とする請求項2記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記第1研磨剤の粒子径を0.1〜3μmとし、前記第2研磨剤の粒子径を0.01〜0.2μmとしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記研磨加工は、ガラス基板表面の加工変質層及び傷を除去するとともにガラス基板の端部形状を制御することを目的として行われる第1研磨工程と、ガラス基板表面を平滑にして表面欠陥を除去することを目的として行われる最終研磨工程とを有し、
    前記第1研磨工程では、硬質ポリシャを使用し、前記第1研磨剤の粒子径を1.5〜3μmとし、前記第2研磨剤の粒子径を0.01〜0.2μmとするとともに、前記1研磨剤の含有量を1〜20wt%とし、前記第2研磨剤の含有量を10〜30wt%とし、
    前記最終研磨工程では、軟質ポリシャを使用し、前記第1研磨剤の粒子径を0.1〜1.5μmとし、前記第2研磨剤の粒子径を0.01〜0.2μmとするとともに、前記第1研磨剤の含有量を1〜20wt%とし、前記第2研磨剤の含有量を3〜10wt%としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  6. 前記結晶化ガラスは、SiO:35〜65モル%、Al:5〜25モル%、MgO:10〜40モル%、TiO:5〜15モル%、Y:0〜10モル%、ZrO:0〜6モル%、RO:0〜5モル%(但し、Rは、Li,Na,Kからなる群から選ばれる少なくとも1種を表す)、RO:0〜5モル%(但し、RはCa,Sr,Baからなる群から選ばれる少なくとも1種を表す)、As+Sb:0〜2モル%、SiO+Al+MgO+TiO:92モル%以上であり、主結晶がエンスタタイト及び/又はその固溶体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によって得られた情報記録媒体用ガラス基板上に、少なくとも記録層を形成することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
  8. 前記記録層は、磁性層であることを特徴とする請求項に記載の情報記録媒体の製造方法。
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