JP4557449B2 - 水中固化性美爪料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水中固化性皮膜組成物およびそれを用いた美爪料、美爪方法特に水中で短時間に塗膜を固化させる組成物の溶剤の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
ネールエナメル、ネールエナメルベースコート、ネールエナメルオーバーコートなどに代表される皮膜組成物は、一般にニトロセルロースなどの非水溶性皮膜基剤を酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトンなどの有機溶剤中に溶解して構成される。
そして、例えばこのような皮膜組成物のうち美爪料には、所定の色調や光沢が適正に得られることは無論、
▲1▼爪に塗りやすい適度な粘度があること、
▲2▼塗布した後はできる限り速やかに乾燥し、均一な皮膜を形成すること、
▲3▼皮膜が爪によく密着し、はがれにくいこと
等が要求される。
【0003】
このうち、すみやかな乾燥性と均一な皮膜形成性は、特に密接に関係しており、あまりに乾燥が速すぎると塗布する作業の間に粘度が上がり、あるいは固化してしまうため、均一な皮膜形成が困難となる一方、乾燥が遅すぎれば使用性に影響が出てしまい、通常は3ないし8分間で乾燥皮膜を形成するように調整している。
しかしながら、前記乾燥時間に関してはより一層短くすることが要望されていた。
【0004】
そこで従来においても、美爪料中の溶媒を揮発ではなく、濃度勾配による放出により除去する方法も考慮されている。例えば特開昭47−43348号公報には、美爪料を塗布した後にその塗布部位を水中に浸漬し、塗膜中の溶媒を水中に放出させることにより塗膜固化を早くする技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この水中固化性美爪料にあっては、水中浸漬により白化した不均一な膜が形成されやすく、また塗布時の筆跡が塗膜に残り、塗りムラを生じるなど、美爪料として求められる機能を十分に満足するものではなかった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は塗膜固化を短時間に行い得るとともに、美爪料等としての使用性にも問題を生じない水中固化性皮膜組成物、それを用いた美爪料および美爪方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を行った結果、溶媒として特定のアルキレングリコール系溶媒ないしケトン系溶媒を用いることにより、均一な皮膜形成、短時間の塗膜固化を行い得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明にかかる水中固化性皮膜組成物は、非水溶性皮膜基剤と、
前記非水溶性皮膜基剤を溶解し、且つ水と相溶性のある溶剤と、
を含み、前記溶剤が下記式(I),(II)、(III)で表される化合物から選らればれる一種または二種以上を含むことを特徴とする。
【0007】
【化6】
Figure 0004557449
(なお、前記式Iにおいて、R,RはC=1〜18のアルキル基またはアシル基を示し、R,RはHまたはC=1〜18のアルキル基を示し、m,nはそれぞれ1〜20の整数を示す。)
【0008】
【化7】
Figure 0004557449
(なお、前記式IIにおいて、R,RはC=1〜18のアルキル基を示す。)
【0009】
【化8】
Figure 0004557449
(なお、前記式IIIにおいて、Rはアシル基またはC=3〜18のアルキル基を示す。)
【0010】
また、本発明にかかる水中固化性皮膜組成物において、該組成物塗膜を水中に浸した場合に、該塗膜中の残存溶剤及び浸入水による混合液中で前記非水溶性皮膜基剤が析出することを特徴とする。
また、本発明にかかる水中固化性皮膜組成物において、溶剤中における前記化合物(I)、(II)、(III)の割合が50重量%以上であることが好適である。
また、本発明にかかる水中固化性皮膜組成物において、溶剤中における前記化合物(I)の割合が15〜60重量%、且つ溶剤中における前記化合物(II)の割合が30〜70重量%であることが好適である。
また、本発明にかかる水中固化性皮膜組成物において、前記溶剤はさらに下記式(IV)の化合物を含むことが好適である。
【0011】
【化9】
Figure 0004557449
(なお、前記式IVにおいて、RはC=1〜18のアルキル基またはアシル基を示し、R,R10はHまたはC=1〜18のアルキル基を示し、p,qはそれぞれ1〜20の整数を示す。)
【0012】
また、本発明にかかる水中固化性皮膜組成物において、前記溶剤はさらにアルコール、ポリオール類の一種または二種以上を含むことが可能である。
また、本発明にかかる水中固化性皮膜組成物において、前記溶剤はさらに下記式(V)で表される化合物を含むことが可能である。
【0013】
【化10】
Figure 0004557449
(なお、前記式Vにおいて、R11,R12はC=1〜18のアルキル基を示す。)
【0014】
なお、前記化合物(I)は、好ましくはR,R,R,RはそれぞれC=1〜10、m,nは1〜10であり、特にエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジペンチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテルから選択される一種または二種以上であることが好適である。
【0015】
また、前記化合物(II)は、好ましくはR,RはC=1〜6であり、特にアセトン、メチルエチルケトン、3-メチル-2-ブタノン、3-ペンタノン、2-ペンタノン、2-メチル-3-ペンタノン、3-ヘキサノン、2-ヘキサノン、3-メチル-2-ペンタノン、4-メチル-2-ペンタノンから選択される一種または二種以上であることが好適である。
【0016】
また、前記化合物(III)は、好ましくはRはC=1〜10であり、特にエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルから選択される一種または二種以上であることが好適である。
なお、これらの化合物(I)〜(V)のアルキル基に分岐があるもの、あるいは置換基(−OR,−COOR,−SOR、−CO−R等、ここでRは水素やアルキル基など)を有するものであってもよい。
【0017】
また、本発明にかかる水中固化性美爪料は、水中でその塗膜の固化をおこなうことを特徴とする。
また、本発明にかかる両用型美爪料は、爪に塗布した際に、空気中では3〜10分間で乾燥して皮膜を形成し、水中では2分間以下浸漬することにより皮膜を形成することを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる美爪方法は、前記組成物を塗布した後、該塗布部を水中に浸漬し、皮膜を固化させることを特徴とする。
また、前記美爪方法において、水中への浸漬時間が2分以下で皮膜を固化させることが好適である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1には本発明の水中固化性皮膜組成物の使用状態と皮膜の形成機構が示されている。
同図に示すように、本発明にかかる水中固化性皮膜組成物は無論空気中においても乾燥するが、爪に組成物を塗布した状態(図1(A))で、水に浸漬することにより塗膜固化を著しく早くすることができる(図1(B),(C))。これは、該組成物の塗膜を水中に浸漬することにより、該塗膜中の溶剤が水中に急激に吸い出され、塗膜の乾燥に寄与するとともに、塗膜中に分配された水により塗膜中の溶剤組成に変化を生じ、皮膜成分の析出を助長するためと考えられる。
【0020】
すなわち、図2には本発明にかかる水中固化性皮膜組成物により形成した塗膜を水中に浸漬した場合の、ガスクロマトグラフによる塗膜内組成の変化が示されている。同図より明らかなように、塗膜内の溶剤は水中に急激に放出されるが、一方塗膜内への水の浸入も認められる。そして、例えば水浸漬時間2分間以下を想定するならば、この時間内に水と溶剤の混合液中で皮膜形成剤が析出することが要請される。一方、水中で皮膜形成剤を析出させると、溶媒の種類によっては皮膜の白化が生じ、例えば組成物を美爪料として用いた場合には事実上美爪効果を喪失してしまう。そこで本発明者らは溶剤として前記構造式(I)〜(III)の化合物を見出したのである。
【0021】
なお、本発明にかかる溶剤は、前記必須成分である化合物(I)〜(III)の外、前記化合物(IV)、アルコール、ポリオール類、化合物(V)等の溶剤を共存させることもできるが、共存溶媒の量比は必須溶媒に対して等量以下(溶媒中50%以下)であることが好ましい。
【0022】
なお、本発明において化合物(IV)は、好ましくはR,R,R10のC=1〜10、p,qは1〜10であり、特にエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルから選択される一種または二種以上から選択されることが好適である。
【0023】
又、本発明で用いられるアルコール、ポリオール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリンなどが例示でき、これらを単独または2種以上を混合して用いてもよい。
【0024】
本発明で用いる構造式(V)で表される化合物としては、好ましくはR11,R12はC=1〜10であり、特に酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソプロピルあるいはこれらのアルキルに分岐があるものおよび置換基(−OR,−COOR,−SORなど、ここでRは水素やアルキル基など)を有するものが例示でき、これらを単独または2種以上混合して用いてもよい。
【0025】
本発明の美爪料は爪に塗布後、水または温水に浸すことで膜成分が析出し、爪上で皮膜を形成する。その際の乾燥時間は塗布後2分以内程度である。なお、本発明にかかる美爪料を塗布した場合、水への浸漬前に10秒〜30秒ほど気中で予備乾燥を行うことが好適である。
また、本発明の美爪料を爪に塗布し、空気中に放置した場合にも、水に浸漬した場合よりは長時間を要するが、通常の美爪料と同様に乾燥し、皮膜を形成することができる。
【0026】
さらに、本発明の水中固化性皮膜組成物には、通常用いられる皮膜形成剤、樹脂類、可塑剤、有機変性粘土鉱物、顔料、増粘剤、香料、保湿剤、油分、薬剤、水溶性成分などを本発明の目的の範囲内で適宜配合することができる。
前記皮膜形成剤としては、例えばニトロセルロース1/2秒、ニトロセルロース1/4秒、ニトロセルロース1/8秒、ニトロセルロース1/16秒などが例示される。
【0027】
また、樹脂としては、例えばアルキッド系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シュークロース系樹脂、スルホンアミド系樹脂、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂、エポキシ系樹脂などが例示される。
また、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、カンファー等が例示される。
【0028】
また、配合可能な顔料その他の粉体としては、タルク、カオリン、絹雲母、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪藻土、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、硫酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、窒化ホウ素、セラミックスパウダーなどの無機粉末、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、四弗化エチレンパウダー、スチレンジビニルベンゼンコポリマーパウダー、ジスチレンベンゼンピンホールポリマーパウダー、微結晶セルロースなどの有機粉体、酸化チタン、酸化亜鉛などの無機白色系顔料、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄などの無機赤色系顔料、γ−酸化鉄などの無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土などの無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラックなどの無機黒色系顔料、マンゴバイオレット、コバルトバイオレットなどの無機紫色系顔料、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルトなどの無機緑色系顔料、群青、紺青などの無機青色系顔料、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、魚鱗箔、着色酸化チタンコーテッド雲母などのパール顔料、ベントン等の粘土鉱物、アルミニウムパウダー、カッパーパウダーなどの金属粉末顔料、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号及び青色404号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等のジルコニウム、バリウムまたはアルミニウムレーキなどの有機顔料、クロロフィル、ベータカロチンなどの天然色素、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ、水酸化鉄、二酸化チタン、低次酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケル、チタン酸鉄、チタン酸コバルト等が例示され、一種または二種以上が選択される。
また、増粘剤としては、ベントン27、ベントン38等の有機変性粘土鉱物、アクリル系高分子、多糖類、カルボキシビニルポリマー等の高分子化合物を配合することができる。
【0029】
また、本発明にかかる水中固化性皮膜組成物の水による塗膜固化性を応用することが可能な用途としては塗料、カーワックス、薄膜形成法等が例示され、さらに美爪料以外の他の化粧料へも応用可能である。化粧料への応用例としては、ボディーペイント、パック、パップ剤、ネールアートペン等が挙げられる。
【0030】
以下、実施形態に基づき本発明を詳細に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下の実施形態で用いる配合量は重量%で示す。
また、ニトロセルロースについてはいずれも30%イソプロピルアルコール溶液を用いている。
【0031】
[評価方法]
実施形態の説明に先立ち、その評価方法について説明する。
乾燥時間
各試料を爪へ塗布(1度塗り)し、水に適当な時間浸した後、形成された皮膜に指先で触れ、指紋がつくか否かを観察した。そして、塗布直後から指紋がつかなくなるまでの水に浸す時間を下記の基準にて評価した。
○:〜2分間
△:2〜5分間
×:5分間〜
【0032】
塗布のしやすさ
各試料を10mlの筆つきガラス瓶に充填し、爪への塗りやすさについて下記基準により総合評価した。
○:良好(きれいに滑らかに塗れる)
△:やや不良(やや塗りにくい)
×:不良(塗りにくい)
【0033】
皮膜の均一性
各試料を爪へ塗布(一度塗り)し、水に適当な時間浸した後、爪上に形成された皮膜を下記基準により総合評価した。
○:良好(きれいで滑らかな皮膜)
△:やや不良(やや曇った皮膜)
×:不良(白化した皮膜)
【0034】
[溶剤の選択]
まず、本発明者らは各種溶剤による水中での皮膜形成能について検討を行った。その結果を次の表1に示す。
【表1】
Figure 0004557449
【0035】
上記表1より明らかなように、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の特定のエチレングリコール系溶媒、及びアセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒を用いた場合には、水中での乾燥が短時間に行われ、しかも白化などを生じることなく皮膜の均一性にも優れている。
【0036】
しかしながら、美爪料に汎用される酢酸ブチルを主溶媒として用いたものは、水中での乾燥が行われず、またエチレングリコールモノエチルエーテル及び変性アルコールを用いた従来技術にあっては確かに水中での乾燥は行われるものの、皮膜の一部に白化が認められ、皮膜の均一性に欠けるという欠点があった。
そこで、本発明者らは前記有用な溶媒の組み合わせ、近似化合物についてさらに検討を行った。その結果を次の表2に示す。
【0037】
【表2】
Figure 0004557449
【0038】
前記表2より明らかなように、前記構造式(I)〜(III)に包含される化合物であれば、水中での乾燥性、皮膜の均一性を保持しており、しかも、それらの溶媒を組み合わせたとしても良好な皮膜特性を維持することができる。
次に、本発明者らは本発明において特徴的な溶媒と、他の溶媒との組み合わせについて検討を行った。その結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
Figure 0004557449
【0040】
上記表3より、本発明にかかる溶媒であるジエチレングリコールジエチルエーテルに対し、一般的溶媒である酢酸ブチルを混合していったところ、50%程度までは十分に良好な皮膜特性が維持されたが、酢酸ブチルが50%を大きく超えると皮膜の均一性などの特性が著しく悪化する傾向にある。
次に、本発明者らは前記において良好な結果を示した溶媒を用いた試料について、以下に示す方法で化粧もち評価を行った。
【0041】
<化粧もち評価試験>
女性パネル10名の爪に試料を塗布し、塗布部を水につけて乾燥させ皮膜を形成した。それから4日後の皮膜のはがれ方を目視で評価し、以下の基準で点数化した。
化粧もち良好 3点
普通 2点
やや不良 1点
不良 0点
上記基準で求めた点数のパネル10名の平均値を四捨五入で少数第一位まで求め、以下の評価基準により評価した。
【0042】
化粧もち評価基準
◎: パネル10名の平均が2.5点以上
○: パネル10名の平均が2〜2.4点
△: パネル10名の平均が1〜1.9点
×: パネル10名の平均が1点未満
上記評価の結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
Figure 0004557449
【0044】
上記表4より、前記構造式(I)に含まれる溶媒であるジエチレングリコールジエチルエーテルが溶剤中15〜60重量%、且つ前記構造式(II)に含まれる溶媒であるアセトンが溶剤中30〜70重量%配合された試料を用いた場合には非常に化粧もちが良いことがわかる。
一方、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びアセトンの全溶剤に対する配合量が前記範囲外の場合には、配合量が前記範囲内の場合の良好な化粧もちに比すればやや劣る結果であった。
さらに本発明者らは各種溶媒組成について検討を行った。その結果を次の表5〜10に示す。
【0045】
【表5】
Figure 0004557449
【0046】
【表6】
Figure 0004557449
【0047】
【表7】
Figure 0004557449
【0048】
【表8】
Figure 0004557449
【0049】
【表9】
Figure 0004557449
【0050】
【表10】
Figure 0004557449
【0051】
前記式(I)、(II)、(III)の化合物を溶媒に用いた上記試料はいずれも優れた水中乾燥特性、皮膜均一性を有していた。
【実施例】
以下、本発明のより具体的な実施例について説明する。以下に本発明の水中固化性皮膜組成物を美爪料として用いた場合の配合例を示す。
【0052】
配合例1
ニトロセルロース 20.0
ショ糖エステル樹脂 8.0
クエン酸エステル 8.0
ジエチレングリコールジエチルエーテル 20.0
アセトン 20.0
メチルエチルケトン 20.0
着色剤 4.0
【0053】
配合例2
ニトロセルロース 20.0
ショ糖エステル樹脂 8.0
クエン酸エステル 8.0
ジエチレングリコールジエチルエーテル 30.0
アセトン 30.0
着色剤 4.0
【0054】
配合例3
ニトロセルロース 15.0
スルホンアミド樹脂 7.0
クエン酸エステル 4.0
ジエチレングリコールジエチルエーテル 35.0
アセトン 35.0
着色剤 4.0
【0055】
配合例4
ニトロセルロース 15.0
スルホンアミド樹脂 7.0
クエン酸エステル 4.0
ジエチレングリコールジエチルエーテル 27.0
アセトン 27.0
メチルエチルケトン 16.0
着色剤 4.0
【0056】
配合例5
ニトロセルロース 15.0
スルホンアミド樹脂 7.0
クエン酸エステル 4.0
トリエチレングリコールジメチルエーテル 12.5
エチレングリコールジエチルエーテル 17.5
アセトン 37.5
着色剤 4.0
増粘剤 1.5
紫外線吸収剤 1.0
【0057】
以上の各配合例にかかる美爪料は、いずれも優れた水中乾燥特性、皮膜均一性を有していた。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる水中固化性皮膜組成物によれば、特定のアルキレングリコール系溶剤ないしケトン系溶剤を用いることにより、良好な水中での塗膜固化性とともに、優れた皮膜均一性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水中固化性皮膜組成物の使用状態と皮膜の形成機構の説明図である。
【図2】本発明にかかる水中固化性皮膜組成物により形成した塗膜を水中に浸漬した場合の、ガスクロマトグラフによる塗膜内組成の変化の説明図である。

Claims (8)

  1. 非水溶性皮膜基剤と、
    前記非水溶性皮膜基剤を溶解し、且つ水と相溶性のある溶剤と、
    を含み、前記溶剤が下記式(I)に包含される化合物から選ばれる一種の溶剤、または、下記式(III)に包含される化合物から選ばれる一種の溶剤、または、下記式(I)、(II)、(III)に包含される化合物から選ばれる二種以上の溶剤を含み、該溶剤中における前記化合物(I)、(II)、(III)の合計量の割合が50重量%以上であり、且つ、美爪料塗膜を水中に浸した場合に、該塗膜中の残存溶剤及び浸入水による混合液中で前記非水溶性皮膜基剤が析出することを特徴とする水中固化性美爪料。
    Figure 0004557449
    (なお、前記式Iにおいて、R,RはC=1〜5のアルキル基を示し、R,RはHを示し、mは1〜3の整数を、nは2を示す。)
    Figure 0004557449
    (なお、前記式IIにおいて、R,RはC=1〜4のアルキル基を示す。)
    Figure 0004557449
    (なお、前記式IIIにおいて、RはC=3〜6のアルキル基を示す。)
  2. 請求項1に記載の美爪料において、溶剤中における前記化合物(I)の割合が15〜60重量%、且つ溶剤中における前記化合物(II)の割合が30〜70重量%であることを特徴とする水中固化性美爪料。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の美爪料において、前記溶剤はさらに下記式(IV)の化合物を含むことを特徴とする水中固化性美爪料。
    Figure 0004557449
    (なお、前記式IVにおいて、RはC=1〜のアルキル基を示し、R,R10はHを示し、pは2を、qは1または2の整数を示す。)
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の美爪料において、前記溶剤はさらにアルコール、ポリオール類の一種または二種以上を含むことを特徴とする水中固化性美爪料。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の美爪料において、前記溶剤はさらに下記式(V)で表される化合物を含むことを特徴とする水中固化性美爪料。
    Figure 0004557449
    (なお、前記式Vにおいて、R11はC=1または2のアルキル基を示し,R12はC=1〜4のアルキル基を示す。)
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の美爪料において、前記化合物(I)は、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジペンチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテルから選択される一種または二種以上であることを特徴とする水中固化性美爪料。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の美爪料において、前記化合物(II)はアセトン、メチルエチルケトン、3-メチル-2-ブタノン、3-ペンタノン、2-ペンタノン、2-メチル-3-ペンタノン、3-ヘキサノン、2-ヘキサノン、3-メチル-2-ペンタノン、4-メチル-2-ペンタノンから選択される一種または二種以上であることを特徴とする水中固化性美爪料。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の美爪料において、前記化合物(III)は、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルから選択される一種または二種以上であることを特徴とする水中固化性美爪料。
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