しかしながら、搬送補正値によって被記録材の搬送制御量は、例えば1/1440インチステップという非常に小さな単位で加減することも可能であり、この微少なステップの差を上述したベタ塗りパターンの隣接部分の隙間又は重なり部分を目で見て正確に判断するのは容易な作業ではないという課題があった。
また、記録ヘッドのノズル長と搬送駆動ローラの外周長が異なる長さである場合、例えば、搬送駆動ローラの外周長が1インチであるのに対して記録ヘッドのノズル長が3/4インチである場合には、記録ヘッドの全ノズルを使用したベタ塗りパターンを副走査方向に隣接させたテストパターンを形成するためには、外周長が1インチの搬送駆動ローラで被記録材の搬送量を3/4インチとしなければならない。つまり、搬送駆動ローラの外周長とベタ塗りパターンを記録する際の搬送量とが一致しなくなるため、搬送駆動ローラの偏心の影響を受け、ベタ塗りパターンの隙間から搬送駆動ローラの外周長の個体差を正確に特定することができなくなってしまうという課題が生じる。
さらに、上述したテストパターンによって特定することができるのは、搬送駆動ローラの外周長の個体差のみであり、搬送駆動ローラの偏心状態の個体差は分からないので、搬送駆動ローラの外周長の個体差に応じた搬送量の補正に加えて、搬送駆動ローラの偏心状態の個体差も考慮したより高精度な搬送量の補正をすることはできない。
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、被記録材を副走査方向へ搬送する手段の個体差により生じる搬送誤差を記録装置毎に特定して最適な搬送補正値を設定することを容易かつ高精度に行えるようにすることにある。
また、本発明の課題は、モータの回転が伝達されて回転する搬送駆動ローラの外周面に記録紙等の被記録材が押圧され、搬送駆動ローラの回転によって被記録材が副走査方向へ搬送される記録装置において、搬送駆動ローラの外周長と記録ヘッドのノズル長とが異なる長さである場合でも搬送駆動ローラの外周長の個体差を特定して、最適な搬送補正値を設定することが容易かつ高精度に行えるようにすることにある。
さらに、本発明の課題は、モータの回転が伝達されて回転する搬送駆動ローラの外周面に記録紙等の被記録材が押圧され、搬送駆動ローラの回転によって被記録材が副走査方向へ搬送される記録装置において、搬送駆動ローラの外周長及び偏心量の個体差を特定することを可能にすることにある。
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様は、被記録材へインクを噴射するノズルが副走査方向へ一定のノズルピッチで配置されているノズル列を有する記録ヘッドを主走査方向へ往復動させる主走査駆動手段と、被記録材を副走査方向へ所定の搬送量にて搬送する副走査駆動手段と、記録制御データに基づいて、前記記録ヘッド、前記主走査駆動手段、及び前記副走査駆動手段を制御して被記録材への記録を実行する記録制御手段とを備えた記録装置において、前記記録制御手段による副走査方向への被記録材の搬送制御量に対する前記副走査駆動手段による副走査方向への被記録材の実搬送量の誤差が最小になる如く、被記録材の所定の搬送量に対する搬送制御量を補正する搬送補正値の最適値を設定する搬送補正値設定方法であって、複数の隣接するノズルを使用して1回の主走査動作で形成する第1ラスタ群と、該第1ラスタ群を形成した位置から副走査方向へ前記ノズルピッチの整数倍に設定された規定搬送制御量で被記録材を搬送した状態で、複数の隣接するノズルを使用して1回の主走査動作で形成する第2ラスタ群とを重なり部分をもって形成するテストパターンを異なる前記搬送補正値で複数パターン記録するテストパターン記録制御データに基づいて前記記録装置に記録を実行させる工程、被記録材に記録された複数の前記テストパターンの中から前記第1ラスタ群と前記第2ラスタ群との重なり部分が、前記テストパターンを記録した被記録材の記録面の色に最も近い色と認識できるテストパターンを選択する工程、及び選択したテストパターンを形成した際の搬送補正値を最適な搬送補正値として設定する工程を有している、ことを特徴とした搬送補正値設定方法である。
被記録材へインクを噴射するノズルが副走査方向へ一定のノズルピッチで配置されているノズル列を有する記録ヘッドの複数の隣接するノズルを使用して1回の主走査動作で形成される第1ラスタ群及び第2ラスタ群は、副走査方向にノズルピッチの間隔をもって形成された使用ノズル数分のラスタの集合によって構成される。また、第1ラスタ群を形成した位置から副走査方向へノズルピッチの整数倍に設定された規定搬送制御量で被記録材を搬送した状態で第2ラスタ群を第1ラスタ群と重なり部分をもって形成する。このようにして形成したテストパターンは、第1ラスタ群と第2ラスタ群との重なり部分において、第1ラスタ群のラスタの副走査方向位置と第2ラスタ群のラスタの副走査方向位置とが理論的に一致するはずであるから、ラスタ同士が完全に一致して重なった状態となるはずである。しかし、現実には、記録制御手段による副走査方向への被記録材の搬送制御量に対する副走査駆動手段による副走査方向への被記録材の実搬送量の誤差によって、第1ラスタ群のラスタの副走査方向位置と第2ラスタ群のラスタの副走査方向位置とにずれが生じる。
そこで、まず上述したテストパターンを異なる搬送補正値で複数パターン記録するテストパターン記録制御データに基づいて記録装置に記録を実行させる。適切な搬送補正値で記録されたテストパターンは、第1ラスタ群と第2ラスタ群との重なり部分において、第1ラスタ群のラスタの副走査方向位置と第2ラスタ群のラスタの副走査方向位置とが理想的にはほぼ一致するはずである。したがって、搬送補正値が異なる複数のテストパターンの中から第1ラスタ群と第2ラスタ群との重なり部分におけるラスタ同士の重なりのずれが最も小さいテストパターンを記録した際の搬送補正値が最適な搬送補正値ということになる。
ここで、搬送補正値が異なる複数のテストパターンの中から第1ラスタ群と第2ラスタ群との重なり部分におけるラスタ同士の重なりのずれが最も小さいテストパターンを識別する方法について説明するために、まず、上述したテストパターンにおける第1ラスタ群及び第2ラスタ群が記録画像としてどのように認識できるかについて説明する。
主走査方向へ一直線にドットが並んで形成されたラスタが副走査方向へノズルピッチで並んで形成されたラスタ群は、いわばドットが規則的に並んで形成されたドットの集合体である。ドットの1つ1つは肉眼で識別するのが困難なほど小さく、そのドットが主走査方向へ隣接してラスタが構成され、そのラスタが副走査方向へノズルピッチ(例えば1/360インチ等)で配置されて第1ラスタ群及び第2ラスタ群が形成されている。そのため、第1ラスタ群及び第2ラスタ群は、例えば、黒インクを白色の記録紙に噴射して形成すると、黒インクで形成されたラスタと、ラスタ間の隙間の白色(記録紙の色)とにより灰色のベタ塗りパターンとして認識することができる。
次に、上述したテストパターンにおける第1ラスタ群と第2ラスタ群との重なり部分が記録画像としてどのように認識できるかについて説明する。
第1ラスタ群と第2ラスタ群との重なり部分におけるラスタ同士の重なりのずれが小さく、搬送補正値が適正な値に比較的近いテストパターンは、第1ラスタ群のラスタと第2ラスタ群のラスタとがほぼ一致して重なるので、その重なり部分のラスタ間の隙間が比較的多く存在することになり、その重なり部分の色は、第1ラスタ群と第2ラスタ群とが重なっていない部分の色に近い淡い灰色として認識できる。一方、第1ラスタ群と第2ラスタ群との重なり部分におけるラスタ同士の重なりのずれが大きく、搬送補正値が適正な搬送補正値からややずれているテストパターンは、第1ラスタ群のラスタ間の隙間に第2ラスタ群のラスタの全部又は大部分が形成され、ラスタ間の隙間があまり存在しない状態となる。そのため、第1ラスタ群と第2ラスタ群との重なり部分の白色(記録紙の色)の割合が少なくなり、その重なり部分の色は、濃い灰色として認識できる。つまり、テストパターンの第1ラスタ群と第2ラスタ群との重なり部分は、搬送補正値が最適な値に近いほど淡い灰色に、搬送補正値が最適な値から遠いほど濃い灰色として認識できる。換言すれば、搬送補正値が最適な値に近いほど記録紙の記録面の色(白色)に近い色になり、搬送補正値が最適な値から遠いほどドットを形成しているインクの色に近い色になっていく。
以上のことから被記録材に記録された搬送補正値が異なる複数のテストパターンの中から第1ラスタ群と第2ラスタ群との重なり部分が、テストパターンを記録した被記録材の記録面の色に最も近い色、上記例で言えば最も白に近い灰色と認識できるテストパターンを選択することによって、最適な搬送補正値で記録されたテストパターンを選択することができる。したがって、複数のテストパターンの中からテストパターンを記録した被記録材の記録面の色に最も近い色のテストパターンを選択し、選択したテストパターンを記録した際の搬送補正値を最適な搬送補正値として設定することによって、被記録材を副走査方向へ搬送する手段の個体差により生じる搬送誤差を記録装置毎に特定して最適な搬送補正値を設定することを容易かつ高精度に行うことができるという作用効果が得られる。
本発明の第2の態様は、前述した第1の態様において、前記テストパターンを選択する工程は、被記録材に記録された複数の前記テストパターンの中から前記第1ラスタ群と前記第2ラスタ群との重なり部分が、前記テストパターンを記録した被記録材の記録面の色に最も近い色に見えるテストパターンを視覚で選択する、ことを特徴とした搬送補正値設定方法である。
前述したように、テストパターンの第1ラスタ群と第2ラスタ群との重なり部分は、搬送補正値が最適な値に近いほど記録紙の記録面の色(白色)に近い色になり、搬送補正値が最適な値から遠いほどドットを形成しているインクの色に近い色になっていく。そのため、被記録材に記録された搬送補正値が異なる複数のテストパターンの中から第1ラスタ群と第2ラスタ群との重なり部分が、テストパターンを記録した被記録材の記録面の色に最も近い色、上記例で言えば最も白に近い灰色に見えるテストパターンを視覚で選択して、最適な搬送補正値で記録されたテストパターンを選択することも可能である。
本発明の第3の態様は、被記録材へインクを噴射するノズルが副走査方向へ一定のノズルピッチで配置されているノズル列を有する記録ヘッドを主走査方向へ往復動させる主走査駆動手段と、被記録材を副走査方向へ所定の搬送量にて搬送する副走査駆動手段と、記録制御データに基づいて、前記記録ヘッド、前記主走査駆動手段、及び前記副走査駆動手段を制御して被記録材への記録を実行する記録制御手段とを備えた記録装置において、前記記録制御手段による副走査方向への被記録材の搬送制御量に対する前記副走査駆動手段による副走査方向への被記録材の実搬送量の誤差が最小になる如く、被記録材の所定の搬送量に対する搬送制御量を補正する搬送補正値の最適値を設定するためのテストパターンを異なる前記搬送補正値で複数パターン記録するテストパターン記録制御データを前記記録制御手段へ送出する記録制御データ送出装置であって、前記テストパターン記録制御データは、複数の隣接するノズルを使用して1回の主走査動作で形成する第1ラスタ群と、該第1ラスタ群を形成した位置から副走査方向へ前記ノズルピッチの整数倍に設定された規定搬送制御量で被記録材を搬送した状態で、複数の隣接するノズルを使用して1回の主走査動作で形成する第2ラスタ群とを重なり部分をもって形成するテストパターンを異なる前記搬送補正値で複数パターン記録する記録制御データである、ことを特徴とした記録制御データ送出装置である。
本発明の第3の態様に示した記録制御データ送出装置によれば、この記録制御データ送出装置から送出されるテストパターン記録制御データに基づいて記録装置に記録を実行させて得られたテストパターンを用いて、記録装置の副走査駆動手段における搬送補正値を設定することによって、前述した第1の態様に記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
本発明の第4の態様は、被記録材へインクを噴射するノズルが副走査方向へ一定のノズルピッチで配置されているノズル列を有する記録ヘッドを主走査方向へ往復動させる主走査駆動手段と、被記録材を副走査方向へ所定の搬送量にて搬送する副走査駆動手段と、記録制御データに基づいて、前記記録ヘッド、前記主走査駆動手段、及び前記副走査駆動手段を制御して被記録材への記録を実行する記録制御手段とを備えた記録装置において、前記記録制御手段による副走査方向への被記録材の搬送制御量に対する前記副走査駆動手段による副走査方向への被記録材の実搬送量の誤差が最小になる如く、被記録材の所定の搬送量に対する搬送制御量を補正する搬送補正値の最適値を設定するためのテストパターンを異なる前記搬送補正値で複数パターン記録するテストパターン記録制御データを前記記録制御手段へ送出する記録制御データ送出装置であって、前記副走査駆動手段は、前記記録制御手段により回転制御される搬送駆動ローラの外周面に被記録材が押圧されて前記搬送駆動ローラの回転量に応じた搬送量で被記録材が搬送される構成を有し、前記テストパターンは、副走査方向へ前記ノズルピッチの整数倍かつ前記搬送駆動ローラの外周長の1/Nに設定(Nは2以上の整数値)された規定搬送制御量ずつ被記録材を搬送する度に、複数の隣接するノズルを使用して1回の主走査動作で形成するN+1個のラスタ群が、2つのラスタ群の重なりによって形成される重なり部分がN個形成されるとともに前記重なり部分同士が重なり合うことなく形成される、ことを特徴とした記録制御データ送出装置である。
複数の隣接するノズルを使用して1回の主走査動作で形成するラスタ群を副走査方向へノズルピッチの整数倍かつ搬送駆動ローラの外周長の1/Nに設定(Nは2以上の整数値)された規定搬送制御量ずつ被記録材を搬送する度に形成することによって、N+1個のラスタ群を形成する。その際、2つのラスタ群の重なりによって形成される重なり部分がN個形成されるとともに重なり部分同士が重なり合うことなく各ラスタ群を形成する。このようにしてN+1個形成されたラスタ群は、前述した第1ラスタ群と第2ラスタ群と同様に、副走査方向にノズルピッチの間隔をもって形成された使用ノズル数分のラスタの集合によって各ラスタ群が構成される。したがって、N個形成された2つのラスタ群の重なり部分は、前述した第1ラスタ群と第2ラスタ群の重なり部分と同様に、2つのラスタ群のラスタの副走査方向位置が理論的に一致するはずであるから、ラスタ同士が完全に一致して重なった状態となるはずである。しかし、現実には、記録制御手段による副走査方向への被記録材の搬送制御量に対する副走査駆動手段による副走査方向への被記録材の実搬送量の誤差によって、2つのラスタ群のラスタの副走査方向位置にずれが生じる。このずれは、記録制御手段により回転制御される搬送駆動ローラの外周面に被記録材が押圧されて搬送駆動ローラの回転量に応じた搬送量で被記録材が搬送される構成を有する副走査駆動手段においては、前述したように、搬送駆動ローラの外周長の誤差及び回転軸の偏心誤差が要因となる。
そこで、まず上述したN個の重なり部分を有するテストパターンを異なる搬送補正値で複数パターン記録するテストパターン記録制御データに基づいて記録装置に記録を実行させる。適切な搬送補正値で記録された重なり部分は、重なっている2つのラスタ群のラスタの副走査方向位置が理想的にはほぼ一致するはずである。前述した第1ラスタ群と第2ラスタ群の重なり部分と同様に、N個の重なり部分は、搬送補正値が最適な値に近いほど淡い灰色に、搬送補正値が最適な値から遠いほど濃い灰色になる。換言すれば、搬送補正値が最適な値に近いほど記録紙の記録面の色(白色)に近い色になり、搬送補正値が最適な値から遠いほどドットを形成しているインクの色に近い色になっていく。
ここで、説明をより分かりやすくするために副走査方向に並んでいるN個の重なり部分に1〜Nの番号を順番に付ける。そして、1番目〜N番目の重なり部分について、最も記録面の色(白色)に近いと認識できるテストパターンを重なり部分毎に選択する。つまり、1番目〜N番目の重なり部分毎に最適な搬送補正値(=搬送誤差)を特定する。テストパターンの1番目〜N番目の重なり部分は、搬送駆動ローラの外周長の1/Nの間隔をもって重なり部分同士が重なることなく形成されるので、外周長をN分割した1/Nの回転位置範囲のそれぞれに対応した重なり部分として形成される。したがって、その1番目〜N番目の重なり部分毎に最適な搬送補正値(=搬送誤差)を特定することによって、外周長をN分割した1/Nの回転位置範囲毎の最適な搬送補正値(=搬送誤差)を特定することができる。
これにより、本発明の第4の態様に示した記録制御データ送出装置によれば、複数の隣接するノズルを使用して1回の主走査動作で形成するラスタ群を副走査方向へノズルピッチの整数倍かつ搬送駆動ローラの外周長の1/Nに設定(Nは2以上の整数値)された規定搬送制御量ずつ被記録材を搬送する度に形成することによって、N+1個のラスタ群を形成したテストパターンの記録制御データを送出して記録装置に記録を実行させ、記録したテストパターンによってその記録装置の搬送駆動ローラの外周長をN分割した1/Nの回転位置範囲毎の最適な搬送補正値を特定することができる。そして、それぞれの回転位置範囲毎の最適な搬送補正値を総合的に判断して記録装置毎に最適な搬送補正値を設定することができるので、記録装置の搬送駆動ローラの外周長と記録ヘッドのノズル長とが異なる長さである場合でも搬送駆動ローラの外周長の個体差を特定して、最適な搬送補正値を設定することが容易かつ高精度に行うことができるという作用効果が得られる。
また、搬送駆動ローラの外周長をN分割した1/Nの回転位置範囲毎の最適な搬送補正値(=搬送誤差)を特定することができるので、搬送駆動ローラの外周長の誤差のみならず、搬送駆動ローラの偏心誤差(偏心量及び偏心方向等)を特定することが可能になるという作用効果が得られる。
本発明の第5の態様は、前述した第4の態様において、前記テストパターンは、前記ノズル列の全ノズルを使用して形成された1つの全ノズルラスタ群と、前記ノズル列の一部のノズルを使用して形成されたN個の部分ノズルラスタ群とで構成され、前記全ノズルラスタ群に対して各部分ノズルラスタ群が重なり部分をもって形成されるとともに、前記部分ノズルラスタ群同士が重なることなく形成される、ことを特徴とした記録制御データ送出装置である。
このように1つの全ノズルラスタ群に対して複数の部分ノズルラスタ群がそれぞれ重なるように形成されてN個の重なり部分が形成されるとともに、その重なり部分同士が重なることなく形成される記録制御データを記録装置へ送出するようにしても良く、前述した第4の態様と同様の作用効果を得ることができる。
本発明の第6の態様は、前述した第4の態様又は第5の態様において、前記副走査駆動手段は、前記搬送駆動ローラが前記主走査駆動手段によるインク噴射領域より副走査方向上流側に配置されており、被記録材が前記搬送駆動ローラから離れた後は、前記インク噴射領域より副走査方向下流側に配置された前記記録制御手段により回転制御される排出駆動ローラの外周面に被記録材が押圧されて、前記排出駆動ローラの回転量に応じた搬送量で被記録材が搬送される構成を有し、複数の隣接するノズルを使用して1回の主走査動作で形成する第1ラスタ群と、該第1ラスタ群を形成する位置から副走査方向へ前記ノズルピッチの整数倍に設定された規定搬送制御量で前記排出駆動ローラのみによって被記録材を搬送した状態で、複数の隣接するノズルを使用して1回の主走査動作で形成する第2ラスタ群とを重なり部分をもって形成するテストパターンを異なる前記搬送補正値で複数パターン記録する記録制御データを有している、ことを特徴とした記録制御データ送出装置である。
このような構成を有する副走査駆動手段においては、被記録材の後端が搬送駆動ローラから離れた後は、排出駆動ローラの回転によって被記録材が副走査方向へ搬送されるので、以降の被記録材の搬送量は、排出駆動ローラの回転量によって制御されることになる。したがって、以降の被記録材の搬送誤差は、排出駆動ローラの外周長の誤差及び回転軸の偏心誤差が要因となる。そこで、排出駆動ローラのみによって被記録材が搬送されている間の最適な搬送補正値を設定するために、前述した第1ラスタ群と第2ラスタ群とで形成されるテストパターンを排出駆動ローラのみによって被記録材を搬送して異なる搬送補正値で複数パターン記録する記録制御データを送出して記録装置に記録を実行させる。そして、被記録材に記録された搬送補正値が異なる複数のテストパターンの中から第1ラスタ群と第2ラスタ群との重なり部分が、テストパターンを記録した被記録材の記録面の色に最も近い色として認識できるテストパターンを選択することによって、排出駆動ローラのみによって被記録材を搬送している状態における最適な搬送補正値で記録されたテストパターンを選択することができる。したがって、排出駆動ローラのみによって被記録材を副走査方向へ搬送する際の排出駆動ローラの個体差により生じる搬送誤差を記録装置毎に特定して最適な搬送補正値を設定することを容易かつ高精度に行うことができるという作用効果が得られる。
本発明の第7の態様は、前述した第3の態様〜第6の態様のいずれかにおいて、前記テストパターン記録制御データは、前記搬送補正値を既定の搬送補正値に対して一定のステップで加算及び減算した複数のテストパターンを記録する記録制御データである、ことを特徴とした記録制御データ送出装置である。
このように、搬送補正値を既定の搬送補正値に対して一定のステップで加算及び減算した複数のテストパターンを記録することによって、搬送誤差が一定のステップで段階的に変化するように複数のテストパターンを形成することができる。それによって、テストパターンの重なり部分の色が段階的に変化していくことになるので、重なり部分の色が最も被記録材の記録面の色に近いテストパターン(最適な搬送補正値によるテストパターン)の選択がさらに容易かつ正確に行えるという作用効果が得られる。また、搬送補正値を既定の搬送補正値に対して一定のステップで加算及び減算した複数のテストパターンを記録することによって、例えば、2つのテストパターンの重なり部分の色がほとんど同じだった場合には、その中間の値を最適な搬送補正値として特定することもできる。
本発明の第8の態様は、前述した第3の態様〜第7の態様のいずれかにおいて、前記テストパターン記録制御データは、テストパターン毎の搬送補正値を識別する表示を各テストパターンに付加して記録する記録制御データである、ことを特徴とした記録制御データ送出装置である。このように、テストパターン毎にそのテストパターンを記録した際の搬送補正値を識別する表示を付加して記録することによって、複数のテストパターンと搬送補正値との対応付けが容易かつ確実に行えるという作用効果が得られる。例えば、搬送補正値そのものをテストパターン毎に付加して記録するようにすると、テストパターンと搬送補正値との対応付けを直接的にすることができ、確実性が増すので好ましいといえる。
本発明の第9の態様は、前述した第3の態様〜第8の態様のいずれかにおいて、前記テストパターン記録制御データを生成するデータ生成手段を備えている、ことを特徴とした記録制御データ送出装置である。このように、テストパターン記録制御データを生成する手段を設けることによって、テストパターン記録制御データをあらかじめ記憶しておくための記憶媒体を省略することが可能になるので、記録制御データ送出装置の記憶媒体容量を節約することができる。また、テストパターンを記録する際の搬送補正値等を柔軟に変更することも可能になる。
本発明の第10の態様は、前述した第3の態様〜第9の態様のいずれかにおいて、前記記録装置に記憶されている搬送補正値を変更する手段を備えている、ことを特徴とした記録制御データ送出装置である。このように、記録装置の搬送補正値を設定する手段を設けることによって、テストパターン記録制御データを送出してテストパターンの記録を記録装置に実行させた後、被記録材に記録されたテストパターンに基づいて最適な搬送補正値を決定する作業と、決定した最適な搬送補正値を記録装置に設定する作業とを1つの記録制御データ送出装置にて行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明に係る「記録装置」の一例としてのインクジェット式記録装置の概略構成について説明する。
図1は、本発明に係るインクジェット式記録装置の概略の平面図であり、図2はその側面図である。
インクジェット式記録装置50には、記録紙Pにインクを噴射して記録を行う記録ヘッド62を記録紙Pに対して主走査方向Xに走査させる「主走査駆動手段」として、キャリッジガイド軸51に軸支され、主走査方向Xに移動するキャリッジ61が設けられている。キャリッジ61には、記録ヘッド62と、記録ヘッド62から噴射する各色のインクが充填されたインクカートリッジ611とが搭載されている。記録ヘッド62と対向して、記録ヘッド62のヘッド面と記録紙Pとのギャップを規定するプラテン52が設けられている。また、インクジェット式記録装置50には、記録ヘッド62を記録紙Pに対して副走査方向Yに走査させる「副走査駆動手段」として、記録紙Pを副走査方向Yに搬送する搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54が設けられている。
搬送駆動ローラ53は、ステッピング・モータ等の回転駆動力により回転制御され、搬送駆動ローラ53の回転により、記録紙Pは副走査方向Yに搬送される。搬送従動ローラ54は、複数設けられており、それぞれ個々に搬送駆動ローラ53に付勢され、記録紙Pが搬送駆動ローラ53の回転により搬送される際に、記録紙Pに接しながら記録紙Pの搬送に従動して回転する。搬送駆動ローラ53の表面には、高摩擦抵抗を有する皮膜が施されている。搬送従動ローラ54によって、搬送駆動ローラ53の表面に押しつけられた記録紙Pは、その表面の摩擦抵抗によって搬送駆動ローラ53の表面に密着し、搬送駆動ローラ53の回転によって副走査方向に搬送される。
キャリッジ61とプラテン52の間に記録紙Pを副走査方向Yに所定の搬送量で搬送する動作と、記録ヘッド62を主走査方向Xに一往復させる間に記録ヘッド62から記録紙Pにインクを噴射する動作とを交互に繰り返すことによって記録紙Pに記録が行われる。
搬送駆動ローラ53の副走査方向Yの上流側には、給紙トレイ57が配設されている。給紙トレイ57は、例えば普通紙やフォト紙等の記録紙Pを給紙可能な構成となっており、記録紙Pを自動給紙する給紙手段としてのASF(オート・シート・フィーダー)が設けられている。ASFは、給紙トレイ57に設けられた2つの給紙ローラ57b及び図示してない分離パッドを有する自動給紙機構である。この2つの給紙ローラ57bの1つは、給紙トレイ57の一方側に配置され、もう1つの給紙ローラ57bは、記録紙ガイド57aに取り付けられており、記録紙ガイド57aは、記録紙Pの幅に合わせて幅方向に摺動可能に給紙トレイ57に設けられている。そして、給紙ローラ57bの回転駆動力と、分離パッドの摩擦抵抗により、給紙トレイ57に置かれた複数の記録紙Pを給紙する際に、複数の記録紙Pが一度に給紙されることなく1枚ずつ正確に自動給紙される。
また、給紙ローラ57bと搬送駆動ローラ53との間には、公知の技術による紙検出器63が配設されている。紙検出器63は、立位姿勢への自己復帰習性が付与され、かつ記録紙搬送方向にのみ回動し得るよう記録紙Pの搬送経路内に突出する状態で枢支されたレバーを有し、このレバーの先端が記録紙Pに押されることでレバーが回動し、それによって記録紙Pが検出される構成を成す検出器である。紙検出器63は、給紙ローラ57bより給紙された記録紙Pの始端位置、及び終端位置を検出し、その検出位置に合わせて記録領域が決定され、記録が実行される。
一方、記録実行後の記録紙Pを排紙する手段として、「排出駆動ローラ」としての排紙駆動ローラ55と排紙従動ローラ56とが設けられている。排紙駆動ローラ55は、ステッピング・モータ等の回転駆動力により回転制御され、排紙駆動ローラ55の回転により、記録実行後の記録紙Pは副走査方向Yに排紙される。排紙従動ローラ56は、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が記録紙Pの記録面に点接触するように鋭角的に尖っている歯付きローラになっている。複数の排紙従動ローラ56は、それぞれ個々に排紙駆動ローラ55に付勢され、記録紙Pが排紙駆動ローラ55の回転により排紙される際に記録紙Pに接して記録紙Pの排紙に従動して回転する。そして、給紙ローラ57bや搬送駆動ローラ53、及び排紙駆動ローラ55を回転駆動する図示していない搬送駆動用モータ、並びにキャリッジ61を主走査方向に駆動する図示していないキャリッジ駆動用モータは、「記録制御装置」としての記録制御部100により駆動制御される。また、記録ヘッド62も同様に、記録制御部100により駆動制御されて記録紙Pの表面にインクを噴射する。
図3は、本発明に係るインクジェット記録装置50の概略のブロック図である。
記録制御部100は、システムバスSBを備えており、システムバスSBには、ROM21、RAM22、USBコントローラ23、メモリカードインタフェース24、MPU(マイクロプロセッサ)26、I/O27、及びヘッドドライバ28がデータ転送可能に接続されている。MPU26では各種処理の演算処理が行われる。ROM21には、MPU26の演算処理に必要なソフトウェア・プログラム及びデータがあらかじめ記憶されている。RAM22は、ソフトウェア・プログラムの一時的な記憶領域、MPU26の作業領域等として使用される。各種モータ制御部31は、インクジェット式記録装置50の各種モータを駆動制御する駆動制御回路である。
各種センサー32は、インクジェット記録装置50の各種状態情報を検出してI/O27に出力する。I/O27は、MPU26における演算処理結果に基づいて、各種モータ制御部31に対して出力制御を行い、かつ各種センサー32からの入力情報等を入力する。USBコントローラ23は、デュアルロールUSBインタフェース機能を備えている。例えば、USBホストコントローラを搭載した情報処理装置200として、パーソナルコンピュータ等のUSBホスト装置が接続された場合には、インクジェット式記録装置50をUSBデバイスとして機能させる。
記録実行時に画像データは、情報処理装置200においてRGBデータからYMCデータに色変換された後、2値化処理が行われて2値化されたYMCデータに変換されて記録データが生成される。生成された記録データは、インクジェット式記録装置50を制御するための制御データとともに記録制御データとして情報処理装置200からインクジェット式記録装置50へ送信される。情報処理装置200から送信された記録制御データは、USBコントローラ23が受信した後、RAM22へ格納される。RAM22へ格納された記録制御データは、MPU26にて実行されるプログラム処理によって、コマンド解析、及びデータ圧縮された記録データを展開する処理等が実行されて、制御データと記録データとに分離される。制御データは、MPU26へ転送され、展開された記録データは、「ヘッド駆動手段」としてのヘッドドライバ28へ転送される。
一方、USBコントローラ23は、USBバスインタフェースを搭載したデジタルカメラ等のUSBデバイスが接続された場合には、インクジェット式記録装置50をUSBホスト装置として機能させる。また、メモリカードインタフェース24は、メモリカードスロット25に挿入されたメモリカードに格納されている画像データの読み出しを実行する。USBコントローラ23を介してデジタルカメラ等のUSBデバイスから読み出された画像データ、或いはメモリカードインタフェース24を介してメモリカードから読み出された画像データは、MPU26にて実行されるプログラム処理によってRGBデータからYMCデータに色変換された後、2値化処理が行われて2値化されたYMCデータに変換されて記録データが生成される。生成された記録データは、情報処理装置200から記録データを受信した場合と同様にヘッドドライバ28へ転送される。ヘッドドライバ28は、その記録データに基づいて記録ヘッド62を駆動し、記録ヘッド62のヘッド面から各色のインクが記録紙Pの記録面に噴射されて記録紙Pへの記録が実行される。
図4は、記録ヘッド62のヘッド面を模式的に示した平面図である。
記録ヘッド62のヘッド面には、副走査方向YにM個の「ドット形成要素」としてのノズルN1〜NMが一定のノズルピッチDで配設された「ドット形成要素アレイ」としてのノズル列62K、62C、62LC、62M、62LM、62Yが主走査方向Xに略平行に図示の如く配設されている。ノズル列62KのノズルN1〜NMからはブラックインクが噴射され、ノズル列62CのノズルN1〜NMからはシアンインクが噴射され、ノズル列62LCのノズルN1〜NMからはライトシアンインクが噴射され、ノズル列62MのノズルN1〜NMからはマゼンダインクが噴射され、ノズル列62LMのノズルN1〜NMからはライトマゼンダインクが噴射され、ノズル列62YのノズルN1〜NMからはイエローインクが噴射される。同じドット形成位置に異なる色のドットを重ねて形成することによって、多彩な色彩表現による記録が実現される。
つづいて、本発明に係る「搬送補正値設定方法」について説明する。
本発明に係る「搬送補正値設定方法」は、記録制御部100による副走査方向Yへの記録紙Pの搬送制御量に対する「副走査駆動手段」による副走査方向Yへの記録紙Pの実搬送量の誤差が最小になる如く、記録紙Pの所定の搬送量に対する搬送制御量を補正する搬送補正値の最適値を設定するためのものである。
図5は、搬送駆動ローラ53の回転によって記録紙Pが搬送される際の最適な搬送補正値を特定するためのテストパターン、及び排紙駆動ローラ55の回転によってのみ記録紙Pが搬送される際の最適な搬送補正値を特定するためのテストパターンが記録された記録紙Pを模式的に示した平面図であり、図6は、その一部を拡大して示したものである。
「記録制御データ送出装置」としての情報処理装置200からインクジェット式記録装置50へ送出されるテストパターン記録制御データに基づいて、記録制御部100が記録紙Pへ記録を実行すると、図示の如くテストパターンT1〜T8、及びテストパターン毎の搬送補正値ANの表示として搬送補正値ANがそのまま記録される。テストパターンT1〜T7は、搬送駆動ローラ53の回転によって記録紙Pが搬送される際の最適な搬送補正値を特定するためのテストパターンであり、当該実施例において搬送補正値は、0を基準に一定のステップで+1〜+3、及び−1〜−3の7段階に変化させた7つのテストパターンT1〜T7が記録される。このように、テストパターン毎にそのテストパターンを記録した際の搬送補正値を識別する表示を付加して記録することによって、複数のテストパターンと搬送補正値との対応付けが容易かつ確実に行える。
以下、テストパターンT1〜T7について、テストパターンT1を例に説明する。テストパターンT1は、複数の隣接するノズルを使用して1回の主走査動作で形成される「第1ラスタ群」としての全ノズルラスタ群T1Bと、全ノズルラスタ群T1Bを形成した位置から副走査方向YへノズルピッチDの整数倍に設定された規定搬送制御量αで記録紙Pを搬送した状態で、複数の隣接するノズルを使用して1回の主走査動作で形成する「第2ラスタ群」としての部分ノズルラスタ群T1A及び部分ノズルラスタ群T1Cとの3つの「ラスタ群」で構成される。全ノズルラスタ群T1Bは、ノズル列62Kの全ノズルを使用して黒インクで形成され、部分ノズルラスタ群T1A及び部分ノズルラスタ群T1Cは、ノズル列62Kの一部のノズルのみを使用して黒インクで形成され、全ノズルラスタ群T1Bと図示の如く重なり部分をもって形成される。具体的には、まず、部分ノズルラスタ群T1Aが形成された後、その位置から記録紙PがノズルピッチDの整数倍に設定された規定搬送制御量α(当該実施例においては、1/2インチ)だけ搬送された時点で全ノズルラスタ群T1Bが形成され、その位置からさらに記録紙Pが規定搬送制御量α(1/2インチ)だけ搬送された時点で部分ノズルラスタ群T1Aが形成されてテストパターンT1が上述の構成で形成される。
また、テストパターン記録制御データの一例としては、具体的には以下に示す手順でテストパターンT1〜T7が記録されるテストパターン記録制御データとすることができる。まず、搬送補正値ANを−3としてテストパターンT1の部分ノズルラスタ群T1Aが形成される。次に、搬送補正値ANを+1として記録紙Pが一定の搬送量制御量βで搬送されることによって、搬送補正値ANが−3+1=−2となる搬送量制御量βで記録紙Pが搬送される。その状態でテストパターンT2の部分ノズルラスタ群T2Aが形成される。つづいて、搬送補正値ANを+1として記録紙Pが一定の搬送量制御量βで搬送されることによって、搬送補正値ANが−2+1=−1となる搬送量制御量βで記録紙Pが搬送される。その状態でテストパターンT3の部分ノズルラスタ群T3Aが形成される。
以下、同様の手順で搬送補正値ANを1ずつ加算しながら、まず搬送補正値ANが異なるテストパターンT1〜T7の部分ノズルラスタ群T1A〜T7Aが先に記録される。
部分ノズルラスタ群T7Aを記録した時点で搬送補正値ANは+3となっているので、搬送補正値ANを6減算して搬送補正値ANを3−6=−3として部分ノズルラスタ群T1Aを記録した位置から規定搬送制御量α(1/2インチ)だけ搬送された位置まで記録紙Pが搬送される。その状態でテストパターンT1の全ノズルラスタ群T1Bが形成される。つづいて、搬送補正値ANを+1として記録紙Pが一定の搬送量制御量βで搬送されることによって、搬送補正値ANが−3+1=−2となる搬送量制御量βで記録紙Pが搬送される。その状態でテストパターンT2の全ノズルラスタ群T2Bが形成される。
以下、同様の手順で搬送補正値ANを1ずつ加算しながら、搬送補正値ANが異なるテストパターンT1〜T7の全ノズルラスタ群T1B〜T7Bが記録される。
そして、再び搬送補正値ANを6減算して搬送補正値ANを3−6=−3として全ノズルラスタ群T1Bを記録した位置から規定搬送制御量α(1/2インチ)だけ搬送された位置まで記録紙Pが搬送される。その状態でテストパターンT1の部分ノズルラスタ群T1Cが形成される。つづいて、搬送補正値ANを+1として記録紙Pが一定の搬送量制御量βで搬送されることによって、搬送補正値ANが−3+1=−2となる搬送量制御量βで記録紙Pが搬送される。その状態でテストパターンT2の部分ノズルラスタ群T2Cが形成される。
以下、同様の手順で搬送補正値ANを1ずつ加算しながら、搬送補正値ANが異なるテストパターンT1〜T7の部分ノズルラスタ群T1C〜T7Cが記録される。
このように、まず部分ノズルラスタ群T1A〜T7Aを記録してから全ノズルラスタ群T1B〜T7Bを記録紙、最後に部分ノズルラスタ群T1C〜T7Cを記録するようにすることによって、記録紙Pを逆送りすることなく1枚の記録紙PにテストパターンT1〜T7を記録することができる。
図7は、「ラスタ群」の構成を模式的に示したテストパターンT1〜T7の模式図である。
ここでは、より説明を分かりやすくするために、部分ノズルラスタ群T1A〜T7A及び部分ノズルラスタ群T1C〜T7Cを、それぞれ3本のラスタで構成された「ラスタ群」とし、全ノズルラスタ群T1B〜T7Bを9本のラスタで構成された「ラスタ群」として模式的に示してさらに説明する。
テストパターンT1〜T7は、記録面が白色の記録紙Pにノズル列62Kのみからインクを噴射して、つまり黒色インクのみでドットを形成して記録される。ノズルN1〜NMが副走査方向Yへ一定のノズルピッチDで配置されているノズル列62Kの複数の隣接するノズルを使用して1回の主走査動作で形成される「ラスタ群」は、副走査方向YにノズルピッチDの間隔をもって形成された使用ノズル数分のラスタの集合によって構成される。部分ノズルラスタ群T1A〜T7Aが形成された位置から副走査方向YへノズルピッチDの整数倍に設定された規定搬送制御量α(1/2インチ)で記録紙Pを搬送した状態で全ノズルラスタ群T1B〜T7Bが形成され、全ノズルラスタ群T1B〜T7Bが形成された位置からさらに副走査方向YへノズルピッチDの整数倍に設定された規定搬送制御量α(1/2インチ)で記録紙Pを搬送した状態で部分ノズルラスタ群T1C〜T7Cが形成される。部分ノズルラスタ群T1A〜T7A及び部分ノズルラスタ群T1C〜T7Cは、全ノズルラスタ群T1B〜T7Bと重なり部分をもって形成される。尚、当該図面は、搬送ローラ53の外周長の誤差や偏心等による搬送誤差がないと仮定した場合にテストパターンT1〜T7の重なり部分がどのようになるかを示しており、最適な搬送補正値ANは0ということになる。
このようにして形成されたテストパターンT1〜T7は、搬送補正値ANを0としたテストパターンT4の場合、部分ノズルラスタ群T4Aと全ノズルラスタ群T4Bとの重なり部分、及び部分ノズルラスタ群T4Cと全ノズルラスタ群T4Bとの重なり部分において、重なっている「ラスタ群」のラスタ同士の副走査方向Yの位置が理論的に一致するはずであるから、重なっている「ラスタ群」のラスタ同士が図示の如く副走査方向Yに完全に一致して重なった状態となるはずである。しかし、現実には、搬送駆動ローラ53の外周長及び偏心等に個体差があるため、それによって、記録紙Pの搬送誤差が生じて、実際に記録紙Pに形成されるドットが副走査方向Yにずれた位置に形成される。そのため、搬送補正値ANによる搬送制御量の補正をしていない状態では、重なっている「ラスタ群」のラスタ同士の副走査方向Yの位置にずれが生じる。
そこで、まず上述したように搬送補正値ANを0基準に一定のステップで+1〜+3、及び−1〜−3の7段階に変化させてテストパターンT1〜T7を記録するテストパターン記録制御データに基づいてインクジェット式記録装置50に記録を実行させる。適切な搬送補正値で記録されたテストパターンは、テストパターンT4のように重なっている「ラスタ群」のラスタ同士の副走査方向Yの位置が理論的に一致するはずであるから、重なっている「ラスタ群」のラスタ同士が図示の如く副走査方向Yに完全に一致して重なった状態となるはずである。したがって、テストパターンT1〜T7の中から「ラスタ群」の重なり部分におけるラスタ同士の重なりのずれが最も小さいテストパターンを記録した際の搬送補正値ANが最適な搬送補正値ANということになる。
前述したように、「ラスタ群」の重なり部分におけるラスタ同士の重なりのずれが小さく、搬送補正値ANが適正な値に比較的近いテストパターンは、「ラスタ群」のラスタ同士がほぼ一致して重なるので、その重なり部分のラスタ間の隙間が比較的多く存在することになる。そのため、その重なり部分の色は、「ラスタ群」が重なっていない部分の色に近い淡い灰色に見える。一方、「ラスタ群」の重なり部分におけるラスタ同士の重なりのずれが大きく、搬送補正値ANが適正な搬送補正値ANからややずれているテストパターンは、「ラスタ群」のラスタ間の隙間に重なっている「ラスタ群」のラスタの全部又は大部分が形成され、その重なり部分のラスタ間の隙間があまり存在しない状態となる。そのため、「ラスタ群」の重なり部分の白色(記録紙Pの色)の割合が少なくなり、その重なり部分の色は、濃い灰色に見える。つまり、テストパターンT1〜T7の部分ノズルラスタ群T1A〜T7A及び部分ノズルラスタ群T1C〜T7Cと、全ノズルラスタ群T1B〜T7Bとの重なり部分は、搬送補正値ANが最適な値に近いほど淡い灰色に、搬送補正値ANが最適な値から遠いほど濃い灰色に見える。
以上のことから記録紙Pに記録された搬送補正値ANが異なる複数のテストパターンT1〜T7の中から「ラスタ群」の重なり部分が、テストパターンT1〜T7を記録した記録紙Pの記録面の色(白色)に最も近い色、つまり最も白に近い灰色に見えるテストパターンを視覚で選択することによって、最適な搬送補正値ANで記録されたテストパターンを選択することができる。したがって、テストパターンT1〜T7の重なり部分の色が最も白に近い灰色に見えるテストパターンを各テストパターンの2カ所の重なり部分の色から総合的に判断して選択し、選択したテストパターンを記録した際の搬送補正値ANを最適な搬送補正値ANとして設定することによって、記録紙Pを副走査方向Yへ搬送する手段(搬送駆動ローラ53)の個体差により生じる搬送誤差をインクジェット式記録装置50毎に特定して最適な搬送補正値ANを設定することを容易かつ高精度に行うことができる。
さらに、搬送補正値ANを既定の搬送補正値(AN=0)に対して一定のステップで加算(0〜+3)及び減算(0〜−3)したテストパターンT1〜T7を記録することによって、搬送誤差が一定のステップで段階的に変化するようにテストパターンT1〜T7を形成することができる。それによって、テストパターンT1〜T7の重なり部分の色が段階的に変化していくことになるので、重なり部分の色が最も白に近い灰色となる最適な搬送補正値によるテストパターンの選択がさらに容易かつ正確に行える。そして、例えば、2つのテストパターンの重なり部分の色がほとんど同じだった場合には、その中間の値を最適な搬送補正値ANとして特定することもできる。
また、テストパターンT8(図5及び図6)は、排紙駆動ローラ55の回転によってのみ記録紙Pが搬送される際の最適な搬送補正値を特定するためのテストパターンである。当該実施例におけるインクジェット式記録装置50は、記録紙Pの後端が搬送駆動ローラ53から離れた後は、排出駆動ローラ55の回転によって記録紙Pが副走査方向Yへ搬送されるので、以降の記録紙Pの搬送量は、排出駆動ローラ55の回転量によって制御されることになる。したがって、以降の記録紙Pの搬送誤差は、排出駆動ローラ55の外周長の誤差及び回転軸の偏心誤差が要因となる。
そこで、排出駆動ローラ55のみによって記録紙Pが搬送されている間の最適な搬送補正値ANを設定するために、テストパターンT8は、「第1ラスタ群」としての全ノズルラスタ群T8Aと、全ノズルラスタ群T8Aを形成した位置から副走査方向YへノズルピッチDの整数倍に設定された規定搬送制御量γで記録紙Pを搬送した状態で、複数の隣接するノズルを使用して1回の主走査動作で形成する「第2ラスタ群」としての7つの部分ノズルラスタ群T8B〜部分ノズルラスタ群T8Hとによる計8つの「ラスタ群」とで構成される。
部分ノズルラスタ群T8B〜部分ノズルラスタ群T8Hは、搬送補正値が0を基準に一定のステップで+1〜+3、及び−1〜−3の7段階に変化させてそれぞれ記録される。排紙駆動ローラ55のみで記録紙Pが搬送される搬送量は、1インチに満たないほど短い場合が多いので、規定搬送制御量γは前述した規定搬送制御量αよりも短い搬送量となる。そのような理由でテストパターンT8は、上述したようにテストパターンT1〜T7とは異なる態様のテストパターンとなっている。そして、搬送補正値ANが異なる部分ノズルラスタ群T8B〜部分ノズルラスタ群T8Hの中から記録紙Pの記録面の色に最も近い色に見える部分ノズルラスタ群を視覚で選択することによって、排出駆動ローラ55のみによって記録紙Pを搬送している状態における最適な搬送補正値ANを選択することができる。
図8は、テストパターンT1と搬送駆動ローラ53の回転位置との関係を模式的に示したものである。
記録ヘッド62のノズル列62Kの長さ(ノズルN1〜NMまでの長さ)は、3/4インチとなっている(他のノズル列62C、62LC、62M、62LM、62Yも同様)。一方、搬送駆動ローラ53の外周長は1インチとなっている。規定搬送制御量αは、副走査方向YへノズルピッチDの整数倍かつ搬送駆動ローラ53の外周長の1/Nに設定されている。前述したように、規定搬送制御量αは1/2インチに設定されているので、N=2ということになる。テストパターンT1〜T7は、規定搬送制御量αずつ記録紙Pを搬送する度に、複数の隣接するノズルを使用して1回の主走査動作で形成されるN+1個(2+1=3個)の「ラスタ群」が、2つの「ラスタ群」の重なりによって形成される重なり部分をN個(2個)形成しつつ、重なり部分同士が重なり合うことなく形成されていることになる。このことからテストパターンT1を例に説明すると、部分ノズルラスタ群T1Aと全ノズルラスタ群T1Bとの重なり部分、及び部分ノズルラスタ群T1Cと全ノズルラスタ群T1Bとの重なり部分は、搬送駆動ローラ53の外周長を2分割した1/2の回転位置範囲のそれぞれに対応した重なり部分として形成されることになる。
テストパターンの記録を開始する際の搬送駆動ローラ53の回転位置によって異なってくるが、例えば、搬送駆動ローラ53の回転位置とテストパターンT1との位置関係が同図に示した位置関係にある場合には、搬送駆動ローラ53は、回転軸Cが偏心していると図示の如く、その偏心による搬送誤差が生じる。回転軸Cから外周面までの距離が短くなる部分では、搬送制御量より実際の搬送量が少なくなる搬送誤差が生じ、逆に回転軸Cから外周面までの距離が長くなる部分では、搬送制御量より実際の搬送量が多くなる搬送誤差が生じる。このことからテストパターンT1を例に説明すると、部分ノズルラスタ群T1Aと全ノズルラスタ群T1Bとの重なり部分では、搬送制御量より実際の搬送量が少なくなる搬送誤差が生じ、部分ノズルラスタ群T1Cと全ノズルラスタ群T1Bとの重なり部分では、搬送制御量より実際の搬送量が多くなる搬送誤差が生じることになる。
したがって、その2つの重なり部分(部分ノズルラスタ群T1Aと全ノズルラスタ群T1Bとの重なり部分、及び部分ノズルラスタ群T1Cと全ノズルラスタ群T1Bとの重なり部分)毎にテストパターンT1〜T7を比較して最適な搬送補正値(=搬送誤差)を特定することによって、搬送駆動ローラ53の外周長を2分割した1/2の回転位置範囲毎の最適な搬送補正値(=搬送誤差)を特定することも可能になる。そして、それぞれの回転位置範囲毎の最適な搬送補正値ANを総合的に判断してインクジェット式記録装置50毎に最適な搬送補正値ANを設定することができるので、搬送駆動ローラ53の外周長と記録ヘッド62のノズル長とが異なる長さである場合でも搬送駆動ローラ53の外周長の個体差を特定して、最適な搬送補正値ANを設定することが容易かつ高精度に行うことができる。また、搬送駆動ローラ53の外周長を2分割した1/2の回転位置範囲毎の最適な搬送補正値ANを特定することができるので、搬送駆動ローラ53の外周長の誤差のみならず、搬送駆動ローラ53の偏心誤差(偏心量及び偏心方向等)を特定することも可能になる。
図9は、テストパターンT1と搬送駆動ローラ53の回転位置との関係を模式的に示したものであり、テストパターンの他の実施例を示したものである。
規定搬送制御量αは、副走査方向YへノズルピッチDの整数倍かつ搬送駆動ローラ53の外周長の1/4、つまり1/4インチに設定されているので、N=4ということになる。テストパターンT1〜T7は、規定搬送制御量α(1/4インチ)ずつ記録紙Pを搬送する度に、複数の隣接するノズルを使用して1回の主走査動作で形成されるN+1個(4+1=5個)のラスタ群T1A〜T1Eが、2つの「ラスタ群」の重なりによって形成される重なり部分をN個(4個)形成しつつ、重なり部分同士が重なり合うことなく形成されることになる。このことからテストパターンT1を例に説明すると、ラスタ群T1Aとラスタ群T1Bとの重なり部分は、搬送駆動ローラ53の外周長を4分割した0〜1/4回転までの回転位置範囲に対応した重なり部分として、ラスタ群T1Bとラスタ群T1Cとの重なり部分は、搬送駆動ローラ53の外周長を4分割した1/4〜2/4回転までの回転位置範囲に対応した重なり部分として、ラスタ群T1Cとラスタ群T1Dとの重なり部分は、搬送駆動ローラ53の外周長を4分割した2/4〜3/4回転までの回転位置範囲に対応した重なり部分として、ラスタ群T1Dとラスタ群T1Eとの重なり部分は、搬送駆動ローラ53の外周長を4分割した3/4〜4/4回転までの回転位置範囲に対応した重なり部分として、それぞれ形成されることになる。
このように、搬送駆動ローラ53の外周面の分割数(N)を増やすことによって、搬送駆動ローラ53の外周長の誤差のみならず偏心状態(偏心量及び偏心位置等)をより詳細に特定することが可能になり、それらを総合的に判断してより最適な搬送補正値ANを決定することができる。さらに、8分割、16分割等して分割数(N)を多くすることによって、さらに詳細に搬送駆動ローラ53の偏心を特定することも可能である。
図10は、テストパターンを構成する各ラスタ群と搬送駆動ローラ53の回転位置との関係を模式的に示したものであり、テストパターンのさらに他の実施例を示したものである。尚、同図においては、各ラスタ群の位置関係を分かりやすくするため便宜的に、テストパターンの図示を省略してあるが、構成されるテストパターンの外観は、図9に示したテストパターンT1と同様である。また、各ラスタ群の位置関係をより分かりやすくするため便宜的に、各ラスタ群同士を重ねずに図示してある(実際は重なり合って重なり部分を形成してテストパターンを構成する)。
図9に示した実施例におけるテストパターンT1は、各ラスタ群(T1A〜T1E)が1/4インチのずれ量をもって重なる重なり部分を4つ形成しているのに対して、図10に示した実施例においては、規定搬送制御量α=1/4インチとしつつ、各ラスタ群を図示の如く形成して重なり部分を形成する。それによって、1/2インチのずれ量をもって重なる重なり部分を4つ形成したテストパターンを構成することができる。
例えば、ラスタ群T1Aを形成してから記録紙Pを1/4インチ(規定搬送制御量α)搬送した後、ラスタ群T1Bを形成し、さらに記録紙Pを1/4インチ搬送した後、ラスタ群T1CLとラスタ群T1CRとを図示の如く形成する。このうちのラスタ群T1CLとラスタ群T1Aとが重なり合って、1/4インチ幅の4つの重なり部分を有するテストパターン(図示せず)の1つ目の重なり部分が形成される。さらに、記録紙Pを1/4インチ搬送した後、ラスタ群T1DLとラスタ群T1DRとを図示の如く形成する。このうちのラスタ群T1DLとラスタ群T1Bとが重なり合って、テストパターンの2つ目の重なり部分が形成される。さらに記録紙Pを1/4インチ搬送した後、ラスタ群T1Eを形成し、このラスタ群T1Eとラスタ群T1CRとが重なり合って、テストパターンの3つ目の重なり部分が形成される。さらに記録紙Pを1/4インチ搬送した後、ラスタ群T1Fを形成し、このラスタ群T1Fとラスタ群T1DRとが重なり合って、テストパターンの4つ目の重なり部分が形成される。
このように、1/2インチのずれ量をもって重なる重なり部分を4つ形成してテストパターンを構成することもでき、搬送駆動ローラ53の偏心によるラスタ群同士のずれは、より大きく顕著に現れることになるので、搬送駆動ローラ53の偏心状態をより明確に特定することができる。
さらに、他の実施例としては、本発明に係る「記録制御データ送出装置」としての情報処理装置200に、前述したテストパターン記録制御データを生成するデータ生成手段を設けて、あらかじめ記憶しているテストパターン記録制御データを送出するのではなく、テストパターンの記録をする度にテストパターン記録制御データを生成してインクジェット式記録装置50へ送出するように構成しても良い。それによって、テストパターン記録制御データをあらかじめ記憶しておくための記憶媒体を省略することが可能になるので、情報処理装置200の記憶媒体容量を節約することができる。また、テストパターンを記録する際の搬送補正値AN等のパラメータを情報処理装置200側でインクジェット式記録装置50の仕様等に応じて柔軟に変更することも可能になる。
さらに、他の実施例としては、本発明に係る「記録制御データ送出装置」としての情報処理装置200に、さらにインクジェット式記録装置50に記憶されている搬送補正値ANを変更する手段を設けても良い。それによって、テストパターン記録制御データを送出してテストパターンの記録をインクジェット式記録装置50に実行させた後、記録紙Pに記録されたテストパターンに基づいて最適な搬送補正値ANを決定する作業と、決定した最適な搬送補正値ANをインクジェット式記録装置50に設定する作業とを1つの情報処理装置200にて行うことができる。
さらに、他の実施例としては、最も白に近い灰色に見えるテストパターンを肉眼ではなく、スキャナ等の「画像認識手段」を用いて認識して、最適な搬送補正値ANで記録されたテストパターンを選択することも可能である。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
21 ROM、22 RAM、23 USBコントローラ、24 メモリカードインタフェース、25 メモリカードスロット、26 MPU、27 I/O、28 ヘッドドライバ、50 インクジェット式記録装置、51 キャリッジガイド軸、52 プラテン、53 搬送駆動ローラ、54 搬送従動ローラ、55 排紙駆動ローラ、56 排紙従動ローラ、57 給紙トレイ、57b 給紙ローラ、61 キャリッジ、62 記録ヘッド、62K、62C、62LC、62M、62LM、62Y ノズル列、63 紙検出器、100 記録制御部、200 情報処理装置、N1〜NM ノズル、P 記録紙、SB システムバス、T1〜T8 テストパターン、X 主走査方向、Y 副走査方向