JP4549588B2 - 床材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐摩耗性や耐擦傷性に優れた溝部を有する床材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、突板単板を木質系基材に貼着し、意匠性向上を目的として突板単板の接合部に合致させて切削加工等によりV溝等の溝部を形成し、該溝部に突板単板と木質系基材との間の色調差から生じる違和感をなくし、意匠性を向上させる目的で着色塗料を塗布した床材が提供されている。また、必要に応じて前記溝部の耐水性を向上させる目的で前記溝部に耐水性着色塗料を塗布した床材が提供されている。しかし、近年は突板単板に用いられる上質な原木の不足、あるいは、資源保護や地球環境保護の高まりから、突板単板に代えて化粧シートを木質系基材に貼着した床材が使用されるようになってきた。
【0003】
そして、上記のように化粧シートを木質系基材に貼着した床材の場合においても、突板単板を用いた床材と同様に床材表面に、たとえば、切削加工等によりV溝等の溝加工を施して擬似目地を設ける手法が一般的に採られると共に、意匠性を向上させる目的で溝加工を施した溝部に着色塗料を塗布した床材が提供されている。また、これについても必要に応じて前記溝部の耐水性を向上させる目的で前記溝部に耐水性着色塗料を塗布した床材が提供されている。
【0004】
しかし、上記のような化粧シートを木質系基材に貼着した床材は、溝部に塗料を塗布した構成であり、溝部の耐摩性や耐擦傷性、あるいは、耐水性が化粧シートを貼着した部分に比べて劣るという問題、あるいは、木質系基材に合板を用いた場合には溝部に合板の繊維の毛羽立ちがるために、靴下やストッキング等の繊維がこれに引掛り伝線するといった問題や拭き掃除をすると布の繊維が溝部に残り見苦しいといった問題があり、これらの問題が生じることのない床材が要望されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐摩性や耐擦傷性に優れ、靴下やストッキング等の伝線や拭き掃除の布の繊維が残ることのない溝部を有する床材の製造方法及び床材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明の床材の製造方法は、予め絵柄模様と最表面にアクリルポリオールにヘキサメチレンジイソシアネートを添加したアクリル−ウレタン樹脂からなる表面保護層用プライマー層を形成すると共にエンボス加工を行って凹凸模様を形成した合成樹脂製シートを作製しておき、木質系基材の一方の面に少なくとも一条の溝部を設ける工程と、前記一方の面に接着剤を介して、前記合成樹脂製シートを前記表面保護層用プライマー層が表出するように貼着する工程と、前記溝部に位置する前記合成樹脂製シートを前記溝部の幅方向の略中央部で前記溝部の長手方向に沿って切断する工程と、前記溝部の前記切断した合成樹脂製シートを前記溝部内に折込み前記溝部の角部を被覆するように貼着する工程と、前記溝部内にウレタン塗料を塗布して塗布層を形成する工程と、前記溝部を設けた面全面にウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂を塗布すると共に電子線を照射して硬化させた表面保護層を形成する工程とからなることを特徴とするものである。
【0007】
このような製造方法を採ることにより、耐摩性や耐擦傷性に優れ、靴下やストッキング等の伝線や拭き掃除の布の繊維が残ることのない溝部を有する床材を容易に製造することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかる床材に用いる床材用基材の一実施例を示す斜視図、図2は本発明にかかる床材の一実施例を示す要部断面図、図3は本発明の床材の製造方法を説明する要部断面図、図4は従来の床材の製造方法を説明する要部断面図であり、図中の1は床材、2は木質系基材、3,3’は溝部、4は合成樹脂製シート,4’は化粧シート、5は塗布層、6は表面保護層、7は雌実、8は雄実、10は床材用基材をそれぞれ示す。
【0010】
図1は本発明にかかる床材に用いる床材用基材の一実施例を示す斜視図であって、床材用基材10は木質系基材2の一方の面に一条の溝部3を設け、該溝部3を設けた前記一方の面に前記溝部3の前記一方の面の角部を被覆するように接着剤(図示せず)を介して、たとえば、木目模様の絵柄模様からなる合成樹脂製シート4を貼着すると共に、前記溝部3の前記木質系基材2が露出する個所に塗布層5を形成したものである。なお、前記床材用基材10の側部には必要に応じて前記木質系基材2に実加工を施して雌実7及び雄実8が形成され、前記雌実7と雄実8とを嵌合して接合できるように構成されている。
【0011】
図2は本発明にかかる床材の一実施例を示す要部断面図であって、床材1は、図1に示した床材用基材10の溝部3を設けた一方の面全面に表面保護層6を形成したものである。このように溝部3を設けた一方の面全面を表面保護層6で被覆することにより、耐摩性や耐擦傷性に優れ、靴下やストッキング等の伝線や拭き掃除の布の繊維が残ることのない溝部を有する床材とすることができる。
【0012】
前記床材1を構成する前記木質系基材2としては、合板(LVLを含む)、中密度繊維板(MDF)、高密度繊維板(HDF)、パーティクルボード、単板、木材、集成材等のいずれか、ないし、これらを適宜積層した積層材が適当である。
【0013】
次に、前記床材1を構成する木目模様の合成樹脂製シート4としては、これにより床材としての意匠を付与するために設けられるものである。前記木目模様の合成樹脂製シート4を構成するシートとしては特に限定されるものではなく、各種の合成樹脂製シートの単体、ないし、これらの積層体が適当である。また、各種の合成樹脂製シートは白色ないし無色透明なシートに限ることはなく、顔料等にて着色したシートであっても構わないし、無延伸の状態、あるいは、1軸ないし2軸方向に延伸した状態等いずれの状態のシートであってもよい。なお、各種の合成樹脂製シートは、必要に応じて一方の面ないし両方の面に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施してもよい。
【0014】
また、前記木目模様の合成樹脂製シート4に設けられている木目模様は、床材としての意匠を付与するために設けられるものであり、グラビア印刷法、オフセット印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方法を用いて設けられる。
これに用いるインキとしては、被印刷シートの材質により適宜樹脂系を選択すればよいが、ビヒクルとしては、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド等の1種ないし2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものを用いることができる。また、前記木目模様の合成樹脂製シート4には、必要に応じてエンボス加工等により凹凸模様を設けることができる。なお、説明上、絵柄模様の合成樹脂製シートを木目模様の合成樹脂製シート4として説明してきたが、絵柄模様は木目模様に限るものではなく、たとえば、石目模様、幾何学模様、あるいは、各種抽象模様等適宜の模様を設けることができるものである。
【0015】
また、前記塗布層5を形成するために塗布する塗料としては、酢酸ビニル系、塩化ビニル系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ウレタン系、アクリル系、エステル系樹脂等から適宜選択して用いればよく、透明な塗料であってもよいし、また、顔料等により着色された塗料であってもよい。前記塗布層5を形成する方法としては、溝塗装機等を用いて前記床材用基材10の溝部3内に塗布する方法、あるいは、前記床材用基材10の溝部3を設けた一方の面全面に塗布した後に溝部3以外の表面の塗料を掻き取る方法(所謂、ワイピング法)等の方法を採ることができる。また、前記塗布層5の別の形成方法としては、絵柄模様、たとえば、木目模様を設けた合成樹脂製シート4を貼着する前の溝部3に塗布することにより形成してもよいものである。
【0016】
また、前記床材1を構成する表面保護層6は、床材として要求される耐摩性、耐擦傷性、耐汚染性、耐水性等の表面物性を付与するために設けられるものであると共に、特に耐摩性や耐擦傷性、耐水性に優れ、靴下やストッキング等の伝線や拭き掃除の布の繊維が残ることのない溝部3とするために設けられるものである。この表面保護層6を形成する樹脂としては、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂等の硬化型樹脂、あるいは、これらの1種ないしそれ以上からなる混合樹脂等を用いて、たとえば、前記樹脂を溶液化したものをロールコート法等の周知の塗工法等を適宜用いて形成することができるが、電離放射線硬化型樹脂で形成するのが表面硬度が硬く、生産性に優れることなどから特に好適である。
【0017】
電離放射線硬化型樹脂とは、電離放射線を照射することにより架橋重合反応を起こし3次元の高分子構造に変化する樹脂である。電離放射線は、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合、架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等がある。通常は紫外線や電子線が用いられ、紫外線としては超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常1900〜3800Åの波長域が主として用いられる。また、電子線としてはコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVのエネルギーをもつ電子を照射するものを使用できる。
【0018】
電離放射線硬化型樹脂としては、分子中に、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、又はエポキシ基等のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマー又はポリマー(以下、これらを総称して化合物と呼称する)からなる。これら単量体、プレポリマー、及び、ポリマーは単体で用いるか、あるいは、複数種混合して用いる。なお、本明細書で(メタ)アクリレートとはアクリレートまたはメタアクリレートの意味で用いる。
【0019】
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。このプレポリマーは、通常、分子量が10000程度以下のものが用いられる。分子量が10000を超えると硬化した樹脂層の耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性等の表面物性が不足する。上記のアクリレートとメタアクリレートは共用し得るが、電離放射線での架橋硬化速度という点ではアクリレートの方が速いため、高速度、短時間で能率よく硬化させるという目的ではアクリレートの方が有利である。
【0020】
また、カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン系ビニルエーテル、エステル系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂、環状エーテル化合物、スピロ化合物等のプレポリマーが挙げられる。
【0021】
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、増感剤として光重合開始剤を添加することができる。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾインベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイド、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等を単独ないし混合して用いることができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の単独ないし混合物として用いることができる。なお、これら光重合開始剤の添加量は、一般に電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。また、電離放射線硬化型樹脂で表面保護層6を形成する方法としては、たとえば、電離放射線硬化型樹脂を溶液化し、グラビアオフセットコート法、ロールコート法、フローコート法等の周知の塗工法で塗工することにより形成することができる。塗工量としては、固形分として概ね5〜30g/m2が適当であり、より好ましくは、15〜25g/m2である。
【0022】
【実施例】
次に、本発明の床材の製造方法について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
まず、木目模様の合成樹脂製シートの製造方法について説明する。
両面コロナ放電処理を施した60μmのオレフィン系樹脂シートの一方の面にアクリル−ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂)溶液をグラビア塗工法で固形分が2g/m2となるように塗工して印刷用プライマー層を形成し、該印刷用プライマー層上にアクリル−ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂)からなる印刷インキを用いてグラビア印刷法でベタ柄印刷層と絵柄印刷層とを順次印刷して木目模様の印刷層を形成し、さらに前記印刷層上に固形分が10g/m2となるようにウレタン系接着剤を塗工して接着剤層を形成し、該接着剤層上にプロピレン系樹脂を80μm厚さとなるようにTダイ押出機で加熱溶融押出しして透明樹脂層を形成した。その後に、前記透明樹脂層面にコロナ放電処理を施すと共に該コロナ放電処置面にアクリル−ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂)溶液をグラビア塗工法で固形分が1g/m2となるように塗工して表面保護層用プライマー層を形成し、その後に前記表面保護層用プライマー層側から版深50μmの木目導管状エンボス版でエンボス加工を行って、木目導管の凹凸模様を形成した木目模様の合成樹脂製シート4を作製した。
【0023】
実施例1
12mm厚さの合板を所定寸法に裁断した後、一方の面にV溝加工機にて断面V字状の溝部3を形成すると共に実加工機にて合板の側部に雌実(図示せず)と雄実(図示せず)を設けた木質系基材2〔図3(a)参照〕を作製した。上記で作製した木目模様の合成樹脂製シート4の前記オレフィン系樹脂シートの他方の面にウレタン系2液硬化型接着剤をウエット状態で120g/m2塗工(図示せず)し、このシートを前記木質系基材2の前記溝部3を形成した面にラッピング機を用いてラッピング〔図3(b)参照〕し、その後に、前記木目模様の合成樹脂製シート4の溝部3の略中央部を溝部3に沿って切断〔図3(b)に示す切断線Sで切断〕すると共に、前記木目模様の合成樹脂製シート4の切断端縁をローラーにて溝部3の角部を被覆するように溝部3に沿わせて溝部3内に貼着し、その後に溝部3の木質系基材2が露出した面にセピア色のウレタン塗料を塗布〔図3(c)参照〕して塗布層5を形成した床材用基材を作製し、該床材用基材の溝部3を形成した面全面にウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂をロールコート法で固形分が15g/m2となるように塗工・乾燥して未硬化の電子線硬化型樹脂層を形成し、該未硬化の電子線硬化型樹脂層に酸素濃度200ppm以下の環境下で電子線(加速電圧125KeV、5Mrad)を照射して硬化させて電子線硬化型樹脂からなる表面保護層6を形成した本発明の床材1(図2参照)を得た。
【0024】
比較例1
両面コロナ放電処理を施した60μmのオレフィン系樹脂シートの一方の面にアクリル−ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂)溶液をグラビア塗工法で固形分が2g/m2となるように塗工して印刷用プライマー層を形成し、該印刷用プライマー層上にアクリル−ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂)からなる印刷インキを用いてグラビア印刷法でベタ柄印刷層と絵柄印刷層とを順次印刷して木目模様の印刷層を形成し、さらに前記印刷層上に固形分が10g/m2となるようにウレタン系接着剤を塗工して接着剤層を形成し、該接着剤層上にプロピレン系樹脂を80μm厚さとなるようにTダイ押出機で加熱溶融押出しして透明樹脂層を形成した。その後に、前記透明樹脂層面にコロナ放電処理を施すと共に該コロナ放電処置面にアクリル−ウレタン樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂)溶液をグラビア塗工法で固形分が1g/m2となるように塗工して表面保護層用プライマー層を形成し、そして該表面保護層用プライマー層上にウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂をロールコート法で固形分が15g/m2となるように塗工・乾燥して未硬化の電子線硬化型樹脂層を形成し、該未硬化の電子線硬化型樹脂層に酸素濃度200ppm以下の環境下で電子線(加速電圧125KeV、5Mrad)を照射して硬化させて電子線硬化型樹脂からなる表面保護層を形成すると共に、該表面保護層側から版深50μmの木目導管状エンボス版でエンボス加工を行って、木目導管の凹凸模様を形成した化粧シート4’を作製した。
【0025】
次に、12mm厚さの合板からなる木質系基材2の一方の面にウレタン系2液硬化型接着剤をウエット状態で120g/m2塗工(図示せず)し、上記で作製した化粧シート4’を表面保護層が表出するように貼着〔図4(a)参照〕して後に、化粧シート4’の溝部となる位置に化粧シート4’側からV溝加工機にて断面V字状の溝部3’を形成し、その後溝部3’全面にセピア色のウレタン塗料を塗工〔図3(c)参照〕して塗布層5を形成し、さらに所定寸法に裁断及び合板の側部に実加工を施して雌実と雄実を設けた比較例とする床材を得た。
【0026】
上記で作製した実施例1、及び比較例1の床材について、溝部に対して▲1▼耐摩性試験、▲2▼耐擦傷性試験、▲3▼繊維の引掛り試験を行い、その評価結果を表1に纏めて示した。
【0027】
【表1】
※▲1▼耐摩性試験
半径が0.5インチの半球状先端を有する治具の半球状先端にメチルエチルケトンを含浸したガーゼを取付け、V溝部を横断するように床材の表面を500g荷重で20往復してガーゼの着色状態を目視で評価した。
※▲2▼耐擦傷性試験
V溝部を横断するように床材の表面を爪を立てて20往復して溝部の表面の傷及び艶変化を目視で評価した。
※▲3▼繊維の引掛り試験
住居用ワイパー〔花王(株)製クイックルワイパー〕を用いて、床材の溝部にそって床材表面を擦り、ワイパーの繊維が溝部に付着したときの回数を評価した。
【0028】
上記評価結果からも明らかなように、本発明の床材は耐摩性、耐擦傷性に優れると共に繊維が引掛り難い溝部を有する床材である。
【0029】
【発明の効果】
今まで縷々説明してきたように、本発明によれば、木質系基材の一方の面に少なくとも一条の溝部を設ける工程と、前記一方の面に接着剤を介して、予め絵柄模様と最表面にアクリルポリオールにヘキサメチレンジイソシアネートを添加したアクリル−ウレタン樹脂からなる表面保護層用プライマー層を形成すると共にエンボス加工を行って凹凸模様を形成した合成樹脂製シートを前記表面保護層用プライマー層が表出するように貼着する工程と、前記溝部に位置する前記合成樹脂製シートを前記溝部の幅方向の略中央部で前記溝部の長手方向に沿って切断する工程と、前記溝部の前記切断した合成樹脂製シートを前記溝部内に折込み前記溝部の角部を被覆するように貼着する工程と、前記溝部内にウレタン塗料を塗布して塗布層を形成する工程と、前記溝部を設けた面全面にウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂を塗布すると共に電子線を照射して硬化させた表面保護層を形成する工程とからなる製造方法を採ることにより、特に耐摩性や耐擦傷性、耐水性に優れ、靴下やストッキング等の伝線や拭き掃除の布の繊維が残ることのない溝部を有する床材を効率よく製造することができる。
【0030】
また、本発明によれば、床材の溝部角部を絵柄模様を設けた合成樹脂製シートで被覆すると共に、床材表面全面を表面保護層で被覆することにより、耐摩性、耐擦傷性、耐汚染性、耐水性等において優れた表面物性を有すると共に、特に耐摩性や耐擦傷性、耐水性に優れ、靴下やストッキング等の伝線や拭き掃除の布の繊維が残ることのない溝部を有する床材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる床材に用いる床材用基材の一実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明にかかる床材の一実施例を示す要部断面図である。
【図3】本発明の床材の製造方法を説明する要部断面図である。
【図4】従来の床材の製造方法を説明する要部断面図である。
【符号の説明】
1 床材
2 木質系基材
3,3’ 溝部
4 合成樹脂製シート
4’ 化粧シート
5 塗布層
6 表面保護層
7 雌実
8 雄実
10 床材用基材
Claims (1)
- 予め絵柄模様と最表面にアクリルポリオールにヘキサメチレンジイソシアネートを添加したアクリル−ウレタン樹脂からなる表面保護層用プライマー層を形成すると共にエンボス加工を行って凹凸模様を形成した合成樹脂製シートを作製しておき、木質系基材の一方の面に少なくとも一条の溝部を設ける工程と、前記一方の面に接着剤を介して、前記合成樹脂製シートを前記表面保護層用プライマー層が表出するように貼着する工程と、前記溝部に位置する前記合成樹脂製シートを前記溝部の幅方向の略中央部で前記溝部の長手方向に沿って切断する工程と、前記溝部の前記切断した合成樹脂製シートを前記溝部内に折込み前記溝部の角部を被覆するように貼着する工程と、前記溝部内にウレタン塗料を塗布して塗布層を形成する工程と、前記溝部を設けた面全面にウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂を塗布すると共に電子線を照射して硬化させた表面保護層を形成する工程とからなることを特徴とする床材の製造方法。
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