JP4372947B2 - 擬似突板化粧シート及びこの化粧シートを用いた化粧材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、擬似突板化粧シート、および、これを用いた擬似突板化粧材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、住宅の壁面や床面、あるいは、階段などに自然感や高級感を持たせる目的で、天然木をスライスした突板を木質系基材、石膏系基材、繊維セメント板、GRC、コンクリート、あるいは、樹脂含浸紙等と貼合した突板化粧板が用いられている。しかし、突板は天然木をスライスしたものとはいうものの、天然木であることには変わりはなく、森林伐採による地球環境を破壊するといった問題や資源の枯渇による品薄問題、あるいは、これらに伴う価格の高騰などで、今までのようには住宅の壁面や床面などに今までのように安易には使用できない環境になってきている。
【0003】
しかし、突板化粧板は、先にも記載したように自然感や高級感があるといったことから、根強い需要があることも事実であり、また、突板化粧板には突板化粧板故の問題、すなわち、経時的に反りや干割れが生じるといった問題も存在する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、突板化粧板を壁面や床面等に貼着したような見栄えのする擬似突板化粧シート及びこれを用いた擬似突板化粧材を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような課題を解決するために、請求項1記載の本発明は、等間隔に直線状の溝加工予定部を有すると共に、前記溝加工予定部と、前記溝加工予定部と直交する方向の繋ぎ部とにより区画形成される領域に木目柄が設けられた擬似突板化粧シートにおいて、前記溝加工予定部、前記繋ぎ部および前記木目柄が印刷形成され、前記溝加工予定部を介して隣接する前記繋ぎ部が互い違いに設けられると共に、少なくとも隣接する領域に設けられる木目柄が互いに異なる木目柄であって、前記溝加工予定部は前記溝加工予定部を介して隣接する前記溝加工予定部と前記繋ぎ部とにより区画形成される領域に設けられた木目柄同士における色相差、明度差、および/または、彩度差のいずれか又はすべてを連続的に変化させるように印刷されていることを特徴とするものである。また、請求項2記載の本発明は、等間隔に直線状の溝加工予定部を有すると共に、前記溝加工予定部と、前記溝加工予定部と直交する方向の繋ぎ部とにより区画形成される領域に木目柄が設けられた擬似突板化粧シートにおいて、前記溝加工予定部、前記繋ぎ部および前記木目柄が印刷形成され、前記溝加工予定部を介して隣接する前記繋ぎ部が互い違いに設けられると共に、少なくとも隣接する領域に設けられる木目柄が互いに異なる木目柄であって、前記溝加工予定部は前記溝加工予定部を介して隣接する前記溝加工予定部と前記繋ぎ部とにより区画形成される領域に設けられた木目柄同士における色相差、明度差、および/または、彩度差のいずれか又はすべての中間の色相差、明度差、および/または、彩度差で印刷されていることを特徴とするものである。
【0006】
請求項1、2のいずれかに記載の構成とすることにより、突板化粧板を壁面や床面、階段面等に貼着したような見栄えのする化粧シートを得ることができる。また、化粧シートを基材と貼合し、溝加工予定部に溝加工を施して化粧材とするときに、溝加工予定部と実際の溝加工部との位置が多少ずれて、溝加工予定部が該溝加工予定部を介して隣接するいずれの木目柄に入っても、違和感のないものとすることができる。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1、2のいずれかに記載の擬似突板化粧シートにおいて、前記溝加工予定部と前記繋ぎ部とにより区画形成される全ての領域は前記溝加工予定部と平行な方向が前記溝加工予定部と直交する方向より長くなるように構成されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、特に溝加工予定部と直交する方向の端部の木目柄があたかも突板化粧板を貼着したようなイメージを与える化粧シートを得ることができる。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の擬似突板化粧シートにおいて、前記繋ぎ部の両端部がいずれも前記溝加工予定部に達していないことを特徴とするものである。このように構成することにより、溝加工予定部と実際の溝加工部との位置が多少ずれても、繋ぎ部が実際の溝加工部を越えて隣接する木目柄に入ることがない。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の擬似突板化粧シートにおいて、最表面に電離放射線硬化型樹脂により形成された表面保護層が設けられていることを特徴とするものである。このように構成することにより、耐スクラッチ性や耐磨耗性、耐汚染性等に優れた化粧シートとすることができ、床材用化粧材に特に好適な化粧シートとすることができる。
【0010】
また、請求項6に記載の発明の突板もどき化粧材は、請求項1〜5のいずれかに記載の1枚の擬似突板化粧シートを基材の一方の面に貼合すると共に、前記擬似突板化粧シートの前記溝加工予定部に溝加工を施したことを特徴とするものである。このように構成することにより、擬似突板化粧材を用いた壁面や床面、あるいは、階段面などは、あたかも突板化粧板を貼着したような見栄えのするものとすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳しく説明する。
図1は本発明にかかる擬似突板化粧シートの一実施例を示す平面図、図2は本発明にかかる擬似突板化粧材の一実施例を示す斜視図であり、図中の1は擬似突板化粧シート、2は溝加工予定部、3は繋ぎ部、4は木目柄、10は擬似突板化粧材、11は基材、20はV溝加工部、21は雌実、22は雄実、40は秋材部、41は春材部をそれぞれ示す。
【0012】
図1は本発明にかかる擬似突板化粧シートの一実施例を示す部分平面図であって、擬似突板化粧シート1は一枚のシートに等間隔に直線状の溝加工予定部2を有すと共に、前記溝加工予定部2と、前記溝加工予定部2と直交する方向の繋ぎ部3とにより区画形成される領域に秋材部40と春材部41の位置や形状が異なる木目柄4が設けられ、さらに前記溝加工予定部2を介して隣接する前記繋ぎ部3が互い違いに、かつ、前記繋ぎ部3の両端部がいずれも前記溝加工予定部2に達しないように設けられている。また、前記木目柄4が設けられる前記溝加工予定部2と前記繋ぎ部3とにより区画形成される全ての領域は前記溝加工予定部2と平行な方向が前記溝加工予定部2と直交する方向より長くなるように構成されている。
【0013】
前記溝加工予定部2、前記繋ぎ部3、前記木目柄4は、通常は図1に示す擬似突板化粧シート1の前記溝加工予定部2と直交する方向に前記擬似突板化粧シート1よりも広幅で、かつ、前記溝加工予定部2と平行な方向に連続した長尺シートに絵柄やベタ柄の印刷をすることにより、また、導管溝といった凹凸模様を加熱プレスなどすることにより形成されるものであって、図1に示す擬似突板化粧シート1は、絵柄やベタ柄の印刷、また、導管溝といった凹凸模様が形成された広幅の長尺シートを図1に示すようにトリミングしたものである。
【0014】
図1においては、説明上前記溝加工予定部2を3本の実線で明確に示したが、実際には前記溝加工予定部2は前記溝加工予定部2を介して隣接する前記溝加工予定部2と前記繋ぎ部3とにより区画形成される領域に設けられた木目柄4同士が連続性を持つような態様で印刷されている。この溝加工予定部2の連続性を持つように印刷された態様としては、前記溝加工予定部2を介して隣接する木目柄4同士における色相差、明度差、および/または、彩度差のいずれか又はすべてを連続的に変化させるように印刷された領域を持つ態様が一つの態様であり、また、別の態様としては、前記溝加工予定部2を介して隣接する木目柄4同士における色相差、明度差、および/または、彩度差のいずれか又はすべてのほぼ中間の色相差、明度差、および/または、彩度差で印刷された領域を持つ態様である。このように溝加工予定部2を構成することにより、実際の溝加工位置が前記溝加工予定部2から多少ずれて、前記溝加工予定部2が前記溝加工予定部2を介して隣接するいずれの木目柄に入っても、違和感のない木目柄とすることができる。
【0015】
前記繋ぎ部3は突板化粧板同士の繋ぎ部を印刷により再現したものであって、前記繋ぎ部3はいずれも、その両端部が前記溝加工予定部2に達しないように形成されている。このように構成することにより、実際の溝加工位置が前記溝加工予定部2から多少ずれても、この繋ぎ部3が前記溝加工予定部2を介して隣接するいずれの木目柄4にも現れることはなく、違和感のない木目柄とすることができる。
【0016】
次に、前記溝加工予定部2、前記繋ぎ部3、前記木目柄4を設けるシートとしては、少なくとも絵柄やベタ柄の印刷が可能なものであれは、特に限定されるものではないが、紙としては薄用紙が適当であり、また、合成樹脂製シートとしては、環境に優しいという観点で非ハロゲン系熱可塑性樹脂、たとえば、低密度ポリエチレン(線状低密度ポリエチレンを含む),中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,エチレンαオレフィン共重合体,ホモポリプロピレン,ポリメチルペンテン,ポリブテン,エチレン−プロピレン共重合体,プロピレン−ブテン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、あるいは、これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等の熱可塑性エステル系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂、ナイロン−6,ナイロン−66等のポリアミド系熱可塑性樹脂、あるいは、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等の単独ないし2種以上の混合物からなるシートが適当である。また、前記合成樹脂製シートは無延伸の状態、あるいは、1軸ないし2軸方向に延伸した状態のいずれの状態のシートであってもよいし、また、透明シートに限ることはなく顔料等を添加した着色シートであっても構わない。また、前記合成樹脂製シートは該合成樹脂製シートを構成する熱可塑性樹脂に応じて、適宜周知の酸化防止剤、光安定剤、紫外線防止剤、あるいは、難燃性を付与するための無機充填剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0017】
また、前記溝加工予定部2、前記繋ぎ部3、前記木目柄4を設ける前記シートには、必要に応じて、一方の面ないし両方の面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施してもよい。
【0018】
また、絵柄やベタ柄の印刷に用いるインキとしては、被印刷シートの材質により適宜樹脂系を選択すればよいが、ビヒクルとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等を1種ないし2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものを用いることができが、環境問題を考慮すると、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等の1種ないし2種以上混合した非塩素系のビヒクルが適当であり、より好適にはポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミド系樹脂等の1種ないし2種以上混合したものである。
【0019】
また、前記擬似突板化粧シート1は、壁面や床面などの用途により、その用途に要求される表面物性、たとえば、耐擦傷性、耐磨耗性、耐汚染性等を付与する必要があり、通常、前記擬似突板化粧シート1の最表面に表面保護層が設けられる。この表面保護層を形成する樹脂としては、たとえば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、あるいは、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポリブタジエン,ポリイソプレン等のポリオレフィンの1種ないしエチレン,プロピレン,ブテン,ブタジエン,イソプレン等のオレフィンの2種以上の共重合体、あるいは、炭素数が4以上のαオレフィンの共重合体(線状低密度ポリエチレン)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、あるいは、これらの1種ないしそれ以上からなる混合樹脂等を挙げることができる。また、表面保護層の形成方法としては、たとえば、前記樹脂を溶液化したもの、あるいは、加熱溶融したものを周知のグラビア印刷法、ロールコート法、あるいは、押し出し塗工法等の塗工手段を適宜用いて塗工するなり、あるいは、上記樹脂をフィルム化したものを周知のドライラミネーション法等で貼合することにより形成することができる。
【0020】
ところで、前記擬似突板化粧シート1を床材用途に用いる場合にあっては、要求される表面物性が特に厳しく、前記表面保護層を電離放射線硬化型樹脂で形成するのが好適である。電離放射線硬化型樹脂とは、電離放射線を照射することにより架橋重合反応を起こし3次元の高分子構造に変化する樹脂である。電離放射線は、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合、架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等がある。通常は紫外線や電子線が用いられる。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常1900〜3800Åの波長域が主として用いられ、また、電子線源としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型灯の各種電子線加速器を用い、100 〜1000KeV、好ましくは100 〜300 KeVのエネルギーをもつ電子を照射するものを使用できる。
【0021】
前記電離放射線硬化型樹脂としては、分子中に、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、又はエポキシ基等のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマー又はポリマー(以下、これらを総称して化合物と呼称する)からなる。これら単量体、プレポリマー、及びポリマーは、単体で用いるか、或いは複数種混合して用いる。尚、本明細書で(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタアクリレートの意味で用いる。
【0022】
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。このプレポリマーは、通常、分子量が10000 程度以下のものが用いられる。分子量が10000 を超えると硬化した樹脂層の耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性等の表面物性が不足する。上記のアクリレートとメタアクリレートは共用し得るが、電離放射線での架橋硬化速度という点ではアクリレートの方が速い為、高速度、短時間で能率よく硬化させるという目的ではアクリレートの方が有利である。
【0023】
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン系ビニルエーテル、エステル系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂、環状エーテル化合物、スピロ化合物等のプレポリマーが挙げられる。
【0024】
ラジカル重合性不飽和基を有する単量体の例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量体として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジベンジルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンテレフタレート等が挙げられる。
【0025】
また、ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単量体として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンポリエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェ−ト等が挙げられる。
【0026】
カチオン重合性官能基を有する単量体は、上記カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの単量体を用いることができる。
【0027】
上記の電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、増感剤として光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等を単独又は混合して用いることができる。又、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等を単独又は混合物として用いることができる。尚、これら光重合開始剤の添加量は一般に、電離放射線硬化性樹脂100 重量部に対して、0.1 〜10重量部程度である。また、この電離放射線硬化性樹脂で保護層を形成する方法としては、たとえば、この電離放射線硬化性樹脂を溶液化し、グラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗工法で塗工することにより形成することができる。この場合の塗工量としては、固形分として概ね5〜30g/m2 が適当であり、より好ましくは15〜25g/m2 である。
【0028】
また、電離放射線硬化性樹脂から形成された表面保護層に、より一層耐擦傷性、耐磨耗性を付与する場合には、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイアモンド、金剛砂、ガラス繊維等の研磨材を加えることにより達成することができる。この研磨材の電離放射線硬化性樹脂100 重量部に対する割合は1〜80重量部が適当である。
【0029】
次に、図2は本発明にかかる擬似突板化粧材の一実施例を示す斜視図であって、擬似突板化粧材10は、図1で示した擬似突板化粧シート1を中密度繊維板、高密度繊維板、合板、パーチクルボード等の1種ないし2種以上を貼合した木質系などの基材11の一方の面に貼合すると共に、前記擬似突板化粧シート1の前記溝加工予定部2にV溝加工20を施すと共に、前記基材11の一側部には雌実21が設けられてあり、他側部には前記雌実21に嵌合し得る雄実22が設けられてある床材用化粧材である。
【0030】
この擬似突板化粧材10は、通常、広幅状態の擬似突板化粧シートと広幅状態の基材とを貼合して後に、図2に示す寸法に裁断及びルーター等の切削加工機で擬似突板化粧シートの溝加工予定部にV溝加工を施すと共に側部に雌実、雄実加工を施すことにより作製されたものである。また、通常V溝部には、V溝部の耐水性等を向上させる目的で塗料が塗工される。なお、溝加工は例示したV溝に限るものではない。
【0031】
【実施例】
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
まず、擬似突板化粧シートについて説明する。
両面にコロナ放電処理を施した120 μmのポリプロピレンフィルム〔三菱化学エムケーブイ(株)製〕の一方の面にアクリル−ウレタン樹脂〔アクリルポリオール100 重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂〕溶液をグラビア塗工法で固形分が2g/m2 となるように塗工して印刷用プライマー層を形成し、該プライマー層上にアクリル−ウレタン樹脂〔アクリルポリオール100 重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂〕からなる印刷インキを用いてグラビア印刷法で印刷して溝加工予定部と繋ぎ部と木目柄とを形成した。その後、前記ポリプロピレンフィルムの他方の面に前記木目柄の導管部に対応するようにエンボス版で凹部を設け、その後、前記凹部にアクリル−ウレタン樹脂〔アクリルポリオール100 重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂〕からなるワイピング印刷インキを充填して乾燥させると共に、その上にアクリル−ウレタン樹脂〔アクリルポリオール100 重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加した樹脂〕溶液をグラビア塗工法で固形分が2g/m2 となるように塗工して保護層用プライマー層を形成し、その後に該プライマー層上に電離放射線硬化型樹脂〔大日精化工業製:EBF−04〕を固形分15g/m2 となるようにロールコート法で塗工、乾燥させて、未硬化の電離放射線硬化型樹脂層を形成し、該未硬化の電離放射線硬化型樹脂層に酸素濃度200PPM以下の環境下で電子線(175KeV、5Mrad )を照射して硬化させて表面保護層を形成することにより本発明の擬似突板化粧シートを得た。
【0032】
次に、擬似突板化粧材について説明する。
3mm厚さの中密度繊維板と12mm厚さの合板とを貼合した基材の中密度繊維板面に中央理化(株)製リカボンドBA-10A(100 重量部)に対してBA-10B(5重量部)を添加した接着剤をウエット状態で60g/m2 塗工し、上記で作製した擬似突板化粧シートを該擬似突板化粧シートの前記木目柄印刷面が前記塗布面側に位置するように貼着し、その後に所定寸法に裁断及び前記擬似突板化粧シートの溝加工予定部にV溝加工と前記基材の両側部に雌実加工と雄実加工とを施し、さらに、前記V溝加工部にウレタン塗装を施して図2に示すような本発明の擬似突板床材用化粧材を得た。
【0033】
得られた擬似突板床材用化粧材は、あたかも突板化粧板を敷きつめたような自然感や高級感があり、また、突板化粧板故に経時的に発生する反りや干割れの生じることのない化粧材を得ることができた。同時に、電離放射線硬化型樹脂で表面保護層を形成したことにより、耐スクラッチ性や耐磨耗性、耐汚染性等の表面物性に優れた化粧材を得ることができた。また、擬似突板床材用化粧材は、突板化粧板を配列したような見栄えのする状態を印刷により形成したものであり、地球環境保護にも役立つものである。
【0034】
なお、実施例では、床材用化粧材ということで説明したが、本発明は床材用に限ることはなく、階段に用いてもよいし、また、壁材用であってよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明の擬似突板化粧シート及びこれを用いた擬似突板化粧材は、今まで縷々説明してきたように、突板を用いることなく突板化粧板を敷きつめたり貼りつめたような自然感や高級感を得ることができるという効果を奏するものである。また、突板を用いることがないために、自然環境保護の観点からも好ましいものである。さらに、本発明の擬似突板化粧材は、突板化粧板において問題となる経時的な反りや干割れについても発生することがなく、また、電離放射線硬化型樹脂で表面保護層を形成した擬似突板化粧シートを用いることにより、耐スクラッチ性や耐磨耗性、耐汚染性等の表面物性において、突板化粧板より格段に優れた表面物性を有する化粧材、特に床材用化粧材とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる擬似突板化粧シートの一実施例を示す平面図である。
【図2】本発明にかかる擬似突板化粧材の一実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 擬似突板化粧シート
2 溝加工予定部
3 繋ぎ部
4 木目柄
10 擬似突板化粧材
11 基材
20 V溝加工部
21 雌実
22 雄実
40 秋材部
41 春材部
Claims (6)
- 等間隔に直線状の溝加工予定部を有すると共に、前記溝加工予定部と、前記溝加工予定部と直交する方向の繋ぎ部とにより区画形成される領域に木目柄が設けられた擬似突板化粧シートにおいて、前記溝加工予定部、前記繋ぎ部および前記木目柄が印刷形成され、前記溝加工予定部を介して隣接する前記繋ぎ部が互い違いに設けられると共に、少なくとも隣接する領域に設けられる木目柄が互いに異なる木目柄であって、前記溝加工予定部は前記溝加工予定部を介して隣接する前記溝加工予定部と前記繋ぎ部とにより区画形成される領域に設けられた木目柄同士における色相差、明度差、および/または、彩度差のいずれか又はすべてを連続的に変化させるように印刷されていることを特徴とする擬似突板化粧シート。
- 等間隔に直線状の溝加工予定部を有すると共に、前記溝加工予定部と、前記溝加工予定部と直交する方向の繋ぎ部とにより区画形成される領域に木目柄が設けられた擬似突板化粧シートにおいて、前記溝加工予定部、前記繋ぎ部および前記木目柄が印刷形成され、前記溝加工予定部を介して隣接する前記繋ぎ部が互い違いに設けられると共に、少なくとも隣接する領域に設けられる木目柄が互いに異なる木目柄であって、前記溝加工予定部は前記溝加工予定部を介して隣接する前記溝加工予定部と前記繋ぎ部とにより区画形成される領域に設けられた木目柄同士における色相差、明度差、および/または、彩度差のいずれか又はすべての中間の色相差、明度差、および/または、彩度差で印刷されていることを特徴とする擬似突板化粧シート。
- 前記溝加工予定部と前記繋ぎ部とにより区画形成される全ての領域は前記溝加工予定部と平行な方向が前記溝加工予定部と直交する方向より長くなるように構成されていることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の擬似突板化粧シート。
- 前記繋ぎ部の両端部がいずれも前記溝加工予定部に達していないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の擬似突板化粧シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の擬似突板化粧シートにおいて、最表面に電離放射線硬化型樹脂により形成された表面保護層が設けられていることを特徴とする擬似突板化粧シート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の1枚の擬似突板化粧シートを基材の一方の面に貼合すると共に、前記擬似突板化粧シートの前記溝加工予定部に溝加工を施したことを特徴とする擬似突板化粧材。
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