JP4043876B2 - 床材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の床面などに用いられる溝部、面取部を有する床材に関し、さらに詳しくは、視覚的に立体感を強調することができる意匠性に優れた溝部や面取部を有する床材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、たとえば、1尺×6尺の矩形状の平坦な木質系基材の表面に、小割の突板を寄せ木状に組み付けた絵柄を印刷により形成した化粧シートを貼着し、所定寸法に裁断して後に絵柄の突板同士の接合境界線に沿って木質系基材に底部が位置する横断面形状がV字状やU字状等の溝部を切削加工により形成し、必要に応じて前記溝部に透明塗料や着色塗料を塗布した床材が意匠性や耐水性に優れる等の理由から多用されている。
【0003】
しかし、上記した床材は木質系基材の表面に小割の突板を寄せ木状に組み付けて突板同士の接合境界線に沿って切削加工により溝部等を設けた床材に比べると、化粧シート面が平坦であるが故に床材自体が平面的に見えると共に溝部についても立体感(奥行き感)という点で不満の残るものであり、この改善が要望された。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記要望に応えるためになされたものであって、立体感(奥行き感)のある溝部とすることにより、立体感(奥行き感)のある意匠性に優れた床材を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、木質系基材の一方の面に溝部を形成し、前記溝部ないし前記溝部の一部を除いた前記一方の面の表出面に化粧シートを貼着した床材において、前記化粧シートには前記溝部毎の両側に前記溝部の両肩部端縁から前記溝部を挟んで互いに乖離する方向へ濃色から淡色へ連続的に変化する帯状階調柄が形成されていることを特徴とするものである。
【0006】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の床材において、前記帯状階調柄のそれぞれの幅が前記溝部の幅の1倍〜5倍であることを特徴とするものである。
【0007】
上記請求項1、2のいずれかに記載の構成とすることにより、視覚的に立体感(奥行き感)のある溝部とすることができ、立体感(奥行き感)のある意匠性に優れた床材とすることができる。また、溝部の幅は床材のサイズや意匠等を勘案して適宜決められるべきものであり、当然のことであるが帯状階調柄の幅についても意匠性を勘案して前記溝部との関係から適宜決められるべきものであるが、前記帯状階調柄の幅は概ね前記溝部の幅の1/2〜10倍、より好ましくは1〜5倍である。
【0008】
また、請求項3記載の本発明は、請求項1、2のいずれかに記載の床材において、前記溝部が等間隔に複数本設けた直線状の縦溝部と、該縦溝部と直交する方向に設けた横溝部とからなり、前記縦溝部を介して隣接する前記横溝部が一致しないように設けられていることを特徴とするものである。このように構成することにより、あたかも小割の突板を寄せ木状に組み付けたような意匠とすることができ、高級感のある床材とすることができる。
【0009】
また、請求項4記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の床材において、前記化粧シートの表面に電離放射線硬化型樹脂により形成された表面保護層が設けられていることを特徴とするものである。このように構成することにより、耐摩性、耐衝撃性、耐汚染性、耐擦傷性等の物性に優れた床材とすることができる。
【0010】
また、請求項5記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の床材において、表面に電離放射線硬化型樹脂により形成された表面保護層が設けられていることを特徴とするものである。このように構成することにより、耐摩性、耐衝撃性、耐汚染性、耐擦傷性等の物性に優れると共に、特に溝部の耐水性においても優れた床材とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳しく説明する。
図1は本発明にかかる床材の第1実施形態を概略的に示す斜視図、図2は図1の要部拡大斜視図、図3は本発明にかかる床材の第2実施形態を示す図2に対応する図、図4は本発明にかかる床材に用いる化粧シートの他の態様を示す要部拡大平面図、図5は本発明にかかる床材に用いる化粧シートのさらに他の態様を示す要部拡大平面図であり、図中の1は床材、2は木質系基材、3,3’,3”,3’’’は化粧シート、10,10’は溝部、10”は溝予定部、11は溝部の肩部端縁、30は帯状階調柄、31は木目柄、32は溝予定部ベタ柄、33は溝予定部帯状階調柄をそれぞれ示す。
【0012】
図1は本発明にかかる床材の一実施例を概略的に示す斜視図であって、床材1は木質系基材2の表面に化粧シート3を貼着し、該化粧シート3側から切削加工により前記木質系基材2にその最深部が位置する断面V字状溝部10を設けたものであって、前記化粧シート3には前記断面V字状溝部10の両側に帯状階調柄30と該帯状階調柄30以外の部分に木目柄31等の絵柄が印刷により形成されているものである。
【0013】
図2は図1の要部拡大斜視図であって、前記帯状階調柄30は前記断面V字状溝部10の両肩部端縁11から前記断面V字状溝部10を挟んで互いに乖離する方向へ濃色から淡色へ連続的に変化するように構成され、図1、2においては示されてはいないが、前記帯状階調柄30は前記断面V字状溝部10から一番遠い領域の明度および/ないし彩度が前記帯状階調柄30と隣接する木目柄31等の絵柄の明度および/ないし彩度とほぼ一致するように構成されている。
【0014】
図3は本発明にかかる床材の第2実施形態を示す図2に対応する図であって、床材1’は木質系基材2の一方の面に形成された断面V字状溝部の両肩部端縁を化粧シート3’で被覆した断面略V字状溝部10’を有するように構成したものであって、これ以外は図2に示す第1実施形態の化粧シート3と同様に前記化粧シート3’には前記断面略V字状溝部10’の両側に帯状階調柄30と該帯状階調柄30以外の部分に木目柄31等の絵柄が印刷により形成され、前記帯状階調柄30は前記断面略V字状溝部10’の両肩部端縁11から前記断面略V字状溝部10’を挟んで互いに乖離する方向へ濃色から淡色へ連続的に変化するように構成され、図示はしないが前記帯状階調柄30は前記断面略V字状溝部10’から一番遠い領域の明度および/ないし彩度が前記帯状階調柄30と隣接する木目柄31等の絵柄の明度および/ないし彩度とほぼ一致するように構成されている。このように構成した第2実施形態の床材1’は第1実施形態の床材1に比べて溝部に外圧が加わっても化粧シートを木質系基材2からより剥離し難いものとすることができる。
【0015】
このような帯状階調柄30を有する床材1、1’は視覚的に立体感(奥行き感)のある溝部10、10’とすることができ、立体感(奥行き感)のある意匠性に優れた床材とすることができる。前記溝部10、10’は意匠性のさらなる向上や耐水性を持たせる目的で必要に応じて透明塗料や着色塗料を塗布してもよいものである。また、溝部10、10’の幅は床材のサイズや意匠等を勘案して適宜決められるべきものであり、その結果、帯状階調柄の幅についても意匠性を勘案して前記溝部10、10’の幅との関係から適宜決められるべきものであるが、種々の試作品から判断すると前記帯状階調柄30の幅は概ね前記溝部10、10’の幅の1/2〜10倍、より好ましくは1〜5倍である。
【0016】
図4は本発明にかかる床材に用いる化粧シートの他の態様を示す要部拡大平面図であって、化粧シート3”は床材とした時に溝部10、10’(図2、3参照)に位置する溝予定部10”が該溝予定部10” に隣接して両側に形成された帯状階調柄30の前記溝予定部10”と隣接する濃色と同じかないしはそれより濃い濃色の溝予定部ベタ柄32が印刷により形成されたものである。
【0017】
また、図5は本発明にかかる床材に用いる化粧シートのさらに他の態様を示す要部拡大平面図であって、化粧シート3’’’は床材とした時に溝部10、10’(図2、3参照)に位置する溝予定部10”が前記溝予定部10”に隣接して両側に形成された帯状階調柄30の前記溝予定部10”と隣接する濃色から前記溝予定部10”の図5上で左右方向の中心部へ向かってさらに濃色へ連続的に変化する溝予定部帯状階調柄33が印刷により形成されたものである。
【0018】
上記の図4、図5に示した化粧シート3”、3’’’を用いた床材とすることにより、図示はしないが帯状階調柄30と溝部10、10’(図2、3参照)との巾方向の位置関係が多少ずれても意匠性を落とすことがなく、また、床材の生産性が向上するために好適である。特に、図4、図5に示した化粧シート3”、3’’’を図3に示した第2実施形態の床材1’に適用することにより、一層視覚的に立体感(奥行き感)のある溝部とすることができ、立体感(奥行き感)のより優れた床材とすることができる。
【0019】
また、今までの説明においては、図1に示した第1実施形態の床材1のように溝部10を一方向(縦方向)に設けた床材を例示したが、図示はしないがこの縦方向の溝部(縦溝部)10と直交する方向(横方向)に横溝部を前記溝部(縦溝部)10を介して隣接する前記横溝部が一致しないように設け、この横溝部についても図1〜5で説明した構成としてもよく、このように構成することにより、あたかも小割の突板を寄せ木状に組み付けたような意匠とすることができ、高級感のある床材とすることができる。また、図示はしないが図1に示した前記溝部(縦溝部)10と平行な両端部あるいは前記溝部(縦溝部)10と直交する両端部に床材1を床面に敷き詰めた際に溝部を形成するように面取り部を形成し、この面取り部についても図1〜5で説明した構成としてもよいものである。前記溝部(縦溝部)10の本数は図1に示した2本に限ることはなく、床材のサイズや意匠性を勘案して適宜決められるべきものであり、前記横溝部の本数についても前記溝部(縦溝部)10と同様である。また、前記溝部(縦溝部)10の形状についても断面V字状に限ることはなく、U字状等の床材に設けられる周知の断面形状を適宜採ることができ、前記横溝部の断面形状についても前記溝部(縦溝部)10と同様である。
【0020】
次に、本発明の床材を構成する材料について説明する。
まず、床材1を構成する木質系基材2としては、中密度繊維板、高密度繊維板、合板、パーチクルボード等の1種ないし2種以上を貼合したものを用いることができ、通常は木質系基材2の一側部には雌実が設けられ、他側部には雌実と嵌合し得る雄実が設けられるものである。
【0021】
次に、床材1を構成する化粧シート3、3’、3”、3’’’について説明する。
前記化粧シート3、3’、3”、3’’’に用いる基材シートとしては、上記した平面部帯状階調柄30や木目柄31等の絵柄が印刷により形成可能なものであれば特に限定されるものではないが、例示するならば、薄紙,上質紙,クラフト紙,和紙,チタン紙,樹脂含浸紙,紙間強化紙等の紙、木質繊維,ガラス繊維,石綿,ポリエステル繊維,ビニロン繊維,レーヨン繊維等の繊維からなる織布や不織布、あるいは、ポリオレフィン,ポリエステル,ポリアクリル,ポリアミド,ポリウレタン,ポリスチレン,ABS等の合成樹脂製シートなどの1種ないし2種以上の積層体を用いることができる。また、上記した基材シートは必要に応じて顔料等を添加して着色してもよいし、必要な面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の適宜の易接着処理を施してもよいものである。また、合成樹脂製シートは無延伸の状態、あるいは、一軸ないし二軸方向に延伸した状態のいずれの状態のシートであってもよく、必要に応じて周知の酸化防止剤、光安定剤、紫外線防止剤、あるいは、難燃性を付与するための無機充填剤等の各種添加剤を適宜添加することができる。
【0022】
また、前記平面部帯状階調柄30や木目柄31等の絵柄の形成は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等周知の印刷法によりインキにて形成され、このインキとしては印刷が施される前記基材シートの材質により適宜ビヒクルを選択して用いればよいのであって、ビヒクルとしては、たとえば、塩素化ポリエチレン,塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等の1種ないし2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものを用いることができるが、昨今の環境問題を考慮すると、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等の1種ないし2種以上混合した非塩素系のビヒクル、特にポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミド系樹脂等の1種ないし2種以上混合したものが好適である。また、絵柄としては、木目柄31に限るものではなく、石目柄、布目柄、皮紋柄、幾何学図形、文字、記号、あるいは、全面ベタ等の絵柄である。
【0023】
また、前記化粧シート3、3’、3”、3’’’には、エンボス加工等により凹凸模様を必要に応じて設けることができ、凹凸模様を設けることにより一層意匠性を向上させることができる。この凹凸模様としては、たとえば、木目柄等の導管部に設けられる導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等である。
【0024】
また、前記化粧シート3、3’、3”、3’’’には、通常、前記化粧シート3、3’、3”、3’’’の最表面に表面保護層が設けられる。この表面保護層を形成する樹脂としては、たとえば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エステル系樹脂、あるいは、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポリブタジエン,ポリイソプレン等のポリオレフィンの1種ないしエチレン,プロピレン,ブテン,ブタジエン,イソプレン等のオレフィンの2種以上の共重合体、あるいは、炭素数が4以上のαオレフィンの共重合体(線状低密度ポリエチレン)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、あるいは、これらの1種ないしそれ以上からなる混合樹脂等を挙げることができる。そして、この表面保護層の形成方法としては、たとえば、上記樹脂を溶液化するなり、加熱溶融するなりして、グラビア印刷法、ロールコート法、あるいは、押出し塗布法等の周知の塗布手段を適宜用いて塗布することにより形成することができるし、また、上記樹脂をフィルム化してドライラミネーション法等の周知の積層法で積層することにより形成することができる。
【0025】
しかしながら、表面保護層を形成するより好ましい樹脂としては電離放射線硬化型樹脂である。この理由としては、表面硬度が硬く、かつ、生産性に優れるためである。電離放射線硬化型樹脂とは、電離放射線を照射することにより架橋重合反応を起こし3次元の高分子構造に変化する樹脂である。電離放射線は、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合、架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等がある。通常は紫外線や電子線が用いられ、紫外線としては超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常1900〜3800Åの波長域が主として用いられる。また、電子線としてはコックロフトワルトン型、バンデクラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するものを使用できる。
【0026】
電離放射線硬化型樹脂としては、分子中に、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、又はエポキシ基等のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマー又はポリマー(以下、これらを総称して化合物と呼称する)からなる。これら単量体、プレポリマー、及び、ポリマーは単体で用いるか、あるいは、複数種混合して用いる。なお、本明細書で(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタアクリレートの意味で用いる。
【0027】
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。このプレポリマーは、通常、分子量が10000程度以下のものが用いられる。分子量が10000を超えると硬化した樹脂層の耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性等の表面物性が不足する。上記のアクリレートとメタアクリレートは共用し得るが、電離放射線での架橋硬化速度という点ではアクリレートの方が速いため、高速度、短時間で能率よく硬化させるという目的ではアクリレートの方が有利である。
【0028】
また、カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン系ビニルエーテル、エステル系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂、環状エーテル化合物、スピロ化合物等のプレポリマーが挙げられる。
【0029】
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、増感剤として光重合開始剤を添加することができる。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等を単独ないし混合して用いることができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等を単独ないし混合物として用いることができる。なお、これら光重合開始剤の添加量は、一般に電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。また、電離放射線硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、たとえば、電離放射線硬化型樹脂を溶液化し、グラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布法で塗布することにより形成することができる。塗布量としては、固形分として概ね5〜30g/m2が適当であり、より好ましくは15〜25g/m2である。
【0030】
また、電離放射線硬化型樹脂から形成された表面保護層に、より一層耐擦傷性、耐摩耗性を付与する場合には、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイアモンド、金剛砂、ガラス繊維等の研磨材を加えることにより達成することができる。この研磨材の電離放射線硬化型樹脂100重量部に対する割合は1〜80重量部が適当である。
【0031】
本発明の床材1は、今までは、表面保護層を化粧シート3、3’、3”、3’’’の表面に設けることで説明してきたが、表面保護層の形成方法はこれに限るものではなく、たとえば、木質系基材2に表面保護層を設けない化粧3、3’、3”、3’’’を貼着し、切削加工により溝部を設け、その後に表面にロールコート法等の周知の塗布方法で塗布して形成してもよいものである。このような方法で表面保護層を形成することにより、溝部も表面保護層で覆われることになり、一層溝部の耐水性等の物性を向上させることができる。
【0032】
また、木質系基材2に化粧シート3、3’、3”、3’’’を貼着する接着剤としては、化粧シート3、3’、3”、3’’’の接着剤と当接する面の材質により適宜選択する必要があるが、概ね酢酸ビニル系樹脂、尿素系樹脂、ウレタン系樹脂等の周知も接着剤から選択して用いればよいものである。
【0033】
【発明の効果】
以上縷々説明したように、本発明は視覚的に立体感(奥行き感)のある溝部とすることができ、これにより立体感(奥行き感)のある意匠性に優れた床材とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる床材の一実施例を概略的に示す斜視図である。
【図2】 図1の要部拡大斜視図である。
【図3】 本発明にかかる床材の第2実施形態を示す図2に対応する図である。
【図4】 本発明にかかる床材に用いる化粧シートの他の態様を示す要部拡大平面図である。
【図5】 本発明にかかる床材に用いる化粧シートのさらに他の態様を示す要部拡大平面図である。
【符号の説明】
1、1’ 床材
2 木質系基材
3,3’,3”,3’’’ 化粧シート
10、10’ 溝部
10” 溝予定部
11 溝部の肩部端縁
30 帯状階調柄
31 木目柄
32 溝予定部ベタ柄
33 溝予定部帯状階調柄
Claims (5)
- 木質系基材の一方の面に溝部を形成し、前記溝部ないし前記溝部の一部を除いた前記一方の面の表出面に化粧シートを貼着した床材において、前記化粧シートには前記溝部毎の両側に前記溝部の両肩部端縁から前記溝部を挟んで互いに乖離する方向へ濃色から淡色へ連続的に変化する帯状階調柄が形成されていることを特徴とする床材。
- 前記帯状階調柄のそれぞれの幅が前記溝部の幅の1倍〜5倍であることを特徴とする請求項1記載の床材。
- 前記溝部が等間隔に複数本設けた直線状の縦溝部と、該縦溝部と直交する方向に設けた横溝部とからなり、前記縦溝部を介して隣接する前記横溝部が一致しないように設けられていることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の床材。
- 前記化粧シートの表面に電離放射線硬化型樹脂により形成された表面保護層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の床材。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の床材において、表面に電離放射線硬化型樹脂により形成された表面保護層が設けられていることを特徴とする床材。
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