JP4546618B2 - 梱包装置の運転方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼板巻回コイルのような被包装物に牽引伸長性の合成樹脂製の包装フィルムを効率よく梱包するための梱包装置の運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、鋼板巻回コイルのような物品はこれを保管、搬送するに際し水や埃などから護る目的でその外表面を牽引伸長性のある合成樹脂製の包装フィルムで梱包することが一般に行われている。特に、鋼板巻回コイルのような大型の円筒形状の物品は、中央に筒孔があるうえに重量物であるため、例えば、特開平5−294314号公報に示されるような、ストレッチ包装フィルムの供給手段を備えたシャトルが無限軌道上を周回走行する間に、クレードルロールに支持させてある円筒形状の被包装物の筒孔を貫通するようにして、このシャトルの走行により被包装物の外表面のみならず筒孔面をも包装フィルムで梱包するようにした梱包装置が使用されている。
【0003】
このような梱包装置においては、包装フィルムを牽引するシャトルはループ体上を一定速度で周回する構造である。このため、梱包作業の効率を上げるには単純にシャトルスピードを速くする方法が採られているが、シャトルスピードを速くすると、包装フィルムの巻きだし速度が大きくなり、フィルム張力が過大となってフィルム切れを生じる現象があって、シャトルスピードの高速化には限界があるという問題点があり、一方、フィルム切れを防止するにはシャトルスピードを遅くすればいいものの、この場合は梱包作業の効率が低下するという問題点があり、作業効率の向上とフィルム切れの防止という相反する技術的課題を同時に満足できる梱包装置の新たな運転方法の開発が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、鋼板巻回コイルのような被包装物に包装フィルムをフィルム切れを発生させることなく、しかも、短時間で効率よく被包装物の外表面のみならず筒孔面をも包装フィルムで梱包することができる梱包装置の運転方法を提供することを目的として完成されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の梱包装置の運転方法は、包装フィルムの供給手段を備えたシャトルが無限軌道上を周回走行する間に、クレードルロールに支持させてある鋼板巻回コイルの筒孔を貫通するようにして、このシャトルの走行により鋼板巻回コイルの外表面のみならず筒孔面をも包装フィルムで梱包するようにした梱包装置の運転方法において、前記シャトルの走行速度が、鋼板巻回コイルの外周を走行する際には運転速度が200m/min以上の高速運転となり、鋼板巻回コイルの筒孔を貫通する際には筒孔面の入側および出側において包装フィルムが切断されるのを防止するよう前記高速運転速度の70%以下の低速運転となるように制御して周回走行するようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
また、前記軌道上にシャトルの位置を検出するセンサーを設置し、このセンサーの出力信号によるタイマー制御でシャトルの走行速度を制御するようにした梱包装置の運転方法を請求項2に係る発明とし、さらに、被包装物を支持するクレードルロールの回転速度を、シャトルの周回速度に連動させて制御するようにした梱包装置の運転方法を請求項3に係る発明とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図面は、円筒形状の被包装物Wである鋼板巻回コイルを包装フィルムFで梱包する場合を示すもので、図中1は無限軌道を形成するループ体、2はこの無限軌道上を周回走行するシャトル、3は被包装物Wを支持するクレードルロールであり、前記したシャトル2は無限軌道上を周回走行する間にクレードルロール3に支持させた被包装物Wの筒孔を貫通するように構成されていて、シャトル2の走行により被包装物Wを包装フィルムFで外表面のみならず筒孔面も梱包するように運転されることは従来技術として前記した特開平5−294314号公報に記載の装置と同様である。
【0008】
そして本発明では、前記シャトル2の走行速度が、被包装物Wの筒孔を貫通する際には低速運転となり、被包装物Wの外周を走行する際には高速運転となるように制御して周回走行させるようにしてあり、このように制御することにより、特に被包装物Wの筒孔面の入側および出側において包装フィルムFが切断されるのを防止し、高速度で運転した場合にもフィルム切れを発生させることなく効率的に梱包することを可能にする。
【0009】
これは、本発明者がシャトル2を一定の速度で走行させて被包装物Wに包装フィルムFを梱包した場合、特に被包装物Wの筒孔面の入側および出側において包装フィルムFが切断されるという現象が生じることを究明したことに基づくものである。即ち、図3に示されるように、被包装物Wの各点における包装フィルムFの縮み後の寸法(縮み前の包装フィルムFの寸法は200mmであり、数値の小さい方が縮み率〔引張力に相当する〕が大きいことになる)は、特に被包装物Wの筒孔面の入側および出側において大きくなる傾向があり、特にシャトル2の走行速度を高速化した場合はこの傾向はより顕著になる。従って、シャトル2が被包装物Wの筒孔を貫通する際に低速となるように速度制御すれば、全体を高速運転しても包装フィルムFが切断することを防止できることとなる。
【0010】
なお、本発明でいうシャトル2の走行速度の高速、低速とは両者の相対的な関係を意味するものであり、包装フィルムFの材質や厚みや幅等を考慮して決定するが、少なくともシャトル2の低速運転を高速運転の70%以下に減速した速度で行うように制御することが好ましく、特に、200m/min 以上の高速運転を行う場合には、低速運転を50%以下の速度に減速制御することが好ましい。また、従来はシャトル2を一定速度で走行させていた時にはフィルム切れを発生させないように走行速度は約100m/min 程度とされていたが、本発明では高速域におけるシャトル2の走行速度を250m/min 以上に設定することが可能となる。
【0011】
前記シャトル2は、図2に示されるように、包装フィルムFの供給手段21を具備しており、予備緊張ローラ22a、22bと張力保持用ガイドローラ群23により一定の張力でフィルムを供給するよう構成されている。なお、図において24、25は車輪であり、この車輪間にループ体1を挟み、モータ(図示せず)の作動により軌道内を自走するするよう構成されている。
そして、速度制御方法の一例として、図示のものでは軌道上にシャトル2の位置を検出するセンサーSを設置しておき、該センサーSの出力信号によりタイマー制御してシャトル2の走行速度を制御するようにしてある。即ち、センサーSの出力信号を受けて一定時間モータを高速回転しシャトル2の高速運転を行い、次に一定時間モータを低速回転しシャトル2の低速運転を行うようタイマー制御するとともに、これを繰り返すことで梱包を完成させることができる。
なお、速度制御方法としてはこれに限定されることなく、例えばセンサーSの設置位置等は任意であり、更にはタイマー制御以外の任意の制御手段を選択できることも勿論である。
【0012】
また、図1に示されるように、前記被包装物Wは1対のクレードルロール3に支持されており、該クレードルロール3の回転により軸方向に回転されつつ梱包作業が行われることによって全体が包装フィルムFで完全に覆われるのであるが、この場合、前記クレードルロール3の回転速度を、シャトル2の周回速度に連動させて制御するようにしておけば、被包装物Wの筒孔面の入側および出側において包装フィルムFが切断されるのを抑制し、包装フィルムFの重なり代も一定となり無駄がなく、かつ短時間で梱包作業を行えるので好ましい。
【0013】
以上のように、本発明の運転方法ではシャトル2の走行速度を被包装物Wの筒孔を貫通する際には低速運転とし、被包装物Wの外周を走行する際には高速運転となるように制御して周回走行させるものであり、従来に比べて全体としてはシャトル2を高速で周回走行させることができ、しかも、フィルム切れの発生もなく梱包作業の大幅な効率アップを図れることとなる。
【0014】
【実施例】
ループ体の周長が8420mmである図示の装置を用い、直径1000mmの鋼板巻回コイルを包装フィルムF(幅220mm)でフィルムラップ50mmとして梱包した。この場合、シャトルのループ体の周回数は19回必要となる。シャトルの高速運転時の速度を270m/min 、低速運転時の速度を135m/min とし、センサー通過後1.1秒間を高速運転、その後0.4秒間を低速運転、その後0.6秒間を高速運転としてシャトルがループ体を1周するようにタイマーを設定し運転制御した。この結果、梱包時間は1個当たり39.9秒となり、フィルム切れの発生もなかった。
一方、シャトルを135m/min の一定速度で走行させて梱包した場合は、1個当たり71.1秒必要であり、大幅な梱包時間の短縮が確認できた。また、シャトルを270m/min の一定速度で走行させて梱包した場合は、フィルム切れが発生し、梱包作業の継続ができなかった。
【0015】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明は鋼板巻回コイルのような大型で重量の大な円筒形状をした被包装物に包装フィルムをフィルム切れを発生させることなく、しかも、短時間で効率よく梱包することができるものである。
よって本発明は従来の問題点を一掃した梱包装置の運転方法として、産業の発展に寄与するところは極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す正面図である。
【図2】シャトルの概略を示す正面図である。
【図3】 (a) は被包装物の各場所における包装フィルムの縮み代を示すグラフ、(b) は各測定点を示す図である。
【符号の説明】
1 ループ体
2 シャトル
3 クレードルロール
F 包装フィルム
S センサー
W 被包装物
Claims (3)
- 包装フィルムの供給手段を備えたシャトルが無限軌道上を周回走行する間に、クレードルロールに支持させてある鋼板巻回コイルの筒孔を貫通するようにして、このシャトルの走行により鋼板巻回コイルの外表面のみならず筒孔面をも包装フィルムで梱包するようにした梱包装置の運転方法において、前記シャトルの走行速度が、鋼板巻回コイルの外周を走行する際には運転速度が200m/min以上の高速運転となり、鋼板巻回コイルの筒孔を貫通する際には筒孔面の入側および出側において包装フィルムが切断されるのを防止するよう前記高速運転速度の70%以下の低速運転となるように制御して周回走行するようにしたことを特徴とする梱包装置の運転方法。
- 軌道上にシャトルの位置を検出するセンサーを設置し、このセンサーの出力信号によるタイマー制御でシャトルの走行速度を制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の梱包装置の運転方法。
- 被包装物を支持するクレードルロールの回転速度を、シャトルの周回速度に連動させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の梱包装置の運転方法。
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