JP4537809B2 - カーボン・フェノール樹脂複合材料、カーボン・フェノール樹脂複合硬化材料、カーボン・フェノール樹脂複合炭化材料、燃料電池用セパレータ、導電性樹脂組成物、電池用電極、電気二重層キャパシター - Google Patents

カーボン・フェノール樹脂複合材料、カーボン・フェノール樹脂複合硬化材料、カーボン・フェノール樹脂複合炭化材料、燃料電池用セパレータ、導電性樹脂組成物、電池用電極、電気二重層キャパシター Download PDF

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本発明は、高い導電性を持ったカーボン・フェノール樹脂複合材料、このカーボン・フェノール樹脂複合材料から得られるカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料及びカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料並びに燃料電池用セパレータ、カーボン・フェノール樹脂複合硬化材料やカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料から得られる導電性樹脂組成物及び電池用電極、この電極を用いた電気二重層キャパシターに関するものである。
高い導電性を持った材料で作製される電気・電子機器の部品として、例えば固体高分子電解質型の燃料電池に用いられるセパレータなどがある。そしてこのような高い導電性を有する材料として、カーボン粉末とフェノール樹脂からなる複合材料が従来から知られている。
このカーボン粉末とフェノール樹脂からなる複合材料としては、フェノール樹脂とカーボン粉末を混合してこれを造粒することによって粒状にしたものを用いるのが一般的である。そしてこのような粒状のカーボン・フェノール樹脂複合材料は、従来から一般に次のようにして製造されている。まずフェノール類とアルデヒド類とを反応触媒の存在下で反応させてフェノール樹脂を調製し、これを脱水する。次にこのフェノール樹脂をそのまま、あるいは溶剤を加えて希釈し、これをカーボン粉末に添加してニーダー等で混練すると共に、この混練物を押出した後に乾燥し、これを粉砕することによって、カーボンとフェノール樹脂との混合粒体であるカーボン・フェノール樹脂複合材料を得ることができるものであり、この粒状のカーボン・フェノール樹脂複合材料を成形金型に充填して加熱・加圧することによって、電気・電子機器の部品を成形することができるものである。
ここで、上記のようにして得られた粒状のカーボン・フェノール樹脂複合材料は、フェノール樹脂を30〜40質量%程度含有しているのが一般的である。これは、フェノール樹脂とカーボン粉末とは分散性が悪く、フェノール樹脂の量が少ないと、カーボン粉末の表面をフェノール樹脂で十分に被覆することができなくなり、カーボン粉末を均一に分散させた成形品を得ることができなくなるために、フェノール樹脂の量を30〜40質量%程度と多く配合するようにしているのである。
しかしながら、このようにフェノール樹脂の量を多くすることによって、成形品の曲げ強さなどの強度を確保することができるが、フェノール樹脂の量が多くなると相対的にカーボン粉末の量が少なくなるので、成形品の導電性や熱伝導性が低下し、電気・電子機器用の部品としての性能が悪くなるという問題があった。特に、固体高分子電解質型の燃料電池に用いられるセパレータは、ガス不透過性でかつ高い導電性を有するものであることが要求される(例えば特許文献1〜3等参照)。従って、このようなカーボン・フェノール樹脂複合材料では十分な性能を有する燃料電池用のセパレータを成形することはできない。
このように燃料電池用のセパレータは高い導電性が要求されるので、カーボン粉末を75質量%以上配合したカーボン・フェノール樹脂複合材料を用いて成形するようにしている。しかしこのようにカーボン粉末の量を多くすると、そのぶんフェノール樹脂の量が少なくなり、カーボン・フェノール樹脂複合材料を成形して得られるセパレータのガス不透過性やたわみ性が低下することになる。つまり、カーボン粉末の量が多くなってその分フェノール樹脂の量が少なくなると、カーボン・フェノール樹脂複合材料の成形の際の流動性が不足し、セパレータを成形する際にカーボン粉末間の空隙をフェノール樹脂で十分に充填することができず、この結果、セパレータのガス不透過性やたわみ性が低下するのである。
そこで本出願人は、フェノール類とアルデヒド類とを、カーボン粉末と混合しつつ、反応触媒の存在下で付加縮合反応させることによって、カーボン・フェノール樹脂複合材料を調製し、このカーボン・フェノール樹脂複合材料を燃料電池用のセパレータの成形などに用いることを提案している。このように、フェノール類とアルデヒド類とをカーボン粉末と混合しながら反応させることによって、75質量%以上の高いカーボン含有量のカーボン・フェノール樹脂複合材料を、フェノール樹脂とカーボン粉末の分散性が良好な状態で調製することができるものであり、導電性、熱伝導性、ガス不透過性などにおいて高い性能を得ることができるものである(例えば、特許文献4等参照)。
特開2000−348740号公報 特開2001−250566号公報 特開2002−25571号公報 特開2004−83659号公報
上記の特許文献4のように、フェノール類とアルデヒド類とを、カーボン粉末と混合しつつ、反応触媒の存在下で付加縮合反応させることによって、高いカーボン含有量のカーボン・フェノール樹脂複合材料を、フェノール樹脂とカーボン粉末の分散性が良好な状態で調製することができるものであり、従来よりも高い導電性を得ることが可能である。しかし、導電性はまだ十分に満足することができるものではなく、例えば数十枚〜数百枚重ねて組み込まれる燃料電池用のセパレータの場合には目標とする接触抵抗には至っていないものであった。燃料電池用のセパレータはカーボン・フェノール樹脂複合材料を加熱・加圧して成形することによって作製されるが、この成形の際の加圧によってカーボン粉末は加圧面に対して直角方向に並び易くなり、これを導電性でみると、セパレータの板面方向には良く電気が流れるが厚さ方向への電気の流れは小さくなる異方性を示すことになり、このことが燃料電池用のセパレータの場合に接触抵抗の低下を招いていると考えられる。
また、熱可塑性樹脂に導電性フィラーを配合した導電性樹脂組成物によって、電気・電子機器の部品を成形することが行なわれている。そしてこの導電性フィラーとして、上記の特許文献4と同様にして高いカーボン含有量のカーボン・フェノール樹脂複合材料を調製し、このカーボン・フェノール樹脂複合材料の粒子を硬化させることによって得た硬化粒子や、さらにこの硬化粒子を焼成することによって得た炭化粒子を用いることができる。この場合も、高い導電性を有する導電性フィラーを得ることができるが、導電性はまだ十分に満足することができるものではなく、さらに導電性を高めることが求められている。
さらに、上記の特許文献4と同様にして高いカーボン含有量のカーボン・フェノール樹脂複合材料を調製し、このカーボン・フェノール樹脂複合材料を高温焼成して得られる炭素材料を、乾電池、鉛畜電池、リチウムイオン二次電池などの各種二次電池の電極、電気二重層キャパシターなどの電極材料として用いることができる。この炭素材料は充・放電性に優れた電極材料として有望であるが、さらに充・放電容量の高い材料が求められている。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、より高い導電性を有するカーボン・フェノール樹脂複合材料を提供することを目的とするものであり、またより高い導電性を有する導電性フィラーとして使用することができるカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料、カーボン・フェノール樹脂複合炭化材料を提供することを目的とするものであり、さらにより高い導電性を有する導電性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。またより高い導電性、熱伝導性、ガス不透過性を有する燃料電池用セパレータを提供することを目的とするものであり、さらに充・放電容量を高めることができる電池用電極及び電気二重層キャパシターを提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係るカーボン・フェノール樹脂複合材料は、フェノール類とアルデヒド類とを、カーボン粉末及びカーボンナノファイバと混合しつつ、反応触媒の存在下で付加縮合反応させることによって得られたものであることを特徴とするものである。
発明によれば、粒径が0.1〜200μmのカーボン粉末の粒子に、カーボンナノファイバとフェノール樹脂からなる層が被覆され、この被覆層の外周からカーボンナノファイバの一部が突出した態様の、粒状のカーボン・フェノール樹脂複合材料を得ることができるものであり、カーボン粉末の分散性が良好であると共に、カーボンナノファイバによってカーボン粉末の粒子間の導電性を高めることができ、より高い導電性を得ることができるものである。
また本発明の請求項に係るカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料は、請求項1乃至のいずれかに記載のカーボン・フェノール樹脂複合材料のフェノール樹脂を硬化させたものであり、粒子の表面に露出するカーボンナノファイバによって導電性を高めることができ、より高い導電性を有する導電性フィラーとして使用することができるものである。
また本発明の請求項に係るカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料は、カーボン・フェノール樹脂複合材料のフェノール樹脂を硬化させ、さらに非酸化性雰囲気で熱処理してフェノール樹脂を炭化させたものであり、粒子の表面に露出するカーボンナノファイバによって導電性を高めることができ、より高い導電性を有する導電性フィラーとして使用することができるものである。
また本発明の請求項に係る燃料電池用セパレータは、請求項1乃至のいずれかに記載のカーボン・フェノール樹脂複合材料によって、所定の流路パターンを備えた薄板状成形体に成形されたものである。
請求項1乃至のいずれかに記載のカーボン・フェノール樹脂複合材料はカーボン粉末の分散性が良好であると共にカーボンナノファイバによってより高い導電性を有するので、より高い導電性を有すると共に熱伝導性やガス不透過性に優れた燃料電池用セパレータを得ることができるものである。特に、カーボン・フェノール樹脂複合材料を加熱・加圧成形して燃料電池用セパレータを作製するにあたって、表面に露出するカーボンナノファイバ同士が接触することによってカーボン粉末の粒子同士を電気的に接触させることができ、電気的な異方性を解消することができるものであり、電気的に等方性で接触抵抗の小さい燃料電池用セパレータを得ることができるものである。
また本発明の請求項に係る導電性樹脂組成物は、請求項に記載のカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料と、請求項のカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料の少なくとも一方を導電性フィラーとして樹脂に配合して成ることを特徴とするものである。
請求項のカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料や、請求項のカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料は高い導電性を有するので、より導電性が高い導電性樹脂組成物を得ることができるものである。
また本発明の請求項に係る電池用電極は、請求項のカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料を電極材料として用いて形成されたことを特徴とするものであり、さらに本発明の請求項に係る電気二重層キャパシターは、請求項に記載の電極を用いて形成されたことを特徴とするものであり、充・放電容量の高い電池用電極や電気二重層キャパシターを得ることができるものである。
本発明によれば、フェノール類とアルデヒド類とを、カーボン粉末及びカーボンナノファイバと混合しつつ、反応触媒の存在下で付加縮合反応させることによって得られたものであるので、カーボン粉末の粒子に、カーボンナノファイバとフェノール樹脂からなる層が被覆され、この被覆層の外周からカーボンナノファイバの一部が突出した態様の、粒状のカーボン・フェノール樹脂複合材料を得ることができるものであり、カーボン粉末の分散性が良好であると共に、カーボンナノファイバによってカーボン粉末間の導電性を高めることができ、より高い導電性を得ることができるものである。
そしてこのカーボン・フェノール樹脂複合材料を中間生成物として、より高い導電性を有するカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料、カーボン・フェノール樹脂複合炭化材料を得ることができると共に、より高い導電性、熱伝導性、ガス不透過性を有する燃料電池用セパレータを得ることができるものであり、またこのカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料やカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料を中間生成物として、より高い導電性を有する導電性樹脂組成物を得ることができると共に、充・放電容量の高い電池用電極及び電気二重層キャパシターを得ることができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明においてフェノール類としては、フェノールの他にフェノールの誘導体を用いることができる。フェノール誘導体としては、例えばm−クレゾール、レゾルシノール、3,5−キシレノールなど3官能性のもの、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルメタンなどの4官能性のもの、o−クレゾール、p−クレゾール、p−ter−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4−又は2,6−キシレノールなどの2官能性のo−又はp−置換のフェノール類などを挙げることができ、さらに塩素又は臭素で置換されたハロゲン化フェノールなどを用いることもできる。フェノール類としてはこれらから1種を選択して用いる他、複数種のものを混合して用いることもできる。
また本発明においてアルデヒド類としては、ホルムアルデヒドの水溶液の形態であるホルマリンが最適であるが、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンのような形態のものを用いることもでき、その他アルデヒドの一部あるいは大部分をフルフラールやフルフリルアルコールに置き換えたものを用いることも可能である。
さらに本発明において反応触媒としては、フェノール類とアルデヒド類を反応させ、ベンゼン核とベンゼン核の間に−NCH結合を生成するような塩基性物質、例えばヘキサメチレンテトラミン、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン等の第1級や第2級のアミン類などを用いることができる。また、ナトリウム、カリウム、リチウムなどアルカリ金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、あるいはカルシウム、マグネシウム、バリウムなどアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、あるいは第3級アミン化合物などを挙げることもできる。これらの具体例を挙げると、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7などがある。
ここで、反応触媒として上記のような、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、あるいは第3級アミンを用いることによって、フェノール樹脂には反応触媒に起因した窒素成分が含有されないようにすることができ、窒素含有率の少ないカーボン・フェノール樹脂複合材料を得ることができるものであり、このカーボン・フェノール樹脂複合材料を成形して得られる成形品に窒素成分が取り込まれることを最低限にすることができるものである。尚、第三級アミンは窒素成分を含有するが、第三級アミンはフェノール樹脂に付加しないので窒素成分がフェノール樹脂の分子中に取り込まれることはなく、殆どはろ液に移行して除去される。例えば電気・電子機器用の成形品に窒素成分が多量に取り込まれていると、窒素成分の溶出によって、電気・電子機器に腐食などの問題が発生するおそれがある。特に燃料電池用セパレータに窒素成分が多量に取り込まれていると、燃料電池の運転時に生成される水分によってアンモニア等として溶出し、出力が低下するおそれがある。従ってカーボン・フェノール樹脂複合材料のフェノール樹脂中に含有される窒素成分の量は少ないほど望ましく、窒素成分の含有量は理想的には0%であるが、窒素含有量を0.3質量%以下に制限することによって、窒素成分による問題の発生を実質的に防ぐようにするのが望ましい。ここで本発明においてフェノール樹脂中の窒素含有量は、カーボン・フェノール樹脂複合材料にメタノールを加えて溶解する窒素成分を抽出し、メタノールを留去した後に抽出された窒素量をケルダール法で測定し、この測定した窒素量がフェノール樹脂中の何質量%になるか換算したものである。
そして、上記のフェノール類と、アルデヒド類と、反応触媒とを反応釜などの反応容器にとり、フェノール類とアルデヒド類とを付加縮合反応させるものであるが、このとき本発明ではさらにカーボン粉末とカーボンナノファイバを反応容器に投入し、また必要に応じて滑剤、エポキシ樹脂、カップリング剤などの添加剤を反応容器に投入し、これらの存在下でフェノール類とアルデヒド類との反応を行なわせるものである。ここで、フェノール類に対するアルデヒド類の配合量は、フェノール類1モルに対してアルデヒド類1.0〜3.0モルの範囲が好ましい。また反応触媒の配合量は、反応触媒の種類によって大きく異なるが、フェノール類に対して0.2〜20質量%の範囲が好ましい。
本発明において上記のカーボン粉末としては、炭素質の粉末であれば特に制限されることなく使用することができるものであり、例えば天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛、膨張黒鉛、カーボンブラック、メソフェースカーボン、コークス粉、木炭粉、籾殻炭、炭素繊維の粉末などを用いることができ、さらにこれらを加工した球状化黒鉛や塊状化黒鉛などを用いることができる。カーボン粉末はこれらから1種を選択して用いる他、複数種のものを混合して用いることもできる。またカーボン粉末の粒径は特に限定されるものではないが、0.1〜200μm程度が好ましい。
また本発明において使用される上記のカーボンナノファイバは、直径が1000nm以下の微細炭素繊維であり、炭素六角網面からなる円筒の単層構造あるいは、この円筒が同心円状に配置された多層構造に形成されている。このカーボンナノファイバは、従来のポリアクリルニトリル、ピッチ、セルロース、レーヨンなどの繊維を熱処理することによって得られる繊維径が5〜10μm程度の炭素繊維とは大きく異なるものであり、このような炭素繊維とは繊維径や繊維長が異なるだけでなく、構造的にも大きく異なっており、電伝導性や熱伝導性、摺動性などの特性が極めて優れているものである。カーボンナノファイバの好ましい例として、カーボンナノチューブと呼ばれるものを挙げることができる。カーボンナノチューブはグラファイトウィスカー、フィラメンタスカーボン、炭素フィブリルなどとも呼ばれているものであり、単層のカーボンナノチューブや多層のカーボンナノチューブの他に、カーボンナノホーンなどチューブ形態を問うことなく使用することができる。カーボンナノチューブとしては、例えば、炭化水素などのガスを有機遷移金属系触媒の存在下において水素ガスと共に気相熱分解することによって製造される気相法炭素繊維(VGCF)を用いることができる。
カーボンナノファイバは直径が上記のように1000nm以下であることが好ましく、その下限は特に設定されるものではないが、実用上0.5nm程度が直径の下限である。直径が1000nmを超えると、機械的強度、熱伝導性、摺動性などの特性向上の効果を十分に得ることができないものであり、直径が0.5nm未満であると、機械的強度の向上の効果を十分に得ることができない。また特に限定されるものではないが、カーボンナノファイバの長さは1〜1000μmの範囲、アスペクト比(長さ/直径)は、3〜1000の範囲であることが好ましい。カーボンナノファイバの長さが1000μmを超えると、カーボンナノファイバをフェノール樹脂に均一に分散させるのが難しくなる。
本発明で使用されるカーボンナノファイバは、2300℃以上、より好ましくは2500〜3500℃の温度で非酸化性雰囲気において熱処理することが好ましい。このように熱処理することによって、カーボンナノファイバの機械的強度や化学的安定性が向上するものである。非酸化性雰囲気は、例えばアルゴン、ヘリウム、窒素ガスによって形成することができる。またこの熱処理において、炭化ホウ素、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩、窒化ホウ素、有機ホウ素化合物などのホウ素化合物を共存させることによって、熱処理の効果が一層向上すると共に、熱処理温度を低くすることが可能になるものである。
そして上記の反応は反応系を攪拌するに足る量の水中で、攪拌しつつ行なわれるものであり、反応の当初では反応系は粘稠なマヨネーズ状であって攪拌に伴って流動する状態であるが、反応が進むにつれて次第に、カーボン粉末及びカーボンナノファイバを含むフェノール類とアルデヒド類との付加縮合反応物が系中の水と分離し始め、反応生成されるフェノール樹脂とカーボン粉末及びカーボンナノファイバとが凝集した複合粒子が突然に反応容器の全体に分散された状態になる。そしてさらに所望する程度にフェノール樹脂の反応を進めて冷却したのちに攪拌を停止すると、この複合粒子は沈殿して水と分離される。この複合粒子は微小な含水顆粒状物となっており、反応容器から取り出して濾過することによって水から容易に分離することができるものであり、これを乾燥することによって成形に適した粒状にすることができる。
上記のようにしてカーボン・フェノール樹脂複合材料の粒体を得ることができるものであり、この粒体はカーボン粉末の粒子(主としてカーボン粉末が凝集した二次粒子、複粒子)に、カーボンナノファイバとフェノール樹脂からなる層が被覆された形態に形成されるものであり、この被覆層の外周からカーボンナノファイバの一部がイガグリ状に突出している(図3の顕微鏡写真参照)。図1はカーボン・フェノール樹脂複合材料の粒体の構造を概略的に図示したものであり、カーボン粉末の粒子(二次粒子、複粒子)1の外周にカーボンナノファイバ2が含有されたフェノール樹脂の層3が被覆されており、カーボンナノファイバ2の多くはフェノール樹脂の被覆層3内に放射状に配置されており、カーボンナノファイバ2の一端はカーボン粉末の粒子1に接触すると共に他端はフェノール樹脂の被覆層3の表面から突出している。従って、カーボン粉末の粒子1はフェノール樹脂の被覆層3で覆われているが、カーボンナノファイバ2を通してカーボン粉末の粒子1間の導電性を得ることができるものであり、導電性の高いカーボン・フェノール樹脂複合材料の粒体を得ることができるものである。
また上記のようにして得られるカーボン・フェノール樹脂複合材料の粒体は、カーボン粉末及びカーボンナノファイバからなるカーボン成分とフェノール樹脂とが凝集されたものであるために、各粒子においてカーボン成分とフェノール樹脂の割合が同一であり、またバインダーであるフェノール樹脂は粒子の表面に極めて薄く均一に被覆されるため、フェノール樹脂の量が少ないカーボン・フェノール樹脂複合材料を容易に得ることができるものである。従って、バインダーであるフェノール樹脂の含有量が少なくカーボン成分が多くても、カーボン成分とフェノール樹脂とが均一に分散されたカーボン・フェノール樹脂複合材料を容易に得ることができるものである。
このように、カーボン成分の配合量を多くすることができるので、カーボン成分の配合量は特に限定されるものではないが、カーボン・フェノール樹脂複合材料の全量に対して55〜97質量%の範囲で任意に設定することができる。またカーボンナノファイバの配合量も特に限定されるものではないが、カーボン・フェノール樹脂複合材料の全量に対して0.05〜20質量%の範囲が好ましい。カーボンナノファイバの配合量が0.05質量%未満であると、カーボンナノファイバの配合で導電性を高める効果を十分に得ることができない。
そして、上記のようにして得られるカーボン・フェノール樹脂複合材料を成形材料として用いて成形することによって、高い導電性が必要とされる各種の電気・電子機器の部品や、固体高分子電解質型の燃料電池に用いられるセパレータを製造することができるものである。成形は、カーボン・フェノール樹脂複合材料を金型に射出する射出成形や、カーボン・フェノール樹脂複合材料を金型に充填して加熱・加圧する圧縮成形など任意の成形法で行なうことができる。このときの加熱は、金型の温度を130〜250℃の範囲に設定して行なうのが好ましく、加圧は、10〜200MPaの範囲の面圧で行なうのが好ましい。
図2は上記の成形によって得られた成形品の一例である、燃料電池用セパレータ4を示すものであり、所定の流路パターンで形成されるガス流路5,6を片面に設けて形成してある。そしてフッ素系樹脂などでイオン交換膜として形成される電解質膜7の両面に、カーボンクロスやカーボンペーパーなどによって形成されるアノード8とカソード9を配置し、さらにアノード8とカソード9の外側にそれぞれセパレータ4を配置することによって、固体高分子電解質型の燃料電池のセルを形成することができるものであり、アノード8とセパレータ4の間のガス流路5に水素を含有する燃料ガスを、カソード9とセパレータ4の間のガス流路6に空気を供給するようになっている。ここで、本発明に係るカーボン・フェノール樹脂複合材料は、上記のようにカーボン粉末の含有率を高くしてもカーボン粉末とフェノール樹脂を均一に分散させることができ、カーボン粉末の含有率が高い成形品を容易に成形することができると共に、カーボン粉末の粒子間にフェノール樹脂を良好に充填させることができるものであり、しかもカーボンナノファイバによって導電性がより高くなっている。従って、導電性や熱伝導性が高く、且つガス不透過性が高い燃料電池用セパレータ4を得ることができるものである。特に、上記のようにカーボン・フェノール樹脂複合材料を加熱・加圧成形して燃料電池用セパレータを作製するにあたって、表面に露出するカーボンナノファイバ同士が接触することによってカーボン粉末の粒子を電気的に接触させることができ、電気的な異方性を解消することができるものであり、電気的に等方性で接触抵抗の小さい燃料電池用セパレータを得ることができるものである。
また、上記のようにして得られるカーボン・フェノール樹脂複合材料は導電性の高い粒体であるので、カーボン・フェノール樹脂複合材料の粒子のフェノール樹脂を硬化させることによって、導電性フィラーとして使用することができるカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料を得ることができる。フェノール樹脂の硬化は、カーボン・フェノール樹脂複合材料を80〜350℃で、1〜100時間程度加熱することによって行なうことができる。
またこのようにカーボン・フェノール樹脂複合材料のフェノール樹脂を硬化させて調製したカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料を、非酸化性雰囲気で熱処理してフェノール樹脂を炭化させることによって、導電性フィラーとして使用することができるカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料を得ることができる。非酸化性雰囲気は、フェノール樹脂が酸化されないものであればよく、不活性ガス雰囲気としてはアルゴン、ヘリウム、窒素ガスなど雰囲気に設定することができる。熱処理の条件は、フェノール樹脂を焼成して炭化するために、400〜3000℃、1〜100時間程度に設定するのが好ましい。
また、上記のようにして得られる粒状のカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料や、カーボン・フェノール樹脂複合炭化材料を導電性フィラーとして、樹脂に配合することによって、導電性樹脂組成物を得ることができる。樹脂としては、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマー、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂などの熱可塑性樹脂mフェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。導電性フィラーとして配合するカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料やカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料の配合量は任意に設定することができるが、質量比で樹脂1に対して、カーボン・フェノール樹脂複合硬化材料やカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料を0.01〜1.5程度の範囲に設定するのが好ましい。
このように調製される導電性樹脂組成物を射出成形などの任意の方法で成形することによって、導電性の高い電気・電子機器の部品を製造することができるものである。
また上記のカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料は、リチウム二次電池など二次電池の負極のような、電池の電極を形成する炭素材料として使用することができる。カーボン・フェノール樹脂複合炭化材料を炭素材料として用いて、リチウム二次電池の負極などの電極を作製することができるものであり、例えば、カーボン・フェノール樹脂複合炭化材料をバインダーと共に溶剤等に分散してスラリー状にし、銅箔等の金属箔にこのスラリーを塗布して乾燥し、プレス成形等することによって、電極を形成することができるものである。
さらにこの電極を分極性電極として用い、電解液の界面で形成される電気二重層を形成する電気二重層キャパシターを形成することができるものである。本発明のカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料を用いることによって、充・放電容量が高い電池用電極や電気二重層キャパシターを得ることができるものである。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
攪拌装置を備えた反応容器にフェノールを385質量部、37質量%のホルマリンを499質量部、ヘキサメチレンテトラミンを40質量部仕込み、さらにカーボン粉末として平均粒径が5μmの鱗片状黒鉛粉末を1918質量部、平均直径150nm、平均長さ15μm、アスペクト比が100の気相炭素繊維からなるカーボンナノファイバ(昭和電工株式会社製「VGCF」)を10質量部、水を2000質量部仕込み、これを攪拌しつつ60分を要して90℃まで昇温し、そのまま3時間反応を行なった。次に、これを冷却した後、濾別して乾燥することによって、粒状のカーボン・フェノール樹脂複合材料(フェノール樹脂は未硬化)を得た。
このカーボン・フェノール樹脂複合材料の、フェノール樹脂含有率は15.1質量%、カーボン粉末含有率は84.4質量%、カーボンナノファイバの含有率は0.5質量%であった。さらに、カーボン・フェノール樹脂複合材料にメタノールを加えて溶解成分を抽出し、メタノールを留去した後にケルダール法で窒素量を測定し、測定値をフェノール樹脂に対する質量比率に換算してフェノール樹脂中の窒素含有率を算出したところ、4.1質量%であった。
(実施例2)
鱗片状黒鉛粉末の仕込み量を1817質量部、カーボンナノファイバの仕込み量を111質量部に変更するようにした他は、実施例1と同様にして、粒状のカーボン・フェノール樹脂複合材料(フェノール樹脂は未硬化)を得た。
このカーボン・フェノール樹脂複合材料の顕微鏡写真を図3に示す。またこのカーボン・フェノール樹脂複合材料の、フェノール樹脂含有率は14.9質量%、カーボン粉末含有率は80.1質量%、カーボンナノファイバの含有率は5.0質量%、フェノール樹脂中の窒素含有率は4.0質量%であった。
(実施例3)
37質量%のホルマリンの仕込み量を638質量部に変更し、ヘキサメチレンテトラミンの代りにトリエチルアミンを7.7質量部仕込むようにした他は、実施例1と同様にして、粒状のカーボン・フェノール樹脂複合材料(フェノール樹脂は未硬化)を得た。このカーボン・フェノール樹脂複合材料の、フェノール樹脂含有率は14.9質量%、カーボン粉末含有率は84.6質量%、カーボンナノファイバの含有率は0.5質量%、フェノール樹脂中の窒素含有率は0.02質量%であった。
(実施例4)
37質量%のホルマリンの仕込み量を638質量部に変更し、ヘキサメチレンテトラミンの代りにトリエチルアミンを7.7質量部仕込むようにした他は、実施例2と同様にして、粒状のカーボン・フェノール樹脂複合材料(フェノール樹脂は未硬化)を得た。このカーボン・フェノール樹脂複合材料の、フェノール樹脂含有率は14.9質量%、カーボン粉末含有率は80.0質量%、カーボンナノファイバの含有率は5.1質量%、フェノール樹脂中の窒素含有率は0.02質量%であった。
(比較例1)
カーボンナノファイバを用いず、鱗片状黒鉛粉末の仕込み量を1928質量部に変更した他は、実施例2と同様にして、粒状のカーボン・フェノール樹脂複合材料(フェノール樹脂は未硬化)を得た。このカーボン・フェノール樹脂複合材料の、フェノール樹脂含有率は15.0質量%、カーボン粉末含有率は85.0質量%、フェノール樹脂中の窒素含有率は4.2質量%であった。
上記のようにして実施例1〜4及び比較例1で得たカーボン・フェノール樹脂複合材料について、成形の際の流れ、疎充填かさ密度、粒度を測定した。結果を表1に示す。
ここで、流れの測定は、試料量を10g、荷重を39.2kN、加圧時間を2分に設定して、JIS K 6911「成形材料(円板式流れ)」に準拠して行なった。
また疎充填かさ密度の測定は、筒井理化学機械(株)製の「ABD粉体物性測定器」を用い、測定円台に100cmの試料容器を載せ、これに試料を上部のホッパから供給し、試料容器が一杯になった時点で山になった部分をヘラですり取り、試料容器内の試料の全量を測定することによって行ない、次の式から疎充填かさ密度を算出した。
疎充填かさ密度(g/cm
=(試料の重量:g)/(試料容器の容量:100cm
また粒度の測定は、(株)飯田製作所製の振動ふるい器を用いて行なった。
Figure 0004537809
また、実施例1〜4及び比較例1で得たカーボン・フェノール樹脂複合材料を、予め160℃に加熱した金型に充填し、約25MPaの面圧で加圧しながら3分間加熱して成形することによって、成形品を得た。そしてこの成形品を試験片として、曲げ強さ、曲げ弾性率、最大たわみ量、抵抗率、気体透過度、接触抵抗、電気伝導度を測定した。結果を表2に示す。
ここで、曲げ強さ、曲げ弾性率、最大たわみ量の測定は、長さ180mm×幅10mm×厚さ4mmの試験片を用い、JIS K 6911に準拠して行なった。また抵抗率の測定は、板厚2mmの試験片を用いてJIS K 7194に準拠して行なった。また気体透過度の測定は、JIS K 7126のB法(等圧法)に準拠して行なった。また接触抵抗の測定は、縦・横20mm、厚さ2mmの試験片2枚を測定電極間に重ねて配置すると共に接触面圧0.98MPa(10kgf/cm)で挟圧させた状態で、1Aの電流を流したときの電圧を測定することによって行なった。また電気伝導度の測定は、厚さ2mmの成形品から切り出した、4.0gの試験片を350mlの純水に入れ、これを90℃で500時間加熱した後に行なった。
Figure 0004537809
表2にみられるように、各実施例のものは抵抗率、接触抵抗が小さく、導電性に優れることが確認される。
(実施例5)
実施例2で得たカーボン・フェノール樹脂複合材料をステンレス製バットに広げ、95℃の乾燥機中に48時間入れて加熱してフェノール樹脂を硬化させることによって、粒状のカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料を得た。
このカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料30質量部と、ポリフェニレンエーテル樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製「ユピエースAH8」)70質量部をとり、これをドライブレンドした後、ラボプラストミルを用いて320℃で均一に溶融混練した。そしてこれを冷却して固化させた後、粉砕し、導電性樹脂組成物を得た。
(比較例2)
比較例1で得たカーボン・フェノール樹脂複合材料を用い、他は実施例5と同様にしてカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料を得た。このカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料を用いて、他は実施例5と同様にして導電性樹脂組成物を得た。
上記の実施例5及び比較例2で得た導電性樹脂組成物を射出成形することによって、縦・横100mm、厚さ2mmの試験用ボードを作製し、この試験用ボードについて抵抗率をJIS K 7194に準拠して測定した。結果を表3に示す。
Figure 0004537809
表3にみられるように、実施例5のものは抵抗率が小さく導電性に優れることが確認される。
(実施例6)
実施例5で得たカーボン・フェノール樹脂複合硬化粒子を、窒素ガス雰囲気中で2800℃まで昇温し、75時間焼成することによってフェノール樹脂を炭化させた。そしてこれを粉砕して粒径が10μm以下になるように粉砕し、カーボン・フェノール樹脂複合炭化材料を得た。
このカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料にポリビニリデンフルオライドを10質量%加え、これをN−メチルピロリドンに分散させてスラリー状にした。そしてこのスラリーを直径12mmの円形の銅箔に塗布し、130℃で10時間真空乾燥した後、減圧下でプレス成形して電極を作製した。
(比較例3)
比較例2で得たカーボン・フェノール樹脂硬化材料を用い、他は実施例6と同様にしてカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料を得た。このカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料を用いて、他は実施例6と同様にして電極を作製した。
上記の実施例6及び比較例2で得た電極について、充・放電容量を測定した。充・放電容量測定には2電極セルを用いた。対極に金属リチウム、作用極に炭素材料を使用し、セパレータにはポリプロピレン製多孔質膜を用いた。電解液は1モル濃度の過塩素酸リチウムのエチレンカーボネート/ジエチレンカーボネート溶液(50/50質量%)を用いた。そして充・放電は正極、負極間に25mA/gの定電流を流して行ない、両極間の電位差の経時変化を測定することにより放電時間と充電時間を求め、充・放電容量は、電流密度が一定であるため、電流密度に放電時間又は充電時間を積算することにより求めた。結果を表4に示す。
Figure 0004537809
表4にみられるように、実施例6のものは充・放電容量が大きいことが確認される。
本発明に係るカーボン・フェノール樹脂複合材料の粒体の構造を概略的に示す断面図である。 燃料電池のセルの一例を示す一部の断面図である。 実施例2で得たカーボン・フェノール樹脂複合材料の粒体の顕微鏡写真であり、(a)は300倍、(b)1500倍の倍率の写真である。
符号の説明
1 カーボン粉末の粒子
2 カーボンナノファイバ
3 フェノール樹脂層

Claims (9)

  1. フェノール類とアルデヒド類とを、カーボン粉末及びカーボンナノファイバと混合しつつ、反応触媒の存在下で付加縮合反応させることによって得られたカーボン・フェノール樹脂複合材料であって、粒径が0.1〜200μmのカーボン粉末の粒子に、カーボンナノファイバとフェノール樹脂からなる層が被覆され、この被覆層の外周からカーボンナノファイバの一部が突出したものであることを特徴とするカーボン・フェノール樹脂複合材料。
  2. カーボンナノファイバの直径は1000nm以下であることを特徴とする請求項に記載のカーボン・フェノール樹脂複合材料。
  3. カーボンナノファイバの含有量が0.05質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーボン・フェノール樹脂複合材料。
  4. 請求項1乃至のいずれかに記載のカーボン・フェノール樹脂複合材料のフェノール樹脂を硬化させたものであることを特徴とするカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料。
  5. 請求項1乃至のいずれかに記載のカーボン・フェノール樹脂複合材料のフェノール樹脂を硬化させ、さらに非酸化性雰囲気で熱処理してフェノール樹脂を炭化させたものであることを特徴とするカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載のカーボン・フェノール樹脂複合材料によって、所定の流路パターンを備えた薄板状成形体に成形されたものであることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
  7. 請求項に記載のカーボン・フェノール樹脂複合硬化材料と、請求項のカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料の少なくとも一方を、導電性フィラーとして樹脂に配合して成ることを特徴とする導電性樹脂組成物。
  8. 請求項に記載のカーボン・フェノール樹脂複合炭化材料を電極材料として用いて形成されたことを特徴とする電池用電極。
  9. 請求項に記載の電極を用いて形成されたことを特徴とする電気二重層キャパシター。
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