JP2003317733A - 燃料電池用セパレータの成形原料並びにこれを使用した燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータ - Google Patents

燃料電池用セパレータの成形原料並びにこれを使用した燃料電池用セパレータの製造方法及び燃料電池用セパレータ

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JP2003317733A
JP2003317733A JP2002119987A JP2002119987A JP2003317733A JP 2003317733 A JP2003317733 A JP 2003317733A JP 2002119987 A JP2002119987 A JP 2002119987A JP 2002119987 A JP2002119987 A JP 2002119987A JP 2003317733 A JP2003317733 A JP 2003317733A
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Tsunemori Yoshida
常盛 吉田
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Nippon Pillar Packing Co Ltd
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Nippon Pillar Packing Co Ltd
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的、電気的に優れた特性を発揮しうるセ
パレ−タを得ることができる燃料電池用セパレ−タの成
形原料を提供する。 【解決手段】 燃料電池用セパレ−タの成形原料は、黒
鉛粉末21をフェノール樹脂22及びカーボンナノファ
イバ23の被覆層24で被覆してなる粒状複合材25の
集合物であり、黒鉛粉末:55〜91質量%、フェノー
ル樹脂:9〜25質量%及びカーボンナノファイバ:3
〜30質量%からなる組成をなす。被覆層24は、フェ
ノール樹脂22による層24aとカーボンナノファイバ
23による層24bとからなる2層構造をなすか、フェ
ノール樹脂22にカーボンナノファイバ23を分散させ
た混合材からなる単層構造をなす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池用セパレ
−タの成形原料並びにこれを使用した燃料電池用セパレ
−タの製造方法及び燃料電池用セパレ−タに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】燃料電池、例えば固体高分子型の燃料電
池は、固体高分子膜を挟んでアノード電極及びカソード
電極とセパレータとを設けて単セルを構成し、この単セ
ルを数百個のオーダで積み重ねてなり、アノード電極側
にセパレータに形成せるガス供給溝を通して水素等の燃
料ガスを供給すると共にカソード電極側に酸素等の酸化
ガスを供給することによって、電気化学反応を生ぜしめ
て、燃料が有する化学エネルギーを電気エネルギーに変
換し出力するようになっている。
【0003】このような燃料電池に用いられるセパレ−
タの材質特性としては、各単セルで発生した電流がセパ
レータを通して流れ、また隣接する単セルは、各々のセ
パレータを相互に密着させることで、回路的に直列接続
構造となるように形成されることから、セパレータ自身
の固有抵抗(体積抵抗)と共に、セパレータ同士を重ね
て締付けたときのセパレータ表面間及びセパレータとそ
れに密着する電極接面間の接触抵抗が可及的に小さくな
ることが要求される。
【0004】また、燃料ガスと酸化ガスとを完全に分離
した状態で各々の電極に供給するために、高度のガス不
透過性が必要とされる。さらに、前記したように、多数
の単セルを積層して組立てられることから、セパレータ
の肉厚をできるだけ薄くし、かつ、このように薄肉化し
た場合でも、何百枚にも及ぶセパレータをスタックし、
それらを締め付けて固定することで燃料電池が組立てら
れる関係から、充分な機械的強度を有し、また、良好な
成形精度が得られることが要求される。
【0005】このような特性が要求されるセパレータと
して、例えば純銅やステンレス鋼等の金属板を用いたも
のが知られているが、これら金属系の材料では、燃料ガ
スとしての水素ガスが接触するために水素脆性による材
質劣化等が生じ易く、長期安定性に欠けるという問題が
ある。
【0006】そこで近年、黒鉛粉末に、結合剤(バイン
ダー)としてフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を配合
し、加圧成形した成形体をセパレータとして採用した燃
料電池の開発が進められている。黒鉛材は電気抵抗が小
さく、しかも、耐食性に優れることから、上記した金属
板を用いた場合の不具合が改善される。また、圧粉末成
形体内部に生じる気孔空隙が上記のようなバインダーで
埋められることで、或る程度のガス不透過性を得ること
ができる。
【0007】このような黒鉛製セパレータは、従来、例
えばパウダー状のフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂とア
ルコール等の揮発性の有機溶媒とを攪拌してスラリー状
とし、これを黒鉛粉末に配合して混練した後に乾燥し、
次いで、所定の平均粒径となるまで粉砕する工程を経て
製造された樹脂配合黒鉛粉末を、成形原料として製造
(加圧成形)されている。上記の粉末砕工程で、混練に
より非導電性の樹脂により表面が覆われた黒鉛粉末が解
砕され、これに伴って黒鉛面が露出した原料粉末が形成
される。次いで、この原料粉末を所定の金型に充填し、
加圧成形することによって燃料電池用セパレータが形成
されている。
【0008】この場合、樹脂量が多い程、機械的強度や
ガス不透過性が良好となる。したがって従来は、まず燃
料電池用セパレータとして必要な機械的強度やガス不透
過性の要件を満足させ得る樹脂量を定めて黒鉛製セパレ
ータが製造されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような製造法により形成される従来の黒鉛製セパレー
タでは、接触抵抗等の電気的特性は必ずしも充分に満足
し得るものとはなっていない。つまり、この電気的特性
は樹脂量が少ないほど良好となるものの、樹脂量を少な
くすると機械的強度やガス不透過性が低下することか
ら、従来は樹脂量をそれ程少なくすることができず、こ
のために良好な電気的特性を併せもつものとはなってい
ない。
【0010】本発明は、このような問題を生じることな
く、機械的、電気的に優れた特性を発揮しうるセパレ−
タを得ることができる燃料電池用セパレ−タの成形原料
を提供すると共に、この原料を使用してなる燃料電池用
セパレ−タ及びその製造方法及を提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成すべく、黒鉛粉末を硬化性樹脂及びカーボンナノフ
ァイバからなる被覆層で被覆してなる粒状複合材の集合
物であることを特徴とする燃料電池用セパレ−タの成形
原料を提案する。好ましい実施の形態にあって、かかる
成形原料は、黒鉛粉末:55〜91質量%、硬化性樹
脂:9〜25質量%及びカーボンナノファイバ:3〜3
0質量%(より好ましくは10〜20質量%)からなる
組成をなす。
【0012】黒鉛粉末としては、天然黒鉛、人造黒鉛、
カーボンブラック、キッシュ黒鉛、膨脹黒鉛等、如何な
る種類のものを用いても良く、コスト等の条件を考慮し
て任意に選択することができるが、平均粒径が50〜1
50μmであり且つ固定炭素が98%以上のものを使用
することが好ましい。一般には、電気的特性の面から天
然黒鉛や人造黒鉛を使用することが好ましい。なお、成
形原料における黒鉛粉末の配合比率が55質量%未満で
ある場合や黒鉛粉末の平均粒径が50μm未満である
と、セパレ−タの電気的特性を充分に確保することが困
難であり、また黒鉛粉末の配合比率が91質量%を超え
る場合や黒鉛粉末の平均粒径が150μmを超える場合
には、充分なセパレ−タ強度を確保することが困難であ
る。
【0013】硬化性樹脂としては、黒鉛粉末との濡れ性
に優れたレゾール系又はノボラック系のフェノール樹脂
が最適する。なお、フェノール樹脂の他、エポキシ樹脂
(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキ
シ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環型
エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等)、不飽和ポリエ
ステル樹脂(オルソフタル酸系、イソフタル酸系、テレ
フタル酸系、アジピン酸系、ヘット酸系(HET酸;ヘ
キサクロル−3、6−エンドメチレン−テトラヒドロ無
水フタル酸)、3、6−エンドメチレン−テトラヒドロ
無水フタル酸系、マレイン酸系、フマル酸系、イタコン
酸系等)、ビニルエステル樹脂(ノボラック型ビニルエ
ステル樹脂、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂
等)、アリルエステル樹脂(テレフタル酸、イソフタル
酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン
酸のエステル、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、1、4−ブタンジオール、ネオペンチルグルコー
ル等の多価アルコール、及びアリルアルコールから製造
されるもの等)、アルキド樹脂、アクリル樹脂、メラミ
ン樹脂、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタ
レート樹脂、フラン樹脂、イミド樹脂、ウレタン樹脂、
ユリア樹脂等を使用することも可能である。なお、成形
原料における硬化性樹脂の配合比率が9質量%未満で
は、充分なセパレ−タ強度や成形性(樹脂流動性)を確
保することが困難であり、25質量%を超える場合に
は、電気的特性の向上を期待し難い。
【0014】カーボンナノファイバは、カーボンナノチ
ューブ、グラファイトウィスカー、フィラメンタスカー
ボン、グラファイトファイバ、極細炭素チューブ、カー
ボンチューブ、カーボンフィブリル、カーボンマイクロ
チューブ等とも称せられるもので、ファイバ(チュー
ブ)を形成するグラファイト膜が単層をなすもの(SW
NT)と多層をなすもの(MWNT)とがある。本発明
で使用されるカーボンナノファイバとしては、単層、多
層の何れでもよく、またチューブ形態も限定されない
(例えば、カーボンナノホーン等でもよい)が、電気的
特性及び樹脂マトリックスとの相性等に優れたものが好
適する。例えば、裁頭円錐状の筒体を重ねたような形態
をなすもの(カルベール(登録商標))、樽状の形態を
なすもの或いは繊維径50〜200nmのもの(VGN
F,VGCF(登録商標))等を使用することができ
る。なお、成形原料におけるカーボンナノファイバの配
合比率が3質量%未満では、カーボンナノファイバによ
る電気的特性及び機械的強度の向上効果があまり期待で
きず、30質量%を超えると、加圧成形時における被覆
層の黒鉛粉末間への流動,充填が充分に行われず、機械
的強度及びガス不透過性が不充分となる虞れがある。特
に、カーボンナノファイバによる電気的特性及び機械的
強度の大幅な向上並びに充分な成形精度の確保を図るた
めには、カーボンナノファイバの配合比率を10〜20
質量%としておくことが好ましい。
【0015】また、本発明は、上記した成形原料を、所
定の成形型を使用して加圧成形するようにした燃料電池
用セパレータの製造方法及びこれによって製造された燃
料電池用セパレ−タを提案する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
1〜図4に基づいて具体的に説明する。
【0017】図1は本発明に係る燃料電池用セパレ−タ
4を示しており、図2はこのセパレ−タ4を使用した燃
料電池の一例を示している。而して、この燃料電池は、
図2に示す如く、例えばフッ素系樹脂により形成された
イオン交換膜である固体高分子膜1とこれを両側から挟
むアノード電極2及びカソード電極3とこれらを更に両
側から挟むセパレータ4,4とからなる単セル5を数百
個のオーダで積層し、その両端に集電板(図示せず)を
配置したスタック構造に構成されている。アノード電極
2及びカソード電極3は、炭素繊維糸で織成したカーボ
ンクロスやカーボンペーパー或いはカーボンフェルトに
より構成されている。
【0018】各セパレータ4は、図1に示す如く、外周
側部分に水素含有の燃料ガスが流れる燃料ガス孔6,7
と酸素含有の酸化ガスが流れる酸化ガス孔8,9とを形
成してなる矩形薄板状のものである。これらの孔6〜9
は、単セル5を積層したときにおいて、燃料電池の内部
をそれぞれ長手方向に貫通して、燃料ガス供給マニホー
ルド、燃料ガス琲出マニホールド、酸化ガス供給マニホ
ールド及び酸化ガス排出マニホールドを構成する。
【0019】上記各孔6〜9の内側表面には任意パター
ンの溝部10からなる流路が形成されている。この溝部
12のバターンは、図1に示すものの他、例えば多数の
突起間に格子状に設けられたものであってもよい。この
溝部10により、図2に示すように、アノード電極2側
のセパレータ4では、アノード電極2表面との間に燃料
ガス流路11が形成され、隣接するセパレ−タ4との間
に冷却水流路12が形成される。一方、カソード電極3
側のセパレ−タ4では、カソード電極3表面との間に酸
化ガス流路13が形成される。
【0020】上記構成の燃料電池においては、外部に設
けられた燃料ガス供給装置から供給された水素を含有す
る燃料ガスが、前記した燃料ガス供給マニホールドを経
由して各単セル5の燃料ガス流路11に供給され、各単
セル5のアノード電極2側においてH→2H+2e
の電気化学反応が生じる。反応後の燃料ガスは各単セ
ル5の燃料ガス流路11から燃料ガス排出マニホールド
を経由して外部に排出される。
【0021】同時に、外部に設けられた酸化ガス供給装
置から供給された酸素を含有する酸化ガス(空気)が前
記酸化ガス供給マニホールドを経由して各単セル5の酸
化がス流路13に供給され、各単セル5のカソード電極
3側でO+4H+e→2HOの電気化学反応が
生じる。反応後の酸化ガスは各単セル5の酸化ガス流路
13から酸化ガス排出マニホールドを経由して外部に排
出される。
【0022】上記した電気化学反応に伴い、全体として
は2H+O→2HOの電気化学反応が進行し、こ
の反応によって、燃料が有する化学エネルギーが電気エ
ネルギーに変換され所定の電池性能が発揮される。な
お、この燃料電池は約80〜100℃の温度範囲で運転
されるが、運転中は外部に設けられた冷却水供給装置か
ら冷却水が供給され、これが前記冷却水路12を通して
循環されることによって、上記記の温度範囲に保持され
るようになっている。
【0023】セパレータ4は、通常、厚さ1〜3mm程
度の薄板状に形成され、深さ0.3〜1.5mm程度の
溝部10が、アノード電極2側のセパレ−タ4ではその
両面に、カソード電極3側のセパレータ4ではその片面
に設けられて、前記した燃料ガス流路11、冷却水流路
12及び酸化ガス流路13が形成されている。
【0024】而して、セパレ−タ4は、図3及び図4
(A)に示す如く、黒鉛粉末21を硬化性樹脂22及び
カーボンナノファイバ23からなる被覆層24で被覆し
てなる粒状複合材25の集合物である成形原料20を使
用して、所定の成形型により加圧成形(圧縮成形)され
たものである。前述した如く、成形原料20における各
成分の配合比率は、黒鉛粉末:55〜91質量%、硬化
性樹脂:9〜25質量%及びカーボンナノファイバ:3
〜30質量%(より好ましくは10〜20質量%)とし
ておくことが好ましく、黒鉛粉末21としては平均粒径
が50〜150μmであり且つ固定炭素が98%以上の
天然黒鉛又は人造黒鉛が好適し、硬化性樹脂としては黒
鉛粉末との濡れ性に優れるフェノール樹脂が最適する。
カーボンナノファイバとしては、SWNT,MWNTの
何れでもよいが、特に、電気的特性に加えて樹脂マトリ
ックスとの相性等に優れたものが使用される。
【0025】粒状複合材25は、黒鉛粉末21を硬化性
樹脂(フェノール樹脂等)22及びカーボンナノファイ
バ23からなる被覆層24で被覆してなるものである
が、被覆層24は図3(A)〜(C)に例示する形態を
なす。すなわち、図3(A)に示す粒状複合材(以下
「第1粒状複合材」という)25では、被覆層24が、
黒鉛粉末21を被覆するカーボンナノファイバ23によ
るファイバ層24bと、黒鉛粉末21をファイバ層24
bで被覆したもの(以下「ファイバ被覆黒鉛粒子」とい
う)を更に被覆する硬化樹脂22による樹脂層24a
と、からなる2層構造をなす。この第1粒状複合材25
は、黒鉛粉末21の表面にカーボンナノファイバ23を
付着ないし接着させてファイバ被覆黒鉛粒子を得た上
で、このファイバ被覆黒鉛粒子を樹脂22で被覆させる
ことによって製造される。また、図3(B)に示す粒状
複合材(以下「第2粒状複合材」という)25では、被
覆層24が、黒鉛粉末21を被覆する樹脂22による樹
脂層24aと、黒鉛粉末21を樹脂層24aで被覆した
もの(以下「樹脂被覆黒鉛粒子」という)を更に被覆す
るカーボンナノファイバ23によるファイバ層24b
と、からなる2層構造をなす。この第2粒状複合材25
は、例えば、黒鉛粉末21の表面を樹脂22で被覆させ
て樹脂被覆黒鉛粒子を得た上で、この樹脂被覆黒鉛粒子
の表面にカーボンナノファイバ23を付着ないし接着さ
せることによって製造される。また、図3(C)に示す
粒状複合材(以下「第3粒状複合材」という)では、被
覆層24が硬化樹脂22にカーボンナノファイバ23を
均一に分散させてなる混合層をなす。第3粒状複合材
は、例えば、カーボンナノファイバ23と黒鉛粉末21
より微粉させた樹脂22との混合粉を黒鉛粒子21の表
面に付着ないし接着することにより製造される。
【0026】ところで、第1粒状複合材25の樹脂層2
4aを形成する場合又は第2粒状複合材25の樹脂被覆
黒鉛粒子を製造する場合において、樹脂の原料溶液の攪
拌中にファイバ被覆黒鉛粒子の表面(第1粒状複合材2
5を製造する場合)又は黒鉛粉末の表面(第2粒状複合
材25を製造する場合)で樹脂の重合反応が生じるよう
にすることが好ましい。例えば硬化性樹脂22としてフ
ェノール樹脂を使用する場合において、フェノール樹脂
の主原料であるフェノール類及びホルムアルデヒド類と
反応触媒ないし一般的な反応溶媒とを仕込んだ反応容器
内にファイバ被覆黒鉛粒子又は黒鉛粉末を添加して、そ
れらを混合攪拌しつつ所定の温度に加熱することによっ
て、フェノール樹脂22が、ファイバ被覆黒鉛粒子又は
黒鉛粉末21の表面に強固に付着するようにする。この
場合におけるフェノール樹脂(樹脂層24a)は、例え
ば、下記の反応例1(化1)又は反応例2(化2)に示
す如き反応によって得られる。
【0027】
【化1】
【0028】
【化2】
【0029】ところで、上記のフェノール類とはフェノ
ール及びフェノールの誘導体を意味するもので、例えば
フェノールの他にm−クレゾール、レゾルシノール、
3,5−キシレノール等の3官能性のもの、ビスフェノ
ールA、ジヒドロキシジフェニルメタン等の4官能性の
もの、o−クレゾール、p−クレゾール、p−terプ
チルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クミル
フェノール、p−ノニルフェノール、2,4又は2,6
−キシレノール等の2官能性のo−又はp−置換のフェ
ノール類等を挙げることができる。さらに塩素または臭
素で置換されたハロゲン化フェノール等も使用すること
が可能であり、また、これらから一種類選択して用いる
他、複数種のものを混合して用いることもできる。
【0030】また、フェノール類と共にフェノール樹脂
の主原料となるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒ
ドの水溶液の形態であるホルマリンが最適するが、トリ
オキサン、テトラオキサン、パラホルムアルデヒドのよ
うな形態のものを用いることもでき、その他、ホルムア
ルデヒドの一部あるいは大部分をフルフラールやフルフ
リルアルコールに置き換えることも可能である。
【0031】また、フェノール類とアルデヒド類を付加
縮合反応させる触媒としては、レゾール型フェノール樹
脂の合成時に使用される塩基性触媒を挙げることができ
る。但し、生成されるフェノール樹脂がアンモニアレゾ
ール型フェノール樹脂となる触媒、例えばアンモニア、
第一級アミン、第二級アミンなどの含窒素化合物は好ま
しくない。アンモニア、第一級アミン、第二級アミンな
どの含窒素化合物を触媒としてフェノール樹脂を合成す
ると、触媒に起因するアンモニアなどの含窒素系不純物
がフェノール樹脂中に多く残存する可能性がある。これ
らの触媒を用いると、レゾール型フェノール樹脂の合成
に必要な塩基性雰囲気と樹脂骨格中に窒素成分を導入す
るための反応要素を兼用させることが可能になるが、そ
の反面、触媒が樹脂反応に参加するに伴って副反応を生
じ、これにより含窒素系不純物が生じて少なからずフェ
ノール樹脂中に残存することになるのである。そしてフ
ェノール樹脂中に窒素系不純物が残存する結果、成形材
料中の窒素成分の含有量が多くなると、この成形材料を
成形して作製されたセパレータを搭載する燃料電池に
は、次のような悪影響がある。すなわち、燃料電池の運
転時に、不凍性かつ低電導性の冷却水をセルスタック間
に流す必要があるが、この際にセパレータ中に含まれて
いる含窒素系不純物が冷却水中にイオン化した状態で流
出又は溶出し、この結果、冷却水の電気伝導度が増加
し、セパレータ間の電気の漏電や起電力の低下が生じ易
くなり、燃料電池の安定性が低下する虞れがある。冷却
後の電気伝導度は200μS/cm以下の低導率に維持
されるのが望ましいが、含窒素系不純物の溶出により許
容範囲を逸脱する虞れがある。したがって、窒素成分の
含有量は理想的には0%であるが、成形材料中の窒素成
分の含有量を0.3質量%以下に規制することによっ
て、窒素成分の流出や溶出を実質的に防ぐようにするこ
とが好ましい。このように成形原料中の窒素成分含有量
を少なくするためには、フェノール類とアルデヒド類を
付加縮合反応させる触媒として、ナトリウム、カリウ
ム、リチウムなどのアルカリ金属の酸化物や水酸化物や
炭酸塩、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどアル
カリ土類金属の酸化物や水酸化物や炭酸塩、第三級アミ
ンを用いるのが好ましく、これらのうち1種のものを単
独で用いる他、2種以上のものを併用することもでき
る。具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシ
ウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、トリメチル
アミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、
1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7
などを挙げることができる。これらのアルカリ金属又は
アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩は、いず
れも窒素成分を全く含有せず、また第三級アミンは窒素
成分を含有するが第三級アミンではこの窒素成分はメチ
ロール基に付加するようなことがないものであり、窒素
成分がフェノール樹脂の分子中に取り込まれるようなこ
となく、フェノール樹脂を良好に調製することができる
ものである。なお、成形原料中に窒素成分が極力混入し
ないようにする上からも、黒鉛粉末として固定炭素が9
8%以上であるものを使用することが好ましい。
【0032】粒状複合材25は上記のようにして得るこ
とができるが、かかる粒状複合材25の集合物である本
発明に係る成形原料20を使用することによって、冒頭
で述べた問題を生じず、電気的特性、機械的強度及びガ
ス不透過性に優れたセパレ−タ4を得ることができる。
【0033】すなわち、成形原料20(セパレ−タ4を
成形するに必要且つ充分な量の粒状複合材25)を、所
定のセパレ−タ成形型(セパレ−タ4の形状に対応する
成形面を有する成形型)に充填して、熱間で加圧成形
(一般に、加熱温度:150〜200℃、成形圧力:1
5〜50MPa、成形時間(加圧時間):数分)する。
なお、成形圧力が15MPa未満であると、得られる成
形体密度が小さく、体積抵抗が大きくなって導電性に優
れたセパレータを得ることが困難となり、50MPaを
超える過度の面圧を加えると、被覆層24を構成する樹
脂22又はカーボンナノファイバ23が黒鉛粉末21間
から押し出されて成形体周辺領域に偏在する現象が顕著
になり、接触抵抗が大きくなる虞れがある。また、成形
温度は、樹脂22の加熱特性に応じて適宜設定されるも
のであるが、樹脂量が少ない場合の成形型内での黒鉛粉
末21の流動性等、良好な成形性が得られるように、通
常は上記のように150℃以上に設定しておくことが好
ましい。しかし、200℃を超えると成形体の膨れ現象
が発生し、さらに高温になると樹脂22が炭化する虞れ
がある。
【0034】成形型に充填された成形原料20つまり粒
状複合材25は、黒鉛粉末21の表面全体を樹脂22及
びカーボンナノファイバ23からなる被覆層24で被覆
されているから、加圧成形においては、加熱に伴って軟
化する樹脂22により、個々の黒鉛粉末21が成形型内
で樹脂22に相当する流動性を示し、これによって樹脂
22が硬化した後も成形型に良く馴染んだ成形体、つま
り形状精度の良好な成形体を得ることができる。
【0035】成形原料20を成形型に充填した状態で
は、図4(A)に示す如く、粒状複合材25相互の接触
部間に空隙27が存在しているが、加圧成形により粒状
複合材25に強力な圧縮力が作用すると、被覆層24を
構成する樹脂22が空隙27へと流動して、空隙27を
充填する。すなわち、粒状複合材25に作用する圧縮力
(加圧力)は、粒状複合材25相互の接触部において高
く、空隙27に臨む非接触部において低いことから、当
該接触部における樹脂部分が空隙27へと流動し、その
結果、図4(B)に示す如く、黒鉛粉末21相互間が被
覆層24を構成す混合材(樹脂22とカーボンナノファ
イバ23との混合材)24Aによって充填されることに
なる。つまり、混合材24Aのマトリックス内に黒鉛粉
末21が均一に分散配置された緻密な形態(ガス不透過
性に優れた形態)に成形されることになる。ところで、
加圧成形による圧縮力が特に高くなる前記接触部におい
て黒鉛粉末21同士が局部的に接着することはあるにし
ても、各黒鉛粉末21の外周面はその殆どが混合材24
Aにより囲繞されることになり、黒鉛粉末21間は混合
材24Aにより非接触状態にある。しかし、混合材24
Aは、樹脂22に導電性の極めて高いカーボンナノファ
イバ23を分散させたものであるから、黒鉛粉末21間
に樹脂のみが充填されている場合に比して、全体として
の導電性は飛躍的に向上し、電気的特性に優れたセパレ
−タ4が得られる。また、一般に、黒鉛粉末21が露出
していないセパレ−タ表面においては、樹脂リッチとな
って隣接配置の電極との接触抵抗が高くなる傾向にある
が、本発明のものでは、当該セパレ−タ表面がカーボン
ナノファイバ23を含む混合材24Aで被覆されている
ことから、非導電性の樹脂のみで被覆されたものに比し
て、導電性が極めて高くなり、接触抵抗が大幅に低減す
ることになる。さらに、カーボンナノファイバ23は導
電性のみならず機械的強度及び弾性にも優れたものであ
るから、樹脂量が少なく黒鉛粉末21を囲繞する樹脂層
が薄い場合にも、樹脂層がカーボンナノファイバ23に
より効果的に補強されることになり、セパレ−タ4全体
としての機械的強度が大幅に向上する。したがって、セ
パレータ4を可及的に薄肉化することが可能となり、よ
り小型で且つ軽量の燃料電池を得ることができる。
【0036】なお、セパレ−タ4は、上記した如く成形
原料20をセパレ−タ成形型に充填して加圧成形する
他、成形原料20を、セパレータとしての最終形状に近
似する形状に加圧成形(予備成形)した上、得られた予
備成形体をセパレ−タ成形型に装填して、最終的なセパ
レ−タ形状に加圧成形するようにすることもできる。予
備成形は冷間(室温)で行なうことができ、熱間で行な
うにしても100℃以下の温度に設定しておくことが好
ましい。
【0037】
【実施例】(実施例1)実施例1として、図3(A)に
示す粒状複合材(第1粒状複合材)25を得た上、この
粒状複合材25の集合物である成形原料20を使用し
て、図1に示す形状の燃料電池用セパレ−タ4を加圧成
形した。
【0038】すなわち、乾式混合法により平均粒径10
0μmの鱗片状黒鉛粉末の表面にカーボンナノファイバ
を付着させたファイバ被覆黒鉛粒子を得た。そして、攪
拌機付きの反応容器に、o−クレゾール(水に対する常
温での溶解度2.0)、フェノール、ホルマリン及び水
酸化カリウムを仕込み、更に上記ファイバ被覆黒鉛粒子
を仕込んで、これらを混合攪拌しながら60分を要して
90℃まで昇温し、そのまま4時間反応を行った。次
に、20℃まで冷却した後、反応容器の内容物をヌッチ
ェによりろ別することによって含水顆粒物を得た。しか
る後、この含水顆粒物を熱風循環式乾燥器(器内温度:
45℃)により約48時間乾燥させて、粒状複合材を得
た。黒鉛粉末、カーボンナノファイバ及びフェノール樹
脂の配合比率は、表1に示す如く、黒鉛粉末:77質量
%、フェノール樹脂:20質量%及びカーボンナノファ
イバ:3質量%とした。
【0039】そして、成形原料(セパレ−タの形状に応
じた量の粒状複合材)をセパレ−タ成形型に充填して、
成形圧力:20MPa、成形温度:170℃、加圧時
間:3分の条件で加圧成形することによって、本発明に
係る燃料電池用セパレ−タ(以下「第1実施例セパレ−
タ」という)を得た(本成形工程)。
【0040】さらに、上記粒状複合材を成形原料とし
て、上記と同一条件の加圧成形を行うことによって、第
1実施例セパレ−タと同一性状をなす第1〜第3試験片
を得た。なお、第1試験片は縦:50mm、横80m
m、厚さ:2mmの矩形板であり、第2試験片は縦横:
20mm、厚さ:2mmの正方形板であり、第3試験片
は縦80mm、横:10mm、厚さ4mmの矩形板であ
る。 (実施例2)実施例2として、黒鉛粉末、フェノール樹
脂及びカーボンナノファイバの配合比率を、表1に示す
如く、黒鉛粉末:75質量%、フェノール樹脂:20質
量%及びカーボンナノファイバ:5質量%とした点を除
いて、実施例1と同様にして、図3(A)に示す形態の
粒状複合材(第1粒状複合材)を得た。そして、得られ
た粒状複合材を成形原料として、実施例1と同様にし
て、第1実施例セパレ−タと同一形状のセパレ−タ(以
下「第2実施例セパレ−タ」という)及び実施例1で得
た各試験片と同一形状の第1〜第3試験片を製造した。 (実施例3)実施例3として、黒鉛粉末、フェノール樹
脂及びカーボンナノファイバの配合比率を、表1に示す
如く、黒鉛粉末:70質量%、フェノール樹脂:20質
量%及びカーボンナノファイバ:10質量%とした点を
除いて、実施例1と同様にして、図3(A)に示す形態
の粒状複合材(第1粒状複合材)を得た。そして、得ら
れた粒状複合材を成形原料として、実施例1と同様にし
て、第1実施例セパレ−タと同一形状のセパレ−タ(以
下「第3実施例セパレ−タ」という)及び実施例1で得
た各試験片と同一形状の第1〜第3試験片を製造した。 (実施例4)実施例4として、黒鉛粉末、フェノール樹
脂及びカーボンナノファイバの配合比率を、表1に示す
如く、黒鉛粉末:60質量%、フェノール樹脂:20質
量%及びカーボンナノファイバ:20質量%とした点を
除いて、実施例1と同様にして、図3(A)に示す形態
の粒状複合材(第1粒状複合材)を得た。そして、得ら
れた粒状複合材を成形原料として、実施例1と同様にし
て、第1実施例セパレ−タと同一形状のセパレ−タ(以
下「第4実施例セパレ−タ」という)及び実施例1で得
た各試験片と同一形状の第1〜第3試験片を製造した。 (実施例5)実施例5として、黒鉛粉末、フェノール樹
脂及びカーボンナノファイバの配合比率を、表1に示す
如く、黒鉛粉末:50質量%、フェノール樹脂:20質
量%及びカーボンナノファイバ:30質量%とした点を
除いて、実施例1と同様にして、図3(A)に示す形態
の粒状複合材(第1粒状複合材)を得た。そして、得ら
れた粒状複合材を成形原料として、実施例1と同様にし
て、第1実施例セパレ−タと同一形状のセパレ−タ(以
下「第5実施例セパレ−タ」という)及び実施例1で得
た各試験片と同一形状の第1〜第3試験片を製造した。 (実施例6)実施例6として、黒鉛粉末、フェノール樹
脂及びカーボンナノファイバの配合比率を、表1に示す
如く、黒鉛粉末:55質量%、フェノール樹脂:25質
量%及びカーボンナノファイバ:20質量%とした点を
除いて、実施例1と同様にして、図3(A)に示す形態
の粒状複合材(第1粒状複合材)を得た。そして、得ら
れた粒状複合材を成形原料として、実施例1と同様にし
て、第1実施例セパレ−タと同一形状のセパレ−タ(以
下「第6実施例セパレ−タ」という)及び実施例1で得
た各試験片と同一形状の第1〜第3試験片を製造した。 (実施例7)実施例7として、黒鉛粉末、フェノール樹
脂及びカーボンナノファイバの配合比率を、表1に示す
如く、黒鉛粉末:45質量%、フェノール樹脂:25質
量%及びカーボンナノファイバ:30質量%とした点を
除いて、実施例1と同様にして、図3(A)に示す形態
の粒状複合材(第1粒状複合材)を得た。そして、得ら
れた粒状複合材を成形原料として、実施例1と同様にし
て、第1実施例セパレ−タと同一形状のセパレ−タ(以
下「第7実施例セパレ−タ」という)及び実施例1で得
た各試験片と同一形状の第1〜第3試験片を製造した。 (比較例1)比較例1として、パウダー状のフェノール
樹脂をボールミルで粉末砕混合した後、メタノールを加
えてスラリー状にし、これに実施例1で使用した黒鉛粉
末を加えて、攪拌すると共に60℃で乾燥した後、ミキ
サーで粉末砕して、樹脂−黒鉛混合粉末を得た。黒鉛粉
末、フェノール樹脂の配合比率は、表1に示す如く、黒
鉛粉末:80質量%、フェノール樹脂:20質量%とし
た。なお、フェノール樹脂の粉末砕混合に当たり、途中
でステアリン酸マグネシウムを添加した。
【0041】そして、得られた樹脂−黒鉛混合粉末を成
形原料として、実施例1と同様にして、第1実施例セパ
レ−タと同一形状のセパレ−タ(以下「第1比較例セパ
レ−タ」という)及び実施例1で得た各試験片と同一形
状の第1〜第3試験片を製造した。 (比較例2)比較例2として、黒鉛粉末、フェノール樹
脂の配合比率を、表1に示す如く、黒鉛粉末:75質量
%、フェノール樹脂:25質量%とした点を除いて、比
較例1と同様にして、樹脂−黒鉛混合粉末を得た。そし
て、得られた混合粉末を成形原料として、実施例1と同
様にして、第1実施例セパレ−タと同一形状のセパレ−
タ(以下「第2比較例セパレ−タ」という)及び実施例
1で得た各試験片と同一形状の第1〜第3試験片を製造
した。
【0042】而して、以上のようにして得られた各セパ
レ−タの特性を確認すべく、実施例1〜7及び比較例
1、2で得た各試験片を使用して、次のような特性試験
を行った。
【0043】すなわち、各第1試験片の固有抵抗(体積
抵抗率)をJIS K7194に準拠し、四探針法によ
り測定した。また、各第2試験片について、2枚の第2
試験片を測定電極間に重ねて配置すると共に接触面圧1
0kgf/cmで挟圧させた状態で、1Aの電流を流
したときの電圧を測定して、接触抵抗を求めた。さら
に、各第3試験片の曲げ強度を、JIS K7174に
準拠し、3点式曲げ強度測定法により測定した。これら
の試験結果は、表1に示す通りであった。
【0044】
【表1】
【0045】表1から明らかなように、カーボンナノフ
ァイバが配合された実施例1〜7のものでは、カーボン
ナノファイバが配合されていない比較例1,2のものに
比して、体積抵抗及び接触抵抗が低く、特に接触抵抗に
ついては大幅に低減されており、更に曲げ強度も高くな
っている。したがって、第1〜第7実施例セパレ−タを
使用することにより、第1及び第2比較例セパレ−タを
使用した場合に比して、燃料電池の性能を大幅に向上さ
せることができると共に、燃料電池の小型化,軽量化を
図ることができることが理解される。
【0046】
【発明の効果】以上の説明から容易に理解されるよう
に、本発明によれば、電気的特性(導電性)や機械的強
度等のセパレ−タ特性が従来のものに比して飛躍的に向
上した燃料電池用セパレ−タを得ることができ、燃料電
池の性能を大幅に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池用セパレ−タを示す正面
図である。
【図2】当該セパレ−タを使用した燃料電池の一例を示
す要部の縦断側面図である。
【図3】本発明に係る燃料電池用セパレ−タの成形原料
を構成する粒状複合材を示す縦断側面図である。
【図4】当該成形原料を示す縦断側面図であり、(A)
は加圧成形前の状態を示し、(B)は加圧成形後の状態
を示している。
【符号の説明】
4…燃料電池用セパレ−タ、20…成形原料、21…黒
鉛粉末、22…硬化性樹脂(フェノール樹脂)、23…
カーボンナノファイバ、24…被覆層、24A…混合
材、24a…樹脂層、24b…ファイバ層、25…粒状
複合材。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年4月23日(2002.4.2
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】
【表1】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 黒鉛粉末を硬化性樹脂及びカーボンナノ
    ファイバからなる被覆層で被覆してなる粒状複合材の集
    合物であることを特徴とする燃料電池用セパレ−タの成
    形原料。
  2. 【請求項2】 黒鉛粉末:55〜91質量%、硬化性樹
    脂:9〜25質量%及びカーボンナノファイバ:3〜3
    0質量%からなる組成をなすことを特徴とする、請求項
    1に記載する燃料電池用セパレ−タの成形原料。
  3. 【請求項3】 硬化性樹脂がフェノール樹脂であること
    を特徴とする、請求項1又は請求項2に記載する燃料電
    池用セパレ−タの成形原料。
  4. 【請求項4】 請求項1、請求項2又は請求項3に記載
    する成形原料を、所定の成形型を使用して加圧成形する
    ようにしたことを特徴とする燃料電池用セパレータの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1、請求項2又は請求項3に記載
    する成形原料を、所定の成形型を使用して加圧成形して
    なるものであることを特徴とする燃料電池用セパレー
    タ。
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