JP4531952B2 - スクロール式流体機械 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば空気圧縮機等として好適に用いられるスクロール式流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スクロール式流体機械は、ケーシングと、該ケーシングに設けられ鏡板に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、前記ケーシング内で該駆動軸の先端側に旋回可能に設けられ、鏡板に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された旋回スクロールとを備えたものが知られている。
【0003】
この種の従来技術によるスクロール式流体機械は、外部から駆動軸を回転駆動し、旋回スクロールを固定スクロールに対して一定の偏心寸法をもって旋回運動させることにより、固定スクロールの外周側に設けた吸込口から空気等の流体を吸込みつつ、この流体を固定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部との間の各圧縮室内で順次圧縮し、固定スクロールの中心部に設けた吐出口から圧縮流体を外部に向けて吐出する。
【0004】
また、他の従来技術によるスクロール式流体機械として、圧縮空気量を増やすために、下記の如く構成されたものが知られている(例えば特開2000−130365号公報等)。
【0005】
即ち、この従来技術によるスクロール式流体機械は、ケーシング内に軸方向に離間して一対の固定スクロールを設け、これら各固定スクロール間には、電動機を配設している。また、ケーシング内には、両端側が偏心軸受の外側転動体により支持された回転軸と、該回転軸の内周側に遊嵌され両端側が偏心軸受の内側転動体により支持された旋回軸とを設け、該旋回軸の両端側には各固定スクロールとそれぞれ対向して旋回スクロールを固定的に設ける構成としている。
【0006】
そして、この従来技術によるスクロール式流体機械にあっては、電動機を作動してロータを回転すると、この回転によって回転軸は偏心軸受の外側転動体に支持された状態で回転運動を行うと共に、旋回軸は内側転動体に支持された状態で旋回運動を行い、これにより2個の旋回スクロールを同時に旋回させ、全体の圧縮空気量を増やす構成となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術によるスクロール式流体機械は、圧縮効率を高めるために、固定スクロールと旋回スクロールとの間のスラスト方向の隙間を可能な限り小さくし、圧縮室内の密閉度を高く保つことが要求される。
【0008】
しかし、特開2000−130365号公報等に記載のスクロール式流体機械のように2個の固定スクロールの間に旋回軸と一体となった2個の旋回スクロールを配置する構成とした場合、前述の如く固定スクロールと旋回スクロールとの間のスラスト方向の隙間を縮小すると、以下のような問題が生じる。
【0009】
即ち、運転時には電動機の発熱または圧縮室内の圧縮熱がケーシング、旋回軸等に伝わり、これらケーシング、旋回軸は軸方向に熱膨張する。ここで、ケーシングは外周側が直接外気と触れるため、ケーシングの熱は外部に放熱され易くなる。これに対し旋回軸はケーシング内に収容されるから、旋回軸の熱は外部に逃げにくくなり、旋回軸はケーシングよりも高温となる。
【0010】
この結果、旋回軸の軸方向の熱膨張量はケーシングの軸方向の熱膨張量よりも大きくなり、旋回軸と一体となった旋回スクロールがケーシングと一体となった固定スクロール側へと接近する。そして、場合によっては旋回スクロールのラップ部が固定スクロールの鏡板と干渉し、両者の間でかじりが生じることがあるという問題がある。
【0011】
また、このような固定スクロールと旋回スクロールとの干渉を避けるために、両者の間のスラスト方向の隙間を拡げると、圧縮性能が低下するという問題もある。
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、運転時にケーシングと旋回軸が軸方向に熱膨張したときでも、固定スクロールと旋回スクロールとが軸方向で干渉するのを抑えられ、固定スクロールと旋回スクロールとの間のスラスト方向の間隔を小さく保ち、圧縮効率を高められるようにしたスクロール式流体機械を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために本発明によるスクロール式流体機械は、軸方向の中間部が筒状のケーシング本体となったケーシングと該ケーシングの軸線上に位置して該ケーシングの両端側に固定的に設けられ鏡板に渦巻状のラップ部が立設された第1,第2の固定スクロールとからなる固定側部材と該第1,第2の固定スクロール間に位置して前記ケーシング内に設けられ、ロータとステータとが前記ケーシングの軸線と同一方向になるように配置された電動機と、前記ケーシングの軸線を中心とした外側転動体を有すると共に該外側転動体の内側に配置されケーシングの軸線に対し偏心した偏心軸線を中心として転動する内側転動体を有する偏心軸受と、前記電動機のロータを挟んで前記ケーシングの軸線方向に延び両端が前記偏心軸受の外側転動体に支持された中空軸体からなり前記ロータによって回転される回転軸と、該回転軸内を前記偏心軸線上に遊嵌して設けられ、前記偏心軸受の内側転動体に支持されて旋回運動する旋回軸と、該旋回軸の両端側に設けられ、第1,第2の固定スクロールと対面して鏡板に第1,第2の固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を形成するラップ部が立設された第1,第2の旋回スクロールとを備えている。
【0014】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記ケーシングを構成する前記ケーシング本体の軸方向寸法と前記旋回軸の軸方向寸法とをほぼ同一の大きさとし、運転を開始して温度が平衡状態となるまでの前記ケーシング本体と前記旋回軸との温度上昇に応じて、運転時における前記ケーシング本体の熱膨張量と前記旋回軸の熱膨張量とがほぼ同一の大きさとなるように、前記ケーシング本体に用いる材料の熱膨張率を前記旋回軸に用いる材料の熱膨張率よりも大となるように設定する構成としたことにある。
【0015】
このように構成したことにより、運転時に旋回軸がケーシング本体よりも高い温度状態におかれたときでも、ケーシング本体は旋回軸よりも大きな熱膨張率を有しているから、ケーシング本体の軸方向の熱膨張量を旋回軸の軸方向の熱膨張量とほぼ同等の大きさまで増大することができる。
【0016】
また、請求項2の発明は、ケーシング本体に用いる材料はアルミ系材料により構成し、旋回軸に用いる材料は鉄系材料により構成としている。これにより、アルミ系材料からなるケーシング本体の熱膨張率を鉄系材料からなる旋回軸の熱膨張率に対して約2倍の大きさに設定することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げ、図1ないし図4の添付図面に従って詳細に説明する。
【0018】
1はスクロール式空気圧縮機の外枠を形成し、後述の固定スクロール6A,6Bと共に固定側部材を構成する筒状のケーシングを示し、該ケーシング1は、軸線O1−O1(図1参照)を有するケーシング本体2と、該ケーシング本体2の両端側に設けられた軸受取付筒3A,3Bと、該軸受取付筒3A,3Bの外周側に設けられた蓋部4A,4Bとにより構成されている。
【0019】
ここで、ケーシング1の軸方向の中間部となった筒状のケーシング本体2は後述の旋回軸21よりも大きな熱膨張率(熱膨張係数)α1をもった材料、例えばアルミ系材料等を用いて形成されている。そして、このケーシング本体2の熱膨張率α1は、後述する旋回軸21の熱膨張率α2に対し約1.5〜2.5倍、好ましくは下記数1の如く約2倍程度の大きさに設定され、
【0020】
【数1】
α1≒2×α2
となっている。
【0021】
また、ケーシング1の蓋部4A,4Bは、後述の吸込口30A,30Bと連通する位置に開口部4A1,4B1が穿設されている。そして、蓋部4A,4Bは、ボルト5A,5Bにより軸受取付筒3A,3Bと一緒にケーシング本体2側に固定して取付けられている。
【0022】
6A,6Bはケーシング1の軸方向両側に位置して蓋部4A,4Bの内周側にそれぞれ固定的に設けられた第1,第2の固定スクロールで、該第1の固定スクロール6Aは、略円板状に形成され、中心がケーシング1の軸線O1−O1と一致するように配設され鏡板7Aと、該鏡板7Aの表面に立設された渦巻状のラップ部8Aと、鏡板7Aの外周側から該ラップ部8Aを取囲むように軸方向に突出し、ケーシング本体2の内周側に嵌合して設けられた嵌合筒部9Aとによって構成されている。また、第2の固定スクロール6Bについても、鏡板7B、ラップ部8Bおよび嵌合筒部9Bによって構成されている。
【0023】
10は固定スクロール6A,6B間に位置してケーシング1内の中間部に設けれた電動機で、該電動機10は、ケーシング本体2の内周側に固定的に設けられたステータ11と、該ステータ11の内周側に該ステータ11によって回転するように配設されたロータ12とによって構成され、ステータ11の軸線とロータ12の軸線はケーシング1の軸線O1−O1と同一軸線上に配置されている。そして、電動機10は、ロータ12を回転することにより後述の回転軸20を駆動するものである。
【0024】
13A,13Bは固定スクロール6A,6Bと電動機10との間に位置して、軸受取付筒3A,3Bの内周側に設けられた第1,第2の偏心軸受で、該第1の偏心軸受13Aは、外輪14Aと、該外輪14Aの内周側に外側転動体となる複数の球体15Aによって回転可能に設けられ、回転軸20の外周側に固着された外側中輪16Aと、回転軸20の内周側に固着された内側中輪17Aと、該内側中輪17Aの内周側に内側転動体となる複数の球体18Aによって回転可能に設けられた内輪19Aとによって構成されている。
【0025】
ここで、外輪14Aは、軸受取付筒3Aの内周側に圧入されて取付けられ、軸線O1−O1上に配置される。また、外側中輪16Aは、球体15Aによって外輪14Aの内周側に位置決めされ、軸線O1−O1上に配置されている。そして、この状態で球体15Aは外輪14Aと外側中輪16Aとの間を軸線O1−O1を中心として転動する。
【0026】
これに対して内側中輪17Aは、外輪14Aの軸線O1−O1に対して径方向に一定寸法δだけ偏心した偏心軸線O2−O2上に配置されている。また、内輪19Aは、球体18Aによって内側中輪17Aの内周側に位置決めされ、偏心軸線O2−O2上に配置されている。そして、この状態で球体18Aは偏心軸線O2−O2を中心に転動する。
【0027】
かくして、偏心軸受13Aは、外側中輪16Aと内側中輪17Aとが回転軸20と一体に回転することにより、旋回軸21と一体となった内輪19Aが軸線O1−O1を中心として寸法δの旋回半径をもった旋回運動を行うものである。また、第2の偏心軸受13Bについても、外輪14B、球体15B、外側中輪16B、内側中輪17B、球体18Bおよび内輪19Bによって構成されている。
【0028】
20は電動機10のロータ12を挟んで両端側が偏心軸受13A,13Bに設けられた回転軸で、該回転軸20は、中空軸体として形成され、電動機10のロータ12内周側に挿嵌されて固定的に設けられている。そして、回転軸20は、両端側がそれぞれ外側中輪16Aの内周側と内側中輪17Aの外周側にそれぞれ固着して取付けられ、ロータ12と一体となって回転することにより外側中輪16Aと内側中輪17Aを回転させるものである。
【0029】
ここで、回転軸20は、図1に示すように、外周側が外輪14A,14Bの軸線O1−O1上に配置されるのに対し、内周側は軸線O1−O1に対して径方向に一定寸法δだけ偏心した偏心軸線O2−O2上に配置される。
【0030】
21は回転軸20内を遊嵌して設けられ、偏心軸受13A,13Bの内輪19A,19Bに固定的に支持された旋回軸で、該旋回軸21は、中実な円柱体として形成され、偏心軸線O2−O2上に配置されている。また、旋回軸21の両端側は内輪19A,19Bの内周側に挿嵌して固着されている。
【0031】
さらに、旋回軸21の両端側には第1,第2のスラスト受板22A,22Bがボルト23により廻止め状態で固定して取付けられている。そして、これらスラスト受板22A,22Bは旋回スクロール24A,24Bの鏡板25A,25B背面側に当接することにより、旋回スクロール24A,24Bに作用するスラスト荷重を支持するものである。
【0032】
ここで、旋回軸21はケーシング本体2よりも小さな熱膨張率α2をもった材料、例えば鉄系材料等を用いて形成されている。そして、この旋回軸21の熱膨張率α2は、ケーシング本体2の熱膨張率α1に対し約2/5〜2/3倍、好ましくは1/2倍程度の大きさ(数1参照)に設定されるものである。
【0033】
なお、鉄の熱膨張率は鉄の温度が20度(293K)のとき11.8×10-6(1/K)であるのに対し、アルミの熱膨張率は、アルミの温度が20度のとき23.1×10-6(1/K)である。
【0034】
また、旋回軸21は、図2、図3に示すようにケーシング本体2の軸方向寸法L1とほぼ同一の軸方向寸法L2をもって形成され、
【0035】
【数2】
L1≒L2
となっている。
【0036】
このため、後述するように運転時にケーシング本体2の温度がT1まで上昇し、旋回軸21の温度が温度T1の約2倍の温度T2まで上昇したときには、ケーシング本体2の軸方向の熱膨張量ΔL1と旋回軸21の軸方向の熱膨張量ΔL2とはほぼ同等の大きさとなる。
【0037】
24A,24Bは固定スクロール6A,6Bと対面して旋回軸21の軸方向両端側にそれぞれ固定的に設けられた第1,第2の旋回スクロールで、該第1の旋回スクロール24Aは、円板状に形成された鏡板25Aと、該鏡板25Aの表面側から軸方向に立設された渦巻状のラップ部26Aとによって構成されている。また、鏡板25Aには、その内部を径方向に貫通して延びる複数の冷却風通路27A(1個のみ図示)が形成されている。
【0038】
また、旋回スクロール24Aは、鏡板25Aの背面側をスラスト受板22Aの表面側に嵌合させ、この状態でボルト(図示せず)等を用いてスラスト受板22Aに一体に取付けられている。そして、旋回スクロール24Aのラップ部26Aは、固定スクロール6Aのラップ部8Aに対し例えば180度だけずらして重なり合うように配設され、両者のラップ部8A,26A間には複数の圧縮室28A,28A,…が画成される。
【0039】
そして、スクロール式空気圧縮機の運転時には、後述の吸込口30Aから外周側の圧縮室28A内に空気を吸込みつつ、この空気を旋回スクロール24Aが旋回運動する間に各圧縮室28A内で順次圧縮し、最後に中心側の圧縮室28Aから後述の吐出口31Aを介して外部に圧縮空気を吐出する。
【0040】
ここで、固定スクロール6Aと旋回スクロール24Aは、運転前の状態では図4中に実線で示す位置におかれ、このときラップ部26Aの先端と鏡板7Aとの間のスラスト方向の隙間はSとなっている。また、運転時には固定スクロール6Aと旋回スクロール24Aは、後述するように図4中に二点鎖線で示す位置におかれ、このときラップ部26Aの先端と鏡板7Aとの間のスラスト方向の隙間はS′となっている。
【0041】
また、第2の旋回スクロール24Bについても、鏡板25B、ラップ部26B、および冷却風通路27B等によって構成され、固定スクロール6Bとの間に複数の圧縮室28Bを画成している。
【0042】
なお、29Aは軸受取付筒3Aとスラスト受板22Aとの間に設けられたクランク軸、29Bは軸受取付筒3Bとスラスト受板22Bとの間に設けられた他のクランク軸(いずれも1個のみ図示)で、これら各クランク軸29A,29Bは、スラスト受板22A,22Bと一体となった旋回スクロール24A,24Bの自転を防止するものである。
【0043】
また、30A,30Bは固定スクロール6A,6Bのラップ部8A,8B外周側に位置してケーシング本体2に設けられた吸込口、31A,31Bは固定スクロール6A,6Bのラップ部8A,8B中心側に位置してケーシング1の蓋部4A,4Bに設けられた吐出口を示している。
【0044】
本実施の形態によるスクロール式空気圧縮機は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0045】
まず、電動機10のロータ12を回転すると、該ロータ12と一体となった回転軸20は、偏心軸受13A,13Bの球体15A,15Bによって回転運動を行い、このときに旋回軸21は球体18A,18Bによって回転軸20の内周側で回転する。
【0046】
ここで、前記球体15A,15Bは、ケーシング1(外輪14A,14B)の軸線O1−O1を中心として回転するのに対し、球体18A,18Bは軸線O1-O1に対して径方向に寸法δだけ偏心した偏心軸線O2−O2を中心として回転するから、内輪19A,19Bと一体となった旋回軸21は、球体18A,18Bにより軸線O1−O1を中心として寸法δの旋回半径をもった旋回運動を行い、旋回スクロール24A,24Bを旋回させる。
【0047】
この結果、固定スクロール6Aと旋回スクロール24Aとの間に画成された各圧縮室28Aはそれぞれ連続的に縮小し、これにより固定スクロール6Aの吸込口30Aから吸込んだ外気を各圧縮室28Aで順次圧縮しつつ、この圧縮空気を固定スクロール6Aの吐出口31Aから外部の空気タンク(図示せず)等に貯留させる。
【0048】
また、固定スクロール6Bと旋回スクロール24Bとの間に画成された各圧縮室28Bについても、それぞれが連続的に縮小することにより、圧縮空気を前記空気タンク等に貯留させる。
【0049】
ところで、運転時には電動機10の発熱または圧縮室28A,28B内の熱がケーシング本体2、旋回軸21等に伝わる。そして、ケーシング本体2は外周側が直接外気と触れるため、ケーシング本体2の熱は外部に放熱され易くなるのに対し、旋回軸21はケーシング本体2内に収容されるから、旋回軸21の熱は外部に逃げにくくなる。
【0050】
この結果、運転を開始して当該スクロール式空気圧縮機の温度が平衡状態となるまでの間、ケーシング本体2が温度T1だけ上昇したとすると、旋回軸21は例えば温度T1の約2倍の温度T2まで上昇し、下記数3のようになる。
【0051】
ここで、本実施の形態では、数1の如くケーシング本体2の熱膨張率α1を、旋回軸21の熱膨張率α2に対し約2倍程度の大きさに設定すると共に、数2のようにケーシング本体2の軸方向寸法L1を旋回軸21の軸方向寸法L2とほぼ同一の大きさに形成している。
【0052】
そして、前述の如くケーシング本体2の温度がT1だけ上昇したときのケーシング本体2の熱膨張量をΔL1(図2参照)とし、旋回軸21の温度がT2だけ上昇したときの旋回軸21の熱膨張量をΔL2(図3参照)としたとき、これらの熱膨張量ΔL1,ΔL2は、数4、数5の如く表される。
【0053】
従って、数1〜数4によりケーシング本体2の熱膨張量ΔL1は、数6のように表され、数5、数6によりこのケーシング本体2の熱膨張量ΔL1と旋回軸21の熱膨張量ΔL2とをほぼ同じ大きさ(ΔL1≒ΔL2)に設定することができる。
【0054】
【数3】
T1≒1/2×T2
【0055】
【数4】
ΔL1=α1×L1×T1
【0056】
【数5】
ΔL2=α2×L2×T2
【0057】
【数6】
ΔL1≒α2×L2×T2
【0058】
かくして、本実施の形態では、図4に示すように運転時にケーシング本体2が熱膨張したときの固定スクロール6A(6B)の軸方向への移動量(1/2×ΔL1)と、旋回軸21が熱膨張したときの旋回スクロール24A(24B)の軸方向への移動量(1/2×ΔL2)とをほぼ一致させることができ、固定スクロール6Aの鏡板7Aと旋回スクロール24Aのラップ部26Aとの間のスラスト方向の隙間S′を、運転前の隙間Sとほぼ同じ大きさ(S′=S)に保つことができる。
【0059】
これにより、運転前に固定スクロール6A,6Bの鏡板7A,7Bと旋回スクロール24A,24Bのラップ部26A,26Bとの間のスラスト方向の隙間Sをほぼ零(S≒0)に設定した場合でも、固定スクロール6A,6Bの鏡板7A,7Bと旋回スクロール24A,24Bのラップ部26A,26B、または固定スクロール6A,6Bのラップ部8A,8Bと旋回スクロール24A,24Bの鏡板25A,25Bとが干渉してかじりが発生するのを防止でき、これら固定スクロール6A,6B、旋回スクロール24A,24Bの耐久性、寿命等を高めることができる。
【0060】
そして、固定スクロール6A,6Bの鏡板7A,7Bと旋回スクロール24A,24Bのラップ部26A,26Bとの間のスラスト方向の隙間S′を小さく保ち、圧縮性能を高めることができる。
【0061】
なお、実施の形態では、偏心軸受13Aに用いる中輪を、外側中輪16Aと内側中輪17Aの2部材で構成する場合を例に挙げて説明したが、これに替えて、例えば図5に示す変形例のように、偏心軸受41Aの中輪44Aを1部材で構成してもよい。
【0062】
ここで、偏心軸受41Aは、外輪42Aと、該外輪42Aの内周側に外側転動体となる球体43Aによって回転可能に設けられ回転軸20の端部に嵌合して固着された中輪44Aと、該中輪44Aの内周側に内側転動体となる球体45Aによって回転可能に設けられ旋回軸21の外周側に固着された内輪46Aとによって構成されている。
【0063】
また、実施の形態では、ケーシング1のうちケーシング本体2のみをアルミ系部材で形成し、蓋部4A,4B等を鉄系部材で形成する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限ることなく、例えば蓋部についてもアルミ系部材を用いて形成してもよい。
【0064】
また、実施の形態では、ケーシング本体2の熱膨張率α1を旋回軸21の熱膨張率α2の約2倍に設定する場合を例に挙げて説明したが、ケーシング本体の熱膨張率および旋回軸の熱膨張率は、運転時におけるケーシング本体の温度と旋回軸の温度に応じて例えば1.5〜2.5倍の範囲内で適宜に変更してもよい。
【0065】
さらに、実施の形態では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば冷媒圧縮機等にも広く適用できるものである。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1に記載の発明によれば、ケーシング内に軸方向に離間して一対の固定スクロールを固定的に設け、これら各固定スクロール間には、電動機によって駆動される旋回軸を配置し、該旋回軸の両端側には固定スクロールと対向して旋回スクロールを固定的に設けると共に、ケーシング本体の軸方向寸法と前記旋回軸の軸方向寸法とをほぼ同一の大きさとし、運転を開始して温度が平衡状態となるまでの前記ケーシング本体と旋回軸との温度上昇に応じて、運転時における前記ケーシング本体の熱膨張量と前記旋回軸の熱膨張量とがほぼ同一の大きさとなるように、ケーシング本体は旋回軸よりも大きな熱膨張率をもった材料を用いて形成する構成としたので、運転時に旋回軸がケーシング本体よりも高い温度状態におかれたときでも、ケーシング本体の軸方向の熱膨張量を旋回軸の軸方向の熱膨張量とほぼ同等の大きさまで増やすことができ、ケーシングと一体となった固定スクロールと、旋回軸と一体となった旋回スクロールとが軸方向で干渉して両者の間にかじりが発生するのを抑えられ、これら固定スクロール、旋回スクロールの耐久性、寿命等を高めることができる。
【0067】
そして、運転時における固定スクロールと旋回スクロールとの間のスラスト方向の隙間を運転前と同様に小さく保つことができ、圧縮性能を高めることができる。
【0068】
また、請求項2の発明は、ケーシング本体に用いる材料はアルミ系材料であり、旋回軸に用いる材料は鉄系材料である構成としたので、ケーシング本体の熱膨張率を旋回軸の熱膨張率に対して約2倍程度まで大きく設定することができ、ケーシング本体の材料の選択を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。
【図2】図1中のケーシング本体を単体で示す断面図である。
【図3】第1の旋回軸を単体で示す断面図である。
【図4】図1中の固定スクロールおよび旋回スクロール等を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図5】本発明の変形例によるスクロール式空気圧縮機を示す一部破断の縦断面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング(固定側部材)
2 ケーシング本体
6A,6B 固定スクロール
7A,7B,25A,25B 鏡板
8A,8B,26A,26B ラップ部
10 電動機
11 ステータ
12 ロータ
13A,13B,41A 偏心軸受
15A,15B,43A 球体(外側転動体)
18A,18B,45A 球体(内側転動体)
20 回転軸
21 旋回軸
24A,24B 旋回スクロール
28A,28B 圧縮室

Claims (2)

  1. 軸方向の中間部が筒状のケーシング本体となったケーシングと該ケーシングの軸線上に位置して該ケーシングの両端側に固定的に設けられ鏡板に渦巻状のラップ部が立設された第1,第2の固定スクロールとからなる固定側部材と、
    該第1,第2の固定スクロール間に位置して前記ケーシング内に設けられ、ロータとステータとが前記ケーシングの軸線と同一方向になるように配置された電動機と、
    前記ケーシングの軸線を中心とした外側転動体を有すると共に該外側転動体の内側に配置されケーシングの軸線に対し偏心した偏心軸線を中心として転動する内側転動体を有する偏心軸受と、
    前記電動機のロータを挟んで前記ケーシングの軸線方向に延び両端が前記偏心軸受の外側転動体に支持された中空軸体からなり前記ロータによって回転される回転軸と、
    該回転軸内を前記偏心軸線上に遊嵌して設けられ、前記偏心軸受の内側転動体に支持されて旋回運動する旋回軸と、
    該旋回軸の両端側に設けられ、第1,第2の固定スクロールと対面して鏡板に第1,第2の固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を形成するラップ部が立設された第1,第2の旋回スクロールとを備えてなるスクロール式流体機械において、
    前記ケーシングを構成する前記ケーシング本体の軸方向寸法と前記旋回軸の軸方向寸法とをほぼ同一の大きさとし、運転を開始して温度が平衡状態となるまでの前記ケーシング本体と前記旋回軸との温度上昇に応じて、運転時における前記ケーシング本体の熱膨張量と前記旋回軸の熱膨張量とがほぼ同一の大きさとなるように、前記ケーシング本体に用いる材料の熱膨張率前記旋回軸に用いる材料の熱膨張率よりも大となるように設定する構成としたことを特徴とするスクロール式流体機械。
  2. 前記ケーシング本体に用いる材料はアルミ系材料であり、前記旋回軸に用いる材料は鉄系材料である請求項1に記載のスクロール式流体機械。
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