以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明によるハイブリッド自動車の全体構成を示す概略図である。
図1を参照して、ハイブリッド自動車10は、バッテリ12と、パワーコントロールユニット(Power Control Unit、以下「PCU」と称する。)14と、AC出力コンセント15と、動力出力装置16と、ディファレンシャルギア(Differential Gear、以下「DG」と称する。)18と、前輪20R,20Lと、後輪22R,22Lと、フロントシート24R,24Lと、リアシート26とを備える。
バッテリ12は、たとえば、リアシート26の後方に配設される。PCU14は、たとえば、フロントシート24R,24Lの下部に位置するフロア下領域に配設される。動力出力装置16は、たとえば、ダッシュボード28の前方のエンジンルームに配設される。そして、PCU14は、バッテリ12および動力出力装置16と電気的に接続される。また、動力出力装置16は、DG18と連結される。
直流電源であるバッテリ12は、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池からなる。バッテリ12は、発生した直流電圧をPCU14へ供給するとともに、PCU14から出力される直流電圧によって充電される。
PCU14は、動力出力装置16に含まれる2台のモータジェネレータ(図示せず、以下同じ。)の一方から受ける交流電圧を別の周波数からなる交流電圧に変換して他方のモータジェネレータへ出力する。また、PCU14は、バッテリ12から受ける直流電圧を交流電圧に変換して動力出力装置16へ出力する。さらに、PCU14は、動力出力装置16から受ける交流電圧を直流電圧に変換してバッテリ12を充電する。
また、さらに、PCU14は、動力出力装置16から受ける交流電圧を商用交流電圧に変換し、その変換した商用交流電圧をAC出力コンセント15に接続される外部負荷へ出力することができる。このPCU14の構成については、後ほど詳しく説明する。
動力出力装置16は、エンジン(図示せず、以下同じ。)および2台のモータジェネレータを含み、そのエンジンおよび2台のモータジェネレータを用いて動力を発生してDG18へ出力する。また、動力出力装置16は、前輪20R,20Lの回転力を受けてモータジェネレータにより発電し、その発電した電力をPCU14に供給する。さらに、動力出力装置16は、エンジンの動力を用いてモータジェネレータにより電力を発電し、その発電した電力をPCU14に供給する。
DG18は、動力出力装置16から受ける動力を前輪20R,20Lに伝達するとともに、前輪20R,20Lの回転力を動力出力装置16に伝達する。
図2は、図1に示したPCU14の構成を示す電気回路図である。
図2を参照して、PCU14は、マトリックスコンバータ32と、制御装置34と、コンデンサCと、スイッチS1とを含む。マトリックスコンバータ32は、電源ラインLA〜LCを介して、図1に示した動力出力装置16に含まれるモータジェネレータMG1と接続される。また、マトリックスコンバータ32は、電源ラインLa〜Lcを介して動力出力装置16に含まれるモータジェネレータMG2と接続される。さらに、マトリックスコンバータ32は、電源ラインLD,LEを介してバッテリ12と接続される。すなわち、バッテリ12およびモータジェネレータMG1は、マトリックスコンバータ32に並列に接続される。コンデンサCは、マトリックスコンバータ32とバッテリ12との間であって、電源ラインLD,LE間に接続される。マトリックスコンバータ32とモータジェネレータMG2との間には、電源ラインLa,LbにAC出力コンセント15が接続される。そして、スイッチS1は、AC出力コンセント15を電源ラインLaと接続するノードとモータジェネレータMG2のU相コイルとの間に設けられる。
マトリックスコンバータ32に接続されるモータジェネレータMG1,MG2は、3相交流同期電動発電機からなる。モータジェネレータMG1は、図1に示した動力出力装置16に含まれるエンジンENGからの動力によって3相交流電力を発電し、その発電した3相交流電力を電源ラインLA〜LCを介してマトリックスコンバータ32へ出力する。また、モータジェネレータMG1は、マトリックスコンバータ32から電源ラインLA〜LCを介して受ける3相交流電力によって回転力を発生し、その回転力によってエンジンENGを始動させることができる。
モータジェネレータMG2は、マトリックスコンバータ32から電源ラインLa〜Lcを介して受ける3相交流電力によって回転力を発生し、その発生した回転力を駆動輪である前輪20R,20Lへ出力する。また、モータジェネレータMG2は、前輪20R,20Lからの回転力を受け、その回転力によって発生される回生電力を電源ラインLa〜Lcを介してマトリックスコンバータ32へ出力する。
マトリックスコンバータ32は、双方向性スイッチSAa〜SAc,SBa〜SBc,SCa〜SCc,SDa〜SDc,SEa〜SEcと、電源ラインLA〜LE,La〜Lcとからなる。各双方向性スイッチSXy(「X」はA〜Eのいずれかであり、「y」はa〜cのいずれかである。以下同じ。)は、電源ラインLXと電源ラインLyとの間に接続される。そして、各双方向性スイッチSXyは、制御装置34からの制御信号に応じてスイッチング動作を行ない、オン状態のときは、対応する2つの電源ライン間で双方向に電流を流すことができる。また、各双方向性スイッチSXyは、オフ状態のときは、対応する2つの電源ラインを電気的に分離する。
このマトリックスコンバータ32は、モータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2とバッテリ12との間で相互に電力変換を行なう。具体的には、マトリックスコンバータ32は、エンジンENGが接続されるモータジェネレータMG1により発電される3相交流電力を受け、その受けた3相交流電力を用いてモータジェネレータMG2にモータトルク指令に応じたトルクを発生させるため、その受けた3相交流電力を所望の電圧および周波数からなる3相交流電力に変換してモータジェネレータMG2へ出力する。
また、マトリックスコンバータ32は、回生動作時にモータジェネレータMG2によって発電される3相交流電力を受け、その受けた3相交流電力を直流電力に変換してバッテリ12を充電することができる。
さらに、マトリックスコンバータ32は、モータジェネレータMG1により発電される3相交流電力を受け、その受けた3相交流電力を直流電力に変換してバッテリ12を充電することができる。
また、さらに、マトリックスコンバータ32は、バッテリ12からの直流電力を受け、その受けた直流電力を用いてモータジェネレータMG2にモータトルク指令に応じたトルクを発生させるため、その受けた直流電力を所望の電圧および周波数からなる3相交流電力に変換してモータジェネレータMG2へ出力することができる。
また、さらに、マトリックスコンバータ32は、エンジンENGの始動時、バッテリ12からの直流電力を受け、その受けた直流電力を3相交流電力に変換してモータジェネレータMG1へ出力することができる。
また、さらに、マトリックスコンバータ32は、このハイブリッド自動車10が商用電源として用いられるとき、モータジェネレータMG1により発電される3相交流電力を受け、その受けた3相交流電力を商用交流電力に変換してAC出力コンセント15へ出力することもできる。
コンデンサCは、直流電源であるバッテリ12が接続される電源ラインLD,LEの電圧平滑化のために設けられ、これによって、マトリックスコンバータ32におけるスイッチング動作によるバッテリ12へのリップルの影響が低減される。
スイッチS1は、このハイブリッド自動車10が商用電源として用いられるとき、制御装置34からの制御信号に応じてオフする。これによって、マトリックスコンバータ32からモータジェネレータMG2への電力供給が遮断され、マトリックスコンバータ32からの商用交流電力は、AC出力コンセント15へ出力される。
制御装置34は、モータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2とバッテリ12との間で相互に電力変換を行なうため、マトリックスコンバータ32における各双方向性スイッチSXyのスイッチング動作を制御する。具体的には、制御装置34は、モータジェネレータMG1,MG2間で電力変換を行なうとき、双方向性スイッチSAa〜SAc,SBa〜SBc,SCa〜SCcをPWM制御し、その他の双方向性スイッチをオフする。この場合、双方向性スイッチSAa〜SAc,SBa〜SBc,SCa〜SCcのPWM制御については、3×3のマトリックスコンバータにおける公知のスイッチング手法を用いることができる。
その他の上述した回生動作時、モータジェネレータMG1からバッテリ12への充電時、バッテリ12によるモータジェネレータMG2の駆動(以下、「EV走行」とも称する。)時、エンジンENGの始動時、および商用交流電力出力時における各双方向性スイッチSXyの具体的なスイッチング動作については、後ほど図を用いて説明する。
このPCU14において、モータジェネレータMG1と、モータジェネレータMG2とバッテリ12との間で相互に電力変換を行なうマトリックスコンバータ32は、電力変換装置として以下の特徴を有する。
第1に、マトリックスコンバータ32は、直流リンク部を介さずに電力変換を行なうため、直流リンク部に必要であったリアクトル等のエネルギー蓄積要素を必要としない。第2に、インバータを用いて交流を直流に一旦変換し、その変換された直流を別のインバータを用いて再び交流に変換する電力変換方式と比べて、スイッチング素子の数は増えるが、個々のスイッチング素子のサイズを小さくできる。
したがって、このマトリックスコンバータ32によれば、電力変換装置全体としてみれば小型で大容量の電力変換装置を構成することができる。
図3は、図2に示した双方向性スイッチの構成を示す回路図である。
図3を参照して、双方向性スイッチSXyは、パワートランジスタ52,54と、ダイオード56,58とからなる。パワートランジスタ52,54は、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)からなる。
パワートランジスタ52は、コレクタが端子60に接続され、ダイオード56のアノードにエミッタが接続され、制御装置34(図示せず、以下同じ。)からの制御信号をベースに受ける。ダイオード56は、パワートランジスタ52のエミッタにアノードが接続され、カソードが端子62に接続される。
また、パワートランジスタ54は、コレクタが端子62に接続され、ダイオード58のアノードにエミッタが接続され、制御装置34からの制御信号をベースに受ける。ダイオード58は、パワートランジスタ54のエミッタにアノードが接続され、カソードが端子60に接続される。
そして、パワートランジスタ52とダイオード56との接続点は、パワートランジスタ54とダイオード58との接続点と接続される。端子60,62は、対応する2つの電源ラインにそれぞれ接続される。
この双方向性スイッチSXyにおいては、制御装置34からの制御信号が活性化されると、パワートランジスタ52がオンし、パワートランジスタ52およびダイオード56を介して端子60から端子62へ電流を流すことができる。また、制御装置34からの制御信号が活性化されると、パワートランジスタ54もオンし、パワートランジスタ54およびダイオード58を介して端子62から端子60へも電流を流すことができる。
したがって、制御装置34からの制御信号が活性化されたとき、端子62よりも端子60の方が高電圧のときは、パワートランジスタ52およびダイオード56を介して端子60から端子62へ電流が流れる。なお、ダイオード58には逆バイアスがかかるので、パワートランジスタ54に逆方向の電流は流れない。また、制御装置34からの制御信号が活性化されたとき、端子60よりも端子62の方が高電圧のときは、パワートランジスタ54およびダイオード58を介して端子62から端子60へ電流が流れる。なお、ダイオード56には逆バイアスがかかるので、パワートランジスタ52に逆方向の電流は流れない。
図4は、図2に示した双方向性スイッチの他の構成を示す回路図である。
図4を参照して、この双方向性スイッチSXyは、パワートランジスタ72,74からなる。パワートランジスタ72,74は、逆阻止機能付きIGBTからなる。この逆阻止機能付きIGBTは、素子に逆方向の電圧がかけられても十分な耐圧を有するものである。
パワートランジスタ72は、コレクタおよびエミッタがそれぞれ端子60,62に接続され、制御装置34(図示せず、以下同じ。)からの制御信号をベースに受ける。パワートランジスタ74は、コレクタおよびエミッタがそれぞれ端子62,60に接続され、制御装置34からの制御信号をベースに受ける。
この双方向性スイッチにおいては、制御装置34からの制御信号が活性化されると、パワートランジスタ72,74がいずれもオンする。したがって、制御装置34からの制御信号が活性化されたとき、端子62よりも端子60の方が高電圧のときは、パワートランジスタ72を介して端子60から端子62へ電流が流れる。なお、パワートランジスタ74には逆バイアスがかかるが、パワートランジスタ74は、逆耐圧を有するので、素子が破壊されることはない。また、制御装置34からの制御信号が活性化されたとき、端子60よりも端子62の方が高電圧のときは、パワートランジスタ74を介して端子62から端子60へ電流が流れる。なお、パワートランジスタ72には逆バイアスがかかるが、パワートランジスタ72も、逆耐圧を有するので、素子が破壊されることはない。
図5は、実施の形態1における回生動作時のスイッチング動作を説明するための回路図である。
図5を参照して、制御装置34は、図示されない電圧センサによって検出されたモータジェネレータMG2の各相の電圧およびバッテリ12の端子間電圧に基づいて、モータジェネレータMG2からバッテリ12へ電力を供給するためのPWM信号を生成し、その生成したPWM信号を双方向性スイッチSDa〜SDc,SEa〜SEcへ出力する。
そうすると、双方向性スイッチSDa〜SDc,SEa〜SEcの各々は、制御装置34から受けるPWM信号に応じてオン/オフし、双方向性スイッチSDa〜SDc,SEa〜SEcは、モータジェネレータMG2から電源ラインLa〜Lcに出力された交流電力を整流してバッテリ12へ出力する。これによって、モータジェネレータMG2によって回生発電された電力がバッテリ12に充電される。
図6は、実施の形態1におけるモータジェネレータMG1からバッテリ12への充電時のスイッチング動作を説明するための回路図である。
図6を参照して、たとえば、図に示されるようにモータジェネレータMG1のU,V各相コイルにおいてそれぞれ最大相電圧および最小相電圧が発生しているとき、制御装置34は、モータジェネレータMG1からの3相交流電力を所望の3相交流電力に変換して電源ラインLa〜Lcへ出力するためのPWM信号を生成し、その生成したPWM信号を双方向性スイッチSAa〜SAc,SBa〜SBcへ出力する。ここで、制御装置34は、図示されないモータジェネレータMG2の回転位置センサによってモータジェネレータMG2の回転角θを検出し、モータジェネレータMG2に対するq軸電流を0とする電圧パターンとなるように上述したPWM信号を生成する。このようなPWM信号を生成するのは、モータジェネレータMG1からモータジェネレータMG2へのパワーフローが発生しないようにするためである。
そして、制御装置34は、双方向性スイッチSDa〜SDc,SEa〜SEcがそれぞれ双方向性スイッチSAa〜SAc,SBa〜SBcと同期してスイッチング動作するように、双方向性スイッチSDa〜SDc,SEa〜SEcへ制御信号を出力する。
これによって、モータジェネレータMG1からモータジェネレータMG2へのパワーフローを発生させることなく、モータジェネレータMG1によってバッテリ12が充電される。
図7は、実施の形態1におけるEV走行時のスイッチング動作を説明するための回路図である。
図7を参照して、制御装置34は、モータジェネレータMG2のトルク指令値、モータジェネレータMG2の各相電流値、およびバッテリ12の出力電圧に基づいてモータジェネレータMG2の各相コイルの電圧を演算する。そして、制御装置34は、その電圧演算結果に基づいてPWM信号を生成し、その生成したPWM信号を双方向性スイッチSDa〜SDc,SEa〜SEcへ出力する。
そうすると、双方向性スイッチSDa〜SDc,SEa〜SEcの各々は、制御装置34から受けるPWM信号に応じてオン/オフし、双方向性スイッチSDa〜SDc,SEa〜SEcは、バッテリ12から出力される直流電圧を交流電圧に変換するインバータ動作を行なう。これによって、バッテリ12から出力される直流電力がマトリックスコンバータ32によって交流電力に変換されてモータジェネレータMG2へ出力される。
図8は、実施の形態1におけるエンジン始動時のスイッチング動作を説明するための回路図である。
図8を参照して、たとえば、図に示されるように、モータジェネレータMG1においてU相コイルからV相コイルに流れるステータ電流をPUC14によって生成するとき、制御装置34は、バッテリ12からの直流電力を所望の3相交流電力に変換して電源ラインLa〜Lcへ出力するためのPWM信号を生成し、その生成したPWM信号を双方向性スイッチSDa〜SDc,SEa〜SEcへ出力する。ここで、制御装置34は、モータジェネレータMG2の回転角θに基づいて、モータジェネレータMG2に対するq軸電流を0とする電圧パターンとなるように上述したPWM信号を生成する。このようなPWM信号を生成するのは、バッテリ12からモータジェネレータMG2へのパワーフローが発生しないようにするためである。
そして、制御装置34は、双方向性スイッチSAa〜SAc,SBa〜SBcがそれぞれ双方向性スイッチSDa〜SDc,SEa〜SEcと同期してスイッチング動作するように、双方向性スイッチSAa〜SAc,SBa〜SBcへ制御信号を出力する。
これによって、バッテリ12からモータジェネレータMG2へのパワーフローを発生させることなく、バッテリ12によってモータジェネレータMG1を回転させることができ、モータジェネレータMG1の回転力によってエンジンENGを始動させることができる。
図9は、実施の形態1において、PCU14からAC出力コンセント15へ商用交流電力が出力されるときのスイッチング動作を説明するための回路図である。
図9を参照して、制御装置34は、図示されない電圧センサによって検出されたモータジェネレータMG1の各相の電圧およびAC出力コンセント15の端子間電圧に基づいて、モータジェネレータMG1からAC出力コンセント15へ商用交流電力を供給するためのPWM信号を生成し、その生成したPWM信号を双方向性スイッチSAa,SAb,SBa,SBb,SCa,SCbへ出力する。
そうすると、双方向性スイッチSAa,SAb,SBa,SBb,SCa,SCbの各々は、制御装置34から受けるPWM信号に応じてオン/オフし、双方向性スイッチSAa,SAb,SBa,SBb,SCa,SCbは、モータジェネレータMG1から電源ラインLA〜LCに出力される3相交流電力を商用交流電力に変換して電源ラインLa,Lbへ出力する。これによって、電源ラインLa,Lbに接続されたAC出力コンセント15から商用交流電力を出力することができる。
ここで、AC出力コンセント15から商用交流電力が出力されるとき、制御装置34は、スイッチS1をオフする。したがって、モータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2との間に閉回路は構成されず、モータジェネレータMG1からモータジェネレータMG2へのパワーフローは発生しない。
以上のように、この実施の形態1によれば、モータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2とバッテリ12との間で相互に電力変換を行なう電力変換装置としてマトリックスコンバータ32を用いたので、直流リンク部を介することなく、モータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2とバッテリ12との間で相互かつ直接に電力変換が行なわれる。したがって、電力損失の小さい高効率なハイブリッド自動車10が実現される。また、直流リンク部に必要であったリアクトルやコンデンサが不要となるため、小型かつ静粛性に優れたハイブリッド自動車10が実現される。
[実施の形態2]
実施の形態2では、実施の形態1における電気システムの構成において、マトリックスコンバータに並列に接続されるバッテリ12およびモータジェネレータMG1をマトリックスコンバータと接続する電源ラインが一部共通化される。
実施の形態2によるハイブリッド自動車の全体構成は、図1に示した実施の形態1によるハイブリッド自動車10と同じである。
図10は、実施の形態2におけるPCUの構成を示す電気回路図である。
図10を参照して、PCU14Aは、図2に示した実施の形態1におけるPCU14の構成において、マトリックスコンバータ32に代えてマトリックスコンバータ32Aを含む。マトリックスコンバータ32Aは、電源ラインLEおよび双方向性スイッチSEa〜SEcを備えていない点において実施の形態1におけるマトリックスコンバータ32の構成と異なる。そして、バッテリ12は、電源ラインLC,LDを介してマトリックスコンバータ32Aと接続され、コンデンサCは、バッテリ12に対応して電源ラインLC,LD間に接続される。
すなわち、この実施の形態2においては、モータジェネレータMG1のW相コイルをマトリックスコンバータ32Aと接続する電源ラインとバッテリ12の正極をマトリックスコンバータ32Aと接続する電源ラインとが共通化される。これによって、電力ラインを構成するバスバーおよびそれに接続される双方向性スイッチが削減され、PCU14Aの小型化が図られている。
この実施の形態2におけるマトリックスコンバータ32Aは、実施の形態1におけるマトリックスコンバータ32と同様に、モータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2とバッテリ12との間で相互に電力変換を行なうが、上述した電源ラインの共有化によって、モータジェネレータMG1とバッテリ12との間では、直接電力変換を行なうことはできない。そこで、マトリックスコンバータ32Aは、モータジェネレータMG2を介してモータジェネレータMG1とバッテリ12との間で電力変換を行なう。
図11,図12は、実施の形態2におけるエンジン始動時のスイッチング動作を説明するための回路図である。
図11を参照して、制御装置34は、モータジェネレータMG2の回転角θに基づいて、モータジェネレータMG2におけるq軸電流を0とする電圧パターンでバッテリ12からモータジェネレータMG2へ電流を流すためのPWM信号を生成し、その生成したPWM信号を双方向性スイッチSDa〜SDc,SEa〜SEcへ出力する。
そうすると、バッテリ12から出力される直流電力がマトリックスコンバータ32Aによって3相交流電力に変換されてモータジェネレータMG2に供給されるが、モータジェネレータMG2において回転力は発生しない。そして、バッテリ12からモータジェネレータMG2に供給された電力の一部は、モータジェネレータMG2の各相コイルに蓄積される。
図12を参照して、その後、制御装置34は、双方向性スイッチSDa〜SDc,SEa〜SEcをすべてオフする。そして、たとえば図に示されるように、モータジェネレータMG1においてU相コイルからV相コイルに流れるステータ電流をPUC14Aによって生成するとき、制御装置34は、双方向性スイッチSAa〜SAc,SBa〜SBcをオン/オフするPWM信号を生成して出力する。
そうすると、モータジェネレータMG2に蓄積されていたエネルギーがマトリックスコンバータ32Aによって所望の3相交流電力に変換されてモータジェネレータMG1に供給され、モータジェネレータMG1に回転力が発生する。したがって、この回転力によってエンジンENGを始動させることができる。
なお、モータジェネレータMG1,MG2間における電力変換時、モータジェネレータMG2とバッテリ12との間で電力変換が行なわれる回生動作時およびEV走行時、ならびにPCU14AからAC出力コンセント15への商用交流電力時におけるPCU14Aの動作は、実施の形態1におけるPCU14の動作と基本的に同じである。
以上のように、この実施の形態2によれば、モータジェネレータMG1をマトリックスコンバータ32Aと接続する電源ラインとバッテリ12をマトリックスコンバータ32Aと接続する電源ラインとを一部共通化したので、電源ラインを構成するバスバーおよびそれに接続される双方向性スイッチを削減することができる。したがって、PCU14Aが小型化かつ低コスト化され、それによってハイブリッド自動車の小型化および低コスト化が実現される。
[実施の形態3]
実施の形態3では、マトリックスコンバータに並列に接続されるバッテリ12およびモータジェネレータMG1を直列化することができ、マトリックスコンバータによるモータジェネレータMG1からモータジェネレータMG2への電力変換の際にマトリックスコンバータの入力電圧が高電圧化される。
実施の形態3によるハイブリッド自動車の全体構成は、図1に示した実施の形態1によるハイブリッド自動車10と同じである。
図13は、実施の形態3におけるPCUの構成を示す電気回路図である。
図13を参照して、PCU14Bは、図2に示した実施の形態1におけるPCU14の構成において、マトリックスコンバータ32に代えてマトリックスコンバータ32Bを含む。マトリックスコンバータ32Bは、電源ラインLd〜Liと、双方向性スイッチSDd,SDf,SDh,SEe,SEg,SEiとをさらに含む点においてマトリックスコンバータ32の構成と異なり、その他の構成は、マトリックスコンバータ32と同じである。
電源ラインLd,Leは電源ラインLAと接続され、電源ラインLf,Lgは電源ラインLBと接続され、電源ラインLh,Liは電源ラインLCと接続される。6つの双方向性スイッチSZw(「Z」はD,Eのいずれかであり、「w」はd〜iのいずれかである。)は、電源ラインLZと電源ラインLwとの間に接続される。
この実施の形態3におけるマトリックスコンバータ32Bは、双方向性スイッチSXyを用いて実施の形態1におけるマトリックスコンバータ32と同様の動作を行なうほか、モータジェネレータMG1からモータジェネレータMG2への電力変換の際に、双方向性スイッチSDd,SDf,SDh,SEe,SEg,SEiを用いてバッテリ12をモータジェネレータMG1と直列化してマトリックスコンバータ32Bの入力電圧を高電圧化することができる。
図14,図15は、バッテリ12がモータジェネレータMG1と直列化されるときのスイッチング動作を説明するための回路図である。
図14を参照して、たとえば、図に示されるようにモータジェネレータMG1のU,V各相コイルにおいてそれぞれ最大相電圧および最小相電圧が発生しているとき、制御装置34は、双方向性スイッチSEeをオンさせる。そして、制御装置34は、モータジェネレータMG2のトルク指令値、モータジェネレータMG2の各相電流値、ならびにモータジェネレータMG1およびバッテリ12の出力電圧に基づいてモータジェネレータMG2の各相コイルの電圧を算出し、その算出結果に基づいてPWM信号を生成して双方向性スイッチSBa〜SBc,SDa〜SDcへ出力する。
そうすると、モータジェネレータMG2からみて、双方向性スイッチSBa〜SBc、モータジェネレータMG1のV相コイル、U相コイル、電源ラインLA、電源ラインLe、双方向性スイッチSEe、バッテリ12、および双方向性スイッチSDa〜SDcを経由する電流ルートが形成される。
図15を参照して、モータジェネレータMG1のV,U各相コイルにおいてそれぞれ最大相電圧および最小相電圧が発生しているときは、制御装置34は、双方向性スイッチSDdをオンさせる。そして、制御装置34は、モータジェネレータMG2の各相コイルの電圧を算出し、その算出結果に基づいてPWM信号を生成して双方向性スイッチSBa〜SBc,SEa〜SEcへ出力する。
そうすると、モータジェネレータMG2からみて、双方向性スイッチSEa〜SEc、バッテリ12、双方向性スイッチSDd、電源ラインLd、電源ラインLA、モータジェネレータMG1のU相コイル、V相コイル、および双方向性スイッチSBa〜SBcを経由する電流ルートが形成される。
なお、モータジェネレータMG1のU,V各相コイルにおいてそれぞれ最大相電圧および最小相電圧が発生しているとき、制御装置34は、双方向性スイッチSDfをオンさせ、双方向性スイッチSAa〜SAc,SEa〜SEcをPWM制御するようにしてもよく、モータジェネレータMG1のV,U各相コイルにおいてそれぞれ最大相電圧および最小相電圧が発生しているとき、制御装置34は、双方向性スイッチSEgをオンさせ、双方向性スイッチSAa〜SAc,SDa〜SDcをPWM制御するようにしてもよい。
そして、特に図示しないが、モータジェネレータMG1のU,W各相コイルにおいてそれぞれ最大相電圧および最小相電圧が発生しているときは、制御装置34は、双方向性スイッチSEeをオンさせ、双方向性スイッチSCa〜SCc,SDa〜SDcをPWM制御するか、または、双方向性スイッチSDhをオンさせ、双方向性スイッチSAa〜SAc,SEa〜SEcをPWM制御すればよい。
また、モータジェネレータMG1のW,U各相コイルにおいてそれぞれ最大相電圧および最小相電圧が発生しているときは、制御装置34は、双方向性スイッチSDdをオンさせ、双方向性スイッチSCa〜SCc,SEa〜SEcをPWM制御するか、または、双方向性スイッチSEiをオンさせ、双方向性スイッチSAa〜SAc,SDa〜SDcをPWM制御すればよい。
さらに、モータジェネレータMG1のV,W各相コイルにおいてそれぞれ最大相電圧および最小相電圧が発生しているときは、制御装置34は、双方向性スイッチSEgをオンさせ、双方向性スイッチSCa〜SCc,SDa〜SDcをPWM制御するか、または、双方向性スイッチSDhをオンさせ、双方向性スイッチSBa〜SBc,SEa〜SEcをPWM制御すればよい。
また、さらに、モータジェネレータMG1のW,V各相コイルにおいてそれぞれ最大相電圧および最小相電圧が発生しているときは、制御装置34は、双方向性スイッチSDfをオンさせ、双方向性スイッチSCa〜SCc,SEa〜SEcをPWM制御するか、または、双方向性スイッチSEiをオンさせ、双方向性スイッチSBa〜SBc,SDa〜SDcをPWM制御すればよい。
このようにして、バッテリ12をモータジェネレータMG1と直列化することができ、これによって、モータジェネレータMG1およびバッテリ12が直列化されるときの最大電圧の範囲内で任意の交流電圧を生成してモータジェネレータMG2に供給することができる。
なお、上記において、電源ラインLd〜Liおよび双方向性スイッチSDd,SDf,SDh,SEe,SEg,SEiは、「接続部」を構成する。
以上のように、この実施の形態3によれば、バッテリ12をモータジェネレータMG1と直列化してマトリックスコンバータ32Bの入力電圧を高電圧化できるようにしたので、より大きな交流電力をモータジェネレータMG2に供給することができる。したがって、この実施の形態3によれば、高出力のハイブリッド自動車を実現できる。
[実施の形態4]
実施の形態1〜3では、バッテリ12は、モータジェネレータMG1と並列にマトリックスコンバータに接続されるが、この実施の形態4では、モータジェネレータMG1,MG2の各中性点の間にバッテリ12が接続される。
実施の形態4によるハイブリッド自動車の全体構成は、図1に示した実施の形態1によるハイブリッド自動車10と同じである。
図16は、実施の形態4におけるPCUの構成を示す電気回路図である。
図16を参照して、このPCU14Cは、図2に示した実施の形態1におけるPCU14の構成において、H形ブリッジ回路42をさらに含み、マトリックスコンバータ32に代えてマトリックスコンバータ32Cを含む。H形ブリッジ回路42は、モータジェネレータMG1,MG2の各中性点の間に接続される。そして、バッテリ12は、電源ラインPLおよび接地ラインSLを介してH形ブリッジ回路42に接続され、コンデンサCは、バッテリ12に対応して電源ラインPLと接地ラインSLとの間に接続される。
マトリックスコンバータ32Cは、電源ラインLD,LEおよび双方向性スイッチSDa〜SDc,SEa〜SEcを備えていない点において実施の形態1におけるマトリックスコンバータ32の構成と異なり、その他の構成は、マトリックスコンバータ32と同じである。
H形ブリッジ回路42は、パワートランジスタQ1〜Q4と、ダイオードD1〜D4と、電源ラインPLと、接地ラインSLとからなる。パワートランジスタQ1〜Q4は、たとえばIGBTからなる。パワートランジスタQ1,Q2は、電源ラインPLと接地ラインSLとの間に直列に接続される。パワートランジスタQ3,Q4も、電源ラインPLと接地ラインSLとの間に直列に接続される。また、各パワートランジスタQ1〜Q4のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD1〜D4がそれぞれ接続されている。そして、パワートランジスタQ1,Q2の接続点は、電源ラインNL1を介してモータジェネレータMG1の中性点に接続され、パワートランジスタQ3,Q4の接続点は、電源ラインNL2を介してモータジェネレータMG2の中性点に接続されている。
H形ブリッジ回路42は、制御装置34からの制御信号に応じてパワートランジスタQ1〜Q4をスイッチング動作させることによって、バッテリ12を電源ラインNL1,NL2に双方向に接続することができる。すなわち、H形ブリッジ回路42は、パワートランジスタQ1,Q4をオンさせ、かつ、パワートランジスタQ2,Q3をオフさせることによって、バッテリ12の正極および負極をそれぞれ電源ラインNL1,NL2と電気的に接続する。また、H形ブリッジ回路42は、パワートランジスタQ1,Q4をオフさせ、かつ、パワートランジスタQ2,Q3をオンさせることによって、バッテリ12の負極および正極をそれぞれ電源ラインNL1,NL2と電気的に接続する。
このPCU14Cにおいては、3×3の双方向性スイッチからなるマトリックスコンバータ32Cを公知の手法でPWM制御することによって、モータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2との間で直接交流/交流変換を行なう。そして、このPCU14Cにおいても、実施の形態1と同様に、回生動作、EV走行、エンジンENGの始動、および商用交流電力の出力を行なうことができる。
図17は、実施の形態4における回生動作時のスイッチング動作を説明するための回路図である。
図17を参照して、制御装置34は、回生動作時、H形ブリッジ回路42のパワートランジスタQ1〜Q4をすべてオフさせる。そして、制御装置34は、たとえば図に示されるように、モータジェネレータMG2のU相コイルにおいて最大電圧が印加されているとき、図示されない電圧センサによって検出されたモータジェネレータMG2のU相コイル電圧およびバッテリ12の端子間電圧に基づいて、モータジェネレータMG2からバッテリ12へ電力を供給するためのPWM信号を生成する。そして、制御装置34は、その生成したPWM信号を双方向性スイッチSAa,SBa,SCaへ出力し、双方向性スイッチSAa,SBa,SCaを同時にオン/オフさせる。
そうすると、モータジェネレータMG2からみて、双方向性スイッチSAa,SBa,SCa、モータジェネレータMG1、電源ラインNL1、H形ブリッジ回路42のダイオードD1、バッテリ12、ダイオードD4、および電源ラインNL2からなる閉回路が形成され、モータジェネレータMG2によって回生発電された電力がバッテリ12に充電される。
なお、特に図示しないが、モータジェネレータMG2のV相コイルにおいて最大電圧が印加されているときは、双方向性スイッチSAb,SBb,SCbが同時にPWM制御され、モータジェネレータMG2のW相コイルにおいて最大電圧が印加されているときは、双方向性スイッチSAc,SBc,SCcが同時にPWM制御される。
図18,図19は、実施の形態4におけるEV走行時のスイッチング動作を説明するための回路図である。
図18を参照して、たとえば、モータジェネレータMG2のU相コイルに図に示される方向の電流を発生させるとき、制御装置34は、H形ブリッジ回路42のパワートランジスタQ1,Q4をオンさせ、パワートランジスタQ2,Q3をオフさせる。そして、制御装置34は、モータジェネレータMG2のトルク指令値、モータジェネレータMG2の各相電流値、およびバッテリ12の出力電圧に基づいて各相コイル電圧を算出し、算出したU相コイル電圧に基づいてPWM信号を生成する。そして、制御装置34は、その生成したPWM信号を双方向性スイッチSAa,SBa,SCaへ出力し、双方向性スイッチSAa,SBa,SCaを同時にオン/オフさせる。
そうすると、バッテリ12からみて、H形ブリッジ回路42のパワートランジスタQ1、電源ラインNL1、モータジェネレータMG1、双方向性スイッチSAa,SBa,SCa、モータジェネレータMG2のU相コイル、電源ラインNL2、およびH形ブリッジ回路42のパワートランジスタQ4からなる閉回路が形成され、モータジェネレータMG2のU相コイルに所望の電流が流される。
図19を参照して、モータジェネレータMG2のW相コイルに図に示される方向の電流を発生させるときは、制御装置34は、H形ブリッジ回路42のパワートランジスタQ2,Q3をオンさせ、パワートランジスタQ1,Q4をオフさせる。そして、制御装置34は、生成したPWM信号に応じて双方向性スイッチSAc,SBc,SCcを同時にオン/オフさせる。
そうすると、この場合は、バッテリ12からみて、H形ブリッジ回路42のパワートランジスタQ3、電源ラインNL2、モータジェネレータMG2のW相コイル、双方向性スイッチSAc,SBc,SCc、モータジェネレータMG1、電源ラインNL1、およびH形ブリッジ回路42のパワートランジスタQ2からなる閉回路が形成され、モータジェネレータMG2のW相コイルに所望の電流が流される。
同様にして、モータジェネレータMG2のその他のコイルにも電流が流され、モータジェネレータMG2の各相コイルにバッテリ12からの出力電力による電流を順次流すことによって、モータジェネレータMG2に回転力が発生する。
図20は、実施の形態4におけるエンジン始動時のスイッチング動作を説明するための回路図である。
図20を参照して、エンジン始動時におけるPCU14Cのスイッチング動作は、基本的には、図18,図19に示したEV走行時においてモータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2とを置き換えて考えればよい。すなわち、たとえば、モータジェネレータMG1のU相コイルに図に示される方向の電流を発生させるとき、制御装置34は、H形ブリッジ回路42のパワートランジスタQ2,Q3をオンさせ、パワートランジスタQ1,Q4をオフさせる。そして、制御装置34は、生成したPWM信号に応じて双方向性スイッチSAa〜SAcを同時にオン/オフさせる。
そうすると、バッテリ12からみて、H形ブリッジ回路42のパワートランジスタQ3、電源ラインNL2、モータジェネレータMG2、双方向性スイッチSAa〜SAc、モータジェネレータMG2のU相コイル、電源ラインNL1、およびH形ブリッジ回路42のパワートランジスタQ2からなる閉回路が形成され、モータジェネレータMG2のU相コイルに所望の電流が流される。
そして、特に図示しないが、モータジェネレータMG1の各相コイルに順次バッテリ12からの出力電力による電流を順次流すことによって、モータジェネレータMG1に回転が発生し、これによってエンジンENGを始動させることができる。
なお、上記において、H形ブリッジ回路42は、「接続回路」を構成する。
以上のように、この実施の形態4によれば、バッテリ12は、モータジェネレータMG1の中性点とモータジェネレータMG2の中性点との間に接続され、マトリックスコンバータ32Cには、直接接続されない。したがって、この実施の形態4によれば、一般的な3×3の双方向性スイッチからなるマトリックスコンバータ32Cを用いることができ、汎用的なマトリックスコンバータの採用によるコスト低減を図ることができる。
[実施の形態5]
実施の形態5では、ハイブリッド自動車の駆動力を発生するモータに交流励磁回転電機が用いられ、その交流励磁回転電機におけるロータの界磁電流の生成にマトリックスコンバータが適用される。
実施の形態5によるハイブリッド自動車の全体構成は、図1に示した実施の形態1によるハイブリッド自動車10と同じである。
図21は、実施の形態5によるハイブリッド自動車における電気システムの構成を示す電気回路図である。
図21を参照して、この電気システムは、モータジェネレータMG1,MG3と、U,V,W各相ラインUL,VL,WLと、PCU14Dとを含む。PCU14Dは、マトリックスコンバータ32Cと、制御装置34Aとからなる。
モータジェネレータMG1,MG3は、U,V,W各相ラインUL,VL,WLによって相互に接続される。マトリックスコンバータ32Cの電源ラインLA〜LCは、それぞれU,V,W各相ラインUL,VL,WLに接続される。そして、マトリックスコンバータ32Cの電源ラインLa〜Lcは、モータジェネレータMG3のロータに巻回されるU,V,W各相コイルに接続される。
モータジェネレータMG3は、3相交流励磁同期モータである。3相交流励磁同期モータは、ステータに3相コイル(以下、「ステータコイル」と称する。)が巻回されるとともに、ロータにも巻回された3相コイル(以下、「ロータコイル」と称する。)を有する同期モータである。3相交流励磁同期モータのステータコイルおよびロータコイルにそれぞれ周波数ω1,ω2の3相交流電圧が印加されると、ステータコイルおよびロータコイルは、それぞれ角速度ω1,ω2で回転する回転磁界を発生し、ロータは、両角速度の和(ω1+ω2)あるいは両角速度の差(ω1−ω2)からなる角速度で回転する。したがって、たとえば、ステータの回転磁界の角速度ω1を固定速度とし、ロータの回転磁界の角速度ω2を可変とすることによって、3相交流励磁同期モータの速度制御を行なうことができる。
マトリックスコンバータ32Cは、モータジェネレータMG1をモータジェネレータMG2と接続するU,V,W各相ラインに接続され、モータジェネレータMG1から出力される3相交流電力を受ける。そして、マトリックスコンバータ32Cは、制御装置34からの制御信号に応じて、その受けた3相交流電力を所望の周波数からなる3相交流電力に変換してモータジェネレータMG3のロータコイルへ出力する。
制御装置34は、図示されない速度センサによって検出されるモータジェネレータMG1の回転速度およびモータジェネレータMG3の回転速度指令に基づいて、モータジェネレータMG3のロータコイルへ印加する3相交流電力の周波数を算出する。そして、制御装置34は、その算出した周波数からなる3相交流電力を生成するためのPWM信号を生成し、その生成したPWM信号をマトリックスコンバータ32Cの各双方向性スイッチへ出力する。
この実施の形態3における電気システムにおいては、モータジェネレータMG3は、モータジェネレータMG1によって発電された3相交流電力をU,V,W各相ラインUL,VL,WLを介してU,V,W各相のステータコイルに受ける。マトリックスコンバータ32Cは、モータジェネレータMG1によって発電された3相交流電力を受け、制御装置34からのPWM信号に応じて、その受けた3相交流電力を所望の周波数からなる3相交流電力に変換し、その周波数変換した3相交流電力をモータジェネレータMG3のロータコイルへ出力する。
したがって、モータジェネレータMG3のロータコイルへ出力される3相交流電力の周波数をマトリックスコンバータ32Cにより制御することによって、モータジェネレータMG3の速度制御を行なうことができる。
以上のように、この実施の形態5によれば、3相交流励磁同期モータからなるモータジェネレータMG3の回転を制御する電気システムをマトリックスコンバータを用いて構成したので、小型化が要求されるハイブリッド自動車においても交流励磁回転電機を適用することができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 ハイブリッド自動車、12 バッテリ、14,14A〜14D PCU、15 AC出力コンセント、16 動力出力装置、18 DG、20R,20L 前輪、22R,22L 後輪、24R,24L フロントシート、26 リアシート、28 ダッシュボード、32,32A〜32C マトリックスコンバータ、34,34A 制御装置、42 H形ブリッジ回路、52,54,72,74,Q1〜Q4 パワートランジスタ、56,58,D1〜D4 ダイオード、60,62 端子、MG1〜MG3 モータジェネレータ、ENG エンジン、C コンデンサ、S1 スイッチ、SAa〜SAc,SBa〜SBc,SCa〜SCc,SDa〜SDc,SDd,SDf,SDh,SEa〜SEc,SEe,SEg,SEi 双方向性スイッチ、LA〜LE,La〜Li,PL,NL1,NL2 電源ライン、SL 接地ライン、UL U相ライン、VL V相ライン、WL W相ライン。