JP4509348B2 - 数値制御旋盤における工具位置補正方法及び制御装置 - Google Patents

数値制御旋盤における工具位置補正方法及び制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、数値制御旋盤における工具位置補正方法に関する。さらに本発明は、工具位置補正方法を数値制御旋盤で実施するための制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、数値制御旋盤(以下、NC旋盤と称する)に代表される自動旋盤(すなわち自動加工可能な旋盤)の分野では、棒状の被加工素材(以下、棒材と称する)から一層複雑な形状の工作物を加工できるようにするために、回転工具を含む多種類の工具を刃物台に装備して、旋削加工に加え、フライス加工等の多様な自動加工を実施可能とする複合機械化が進められている。さらに、加工時間の短縮を図るべく、1つの旋盤機台に、それぞれが互いに異なる制御軸に沿って動作可能な少なくとも1つの主軸及び少なくとも1つの刃物台を集約的に搭載し、同一棒材に対する異種(例えば外径削りと中ぐり)同時加工や、異なる棒材に対する同時加工を実施できるようにした多機能型のNC旋盤が、種々提案されている。
【0003】
この種のNC旋盤では、高精度の自動加工を実現するために、主軸や刃物台を旋盤機台上の所与の制御軸に沿って送り動作させる駆動機構に、高精度の案内/位置決め機能を付与することが要求されている。駆動機構における案内精度や位置決め精度は、駆動源(例えばACサーボモータ)の動作精度だけでなく、案内部材(例えばスライドガイド)や送りねじ装置(例えばボールねじ)等の構成部品の寸法精度、組立精度、剛性等の機械構造的精度に依存する。
【0004】
ここで、従来のNC旋盤において、刃物台が、棒材を把持する主軸の回転軸線に平行な制御軸(一般にZ軸と称する)と、この制御軸に直交する1つ又は2つの制御軸(一般にX軸又はY軸と称する)とに沿って移動する構成は知られている。この構成では、刃物台に装着された工具は、刃物台をZ軸に沿って様々な位置に移動させることによって、その刃先を加工対象棒材の長手方向所望部位に接触させるので、加工完成品が長尺になるほど、刃物台のZ軸駆動機構の案内/位置決め精度が加工精度に及ぼす影響は増大する。例えば、Z軸駆動機構の案内/位置決め精度の不足によって、刃物台の実際のZ軸案内方向が主軸回転軸線に平行な正規の(理論上の)Z軸に対し僅かでも傾斜している場合には、最初に工具を座標系原点位置で正確に位置合わせしたとしても、刃物台がZ軸方向へ移動するに伴って、工具の刃先の経路は、Z軸に平行な正規の経路からZ軸に直交する方向へ次第に大きくずれてしまう傾向がある。したがって、特にZ軸移動可能な刃物台に対しては、Z軸駆動機構の動作精度及び機械構造的精度を可及的に向上させることが必要となっている。
【0005】
他方、従来のNC旋盤において、旋盤外部から供給された棒材を把持して回転する主要な(又は正面側の)第1主軸と、第1主軸の回転軸線に平行な回転軸線を有して第1主軸の軸線方向前方に同軸状に対向配置でき、第1主軸から受け渡された一部加工済みの棒材を把持して回転する補助的な(又は背面側の)第2主軸と、両主軸の回転軸線に平行な制御軸(Z軸)及びZ軸に直交する制御軸(X軸)を有する直交座標系内で移動可能なタレット刃物台とを備えた構成が知られている。この構成では、タレット刃物台は、所望の周方向割出角度位置にある工具保持部に一対の工具を互いに逆向きかつ同軸状に方向付けして保持でき、それら一対の工具によって、第1及び第2主軸のそれぞれに把持された棒材を順次に加工できるだけでなく、タレット刃物台自体の送り動作に同期重畳して両主軸を送り動作させることにより、両主軸に把持された棒材の同時加工も実施できるようになっている。
【0006】
このような構成を有するNC旋盤においては、タレット刃物台上の所望の工具保持部で互いに逆向きに方向付けした一対の工具が、工具保持部への組付け誤差等により、互いに正確には同軸配置されておらず、その結果、各工具を加工プログラムに従って移動させたときの指定位置に対する実際位置の誤差が互いに異なる量となる場合がある。このような場合に、それら一対の工具によって、同軸状に対向配置した第1及び第2主軸のそれぞれに把持した棒材を同時加工しようとすると、両工具はタレット刃物台の同一の送り動作に伴って移動するので、それら工具による加工精度に差が生じることになる。したがって上記構成では、異なる棒材に対する同時加工時の加工精度を共に高水準に維持すべく、互いに逆向きに方向付けした一対の工具を工具保持部上で互いに可及的正確に同軸配置することが要求されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
Z軸移動可能な刃物台を有する上記した従来のNC旋盤では、Z軸駆動機構の案内/位置決め精度を一層向上させる以外に、高精度の自動加工を実現するための有効な対策が無かった。しかし、Z軸駆動機構の動作精度及び機械構造的精度を向上させることは自ずと限界があり、したがってμmオーダの精密加工で許容し得る水準までZ軸送り動作の誤差を低減することは困難であった。そこで、NC旋盤に組み込まれたNC装置において、プログラム上で指定された工具の位置座標を、加工動作制御の開始前に適宜自動補正する工具位置補正方法を補助的に実施することが有効であると考えられる。しかし、従来公知の工具位置補正方法は、例えば加工対象棒材の中心軸線を基準として特定位置にある刃物台上の工具の刃先位置を自動補正する等の、工具自体の寸法誤差や組付け誤差に起因した刃先の位置ずれを補正する方法であって、刃物台駆動機構の送り動作の誤差に起因して生ずる刃物台装着工具の刃先の位置ずれを自動補正するために適用することは困難であった。
【0008】
また、タレット刃物台上で互いに逆向きに方向付けした一対の工具を用いて、同軸状に対向配置した第1及び第2主軸のそれぞれに把持した棒材を同時加工できる上記した従来のNC旋盤では、タレット刃物台の工具保持部への各工具の組付け精度を一層向上させる以外に、両棒材に対する高精度の同時加工を実現するための有効な対策が無かった。しかし、工具保持部への各工具の組付け精度を向上させることは自ずと限界があり、したがってμmオーダの精密加工で許容し得る程度まで両工具の軸ずれを低減することは困難であった。そこで従来は、互いに逆向きに方向付けした一対の工具のうち、予め定めた一方の工具による加工精度だけを所望水準に維持できるように、その工具の位置を自動補正しつつタレット刃物台の送り動作を制御していた。しかしこのような対処法では、一対の棒材への同時加工工程で要求される加工精度の水準の変動に柔軟に対応することができず、常に最初に定めた側の工具による加工精度だけが所望水準に設定されてしまうという課題があった。
【0010】
本発明の目的は、旋盤機台上で、互いに同軸状に対向配置可能な第1及び第2主軸と、互いに直交する複数の制御軸に沿って移動可能な刃物台とを有し、刃物台上の所望の工具保持部に互いに逆向きに方向付けして保持した一対の工具によって両主軸のそれぞれに把持した棒材を同時加工できるNC旋盤における工具位置補正方法であって、一対の棒材への同時加工工程で要求される加工精度の水準の変動に柔軟に対応して、両工具による加工精度をそれぞれに所望の水準に設定するように、加工動作制御に際して各工具の位置を適宜自動補正できる工具位置補正方法を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、上記したような工具位置補正方法をNC旋盤において実施するための制御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、互いに平行な回転軸線を有して同軸状に対向配置可能な第1主軸及び第2主軸と、該第1及び第2主軸の該回転軸線に平行な理論制御軸に沿って移動可能な刃物台とを有し、該刃物台上で該理論制御軸に沿って互いに逆向きに装着した一対の工具により、該第1及び第2主軸のそれぞれに把持された異なる棒材を同時加工できるように構成される数値制御旋盤で、該一対の工具による同時加工工程における該刃物台の移動位置を自動補正するための工具位置補正方法であって、同時加工に使用する前記一対の工具を加工時の姿勢で前記刃物台に固定的に装着し、前記刃物台に装着した前記一対の工具の各々に関して、加工プログラムで指定される工具位置に対する実際位置の誤差を求め、前記一対の工具に関して求めた前記誤差に対し、それら誤差を補正する程度を相対的に表す補正割合であって、前記異なる棒材のそれぞれに要求される加工精度に応じて変更可能な補正割合を設定し、前記補正割合に基づいて、前記誤差に対する最適補正量を算出し、該最適補正量に従って前記刃物台の移動位置を補正すること、を特徴とする工具位置補正方法を提供する。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の工具位置補正方法を実施するための制御装置であって、前記最適補正量を算出するための計算式を記憶するとともに、入力された前記加工プログラムで指定される前記一対の工具に関する工具移動位置を、該計算式から算出した該最適補正量に従って補正し、該補正した工具移動位置に基づいて前記刃物台の移動を制御することを特徴とする制御装置を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図面において、同一又は類似の構成要素には共通の参照符号を付す。
まず図1を参照して、本発明に係る工具位置補正方法を好都合に実施できる数値制御(NC)旋盤10の全体構成を概説する。NC旋盤10は、1つの旋盤機台12に2個の主軸14、16及び2個の刃物台18、20を集約的に搭載し、バイト、ドリル等の旋削工具やフライス等の回転工具を含む種々の工具22により、同一棒材に対する異種(例えば外径削りと中ぐり)同時加工や、異なる棒材に対する同時加工を実施できるようにした多機能構造を有するものである。
【0018】
すなわちNC旋盤10は、旋盤機台12と、旋盤機台12上に設置され、回転軸線14aを有する第1主軸14と、旋盤機台12上に設置され、複数の工具22を並列配置で保持できる第1刃物台18と、旋盤機台12上に設置され、互いに異なる刃先方向性を示す第1列及び第2列のそれぞれに複数の工具22を並列配置で保持できる第2刃物台20と、旋盤機台12上に設置され、第1主軸14の回転軸線14aに平行な回転軸線16aを有して、第1主軸14に対向配置可能な第2主軸16とを備える。
【0019】
旋盤機台12は、機台前面に傾斜案内面12aを有するいわゆるスラントベッド構造を有し、第1主軸14、第2主軸16、第1刃物台18及び第2刃物台20をそれぞれに独立して、傾斜案内面12aを基準とする3つの直交座標系において摺動可能に担持する。旋盤機台12にはさらに、後述する制御(NC)装置24を操作するための操作盤26が搭載される。
【0020】
第1主軸14は、旋盤外部から供給された棒材を把持して回転する主要な(又は正面側の)主軸であり、図示しない軸受装置を介して第1主軸台28に回転自在に内蔵される。第1主軸台28は、旋盤機台12の長手方向一端領域に設定された第1主軸搭載部30に摺動自在に搭載される。第1主軸搭載部30には、第1主軸台28を、旋盤機台12の傾斜案内面12aを基準とする直交3軸座標系において、傾斜案内面12a及び第1主軸14の回転軸線14aに平行な送り制御軸(Z1軸と称する)に沿って直線移動させる第1主軸駆動機構32(ACサーボモータ、スライドガイド、ボールねじ等)が設置される。第1主軸台28にはさらに、第1主軸14を回転駆動する回転駆動源34(図2)として、例えばビルトイン型ACサーボモータが内蔵される。したがって第1主軸14は、第1主軸駆動機構32の作動により、それ自体の回転軸線14aに平行な送り制御軸(Z1軸)に沿って、第1主軸台28と共に直線往復動作できる。
【0021】
旋盤機台12の長手方向略中央には、第1主軸搭載部30に隣接してコラム36が立設される。コラム36には、第1主軸台28から軸線方向前方に離隔した所定位置に、第1主軸14に把持された棒材を、その先端の被加工部位の近傍で支持する補助支持装置としてのガイドブッシュ38が設置される。ガイドブッシュ38は、第1主軸14に対し同軸状に配置され、旋削加工中に棒材をその被加工部位に振れが生じないように心出し支持する。
【0022】
第1刃物台18は、旋盤機台12上で第1刃物台搭載部として機能するコラム36の前面に移動自在に搭載され、第1主軸14の軸線方向前方に位置するガイドブッシュ38の側方に退避して配置される。コラム36には、第1刃物台18を、旋盤機台12の傾斜案内面12aを基準とする直交3軸座標系において、傾斜案内面12a及び第1主軸14の回転軸線14a(すなわちZ1軸)に直交する送り制御軸(X1軸と称する)と、Z1軸及びX1軸の両者に直交する送り制御軸(Y1軸と称する)とに沿って直線移動させる第1刃物台駆動機構40(X1軸駆動用及びY1軸駆動用のそれぞれのACサーボモータ、スライドガイド、ボールねじ等)が設置される。
【0023】
第1刃物台18は、複数の工具22を並列配置で保持するいわゆるくし歯刃物台であり、バイト、ドリル等の旋削工具やフライス等の回転工具を、コラム36の前面に平行な仮想平面に沿って、かつ第1主軸14の回転軸線14aに対し放射状に位置決め可能な配置で装備できる。図示の例では、第1刃物台18は、複数の工具22をY1軸方向に並列配置して保持できる第1保持部42と、第1保持部42の近傍で、複数の工具22をX1軸方向に並列配置して保持できる第2保持部44とを有して構成される。
【0024】
したがって、第1刃物台18は、そのY1軸移動によって第1保持部42から割出選択された所望の工具22の刃先を、NC装置24に入力された加工プログラムに従う第1刃物台18自体のX1軸移動と前述した第1主軸14のZ1軸移動との協働により、補間動作させることができる。同様に第1刃物台18は、そのX1軸移動によって第2保持部44から割出選択された所望の工具22の刃先を、NC装置24に入力された加工プログラムに従う第1刃物台18自体のY1軸移動と第1主軸14のZ1軸移動との協働により、補間動作させることができる。さらに第1刃物台18は、第2保持部44に装備した回転工具22Rの刃先を、NC装置24に入力された加工プログラムに従う第1刃物台18自体のX1軸移動とY1軸移動との協働により、補間動作させることができる。このようにして、NC装置24の制御下で、第1主軸14に把持された棒材を、第1刃物台18上の所望の工具22により所望形状に加工することができる。
【0025】
第2刃物台20は、旋盤機台12上でコラム36を挟んで第1主軸搭載部30の反対側に設定された第2刃物台搭載部46に移動自在に搭載される。第2刃物台搭載部46には、第2刃物台20を、旋盤機台12の傾斜案内面12aを基準とする直交2軸座標系において、傾斜案内面12aに平行でかつ第1主軸14の回転軸線14a(すなわちZ1軸)に直交する送り制御軸(X2軸と称する)と、Z1軸に平行な送り制御軸(Z2軸と称する)とのそれぞれに沿って直線移動させる第2刃物台駆動機構48(X2軸駆動用及びZ2軸駆動用のそれぞれのACサーボモータ、スライドガイド、ボールねじ等)が設置される。
【0026】
第2刃物台20は、複数の工具22を、互いに異なる刃先方向性を示す第1列及び第2列にくし歯状に保持できるものであり、バイト、ドリル等の旋削工具やフライス等の回転工具を、旋盤機台12の傾斜案内面12aに平行な仮想平面に沿って、かつ第1主軸14の回転軸線14aに対し平行又は同軸状に位置決め可能な配置で装備できる。図示の例では、第2刃物台20は、複数の工具22を、第1刃物台16を搭載するコラム36に対向するように方向付けして、かつX2軸方向に並列配置して、第1列に保持できる第1保持部50(図3)と、第1保持部50の反対側で、複数の工具22を、第1保持部50に装着した複数の工具22と同じ位置にそれぞれ逆向きかつ同軸状に方向付けして、第2列に保持できる第2保持部52(図3)とを有して構成される。第2刃物台20の第1保持部50に装着される第1列の工具22は、第1主軸14に把持した棒材を加工するための刃先方向性を有する。また、第2刃物台20の第2保持部52に装着される第2列の工具22は、第2主軸16に把持した棒材を加工するための刃先方向性を有する。
【0027】
したがって、第2刃物台20は、それ自体のX2軸移動によって第1保持部50から割出選択された所望の工具22の刃先を、NC装置24に入力された加工プログラムに従う第2刃物台20自体のX2軸移動とZ2軸移動との協働により、補間動作させることができ、また、NC装置24に入力された加工プログラムに従い、第2刃物台20自体のZ2軸移動を第1主軸14のZ1軸移動に重畳させて動作させることができる。このようにして、第1主軸14に把持された棒材を、第2刃物台20上の第1列から選択された所望の工具22により所望形状に加工することができる。
【0028】
第2主軸16は、旋盤機台12上でコラム36を挟んで第1主軸搭載部30の反対側に、第2刃物台搭載部46に隣接して設定された第2主軸搭載部54に移動自在に搭載され、第1主軸14の回転軸線14aに平行な回転軸線16aを有して、第1主軸14すなわちガイドブッシュ38の軸線方向前方に同軸状に対向可能に配置される。第2主軸16は、第1主軸14から受け渡された一部加工済みの棒材を把持して回転する補助的な(又は背面側の)主軸であり、図示しない軸受装置を介して第2主軸台56に回転自在に内蔵される。
【0029】
第2主軸搭載部54には、第2主軸16を、旋盤機台12の傾斜案内面12aを基準とする直交2軸座標系において、第2刃物台20の1つの送り制御軸であるX2軸に平行な送り制御軸(X3軸と称する)と、第1主軸14の送り制御軸であるZ1軸に平行な送り制御軸(Z3軸と称する)とのそれぞれに沿って直線移動させる第2主軸駆動機構58(X3軸駆動用及びZ3軸駆動用のそれぞれのACサーボモータ、スライドガイド、ボールねじ等)が設置される。また、第2主軸台56にはさらに、第2主軸16を回転駆動する回転駆動源60(図2)として、例えばビルトイン型ACサーボモータが内蔵される。したがって第2主軸16は、第2主軸駆動機構58の作動により、X3軸とZ3軸とのそれぞれに沿って、第2主軸台56と共に直線往復動作できる。
【0030】
このように第2主軸16は、第2刃物台20の1つの送り制御軸であるX2軸に平行な送り制御軸(X3軸)に沿って直線移動できる。したがって、第2刃物台20は、それ自体のX2軸移動と第2主軸16のX3軸移動との少なくとも一方によって、第2保持部52に装備した第2列の工具22から所望の工具22を割出選択できる。そして第2刃物台20は、選択された所望の工具22の刃先を、NC装置24に入力された加工プログラムに従う第2主軸16のX3軸移動とZ3軸移動との協働により、相対的に補間動作させることができ、また、NC装置24に入力された加工プログラムに従い、第2主軸16のZ3軸移動を第2刃物台20自体のZ2軸移動に重畳させて動作させることができるとともに、第2主軸16のX3軸移動を第2刃物台20自体のX2軸移動に重畳させて動作させることができる。このようにして、第2主軸16に把持された棒材を、第2刃物台20上の第2列から選択された所望の工具22により所望形状に加工することができる。
【0031】
NC旋盤10は、NC装置24の制御下で、上記構成を有する2台の刃物台18、20上で選択した最多で3個の工具22を同時使用して、正面側及び背面側の両主軸14、16に把持した棒材をそれぞれに自動加工でき、特に、それら3個の工具22の各々に指令される固有の補間動作を同時に遂行できるように構成される。
【0032】
図2は、そのような多様な自動加工を遂行するためのNC装置24の構成を示す。NC装置24は、入力部100、表示部102、演算制御部104及びサーボ制御部106を備える。入力部100は、操作盤26に設置される数値キー付きのキーボード108(図1)を有し、第1及び第2主軸14、16並びに第1及び第2刃物台18、20のそれぞれの動作を制御するために必要なデータ(工具の選択、物品の形状寸法、主軸回転数、工具の送り速度等)を含む、各工具22に関する加工プログラム(すなわちブロック列)が、入力部100から入力される。表示部102は、操作盤26に設置されるCRT(ブラウン管)やLCD(液晶ディスプレイ)等の表示画面110(図1)を有し、入力部100で入力された加工プログラムを表示画面110に表示したり、対話方式として表示画面110上でシミュレーションしながらの自動プログラミングを可能にしたりする。
【0033】
演算制御部104は、記憶部を構成するRAM(ランダムアクセスメモリ)112及びROM(リードオンリーメモリ)114と、処理部を構成するCPU(中央処理装置)116とを有する。入力部100で入力された各種データを含む複数の工具22に関する複数の加工プログラムは、CPU116の指示によりRAM112又はROM114に格納される。また、ROM114には、第1及び第2主軸14、16並びに第1及び第2刃物台18、20を駆動するための制御プログラムが予め格納されている。CPU116は、RAM112又はROM114に記憶した加工プログラム及びROM114に格納された制御プログラムに基づいて、サーボ制御部106に制御指令を出力する。
【0034】
サーボ制御部106は、第1主軸移動制御部118、第1主軸回転制御部120、第1刃物台移動制御部122、第2刃物台移動制御部124、第2主軸移動制御部126及び第2主軸回転制御部128を備える。第1主軸移動制御部118は、CPU116の指令に基づき、第1主軸駆動機構32を作動して、第1主軸台28と共に第1主軸14をZ1軸移動させる。第1主軸回転制御部120は、CPU116の指令に基づき、回転駆動源34を作動して、第1主軸14を第1主軸台28内で割出回転させる。なお、旋削加工に際しての第1主軸14の高速回転は、回転数等のデータに基づき、図示しない別の制御回路を介して制御される。
【0035】
第1刃物台移動制御部122は、CPU116の指令に基づき、第1刃物台駆動機構40を作動して、第1刃物台18をX1軸移動又はY1軸移動させる。第2刃物台移動制御部124は、CPU116の指令に基づき、第2刃物台駆動機構48を作動して、第2刃物台20をZ2軸移動とX2軸移動とで補間動作させる。
【0036】
第2主軸移動制御部126は、CPU116の指令に基づき、第2主軸駆動機構58を作動して、第2主軸16をZ3軸移動とX3軸移動とで補間動作させる。第2主軸回転制御部128は、CPU116の指令に基づき、回転駆動源60を作動して、第2主軸16を第2主軸台56内で割出回転させる。なお、旋削加工に際しての第2主軸16の高速回転は、回転数等のデータに基づき、図示しない別の制御回路を介して制御される。
【0037】
上記した制御系において、NC装置24は、第1主軸駆動機構32、第1刃物台駆動機構40、第2刃物台駆動機構48及び第2主軸駆動機構58を、互いに関連付けて制御することにより、第1刃物台18で選択される所望の工具22による第1主軸14に関連する(すなわち第1主軸14に把持した棒材に対する)加工工程と、第2刃物台20で第1列から選択される所望の工具22による第1主軸14に関連する加工工程と、第2刃物台20で第2列から選択される所望の工具22による第2主軸16に関連する(すなわち第2主軸16に把持した棒材に対する)加工工程とのうちの、少なくとも2つの加工工程を同時に実施できるように機能する。さらにNC装置24は、第1刃物台18で選択される工具22の前述した補間動作と、第2刃物台20で第1列から選択される工具22の前述した補間動作と、第2刃物台20で第2列から選択される工具22の前述した補間動作とを同時に遂行できるように、第1主軸駆動機構32、第1刃物台駆動機構40、第2刃物台駆動機構48及び第2主軸駆動機構58を適宜に重畳制御することができる。
【0038】
上記したように、NC旋盤10は、第1主軸14の回転軸線14aに平行な送り制御軸(Z2軸)とZ2軸に直交する送り制御軸(X2軸)とに沿って移動する第2刃物台20を備えている。この構成では、第2刃物台20の第1保持部50及び第2保持部52のそれぞれに装着された工具22は、第2刃物台20をZ2軸に沿って様々な位置に移動させることによって、第1主軸14及び第2主軸16のそれぞれに把持された異なる加工対象棒材の長手方向所望部位に刃先を接触させる。したがってこの構成では、加工完成品が長尺になるほど、第2刃物台駆動機構48の特にZ2軸方向駆動構造の案内/位置決め精度が加工精度に及ぼす影響は増大する。例えば図3に示すように、第2刃物台20をZ2軸方向へ移動させようとする際に、第2刃物台駆動機構48(図1)の案内/位置決め精度の不足によって、第2刃物台20の実際のZ2軸案内方向すなわち移動軸α(図3(b)に実線で示す)が、第1主軸回転軸線14aに平行な正規のZ2軸すなわち理論制御軸β(図3(b)に鎖線で示す)に対し僅かでも傾斜している場合には、最初に工具22を座標系原点位置で正確に位置合わせしたとしても、第2刃物台20がZ2軸方向へ移動するに伴って、工具22の刃先の経路は、Z2軸に平行な正規の経路からZ2軸に直交する方向へ次第に大きくずれてしまう傾向がある。
【0039】
本発明に係る第1の工具位置補正方法は、このような第2刃物台駆動機構48の送り動作に起因して生ずる刃物台装着工具22の刃先の位置ずれを、第2刃物台駆動機構48の動作精度や機械構造的精度を向上させるだけでは達成できないような、例えばμmオーダの精密加工で許容し得る水準まで低減するために、好都合に適用できるものである。以下、図3を参照して、この工具位置補正方法の好適な実施形態を説明する。なお以下の説明では、理解を助けるために、第2刃物台20の第1保持部50に棒材端面穴あけ用の工具(例えばドリル)22−1を装着した場合の工具位置補正手順を図示、説明するが、バイト等の他の旋削工具に対しても、同様の手順で工具位置補正が可能であることは理解されよう。
【0040】
まず、図3(a)に示すように、加工に使用する工具22−1を加工時の姿勢で第2刃物台20の第1保持部50に固定的に装着する。その状態で、第2刃物台20をNC装置24(図2)の制御下で旋盤機台12(図1)上の第1の位置P1に配置し、この第1の位置P1で、工具22−1の刃先の第1座標Q1(x1,z1)を、X2軸及びZ2軸を有する直交座標系において求める。次いで、第2刃物台20をNC装置24の制御下で、第1主軸回転軸線14aに平行な正規のZ2軸方向すなわち理論制御軸β方向に第1の位置P1から旋盤機台12上の第2の位置P2に移動し(図3(b))、この第2の位置P2で、工具22−1の刃先の第2座標Q2(x2,z2)を、上記直交座標系において求める。これら第1及び第2座標Q1、Q2は、例えば旋盤機台12に取り付けた計測器(図示せず)を用いて実測することにより求めることができる。このようにして求めた第1及び第2座標Q1、Q2は、NC装置24のRAM112(図2)に直ちに格納される。
【0041】
次に、NC装置24のCPU116(図2)は、工具22−1の刃先の第1座標Q1(x1,z1)と第2座標Q2(x2,z2)とから、第2刃物台20が正規のZ2軸(理論制御軸β)方向に移動する際の、Z2軸に対する実際の移動軸αの変化率△x/△z=(x2−x1)/(z2−z1)を求めるとともに、加工プログラムで指定される第2刃物台20上の工具22−1に関する工具移動位置(Xp,Zp)を補正するための補正量の計算式Xc=(△x/△z)×Zpを作成する。ここで、Zpは、加工プログラムにおける工具移動位置のZ2軸上の指定座標値であり、したがって補正量Xcは、同工具移動位置のX2軸上の指定座標値Xpに対する補正量、つまり第2刃物台20上の工具22−1のX2軸方向への位置ずれを相殺するための補正量となる。このようにして作成した補正量Xcの計算式は、NC装置24のRAM112に直ちに格納される。
【0042】
その後、加工工程を実行する際に、NC装置24のCPU116は、RAM112に入力され記憶された加工プログラムで指定される第2刃物台20上の工具22−1に関する全ての工具移動位置(Xpn,Zpn)に対し、格納した計算式Xcn=(△x/△z)×Zpnを用いて補正量を算出し、それら工具移動位置を自動的に補正する。したがって自動補正された工具移動位置は、(Xpn−Xcn,Zpn)となる。そして、これら自動補正された工具移動位置の指令に従って、第2刃物台移動制御部126(図2)が第2刃物台駆動機構48を作動させると、第2刃物台20は、第2刃物台駆動機構48の動作精度や機械構造的精度の不足に起因して生ずる位置ずれを自動的に相殺しつつ移動して、工具22−1を指定通りの位置に正確に位置決めする。その結果、第2刃物台20の第1保持部50に装着した工具22−1により、棒材に所望の加工を高精度に実施することが可能になる。
【0043】
このように、上記した工具位置補正方法によれば、第2刃物台20がX2軸上のどの位置にあるときに加工工程が実施されるかを全く考慮せずに、加工プログラムの実行に先立ち、第2刃物台駆動機構48のZ2軸送り動作に起因して生ずる第2刃物台20上の工具22の刃先の位置ずれを予め測定してNC装置24に入力するだけで、そのような位置ずれを加工動作制御に際して適宜自動補正することができる。したがって、NC旋盤10において、第2刃物台駆動機構48の動作精度や機械構造的精度を向上させるだけでは達成できないような、例えばμmオーダの精密加工で許容し得る水準の、第2刃物台20上の工具22による高精度の自動加工を実現することができる。
【0044】
なお、上記した工具位置補正方法において、Z2軸に対する第2刃物台20の移動軸αの変化率△x/△zを求めるための第2刃物台20の第1の位置P1と第2の位置P2とは、第2刃物台駆動機構48によるZ2軸送りストロ−クの両端位置であることが、変化率△x/△zの信頼性を高める観点で望ましい。また、3つ以上の複数の位置において工具22−1の刃先の座標を求め、それらの座標から曲線近似により変化率を求めて2次や3次の計算式を作成することもできる。さらに、第2刃物台20の前述した第1の位置P1は、工具22−1の刃先を第1主軸回転軸線14a上に配置する位置として図示されているが、これに限らず、計測器による計測が可能な範囲で他の位置を選択することもできる。
【0045】
また、上記した工具位置補正方法によれば、第2刃物台20の第1及び第2保持部50、52に装着した全ての工具22に関し、補正量を算出するために作成した1つの上記計算式を用いて、加工プログラムで指定される全ての工具移動位置を自動補正することもできる。ただしこの場合、第1主軸14の回転軸線14aと第2主軸16の回転軸線16aとが互いに同軸に配置されている状態で、加工工程を実施することを前提とする。
【0046】
さらに、上記した工具位置補正方法は、第2刃物台駆動機構48のX2軸駆動構造の動作に起因して生ずる刃物台装着工具の刃先の位置ずれを補正するために適用することもできる。或いは、NC旋盤10における第1刃物台駆動機構40のX1軸駆動構造やY1軸駆動構造に対しても適用できる。
【0047】
上記実施形態において、第2刃物台駆動機構48の機械構造的精度の不足は、第2刃物台20をZ2軸方向へ移動させる際に、工具刃先の位置ずれをX2軸方向だけに生じるとは限らず、X2・Z2平面から逸脱する方向へ三次元的な位置ずれを生じることも考えられる。このような場合には、上記した工具位置補正方法では、実際に生じる工具刃先の位置ずれのX2軸方向成分だけが補正されることになる。これに対し、X軸、Y軸、Z軸の直交3軸方向へ移動可能な構成を有する刃物台においては、上記した手順と同様にして、Y軸方向への補正量Ycを求めるための計算式も作成することができるので、補正量Xc及びYcを用いて、加工プログラムで指定される工具移動位置のX座標及びY座標を自動補正できる。その結果、工具刃先の三次元的な位置ずれも正確に補正することができる。
【0048】
ところで、前述したように、NC旋盤10の第2刃物台20は、その第1及び第2保持部50、52に、少なくとも一対の工具22をZ2軸に沿って互いに逆向きかつ同軸状に方向付けして装着できる。そして第2刃物台20は、それ自体の送り動作に同期して第1及び第2主軸14、16を適宜送り動作させることにより、互いに対応する位置で逆向きかつ同軸状に装着した一対の工具22を用いて、第1及び第2主軸14、16のそれぞれに把持された異なる棒材の同時加工を実施できるようになっている。この構成では、第2刃物台20上の対応位置で互いに逆向きに方向付けした一対の工具22が、第1及び第2保持部50、52への組付け誤差等により、互いに正確には同軸配置されておらず、その結果、各工具22を加工プログラムに従って移動させたときの指定位置に対する実際位置のX2軸方向への誤差が互いに異なる量となる場合がある。このような場合に、それら一対の工具22によって、同軸状に対向配置した第1及び第2主軸14、16のそれぞれに把持した棒材を同時加工しようとすると、両工具22は第2刃物台20の同一の送り動作に伴って移動するので、それら工具22による加工精度に差が生じることになる。
【0049】
本発明に係る第2の工具位置補正方法は、第2刃物台20上の対応位置で逆向きに保持された一対の工具22同士が上記したX2軸方向への軸ずれを生じている場合に、両工具22による加工精度をそれぞれに所望の水準に設定した状態で同時加工を実施できるようにするために、好都合に適用できるものである。以下、図4及び図5を参照して、この工具位置補正方法の好適な実施形態を説明する。なお以下の説明では、理解を助けるために、第2刃物台20の第1及び第2保持部50、52に棒材端面穴あけ用の工具(例えばドリル)22−1、22−2を装着した場合の工具位置補正手順を図示、説明するが、バイト等の他の旋削工具に対しても、同様の手順で工具位置補正が可能であることは理解されよう。
【0050】
まず、図4に示すように、第1及び第2主軸14、16を互いに同軸に対向配置してそれぞれに棒材W、W´を把持するとともに、加工に使用する工具22−1、22−2を加工時の姿勢で第2刃物台20の第1及び第2保持部50、52にそれぞれ固定的に装着する。その状態で、第2刃物台20をNC装置24(図2)の制御下で駆動して、例えば各工具22−1、22−2により棒材W、W´の軸線方向端面に試験的に穴あけ加工を施し、それにより、指定位置に対する実際位置のX2軸方向への誤差を各工具22−1、22−2のそれぞれに関し実測して求める。図5の例では、各棒材W、W´の軸線方向端面の中心に穴あけ加工を実施しようとする際の、各工具22−1、22−2が有する誤差γ1、γ2が拡大して示されている。なお、試験的穴あけ加工を実施する代わりに、各工具22−1、22−2を棒材W、W´の外周面に接触させる従来公知の三点接触法により、誤差γ1、γ2を求めることもできる。このようにして求めた誤差γ1、γ2は、NC装置24のRAM112(図2)に直ちに格納される。
【0051】
ここで、従来の工具位置補正方法を適用した場合には、同時加工工程を実行する際に、NC装置24のCPU116は、RAM112に記憶された誤差γ1、γ2のうち予め定めたいずれか一方のみを100%相殺するように、加工プログラム上の工具指定位置のX2軸座標を補正して、第2刃物台20を移動させることになる。これに対し、本発明に係る第2の工具位置補正方法は、オペレータが加工プログラムを作成する際に、NC装置24のRAM112に、各工具22−1、22−2が有する誤差γ1、γ2に対する相対的補正程度を示す補正割合を、自由に設定して入力できるように構成される。つまり本発明によれば、一連の加工プログラム中で、1つの同時加工工程では第1主軸14に把持された棒材Wに対してのみ高い加工精度が要求され、他の同時加工工程では両主軸14、16に把持された棒材W、W´に対し同程度の加工精度が要求され、さらに他の同時加工工程では第2主軸16に把持された棒材W´に対してのみ高い加工精度が要求されるといった場合に、個々の同時加工工程において誤差γ1、γ2に対する補正割合を適宜指定して加工プログラムを作成することができる。
【0052】
例えば、誤差γ2は考慮せず(補正割合0%)に誤差γ1だけを完全に相殺する(補正割合100%)ことが要求される場合、オペレータは加工プログラム上で、誤差γ1に対する補正割合(百分率)を明記する所定のコード(例えば引数A100)を、工具22−1を指令するブロックに併記することによって指定することができる。また、同様のコードを用いて、誤差γ1、γ2を同等に相殺(補正割合50%)すること(例えば引数A50を併記)や、誤差γ1は考慮せず(補正割合0%)に誤差γ2だけを完全に相殺(補正割合100%)すること(例えば引数A0を併記)も、加工プログラム上で指定できる。つまりこの方法では、誤差γ1に対する補正割合を0〜100の百分率で自由に指定することができる。
【0053】
他方、NC装置24のRAM112には、加工プログラムで指定される第2刃物台20上の両工具22−1、22−2に関する工具移動位置を、X2軸方向へ補正するための最適補正量の計算式Xoc=Rγ1+(1−R)γ2が、予め格納されている。ここで、Rは、工具22−1の誤差γ1に対して指定された補正割合(小数)であり、したがって最適補正量Xocは、第2刃物台20上の両工具22−1、22−2の誤差γ1、γ2を指定割合に従って相殺するための補正量となる。
【0054】
その後、加工工程を実行する際に、NC装置24のCPU116は、RAM112に入力され記憶された加工プログラム中の各同時加工工程で、工具22−1の誤差γ1に対して指定された補正割合を所定コードから読み取って、格納した計算式Xoc=Rγ1+(1−R)γ2を用いて最適補正量を算出し、当該同時加工工程で指定される両工具22−1、22−2に関する全ての工具移動位置(すなわち第2刃物台20の移動位置)のX2軸座標を自動的に補正する。そして、これら自動補正された工具移動位置の指令に従って、第2刃物台移動制御部126(図2)が第2刃物台駆動機構48を作動させると、第2刃物台20は、指定された補正割合に従って誤差γ1、γ2を自動的に相殺しつつ移動して、一対の工具22−1、22−2を所望位置に位置決めする。その結果、第2刃物台20の第1及び第2保持部50、52に互いに逆向きに装着した一対の工具22−1、22−2により、第1及び第2主軸14、16に把持された棒材W、W´にそれぞれ所望の加工精度で同時加工を実施することが可能になる。
【0055】
このように、上記した工具位置補正方法によれば、第1及び第2主軸14、16に把持された棒材W、W´に対し、1つの加工プログラムにおける複数の同時加工工程で随時異なる加工精度が要求されたり、多数の部品を異なる加工精度で作製することが要求されたりする場合に、柔軟に対応して、第2刃物台20上で互いに逆向きに装着した一対の工具22により、両棒材W、W´をそれぞれに所望の精度で同時加工することができる。なお、第2刃物台20上の1つの工具22で棒材W、W´のいずれかを加工する際には、その工具22の位置誤差の補正割合を100%で指定すればよい。
【0056】
以上、本発明の幾つかの好適な実施形態を説明したが、本発明はそれら実施形態に限定されず、特許請求の範囲の開示内で様々な変更及び修正を為し得るものである。例えば、本発明に係る第1及び第2の工具位置補正方法はいずれも、前述した複数の工具を互いに異なる刃先方向性を示す第1列及び第2列にくし歯状に保持できる第2刃物台を有するNC旋盤に限らず、所望の周方向割出角度位置に一対の工具を互いに逆向きかつ同軸状に方向付けして保持できるタレット刃物台を備えるNC旋盤にも適用できるものである。
【0057】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、旋盤機台上で、互いに同軸状に対向配置可能な第1及び第2主軸と、互いに直交する複数の制御軸に沿って移動可能な刃物台とを有し、刃物台上の所望の工具保持部に互いに逆向きに方向付けして保持した一対の工具によって両主軸のそれぞれに把持した棒材を同時加工できるNC旋盤において、一対の棒材への同時加工工程で要求される加工精度の水準の変動に柔軟に対応して、両工具による加工精度をそれぞれに所望の水準に設定するように、加工動作制御に際して各工具の位置を適宜自動補正することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る工具位置補正方法を適用可能なNC旋盤の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1のNC旋盤に組み込まれたNC装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る第1の工具位置補正方法の実施手順を説明する図で、(a)刃物台を第1の位置に配置した状態、及び(b)刃物台を第2の位置に配置した状態を示す。
【図4】本発明に係る第2の工具位置補正方法の実施手順を説明する図で、第1主軸と第2主軸とを互いに同軸に対向配置した状態を示す。
【図5】本発明に係る第2の工具位置補正方法の実施手順を説明する図で、一対の工具同士の軸ずれを示す。
【符号の説明】
10…NC旋盤
14…第1主軸
16…第2主軸
18…第1刃物台
20…第2刃物台
22…工具
24…NC装置
40…第1刃物台駆動機構
48…第2刃物台駆動機構
50…第1保持部
52…第2保持部
112…RAM
114…ROM
116…CPU

Claims (2)

  1. 互いに平行な回転軸線を有して同軸状に対向配置可能な第1主軸及び第2主軸と、該第1及び第2主軸の該回転軸線に平行な理論制御軸に沿って移動可能な刃物台とを有し、該刃物台上で該理論制御軸に沿って互いに逆向きに装着した一対の工具により、該第1及び第2主軸のそれぞれに把持された異なる棒材を同時加工できるように構成される数値制御旋盤で、該一対の工具による同時加工工程における該刃物台の移動位置を自動補正するための工具位置補正方法であって、
    同時加工に使用する前記一対の工具を加工時の姿勢で前記刃物台に固定的に装着し、
    前記刃物台に装着した前記一対の工具の各々に関して、加工プログラムで指定される工具位置に対する実際位置の誤差を求め、
    前記一対の工具に関して求めた前記誤差に対し、それら誤差を補正する程度を相対的に表す補正割合であって、前記異なる棒材のそれぞれに要求される加工精度に応じて変更可能な補正割合を設定し、
    前記補正割合に基づいて、前記誤差に対する最適補正量を算出し、該最適補正量に従って前記刃物台の移動位置を補正すること、
    を特徴とする工具位置補正方法。
  2. 請求項1に記載の工具位置補正方法を実施するための制御装置であって、前記最適補正量を算出するための計算式を記憶するとともに、入力された前記加工プログラムで指定される前記一対の工具に関する工具移動位置を、該計算式から算出した該最適補正量に従って補正し、該補正した工具移動位置に基づいて前記刃物台の移動を制御することを特徴とする制御装置。
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