JP4505668B2 - 露光装置及び露光方法並びにデバイス製造方法 - Google Patents

露光装置及び露光方法並びにデバイス製造方法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、マスク又はレチクルに形成されたパターンをウェハ等の基板上に転写する露光装置及び露光方法、並びに、前記露光装置及び露光方法を用いて半導体素子、液晶表示素子、撮像素子、薄膜磁気ヘッド、その他のデバイスを製造するデバイス製造方法に関する。
背景技術
半導体素子、液晶表示素子、撮像素子、薄膜磁気ヘッド、その他のデバイスの製造工程の1つであるフォトリソグラフィ工程においては、マスクやレチクル(以下、これらを総称する場合は、マスクと総称する)に形成されたパターンを、フォレジスト等の感光剤が塗布されたウェハやガラスプレート等(以下、これらを総称する場合は、基板と称する)に転写する露光装置が用いられる。
近年、この種の露光装置として、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置、例えば縮小投影型の露光装置(所謂ステッパー)又はステップ・アンド・スキャン方式の露光装置が多用されている。上記ステップ・アンド・リピート方式の露光装置は、基板を2次元的に移動自在なステージ上に保持し、このステージにより基板をステップ移動させて、レチクルのパターン像をウェハ等の基板上の各ショット領域に順次露光する動作を繰り返す露光装置である。上記ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置は、ウェハ上に設定されたショット領域にレチクルのパターンを転写する際に、レチクルとウェハとを同期移動させつつ、レチクルに形成されたパターンをショット領域に逐次転写する露光装置である。
近年、上述したデバイスのうち、特に半導体素子は高集積化が進み、例えば0.13μm程度にプロセスルールが極めて微細化している。このため、露光装置は解像力の向上及び投影光学系を介して投影されるレチクルのパターン像とウェハのショット領域との位置合わせ精度の向上が図られている。具体的には、解像力を向上させるために、例えば露光光の波長の短波長化及び投影光学系の高NA(Numerical Aperture:開口数)化を図り、位置合わせ精度を向上させるために、例えばベースライン量の正確かつ厳密な管理を行っている。
ベースライン量とは、ウェハ上に投影されるレチクルのパターン像の基準点(例えば、投影中心)と、オフ・アクシス方式のアライメントセンサの基準点(例えば、計測視野中心)との距離である。露光装置にはウェハに形成されたアライメントマークを計測するために、種々のアライメントセンサが設けられるが、その一種として投影光学系の側部近傍に配設されたオフ・アクシス方式のアライメントセンサがある。この種のアライメントセンサを用いる場合には、アライメントセンサの計測結果をベースライン量で補正して得られる位置が、露光時において各ショット領域が配置される位置になる。従って、ベースライン量を精確に管理することで、投影されるパターンとショット領域との重ね合わせ精度の向上が図られることになる。
ところで、近年のデバイスの製造においては、生産性の向上が要求されているため、スループット、即ち単位時間に処理されるウェハの枚数を向上させる必要がある。スループットを向上させるために、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置においては、ウェハステージの加速度を上昇させて加減速に要する時間の短縮が図られている。ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置においては、ウェハステージ及びレチクルステージの加減速を向上させるとともに、露光時におけるウェハステージ及びレチクルステージの走査速度を向上させて露光に要する時間の短縮が図れている。
しかし、スループットを向上させるために、ウェハステージ又はレチクルステージの加速度を上昇させて加減速を頻繁に繰り返すと、ウェハステージを駆動するモータ又はレチクルステージを駆動するモータの発熱量が大きくなる。これらのモータは露光装置内部に設けられているため、露光動作を繰り返す度に露光装置内部の温度が大きく変動することになる。特に、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置では、露光中(パターンの転写中)にウェハステージとレチクルステージの双方がモータにより駆動されるため温度変化の割合が大きくなる。ウェハステージ又はレチクルステージに設けられたモータのみならず、露光装置内部の駆動系(例えば、投影光学系のレンズ駆動系及びレチクルブラインド駆動系)を駆動する場合にも露光装置内における温度の変化が生ずる。
露光装置内部の温度が変化すると、投影光学系の光学特性の変化(例えば、ベストフォーカス位置の変動及び収差の変化)が生ずるため、解像力の低下等が生じて微細なパターンを転写する際に問題となることがある。また、露光装置内部の温度変化によってアライメントセンサ及びステージの熱膨張や熱変形が生じるため、ベースライン量が露光中に変動(ベースラインドリフト)する虞がある。このため、投影されるパターンとショット領域との重ね合わせ精度の低下が生ずるという問題がある。また、ステージの発熱によりステージ周辺の雰囲気の温度が上昇してしまい、ステージの位置を計測する干渉計光路の揺らぎなどの影響でステージの位置決め精度が悪化するという問題も生じる。
従って、解像力の低下、重ね合わせ精度の低下、及びステージの位置決め精度の低下を防止するためには、露光装置内部の温度を一定に保つ必要がある。このため、従来の露光装置は、露光装置内部の温度を検出する温度センサと温度制御装置とを備え、温度センサの検出結果に基づいて温度制御装置がフィードバック制御を行って露光装置内部の温度を一定に保っていた。上記の温度制御装置としては、空冷式及び液冷式の温度制御装置の何れでも良いが、露光装置は冷却能力の高い液冷式の温度制御装置を備えることが多い。
しかし、例えば液冷式の温度制御装置を備える露光装置を例に挙げると、温度制御された冷媒をモータ等の発熱源近傍に引き込むための配管は、露光装置の大きさや露光装置内部のスペースの制限からその径が制限される。また、任意の部品を配管に使用することができる訳ではないため、配管内部の圧力が制限されて流量等も限られる。更に、温度制御を行う上では温度制御装置が極力発熱源の近くに配置されることが望ましいが、装置構成上の制限から必ずしもこのような構成をとることはできない。よって、以上の装置構成上の制約により制御上の無駄時間が多くなってしまう。
近年の露光装置は、所期の性能を保つために、例えばウェハステージ及びレチクルステージを1/10℃程度の範囲で、投影光学系を1/100℃程度の範囲で温度制御しなければならない。しかし、上記の無駄時間が多いとフィードバック制御のみを用いる従来の温度制御装置ではこのような高い精度の温度制御を行うことが困難になってきた。また、近年においては、ウェハの径の大型化に伴いレチクルステージ及びウェハステージも大型化し、熱容量が大きくなり、熱時定数も大きくなってきている。また、スループットを向上させるため、レチクルステージやウェハステージを高速で駆動することが要望されてきていることから、これらを駆動するモータの発熱量が大きくなっているため、上記の温度範囲での精度の高い温度制御が困難になってきた。
本発明は、発熱量や時定数の増大や、制御上の無駄時間が生じていたとしても高い精度で露光装置内の温度制御を行うことで、露光装置の性能を安定して所期の性能に保つことにより、結果としてデバイスの製造効率を向上させることができる露光装置及び露光方法並びに前記露光装置及び露光方法を用いたデバイス製造方法を提供することを目的とする。
発明の開示
以下の説明に付された括弧内の符号は、後述する実施形態中の構成と各要素との関連を示しているにすぎず、各要素を限定するものではない。
本発明の第1の観点による露光装置は、レチクルステージ(2)上に保持されたレチクル(2)上に形成されたパターンの像を、基板ステージ(2)上に保持された基板(2)上に投影光学系(PL)を介して投影する露光装置であって、駆動源(15、17X、17Y、33、35、72、104b、104d、104e、104f、104g)を備えるとともに、前記駆動源により所定の動作を行う可動手段(2、5、100b、100d、100e、100f、100g)と、前記可動手段の駆動が停止されてから、次に前記可動手段の駆動が開始されるまでの期間を計測する計時手段と、前記可動手段に対して温度制御された流体を循環させることにより前記可動手段の温度を制御する温度制御系(61、62)とを有し、前記温度制御系は、前記可動手段に循環させる前の前記流体の温度と前記可動手段を循環させた後の前記流体の温度とを測定する検出部(66、69)を有し、前記検出部の検出結果に基づいたフィードバック制御と、前記計時手段による計時結果に基づいたフィードフォワード制御とにより、前記可動手段の温度を制御する。
また、レチクルステージ上(2)に保持されたレチクル(2)上に形成されたパターンの像を、基板ステージ(2)上に保持された基板(2)上に投影光学系(PL)を介して投影する露光装置であって、駆動源(15、17X、17Y、33、35、72、104b、104d、104e、104f、104g)を備えるとともに、前記駆動源により所定の動作を行う可動手段(2、5、100b、100d、100e、100f、100g)と、前記可動手段の駆動が停止されてから、次に前記可動手段の駆動が開始されるまでの期間を計測する計時手段と、前記可動手段に対して温度制御された流体を循環させることにより前記可動手段の温度を制御する温度制御系(61、62)とを有し、前記温度制御系は、前記可動手段に循環させる前の前記流体の温度と前記可動手段を循環させた後の前記流体の温度とを測定する検出部を有し、前記検出部の検出結果に基づいたフィードバック制御と、これら以外の制御手法を用いた温度制御とが可能であり、前記計時手段による計時結果に基づいて、前記フィードフォワード制御を実行するか、或いはそれ以外の制御手法を実行するかを判別する判別手段と、を有する。
この発明によれば、温度制御系がフィードフォワード制御を用いて可動手段に対して循環させる液体の温度を制御しており、迅速に可動手段の温度変化が抑えられるため、仮に制御上の無駄時間が生じていたとしても高い精度で露光装置内の温度を目標とする温度に設定することができる。この結果、露光装置の性能を安定して所期の性能に保つことができる。
また、本発明の第2の観点による露光装置は、レチクルステージ(2)上に保持されたレチクル(R)上に形成されたパターンの像を、基板ステージ(5)上に保持された基板(W)上に投影光学系(PL)を介して投影する露光装置であって、温度変動を生じる制御対象(2、5、AL、PL)と、前記制御対象に対して流体を循環させることにより、前記制御対象の温度を制御する温度制御系(61、62)と、パラメータとして、前記流体の経路に関する情報、前記流体の流速に関する情報、及び前記流体の流量に関する情報のうちの少なくとも1つの情報を入力する入力手段(97)と、前記入力手段に入力された前記パラメータの情報に基づいて、前記温度制御系の制御特性を設定する設定手段(116、117)とを有する。
この発明によれば、入力手段に入力された流体の経路に関する情報、前記流体の流速に関する情報、及び前記流体の流量に関する情報のうちの少なくとも1つの情報に基づいて設定手段が温度制御系の制御特性を設定しているため、流体の経路(露光装置が設置される際の設置条件で、具体的には、流体の配管に関する条件であり、更にいえば配管長や配管径に関する情報)、流体の流速(流体を制御対象に循環させる際の条件の1つ)、及び流体の流量(流体を制御対象に循環させる際の条件の1つ)に応じて温度制御系の制御特性を最適に設定したり、更新したりすることができる。この結果、高い精度で露光装置内の温度を目標とする温度に設定(更新)することができ、露光装置の性能を安定して所期の性能に保つことができる。また、入力手段から流体の経路に関する情報、前記流体の流速に関する情報、及び前記流体の流量に関する情報のうちの少なくとも1つの情報を入力しさえすれば、温度制御系の制御特性が最適に設定されるため、例えば露光装置の設置時に試行錯誤を繰り返して温度制御系の制御特性を求めて設定する必要がなく、露光装置の設置に要する時間を短縮することもできる。
また本発明の露光方法は、レチクルステージ(2)上に保持されたレチクル(R)上に形成されたパターンの像を、基板ステージ(5)上に保持された基板(W)上に投影光学系(PL)を介して投影する露光方法であって、パラメータとして、制御対象(2、5、AL、PL)に対して循環させる流体の経路に関する情報、前記流体の流速に関する情報、及び前記流体の流量に関する情報のうちの少なくとも1つの情報を入力する入力工程と、前記制御対象に対して前記流体を循環させることで前記制御対象を温度制御する温度制御系の制御特性を、前記入力工程で入力された前記パラメータの情報に基づいて設定する設定工程とを有する。
この発明によれば、上記第2の観点による露光装置と同様に、流体の経路、流体の流速、及び流体の流量に応じて温度制御系の制御特性を最適に設定することができ、この結果として高い精度で露光装置内の温度を目標とする温度に設定することができ、露光装置の性能を安定して所期の性能に保つことができる。また、露光装置の設置に要する時間を短縮することもできる。
また本発明の第3の観点による露光装置は、レチクルステージ(2)上に保持されたレチクル(R)上に形成されたパターンの像を、基板ステージ(5)上に保持された基板(W)上に投影光学系(PL)を介して投影する露光装置であって、温度変動を生じる制御対象(2,5)と、前記制御対象に対して液体を循環させることにより、前記制御対象の温度を制御する温度制御系(62)と、前記レチクル上のパターンの、前記基板上への露光手順に関する情報をパラメータとして入力する入力手段(97)と、前記入力手段で入力された前記パラメータに基づいて、前記温度制御系の制御特性を設定する設定手段(116,117)と、を有する。
この発明によれば、露光手順に関する情報(ショットマップ情報や、スキャン露光時のスキャン手順(スキャン方向)に関する情報や、ステージの移動速度/加速度に関する情報など)に基づいて、設定手段が温度制御系の制御特性を設定するため、その露光手順に応じた最適な温度管理を実現することができ、ユーザーによって設定される種々のプロセスプログラムへの順応性に優れ、且つ極めて高精度な温度制御を実現することができる。
また本発明の第4の観点による露光装置は、レチクルステージ(2)上に保持されたレチクル(R)上に形成されたパターンの像を、基板ステージ(5)上に保持された基板(W)上に投影光学系(PL)を介して投影する露光装置であって、可動手段(2,5)を駆動する駆動源(15,17X,17Y,33,35,72)と、前記駆動源に対して液体を循環させることにより、前記駆動源の温度を制御する温度制御系(62)と、前記駆動源が前記可動手段の駆動を停止してから、次に前記可動手段の駆動を再開するまでの期間を計時する計時手段(98)と、前記計時手段の計時結果に基づいて、前記温度制御系の制御特性を設定する設定手段(116,117)とを有する。
この発明によれば、駆動源(発熱源)の停止期間に基づいて、設定手段が温度制御系の制御特性を設定するため、その停止期間に応じた最適な温度管理を自動的に行うことができ、このためその駆動源に対する極めて高精度な温度制御を実現することができる。
また本発明の第5の観点による露光装置は、レチクルステージ(2)上に保持されたレチクル(R)上に形成されたパターンの像を、基板ステージ(5)上に保持された基板(W)上に投影光学系(PL)を介して投影する露光装置であって、可動手段(2,5)を駆動する駆動源(15,17X,17Y,33,35,72)と、前記駆動源に対して液体を循環させることにより、前記駆動源の温度をフィードフォワード制御方法又はそれ以外の制御方法を用いて制御する温度制御系(62)と、前記駆動源が前記可動手段の駆動を停止してから、次に前記可動手段の駆動を再開するまでの期間を計時する計時手段(98)と、前記計時手段の計時結果に基づいて、前記温度制御系に前記フィードフォワード制御方法を実行させるか、或いはそれ以外の制御手法を実行させるかを判別する判別手段(95)とを有する。
この発明によれば、駆動源(発熱源)の停止期間に基づいて、その時々に最適な温度管理手法(フィードフォワード制御を行うか、或いはそれ以外の例えばフィードバック制御)を行うか)を適宜自動的に判別して使用せしめるようにできるので、その停止期間に応じた最適な温度管理を自動的に行うことができ、このためその駆動源に対する極めて高精度な温度制御を実現することができる。
また本発明の第2の観点による露光方法は、レチクルステージ(2)上に保持されたレチクル(R)上に形成されたパターンの像を、基板ステージ(5)上に保持された基板(W)上に投影光学系(PL)を介して投影する露光方法であって、前記レチクル上のパターンの、前記基板上への露光手順に関する情報をパラメータとして入力する入力工程と、温度変動を生じる制御対象に対して液体を循環させることで前記制御対象の温度を制御する温度制御系の制御特性を、前記入力工程で入力された前記パラメータに基づいて設定する設定工程と、を有する。
この発明によれば、上記第4の観点による露光装置と同様に、ユーザーによって設定される種々のプロセスプログラム(露光手順に関する情報)への順応性に優れ、且つ極めて高精度な温度制御を実現することができる。
また本発明による第3の観点による露光方法によれば、レチクルステージ(2)上に保持されたレチクル(R)上に形成されたパターンの像を、基板ステージ(5)上に保持された基板(W)上に投影光学系(PL)を介して投影する露光方法であって、可動手段(2,5)を駆動する駆動源(15,17X,17Y,33,35,72)が、前記可動手段の駆動を停止してから、次に前記可動手段の駆動を再開するまでの期間を計時する計時工程と、前記駆動源に対して液体を循環させて前記駆動源の温度を制御する温度制御系の制御特性を、前記計時工程の計時結果に基づいて設定する設定工程と、を有する。
この発明によれば、上記第5の観点による露光装置と同様に、駆動源(発熱源)の停止期間に応じた最適な温度管理を自動的に行うことができ、このためその駆動源に対する極めて高精度な温度制御を実現することができる。
また本発明による第4の観点による露光方法は、レチクルステージ(2)上に保持されたレチクル(R)上に形成されたパターンの像を、基板ステージ(5)上に保持された基板(W)上に投影光学系(PL)を介して投影する露光方法であって、可動手段(2,5)を駆動する駆動源(15,17X,17Y,33,35,72)が、前記可動手段の駆動を停止してから、次に前記可動手段の駆動を再開するまでの期間を計時する計時工程と、前記駆動源に対して液体を循環させて前記駆動源の温度をフィードフォワード制御方法又はそれ以外の制御方法を用いて制御する温度制御系に、何れの制御方法を実行させるかを、前記計時工程の計時結果に基づいて判別する判別工程と、を有する。
この発明によれば、上記第6の観点による露光装置と同様に、その時々に最適な温度管理手法(フィードフォワード制御か、或いはそれ以外)を適宜自動的に判別して使用せしめるようにできるので、駆動源の停止期間に応じた最適な温度管理を自動的に行うことができ、このためその駆動源に対する極めて高精度な温度制御を実現することができる。
また本発明による第5の観点による露光方法は、レチクルステージ(2)上に保持されたレチクル(R)上に形成されたパターンの像を、基板ステージ(5)上に保持された基板(W)上に投影光学系(PL)を介して投影する露光方法であって、駆動源(15、17X、17Y、33、35、72、104b、104d、104e、104f、104g)により可動する可動手段(2、5、100b、100d、100e、100f、100g)により所定の動作を行う可動工程と、前記可動手段に対して温度制御された流体を循環させることにより前記可動手段の温度をフィードフォワード制御を用いて制御する温度制御工程とを有し、前記温度制御工程は、パラメータとして、前記流体を循環させる配管に関する情報、前記流体の流速に関する情報、及び前記流体の流量に関する情報のうちの少なくとも1つの情報を入力する入力工程と、前記入力手段に入力された前記パラメータの情報に基づいて、前記温度制御工程の制御特性を設定する設定工程とを有し、前記流体の温度を所定の温度範囲内で設定する第1設定手段と、前記温度制御工程で温度制御された流体の温度を、前記所定の温度範囲よりも小さい温度範囲内で設定する第2設定手段と、少なくとも前記第2設定手段の動作を制御する制御手段とを有して前記可動手段の温度を制御し、前記第2設定手段と前記制御手段とが、前記第1設定手段とは分離して、且つ前記第1設定手段よりも前記可動手段の近傍に配置されている。
この発明によれば、上記第1の観点による露光装置と同様に、温度制御系がフィードフォワード制御を用いて可動手段に対して循環させる液体の温度を制御しており、迅速に可動手段の温度変化が抑えられるため、仮に制御上の無駄時間が生じていたとしても高い精度で露光装置内の温度を目標とする温度に設定することができる。
また、本発明のデバイス製造方法は、上記の露光装置を用いて、前記レチクル(R)上に形成されたパターンを前記基板(W)上に転写する工程を含む。
この発明によれば、上記の安定して所期の性能に保たれた露光装置を用いてレチクル上に形成されたパターンを基板上に転写しているため、微細なパターンを基板上の所定位置に忠実に転写することができるため、結果としてデバイスの製造効率を向上させることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態による露光装置、露光方法、並びにデバイス製造方法について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の各実施例に限定されるものではなく、例えばこれら実施例の構成要素同士を適宜組み合わせてもよい。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による露光装置全体の概略図である。本実施形態においては、図1中の投影光学系PLに対してマスクとしてのレチクルRと基板としてのウェハWとを相対的に移動させつつ、レチクルRに形成されたパターンをウェハWに転写して半導体素子を製造するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
以下の説明においては、図1中に示したXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がウェハWに対して平行となるよう設定され、Z軸がウェハWに対して直交する方向(投影光学系PLの光軸AXに沿った方向)に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、本実施形態では露光中(パターン転写中)にレチクルR及びウェハWを移動させる方向(走査方向)をY方向に設定している。それぞれの軸周りの回転方向をθZ、θY、θXとする。
図1に示す露光装置1は、照明光学系IU、ステージ装置4、投影光学系PL、ステージ装置7、及びリアクションフレーム8から概略構成されている。照明光学系IUは、光源(不図示)からの露光用照明光によりマスクとしてのレチクルR上の矩形状(又は円弧状)の照明領域を均一な照度で照明する。ステージ装置4は、レチクルRを保持して移動するマスクステージとしてのレチクルステージ2とレチクルステージ2を支持するレチクル定盤3とを含んで構成される。投影光学系PLは、レチクルRに形成されたパターンを縮小倍率1/α(αは、例えば5又は4)で基板としてのウェハW上に投影する。ステージ装置7は、ウェハWを保持して移動する基板ステージとしてのウェハステージ5とウェハステージ5を保持するウェハ定盤6とを含んで構成される。リアクションフレーム8は、上記ステージ装置4及び投影光学系PLを支持する。
照明光学系IUは、リアクションフレーム8の上面に固定された支持コラム9によって支持される。露光用照明光としては、例えば超高圧水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、i線)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、又はArFエキシマレーザ光(波長193nm)若しくはF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV)等が用いられる。リアクションフレーム8は、床面に水平に載置されたベースプレート10上に設置されており、その上部側及び下部側には、内側に向けて突出する段部8a,8bがそれぞれ形成されている。
ステージ装置4の一部をなすレチクル定盤3は、各コーナーにおいてリアクションフレーム8の段部8aに防振ユニット11を介してほぼ水平に支持されており、その中央部にはレチクルRに形成されたパターン像が通過する開口3aが形成されている。図1においては、X方向に配置された防振ユニット11のみを図示しており、Y方向に配置された防振ユニットは図示を省略している。
レチクル定盤3の材料として金属やセラミックスを用いることができる。防振ユニット11は、内圧が調整可能なエアマウント12とボイスコイルモータ13とが段部8a上に直列に配置された構成になっている。これら防振ユニット11によって、ベースプレート10及びリアクションフレーム8を介してレチクル定盤3に伝わる微振動がマイクロGレベルで絶縁される(Gは重力加速度)。
レチクル定盤3上には、レチクルステージ2がレチクル定盤3に沿って2次元的に移動可能に支持されている。レチクルステージ2の底面には、複数のエアベアリング(エアパッド)14が固定されており、これらのエアベアリング14によってレチクルステージ2がレチクル定盤3上に数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されている。また、レチクルステージ2の中央部には、レチクル定盤3の開口3aと連通し、レチクルRのパターン像が通過する開口2aが形成されている。
レチクルステージ2について詳述する。図2は、本発明の第1実施形態による露光装置に設けられるレチクルステージの外観斜視図である。図2に示すように、レチクルステージ2は、レチクル定盤3上を一対のYリニアモータ(駆動源)15,15によってY軸方向に所定ストロークで駆動されるレチクル粗動ステージ16と、このレチクル粗動ステージ16上を一対のXボイスコイルモータ(駆動源)17Xと一対のYボイスコイルモータ(駆動源)17YとによってX、Y、θZ方向に微小駆動されるレチクル微動ステージ18とを備えた構成になっている。このように、レチクルステージ2は、レチクル粗動ステージ16とレチクル微動ステージ18とから構成されるが、図1においては簡略化して図示している。駆動源としてのYリニアモータ15,15、レチクル粗動ステージ16、並びにXボイスコイルモータ17X及びYボイスコイルモータ17Yによって駆動されるレチクルステージ2は、本発明にいう可動手段又は制御対象の一部に相当する。
各Yリニアモータ15は、レチクル定盤3上に非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)19によって浮上支持されY軸方向に延びる固定子20と、この固定子20に対応して設けられ、連結部材22を介してレチクル粗動ステージ16に固定された可動子21とから構成されている。このため、運動量保存の法則により、レチクル粗動ステージ16の+Y方向の移動に応じて、固定子20はカウンターマスとして−Y方向に移動する。
この固定子20の移動によりレチクル粗動ステージ16の移動に伴う反力を相殺するとともに、重心位置の変化を防ぐことができる。Yリニアモータ15における移動子21と固定子20とはカップリングされているため、これらが相対移動した際には、元の位置に止まろうとする力が作用する。そのため、本実施の形態では、固定子20が所定の位置に到達するようにその移動量を補正するトリムモータ72(駆動源;図2では図示せず、図6参照)が設けられている。
レチクル粗動ステージ16は、レチクル定盤3の中央部に形成された上部突出部3bの上面に固定されY軸方向に延びる一対のYガイド51,51によってY軸方向に案内される。また、レチクル粗動ステージ16は、これらYガイド51,51に対して不図示のエアベアリングによって非接触で支持されている。
レチクル微動ステージ18には、不図示のバキュームチャックを介してレチクルRが吸着保持される。レチクル微動ステージ18の−Y方向の端部には、コーナキューブからなる一対のY移動鏡52a,52bが固定され、また、レチクル微動ステージ18の+X方向の端部には、Y軸方向に延びる平面ミラーからなるX移動鏡53が固定されている。これらのY移動鏡52a,52b及びX移動鏡53に対して、測長ビームを照射する3つのレーザ干渉計(いずれも不図示)が各移動鏡との距離を計測することにより、レチクルステージ2のX方向及びY方向の位置並びにZ軸回りの回転θZが高精度に計測される。
図1に戻り、投影光学系PLは、複数の屈折光学素子(レンズ素子)を含んで構成され、物体面(レチクルR)側と像面(ウェハW)側の両方がテレセントリックで円形の投影視野を有する。投影光学系PLが備える複数の屈折光学素子の硝材は、露光用照明光の波長に応じて、例えば石英又は蛍石が選択される。照明光学系IUから射出される照明光がレチクルRを照明すると、レチクルRを透過した照明光が投影光学系PLに入射し、レチクルに形成されたパターンの部分倒立像が投影光学系PLの像面側の円形視野の中央にスリット状に制限されて結像される。これにより、投影されたパターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置されたウェハW上の複数のショット領域のうち、1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
投影光学系PLの構成について詳細に説明する。図3は、本発明の第1実施形態による露光装置に設けられる投影光学系の概略図である。図3に示すように、投影光学系PLは、光軸AX方向に関奏された複数の分割鏡筒100a〜100lを備えており、フランジ23を介して図1に示した鏡筒定盤25に支持されている。本実施形態では、複数の分割鏡筒100a〜100lのうち、分割鏡筒100b,100d,100e,100f,100gにより支持されているレンズ素子101b,101d,101e,101f,101gは、光軸AX方向(Z方向)に移動可能かつX方向又はY方向を軸として傾斜(チルト)可能な可動レンズ素子となっている。
レンズ素子101b,101d,101e,101f,101gを保持している分割鏡筒100b,100d,100e,100f,100gの構成について、分割鏡筒100bの構成を代表させて説明する。他の分割鏡筒100d,100e,100f,100gの構成については、分割鏡筒100bの構成とほぼ同様であるため、ここでは説明を省略する。
分割鏡筒100bは、分割鏡筒100bの(Z方向)上下に位置する分割鏡筒100a,100cと接続される外側環102bと、レンズ素子101bを保持するレンズ室103bとを備えている。このレンズ室103bは、外側環102bに対して光軸AX方向(Z方向)に移動可能かつX軸に平行な軸又はY軸に平行な軸の周りでチルト可能となるように、外側環102bに連結されている。
また、分割鏡筒100bは、外側環102bに取り付けられたアクチュエータ(駆動源)104bを備えている。このアクチュエータ104bとしては、例えば圧電素子を適用することができる。アクチュエータ104bは、例えば弾性ヒンジから構成される変位拡大機構としてのリンク機構を介してレンズ室103bを駆動する。このアクチュエータ104bは、XY平面内において方位角120°をもって分割鏡筒100bの3箇所に取り付けられており、これにより、レンズ室38の3箇所が独立に光軸AX方向(Z方向)へ移動する。
3つのアクチュエータ104bによるZ方向の駆動量が同じ量である場合は、レンズ室103bは外側環102bに対しZ方向(光軸AX方向)へ平行移動することとなり、3つのアクチュエータ104bによるZ方向の駆動量が異なる量である場合は、レンズ室103bは外側環102bに対しX軸に平行な軸又はY軸に平行な軸の周りで傾くこととなる。3つのアクチュエータ104bによるZ方向の駆動量が異なる量である場合には、レンズ室103bが外側環102bに対しZ方向(光軸AX方向)へ移動することもあり得る。
また、分割鏡筒100bは、外側環102bに取り付けられて、例えば光学式エンコーダからなる駆動量計測部105bを備えている。この駆動量計測部105bは、XY平面内において方位角120°をもって外側環102bに取り付けられており、各々の位置における外側環102bに対するレンズ室103bのZ方向(光軸AX方向)の移動量を計測する。3つの駆動量計測部105bは、3つのアクチュエータ104b各々を分割鏡筒100bの中心周りに60°だけXY面内で回転した位置に配置される。上記の駆動量計測部105bの計測結果を参照しつつアクチュエータ104bを駆動することにより、レンズ室103bの移動、ひいてはレンズ素子101bの移動をクローズドループで制御することができる構成になっている。駆動源としてのアクチュエータ104b,104d,104e,104f,104gによってそれぞれ駆動されるレンズ素子101b,101d,101e,101f,101gを備える分割鏡筒100b,100d,100e,100f,100gは、本発明にいう可動手段の一部に相当する。
また、図3に示した分割鏡筒100a〜100lのうち、分割鏡筒100a,100c,100h,100i,100j,100k,100lにより支持されているレンズ素子101a,101c,101h,101i,101j,101k,101lは、固定レンズとなっている。例えば、分割鏡筒100cは、分割鏡筒100cの(Z方向)上下に位置する分割鏡筒100b,100dと接続される外側環102cと、外側環102cに取り付けられてレンズ素子101cを保持するレンズ室103cとを備えて構成される。本実施形態ではアクチュエータ104bとして圧電素子を用いる場合を例に挙げて説明するが、磁歪アクチュエータや流体圧アクチュエータで構成しても良い。また、上記レンズ素子101a〜101lは単一のレンズ素子から構成されることもあり、複数のレンズ素子を組み合わせたレンズ群からなることもある。
以上の構成の投影光学系PLにおいては、レンズ素子101a,101c,101h,101i,101j,101k,101lの姿勢(光軸AX方向の位置及びXY平面に対する傾斜)を変えることなくレンズ素子101b,101d,101e,101f,101gの姿勢を可変することができる。図示しないレンズコントローラがアクチュエータ104b,104d,104e,104f,104gの駆動量を制御して、これらのレンズ素子の内、1つのレンズ素子の姿勢を調整することにより、又は、複数のレンズ素子の姿勢を互いに関連付けて調整することにより、例えば投影光学系PLで生ずる5つの回転対称収差及び5つの偏心収差を個別に補正することができる。ここでいう5つの回転対称収差とは、倍率、ディストーション(歪曲収差)、コマ収差、像面湾曲収差、及び球面収差をいう。また、5つの偏心収差とは、偏心ディストーション(歪曲収差)、偏心コマ収差、偏心アス収差、及び偏心球面収差をいう。
図1に戻り、投影光学系PLは、リアクションフレーム8の段部8bに防振ユニット24を介してほぼ水平に支持された鋳物等で構成された鏡筒定盤25に、光軸AX方向をZ方向として上方から挿入されるとともに、フランジ23が係合している。防振ユニット24は、鏡筒定盤25の各コーナーに配置され、内圧が調整可能なエアマウント26とボイスコイルモータ27とが段部8b上に直列に配置された構成になっている。図1においては、X方向に配置された防振ユニット24のみを図示しており、Y方向に配置された防振ユニットは図示を省略している。これらの防振ユニット24によって、ベースプレート10及びリアクションフレーム8を介して鏡筒定盤25(ひいては投影光学系PL)に伝わる微振動がマイクロGレベルで絶縁される。
ステージ装置7は、ウェハステージ5、このウェハステージ5をXY平面に沿った2次元方向に移動可能に支持するウェハ定盤6、ウェハステージ5と一体的に設けられウェハWを吸着保持する試料台ST、これらウェハステージ5及び試料台STを相対移動自在に支持するXガイドバーXGを主体に構成されている。ウェハステージ5の底面には、非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)28が固定されており、これらのエアベアリング28によってウェハステージ5がウェハ定盤6上に、例えば数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されている。
ウェハ定盤6は、ベースプレート10の上方に、防振ユニット29を介してほぼ水平に支持されている。防振ユニット29は、ウェハ定盤6の各コーナーに配置され、内圧が調整可能なエアマウント30とボイスコイルモータ31とがベースプレート10上に並列に配置された構成になっている。図1においては、X方向に配置された防振ユニット29のみを図示しており、Y方向に配置された防振ユニットは図示を省略している。これらの防振ユニット29によって、ベースプレート10を介してウェハ定盤6に伝わる微振動がマイクロGレベルで絶縁される。
ウェハステージ5について詳述する。図4は、本発明の第1実施形態による露光装置に設けられるウェハステージの外観斜視図である。図4に示すように、XガイドバーXGは、X方向に沿った長尺形状を呈しており、その長さ方向両端には電機子ユニットからなる可動子36,36がそれぞれ設けられている。これらの可動子36,36に対応する磁石ユニットを有する固定子37,37は、ベースプレート10に突設された支持部32、32に設けられている(図1参照。図1では可動子36及び固定子37を簡略して図示している)。
これらの可動子36及び固定子37によってリニアモータ(駆動源)33,33が構成されており、可動子36が固定子37との間の電磁気的相互作用により駆動されることでXガイドバーXGがY方向に移動し、リニアモータ33,33の駆動を調整することでθZ方向に回転移動する。すなわち、このリニアモータ33によってXガイドバーXGとほぼ一体的にウェハステージ5(及び試料台ST、以下単に試料台STという)がY方向及びθZ方向に駆動される。
また、XガイドバーXGの−X方向側には、Xトリムモータ34の可動子が取り付けられている。Xトリムモータ34は、X方向に推力を発生することでXガイドバーXGのX方向の位置を調整するものであって、その固定子(不図示)はリアクションフレーム8に設けられている。このため、ウェハステージ5をX方向に駆動する際の反力は、リアクションフレーム8を介してベースプレート10に伝達される。
試料台STは、XガイドバーXGとの間にZ方向に所定量のギャップを維持する磁石及びアクチュエータからなる磁気ガイドを介して、XガイドバーXGにX方向に相対移動自在に非接触で支持・保持されている。また、ウェハステージ5は、XガイドバーXGに埋設された固定子を有するXリニアモータ(駆動源)35による電磁気的相互作用によりX方向に駆動される。Xリニアモータの可動子は図示していないが、ウェハステージ5に取り付けられている。試料台STの上面には、ウェハホルダ41を介してウェハWが真空吸着等によって固定される(図1参照。図4では図示略)。駆動源としてのリニアモータ33,33及びXリニアモータ35によって駆動されるウェハステージ5は、本発明にいう可動手段又は制御手段の一部に相当する。
駆動源としての上記リニアモータ33よりもXリニアモータ25の方がウェハステージ5上に載置されるウェハWに近い位置に配置されている。このため、Xリニアモータ35は発熱量が少ないムービングコイル型のリニアモータを用いることが好ましい。また、リニアモータ33は、発熱量の観点からはXリニアモータ35と同様に、ムービングコイル型のリニアモータを用いることが望ましい。しかし、ムービングコイル型のリニアモータは可動子36に冷媒を循環させる必要があるため、装置構成上の不具合がある場合には、可動子36側にマグネットを設けるムービングマグネット型のリニアモータを用いても良い。
ウェハステージ5のX方向の位置は、投影光学系PLの鏡筒下端に固定された参照鏡42(図1参照)を基準として、ウェハステージ5の一部に固定された移動鏡43の位置変化を計測する図1に示したレーザ干渉計44によって所定の分解能、例えば0.5〜1nm程度の分解能でリアルタイムに計測される。上記参照鏡42、移動鏡43、レーザ干渉計44とほぼ直交するように配置された不図示の参照鏡、レーザ干渉計及び移動鏡によってウェハステージ5のY方向の位置が計測される。これらレーザ干渉計の中、少なくとも一方は、測長軸を2軸以上有する多軸干渉計であり、これらレーザ干渉計の計測値に基づいてウェハステージ5(ひいてはウェハW)のX方向の位置及びY方向の位置のみならず、θ回転量及びレベリング量をも求めることができる。
更に、図1に示すように、投影光学系PLのフランジ23には、異なる3カ所に3つのレーザ干渉計45が固定されている(ただし、図1においてはこれらのレーザ干渉計のうち1つを代表して図示している)。各レーザ干渉計45に対向する鏡筒定盤25の部分には、開口25aがそれぞれ形成されており、これらの開口25aを介して各レーザ干渉計45からZ方向のレーザビーム(測長ビーム)がウェハ定盤6に向けて照射される。ウェハ定盤6の上面の各測長ビームの対向位置には、反射面がそれぞれ形成されている。このため、上記3つのレーザ干渉計45によってウェハ定盤6の異なる3点のZ位置がフランジ23を基準としてそれぞれ計測される。
次に、露光装置1に設けられる温度制御系について説明する。図5は、本発明の第1実施形態による露光装置に設けられる温度制御系の構成を示す図である。図5に示した温度制御系は、冷媒を用いて投影光学系PL及びアライメント系ALを制御対象として温度制御・管理する第1制御系61と、冷媒を用いてレチクルステージ2及びウェハステージ5を制御対象として、第1制御系61とは独立して温度制御・管理する第2制御系62とに大別される。これら第1制御系61と第2制御系62とは、それぞれ個別の筐体(不図示)内に配置されている。このように、本実施形態では、発熱量又は温度変化量が所定量以内である投影光学系PL及びアライメント系ALと、発熱量又は温度変化量が所定量よりも大きいレチクルステージ2及びウェハステージ5を個別に制御している。温度調節用の冷媒としては、HFE(ハイドロ・フルオロ・エーテル)やフロリナートを用いることができるが、本実施形態では地球環境保護の観点から、地球温暖化係数が低く、オゾン破壊係数がゼロであるHFEを用いている。
第1制御系61において温度調節が施されたタンク63内の冷媒は、ポンプ64を経た後にアライメント系AL及び投影光学系PLを順次循環する循環系C1と、蒸発器65で冷却される冷却系C2とに分岐される。ポンプ64から吐出された直後の冷媒温度は温度センサ66で検出されてコントローラ67に出力される。循環系C1に関して、投影光学系PLは、鏡筒68の周りを螺旋状に配管されることで冷媒による温度調節範囲が広く設定されている。本実施形態では、図5において、冷媒が鏡筒68の周りを螺旋状に上から下へ循環されるように構成したが、これに限らず下から上へ螺旋状に循環するように構成しても良い。また、この循環系C1では、投影光学系PLを循環する前の冷媒温度を検出する温度センサ69が設けられており、その検出結果はコントローラ67に出力される。温度センサ66及び温度センサ69は本発明にいう検出部の一部に相当する。本実施形態では上述の如く、鏡筒68の周りをほぼ全面に渡って螺旋状に配管することで投影光学系PLの温調を行うが、本発明はこれに限らず、投影光学系PLを保持する部材(フランジ23)の部分に配管させて温調を行う(フランジ温調方式)ようにしても良い。
オフ・アクシス系のアライメント系ALとしては、LSA(Laser Step Alignment)方式、FIA(Field Image Alignment)方式、又はLIA(Laser Interferometric Alignment)方式のアライメントセンサを用いることができる。LSA方式は、He−Ne等のレーザ光をウェハW上のドット列状のアライメントマークに照射し、そのマークにより回折又は散乱された光を用いてマーク位置を検出する方式である。また、FIA方式は、ハロゲンランプ等を光源とする波長帯域幅の広い光で照明し、CCDカメラなどで撮像したアライメントマークの画像データを画像処理してマーク位置を計測する方式である。更に、LIA方式は、ウェハW上の回折格子状のアライメントマークにピッチ方向に対照的に傾斜した2つのコヒーレントビーム(半導体レーザ等)を照射し、発生した2つの回折光を干渉させ、その位相からアライメントマークの位置を計測する方式である。アライメントセンサとしては、例えばWO98/39689に開示されているような方式、即ちウェハ上のアライメントマークに対して、アライメント検出光(He−NeやYAGレーザ光等)を垂直に照射し、マークから発生した同一次数の回折光を検出する方式のものを用いることも可能である。本実施形態においては、上記のうちのFIA方式のアライメントセンサを用いているものとする。
上記の循環系C1ではアライメント系ALの中、アライメント光源に対して冷媒を循環させて温度調節を行っている。循環方式としては、例えば投影光学系PLと同様に、光源を収納する筺体に螺旋状に配管することが可能である。アライメント系ALにおいて、アライメント光源のみならず、アライメント用光学系を収納する筺体に対しても冷媒を循環させて温度調節を実施する構成としてもよい。また、オフ・アクシス系ではなく、投影光学系PLを介してウェハW上のマークを検出するTTR(Through The Reticle)方式やTTL(Through The Lens)方式においても同様に、アライメント光源や筺体に対して冷媒を循環させて温度調節を行うことができる。循環系C1でアライメント系AL及び投影光学系PLを循環した冷媒は、上下2段に連通して仕切られたタンク63の上側チャンバに還流する。
TTR方式及びTTL方式のアライメントセンサは、投影光学系PLを介してウェハWに形成されたアライメントマークの位置を計測するため、投影光学系PLの物体面(レチクル)側において投影光学系PLの開口部に対して進退可能に構成されている。よって、これらのアライメントセンサを備える場合には、アライメントを進退させるためのモータが本発明にいう駆動源に相当し、アライメントセンサが可動手段に相当する。
一方、冷却系C2の冷媒は、蒸発器65で冷却された後にタンク63の上側チャンバに還流する経路C3と、熱交換器70に向かう経路C4とに分岐される。蒸発器65は、気体冷媒を循環させる冷凍機73により冷却されている。冷却された冷媒は、経路C4で熱交換器70で熱交換に使用された後に、タンク63の上側チャンバに還流し改めて冷却される。
タンク63の下側チャンバにはコントローラ67に制御されたヒータ71が配設されている。このコントローラ67は、温度センサ66,69の検出結果に基づいてヒータ71の駆動を制御することで、冷媒を介してアライメント系AL及び投影光学系PLの温度を、例えば23℃±0.01℃に制御(管理)する。詳細は後述するが、コントローラ67は、本発明にいう温度制御系の一部をなし、フィードフォワード制御及びフィードバック制御を行ってアライメント系AL及び投影光学系PLの温度を制御する。
第2制御系62では、熱交換器70で冷却された冷媒は、ポンプ74を経た後に、レチクルステージ2を循環する循環系C5と、ウェハステージ5を循環する循環系C6とに分岐される。第2制御系62における冷媒は、タンク63に還流せずに閉じた系で循環する構成になっている。循環系C5には、ポンプ74の下流の位置にヒータ75が設けられるとともに、レチクルステージ2に循環させる前の冷媒温度及びレチクルステージ2を循環させた後の冷媒温度をそれぞれ検出する温度センサ76a,76bが設けられており、温度センサ76a,76bの検出結果はコントローラ77に出力される。コントローラ77は、温度センサ76a,76bから出力される検出結果を単純平均又は加重平均し、得られた冷媒温度に基づいてヒータ75をフィードバック制御することで、レチクルステージ2の温度を例えば23℃±0.1℃に制御(管理)する。本実施形態では熱交換器70で冷却した冷媒をポンプ74へ循環させるように構成したが、熱交換器70の圧力損失が大きい場合には、ポンプ74を熱交換器70よりも上流に配置し、そして循環系C5,C6の戻り冷媒(各ステージを冷却した後の冷媒)の合流地点をポンプ74よりも上流の位置とするように構成すれば良い。
レチクルステージ2に対する温度制御系についてさらに詳述する。図6は、レチクルステージに対して設けられた温度制御系の概略図である。図6に示すように、循環系C5は、Yリニアモータ15の可動子21,21をそれぞれ循環して温度制御する循環系C7,C7、トリムモータ72,72をそれぞれ循環して温度制御する循環系C8,C8、Yボイスコイルモータ17Yを循環して温度制御する循環系C9、及びXボイスコイルモータ17Xを循環して温度制御する循環系C10からなる複数の分岐流路に分岐される。
各循環系C7〜C10には、各モータの上流に位置して冷媒の流量を調節するバルブ80がそれぞれ設けられている。また、循環系C7の一方には、可動子21の近傍に設けられ、可動子21に循環させる前の冷媒温度を検出する上述した温度センサ76aと、可動子21を循環させた後の冷媒温度を検出する上述した温度センサ76bが設けられている。これらの温度センサ76a,76bは、本発明にいう検出部の一部をなす。本実施形態では、温度センサ76a,76bを代表的に1つの可動子21(図6中の右側の可動子21)に対してのみ設けているが、本発明はこれに限らず温度制御対象となる全ての駆動源に対して温度センサをそれぞれ配置するようにしても良い。
図5に戻り、循環系C6には、ポンプ74の下流の位置にヒータ78が設けられるとともに、ウェハステージ5に循環させる前の冷媒温度及びウェハステージ5を循環させた後の冷媒温度をそれぞれ検出する温度センサ79a,79bが設けられており、温度センサ79a,79bの検出結果はコントローラ77に出力される。温度センサ79a,79bは、本発明にいう検出部の一部をなす。コントローラ77は、温度センサ79a,79bから出力される検出結果を平均又は加重平均し、得られた冷媒温度に基づいてヒータ78をフィードバック制御することで、ウェハステージ5の温度を例えば23℃±0.1℃に制御(管理)する。循環系C5によってレチクルステージ2を循環した冷媒及び循環系C6によってウェハステージ5を循環した冷媒は、それぞれ熱交換器70で冷却された後に合流する。
ウェハステージ5に対する温度制御系についてさらに詳述する。図7は、ウェハステージに対して設けられた温度制御系の概略図である。図7に示すように、循環系C6は、リニアモータ33の可動子36,36をそれぞれ循環して温度制御する循環系C11,C11と、Xリニアモータ35を循環して温度制御する循環系C12とに分岐される。各循環系C11,C12には、各モータの上流に位置して冷媒の流量を調節するバルブ84がそれぞれ設けられている。また、循環系C11の一方には、可動子36に循環させる前の冷媒温度及び可動子36を循環させた後の冷媒温度をそれぞれ検出するための、上述した温度センサ79a,79bが設けられている。このウェハステージ5側に設けられた温度センサに関しても、上記レチクルステージの場合と同様に、温度制御対象となる全ての駆動源に対して温度センサをそれぞれ配置するようにしても良い。
ウェハステージ5(試料台ST)のレベリング調整(及びフォーカス調整)を実施するための3つのボイスコイルモータ81〜83に対しても、循環系C13〜C15がそれぞれ配管されている。各循環系C13〜C15には、ボイスコイルモータの上流に位置して冷媒の流量を調節するバルブ85がそれぞれ設けられるが、ボイスコイルモータ81〜83の駆動頻度がリニアモータ33,35に比較して少なく、また駆動時の発熱量又は温度変化量も小さいことから、これら循環系C13〜C15は第1制御系61の循環系C1を分岐した冷媒にて温度制御される。
再び図5に戻り、主制御系95は、例えばハードディスク装置等の記憶装置96に記憶されている露光データファイルの内容に基づいて、露光装置1の内部に設けられた各部に制御信号(制御指令)を出力して露光装置1全体の動作を制御する。露光データファイルには、ウェハWに設定されたショット数及び使用するレチクルRに関する情報、並びに、ウェハWの露光を行う上で必要となる処理(照度分布の調整処理、アライメント処理、投影光学系PLの光学特性の調整処理、温度制御処理等)及びその処理順(所謂、レシピ)が記憶されている。
主制御系95がレチクルRとウェハWとの相対的な位置合わせ処理(アライメント処理)を行う場合には、上記の露光データファイルの内容に基づいて、アライメント制御信号(第1制御指令)を不図示のステージコントローラ及びアライメント系ALに出力してレチクルステージ2及びウェハステージ5の位置を調整し、レチクルRに形成されたアライメントマーク及びウェハWに形成されたアライメントマークをアライメント系ALで計測してアライメントを行う。
また、レチクルRのパターンをウェハWに転写する場合には、上記の露光データファイルの内容に基づいて、不図示のステージコントローラ及び照明光学系IUに対して露光制御信号(第2制御指令)を出力し、レチクルステージ2及びウェハステージ5を加速させ、各々が予め設定された速度に達したときに照明光学系IUから照明光を射出させ、この照明光でレチクルRの一部が照明された状態で、レチクルステージ2とウェハステージ5とを走査する。
また、露光装置1が動作を行っているときに、予期していなかった状況(異常状態)が生じて露光データファイルに定義してある処理順に処理を進めることができない場合がある。例えば、上記のアライメント処理を行っている最中にウェハWのアライメントマークが計測されず、それ以降の処理を行うことができない場合である。このような異常状態が生じた場合には、主制御系95は露光装置1の各部に対して復帰制御信号(第3制御指令)を出力して異常状態から正常状態に復帰させる処理を行う。この復帰処理としては、例えばレチクルステージ2及びウェハステージ5を予め定めてある原点に移動させ、照明光学系IUから照明光を射出している場合には照明光の射出を停止させる処理を行う。
図5に示すように、主制御系95から出力される制御信号CS1(上述したアライメント制御信号、露光制御信号、及び復帰制御信号を含む)はコントローラ67及びコントローラ77に出力される。これは、コントローラ67,77が主制御系95からの制御信号CS1に応じてフィードフォワード制御により、投影光学系PL及びアライメント系AL、並びに、レチクルステージ2及びウェハステージ5の温度を制御するためである。
本実施形態の露光装置1は、第1制御系61においては、タンク63内に設けられたヒータ71によりアライメント系AL及び投影光学系PLを循環する冷媒の温度を設定し、第2制御系62においては、ヒータ75,78によりレチクルステージ2及びウェハステージ5を循環するそれぞれの冷媒の温度を設定している。アライメント系AL及び投影光学系PL並びにレチクルステージ2及びウェハステージ5の温度を高い精度で一定に保つためには、制御上の無駄時間(例えば、最終的にヒータ75,78で温調された冷媒が、配管(流路)を通ってモータ等の制御対象まで到達して実際に温調するまでに要する時間)が極力短い方がよい。
しかし、露光装置1の構成上、ヒータ71を制御対象たるアライメント系AL及び投影光学系PLの近くに配置し、ヒータ75,78を制御対象たるレチクルステージ2及びウェハステージ5各々のすぐ近くに配置することは困難であり、ある程度の無駄時間が生じてしまう。本実施形態では、後述するように、主制御系95から出力される制御信号CS1に基づいてコントローラ67,77がフィードフォワード制御により各冷媒の温度を設定することにより無駄時間による温度制御の精度悪化を防止している。
第1制御系61に設けられる温度センサ66,69、レチクルステージ2に設けられる温度センサ76a,76b、及びウェハステージ5に設けられる温度センサ79a,79bは、±0.01℃を検出できる精度のものを用いることが好ましい。但し、レチクルステージ2及びウェハステージ5に必要とされる温度制御精度は±0.1℃であるため、温度センサ76a,76b,79a,79bについては、この温度制御精度を実現するために必要な検出能力を有する温度センサを使用することも可能である。また、温度センサによる温度計測のサンプリング周期に関しても、例えば、制御精度が厳しい場合や温度変化量が大きい場合にはサンプリング周期を短くする等、要求される温度制御精度や、制御対象となる投影光学系PL、レチクルステージ2、及びウェハステージ5の温度変化量(発熱量)に応じて変更することが望ましい。
また、本実施形態においては、直接冷媒温度を計測できるように各温度センサを流路(配管)の内部に設置しているが、その他にも、温度センサの検知部が管の壁面から離間した位置(即ち、管内の中央付近に吊り下げ配置される位置)に配置される構成とすることも可能である。かかる配置とすることで、管壁面を介して外部環境の悪影響を受けにくくなるという利点が得られる。また、温度センサは交換可能な構成としてもよい。この構成においては、管に挿入口を設け、この挿入口を介して着脱可能とする構成、又は、溶接等により温度センサを管に固定しておき、温度センサを含む管の一部を交換可能とする構成を採用することができる。更に、管の外表面に温度センサを設置して、管を介して冷媒温度を計測する構成とすることも可能である。
次に、コントローラ67,77の構成について詳細に説明する。図8は、コントローラ77のウェハステージ5の温度を制御する部位の構成を示すブロック図である。レチクルステージ2の温度を制御する部位も同様の構成であるため、図8においては図示を省略している。また、コントローラ67の構成も、図8に示したコントローラ77の構成と同様の構成である。
つまり、図8において、ヒータ78、温度センサ79a、及び温度センサ79bをそれぞれヒータ75、温度センサ76a、及び温度センサ76bと読み替えれば、コントローラ77のレチクルステージ2の温度を制御する部位の構成を説明することができる。また、図8において、コントローラ77、ヒータ78、温度センサ79a、及び温度センサ79bをそれぞれヒータ71、温度センサ66、及び温度センサ69と読み替えればコントローラ67の構成を説明することができる。以下においては、説明を重複を避けるため、コントローラ77のウェハステージ5の温度を制御する部位の構成のみを説明する。図8においては、ウェハステージ5の図示を省略している。
図8に示すように、コントローラ77のウェハステージ5の温度を制御する部位は、目標温度出力部110、演算部111、PID(Proportional Integral Derivative:比例積分微分)コントローラ112、フィードフォワードコントローラ(以下、FFコントローラという)113、加算器114、演算部115、設定部116、及び設定部117を含んで構成される。目標温度出力部110は、ウェハステージ5の目標温度(例えば、23℃)を与える目標温度信号を出力する。演算部51は、目標温度出力部110から出力される目標温度信号SG1と、演算部115から出力される帰還信号SG6との差分に応じた偏差信号SG2を出力する。
PIDコントローラ112は、入力される偏差信号SG2に基づいて、ヒータ78の加熱量を制御するための制御信号SG3を出力する。FFコントローラ113は、主制御系95から出力される制御信号CS1に基づいて、ヒータ78の加熱量を制御するための制御信号SG4を出力して、循環系C5の冷媒の温度、ひいてはウェハステージ5の温度をフィードフォワード制御する。
主制御系95がレチクルRとウェハWとの相対的な位置合わせ処理を行う場合、レチクルステージ2とウェハステージ5とを走査してレチクルRのパターンをウェハWに転写する処理を行う場合、及び復帰処理を行う場合におけるウェハステージ5の単位時間当たりの加減速回数(駆動回数)及び加速度(駆動量)の大きさはそれぞれ異なる。このため、FFコントローラ113は、主制御系95から出力される制御信号SC1から単位時間当たりの加減速回数及び加速度の大きさを算出し、各々の処理毎に制御量を可変した制御信号SG4を出力する。
FFコントローラ113を用いてフィードフォワード制御するのは、高い精度でウェハステージ5の温度を、例えば23℃±0.1℃に制御(管理)するためである。加算器114は、PIDコントローラから出力される制御信号SG3とFFコントローラ113から出力される制御信号SG4とを加算して、制御信号SG5としてヒータ78に出力する。演算部115は、温度センサ79a,79bの検出結果に対して所定の演算処理(例えば、平均処理)を施して、帰還信号SG6として出力する。このように、コントローラ77は、フィードバック制御及びフィードフォワード制御を共に用いて、ウェハステージ5の温度制御を行っている。
設定部116,117は、FFコントローラ113における制御量及びPIDコントローラ112における制御量をそれぞれ設定するものである。本実施形態においては、前述したように制御上の無駄時間による温度制御の精度悪化を防止するために、コントローラ77がFFコントローラ113を備えてフィードフォワード制御を積極的に行っている訳であるが、図5に示したヒータ78から制御対象たるウェハステージ5までの配管長が露光装置1の設置環境に応じて変化することがある。
フィードフォワード制御を行う場合において、適切な制御量は配管長に応じて変化する。また、最適な制御量は配管中を流れる冷媒の流速及び流量に応じても変化する。これは、PIDコントローラ113の制御量についても同様である。露光装置1の設置時に配管が終了した後で、実際に露光装置1を動作させるとともに、冷媒を流した状態で試行錯誤しながら上記の制御量を設定することも可能であるが、最適な制御量を求めるために手間及び長時間を要する。このため、本実施形態においては、ヒータ78からウェハステージ5までの配管長や配管径並びに配管中を流れる冷媒の流量や流速を入力するだけで設定部116,117がFFコントローラ113及びPIDコントローラ112の最適な制御量をそれぞれ算出して設定するようにしている。配管中を流れる流体の流速は、その流体の流量と配管径とに基づき算出可能であるので、本実施形態においては、入力されるパラメータの組としては、流速を入力する場合には配管長とセットで入力パラメータとし、流量を入力する場合には配管径と配管長とをセットで入力パラメータとするようにしている。
図5中において、入力装置97は、本発明にいう入力手段に相当し、例えば操作パネル又はキーボード等から構成され、露光装置1の設置時において作業者により操作されてヒータ78からウェハステージ5までの配管長(流体が最終的に温度制御される場所から制御対象に到達するまでの流体の経路長)並びに管中を流れる冷媒の流量及び流速に関する情報が入力される。入力装置97から入力されたこれらの情報は、主制御系95を介してコントローラ77の設定部(設定手段)116に入力される。
図9は、設定部116の内部構成の概略を示す図である。設定部117の内部構成も、設定部116の内部構成と同様の構成であるため、設定部117については必要な説明以外の説明は省略する。図9に示すように、設定部116は記憶部120及び算出部121を含んで構成される。記憶部120は、上記配管長及び配管径を所定の長さ(基準配管長)及び所定の径(基準配管径)に設定するとともに、冷媒の流量及び流速を所定の値(基準流量及び基準流速)に設定した状態におけるFFコントローラ113の基準制御量(基準制御特性)を記憶する。
算出部121は、記憶部120に記憶されている基準制御量と、入力装置97から入力される配管長等の情報とに基づいて、FFコントローラ113に設定すべき最適な制御量(制御特性)を算出する。算出部121が算出する最適な制御量には、循環系C5を循環する冷媒の温度を制御するタイミング及び制御量の絶対値(制御定数)を含む。また、設定部117に設けられる算出部は、PID制御を行う上での制御タイミング並びにP(比例)制御、I(積分)制御、及びD(微分)制御各々の制御定数の最適値を算出する。
簡単な具体例を挙げると、循環系C5を循環する冷媒の流量及び流速が上記の基準流量及び基準流速とそれぞれ同一であり、配管長が上記の基準配管長の2倍である場合には、FFコントローラ113がフィードフォワード制御するタイミングは、配管長が基準配管長である場合におけるタイミングの2倍分遅延する。よって、算出部121は入力された配管長が基準配管長と異なる場合には、入力された配管長に応じて基準制御量を線形補間して最適なフィードフォワード制御のタイミングを算出する。
算出部121が最適な制御量を算出するにあたっては、上記のような線形補間以外に、最小自乗法による近似、更にはより複雑な任意の近似法又は補間法を用いても良い。設定部116は、算出部121で算出された制御量(制御特性)をFFコントローラ113に設定する。かかる構成により、露光装置1の設置時の調整に要する時間を大幅に短縮することができ、コストの低減を図ることができるとともに、露光装置の性能を安定して所期の性能に保つことができ、その結果としてデバイスの製造効率を向上させることができる。
本実施形態では、フィードフォワード制御の制御量やPID制御の制御量を、上述の如く基準制御量を用いて算出により求めるように構成しているが、各制御量と複数の設定条件(配管長又は流量、流速)との対応関係を、設定条件を細分化させて予めシミュレーションや実験等で求めておいて記憶したテーブルを具備しておき、そのテーブルに基づいて設定された条件に最適の制御量を選択したり、或いは補間演算したりするようにしても良い。
以上、本発明の第1実施形態による露光装置の構成について説明したが、次に本露光装置の露光時の動作について説明する。露光動作は、主制御系95が図5に示した記憶装置96に記憶されている露光データファイルから露光に関するデータを読み出し、不図示のステージコントローラ及び照明光学系IUに対して露光制御信号(第2制御指令)を出力することにより開始される。露光動作が開始されると、不図示のステージコントローラがレチクルステージ2及びウェハステージ5を加速させ、レチクルステージ2及びウェハステージ5が所定の速度に達したときに照明光学系IUが照明光を射出し、レチクルR上の所定の矩形状の照明領域を均一な照度で照明する。
この照明領域に対してレチクルRがY方向に走査されるのに同期して、この照明領域と投影光学系PLに関して光学的に共役な露光領域に対してウェハWを走査する。これにより、レチクルRのパターン領域を透過した照明光が投影光学系PLにより1/α倍に縮小され、レジストが塗布されたウェハW上にパターンの縮小像が投影される。ウェハW上の露光領域には、レチクルRのパターンが逐次転写され、1回の走査でレチクルR上のパターン領域の全面がウェハW上のショット領域に転写される。
レチクル粗動ステージ16が、例えば+Y方向に移動した場合には固定子20が−Y方向に移動することで、運動量が保存され、レチクル粗動ステージ16の移動に伴う反力を相殺するとともに、重心位置の変化を防ぐことができる。また、このときトリムモータ72が作動することで、移動子21と固定子20とのカップリングに抗して、固定子20を所定の位置に到達させることができる。
これらの一連の露光処理に関しては、照明光により投影光学系PLに熱が生じ(投影光学系PLでの熱吸収)、アライメント光によりアライメント系ALに熱が生じる(アライメント系ALの光学系での熱吸収)とともに、レチクルステージ2及びウェハステージ5の駆動に伴って各モータから熱が生じる。第1制御系61については、コントローラ67が主制御系95から出力される制御信号SC1に基づいてフィードフォワード制御するとともに、温度センサ66,69の検出結果に基づいてフィードバック制御してヒータ71の駆動を制御することで、投影光学系PL及びアライメント系ALを±0.01℃の範囲で温度制御する。また、第2制御系62については、コントローラ77が露光制御信号に基づいてフィードフォワード制御するとともに、温度センサ76a,76b,79a,79bの検出結果に基づいてフィードバック制御してヒータ75,78の駆動を制御することで、レチクルステージ2及びウェハステージ5を±0.1℃の範囲でそれぞれ温度制御する。
レチクルステージ2に関して、コントローラ77は、温度センサ76a,76bが検出した冷媒温度を単純平均し、得られた冷媒温度に基づいてヒータ75の駆動を調節、管理する。同様に、ウェハステージ5に関して、コントローラ77は、温度センサ79a,79bが検出した冷媒温度を単純平均し、得られた冷媒温度に基づいてヒータ78の駆動を調節、管理する。ここで一例として、コントローラ77により調節、管理された冷媒温度について説明する。図10Aおよび図10Bは、ウェハステージ5を循環する冷媒の温度変化の一例を模式的に示す図であり、図10Aはフィードフォワード制御及びフィードバック制御によりヒータ78を駆動したときの温度変化を示しており、図10Bはフィードバック制御のみによってヒータ78を駆動した時の温度変化を示している。
図10A及び図10Bにおいて、符号D11,D21を付した曲線は、ウェハステージ5を循環した後の冷媒の温度を検出する温度センサ79bの検出結果を示しており、符号D12,D22を付した曲線は、ウェハステージ5を循環する前の冷媒の温度を検出する温度センサ79aの検出結果を示している。また、符号D10,D20を付した曲線は、温度センサ79aの検出結果と温度センサ79bの検出結果とを平均した値を示している。また、図10A及び図10B中の時刻t1はウェハステージ2に設けられているモータ(リニアモータ33、Xリニアモータ35)を駆動した時刻であり、時刻t2はモータの駆動を停止した時間である。時刻t1〜時刻t2の期間は、例えば1ロット(所定枚数、例えば1ロット25枚)のウェハWを露光するのに要する程度の時間間隔である。
まず、フィードバック制御のみによって温度制御を行う従来の方法においては、図10Bに示すように、時刻t1でモータを駆動してから時刻t11までの間は、ウェハステージ5を循環した後の冷媒の温度を検出する温度センサ79bの検出結果D21が上昇し始めているにもかかわらず、温度センサ79aの温度D22は殆ど変化していない。これは、コントローラ77が温度センサ79bの検出結果に基づいてフィードバック制御によりヒータ78を駆動しても、冷媒が図5中のヒータ78からウェハステージ5までに達するまでに時間を要し、所謂制御上の無駄時間が生じているからである。
従って、時刻t1から時刻t11までの間は、温度センサ79aの検出結果と温度センサ79bの検出結果との平均値D20は上昇し続け、時刻t11を経過してからようやく下降を開始する。このため、平均値D20は目標とする温度(図10に示した例では23℃)からのずれが大きくなり、温度制御上好ましくない。この状況は、モータの動作を停止させた時刻t2付近でも同様に生ずる。モータの動作を停止させた場合には、モータの発熱量が低下しているにも拘わらず、ウェハステージ5を循環する前の冷媒が低いままであるため、逆に平均値D20が目標とする温度よりも低下してしまう。
これに対して、フィードフォワード制御及びフィードバック制御により温度制御を行う本実施形態においては、主制御系95から出力される制御信号SC1に基づいてフィードフォワード制御を行っている。図11は、フィードフォワード制御の一例を模式的に示す図である。図11において、符号FFCはコントローラ77によって行われるフィードフォワード要素(本実施形態においては、ヒータの出力を変化させるための要素)を示している。
また、図11におけるH1は、フィードバック制御を行った場合(フィードフォワード制御を用いない場合)におけるヒータの出力を示しており、H2はフィードフォワード要素FFCを出力H1に加えた場合におけるヒータの出力(フィードフォワード制御を用いた場合のヒータの出力)を示している。図11に示したように、出力H1は制御信号SC1がONに切り替わってからヒータ出力を下げるよう制御するまでに遅れが生じている。
これに対してフィードフォワード制御を行う場合には、図11に示すように、制御信号SC1により、モータのON(動作状態)、OFF(非動作状態)が切り替わる時点においてフィードフォワード要素FFCを変化させている。つまり、モータの動作を開始させる時刻t1付近においては、冷媒の温度を急激に低下させるフィードフォワード制御を行い、逆に、モータの動作を停止させる時刻t2付近においては、冷媒の温度を急激に上昇させるフィードフォワード制御を行っている。このため、ヒータの出力H2は制御信号SC1のON、OFFと同期して立ち下がり、立ち上がりを見せている。
以上のフィードフォワード制御を行うことにより、図10Aに示すように、ウェハステージ5を循環した後の冷媒の温度を検出する温度センサ79bの検出結果D11の上昇に併せてウェハステージ5を循環する前の冷媒の温度を検出する温度センサ79aの検出結果が下降している。また、モータの動作を停止させた時刻t2においても、温度センサ79bの検出結果D11の下降に合わせて、温度センサ79aの検出結果が上昇している。この結果として、温度センサ79aの検出結果と温度センサ79bの検出結果との平均値D10は目標とする温度からのずれ量が僅かとなり、高い精度で温度制御を実践できていることが分かる。時刻t1付近と時刻t2付近との間の区間(図11において、符号FBを付して示す区間)においては、フィードバック制御を行っている。
以上、露光処理を行う場合の露光装置の動作について説明したが、レチクルRとウェハWとの相対的な位置合わせ、即ちアライメント処理を行う場合には、主制御系95から出力される制御信号CS1(アライメント制御信号)に基づいて、コントローラ67がフィードフォワード制御及びフィードバック制御によりヒータ71の駆動を制御してアライメント系ALの温度を一定に保つ。これにより、アライメント系ALに設けられる光源の発熱による温度変化又は投影光学系PLの物体面側における開口部に対するアライメントセンサの進退に伴う温度変化を抑えることができる。
また、図3に示した投影光学系PLのベストフォーカス位置、収差等の光学特性の調整を行う場合には、主制御系95から不図示のレンズコントローラへ制御信号が出力されて、レンズコントローラがアクチュエータ104b,104d,104e,104f,104gの駆動量を制御して、レンズ素子101b,101d,101e,101f,101gの姿勢を調整する。主制御系95から不図示のレンズコントローラへ出力される制御信号は、コントローラ67にも出力されており、コントローラ67はこの制御信号に基づいてフィードフォワード制御及びフィードバック制御によりヒータ71の駆動を制御して、投影光学系PLの温度を一定に保つ。これにより、アクチュエータ104b,104d,104e,104f,104gの駆動で生ずる発熱に起因する投影光学系PLの温度変化を抑えることができる。
更に、露光装置1が動作を行っている最中に異常状態が生じた場合には、主制御系95は、露光装置1の各部に対して復帰制御信号を出力して異常状態から正常状態に復帰される処理を行う。この復帰処理を行う場合にも、レチクルステージ2及びウェハステージ5等の露光装置1内部に設けられた可動部材が駆動されるため、コントローラ67,77が復帰制御信号に基づいてフィードフォワード制御によりヒータ71及びヒータ75,78の駆動をそれぞれ制御して露光装置1内の温度変化を抑える制御を行う。
以上の露光処理、アライメント処理、投影光学系PLの温度制御処理、及び復帰処理を行う場合には、レチクルステージ2、ウェハステージ5、レンズ素子101b,101d,101e,101f,101g等の露光装置1内に設けられた可動部材の発熱量が各処理に応じてそれぞれ異なる。特に、レチクルステージ2及びウェハステージ5については、各々の処理毎にモータの駆動量及び駆動回数が全く異なり、発熱量が各処理毎で大きく相違する。例えば、露光処理の場合には、短ステップで加速、減速が繰り返され、スループット向上のために加速度の最大値も大きな値に設定されるが、アライメント処理においてはレチクルステージ2及びウェハステージ5の相対位置を大まかに合わせるときに1回(多くとも数回)加速及び減速が行われるだけであり、最大加速度もさほど大きな値には設定されない。
このため、主制御系95から出力される制御信号の種類(内容)に応じて予め定めたフィードフォワードの制御量及びフィードバック制御の制御量を示す制御テーブルがFFコントローラ113及びPIDコントローラ112にそれぞれ記憶されており、コントローラ67,77は、制御信号の種類に応じて制御テーブルの制御量を選択し、フィードフォワード制御の制御量及びフィードバック制御の制御量を可変しつつヒータ71及びヒータ75,78の駆動をそれぞれ制御している。
以上、本発明の露光装置の動作について説明したが、次にコントローラ67,77に設けられるPIDコントローラ112、FFコントローラ113の制御定数及び制御タイミングの設定方法について簡単に説明する。これらの設定は、露光装置1の各構成要素を含む各種サブシステムを組み立て、更にこれらの各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように組み立てて、図1に示す露光装置1とした後(露光装置1を設置した後)に行われる総合調整の一環として行われる。
これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。露光装置の組み立ては温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路及び温度制御系の配管接続等が含まれている。温度制御系に着目すると、温度制御系の配管は露光装置1の設置状況に応じて変化する。このため、露光装置1の組み立て(設置)が終了した後で、作業者は図5に示した入力装置97を操作して、ヒータ75からレチクルステージ2までの配管長及びヒータ78からウェハステージ5までの配管長、並びに、各管中を流れる冷媒の流量及び流速に関する情報を入力する(入力工程)。第1循環系C1については、露光装置1の内部に設けられるため、冷媒の循環経路長が変化することは無いが、併せてこの循環経路長を入力するようにしても良い。
入力装置97から配管長並びに冷媒の流量及び流速に関する情報が入力されると、この情報は主制御系95からコントローラ67,77へ出力される。これらの情報はコントローラ67,77に設けられている設定部116,117(図8参照)へ入力され、設定部116,117内の算出部121(図9参照)において、記憶部120に記憶されている基準制御量と、入力された配管長等の情報とに基づいて、FFコントローラ113及びPIDコントローラ12に設定すべき最適な制御量(制御特性)がそれぞれ算出される。設定部116,117は算出部121によって算出された最適な制御量をFFコントローラ113及びPIDコントローラ112に対してそれぞれ設定する(設定工程)。
次に、本発明の実施形態の露光装置及び露光方法を使用したデバイスの製造について説明する。図12は、本発明の実施形態による露光装置及び露光方法を用いてデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)を製造する工程の一例を示すフローチャートである。図12に示すように、まず、ステップS10(設計ステップ)において、デバイスの機能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS11(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップS12(ウェハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウェハを製造する。
次に、ステップS13(ウェハプロセスステップ)において、ステップS10〜ステップS12で用意したマスクとウェハを使用して、リソグラフィ技術によってウェハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS14(組立ステップ)において、ステップS13において処理されたウェハを用いてチップ化する。このステップS14には、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程が含まれる。最後に、ステップS15(検査ステップ)において、ステップS15で作製されたデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
以上説明したように、本発明の第1実施形態による露光装置によれば、第1制御系61及び第2制御系61において、フィードバック制御とともにフィードフォワード制御により、レチクルステージ2、ウェハステージ5、及び投影光学系PLに設けられるアクチュエータ104b,104d,104e,104f,104g等の可動部材の駆動に伴って変動する温度を制御しているため、制御上の遅延時間が生じていたとしても、高い精度で温度を制御することができる。よって、露光装置1内部の温度が目標とする温度に保たれる結果、ベースラインドリフトによる位置合わせ重ね合わせ精度の低下、解像力の低下、及びステージの位置決め精度の低下が生じず、露光装置の性能を安定して所期の性能に保つことができ、デバイスの製造効率を向上させることができる。
上記実施形態では、冷媒が流れる配管に関する配管情報(配管長や配管径)及びその配管内を流れる冷媒に関する流体情報(流量や流速)に基づいて、フィードフォワード制御の制御量や制御タイミング、及びPID制御の制御定数や制御タイミングを算出したり、或いは上記各制御量と上記各情報との対応関係を記憶したテーブルを用いて適宜選択或いは補間演算して求めるようにしているが、本発明におけるフィードフォワード制御、PID制御の制御量、制御定数、制御タイミングは上記した情報以外の情報に基づいて設定するようにしても良い。
以下に、上記制御量、制御定数、制御タイミングを、上記情報以外の情報に基づいて設定する方法について述べる。
一般的な露光装置においては、基板(シリコンウェハやガラスプレート等の感光基板)上に、マスク上に形成された回路パターン(デバイスパターン)を転写露光するにあたっての手順やデバイス情報(パターン情報)を示すプログラム(プロセスプログラム)に従って、露光条件(照明条件や露光量など)を制御したり、露光を行うタイミングを制御したり、マスクステージや基板ステージの移動(移動量、移動方向、ステージ速度、ステージ加速度、移動回数、移動タイミング等)を制御したりしながら、その回路パターンを基板上に順次転写していく。通常このプロセスプログラムは、使用者によって適宜所望の内容に設定されるものである。
このプロセスプログラムの中には、基板上に転写される複数のショット領域の基板上での配列状態や、基板上に転写されるショット領域の形状や大きさ(サイズ)や、1枚の基板上に転写されるショット数等の露光ショット領域に関する情報(ここでは「ショットマップ情報」と称す)も含まれている。通常は、ショットサイズが小さければ小さいほど、1枚の基板上に転写されるショット数は多くなる。このためショットサイズが小さいほど(換言すればショット数が多いほど)基板ステージやマスクステージの移動回数も多くなり、そのステージを駆動するモーターの加減速回数が多くなるため、必然的にそのモーターからの発熱量も大きくなる。逆に、ショットサイズが大きいほど(ショット数が少ないほど)ステージ駆動用モーターの加減速回数が減るのでそのモーターからの発熱量も少なくなる傾向になる。このため、設定部116、117は、このようなショットマップ情報をも用いてFFコントローラ113やPIDコントローラ112の最適な制御量を算出するようにしておくのが望ましい。
例えば上記実施形態(図11)で説明したフィードフォワード要素FFCを、上記の配管情報や流体情報のみでなく、上記ショットマップ情報をも鑑みて制御することが望ましい。具体的には、ショット数が多ければFFCの変化量(制御量)を所定量以上とし、ショット数が少なければFFCの変化量を所定量よりも小さくするように、FFCの制御量を、ショットマップ情報(ショット数やショットサイズ)の関数として算出するようにすれば良い。またこの際に関数として算出する方式に限らず、実験又はシミュレーション等で求めておいた、ショットマップ情報(ショット数等)とFFCの変化量との間の関係を示すテーブルを予め用意しておき(記憶装置96に記憶させておき)、露光装置の使用時に、ショット数に応じたFFCの制御量を選択使用するようにしても良い。更に、FFCの制御量のみでなく、制御タイミングをもショットマップ情報の関数として設定するように(例えばショット数が所定数よりも多ければヒーター出力H2の制御タイミングを、ショット数が所定数よりも少ない場合の制御タイミングよりも早めるなど)しても良い。
またスキャン露光装置においては、各ショットをスキャン露光する際のステージスキャン方向(ウェハステージの移動方向)を各ショットで同一方向とする(「一方向スキャン方式」と称す)か、或いはほぼショット毎に(一部のショットでは前のショット露光時のスキャン方向と同一方向とする場合もある)スキャン方向を逆方向にする(「交互スキャン方式」と称す)か、或いは完全にショット毎にスキャン方向を逆方向にする(「完全交互スキャン方式」と称す)かを選択できるものがある。これらスキャン露光時のスキャン方向情報は、プロセスプログラムの中の露光シーケンス情報として露光装置の使用者が任意に設定できる。マスクステージのスキャン方向も、ウェハステージのスキャン方向に応じて適宜適正な方向に設定されるものとなっている。
交互スキャン方式や完全交互スキャン方式では、例えば、第1ショットでは図1及び図2の紙面手前から奥(−Y方向)へスキャンし、第2ショットでは図1及び図2の紙面奥から手前(+Y方向)へスキャンし、第3ショットでは−Y方向へスキャンする、というように1つのショットを露光する際にステージスキャンは1度だけ行われる構成である。これに対して一方向スキャン方式の場合は、第1ショットも第2ショットも第3ショットも所定スキャン方向(例えば−Y方向)への一方向スキャン時に露光を行うものであるため、第1ショットのスキャン露光が終わると、第2ショットのスキャン露光を行うためにステージは復帰移動(+Y方向へのステージ移動であって、この時には第2ショットの露光は行われない)を行う必要がある。一方向スキャン方式では、この復帰移動の回数だけ、交互スキャン方式や完全交互スキャン方式よりもステージ移動回数(モータ加減速回数)が増大することになり、このためモーターの発熱量もその分だけ増大することになる。一方向スキャン方式では、ウェハステージ5に限らず、レチクルステージ2や、不図示ではあるが公知のレチクルブラインド(同期ブラインド)に関しても上述したような復帰移動が必要となるため、一方向スキャン方式は露光装置全体として発熱量が増加する傾向になる。
このため、設定部116、117は、上記したような露光シーケンス情報(スキャン方式情報)をも用いて、FFコントローラ113やPIDコントローラ112の最適な制御量を算出するようにしておくのが望ましい。
例えば図11で説明したフィードフォワード要素FFCを、露光シーケンス情報(スキャン方式情報)をも鑑みて制御することが望ましい。具体的には、一方向スキャン方式が設定された場合にはFFCの変化量(制御量)を所定量以上に設定し、交互スキャン方式や完全交互スキャン方式が設定された場合にはFFCの変化量を所定量よりも小さくするように、FFCの制御量を、露光シーケンス情報(スキャン方式情報)の関数として算出するようにすれば良い。またスキャン方式とFFC制御量との間の関係を示すテーブルを予め用意しておき、設定されたスキャン方式に合わせてFFC制御量を選択するようにしても良い。またFFCの制御量のみでなく、制御タイミングをも露光シーケンス情報の関数として設定するように(例えば一方向スキャン方式の場合にはヒーター出力H2の制御タイミングを、交互スキャン方式の場合の制御タイミングよりも早めるなど)しても良い。
また使用者が任意に設定できる情報として、スキャン露光時のステージ(ウェハステージ、マスクステージ)の速度、加速度に関する情報がある。使用者によっては、スループットよりもパターンの焼き付け精度に重点をおきたいという要望があり、その場合にはステージを最高速度や最高加速度でスキャン駆動せずに一定の制限(上限値、下限値)をかけてスキャン駆動を行うように露光装置の動作制御が設定される。特に加速度が大きくなったり、加速時間が長くなると、それに伴ってステージやボディに生じる振動が大きくなる傾向にあるため、使用者はステージ加速度に制限を設ける場合がある。ステージを駆動するモーターは、加速度が大きくなるほど発熱量が増大する傾向にある。
このため、設定部116、117は、上記したようなステージ速度/加速度情報(加速時間も含む)をも用いて、FFコントローラ113やPIDコントローラ112の最適な制御量を算出するようにしておくのが望ましい。
例えば図11で説明したフィードフォワード要素FFCを、ステージ速度/加速度情報をも鑑みて制御することが望ましい。具体的には、ステージ速度/加速度が所定の速度/加速度以上に設定された場合(例えばそのステージの持つ駆動能力上の最大加速度に設定された場合)にはFFCの変化量(制御量)を所定量よりも大きくし、ステージ速度/加速度が所定の速度/加速度よりも小さく設定された場合にはFFCの変化量を所定量よりも小さくするように、FFCの制御量を、ステージ速度/加速度情報の関数として算出するようにすれば良い。関数として算出するのみでなく、ステージ速度/加速度情報とFFC制御量との間の関係を示すテーブルを予め用意しておき、速度/加速度情報に応じて最適なFFC制御量を、そのテーブルから適宜選択するようにしても良い。更にFFCの制御量のみでなく、制御タイミングをもステージ速度/加速度情報の関数として設定するように(例えば加速度が所定加速度よりも大きく設定された場合には、ヒーター出力H2の制御タイミングを、加速度が所定加速度よりも小さく設定された場合の制御タイミングよりも早めるなど)しても良い。
ステージ速度/加速度情報としては、速度値、加速度値そのものの値ばかりでなく、モータへ印加される電流や電圧に関する情報であっても良い。
上述したプロセスプログラムに関する情報(ショットマップ情報、露光シーケンス情報、ステージ速度/加速度情報)は、図5に示した記憶装置96に記憶されている露光データファイルに予め複数種類のデータを組み込んでおき、入力装置97で使用者が適宜選択できるようにしておいても良いし、或いは使用者が入力装置97から新規の露光データファイルとして適宜入力できるようにしておいても良い。
ところで上記実施形態(図11)の説明では、便宜上、モーターのONとOFFが切り替わる時点(t1、t2)においてそれぞれフィードフォワード要素FFCを変化させるように説明している。通常一枚のウェハ上には数十〜数百ショットの露光領域があり、各ショットのスキャン露光の都度に、及び各ショットへの移行動作(ステッピング動作)の都度にステージ駆動モータのON、OFFや加速、減速が何度も繰り返されるものである。
しかし実際の運用上では、一枚のウェハの露光処理の間に何度も(モータのON、OFFや加減速の度に)フィードフォワード制御を行うケースは少ないと考えられる。既述したようにフィードフォワード制御は、制御上の無駄時間(遅れ時間)や時定数によりフィードバック制御(通常はPID制御)の応答が間に合わない場合(タイミング)に適用するものであるため、むしろ温度安定性の面から言えば、限られた時間内(ウェハを一枚を処理する間、または複数枚を連続的に処理する間)においては、発熱条件が大きく変化した時のみに(例えば最初のモータ起動時と、最後のモータ停止時のみに)フィードフォワード制御を行うことが望ましい。換言すれば、モータのON/OFFに連動して随時フィードフォワード(FF)制御を行うのでは無く、露光シーケンスなどの条件によってはモータのON/OFFに連動したFF制御を「行わない」モータ温度制御を行うことが望ましい。
通常の露光工程においては、所定の複数枚数(例えば25枚)の基板を1ロットとし、ロット単位でそのロット内の複数枚の基板を連続的に露光処理(パターン転写露光処理)する。このように1ロット内の複数枚のウェハを、上記実施形態で示した露光装置を用いて連続的に露光処理する際の、ステージ駆動モーターの温度制御は、ロット先頭ウェハの第1ショットの露光開始(ステージのスキャン駆動開始)を図11に示した時刻t1とみなし、且つロット最終ウェハの最終ショットの露光終了(ステージのスキャン駆動終了)を図11の時刻t2とみなした制御とすることが望ましい。つまりロット先頭ウェハの最初のショットに対するステージスキャン開始時(スキャン露光開始のためのステージモータ起動時)に冷媒の温度を急激に低下させるフィードフォワード制御(FF制御)を行い、それ以降(ロット最終ウェハの最終ショットに対するステージスキャン停止前まで)はフィードバック制御(FB制御)を行い、ロット最終ウェハの最終ショットに対するステージスキャン停止時(スキャン露光終了に伴うステージモータ停止時)に冷媒の温度を急激に上昇させるフィードフォワード(FF)制御を行うようにすれば良い。この際にフィードフォワード(FF)制御を行うためのコマンドは、配管長に応じた制御上の無駄時間や熱時定数などを考慮して、FF制御された冷媒が上記t1又はt2の時点で、モータへ到達するようなタイミングで出されることが最も望ましいが、t1.t2よりも若干遅れた時点で到達するようなタイミングであっても本発明は有効である。
上述のような制御は、ロット内だけの制御に限定されるものではなく、複数ロットにまたがってウェハを連続露光処理する場合にも同様に適用することができる。例えば最適な露光条件(最適なレジスト厚や、最適なフォーカス位置や、最適な露光量など)を決定する際に、少数ウェハを1ロットとして、複数のロットを連続的に露光処理する場合(ロット間の休止時間が短時間である場合)がある。このような少数ウェハをもつロットを第1ロットから第3ロットまで連続的に処理するような場合には、第1ロットの先頭ウェハの第1ショットのスキャン露光開始時と、第3ロットの最終ウェハの最終ショットのスキャン露光停止時に、上述したFF制御を行い、その間はFB制御を行うようにすれば良い。
以上で述べたことは換言すれば、モータが停止されてから次にモータが起動されるまでの期間がある所定時間内(例えば10分未満)であれば、FF制御をかけずにモータ温度制御を行うというものである。このような制御を実現するためには、モータ駆動が停止してから計時を開始するタイマー(図5に示したモータ駆動状態センサ98)を設けておき、次にモータが起動されるまでの期間をそのタイマー98の出力から認識し、所定時間内であればFF制御をかけないように主制御系95で動作制御するように構成すれば良い。次にモータが起動されるまでにタイマー98によって測定された時間が前述の所定時間内であった場合には、モータの温度をフィードバック(FB)制御で制御するように構成すれば良い。
このように、主制御系95は、モータ駆動状態センサ(タイマー)98の出力に応じて、FF制御を行うか否かを判別して、モータの温度制御を行うようにすることが望ましい。
上記では、FF制御をかけるタイミングとして、ロット先頭ウェハの第1ショットに対するステージスキャン開始時、及び最終ウェハの最終ショットのステージスキャン停止時を挙げている。しかしウェハステージ5に関して言えば、ウェハがステージ5上に載置されてからのステージ駆動モータの最初の起動タイミングは、ステージ5が不図示のウェハ交換位置からウェハ上の第1ショットを露光位置(投影レンズの露光フィールド内)へ位置決めする際の位置決め動作時である。通常は、この位置決め動作直後に、第1ショットに対するステージスキャンが開始されるため、位置決め動作時におけるステージ駆動モータの発熱が露光中のステージ温度に影響を与えることも考えられる。よってウェハステージ5が第1ショットに対するステージスキャンを開始するよりも前の時点でFF制御(冷媒の温度を急激に低下させる制御)を行うようにしておいても良い。例えばウェハステージ5が、ロット先頭ウェハの第1ショットを露光位置へ位置決めする際に(例えばウェハステージがウェハ交換位置から第1ショット露光位置へ移動する時のモータ起動時に)FF制御を行うようにし、第1ショットのステージスキャン時はFB制御を行うようにしておいても良い。また冷媒の温度を急激に上昇させるFF制御を、最終ウェハの最終ショットに対するステージスキャン停止後よりも後の時点(例えばウェハステージ5がウェハ交換位置へ移動するためのステージ駆動モーターの駆動を終了する時点又は直後)で行うようにしても良い。
次に、タイマー98で所定時間以上のモータ停止期間を計時した場合にどのようにモータの温度制御を行うかについて、以下に例を挙げながら述べる。
コータ/デベロッパ装置(C/D装置)と露光装置とがインライン接続された露光システムでは、C/D装置でレジストをコーティングされたウェハが順次露光装置側へ搬送されて露光処理が行われ、その露光処理後に再びC/D装置へウェハは搬送されて現像処理が行われるというループを辿る。レジスト塗布されたウェハが露光装置へ滞り無く順次搬送されている状態(正常搬送状態)下においては、ロット内のウェハ連続露光処理中におけるステージ駆動モータの温度制御は上述したような制御(ロット先頭ウェハの最初のショットと、ロット最終ウェハの最終ショットのみFF制御)を行えば良い。しかしC/Dから露光装置へのウェハ搬送状態がいつも正常搬送状態にあるとは限らない。C/D装置側における何からのトラブルで、次のウェハが露光装置へ搬送されない状況に陥る場合がある。このウェハの搬送異常はC/D装置と露光装置との間の搬送過程に限られるものでは無く、露光装置内部でのウェハステージまでの搬送過程においても起こりうるものである。このように何らかのトラブルでウェハが連続的にウェハステージに搬送されず、結果としてウェハの連続的な露光処理が実行できなくなると、ウェハ、レチクルステージは共に静止した状態(モータが静止した状態)が長くなることになり、所定温度に温度管理されていたモータ温度も次第に低下していくことになる。このような搬送異常がロット内の途中で生じ、その後その搬送異常が解消されて残りのウェハのウェハステージへの搬送が再開されて露光処理を再開したような場合には、その露光再開時の最初のウェハの最初のショットに対してはFB制御では無く、FF制御を行うようにするのが望ましい。
このようなモータ温度制御を実現するには、ウェハの搬送異常に伴ってステージ駆動モータがその駆動を停止した時点から計時を開始するタイマー(上記タイマー98と兼用しても良いし、あるいは別に設けても良い)を露光装置に設けておき、ステージ駆動モータが停止してから所定時間以上(例えば10分以上)そのモータ停止状態が継続しているか否かを識別するようにしておき、そのタイマーによって所定時間以上の経過が計時された場合には、次にウェハステージへ搬送されてきたウェハの最初のショット(スキャン駆動開始時)に対してFF制御を行うように主制御系95を構成しておけば良い。その際のFF制御の制御量や制御タイミングを、そのタイマーでの計時時間に応じて可変とするようにしておくことが望ましい(例えば15分間モータが停止していた場合のFF制御量を、10分間モータが停止していた場合のFF制御量よりも大きくするように、FF制御量をモータ停止時間の関数として設定することが望ましい)。
ステージ駆動モータの停止は、ウェハの搬送異常時のみに生じるものでは無く、露光装置側の何らかのトラブルでも生じ得るものである。例えばウェハプロセスの影響でアライメントマークが検出できない場合(レジストの塗布ムラや平坦加工処理などの影響で良好なマーク検出ができない場合や、アライメント光を透過しない物質がマーク上に塗布されてマーク検出そのものが出来ない場合など)や、又はウェハプロセス(ウェハに対する熱処理や平坦加工処理など)の影響でウェハの外形や平面度が悪化した場合には、露光装置が使用者の救済処理(オペレータによるアシスト処理)を必要とする場合があるが、このアシスト処理の間は露光装置の停止を招くことになる。また停電や地震などにより露光装置が停止してしまう場合や、ステージ装置の故障等でステージ駆動モータが停止する場合がある。或いはウェハステージを複数備える露光システムにおいては、その複数のステージが互いに機械的に干渉しないように移動制御する必要があるが、互いのステージ間の機械的干渉を避けるために一方のステージが停止せざるを得ない状況に陥る場合もありうる。このような様々な異常時にも上記タイマーを起動させることにより、上述のようなステージ駆動モータの温度制御を行うようにすれば良い。
このように、設定部116、117は、上記したようなステージ駆動モータの作動状態を示す情報(モータの停止期間情報)をも用いて、FFコントローラ113やPIDコントローラ112の最適な制御量を算出するようにしておくのが望ましい。
以上述べたように、プロセスプログラムに関する情報(ショットマップ情報、露光シーケンス情報、ステージ速度/加速度情報(加速時間を含む))や、ステージ駆動モータの作動状態情報などに基づいて、FFコントローラ113やPIDコントローラ112の最適な制御量を算出設定したり、或いはその制御タイミングを設定することで、より高精度なフィードフォワード制御を行うことが可能となる。またステージ駆動モータの作動状態情報に基づいて、モータの温度制御手法としてFF制御を使用/非使用を使い分けることで、露光シーケンスに照らし合わせてより実用的な温度制御を実現することができる。
〔第2実施形態〕
図13は、本発明の第2実施形態による露光装置の概略図である。図13においては、第1実施形態に示した部材に相当する部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図13に示すように、本実施形態の露光装置は、照明光学系IU、並びに、制御対象としてのレチクルステージ2、投影光学系PL、及びウェハステージ5等を含んで構成される露光本体部130を収容する露光チャンバ140と、露光本体部130内を循環する冷媒を冷却する冷却装置143とに大別される。
露光本体部130を収容する露光チャンバ140は床F1上に防震パッド142,142を介して設置され、冷却装置143は床1の下方に位置する床F2上に防振パッド144,144を介して設置されており、露光チャンバ140と冷却装置143とは分離して設置されている。露光チャンバ140と冷却装置143の間は配管されており、図5に示す温度制御系と同様に循環系C5及び循環系C6からなる温度制御系が設けられている。
本実施形態の露光装置は、上述した露光本体部103以外に、図5に示した第2制御系62の一部をなすヒータ75,78及びコントローラ77を露光チャンバ140の恒温室141内に収容している。また、図13においては図示を省略しているが、図5に示した第1制御系62の一部をなすコントローラ67、及びコントローラ67によって駆動されるヒータ71に相当するヒータも恒温室141内に収容されている。露光チャンバ140の恒温室141内に設けられた、これらのヒータは本発明にいう第2設定手段に相当し、コントローラは本発明にいう制御手段に相当するものである。
床F1上に設置される冷却装置143は、図5に示した熱交換器70及びポンプ74を含む。図13においては図示を省略しているが、霊薬装置143は、熱交換器70及びポンプ以外に、図5に示した冷凍機73及び蒸発器65を含んで構成される。この冷却装置143は本発明にいう第1設定手段に相当する。このように、本実施形態の露光装置は、第1設定手段としての冷却装置143と、第2設定手段としてのヒータ及び制御手段としてのコントローラとを分離した構成にするとともに、第2設定手段としてのヒータ及び制御手段としてのコントローラを制御対象としてのレチクルステージ2、投影光学系PL、及びウェハステージ5等の近傍に配置している。
かかる構成にするのは、温度を設定するヒータ75,78等を制御対象の近くにすることで、制御上の無駄時間を短縮することにより、制御対象の温度を高い精度で制御するためである。また、本実施形態の露光装置に設けられる温度制御系も第1実施形態の温度制御系(図5参照)と同様に、温度センサ76a,76b,79a,79b等の検出結果に基づいてフィードフォワード制御により循環系C5,C6等を循環する冷媒の温度を制御しているため、温度センサ76a,76b,79a,79b等の検出結果とノイズとのレベルの比(S/N比)が高い方が制御上好ましいためでもある。本実施形態においても、第1実施形態と同様により、フィードバック制御とフィードフォワード制御を併用することが好ましい。
制御上の無駄時間は極力短い方が良いため、ヒータ75,78等は、制御対象に近ければ近い方が良い。しかし、露光チャンバ140の恒温室141内部には図13に示した構成以外に、種々の部材が配置されているため、ヒータ75,78等を任意の位置に配置することができるとは限らない。このため、ヒータ75,78等は、恒温室141内の温度を、露光装置の性能を維持する上で求められる温度変化の許容値内に保つことができる程度の一定の応答性及び温度センサ76a,76b,79a,79bのS/N比を得ることができる程度に制御対象に近づけて配置すれば良い。
また、ヒータ75,78等を露光チャンバ140の恒温室141内部に配置すれば、ヒータ75からレチクルステージ2までの配管長及びヒータ78からウェハステージ5までの配管長等を露光装置1の設置状況に拘わらず一定に保つことができる。これによって、上述した第1実施形態で説明した、コントローラ67,77に設けられるPIDコントローラ112、FFコントローラ113の制御定数及び制御タイミングの設定作業を省略することができるため、露光装置1の設置に要する時間を短縮することも可能になる。本実施形態の露光装置において、レチクルステージ2、ウェハステージ5、及び投影光学系PL等の制御対象の温度制御は、前述した第1実施形態と同様なフィードバック制御及びフィードフォワード制御により行われるため、その説明は省略する。
この実施形態では、ヒータ75,78を露光チャンバ140の恒温室141内部に配置する構成としているため、ヒータ75,78からの発熱が恒温室141内部の温度安定性に影響を与えることも考えられる。この恒温室141内部の温度環境に対するヒータ75,78からの発熱の影響を低減するために、各ヒータの周りを筐体(不図示)で覆うと共にその筐体を断熱材(不図示)で覆うように構成しても良い。更にその断熱材の周りを所定温度に制御された気体で空調するようにしても良い。
更に配管C5,C6を流れる冷媒により、恒温室141内部の温度環境に与える変化をも考慮する必要がある場合には、配管を断熱材で覆うように構成すれば良い。この場合、配管C5,C6に限らず、恒温室141内に配置された全ての配管を断熱材で覆うように構成しても良い。
〔第3実施形態〕
以上説明した第1実施形態及び第2実施形態においては、レチクルステージ2については、レチクルステージ2に循環させる前の冷媒温度及びレチクルステージ2を循環させた後の冷媒温度をそれぞれ検出する温度センサ76a,76bを設けこれらの検出結果の平均を求めてレチクルステージ2の温度としていた。また、ウェハステージ5については、ウェハステージ5に循環させる前の冷媒温度及びウェハステージ5を循環させた後の冷媒温度をそれぞれ検出する温度センサ79a,79bを設けこれらの検出結果の平均を求めてウェハステージ2の温度としていた。
しかし、図14及び図15に示すようにレチクルステージ2及びウェハステージ5の温度を直接検出するようにしても良い。図14は、本発明の第3実施形態による露光装置に設けられるレチクルステージの外観斜視図であり、図15は、本発明の第3実施形態による露光装置に設けられるウェハステージの外観斜視図である。図14に示したレチクルステージが図2に示したレチクルステージと相違する点は、レチクル微動ステージ18の温度を検出する温度センサ200を設け、図15に示したウェハステージが図4に示したウェハステージと相違する点は、ウェハステージ5に温度センサ201を設けた点である。
これらの温度センサ200,201はレチクル微動ステージ18及びウェハステージ5に埋め込まれた状態でそれぞれ取り付けられており、レチクル微動ステージ18及びウェハステージ5各々の温度を直接検出する。温度センサ200,201は完全にレチクル微動ステージ18及びウェハステージ5内に埋め込まれた状態で取り付けられていても良く、その一部が露出した状態で取り付けられていても良い。温度センサ201の一部を露出させた状態にする場合には、ウェハWが載置される位置から僅かに離間した位置に温度センサ201を配置する必要がある。これらの温度センサ200,201の検出結果は、図5に示したコントローラ77に出力される。図14及び図15に示した例した温度センサ200,201の取り付け位置はあくまでも例示であり、レチクルステージ2及びウェハステージ5の温度を高い精度で制御するのに都合の良い位置に配置することが可能である。また、温度センサ200は必ずしもレチクル微動ステージ18に取り付ける必要はなく、レチクル粗動ステージ16に取り付けてあっても良い。また、温度センサを1つのみ取り付けるのではなく、複数の温度センサを取り付けて各々の検出結果に対して所定の演算処理(例えば平均処理)を行うようにしても良い。
〔第4実施形態〕
上記第3実施形態においては、可動手段としてのレチクルステージ2及びウェハステージ5に温度を検出するための温度センサを取り付けていたが、駆動源としてのYリニアモータ15,15、Xボイスコイルモータ17X、及びYボイスコイルモータ17Y、並びに、リニアモータ33,33及びXリニアモータ35に温度センサ取り付けて温度を検出するようにしても良い。図16は、本発明の第4実施形態による露光装置に設けられるリニアモータの移動方向に対して直交する面の断面図である。図16に示したリニアモータは、レチクルステージ2に設けられるYリニアモータ15,15、Xボイスコイルモータ17X、及びYボイスコイルモータ17Yとして用いることができ、更にはウェハステージ5に設けられるリニアモータ33,33及びXリニアモータ35として用いることができる。
図16に示したリニアモータは、ムービングコイル型のリニアモータであり、固定子300と可動子310からなる。固定子300は、ヨーク302に取り付けられた磁石301とヨーク304に取り付けられた磁石303とを異極が対向するように向かい合わせ、これらを固定ヨーク305,306で支持して構成される。また、移動子301は、ジャケット311、コイル312、及び温度センサ320から構成され、磁石301と磁石303との間に配置される。ジャケット311の内部313にはコイル312が配置されるとともに冷媒が導入されて、コイル312を冷却するよう構成されている。
温度センサ320は、通電により発熱するコイル312の近傍に配置されることが好ましい。図16においては、温度センサ320を1つのみ図示しているが、可動子310に複数の温度センサが設けられていても良い。このように、本実施形態では、発熱源としてのコイル312の近傍に温度センサ320を配置してリニアモータ内における温度変化を精確に検出することができるため、露光装置内の温度を精度良く制御することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、冷媒流量の温度を制御してレチクルステージ2、ウェハステージ5、及び投影光学系PL等の制御対象の温度を制御する構成を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、冷媒の流速、流量を制御して制御対象の温度を制御するよう構成しても良い。この場合において、流量又は流速に応じてフィードフォワード制御の制御量を可変することが好ましい。
上記の実施形態の冷媒としては、液体の冷媒又は気体の冷媒を用いることができる。更には、冷媒を用いずにペルチェ素子等の温度調整素子を用いて制御対象の温度を直接制御するようにしても良い。また、上記実施の形態では、同一種類の冷媒(HFE)を用いる構成としたが、各循環系に要求される温度制御精度や設置環境に応じて、各循環系毎に異なる冷媒を用いてもよい。
また、上記実施形態においては、可動手段として、レチクルステージ2、ウェハステージ5、分割鏡筒100b,100d,100e,100f,100g、及びアライメントセンサを挙げたが、可動手段は、これら以外に、照明光学系IU内に設けられて照明光を矩形形状に整形するレチクルブラインド等の露光装置1内に設けられる可動部材であって、温度制御が必要な部材全てを含む。
また、図8に示したコントローラ77を構成する各ブロックは、電子回路によりハードウェア的に構成されていても良く、ソフトウェア的に構成されていても良い。各ブロックをソフトウェア的に構成する場合には、各ブロックの機能を規定するプログラムをCPU(中央処理装置)が実行することにより、各ブロックの機能が実現される。また、上記実施の形態では、温度調節器(熱交換器70)及び冷媒駆動用のポンプを一部共用する構成としたが、制御対象(循環系)毎にそれぞれ分離したり、全ての循環系で共用する等、種々の構成を採用可能である。
また、上記実施形態では、レチクルステージ2及びウェハステージ5を循環させる前の冷媒温度と循環させた後の冷媒温度とを単純平均する構成としたが、重み付け平均としてもよい。重み付け平均する方法としては以下の方式を採用することができる。
(1)モータ等の熱源から入口側温度センサの設置位置までの距離と、熱源から出口側温度センサの設置位置までの距離とが異なる場合には、距離が近い温度センサほどその検出結果の重みが大きくなる等、距離に応じた重み付けを行う。
(2)モータ等の熱源の入口近傍を構成する材料が出口近傍を構成する材料と異なる場合には、熱伝導率等、その材料の材質に応じて重み付けする(吸熱される割合が大きい(熱伝導率が大きい)材料ほど重みを大きくする)。
(3)入口近傍又は出口近傍に別の熱源が存在する場合には、その別熱源の有無や発熱量に応じた重み付けを行う。例えば、流路上に別熱源が存在する場合には、別熱源に近い側の温度センサ出力の重みを大きくする。また、流路外に別熱源が存在する場合には、別熱源の発熱が空気を介して温度センサに伝達されるため、別熱源に近い側の温度センサ出力の重みを大きくする。
(4)ベースライン計測時に、入口側温度センサの検出温度、出口側温度センサの検出温度、冷媒の制御温度(単純平均で算出された制御温度)と計測されたベースライン量(又はベースライン量の変動量)とを組で記憶し、この記憶動作をベースライン計測毎に繰り返す。蓄積された複数のデータ組に基づいて、入口側温度と出口側温度とのいずれに、どの程度重みを持たせればベースライン変動が小さくなるかを推定演算する。そして、推定された重みに基づいて重み付け平均を行う。
また、上記各実施形態では、ウェハステージ5の温度制御とレチクルステージ2の温度制御とを同一のコントローラ77で温度制御(ヒータ75とヒータ78とを同一のコントローラ77で温度管理)するように構成したが、本発明はこれに限らず、ウェハステージ系(ヒータ78)とレチクルステージ系(ヒータ75)とを、互いに独立した別々の専用コントローラで、それぞれ独立に温度制御するように構成しても良い。
本実施形態の基板としては、半導体素子のウェハWのみならず、液晶ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウェハ、あるいは露光装置で用いられるマスク又はレチクルの原版(合成石英、シリコンウェハ)等が適用される。露光装置1としては、レチクルRとウェハWとを同期移動してレチクルRのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニング・ステッパー;USP5,473,410)の他に、レチクルRとウェハWとを静止した状態でレチクルRのパターンを露光し、ウェハWを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパー)にも適用することができる。露光装置1の種類としては、ウェハWに半導体デバイスパターンを露光する半導体デバイス製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクルなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
また、露光用照明光の光源として、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)等の輝線を射出する超高圧水銀ランプ、又はKrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)、Kr2レーザ(波長146nm)、YAGレーザの高周波発生装置、若しくは半導体レーザの高周波発生装置を用いることができる。また、X線や電子線などの荷電粒子線を用いることができる。例えば、電子線を用いる場合には電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB6)、タンタル(Ta)を用いることができる。さらに、電子線を用いる場合は、レチクルRを用いる構成としてもよいし、レチクルRを用いずに直接ウェハ上にパターンを形成する構成としてもよい。
投影光学系PLの倍率は、縮小系のみならず等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザやX線を用いる場合は反射屈折系又は屈折系の光学系にし(レチクルRも反射型タイプのものを用いる)、また電子線を用いる場合には光学系として電子レンズ及び偏向器からなる電子光学系を用いればよい。電子線が通過する光路は、真空状態にすることはいうまでもない。また、投影光学系PLを用いることなく、レチクルRとウェハWとを密接させてレチクルRのパターンを露光するプロキシミティ露光装置にも適用可能である。
ウェハステージ5やレチクルステージ2にリニアモータ(USP5,623,853又はUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型及びローレンツ力又はリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージ2、5は、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
レチクルステージ2及びウェハステージ5の駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニット(永久磁石)と、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力によりレチクルステージ2及びウェハステージ5を駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をレチクルステージ2及びウェハステージ5に接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をレチクルステージ2及びウェハステージ5の移動面側(ベース)に設ければよい。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、温度制御系がフィードフォワード制御を用いて可動手段の温度を制御しており、迅速に可動手段の温度変化が抑えられるため、仮に制御上の無駄時間が生じていたとしても高い精度で露光装置内の温度を目標とする温度に設定することができる。この結果、露光装置の性能を安定して所期の性能に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1実施形態による露光装置全体の概略図である。
図2は、本発明の第1実施形態による露光装置に設けられるレチクルステージの外観斜視図である。
図3は、本発明の第1実施形態による露光装置に設けられる投影光学系の概略図である。
図4は、本発明の第1実施形態による露光装置に設けられるウェハステージの外観斜視図である。
図5は、本発明の第1実施形態による露光装置に設けられる温度制御系の構成を示す図である。
図6は、レチクルステージに対して設けられた温度制御系の概略図である。
図7は、ウェハステージに対して設けられた温度制御系の概略図である。
図8は、コントローラ77のウェハステージ5の温度を制御する部位の構成を示すブロック図である。
図9は、設定部116の内部構成の概略を示す図である。
図10Aおよび図10Bは、ウェハステージ5を循環する冷媒の温度変化の一例を模式的に示す図であり、図10Aはフィードフォワード制御及びフィードバック制御によりヒータ78を駆動したときの温度変化を示しており、図10Bはフィードバック制御のみによってヒータ78を駆動した時の温度変化を示している。
図11は、フィードフォワード制御の一例を模式的に示す図である。
図12は、本発明の実施形態による露光装置及び露光方法を用いてデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)を製造する工程の一例を示すフローチャートである。
図13は、本発明の第2実施形態による露光装置の概略図である。
図14は、本発明の第3実施形態による露光装置に設けられるレチクルステージの外観斜視図である。
図15は、本発明の第3実施形態による露光装置に設けられるウェハステージの外観斜視図である。
図16は、本発明の第4実施形態による露光装置に設けられるリニアモータの移動方向に対して直交する面の断面図である。

Claims (27)

  1. レチクルステージ上に保持されたレチクル上に形成されたパターンの像を、基板ステージ上に保持された基板上に投影光学系を介して投影する露光装置であって、
    駆動源を備えるとともに、前記駆動源により所定の動作を行う可動手段と、
    前記可動手段の駆動が停止されてから、次に前記可動手段の駆動が開始されるまでの期間を計測する計時手段と、
    前記可動手段に対して温度制御された流体を循環させることにより前記可動手段の温度を制御する温度制御系とを有し、
    前記温度制御系は、前記可動手段に循環させる前の前記流体の温度と前記可動手段を循環させた後の前記流体の温度とを測定する検出部を有し、前記検出部の検出結果に基づいたフィードバック制御と、前記計時手段による計時結果に基づいたフィードフォワード制御とにより、前記可動手段の温度を制御する。
  2. レチクルステージ上に保持されたレチクル上に形成されたパターンの像を、基板ステージ上に保持された基板上に投影光学系を介して投影する露光装置であって、
    駆動源を備えるとともに、前記駆動源により所定の動作を行う可動手段と、
    前記可動手段の駆動が停止されてから、次に前記可動手段の駆動が開始されるまでの期間を計測する計時手段と、
    前記可動手段に対して温度制御された流体を循環させることにより前記可動手段の温度を制御する温度制御系とを有し、
    前記温度制御系は、前記可動手段に循環させる前の前記流体の温度と前記可動手段を循環させた後の前記流体の温度とを測定する検出部を有し、前記検出部の検出結果に基づいたフィードバック制御と、これら以外の制御手法を用いた温度制御とが可能であり、
    前記計時手段による計時結果に基づいて、前記フィードフォワード制御を実行するか、或いはそれ以外の制御手法を実行するかを判別する判別手段と、を有する。
  3. レチクルステージ上に保持されたレチクル上に形成されたパターンの像を、基板ステージ上に保持された基板上に投影光学系を介して投影する露光装置であって、
    温度変動を生じる制御対象と、
    前記制御対象に対して流体を循環させることにより、前記制御対象の温度を制御する温度制御系と、
    パラメータとして、前記流体を循環させる配管に関する情報、前記流体の流速に関する情報、及び前記流体の流量に関する情報のうちの少なくとも1つの情報を入力する入力手段と、
    前記入力手段に入力された前記パラメータの情報に基づいて、前記温度制御系の制御特性を設定する設定手段とを有する。
  4. 請求項記載の露光装置であって、前記制御特性は、前記温度制御系が前記流体の温度を制御する時の制御応答に関する制御定数、又は前記温度制御系が前記流体の温度を制御するタイミングに関する情報を含む。
  5. 請求項記載の露光装置であって、前記温度制御系は、前記流体の温度を、フィードフォワード制御手法及びフィードバック制御手法の少なくとも一方の制御手法を用いて制御するものであり、
    前記制御定数は、前記フィードフォワード制御における制御定数又は前記フィードバック制御における制御定数を含む。
  6. 請求項記載の露光装置であって、前記設定手段は、
    前記パラメータの1つの代表的な値に対して定められた基準制御特性を記憶する記憶部と、
    前記入力手段に入力された前記パラメータの情報と、前記記憶部に記憶された基準制御特性とに基づいて、前記入力手段に入力された情報に対する前記温度制御系の制御特性の最適値を算出する算出部とを含むとともに、
    前記算出部に算出された前記最適値を前記制御特性として設定する。
  7. 請求項記載の露光装置であって、前記配管に関する情報は、前記流体が最終的に温度制御される場所から、前記制御対象に到達するまでの前記配管の長さの情報と、前記配管の径の情報とのうちの少なくとも一方を含む。
  8. 請求項記載の露光装置であって、前記温度制御系は、前記レチクルステージを駆動する駆動源、及び前記基板ステージを駆動する駆動源のうちの少なくとも一方を前記制御対象として温度制御する。
  9. レチクルステージ上に保持されたレチクル上に形成されたパターンの像を、基板ステージ上に保持された基板上に投影光学系を介して投影する露光方法であって、
    パラメータとして、制御対象に対して前記流体を循環させる配管に関する情報、前記流体の流速に関する情報、及び前記流体の流量に関する情報のうちの少なくとも1つの情報を入力する入力工程と、
    前記制御対象に対して前記流体を循環させることで前記制御対象を温度制御する温度制御系の制御特性を、前記入力工程で入力された前記パラメータの情報に基づいて設定する設定工程とを有する。
  10. 請求項記載の露光方法であって、前記制御特性は、前記温度制御系が前記流体の温度を制御する時の制御応答に関する制御定数、又は前記温度制御系が前記流体の温度を制御するタイミングに関する情報を含む。
  11. 請求項10記載の露光方法であって、前記温度制御系は、前記流体の温度を、フィードフォワード制御手法及びフィードバック制御手法の少なくとも一方の制御手法を用いて制御するものであり、
    前記制御定数は、前記フィードフォワード制御における制御定数又は前記フィードバック制御における制御定数を含む。
  12. 請求項記載の露光方法であって、前記配管に関する情報は、前記流体が最終的に温度制御される場所から、前記制御対象に到達するまでの前記配管の長さの情報と、前記配管の径の情報とのうちの少なくとも一方を含む。
  13. レチクルステージ上に保持されたレチクル上に形成されたパターンの像を、基板ステージ上に保持された基板上に投影光学系を介して投影する露光装置であって、
    温度変動を生じる制御対象と、
    前記制御対象に対して液体を循環させることにより、前記制御対象の温度を制御する温度制御系と、
    前記レチクル上のパターンの、前記基板上への露光手順に関する情報をパラメータとして入力する入力手段と、
    前記入力手段で入力された前記パラメータに基づいて、前記温度制御系の制御特性を設定する設定手段とを有する。
  14. 請求項13記載の露光装置であって、前記露光手順に関する情報は、ショットマップに関する情報、スキャン露光時のスキャン方式に関する情報、前記可動手段の可動時の速度又は加速度又は加速時間に関する情報のうちの少なくとも1つを含む。
  15. レチクルステージ上に保持されたレチクル上に形成されたパターンの像を、基板ステージ上に保持された基板上に投影光学系を介して投影する露光装置であって、
    可動手段を駆動する駆動源と、
    前記駆動源に対して液体を循環させることにより、前記駆動源の温度を制御する温度制御系と、
    前記駆動源が前記可動手段の駆動を停止してから、次に前記可動手段の駆動を再開するまでの期間を計時する計時手段と、
    前記計時手段の計時結果に基づいて、前記温度制御系の制御特性を設定する設定手段とを有する。
  16. 請求項15記載の露光装置であって、前記制御特性は、前記温度制御系が前記液体の温度を制御する時の制御応答に関する制御定数、又は前記温度制御系が前記液体の温度を制御する際の制御量又は制御タイミングに関する情報を含む。
  17. レチクルステージ上に保持されたレチクル上に形成されたパターンの像を、基板ステージ上に保持された基板上に投影光学系を介して投影する露光装置であって、
    可動手段を駆動する駆動源と、
    前記駆動源に対して液体を循環させることにより、前記駆動源の温度をフィードフォワード制御方法又はそれ以外の制御方法を用いて制御する温度制御系と、
    前記駆動源が前記可動手段の駆動を停止してから、次に前記可動手段の駆動を再開するまでの期間を計時する計時手段と、
    前記計時手段の計時結果に基づいて、前記温度制御系に前記フィードフォワード制御方法を実行させるか、或いはそれ以外の制御手法を実行させるかを判別する判別手段とを有する。
  18. レチクルステージ上に保持されたレチクル上に形成されたパターンの像を、基板ステージ上に保持された基板上に投影光学系を介して投影する露光方法であって、
    前記レチクル上のパターンの、前記基板上への露光手順に関する情報をパラメータとして入力する入力工程と、
    温度変動を生じる制御対象に対して液体を循環させることで前記制御対象の温度を制御する温度制御系の制御特性を、前記入力工程で入力された前記パラメータに基づいて設定する設定工程とを有する。
  19. 請求項18記載の露光方法であって、前記露光手順に関する情報は、ショットマップに関する情報、スキャン露光時のスキャン方式に関する情報、前記可動手段の可動時の速度又は加速度に関する情報のうちの少なくとも1つを含む。
  20. レチクルステージ上に保持されたレチクル上に形成されたパターンの像を、基板ステージ上に保持された基板上に投影光学系を介して投影する露光方法であって、
    可動手段を駆動する駆動源が、前記可動手段の駆動を停止してから、次に前記可動手段の駆動を再開するまでの期間を計時する計時工程と、
    前記駆動源に対して液体を循環させて前記駆動源の温度を制御する温度制御系の制御特性を、前記計時工程の計時結果に基づいて設定する設定工程とを有する。
  21. 請求項18記載の露光方法であって、前記制御特性は、前記温度制御系が前記液体の温度を制御する時の制御応答に関する制御定数、又は前記温度制御系が前記液体の温度を制御する際の制御量又は制御タイミングに関する情報を含む。
  22. レチクルステージ上に保持されたレチクル上に形成されたパターンの像を、基板ステージ上に保持された基板上に投影光学系を介して投影する露光方法であって、
    可動手段を駆動する駆動源が、前記可動手段の駆動を停止してから、次に前記可動手段の駆動を再開するまでの期間を計時する計時工程と、
    前記駆動源に対して液体を循環させて前記駆動源の温度をフィードフォワード制御方法又はそれ以外の制御方法を用いて制御する温度制御系に、何れの制御方法を実行させるかを、前記計時工程の計時結果に基づいて判別する判別工程とを有する。
  23. レチクルステージ上に保持されたレチクル上に形成されたパターンの像を、基板ステージ上に保持された基板上に投影光学系を介して投影する露光方法であって、
    駆動源により可動する可動手段により所定の動作を行う可動工程と、
    前記可動手段に対して温度制御された流体を循環させることにより前記可動手段の温度をフィードフォワード制御を用いて制御する温度制御工程とを有し、
    前記温度制御工程は、
    パラメータとして、前記流体を循環させる配管に関する情報、前記流体の流速に関する情報、及び前記流体の流量に関する情報のうちの少なくとも1つの情報を入力する入力工程と、
    前記入力手段に入力された前記パラメータの情報に基づいて、前記温度制御工程の制御特性を設定する設定工程とを有し、
    前記流体の温度を所定の温度範囲内で設定する第1設定手段と、
    前記温度制御工程で温度制御された流体の温度を、前記所定の温度範囲よりも小さい温度範囲内で設定する第2設定手段と、
    少なくとも前記第2設定手段の動作を制御する制御手段とを有して前記可動手段の温度を制御し、
    前記第2設定手段と前記制御手段とが、前記第1設定手段とは分離して、且つ前記第1設定手段よりも前記可動手段の近傍に配置されている。
  24. 請求項23記載の露光方法であって、
    前記レチクル上のパターンの、前記基板上への露光手順に関する情報をパラメータとして入力する入力工程と、
    前記入力工程で入力された前記パラメータに基づいて、前記温度制御工程の制御特性を設定する設定工程とを有する。
  25. 請求項23記載の露光方法であって、
    前記駆動源が前記可動手段の駆動を停止してから、次に前記可動手段の駆動を再開するまでの期間を計時する計時工程と、
    前記計時工程の計時結果に基づいて、前記温度制御工程の制御特性を設定する設定工程とを有する。
  26. 請求項23記載の露光方法であって、
    前記温度制御工程は、フィードフォワード制御方法以外の制御方法をも用いることができ、
    前記駆動源が前記可動手段の駆動を停止してから、次に前記可動手段の駆動を再開するまでの期間を計時する計時工程と、
    前記計時工程の計時結果に基づいて、前記温度制御工程に前記フィードフォワード制御方法を実行させるか、或いはそれ以外の制御手法を実行させるかを判別する判別工程とを有する。
  27. デバイス製造方法であって、請求項1、2、3131517の何れか一項に記載の露光装置を用いて、前記レチクル上に形成されたパターンを前記基板上に転写する工程を含む。
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