JP4011288B2 - ダブルトーク検知装置、ダブルトーク検知装置を用いたエコーキャンセラ及びダブルトーク検知装置を用いたエコーサプレッサ - Google Patents
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Description
【0001】
この発明は、双方向通話システムにおいて伝送路を経由して近端話者と遠端話者によって行われるダブルトークの状態を検知するダブルトーク検知装置、及びダブルトーク検知装置において近端話者側で発生するエコーをキャンセルまたは抑圧するエコーキャンセラ、並びにエコーサプレッサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のダブルトーク検知装置としては、例えば、日本の特開平10−242891号に開示されているものがある。この明細書では、適応フィルタのフィルタ係数の更新を正しく行うことを目的として、ダブルトーク検知方法Aとダブルトーク検知方法Bの2つの方法を実施するエコーキャンセラが開示されている。
詳細には、双方向通話システムにおいて、近端話者側から入力される信号を送信信号とし、遠端話者側から入力される信号を受信信号とし、適応フィルタにおいてフィルタ係数を用いた畳み込み演算が受信信号に対して行われ、擬似エコー信号が得られ、擬似エコー信号は減算回路で送信信号から差し引かれ残差信号(誤差信号と呼ばれる)が得られ、残差信号に従ってフィルタ係数が更新される。この従来のダブルトーク検知方法Aでは、近端話者と遠端話者によってダブルトークが行われたか否かの判定が、送信信号の自乗平均値の平方根レベル(または平均振幅レベル、以下、レベルと呼ぶ)S、受信信号のレベルX、残差信号のレベルEを用いる以下の式(1)から式(3)を用いてなされる。
X<p1・・・・(1)
S>p2*X(但しp2≦0.5)・・・・(2)
E>p3*S・・・・(3)
ここで、各式中のp1からp3は所定の定数であり、これらは使用環境に応じて決定する必要がある。
【0003】
開示の内容では、以下に記す第1条件によって受信信号の無音を検知し、第2条件または第3条件によってダブルトーク状態を検知する。
第1条件:式(1)が成立した場合。
第2条件:式(1)が不成立でかつ式(2)が成立した場合。
第3条件:式(1)、(2)が不成立でかつ式(3)が成立した場合。
ダブルトーク検知方法Bは、遠端話者側音声のみが有音であるシングルトーク状態において適応フィルタのフィルタ係数が十分収束した時の送信信号のレベルをSMとし、SMを決定した時の残差信号のレベルをEMとし、現在の送信信号のレベルをSjとし、現在の残差信号のレベルをEjとして、以下の式(4)と式(5)を用いてダブルトーク状態を判定するものである。判定方法は、式(4)若しくは式(5)が成立した場合ダブルトーク状態であると判定する。
Sj/Ej<C2*SM/EM、C2=1/2・・・・(4)
Sj/Ej<C1*SM/EM、C1=1/4・・・・(5)
また特開平10−242891号では、従来のエコーキャンセラとして2つのエコーキャンセラを開示している。1つは、前記のダブルトーク検知方法Aを用いて、第1条件または第2条件または第3条件のいずれかが成立した場合、適応フィルタのフィルタ係数の更新を停止させるエコーキャンセラを開示している。もう一つは、前記のダブルトーク検知方法Bを用いて、式(4)若しくは式(5)が成立した場合適応フィルタのフィルタ係数の更新を停止させるエコーキャンセラを開示している。
【0004】
従来のエコーサプレッサとしては、International Telecommunication Union(ITU)−T Recommendation G.164に開示されているものがある。開示されているエコーサプレッサは、送信路損失部及び受信路損失部及びダブルトーク検知部から構成され、ダブルトーク検知部の検知結果に基づいて送信路損失部の損失量及び受信路損失部の損失量を決定するエコーサプレッサを開示している。またITU−T Recommendation G.164の開示の内容では、FIGURE 6/G.164及びFIGURE 6/G.164で、ダブルトーク検知方法も開示しているが、この方法は受信信号及び送信信号の2つの入力のみを用いた検知方法であり、前記のダブルトーク検知方法A及びダブルトーク検知方法Bより検知精度が劣る方法である。
【0005】
ダブルトーク状態の検知を必要とする状態遷移は、次の2通り(第1状態遷移、第2状態遷移)がある。
第1状態遷移では、遠端話者側音声のみが有音であるシングルトーク状態から近端話者側音声が入り込みダブルトーク状態に遷移する。
第2状態遷移では、近端話者側音声のみが有音であるシングルトーク状態から遠端話者側音声が入り込みダブルトーク状態に遷移する。
この第2状態遷移の場合に関しては、従来の方法を用いてダブルトーク状態の検知は可能であった。なぜならば、近端話者側音声のみが有音であるシングルトーク状態からダブルトーク状態になった場合、受信信号が無音から有音へ判定のみでダブルトーク状態の検知が可能である。例えば、ダブルトーク検知方法Aでは、第2条件によって直ちに検知される。
しかし、第1状態遷移の場合は第2状態遷移に比べてダブルトーク状態の検知が困難である。なぜならば、遠端話者側音声のみが有音であるシングルトーク状態からダブルトーク状態になった場合、送信信号中に受信信号に由来するエコー信号と混在する近端話者側音声の有無を検知する必要があるためである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下、この第1状態遷移の場合に関して、従来法の課題を説明する。
ダブルトーク検知方法Aに関しては以下のような課題がある。
(第1課題)式(2)及び式(3)に含まれるp2及びp3の値は、使用環境に応じて予め決定しておく必要がある。これは、このダブルトーク検知方法Aがこれら所定の定数に応じた使用環境のみにしか対応できない検知方法であることを意味している。
(第2課題)第3条件が成立しダブルトーク状態と検知された時は、残差信号Eの送信信号Sに対する比が所定の定数P3を上回った時である。これは、適応フィルタのフィルタ係数がエコーパスの実際のインパルス応答に近似するインパルス応答に対応する理想的フィルタ係数から大きく劣化し、その劣化したフィルタ係数と受信信号との畳み込み演算によって生成される擬似エコー信号は、理想的フィルタ係数に対応する理想的擬似エコー信号と比べフィルタ係数の劣化分過剰な信号となり、その結果減算手段後の残差信号が加算入力である送信信号を上回ってしまう状態である。つまりこの検知方法では、ダブルトーク状態となり、適応フィルタのフィルタ係数が大幅に劣化した後に至って第3条件が成立してダブルトーク状態を検知するため、検知するまでにはかなりの遅れが必要となる。よってダブルトーク検知方法Aではこの検知遅れが大きな問題である。
ダブルトーク検知方法Bに関しては以下のような課題がある。
(第1課題)SM,EMの算出には、フィルタ係数が十分収束した後の平均パワーを用いなければならない。つまり、フィルタ係数が十分収束したか否かを判定する装置の必要性を意味している。更に、このフィルタ係数が十分収束したか否かの判定は、ダブルトーク状態の検知に依存する部分が多く、ダブルトーク状態の検知にフィルタ係数が十分収束したか否かの判定を用いることは誤検知を引き起こす可能性が高いことが考えられる。
この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、フィルタ係数が十分収束したか否かを判定する機能を不要としながらも、検知遅れが少なく且つ使用環境に依存しないダブルトーク検知装置を実現することを目的としている。また、このようなダブルトーク検知装置を用いて、適応フィルタのフィルタ係数の劣化をできる限り防止して高い通話品質で近端話者の声を送るべく遠端話者の声のエコーをキャンセルするエコーキャンセラを提供し、さらにダブルトーク状態での通話の断続現象を軽減しつつ遠端話者の声のエコーを押さえたエコーサプレッサを提供することを二義的な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るダブルトーク検知装置は、シングルトーク状態では受信信号に由来するエコー成分を示しダブルトーク状態では第1の話者の声及びエコー成分の混合を示す送信信号から得られる第1残差信号に従って第1フィルタ係数を更新し、ダブルトーク状態で劣化する更新された第1フィルタ係数に従って受信信号から第1擬似エコー信号を生成する第1適応フィルタ手段と、第1残差信号に基づき前記第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数に従って、受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行い第2疑似エコー信号として生成することにより、更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分がダブルトーク状態で含まれる信号となるよう第2擬似エコー信号を出力する非適応フィルタ手段と、同一の受信信号に対して用いられる適応フィルタのフィルタ係数と非適応フィルタのフィルタ係数との関係が、一方のフィルタ係数が常に他方のフィルタ係数の一定時間過去の値となるよう前記第1適応フィルタ手段に入力される受信信号または前記非適応フィルタ手段に入力される受信信号を所定の時間だけ遅延させる動作をさせる遅延手段と、前記第1適応フィルタ手段で生成された過去時に対応する第1擬似エコー信号を、第1擬似エコー信号と同じ過去時に対応する送信信号から減算し、シングルトーク状態において送信信号に含まれるエコー成分を有さない第1残差信号を生成し、第1残差信号を前記第1適応フィルタ手段へ送る第1減算手段と、前記非適応フィルタ手段によって作られた現在時に対応する第2擬似エコー信号を、第2擬似エコー信号と同じ現在時に対応する送信信号から減算し、ダブルトーク状態で劣化分を示しシングルトーク状態で第1残差信号に近似する第2残差信号を生成する第2減算手段と、前記第2減算手段で生成された第2残差信号のレベルと前記第1減算手段で生成された第1残差信号のレベルとの比が所定のしきい値を超えたか否かによってシングルトーク状態からダブルトーク状態に変化したことを検知する検知手段とを備えるようにしたものである。
上記構成において、第1擬似エコー信号は第1適応フィルタ手段によって受信信号から生成され、第2擬似エコー信号は第1適応フィルタ手段から送られる更新された第1フィルタ係数に従って非適応フィルタ手段によって受信信号から生成される。その後、第1減算手段によって第1残差信号が第1擬似エコー信号および送信信号から生成され、第2減算手段によって第2残差信号が第2擬似エコー信号および送信信号から生成され、検知手段によってダブルトーク状態が第1残差信号および第2残差信号に従って検知される。この場合、第1擬似エコー信号または第2擬似エコー信号は過去時に対応する受信信号から生成され、又は第2擬似エコー信号は過去時に対応する更新された第1フィルタ係数に従って生成される。従って、ダブルトーク状態で、更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分が第2擬似エコー信号に含まれることになる。
このことによって、フィルタ係数が十分収束したか否かを判定する機能を不要としながらも、検知遅れが少なく且つ使用環境に依存することなく、シングルトーク状態からダブルトーク状態への変化が検知できるという効果が得られる。
【0008】
この発明に係るダブルトーク検知装置は、遅延手段が、過去時に関わる受信信号を受信し所定時間だけ受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成することによって、第1擬似エコー信号を第1適応フィルタ手段によって遅延受信信号から生成するようにする第1の遅延手段と、過去時に対応する送信信号を第1の話者から受信し所定時間だけ送信信号を遅延させた遅延送信信号を出力することによって、第1擬似エコー信号を第1減算手段によって遅延送信信号から減算するようにする第2の遅延手段と、から構成され、第2擬似エコー信号は非適応フィルタ手段によって現在時に対応する受信信号から生成され、第2擬似エコー信号は第2減算手段によって現在時に対応する送信信号から減算され、現在時に第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数は非適応フィルタ手段へ送られ、第2減算手段で生成される第2残差信号を所定時間だけ遅延して遅延第2残差信号を生成することにより、遅延第2残差信号と第1残差信号の差に基づいてダブルトーク状態を検知手段によって検知するようにする第3遅延手段を備えるようにしたものである。
上記構成において、シングルトーク状態の場合、第1話者(たとえば、近端話者)の声が送信信号中に存在しないため、第1擬似エコー信号がエコー成分に近似するように、第1フィルタ係数は第1適応フィルタ手段によって正しく更新され、第1残差信号は最小化される。また、第1フィルタ係数は正しく更新されるので、更新された第1フィルタ係数に従って非適応フィルタ手段によって作られる第2擬似エコー信号はエコー成分に近似する。
従って、第2擬似エコー信号から作られる遅延第2残差信号は第1残差信号とほとんど同じになるため、遅延第2残差信号と第1残差信号との差は小さく、検知手段によってダブルトーク状態は検知されない。
一方、シングルトーク状態からダブルトーク状態へ変わった場合、第1話者の声が送信信号においてエコー成分と混合するため、第1フィルタ係数は第1適応フィルタ手段によって正しく更新されず、第1フィルタ係数は劣化する。この場合、第1適応フィルタ手段によって作られた第1擬似エコー信号がエコー成分に近似するか否かに関わらず、第1残差信号のレベルを下げるように第1フィルタ係数は更新されるが、第1フィルタ係数を更新するべく利用される第1残差信号と非適応フィルタ手段によって処理される受信信号との時間差のために、劣化分が非適応フィルタ手段によって作られる第2擬似エコー信号に含まれてしまう。従って、劣化分は遅延第2残差信号によって示され、遅延第2残差信号と第1残差信号との差は大きくなる。結果として、検知手段によってダブルトーク状態はすぐに検知される。
このことによって、遅延第2残差信号と第1残差信号とのレベル差に従って第1フィルタ係数の劣化分が評価されるので、フィルタ係数が十分収束したか否かを判定する機能を不要としながら、検知遅れが少なく且つ使用される環境に依存しないダブルトーク検知装置が実現できるという効果が得られる。
【0009】
この発明に係るダブルトーク検知装置は、遅延手段が、過去時に関わる受信信号を受信し所定時間だけ受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成することによって、第2擬似エコー信号を非適応フィルタ手段によって遅延受信信号から生成するようにする第1の遅延手段と、過去時に対応する送信信号を第1の話者から受信し、所定時間だけ送信信号を遅延させた遅延送信信号を出力することによって、第2擬似エコー信号を第2減算手段によって遅延送信信号から減算するようにする第2の遅延手段とから構成され、第1擬似エコー信号は第1適応フィルタ手段によって現在時に対応する受信信号から生成され、第1擬似エコー信号は第1減算手段によって現在時に対応する送信信号から減算され、現在時に第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数は非適応フィルタ手段へ送られ、第1減算手段で生成される第1残差信号を所定時間だけ遅延して遅延第1残差信号を生成することにより、遅延第1残差信号と第2残差信号の差に基づいてダブルトーク状態を検知手段によって検知するようにする第3遅延手段を備えるようにしたものである。
上記構成において、第1適応フィルタ手段で更新された前記第1フィルタ係数はダブルトーク状態で劣化し、第1フィルタ係数を更新するべく利用される第1残差信号と非適応フィルタ手段によって処理される遅延受信信号との時間差が生じるので、劣化分が第2擬似エコー信号に含まれてしまう。従って、第2残差信号と遅延第1残差信号との差は大きくなり、検知手段によってダブルトーク状態はすぐに検知される。
このことによって、第2残差信号と遅延第1残差信号とのレベル差に従って第1フィルタ係数の劣化分が評価されるので、フィルタ係数が十分収束したか否かを判定する機能を不要としながら、検知遅れが少なく且つ使用される環境に依存しないダブルトーク検知装置が実現できるという効果が得られる。
【0013】
この発明に係るエコーキャンセラは、シングルトーク状態では受信信号に由来するエコー成分を示しダブルトーク状態では第1の話者の声及びエコー成分の混合を示す送信信号から得られる第1残差信号に従って第1フィルタ係数を更新し、ダブルトーク状態で劣化する更新された第1フィルタ係数に従って受信信号から第1擬似エコー信号を生成する第1適応フィルタ手段と、第1残差信号に基づき前記第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数に従って、受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行い第2疑似エコー信号として生成することにより、更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分がダブルトーク状態で含まれる信号となるよう第2擬似エコー信号を出力する非適応フィルタ手段と、同一の受信信号に対して用いられる適応フィルタのフィルタ係数と非適応フィルタのフィルタ係数との関係が、一方のフィルタ係数が常に他方のフィルタ係数の一定時間過去の値となるよう前記第1適応フィルタ手段に入力される受信信号または前記非適応フィルタ手段に入力される受信信号を所定の時間だけ遅延させる動作をさせる遅延手段と、前記第1適応フィルタ手段で生成された現在時に対応する第1擬似エコー信号を、第1擬似エコー信号と同じ現在時に対応する送信信号から減算し、シングルトーク状態において送信信号に含まれるエコー成分を有さない第1残差信号を生成し、第1残差信号を前記第1適応フィルタ手段へ送る第1減算手段と、前記非適応フィルタ手段によって作られた過去時に対応する第2擬似エコー信号を、第2擬似エコー信号と同じ過去時に対応する送信信号から減算し、ダブルトーク状態で劣化分を示しシングルトーク状態で第1残差信号に近似する第2残差信号を生成する第2減算手段と、前記第2減算手段で生成された第2残差信号のレベルと前記第1減算手段で生成された第1残差信号のレベルとの比が所定のしきい値を超えたか否かによってシングルトーク状態からダブルトーク状態に変化したことを検知し、ダブルトーク状態の検知またはシングルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号を出力する検知手段と、シングルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号を前記検知手段から受信した場合、現在時に対応する送信信号から得られるエコー消去送信信号およびエコー成分に近似する第3擬似エコー信号に従って第2フィルタ係数を更新し、第2フィルタ係数に従って現在時に対応する受信信号から現在時に対応する第3擬似エコー信号を生成する第2適応フィルタ手段と、前記第2適応フィルタ手段によって生成された第3擬似エコー信号を現在時に対応する送信信号から減算して、送信信号に含まれるエコー成分が取り除かれた上記エコー消去送信信号を生成し、前記第2適応フィルタ手段に第2フィルタ係数を更新させるようにエコー消去送信信号を前記第2適応フィルタ手段へ送り、かつエコー消去送信信号を出力する第3減算手段とを備えるようにしたものである。
エコーキャンセラの上記構成において、検知手段がシングルトーク状態を第2適応フィルタ手段に知らせた場合、第2フィルタ係数は更新され、エコー消去送信信号が出力される。一方、検知手段がダブルトーク状態を第2適応フィルタ手段に知らせた場合、第2フィルタ係数は更新されず、シングルトーク状態において更新された第2フィルタ係数を用いて作られたエコー消去送信信号が出力される。ダブルトーク状態において第2フィルタ係数が更新されたと仮定すると、第2フィルタ係数は第1フィルタ係数と同様に劣化するので、ダブルトーク状態における更新操作で第2フィルタ係数が劣化する可能性はない。
このことによって、第2フィルタ係数の劣化は最小限に押さえられ、ダブルトーク状態においてさえも、通話品質の高い第1話者の声を送ることができるという効果が得られる。
また、第2残差信号と第1残差信号とのレベル差に従って第1フィルタ係数の劣化分が評価されるので、フィルタ係数が十分収束したか否かを判定する機能を不要としながら、検知遅れが少なく且つ使用される環境に依存しないという効果が得られる。
【0014】
この発明に係るエコーキャンセラは、遅延手段が、過去時に関わる受信信号を受信し所定時間だけ受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成することによって、第1擬似エコー信号を第1適応フィルタ手段によって遅延受信信号から生成するようにする第1の遅延手段と、過去時に対応する送信信号を第1の話者から受信し所定時間だけ送信信号を遅延させた遅延送信信号を出力することによって、第1擬似エコー信号を第1減算手段によって遅延送信信号から減算するようにする第2の遅延手段とから構成され、第2擬似エコー信号は非適応フィルタ手段によって現在時に対応する受信信号から生成され、第2擬似エコー信号は第2減算手段によって現在時に対応する送信信号から減算され、現在時に第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数は非適応フィルタ手段へ送られ、第2減算手段で生成される第2残差信号を所定時間だけ遅延して遅延第2残差信号を生成することにより、遅延第2残差信号と第1残差信号の差に基づいてダブルトーク状態を検知手段によって検知するようにする第3遅延手段を備えるようにしたものである。
上記構成において、第1残差信号は過去時に対応する送信信号および過去時に対応する受信信号から生成され、第1フィルタ係数は過去時に対応する第1残差信号に従って更新され、第2残差信号は過去時に対応する第1フィルタ係数に従って現在時に対応する受信信号から生成される。
このことによって、シングルトーク状態からダブルトーク状態への変化が確実に検知できるという効果が得られる。
【0015】
この発明に係るエコーキャンセラは、遅延手段が、過去時に関わる受信信号を受信し所定時間だけ受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成することによって、第2擬似エコー信号を非適応フィルタ手段によって遅延受信信号から生成するようにする第1の遅延手段と、過去時に対応する送信信号を第1の話者から受信し所定時間だけ送信信号を遅延させた遅延送信信号を出力することによって、第2擬似エコー信号を第2減算手段によって遅延送信信号から減算するようにする第2の遅延手段とから構成され、第1擬似エコー信号は第1適応フィルタ手段によって現在時に対応する受信信号から生成され、第1擬似エコー信号は第1減算手段によって現在時に対応する送信信号から減算され、現在時に第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数は非適応フィルタ手段へ送られ、第1減算手段で生成される第1残差信号を所定時間だけ遅延して遅延第1残差信号を生成することにより、遅延第1残差信号と第2残差信号の差に基づいてダブルトーク状態を検知手段によって検知するようにする第3遅延手段を備えるようにしたものである。
上記構成において、第1残差信号は現在時に対応する送信信号および現在時に対応する受信信号から生成され、第1フィルタ係数は現在時に対応する第1残差信号に従って更新され、第2擬似エコー信号は現在時に対応する第1フィルタ係数に従って過去時に対応する受信信号から生成される。
このことによって、シングルトーク状態からダブルトーク状態への変化が確実に検知できるという効果が得られる。
【0019】
この発明に係るエコーキャンセラは、シングルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号を受信した場合、シングルトーク状態では受信信号に由来するエコー成分を示しダブルトーク状態では第1の話者の声及びエコー成分の混合を示す送信信号から得られるエコー消去送信信号に従って第1フィルタ係数を更新し、ダブルトーク状態で劣化する更新された第1フィルタ係数に従って受信信号から第1擬似エコー信号を生成する第1適応フィルタ手段と、エコー消去送信信号に基づき前記第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数に従って、受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行い第2疑似エコー信号として生成することにより、更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分がダブルトーク状態で含まれる信号となるよう第2擬似エコー信号を出力する非適応フィルタ手段と、同一の受信信号に対して用いられる適応フィルタのフィルタ係数と非適応フィルタのフィルタ係数との関係が、一方のフィルタ係数が常に他方のフィルタ係数の一定時間過去の値となるよう前記第1適応フィルタ手段に入力される受信信号または前記非適応フィルタ手段に入力される受信信号を所定の時間だけ遅延させる動作をさせる遅延手段と、前記第1適応フィルタ手段で生成された過去時に対応する第1擬似エコー信号を、第1擬似エコー信号と同じ過去時に対応する送信信号から減算し、シングルトーク状態において送信信号に含まれるエコー成分を有さないエコー消去送信信号を生成し、エコー消去送信信号を第1適応フィルタ手段へ送る第1減算手段と、前記非適応フィルタ手段によって作られた現在時に対応する第2擬似エコー信号を、第2擬似エコー信号と同じ現在時に対応する送信信号から減算し、ダブルトーク状態で劣化分を示しシングルトーク状態でエコー消去送信信号に近似する第1残差信号を生成する第2減算手段と、前記第2減算手段で生成された第1残差信号のレベルと前記第1減算手段で生成されたエコー消去送信信号のレベルとの比が所定のしきい値を超えたか否かによってシングルトーク状態からダブルトーク状態に変化したことを検知し、ダブルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号またはシングルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号を第1適応フィルタ手段へ出力する検知手段とを備えるようにしたものである。
上記エコーキャンセラの構成において、ダブルトーク検知装置と同様に、ダブルトーク状態又はシングルトーク状態が検知手段によって検知され、シングルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号が第1適応フィルタ手段へ送られる。第1適応フィルタ手段では、第1フィルタ係数はダブルトーク状態において更新されないが、シングルトーク状態においてトーク状態検知信号に従って更新される。更新動作で、第1フィルタ係数は劣化しないが、ダブルトーク状態において第1フィルタ係数は更新されないので、第1フィルタ係数は少し劣化する。結果として、ダブルトーク検知装置と同様に、ダブルトーク状態又はシングルトーク状態が検知手段によって検知される。
このことによって、第2フィルタ係数の劣化は最小限に押さえられ、ダブルトーク状態においてさえも、通話品質の高い第1話者の声を送ることができるという効果が得られる。
また、ダブルトーク検知装置と同様に、ダブルトーク状態が検知手段によって検知されるので、フィルタ係数が十分収束したか否かを判定する機能を不要としながら、検知遅れが少なく且つ使用される環境に依存しない。
さらに、第2適応フィルタ手段と第3減算手段を必要としないので、上述のエコーキャンセラと比べて、処理量及びメモリー量が小規模なエコーキャンセラが実現できるという効果が得られる。
【0020】
この発明に係るエコーキャンセラは、遅延手段が、過去時に関わる受信信号を受信し所定時間だけ受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成することによって、第1擬似エコー信号を第1適応フィルタ手段によって遅延受信信号から生成するようにする第1の遅延手段と、過去時に対応する送信信号を第1の話者から受信し所定時間だけ送信信号を遅延させた遅延送信信号を出力することによって、第1擬似エコー信号を第1減算手段によって遅延送信信号から減算するようにする第2の遅延手段とから構成され、第2擬似エコー信号は非適応フィルタ手段によって現在時に対応する受信信号から生成され、第2擬似エコー信号は第2減算手段によって現在時に対応する送信信号から減算され、現在時に第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数は非適応フィルタ手段へ送られ、第2減算手段で生成される第1残差信号を所定時間だけ遅延して遅延第1残差信号を生成することにより、遅延第1残差信号とエコー消去送信信号の差に基づいてダブルトーク状態を検知手段によって検知するようにする第3遅延手段を備えるようにしたものである。
上記構成において、第1残差信号は過去時に対応する送信信号および過去時に対応する受信信号から生成され、第1フィルタ係数は過去時に対応する第1残差信号に従って更新され、第2擬似エコー信号は過去時に対応する第1フィルタ係数に従って現在時に対応する受信信号から生成される。
このことによって、シングルトーク状態からダブルトーク状態への変化が確実に検知できるという効果が得られる。
【0021】
この発明に係るエコーキャンセラは、遅延手段が、過去時に関わる受信信号を受信し所定時間だけ受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成することによって、第2擬似エコー信号を非適応フィルタ手段によって遅延受信信号から生成するようにする第1の遅延手段と、過去時に対応する送信信号を第1の話者から受信し所定時間だけ送信信号を遅延させた遅延送信信号を出力することによって、第2擬似エコー信号を第2減算手段によって遅延送信信号から減算するようにする第2の遅延手段とから構成され、第1擬似エコー信号は第1適応フィルタ手段によって現在時に対応する受信信号から生成され、第1擬似エコー信号は第1減算手段によって現在時に対応する送信信号から減算され、現在時に第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数は非適応フィルタ手段へ送られ、第1減算手段で生成されるエコー消去送信信号を所定時間だけ遅延して遅延第2残差信号を生成することにより、遅延第2残差信号と第1残差信号の差に基づいてダブルトーク状態を検知手段によって検知するようにする第3遅延手段を備えるようにしたものである。
上記構成において、第1残差信号は現在時に対応する送信信号および現在時に対応する受信信号から生成され、第1フィルタ係数は現在時に対応する第1残差信号に従って更新され、第2擬似エコー信号は現在時に対応する第1フィルタ係数に従って過去時に対応する受信信号から生成される。
このことによって、シングルトーク状態からダブルトーク状態への変化が確実に検知できるという効果が得られる。
【0025】
この発明に係るエコーサプレッサは、シングルトーク状態では受信信号に由来するエコー成分を示しダブルトーク状態では第1の話者の声及びエコー成分の混合を示す送信信号から得られる第1残差信号に従って第1フィルタ係数を更新し、ダブルトーク状態で劣化する更新された第1フィルタ係数に従って受信信号から第1擬似エコー信号を生成する第1適応フィルタ手段と、第1残差信号に基づき前記第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数に従って、受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行い第2疑似エコー信号として生成することにより、更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分がダブルトーク状態で含まれる信号となるよう第2擬似エコー信号を出力する非適応フィルタ手段と、同一の受信信号に対して用いられる適応フィルタのフィルタ係数と非適応フィルタのフィルタ係数との関係が、一方のフィルタ係数が常に他方のフィルタ係数の一定時間過去の値となるよう前記第1適応フィルタ手段に入力される受信信号または前記非適応フィルタ手段に入力される受信信号を所定の時間だけ遅延させる動作をさせる遅延手段と、前記第1適応フィルタ手段で生成された過去時に対応する第1擬似エコー信号を、第1擬似エコー信号と同じ過去時に対応する送信信号から減算し、シングルトーク状態において送信信号に含まれるエコー成分を有さない第1残差信号を生成し、第1残差信号を第1適応フィルタ手段へ送る第1減算手段と、前記非適応フィルタ手段によって作られた現在時に対応する第2擬似エコー信号を、第2擬似エコー信号と同じ現在時に対応する送信信号から減算し、ダブルトーク状態で劣化分を示しシングルトーク状態で第1残差信号に近似する第2残差信号を生成する第2減算手段と、前記第2減算手段で生成された第2残差信号のレベルと前記第1減算手段で生成された第1残差信号のレベルとの比が所定のしきい値を超えたか否かによってシングルトーク状態からダブルトーク状態に変化したことを検知し、ダブルトーク状態の検知またはシングルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号を出力する検知手段と、前記検知手段からトーク状態検知信号を受信し、トーク状態検知信号に従って、現在受けた送信信号の減衰量を示す送信減衰量制御信号及び現在受けた受信信号の減衰量を示す受信減衰量制御信号を作る減衰量制御手段と、前記減衰量制御手段によって作られた送信減衰量制御信号に従って現在受けた送信信号を減衰する第1減衰手段と、前記減衰量制御手段によって作られた受信減衰量制御信号に従って現在受けた受信信号を減衰する第2減衰手段とを備えるようにしたものである。
エコーサプレッサの上記構成において、受信信号での第2話者の声の存在に基づくシングルトーク状態が、第1話者の声が送信信号に付け加わったために、ダブルトーク状態へ移行したとき、ダブルトーク状態は検知手段によって検知され、受信信号は受信減衰量制御信号に従って減衰される。従って、第1話者の声に混ざっているエコー成分は抑制される。また、この場合、ダブルトーク状態での送信信号の減衰量は、シングルトーク状態と比較して、減少させられる。
このことによって、受信信号及び送信信号の減衰量は減衰量制御信号に従って調節されるので、ダブルトーク状態で通話の断続現象が軽減しながら、通話品質が高い第2話者の声のエコーが抑圧されたエコーサプレッサが実現できるという効果が得られ、ダブルトーク検知装置と同様に、第1状態遷移において、ダブルトーク状態が検知されるので、フィルタ係数が十分収束したか否かを判定する機能を不要としながらも、検知遅れが少なく且つ使用される環境に依存しないダブルトーク検知ができるという効果が得られる。
【0026】
この発明に係るエコーサプレッサは、遅延手段が、過去時に関わる受信信号を受信し所定時間だけ受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成することによって、第1擬似エコー信号を第1適応フィルタ手段によって遅延受信信号から生成するようにする第1の遅延手段と、過去時に対応する送信信号を第1の話者から受信し所定時間だけ送信信号を遅延させた遅延送信信号を出力することによって、第1擬似エコー信号を第1減算手段によって遅延送信信号から減算するようにする第2の遅延手段とから構成され、第2擬似エコー信号は非適応フィルタ手段によって現在時に対応する受信信号から生成され、第2擬似エコー信号は第2減算手段によって現在時に対応する送信信号から減算され、現在時に第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数は非適応フィルタ手段へ送られ、第2減算手段で生成される第2残差信号を所定時間だけ遅延して遅延第2残差信号を生成することにより、遅延第2残差信号と第1残差信号の差に基づいてダブルトーク状態を検知手段によって検知するようにする第3遅延手段を備えるようにしたものである。
上記構成において、第1残差信号は過去時に対応する送信信号および過去時に対応する受信信号から生成され、第1フィルタ係数は過去時に対応する第1残差信号に従って更新され、第2擬似エコー信号は過去時に対応する第1フィルタ係数に従って現在時に対応する受信信号から生成される。
このことによって、シングルトーク状態からダブルトーク状態への変化が確実に検知できるという効果が得られる。
【0027】
この発明に係るエコーサプレッサは、遅延手段が、過去時に関わる受信信号を受信し所定時間だけ受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成することによって、第2擬似エコー信号を非適応フィルタ手段によって遅延受信信号から生成するようにする第1の遅延手段と、過去時に対応する送信信号を第1の話者から受信し所定時間だけ送信信号を遅延させた遅延送信信号を出力することによって、第2擬似エコー信号を第2減算手段によって遅延送信信号から減算するようにする第2の遅延手段とから構成され、第1擬似エコー信号は第1適応フィルタ手段によって現在時に対応する受信信号から生成され、第1擬似エコー信号は第1減算手段によって現在時に対応する送信信号から減算され、現在時に第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数は非適応フィルタ手段へ送られ、第1減算手段で生成される第1残差信号を所定時間だけ遅延して遅延第1残差信号を生成することにより、遅延第1残差信号と第2残差信号の差に基づいてダブルトーク状態を検知手段によって検知するようにする第3遅延手段を備えるようにしたものである。
上記構成において、第1残差信号は現在時に対応する送信信号および現在時に対応する受信信号から生成され、第1フィルタ係数は現在時に対応する第1残差信号に従って更新され、第2擬似エコー信号は現在時に対応する第1フィルタ係数に従って過去時に対応する受信信号から生成される。
このことによって、シングルトーク状態からダブルトーク状態への変化が確実に検知できるという効果が得られる。
【0030】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための最良の形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
この実施の形態1は、遠端話者の声の存在に基づくシングルトーク状態が近端話者の声の遠端話者の声への追加に基づくダブルトーク状態への移行である第1状態遷移で生ずるダブルトーク状態を検知するための構成に絞って説明したものである。
第1図はこの発明の実施の形態1によるダブルトーク検知装置の構成図である。
第1図において、1は送信路を通って送信される遠端話者の声を示す受信信号を受ける入力端子、2は第1遷移状態のシングルトーク状態において、音響結合等により、受信信号の出力端子から近端話者側のエコーパスを通って送られる受信信号から発生したエコー信号を、送信信号として受信し、第1遷移状態のダブルトーク状態において、エコー信号が近端話者の声と混ざっている送信信号を受信する入力端子、3は入力端子1で受けた受信信号を所定時間Tだけ遅延させた遅延受信信号を作る第1遅延器、4は入力端子2で受けた送信信号を所定時間Tだけ遅延させた遅延送信信号を作る第2遅延器、5は第1適応フィルタ器であり、第1フィルタ係数を有し、振幅(以下、レベルと呼ぶ)が遅延送信信号と遅延受信信号から得られる第1擬似エコー信号とのレベル差を示す第1残差信号に従って、第1フィルタ係数に基づくインパルス応答が近端話者側のエコーパスの実際のインパルス応答に近似するように、第1フィルタ係数を更新し、更新された第1フィルタ係数に従って、遅延受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って第1擬似エコー信号を作る。更新された第1フィルタ係数はダブルトーク状態で劣化する。
6は、第1適応フィルタ器5で生成された第1擬似エコー信号を第2の遅延器4で生成された遅延送信信号から減算し、シングルトーク状態においてエコー信号によって示される受信信号のエコー成分が消去された第1残差信号を生成し、第1残差信号を第1適応フィルタ器5に出力する第1減算器、7は非適応フィルタ器であり、所定時間Tだけ現在時に先立つ過去時に入力端子1で受けた受信信号に基づき更新された第1フィルタ係数を第1適応フィルタ器5から受信し、更新された第1フィルタ係数に基づき入力端子1で現時点で受けた受信信号に対し、エコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って、ダブルトーク状態で更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分が含まれる第2擬似エコー信号を生成し出力する。
【0031】
8は入力端子2で現時点で受けた送信信号から、非適応フィルタ器7によって作られた第2擬似エコー信号を減算することで、ダブルトーク状態で第1フィルタ係数の劣化分を示す第2残差信号を作る第2減算器、9は第2減算器8で作られた第2残差信号を所定時間T遅延して遅延第2残差信号を作る第3遅延器、10は第3遅延器9で作られた遅延第2残差信号と第1減算器6で作られた第1残差信号のレベル比が所定の値以上であるか否かを判断し、レベル比が所定の値以上である場合にはダブルトーク状態として検知し、ダブルトーク検知結果を出力端子11から出力する検知器である。
第1適応フィルタ器5では、適応フィルタを用いた適応アルゴリズムとしてLMS(Least Mean Square)アルゴリズムを使用する。このLMSアルゴリズムによって、第1フィルタ係数を用いて、近端話者側のエコーパスのインパルス応答に近似させる処理を行う。第1適応フィルタ器5での第1フィルタ係数の更新は、受信信号が無音で無い限り常時行う。
【0032】
以下、シングルトーク状態でのダブルトーク検知装置の動作をはじめに説明する。
第1適応フィルタ器5で、第1フィルタ係数に従って、第1遅延器3で遅延された遅延受信信号に対し、近端話者側のエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行ってエコー信号に近似する第1擬似エコー信号を作る。その後、第1減算器6で、第1擬似エコー信号を第2遅延器4で生成された遅延送信信号から減算し、第1残差信号を生成する。第1残差信号は第1適応フィルタ器5に出力され、第1フィルタ係数が第1残差信号のレベルを減じるように常に更新され、エコー信号に近似した第1擬似エコー信号が作られ、第1残差信号のレベルは最小化される。
更新された第1フィルタ係数は非適応フィルタ器7へ送られる。非適応フィルタ器7で、入力端子1で現時点で受けた受信信号に対し、更新された第1フィルタ係数に基づき、エコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って、第2擬似エコー信号を生成する。この場合、更新された第1フィルタ係数は所定時間Tだけ現在時に先立つ過去時に受けた受信信号に基づくけれども、エコー信号の時間変化は小さいので、第2擬似エコー信号はエコー信号に近似し、第2減算器8で得られた第2残差信号のレベルは第1残差信号と同じように最小化される。
その後、第2残差信号と第1残差信号との時間の整合性のために、第2残差信号は第3遅延器9で遅延され、遅延第2残差信号が作られる。遅延第2残差信号の第1残差信号とのレベル比は検知器10で調べられ、レベル比は小さいので、シングルトーク状態であると判断される。
【0033】
次に、第1状態遷移のダブルトーク状態でのダブルトーク検知装置の動作を第11図を参照して説明する。
第11図は、遠端話者側音声のみが有音であるシングルトーク状態から近端話者側音声が入り込みダブルトーク状態に遷移する場合である第1状態遷移においてダブルトーク検知装置で検知された受信信号、遅延送信信号、第1残差信号、遅延第2残差信号及び送信信号を示す。これらの信号は、縦軸を各信号のデシベル(dB)レベル、横軸を経過時間としたグラフに示される。
第11図において、時間t0から近端話者側音声が始まり、ダブルトーク状態になっている。その後、第1残差信号のレベルと遅延第2残差信号のレベルとの差は時間とともに増加する。遅延第2残差信号は常に第1残差信号のレベルの上に位置していることが分かる。
【0034】
本来、適応フィルタによるフィルタ係数は、近端話者側のエコーパスを通って送られる受信信号から、エコーパスのインパルス応答の畳み込みによって生成されたエコー信号のみが送信信号として入力端子2に入力されている時、つまり近端話者側音声が無い時に有効に更新される。しかし、時間t0以降は送信信号に近端話者側音声が含まれる区間つまりダブルトーク状態であり、フィルタ係数の更新を行うには有効な区間では無い。これによって適応フィルタのフィルタ係数は、エコーパスのインパルス応答を正しく近似することができず、誤ったインパルス応答を推定してしまう。これは適応フィルタ器5でのフィルタ係数の劣化と呼ばれる。
この場合、適応フィルタのフィルタ係数は、そのフィルタ係数が本来近似すべきインパルス応答に近づいているか否かに関係なく、常に第1残差信号を最小化させるように更新される。そのため、第11図において、時刻t0以降の第1適応フィルタ器5における第1フィルタ係数は、第1フィルタ係数が劣化するにかかわらず、第1残差信号を最小化させるように更新される。そのため、第1残差信号のレベルだけでは即座に第1フィルタ係数の劣化を判別することはできない。
一方、遅延第2残差信号では、第1フィルタ係数の劣化分が即座に現れる。その理由は以下である。第1適応フィルタ器5におけるダブルトーク状態でのフィルタ係数の更新によって、第1フィルタ係数が劣化する。劣化した第1フィルタ係数は非適応フィルタ器7へ送られる。非適応フィルタ器7においては、現時点で受けた受信信号に対し、劣化した第1フィルタ係数に基づきエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算が行われる。劣化した第1フィルタ係数は所定時間Tだけ現在時に先立つ過去時に送られてきた受信信号から得られるので、第1フィルタ係数の劣化分が非適応フィルタ器7で得る第2擬似エコー信号に含まれる。その後、第2減算器8で第2残差信号を得るべく、現時点で受信した送信信号から第2擬似エコー信号を減算したとき、その劣化分が第2残差信号において明らかに現れる。
【0035】
その後、第1残差信号と第2残差信号との時間の整合性と保つために第3遅延器9によって第2残差信号を遅延させて、遅延第2残差信号を生成している。
そこで本発明では、劣化分が隠れている第1残差信号に比べて、その劣化分が第2残差信号において明らかに現れるので、この第1残差信号と遅延第2残差信号のレベルの差がダブルトーク状態において大きくなる。もしシングルトーク状態でなければ、第1残差信号と遅延第2残差信号のレベルに差はほとんど無く、もしダブルトーク状態になれば、第1残差信号と遅延第2残差信号のレベル差が非常に大きくなり、遅延第2残差信号の第1残差信号に対するレベル比が検知器10でチェックされ、ダブルトーク状態を速やかに検知する。
【0036】
第11図において、エコーパスの利得、すなわち、送信信号Sの受信信号Xとのレベル比(S/X)は6dBに対応する0.5に設定されている(レベル比は振幅比を意味するため)。
ダブルトーク検知方法Aを用いた場合、使用環境に応じた所定の定数を決めておく必要がある。仮にこのエコーパスの利得の0.5が予め分かっていたならば、そのエコーパスの利得に相当する式(2)中のp2の定数が0.5と決定できる。これによって、ダブルトーク検知方法Aは、時刻t3で受信信号のレベルが有音で且つ、送信信号のレベルと受信信号のレベルの比(S/X)が0.5を超え、ダブルトーク検知方法Aの第2条件の式(1)が不成立で式(2)が成立して、第2条件が満たされ、時刻t3でダブルトーク状態であると検知できる。
ところが、従来のダブルトーク検知方法Aにおいて、このエコーパスの利得が未知の場合、定数p2は予め決定することはできない。そのため、式(2)による検知が行えず、ダブルトーク状態の検知は式(3)が成立するまで検知できない。ダブルトーク検知方法Aでは、フィルタ係数が収束したか否かを判定要素として用いていないため、初期状態からの適応フィルタのフィルタ係数の更新を行うためには、p3は少なくとも1.0以上の値を設定しなければならない。さもなければ、初期状態以降、常にダブルトーク状態と検知してしまい、適応フィルタによるフィルタ更新は行えないことになる。そこで、ダブルトーク検知方法Aで式(3)中のp3の値を1.0に設定した場合、ダブルトーク状態の検知は、第11図における第1残差信号のレベルが送信信号のレベルを上回った時となる。これは、ダブルトーク検知方法Aを用いて、エコーパスの利得が未知の場合は、時刻t3より更にダブルトーク状態の検知に時間が要することになる。
【0037】
また、従来のダブルトーク検知方法Bを用いた場合、フィルタ係数が十分収束できているか否かを判定する必要がある。仮に第11図の時刻tsでフィルタ係数が十分収束したと判定でき、SM/EMを正しく求めることができれば時刻t2で式(4)が成立しダブルトーク状態の検知が可能である。
なお、第11図においては、縦軸のレベルをdB単位で示しているため、SM/EMはY−X(dB)、C2は1/2で−6dBに相当するため、C2*SM/EMはY−X−6(dB)となり、時刻t2でSj/EjがC2*SM/EMを下回り、式(4)が成立しダブルトーク状態を検知できる。
しかし、ダブルトーク検知方法Bにおいて、フィルタ係数が十分収束したか否かの判定が正しく行うことができない場合がある。たとえば、時刻t0以降のダブルトーク状態になった後においても、再度、フィルタ係数が十分収束していると誤って判定された場合、SM/EMの値は時刻tsで求められるものより小さくなり、式(4)が成立する時刻もSj/Ejが更に小さくなる時刻t2以降となる。つまり、ダブルトーク検知方法Bを用いて、フィルタ係数が十分収束したか否かの判定が正しく行うことができない場合は、ダブルトーク状態の検知に更に時間が要する可能性がある。
【0038】
これら従来法に比べ本発明では、遅延第2残差信号のレベルと第1残差信号のレベルとの比が0.5dB以上であるとダブルトーク状態であると検知させている。つまり、第11図でレベル比が時刻t1で0.5dB以上になるので、時刻t1でダブルトーク状態の検知を行うことができる。なお、ここで0.5dBとした所定の定数については、遠端話者側音声のみが有音のシングルトーク状態からダブルトーク状態へ遷移したことを検知するための最低限のマージンで十分ある。実験的に調整した結果、この所定の定数を0.5dBとすることで、エコーパスの変動などによって生じる2つの信号の差をダブルトークと誤検知することもなく、遠端話者側音声のみが有音のシングルトーク状態からダブルトーク状態への遷移を確実に判定できることを確認している。
上記説明から明らかなように、遅延第2残差信号と第1残差信号とのレベル比の大きさによって第1フィルタ係数の劣化の大きさを評価し、このレベル比に基づいてダブルトーク状態を検知するように構成したので、フィルタ係数が十分収束したか否かを判定する機能を不要としながらも、検知遅れが少なく且つ使用される環境に依存することなく、第1遷移状態でダブルトーク状態が確実に検知できる。
なお、この実施の形態1は、第1状態遷移でのダブルトーク状態を検知するための構成に絞って説明したものである。無音状態と第2状態遷移で発生するダブルトーク状態は従来のダブルトーク検知装置で検知されるので、この実施の形態のダブルトーク検知装置が従来のダブルトーク検知装置と結合することにより、最終的な判定結果が、この実施の形態1のダブルトーク検知装置のダブルトーク検知結果及び従来のダブルトーク検知装置のダブルトーク検知結果から得られる。
なお、この実施の形態1においては、LMSアルゴリズムを用いて記述しているが、カルマン方などの他の適応アルゴリズムにおいても同様の効果が期待できる。
【0039】
実施の形態2.
この実施の形態2では、第1状態遷移で生ずるダブルトーク状態を検知する構成に絞って説明する。
第2図はこの発明の実施の形態2によるダブルトーク検知装置の構成図である。
第2図において、101は、送信路を通って送信される遠端話者の声を示す受信信号を受ける入力端子、102は、第1遷移状態のシングルトーク状態において、音響結合等により、受信信号の出力端子から近端話者側のエコーパスを通って送られる受信信号から発生したエコー信号を、送信信号として受信し、第1遷移状態のダブルトーク状態において、エコー信号が近端話者の声と混ざっている送信信号を受信する入力端子、103は、入力端子101で受けた受信信号を所定時間Tだけ遅延させた遅延受信信号を作る第1遅延器、104は、入力端子102で受けた送信信号を所定時間Tだけ遅延させた遅延送信信号を作る第2遅延器、105は第1適応フィルタ器であり、第1フィルタ係数を有し、レベルが送信信号と受信信号から得られる第1擬似エコー信号とのレベル差を示す第1残差信号に従って、第1フィルタ係数に基づくインパルス応答が近端話者側のエコーパスの実際のインパルス応答に近似するように、第1フィルタ係数を更新し、更新された第1フィルタ係数に従って、現時点で入力端子101で受信した受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って第1擬似エコー信号を作る。更新された第1フィルタ係数はダブルトーク状態で劣化する。
106は、第1適応フィルタ器105で生成された第1擬似エコー信号を現時点で入力端子102で受信した送信信号から減算し、シングルトーク状態においてエコー信号によって示される受信信号のエコー成分が消去された第1残差信号を生成し、第1残差信号を第1適応フィルタ器105に出力する第1減算器、107は非適応フィルタ器であり、現時点で入力端子101で受信した入力端子101で受けた受信信号に基づき更新された第1フィルタ係数を第1適応フィルタ器105から受信し、更新された第1フィルタ係数に基づき所定時間Tだけ現在時に先立つ過去時に入力端子101で受けた受信信号に基づく遅延受信信号に対し、エコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って、ダブルトーク状態で更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分が含まれる第2擬似エコー信号を生成し出力する。
【0040】
108は第2遅延器104で作られた遅延送信信号から、非適応フィルタ器7によって作られた第2擬似エコー信号を減算することで、ダブルトーク状態で第1フィルタ係数の劣化分を示す第2残差信号を作る第2減算器、109は第1減算器106で作られた第1残差信号を所定時間T遅延して遅延第1残差信号を作る第3遅延器、110は第3遅延器109で作られた遅延第1残差信号と第2減算器108で作られた第2残差信号のレベル比が所定の値以上であるか否かを判断し、レベル比が所定の値以上である場合にはダブルトーク状態として検知し、ダブルトーク検知結果を出力端子111から出力する検知器である。
第1適応フィルタ器105では、適応フィルタを用いた適応アルゴリズムとしてLMSアルゴリズムを使用する。このLMSアルゴリズムによって、第1フィルタ係数を用いて、近端話者側のエコーパスのインパルス応答に近似させる処理を行う。第1適応フィルタ器105での第1フィルタ係数の更新は、受信信号が無音で無い限り常時行う。
以下、第2図に基づいて動作を説明する。
第1適応フィルタ器105では、第1フィルタ係数に従って、現時点で入力端子101で受信した受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って第1擬似エコー信号を作り、ついで第1減算器106で第1残差信号が作られる。第1残差信号は第1適応フィルタ器105へ送られ、第1残差信号に従って、第1フィルタ係数を常時更新する。従って、第1残差信号のレベルは減少する。それゆえ、近端話者の声が送信信号に存在しない場合には、エコー信号に近似する第1擬似エコー信号が実施の形態1と同様に作られ、第1残差信号のレベルは最小化される。更新された第1フィルタ係数は非適応フィルタ器107へ送られ、現時点で受信した受信信号に基づき更新された第1フィルタ係数に基づき所定時間Tだけ現在時に先立つ過去時に入力端子101で受けた受信信号に基づく遅延受信信号から、第2擬似エコー信号を生成する。
【0041】
第1フィルタ係数の更新のために用いられた受信信号の受信時が非適応フィルタ器107で処理される受信信号の受信時と異なるために、エコー信号が近端話者の声に重複してシングルトーク状態がダブルトーク状態へ移行している場合、第1フィルタ係数は更新操作において劣化する。劣化分は実施の形態1と同様に第2擬似エコー信号に含まれ、劣化分は第2残差信号のレベルに示される。
その後、検知器110で、遅延第1残差信号と第2残差信号のレベル比が調べられる。シングルトーク状態の場合は、実施の形態1と同様にレベル比は1に近い。一方、ダブルトーク状態へ移行している場合、劣化分は第2残差信号のレベルに示されるので、レベル比は大きく(たとえば、0.5dBに相当する)、ダブルトーク状態が即座に検知され、ダブルトーク検知結果が出力される。
従って、第2残差信号と遅延第1残差信号とのレベル比の大きさによって第1フィルタ係数の劣化の大きさを評価し、このレベル比に基づいてダブルトーク状態を検知するように構成したので、検知遅れが少なく且つ使用される環境に依存することなく第1遷移状態でダブルトーク状態が確実に検知できる。
なお、この実施の形態は、第1状態遷移でのダブルトーク状態を検知するための構成に絞って説明したものである。無音状態と第2状態遷移で発生するダブルトーク状態は従来のダブルトーク検知装置で検知される。従って、この実施の形態のダブルトーク検知装置が従来のダブルトーク検知装置と結合することにより、最終的な判定結果が、この実施の形態のダブルトーク検知装置のダブルトーク検知結果及び従来のダブルトーク検知装置のダブルトーク検知結果から得られる。
【0042】
実施の形態3.
第3図はこの発明の実施の形態3によるダブルトーク検知装置の構成図である。
第3図において、201は、送信路を通って送信される遠端話者の声を示す受信信号を受ける入力端子、202は、第1遷移状態のシングルトーク状態において、音響結合等により、受信信号の出力端子から近端話者側のエコーパスを通って送られる受信信号から発生したエコー信号を、送信信号として受信し、第1遷移状態のダブルトーク状態において、エコー信号が近端話者の声と混ざっている送信信号を受信する入力端子、205は第1適応フィルタ器であり、第1フィルタ係数を有し、レベルが送信信号と受信信号から得られる第1擬似エコー信号とのレベル差を示す第1残差信号に従って、第1フィルタ係数に基づくインパルス応答が近端話者側のエコーパスの実際のインパルス応答に近似するように、第1フィルタ係数を更新し、更新された第1フィルタ係数に従って、現時点で入力端子201で受信した受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って第1擬似エコー信号を作る。更新された第1フィルタ係数はダブルトーク状態で劣化する。
206は、第1適応フィルタ器205で生成された第1擬似エコー信号を現時点で入力端子202で受信した送信信号から減算し、シングルトーク状態においてエコー信号によって示される受信信号のエコー成分が消去された第1残差信号を生成し、第1残差信号を第1適応フィルタ器205に出力する第1減算器、212はフィルタ係数格納器であり、第1適応フィルタ器205で現時点で更新された1群の第1フィルタ係数を、その1群の第1フィルタ係数が第1適応フィルタ器205で更新されるたびに、受信し、その1群の更新された第1フィルタ係数を、最近得られたN個の群の第1フィルタ係数を常に格納するように最近実施されたN回の更新動作のちょうど前に更新された(N+1)番目の群の第1フィルタ係数を廃棄しながら、繰り返し格納する。i番目(i=1、2、---,N)の群の更新された第1フィルタ係数は(i−1)番目の群の更新された第1フィルタ係数のちょうど前に得られる。
【0043】
207は非適応フィルタ器であり、フィルタ係数格納器212からN番目の群の第1フィルタ係数を受信し、N番目の群の第1フィルタ係数に基づき入力端子201で現時点で受けた受信信号に対し、エコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って、ダブルトーク状態で更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分が含まれる第2擬似エコー信号を生成し出力する。なお、N回の更新時間は所定時間Tに相当する。
208は、入力端子202で現時点で受けた送信信号から、非適応フィルタ器207によって作られた第2擬似エコー信号を減算することで、ダブルトーク状態で第1フィルタ係数の劣化分を示す第2残差信号を作る第2減算器、210は、第2減算器208で作られた第2残差信号と第1減算器206で作られた第1残差信号のレベル比が所定の値以上であるか否かを判断し、レベル比が所定の値以上である場合にはダブルトーク状態として検知し、ダブルトーク検知結果を出力端子211から出力する検知器である。
第1適応フィルタ器205では、適応フィルタを用いた適応アルゴリズムとしてLMSアルゴリズムを使用する。このLMSアルゴリズムによって、第1フィルタ係数を用いて、近端話者側のエコーパスのインパルス応答に近似させる処理を行う。第1適応フィルタ器205での第1フィルタ係数の更新は、受信信号が無音で無い限り常時行う。
上記構成において、第1適応フィルタ器205および第1減算器206では、第2図に示す第1フィルタ係数の更新および第1残差信号の生成が第1適応フィルタ器105および第1減算器106で実施される更新及び生成と同じように実施される。その後、第1残差信号は検知器210へ送られる。また、現時点で更新された1群の第1フィルタ係数は、更新動作が第1適応フィルタ器205で実施されるたびに、フィルタ係数格納器212で受信され、最近得られたN個の群の第1フィルタ係数をフィルタ係数格納器212に常に格納する。
【0044】
その後、フィルタ係数格納器212に格納されたN個の群のうち最も過去に対応するN番目の群の第1フィルタ係数は非適応フィルタ器207へ送られる。この非適応フィルタ器207では、実施の形態1及び実施の形態2での非適応フィルタ器7又は107で実施された生成と同じように、N番目の群の第1フィルタ係数に基づき入力端子201で現時点で受けた受信信号から第2擬似エコー信号を生成し、第2擬似エコー信号を入力端子202で現時点で受けた送信信号から減算することで、第2残差信号を作り、第2残差信号は検知器210へ送られる。その後、検知器210では、実施の形態1及び実施の形態2での検知器10又は110で実施された検知と同様に、第1残差信号および第2残差信号に従って、ダブルトーク状態が検知される。
従って、第2擬似エコー信号が、所定時間Tに相当するN倍の更新時間だけ現在時に先立つ過去時に得られたN番目の群の第1フィルタ係数に基づき、非適応フィルタ器207で生成されたので、フィルタ係数が十分収束したか否かを判定する機能を不要としながらも、検知遅れが少なく且つ使用される環境に依存することなく、第1遷移状態でダブルトーク状態が確実に検知できる。
又、実施の形態1又は実施の形態2における送信信号又は受信信号の通過路に置かれた遅延器を本実施の形態3では用いていないため、ダブルトーク状態の検知遅れが小さくでき、かつ使用環境に依存しないダブルトーク検知装置を得ることができる。
なお、この実施の形態3は、第1状態遷移でのダブルトーク状態を検知するための構成に絞って説明したものである。無音状態と第2状態遷移で発生するダブルトーク状態は従来のダブルトーク検知装置で検知される。従って、この実施の形態のダブルトーク検知装置が従来のダブルトーク検知装置と結合することにより、最終的な判定結果が、この実施の形態のダブルトーク検知装置のダブルトーク検知結果及び従来のダブルトーク検知装置のダブルトーク検知結果から得られる。
【0045】
実施の形態4.
第4図はこの発明の実施の形態4によるダブルトーク検知装置の構成図である。第3図の構成要素と同じ参照番号で示された第4図の構成要素は、第3図の構成要素と同じ又は同等であるので、説明は省かれる。
第4図において、212はフィルタ係数格納器であり、第1適応フィルタ器205で現時点で更新された1群の第1フィルタ係数を繰り返し受信し、その1群の更新された第1フィルタ係数を、最近得られたN個の群の第1フィルタ係数を常に格納するように、N個の群の第1フィルタ係数に先立って格納された(N+1)番目の群の第1フィルタ係数を廃棄しながら格納する。i番目(i=1、2、---,N)の群の更新された第1フィルタ係数は(i−1)番目の群の更新された第1フィルタ係数のちょうど前に得られる。
213は、フィルタ係数転送制御器であり、第1適応フィルタ器205で現時点で更新された1群の第1フィルタ係数の転送を制御するべく、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数をフィルタ係数格納器212に格納されたN個の群の第1フィルタ係数と比較し、ダブルトーク検知結果に基づき、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数が大幅に劣化していると判断された場合、または現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数がフィルタ係数格納器212に格納されたN個の群の第1フィルタ係数とほとんど同じである場合、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数を廃棄し、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数の廃棄が判断されなかった場合に、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数の採用を許可し、採用許可された1群の第1フィルタ係数を、フィルタ係数格納器212に第1群の更新された第1フィルタ係数として格納すべく、フィルタ係数格納器212に送る。
210は、第2減算器208で作られた第2残差信号と第1減算器206で作られた第1残差信号のレベル比が所定の値以上であるか否かを判断し、レベル比が所定の値以上である場合にはダブルトーク状態として検知し、ダブルトーク検知結果を出力端子211からフィルタ係数転送制御器213及び外部装置へ出力する検知器である。
上記構成で、ダブルトーク検知装置の動作を説明する。
第1適応フィルタ器205で更新された1群の第1フィルタ係数が、シングルトーク状態が続いているにも関わらず、突然に変化する場合がある(第1ケース)。この場合、その1群の第1フィルタ係数は大幅に劣化していると想定されるので、その1群の第1フィルタ係数は廃棄されたほうが良い。また、シングルトーク状態において受信信号の定常状態が長く続いている場合、複数の群の第1フィルタ係数は互いにほとんど同じである(第2ケース)。この場合、互いにほとんど同じである複数の群の第1フィルタ係数は廃棄されたほうが良い。
【0046】
本実施の形態4では、検知器210で得られたダブルトーク検知結果はフィルタ係数転送制御器213へ送られる。フィルタ係数転送制御器213では、トーク状態がシングルトーク状態であるかダブルトーク状態であるかが検知され、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数をフィルタ係数格納器212に格納されたN個の群の第1フィルタ係数と比較する。現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数がシングルトーク状態において突然に変化している場合、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数は大幅に劣化していると想定され、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数は廃棄される。また現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数がフィルタ係数格納器212に格納されたN個の群の第1フィルタ係数とシングルトーク状態においてほとんど同じである場合、シングルトーク状態において受信信号の定常状態が長く続いていると想定され、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数は廃棄される。
一方、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数が廃棄されることなく採用された場合、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数はフィルタ係数格納器212に送られ、N個の群の第1フィルタ係数に先立って格納された(N+1)番目の群の第1フィルタ係数を廃棄しながら、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数は第1群の第1フィルタ係数としてフィルタ係数格納器212に格納される。従って、第1適応フィルタ器205で最近更新され、フィルタ係数転送制御器213で許可されたN個の群の第1フィルタ係数がフィルタ係数格納器212に格納される。
その後、非適応フィルタ器207では、実施の形態3と同じように、フィルタ係数格納器212で最も古いN番目の群の第1フィルタ係数に基づき入力端子201で現時点で受けた受信信号から第2擬似エコー信号を生成し、検知器210では、実施の形態3と同様に、ダブルトーク状態が検知される。
従って、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数が大幅に劣化していると判断された場合、または現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数がフィルタ係数格納器212に格納されたN個の群の第1フィルタ係数とほとんど同じである場合、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数は廃棄されるので、ダブルトーク状態が確実に検知できる。
【0047】
又、現時点で更新された1群の第1フィルタ係数が第1適応フィルタ器205で更新されるたびには現時点で更新された1群の第1フィルタ係数は格納されないので、たとえ、フィルタ係数格納器212メモリ容量が実施の形態3のそれよりも小さくても、ダブルトーク状態が確実に検知できるため、フィルタ係数格納器212メモリ容量が小さくすることができる。
又、実施の形態3と同様に、遅延器が必要とされず、フィルタ係数が十分収束したか否かを判定する機能を不要としながらも、検知遅れが少なく且つ使用される環境に依存することなく、第1遷移状態でダブルトーク状態が確実に検知できる。
本実施の形態4では、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数はフィルタ係数格納器212に格納された全てのN個の群の第1フィルタ係数と比較された。しかしながら、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数がフィルタ係数格納器212に格納されたN個の群の第1フィルタ係数から選ばれた1以上の群の第1フィルタ係数と比較するようにしても良い。
【0048】
実施の形態5.
第5図はこの発明の実施の形態5によるダブルトーク検知装置の構成図である。第3図の構成要素と同じ参照番号で示された第5図の構成要素は、第3図の構成要素と同じ又は同等であるので、説明は省かれる。
第5図において、212はフィルタ係数格納器であり、第1適応フィルタ器205で現時点で更新された1群の第1フィルタ係数を繰り返し受信し、その1群の更新された第1フィルタ係数を、最近得られたM個の群の第1フィルタ係数を常に格納するように、M個の群の第1フィルタ係数に先立って格納された(M+1)番目の群の第1フィルタ係数を廃棄しながら格納する。i番目(i=1、2、---,M)の群の更新された第1フィルタ係数は(i−1)番目の群の更新された第1フィルタ係数のちょうど前に得られる。
207はN個の非適応フィルタ器(第1非適応フィルタ器207−1、第2非適応フィルタ器207−2及び第N非適応フィルタ器207−Nによって代表される)であり、それぞれが、フィルタ係数格納器212から1群の第1フィルタ係数を受信し、その1群の第1フィルタ係数に基づき入力端子201で現時点で受けた受信信号に対し、エコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って、ダブルトーク状態で更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分が含まれる第j擬似エコー信号(j=2、3、---、N+1,M≧N)を生成し出力する。N個の非適応フィルタ器207で受信されるN群の第1フィルタ係数は互いに異なり、第j非適応フィルタ器207−jで受信された第j群更新第1フィルタ係数は第(j−1)非適応フィルタ器207−(j−1)で受信された第(j−1)群更新第1フィルタ係数に先立って第1適応フィルタ器205で得られる。
208はN個の第2減算器208(第2減算器208−1、第2減算器208−2及び第2減算器208−Nによって代表される)であり、それぞれが第(j−1)非適応フィルタ器207−(j−1)で生成された第j擬似エコー信号を入力端子202で現時点で受信された送信信号から差し引き、ダブルトーク状態で第1フィルタ係数の劣化分を示す第j残差信号を作る。
【0049】
214は複数フィルタ係数転送制御器であり、第1適応フィルタ器205で現時点で更新された1群の第1フィルタ係数の転送を制御するべく、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数をフィルタ係数格納器212に格納されたM個の群の第1フィルタ係数と比較し、ダブルトーク検知結果に基づき、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数が大幅に劣化していると判断された場合、または現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数がフィルタ係数格納器212に格納されたM個の群の第1フィルタ係数とほとんど同じである場合、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数を廃棄し、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数の廃棄が判断されなかった場合に、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数の採用を許可し、次いで採用許可された1群の第1フィルタ係数を、フィルタ係数格納器212に第1群の更新された第1フィルタ係数として格納すべく、フィルタ係数格納器212に送り、かつN個の非適応フィルタ器207から選ばれた1つ以上の非適応フィルタ器207を意味する制御信号を出力する。
210は検知器であり、複数フィルタ係数転送制御器214から出力された制御信号に従って、1つ以上の非適応フィルタ器207に対応する1以上の第2減算器208で生成された1以上の第j残差信号を選択し、1以上の第j残差信号のパワーの平均パワーを有する平均残差信号を決定し、平均残差信号と第1減算器206で作られた第1残差信号のレベル比が所定の値以上であるか否かを判断し、レベル比が所定の値以上である場合にはダブルトーク状態として検知し、ダブルトーク検知結果を出力端子211から複数フィルタ係数転送制御器214及び外部装置へ出力する。
【0050】
上記構成で、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数の転送が、実施の形態4のフィルタ係数転送制御器213での制御と同様に、複数フィルタ係数転送制御器214で制御され、複数フィルタ係数転送制御器214で採用された現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数が実施の形態4と同様にフィルタ係数格納器212に格納される。その後、所定の選択に従って、フィルタ係数格納器212に格納されるM個の群の第1フィルタ係数からN個群の第1フィルタ係数が選択され、1対1対応でN個の非適応フィルタ器207に格納される。
その後、実施の形態3と同様に、N個の非適応フィルタ器207のそれぞれで、第(j−1)群の第1フィルタ係数に基づき入力端子201で現時点で受けた受信信号から第(j−1)擬似エコー信号を生成し、N個の擬似エコー信号が検知器210へ送られる。
検知器210では、複数フィルタ係数転送制御器214から出力された制御信号に従って、1つ以上の非適応フィルタ器207に対応する1以上の第2減算器208で生成された1以上の第j残差信号を選択する。例えば、シングルトーク状態において受信信号の定常状態が長く続いていると複数フィルタ係数転送制御器214で判断された場合、選択される残差信号の数が減るように制御信号が検知器210へ出力される。また、検知器210からへ出力されるダブルトーク検知結果に従ってシングルトーク状態からダブルトーク状態への変化が複数フィルタ係数転送制御器214で検知された場合、選択される残差信号の数が増えるように制御信号が検知器210へ出力される。次いで、選択された残差信号のパワーの平均パワーを有する平均残差信号を決定し、平均残差信号と第1減算器206で作られた第1残差信号に従ってダブルトーク検知結果が実施の形態3と同様に得られる。
【0051】
このことによって、シングルトーク状態からダブルトーク状態への変化が1以上の群の更新第1フィルタ係数に基づく1以上の残差信号に従って検知されるので、シングルトーク状態からダブルトーク状態への変化はさらに確実に検知できる。
又、操作状況に応じて、検知器210で選択される残差信号の数が変化されるので、ダブルトーク検知装置の安定した動作がいかなる操作状況でも実施でき、ダブルトーク検知装置の汎用性は高い。
また、実施の形態4と同様に、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数は廃棄されるので、実施の形態4と同様にダブルトーク状態が確実に検知できる。
本実施の形態5では、1つ以上の非適応フィルタ器207に対応する1以上の残差信号の選択を意味する制御信号は複数フィルタ係数転送制御器214で自動的に生成されたが残差信号の選択をオペレータが手動で実施しても良い。
又、本実施の形態5では、平均残差信号と第1残差信号のレベル比が所定の値以上である場合にダブルトーク状態として検知器210において検知された。しかしながら、更新順序で配置された(N+1)群の更新第1フィルタ係数に対応するN個の残差信号及び第1残差信号の(N+1)個のパワー値の時間変化を観察し、この時間変化およびレベル比に従ってダブルトーク状態への変化を検知するようにしても良い。例えば、パワー値が時と共に増加することが時間変化に従って、検知器210において検知された場合、第1適応フィルタ器205で更新された1群の第1フィルタ係数は徐々に劣化しているので、ダブルトーク状態への変化が検知されていると推定される。従って、この場合には、所定値は低めに変化させ、ダブルトーク状態への変化がすぐに検知できる。反対に、パワー値が時と共に減少することが時間変化に従って、検知器210において検知された場合、シングルトーク状態が続いていると推定され、所定値は高めに変化させる。たとえ第1適応フィルタ器205で更新された1群の第1フィルタ係数が突然変化しても、間違ってダブルトーク状態への変化としての検知を防ぐことができる。
又、本実施の形態5では、複数フィルタ係数転送制御器214で、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数はフィルタ係数格納器212に格納された全てのM個の群の第1フィルタ係数と比較された。しかしながら、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数がフィルタ係数格納器212に格納されたM個の群の第1フィルタ係数から選ばれた1以上の群の第1フィルタ係数と比較するようにしても良い。
【0052】
実施の形態6.
第6図はこの発明の実施の形態6によるエコーキャンセラの構成図である。
第6図において、304はダブルトーク検知器であり、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4または実施の形態5にしたがったダブルトーク検知装置が、無音状態と第2状態遷移で発生するダブルトーク状態を検知する従来のダブルトーク検知装置と結合することにより、遠端話者の声を示す受信信号及びダブルトーク状態において近端話者側のエコーパスを通る受信信号のエコー信号が近端話者の声と混ざっている送信信号に従って、第1状態遷移でのダブルトーク状態、第2状態遷移でのダブルトーク状態、または、入力端子301で受信された受信信号の無音状態を検知し、第1又は第2状態遷移でのダブルトーク状態の検知又は受信信号の無音状態の検知を示すダブルトーク検知結果を出力する。
305は第2適応フィルタ器であり、第2フィルタ係数を持ち、ダブルトーク検知器304からダブルトーク状態ではないというダブルトーク検知結果を受けたとき、レベルが送信信号と受信信号から得られる第3擬似エコー信号とのレベル差を示すエコー消去送信信号に従って、第2フィルタ係数に基づくインパルス応答が近端話者側のエコーパスの実際のインパルス応答に近似するように、第2フィルタ係数を更新し、第2フィルタ係数に従って、現時点で入力端子301で受信した受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って第3擬似エコー信号を作る。
306は第3減算器であり、入力端子302で受信した送信信号から、前記第2適応フィルタ器305の第3擬似エコー信号を減算し、エコー信号が送信信号から取り除かれたところのエコー消去送信信号を作り、エコー消去送信信号を出力端子303から送信路を通って遠端話者へ出力する。
【0053】
上記構成において、エコーキャンセラの動作を説明する。
ダブルトーク検知器304では、第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態か、若しくは受信信号が無音であるかが入力端子301で受信した受信信号及び入力端子302で受信した送信信号に基づいて検知され、第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態若しくは受信信号が無音を示すダブルトーク検知結果を第2適応フィルタ器305へ出力する。
第2適応フィルタ器305では、第2フィルタ係数に従って、現時点で入力端子301で受信した受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って第3擬似エコー信号を作る。第3減算器306では、送信信号から第3擬似エコー信号を減算してエコー消去送信信号を作り、エコー消去送信信号は第2適応フィルタ器305に入力される。
第2適応フィルタ器305では、ダブルトーク検知器304からダブルトーク状態ではないというダブルトーク検知結果を受けたとき、レベルが送信信号と受信信号から得られる第3擬似エコー信号とのレベル差を示すエコー消去送信信号に従って、第2フィルタ係数に基づくインパルス応答が近端話者側のエコーパスの実際のインパルス応答に近似するように、第2フィルタ係数を更新し、受信信号のエコー信号に近似する第3擬似エコー信号が作られる。
第2フィルタ係数の更新が、第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態若しくは受信信号が無音である状態以外のトーク状態のみに行われる理由は、以下のとおりである。
【0054】
第2フィルタ係数が第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態で更新されたと仮定した場合、第2フィルタ係数はひどく劣化する。また、受信信号が無音である状態では、エコー信号は送信信号中に含まれないので、第2フィルタ係数の更新は必要ではない。その後、第3減算器306で第2フィルタ係数に従って調節されたエコー消去送信信号を作り、エコー消去送信信号を出力端子303から送信路を通って遠端話者へ出力する。
従って、第1状態遷移又は第2状態遷移でのシングルトーク状態での受信信号のエコー信号に近似する第3擬似エコー信号を作るように第2フィルタ係数は正確に更新されたので、たとえシングルトーク状態がダブルトーク状態へ移行しても、ダブルトーク状態で近端話者の声に重複する遠端話者の声のエコーは第3減算器306で第3擬似エコー信号に従って適切にキャンセルされ、第2フィルタ係数の劣化は最小限に押さえられる。故に、近端話者の声はダブルトーク状態において通話品質が高く送れる。
又、実施の形態1または実施の形態2のダブルトーク検知器が用いられるので、フィルタ係数が十分収束したか否かを判定する機能を不要としながらも、検知遅れが少なく且つ使用される環境に依存しないダブルトーク検知方法が実現できる。
【0055】
実施の形態7.
第7図はこの発明の実施の形態7によるエコーキャンセラの構成図である。
第7図において、401は、送信路を通って送信される遠端話者の声を示す受信信号を受ける入力端子、402は、第1遷移状態のシングルトーク状態において、音響結合等により受信信号の出力端子から近端話者側のエコーパスを通って送られる受信信号から発生したエコー信号を送信信号として受信し、第1遷移状態のダブルトーク状態において、エコー信号が近端話者の声と混ざっている送信信号を受信する入力端子、404は、入力端子401で受けた受信信号を所定時間Tだけ遅延させた遅延受信信号を作る第1遅延器、405は、入力端子402で受けた送信信号を所定時間Tだけ遅延させた遅延送信信号を作る第2遅延器、406は第1適応フィルタ器であり、第1フィルタ係数を有し、第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態若しくは受信信号が無音である状態を示すダブルトーク検知結果を受けないとき、遅延送信信号と遅延受信信号から得られる第1擬似エコー信号との差を示すエコー消去送信信号に従って、第1フィルタ係数に基づくインパルス応答が近端話者側のエコーパスの実際のインパルス応答に近似するように、第1フィルタ係数を更新し、更新された第1フィルタ係数に従って、遅延受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って第1擬似エコー信号を作る。
407は第1減算器であり、第1適応フィルタ器406で生成された第1擬似エコー信号を第2の遅延器405で生成された遅延送信信号から減算し、シングルトーク状態においてエコー信号によって示される受信信号のエコー成分が消去されたエコー消去送信信号を生成し、エコー消去送信信号を第1適応フィルタ器406へ戻し、エコー消去送信信号を出力端子403から送進路を通って遠端話者へに出力する。
408は非適応フィルタ器出あり、所定時間Tだけ現在時に先立つ過去時に入力端子401で受けた受信信号に基づき更新された第1フィルタ係数を第1適応フィルタ器406から受信し、更新された第1フィルタ係数に基づき入力端子401で現時点で受けた受信信号に対し、エコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って、ダブルトーク状態で更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分が含まれる第2擬似エコー信号を生成し出力する。
【0056】
409は第2減算器であり、入力端子402で現時点で受けた送信信号から、非適応フィルタ器7によって作られた第2擬似エコー信号を減算することで、ダブルトーク状態で第1フィルタ係数の劣化分を示す第1残差信号を作る。
410は第2減算器409で作られた第1残差信号を所定時間T遅延して遅延第1残差信号を作る第3遅延器、411は検知器であり、実施の形態1にしたがった検知器10が第2状態遷移で発生するダブルトーク状態若しくは受信信号が無音である状態を検知する従来の検知器と合体し、第1減算器407で作られたエコー消去送信信号の第3遅延器410で作られた遅延第1残差信号とのレベル比が所定の値以上であるか否かを判断し、レベル比が所定の値以上である場合にはダブルトーク状態として検知し、第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態若しくは受信信号が無音である状態を示すダブルトーク検知結果を第1適応フィルタ器406へ出力する。
上記構成において、エコーキャンセラの動作を説明する。
第1適応フィルタ器406で、第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態若しくは受信信号が無音である状態を示すダブルトーク検知結果を検知器411から受けないとき、第1フィルタ係数の更新し及び第1擬似エコー信号の作成が実施の形態1の第1適応フィルタ器5と同様に実施される。その後、第1減算器407で第1擬似エコー信号及び遅延送信信号から得られるエコー消去送信信号が検知器411へ入力される。
又、実施の形態1の非適応フィルタ器7と同様に、非適応フィルタ器408で第2擬似エコー信号が受信信号から作られる。その後、実施の形態1の第2残差信号と同様に、第3遅延器410で遅延第1残差信号が作られ、検知器411へ入力される。
検知器411では、遅延第1残差信号とエコー消去送信信号とから、第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態若しくは受信信号が無音である状態が検知され、第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態若しくは受信信号が無音である状態を示すダブルトーク検知結果を第1適応フィルタ器406へ出力する。
従って、シングルトーク状態での受信信号のエコー信号に近似する第1擬似エコー信号を作るように第1フィルタ係数は正確に更新されたので、たとえシングルトーク状態がダブルトーク状態へ移行しても、ダブルトーク状態で近端話者の声に重複する遠端話者の声のエコーは第3減算器407で第1擬似エコー信号に従って適切にキャンセルされ、第1フィルタ係数の劣化は最小限に押さえられる。故に、近端話者の声はダブルトーク状態において通話品質が高く送れる。
又、実施の形態1と同じようにダブルトーク状態が検知されたので、フィルタ係数が十分収束したか否かを判定する機能を不要としながらも、検知遅れが少なく且つ使用される環境に依存しないダブルトーク検知が実現できる。
実施の形態6のエコーキャンセラにおいて使われる第2適応フィルタ器305と第3減算器306を必要としないので、実施の形態6と比べ処理量及びメモリー量が小規模なエコーキャンセラが実現できる効果がある。
【0057】
実施の形態8.
第8図はこの発明の実施の形態8によるエコーキャンセラの構成図である。
第8図において、501は、送信路を通って送信される遠端話者の声を示す受信信号を受ける入力端子、502は、第1遷移状態のシングルトーク状態において、音響結合等により、受信信号の出力端子から近端話者側のエコーパスを通って送られる受信信号から発生したエコー信号を送信信号として受信し、第1遷移状態のダブルトーク状態において、エコー信号が近端話者の声と混ざっている送信信号を受信する入力端子、504は、入力端子501で受けた受信信号を所定時間Tだけ遅延させた遅延受信信号を作る第1遅延器、505は、入力端子502で受けた送信信号を所定時間Tだけ遅延させた遅延送信信号を作る第2遅延器、506は第1適応フィルタ器であり、第1フィルタ係数を有し、第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態若しくは受信信号が無音である状態を示すダブルトーク検知結果を受けないとき、現時点で受信された送信信号と現時点で受信された受信信号から得られる第1擬似エコー信号との差を示すエコー消去送信信号に従って、第1フィルタ係数に基づくインパルス応答が近端話者側のエコーパスの実際のインパルス応答に近似するように、第1フィルタ係数を更新し、更新された第1フィルタ係数に従って、現時点で受信された受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って第1擬似エコー信号を作る。
507は第1減算器であり、第1適応フィルタ器506で生成された第1擬似エコー信号を入力端子502で現時点で受信された送信信号から減算し、シングルトーク状態においてエコー信号によって示される受信信号のエコー成分が消去されたエコー消去送信信号を生成し、エコー消去送信信号を第1適応フィルタ器506へ戻し、エコー消去送信信号を出力端子503から送信路を通って遠端話者へ出力する。
【0058】
510は、第1減算器507で作られたエコー消去送信信号を所定時間T遅延して遅延第2残差信号を作る第3遅延器、508は非適応フィルタ器であり、現時点で入力端子501で受信した受信信号に基づき更新された第1フィルタ係数を第1適応フィルタ器506から受信し、更新された第1フィルタ係数に基づき所定時間Tだけ現在時に先立つ過去時に入力端子501で受けた受信信号に基づく遅延受信信号に対し、エコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って、ダブルトーク状態で更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分が含まれる第2擬似エコー信号を生成し出力する。
509は、第2遅延器505で作られた遅延送信信号から、非適応フィルタ器508によって作られた第2擬似エコー信号を減算することで、ダブルトーク状態で第1フィルタ係数の劣化分を示す第1残差信号を作る第2減算器、511は検知器であり、実施の形態2にしたがった検知器110が第2状態遷移で発生するダブルトーク状態若しくは受信信号が無音である状態を検知する従来の検知器と合体し、第2減算器509で作られた第1残差信号の第3遅延器510で作られた遅延第2残差信号とのレベル比が所定の値以上であるか否かを判断し、レベル比が所定の値以上である場合にはダブルトーク状態として検知し、第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態若しくは受信信号が無音である状態を示すダブルトーク検知結果を第1適応フィルタ器506へ出力する。
上記構成において、エコーキャンセラの動作を説明する。
第1適応フィルタ器506で、第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態若しくは受信信号が無音である状態を示すダブルトーク検知結果を検知器511から受けないとき、第1フィルタ係数の更新及び第1擬似エコー信号の作成が実施の形態2の第1適応フィルタ器105と同様に実施される。
その後、第1減算器507で第1擬似エコー信号及び現時点で入力端子502で受信した送信信号から得られるエコー消去送信信号が出力端子503から送信路を通って遠端話者へ出力される。又、第3遅延器510で第1減算器507で作られたエコー消去送信信号を所定時間T遅延して遅延第2残差信号が作られ、検知器511に入力される。
【0059】
又、実施の形態2の非適応フィルタ器107と同様に、非適応フィルタ器508で第2擬似エコー信号が遅延受信信号から作られる。その後、実施の形態2の第2減算器108と同様に、第2遅延器509で第1残差信号が作られ、検知器511へ入力される。
検知器511では、第1残差信号と遅延第2残差信号とから、第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態若しくは受信信号が無音である状態が検知され、第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態若しくは受信信号が無音である状態を示すダブルトーク検知結果を第1適応フィルタ器506へ出力する。
従って、シングルトーク状態での受信信号のエコー信号に近似する第1擬似エコー信号を作るように第1フィルタ係数は正確に更新されたので、たとえシングルトーク状態がダブルトーク状態へ移行しても、ダブルトーク状態で近端話者の声に重複する遠端話者の声のエコーは第1減算器507で第1擬似エコー信号に従って適切にキャンセルされ、第1フィルタ係数の劣化は最小限に押さえられる。故に、近端話者の声はダブルトーク状態において通話品質が高く送れる。
又、実施の形態2と同じように第1遷移状態のダブルトーク状態が検知されたので、フィルタ係数が十分収束したか否かを判定する機能を不要としながらも、検知遅れが少なく且つ使用される環境に依存しないダブルトーク検知が実現できる。
又、実施の形態6のエコーキャンセラにおいて使われる第2適応フィルタ器305と第3減算器306を必要としないので、実施の形態6と比べ処理量及びメモリー量が小規模なエコーキャンセラが実現できる効果がある。
又、エコー消去送信信号は現時点で受信された送信信号から生成されたので、エコー消去送信信号に対しいかなる遅延操作も行われないので、エコー消去送信信号は、実施の形態7のエコー消去送信信号と比べて、遠端話者へすぐに送信できる。
【0060】
実施の形態9.
第9図はこの発明の実施の形態9によるエコーキャンセラの構成図である。
第9図において、601は、送信路を通って送信される遠端話者の声を示す受信信号を受ける入力端子、602は、第1遷移状態のシングルトーク状態において、音響結合等により、受信信号の出力端子から近端話者側のエコーパスを通って送られる受信信号から発生したエコー信号を、送信信号として受信し、第1遷移状態のダブルトーク状態において、エコー信号が近端話者の声と混ざっている送信信号を受信する入力端子、606は第1適応フィルタ器であり、第1フィルタ係数を有し、第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態若しくは受信信号が無音である状態を示すダブルトーク検知結果を受けないとき、現時点で受信された送信信号と現時点で受信された受信信号から得られる第1擬似エコー信号との差を示すエコー消去送信信号に従って、第1フィルタ係数に基づくインパルス応答が近端話者側のエコーパスの実際のインパルス応答に近似するように、第1フィルタ係数を更新し、更新された第1フィルタ係数に従って、現時点で受信された受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って第1擬似エコー信号を作る。
607は第1減算器であり、第1適応フィルタ器606で生成された第1擬似エコー信号を入力端子602で現時点で受信された送信信号から減算し、シングルトーク状態においてエコー信号によって示される受信信号のエコー成分が消去されたエコー消去送信信号を生成し、エコー消去送信信号を第1適応フィルタ器606へ戻し、エコー消去送信信号を出力端子603から送信路を通って遠端話者へ出力する。
【0061】
612はフィルタ係数格納器であり、第1適応フィルタ器606で現時点で更新された1群の第1フィルタ係数を繰り返し受信し、その1群の更新された第1フィルタ係数を、最近得られたN個の群の第1フィルタ係数を常に格納するように、N個の群の第1フィルタ係数に先立って格納された(N+1)番目の群の第1フィルタ係数を廃棄しながら、格納する。i番目(i=1、2、---,N)の群の更新された第1フィルタ係数は(i−1)番目の群の更新された第1フィルタ係数のちょうど前に得られる。
613はフィルタ係数転送制御器であり、第1適応フィルタ器606で現時点で更新された1群の第1フィルタ係数の転送を制御するべく、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数をフィルタ係数格納器612に格納されたN個の群の第1フィルタ係数と比較し、ダブルトーク検知結果に基づき、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数が大幅に劣化していると判断された場合、または現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数がフィルタ係数格納器612に格納されたN個の群の第1フィルタ係数とほとんど同じである場合、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数を廃棄し、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数の廃棄が判断されなかった場合に、現時点で更新されたその1群の第1フィルタ係数の採用を許可し、採用許可された1群の第1フィルタ係数を、フィルタ係数格納器262に第1群の更新された第1フィルタ係数として格納すべく、フィルタ係数格納器212に送る。
608は非適応フィルタ器であり、フィルタ係数格納器612からN番目の群の第1フィルタ係数を受信し、N番目の群の第1フィルタ係数に基づき入力端子601で現時点で受けた受信信号に対し、エコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行って、ダブルトーク状態で更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分が含まれる第2擬似エコー信号を生成し出力する。N回の更新時間は所定時間Tに相当する。
609は、入力端子602で現時点で受けた送信信号から、非適応フィルタ器608によって作られた第2擬似エコー信号を減算することで、ダブルトーク状態で第1フィルタ係数の劣化分を示す第2残差信号を作る第2減算器、210は検知器であり、第2減算器609で作られた第2残差信号の第1減算器607で作られたエコー消去送信信号とのレベル比が所定の値以上であるか否かを判断し、レベル比が所定の値以上である場合にはダブルトーク状態として検知し、ブルトーク検知結果をフィルタ係数転送制御器613及び第1適応フィルタ器606へ出力する。
【0062】
上記構成で、ダブルトーク検知装置の動作を説明する。
第1適応フィルタ器606では、第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態若しくは受信信号が無音である状態を示すダブルトーク検知結果を検知器511から受けないとき、第1フィルタ係数の更新し及び第1擬似エコー信号の作成が実施の形態2の第1適応フィルタ器105と同様に、実施される。その後、第1減算器607で第1擬似エコー信号及び現時点で入力端子602で受信した送信信号から得られるエコー消去送信信号が出力端子603から送信路を通って遠端話者へ出力され、又、検知器511に入力される。又、第1適応フィルタ器606で現時点で更新された1群の第1フィルタ係数がフィルタ係数転送制御器613へ送られる。
その後、実施の形態4のフィルタ係数転送制御器213においてと同様に、フィルタ係数転送制御器613で、現時点で更新された1群の第1フィルタ係数が廃棄され、実施の形態4のフィルタ係数格納器212での格納と同様に第1適応フィルタ器606で最近更新されたN個の群の第1フィルタ係数を常時格納するように、採用された1群の第1フィルタ係数はフィルタ係数格納器612に送られる。
その後、第4実施の形態の非適応フィルタ器207と同様に、フィルタ係数格納器612で最も古いN番目の群の第1フィルタ係数に従って、第2擬似エコー信号が入力端子601で現時点で受信された受信信号から生成され、現時点で受信された送信信号及び第2擬似エコー信号から第2遅延器609で第1残差信号が生成され、検知器611で、第1残差信号とエコー消去送信信号とから、ダブルトーク状態が実施の形態4と同様に検知される。
【0063】
従って、シングルトーク状態での受信信号のエコー信号に近似する第1擬似エコー信号を作るように第1フィルタ係数は正確に更新されたので、たとえシングルトーク状態がダブルトーク状態へ移行しても、ダブルトーク状態で近端話者の声に重複する遠端話者の声のエコーは第1減算器607で第1擬似エコー信号に従って適切にキャンセルされ、第1フィルタ係数の劣化は最小限に押さえられる。故に、近端話者の声はダブルトーク状態において通話品質が高く送れる。
又、実施の形態2と同じように第1遷移状態のダブルトーク状態が検知されたので、フィルタ係数が十分収束したか否かを判定する機能を不要としながらも、検知遅れが少なく且つ使用される環境に依存しないダブルトーク検知が実現できる。
又、実施の形態6のエコーキャンセラにおいて使われる第2適応フィルタ器305と第3減算器306を必要としないので、実施の形態6と比べ処理量及びメモリー量が小規模なエコーキャンセラが実現できる効果がある。
又、ダブルトーク状態の検知で用いられるエコー消去送信信号及び第1残差信号は、いかなる遅延器をも用いることなく、現時点で受信された送信信号及び受信信号から生成されたので、ダブルトーク状態への変化は、実施の形態7及び実施の形態8と比べて、すぐに検知できる。
本実施の形態では、エコーキャンセラは実施の形態4のダブルトーク検知器を用いて得られた。しかしながら、実施の形態3又は実施の形態5のダブルトーク検知器を用いてエコーキャンセラを得ても良い。
【0064】
実施の形態10.
第10図はこの発明の実施の形態10によるエコーサプレッサの構成図である。
第10図において、705は、実施の形態6のダブルトーク検知器304と同様の構成及び機能を有するダブルトーク検知器、706は減衰量制御器であり、ダブルトーク検知器705から第1状態遷移又は第2状態遷移でのダブルトーク状態若しくは受信信号が無音である状態を示すダブルトーク検知結果を受信し、ダブルトーク検知結果に基づき入力端子702で受信した送信信号の減衰量を示す送信減衰量制御信号を作成し、ダブルトーク検知結果に基づき入力端子701で受信した受信信号の減衰量を示す受信減衰量制御信号を作成する。
707は、減衰量制御器706で作られた送信減衰量制御信号に従って、送信信号の振幅を減衰し減衰送信信号を作る第1減衰器、708は、減衰量制御器706で作られた受信減衰量制御信号に従って、受信信号の振幅を減衰し減衰受信信号を作る第1減衰器である。
上記構成において、エコーサプレッサの動作を説明する。
減衰量制御器706で、従来のエコーサプレッサのITU−T Recommendation G.164のTABLE1/G.164に示される減衰量対応表などに従って、送信減衰量制御信号及び受信減衰量制御信号を生成する。詳細には、ダブルトーク検知結果がダブルトーク状態を示す場合には、送信減衰量制御信号は送信信号の振幅にしたがった減衰量を示し、受信減衰量制御信号は−6dBなどの固定された減衰量を示す。また、ダブルトーク検知結果が減衰量制御器706に入力されなかった場合、トーク状態はシングルトーク状態であるので、送信減衰量制御信号は−50dBなどの固定された減衰量を示し、受信減衰量制御信号は減衰無しを示す。
【0065】
その後、送信信号は送信減衰量制御信号に従って第1減衰器707で減衰し、減衰送信信号は出力端子704から送信路を介して遠端話者へ送られる。
また、受信信号は受信減衰量制御信号に従ってダブルトーク状態において第2減衰器708で減衰し、減衰受信信号に示される遠端話者の声が近端話者へ送られる。シングルトーク状態の場合、遠端話者の声は減衰されることなく近端話者へ送られる。
従って、送信信号及び受信信号の減衰量が減衰制御信号によって調整されたので、ダブルトーク状態での通話の断続現象を軽減しつつ遠端話者の声は抑制できる。また、通話品質の高い会話ができる。
又、高い通話品質で会話が実施できる。
又、実施の形態1又は実施の形態2と同じように第1状態遷移でのダブルトーク状態が検知されたので、フィルタ係数が十分収束したか否かを判定する機能を不要としながらも、検知遅れが少なく且つ使用される環境に依存しないダブルトーク検知が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のように、この発明に係るダブルトーク検知装置、エコーキャンセラ及びエコーサプレッサは、近端話者と遠端話者とによる伝送路を経由した双方向通話システムにおいて、遠端話者側音声のみが有音であるシングルトーク状態から近端話者側音声が入り込みダブルトーク状態に遷移する場合、ダブルトークの状態を検知し、近端話者側で発生するエコーをキャンセルまたは抑圧するシステムに適している。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】 この発明の実施の形態1によるダブルトーク検知装置の構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態2によるダブルトーク検知装置の構成図である。
【図3】 この発明の実施の形態3によるダブルトーク検知装置の構成図である。
【図4】 この発明の実施の形態4によるダブルトーク検知装置の構成図である。
【図5】 この発明の実施の形態5によるダブルトーク検知装置の構成図である。
【図6】 この発明の実施の形態6によるエコーキャンセラの構成図である。
【図7】 この発明の実施の形態7によるエコーキャンセラの構成図である。
【図8】 この発明の実施の形態8によるエコーキャンセラの構成図である。
【図9】 この発明の実施の形態9によるエコーキャンセラの構成図である。
【図10】 この発明の実施の形態10によるエコーサプレッサの構成図である。
【図11】 遠端話者側音声のみが有音のシングルトーク状態からダブルトーク状態への遷移状態を示した図である。
Claims (16)
- シングルトーク状態では受信信号に由来するエコー成分を示しダブルトーク状態では第1の話者の声及びエコー成分の混合を示す送信信号から得られる第1残差信号に従って第1フィルタ係数を更新し、ダブルトーク状態で劣化する更新された第1フィルタ係数に従って受信信号から第1擬似エコー信号を生成する第1適応フィルタ手段と、
第1残差信号に基づき前記第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数に従って、受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行い第2疑似エコー信号として生成することにより、更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分がダブルトーク状態で含まれる信号となるよう第2擬似エコー信号を出力する非適応フィルタ手段と、
同一の受信信号に対して用いられる適応フィルタのフィルタ係数と非適応フィルタのフィルタ係数との関係が、一方のフィルタ係数が常に他方のフィルタ係数の一定時間過去の値となるよう前記第1適応フィルタ手段に入力される受信信号を所定の時間だけ遅延させる遅延手段と、
前記第1適応フィルタ手段で生成された過去時に対応する第1擬似エコー信号を、第1擬似エコー信号と同じ過去時に対応する送信信号から減算し、シングルトーク状態において送信信号に含まれるエコー成分を有さない第1残差信号を生成し、第1残差信号を前記第1適応フィルタ手段へ送る第1減算手段と、
前記非適応フィルタ手段によって作られた現在時に対応する第2擬似エコー信号を、第2擬似エコー信号と同じ現在時に対応する送信信号から減算し、ダブルトーク状態で劣化分を示しシングルトーク状態で第1残差信号に近似する第2残差信号を生成する第2減算手段と、
前記第2減算手段で生成された第2残差信号のレベルと前記第1減算手段で生成された第1残差信号のレベルとの比が所定のしきい値を超えた場合にシングルトーク状態からダブルトーク状態に変化したことを検知する検知手段とを備えたダブルトーク検知装置。 - シングルトーク状態では受信信号に由来するエコー成分を示しダブルトーク状態では第1の話者の声及びエコー成分の混合を示す送信信号から得られる第1残差信号に従って第1フィルタ係数を更新し、ダブルトーク状態で劣化する更新された第1フィルタ係数に従って受信信号から第1擬似エコー信号を生成する第1適応フィルタ手段と、
第1残差信号に基づき前記第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数に従って、受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行い第2疑似エコー信号として生成することにより、更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分がダブルトーク状態で含まれる信号となるよう第2擬似エコー信号を出力する非適応フィルタ手段と、
同一の受信信号に対して用いられる適応フィルタのフィルタ係数と非適応フィルタのフィルタ係数との関係が、一方のフィルタ係数が常に他方のフィルタ係数の一定時間過去の値となるよう前記非適応フィルタ手段に入力される受信信号を所定の時間だけ遅延させる遅延手段と、
前記第1適応フィルタ手段で生成された現在時に対応する第1擬似エコー信号を、第1擬似エコー信号と同じ現在時に対応する送信信号から減算し、シングルトーク状態において送信信号に含まれるエコー成分を有さない第1残差信号を生成し、第1残差信号を前記第1適応フィルタ手段へ送る第1減算手段と、
前記非適応フィルタ手段によって作られた過去時に対応する第2擬似エコー信号を、第2擬似エコー信号と同じ過去時に対応する送信信号から減算し、ダブルトーク状態で劣化分を示しシングルトーク状態で第1残差信号に近似する第2残差信号を生成する第2減算手段と、
前記第1減算手段で生成された第1残差信号のレベルと、前記第2減算手段で生成された第2残差信号のレベルの比が所定のしきい値を超えた場合にシングルトーク状態からダブルトーク状態に変化したことを検知する検知手段とを備えたダブルトーク検知装置。 - 前記遅延手段は、過去時に関わる受信信号を受信し所定時間だけ受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成することによって、前記第1適応フィルタ手段によって第1擬似エコー信号を遅延受信信号から生成するようにする第1の遅延手段と、
過去時に対応する送信信号を第1の話者から受信し所定時間だけ送信信号を遅延させた遅延送信信号を出力することによって、前記第1減算手段によって第1擬似エコー信号を遅延送信信号から減算するようにする第2の遅延手段とから構成され、
現在時に前記第1適応フィルタ手段で更新された現在時に対応する第1フィルタ係数は前記非適応フィルタ手段へ送られ、
第2擬似エコー信号は前記非適応フィルタ手段によって現在時に対応する第1フィルタ係数に従って現在時に対応する受信信号から生成され、
第2擬似エコー信号は前記第2減算手段によって現在時に対応する送信信号から減算され、
前記第2減算手段で生成される第2残差信号を所定時間だけ遅延して遅延第2残差信号を生成することにより、遅延第2残差信号と第1残差信号との差に基づいてダブルトーク状態を検知手段によって検知するようにする第3遅延手段を備えることを特徴とする請求の範囲第1項記載のダブルトーク検知装置。 - 前記遅延手段は、過去時に関わる受信信号を受信し所定時間だけ受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成することによって、第2擬似エコー信号を前記非適応フィルタ手段によって遅延受信信号から生成するようにする第1の遅延手段と、
過去時に対応する送信信号を第1の話者から受信し所定時間だけ送信信号を遅延させた遅延送信信号を出力することによって、第2擬似エコー信号を前記第2減算手段によって遅延送信信号から減算するようにする第2の遅延手段とから構成され、
第1擬似エコー信号は前記第1適応フィルタ手段によって現在時に対応する受信信号から生成され、
第1擬似エコー信号は前記第1減算手段によって現在時に対応する送信信号から減算され、
現在時に第1適応フィルタ手段で更新された現在時に対応する第1フィルタ係数は非適応フィルタ手段へ送られ、
前記第1減算手段で生成される第1残差信号を所定時間だけ遅延して遅延第1残差信号を生成することにより、遅延第1残差信号と第2残差信号との差に基づいてダブルトーク状態を前記検知手段によって検知するようにする第3遅延手段を備えることを特徴とする請求の範囲第2項記載のダブルトーク検知装置。 - シングルトーク状態では受信信号に由来するエコー成分を示しダブルトーク状態では第1の話者の声及びエコー成分の混合を示す送信信号から得られる第1残差信号に従って第1フィルタ係数を更新し、ダブルトーク状態で劣化する更新された第1フィルタ係数に従って受信信号から第1擬似エコー信号を生成する第1適応フィルタ手段と、
第1残差信号に基づき前記第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数に従って、受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行い第2疑似エコー信号として生成することにより、更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分がダブルトーク状態で含まれる信号となるよう第2擬似エコー信号を出力する非適応フィルタ手段と、
同一の受信信号に対して用いられる適応フィルタのフィルタ係数と非適応フィルタのフィルタ係数との関係が、一方のフィルタ係数が常に他方のフィルタ係数の一定時間過去の値となるよう前記第1適応フィルタ手段に入力される受信信号を所定の時間だけ遅延させる遅延手段
前記第1適応フィルタ手段で生成された過去時に対応する第1擬似エコー信号を、第1擬似エコー信号と同じ過去時に対応する送信信号から減算し、シングルトーク状態において送信信号に含まれるエコー成分を有さない第1残差信号を生成し、第1残差信号を前記第1適応フィルタ手段へ送る第1減算手段と、
前記非適応フィルタ手段によって作られた現在時に対応する第2擬似エコー信号を、第2擬似エコー信号と同じ現在時に対応する送信信号から減算し、ダブルトーク状態で劣化分を示しシングルトーク状態で第1残差信号に近似する第2残差信号を生成する第2減算手段と、
前記第2減算手段で生成された第2残差信号のレベルと前記第1減算手段で生成された第1残差信号のレベルとの比が所定のしきい値を超えた場合にシングルトーク状態からダブルトーク状態に変化したことを検知する検知手段と
シングルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号を前記検知手段から受信した場合、現在時に対応する送信信号から得られるエコー消去送信信号およびエコー成分に近似する第3擬似エコー信号に従って第2フィルタ係数を更新し、第2フィルタ係数に従って現在時に対応する受信信号から現在時に対応する第3擬似エコー信号を生成する第2適応フィルタ手段と、
前記第2適応フィルタ手段によって生成された第3擬似エコー信号を現在時に対応する送信信号から減算して、送信信号に含まれるエコー成分が取り除かれた上記エコー消去送信信号を生成し、前記第2適応フィルタ手段に第2フィルタ係数を更新させるようにエコー消去送信信号を前記第2適応フィルタ手段へ送り、かつエコー消去送信信号を出力する第3減算手段とを備えたエコーキャンセラ。 - シングルトーク状態では受信信号に由来するエコー成分を示しダブルトーク状態では第1の話者の声及びエコー成分の混合を示す送信信号から得られる第1残差信号に従って第1フィルタ係数を更新し、ダブルトーク状態で劣化する更新された第1フィルタ係数に従って受信信号から第1擬似エコー信号を生成する第1適応フィルタ手段と、
第1残差信号に基づき前記第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数に従って、受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行い第2疑似エコー信号として生成することにより、更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分がダブルトーク状態で含まれる信号となるよう第2擬似エコー信号を出力する非適応フィルタ手段と、
同一の受信信号に対して用いられる適応フィルタのフィルタ係数と非適応フィルタのフィルタ係数との関係が、一方のフィルタ係数が常に他方のフィルタ係数の一定時間過去の値となるよう前記非適応フィルタ手段に入力される受信信号を所定の時間だけ遅延させる遅延手段と
前記第1適応フィルタ手段で生成された現在時に対応する第1擬似エコー信号を、第1擬似エコー信号と同じ現在時に対応する送信信号から減算し、シングルトーク状態において送信信号に含まれるエコー成分を有さない第1残差信号を生成し、第1残差信号を前記第1適応フィルタ手段へ送る第1減算手段と、
前記非適応フィルタ手段によって作られた過去時に対応する第2擬似エコー信号を、第2擬似エコー信号と同じ過去時に対応する送信信号から減算し、ダブルトーク状態で劣化分を示しシングルトーク状態で第1残差信号に近似する第2残差信号を生成する第2減算手段と、
前記第1減算手段で生成された第1残差信号のレベルと、前記第2減算手段で生成された第2残差信号のレベルの比が所定のしきい値を超えた場合にシングルトーク状態からダブルトーク状態に変化したことを検知する検知手段と、
シングルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号を前記検知手段から受信した場合、現在時に対応する送信信号から得られるエコー消去送信信号およびエコー成分に近似する第3擬似エコー信号に従って第2フィルタ係数を更新し、第2フィルタ係数に従って現在時に対応する受信信号から現在時に対応する第3擬似エコー信号を生成する第2適応フィルタ手段と、
前記第2適応フィルタ手段によって生成された第3擬似エコー信号を現在時に対応する送信信号から減算して、送信信号に含まれるエコー成分が取り除かれた上記エコー消去送信信号を生成し、前記第2適応フィルタ手段に第2フィルタ係数を更新させるようにエコー消去送信信号を前記第2適応フィルタ手段へ送り、かつエコー消去送信信号を出力する第3減算手段とを備えたエコーキャンセラ。 - 前記遅延手段は、過去時に関わる受信信号を受信し所定時間だけ受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成することによって、第1擬似エコー信号を前記第1適応フィルタ手段によって遅延受信信号から生成するようにする第1の遅延手段と、
過去時に対応する送信信号を第1の話者から受信し所定時間だけ送信信号を遅延させた遅延送信信号を出力することによって、第1擬似エコー信号を前記第1減算手段によって遅延送信信号から減算するようにする第2の遅延手段とから構成され、
現在時に第1適応フィルタ手段で更新された現在時に対応する第1フィルタ係数は非適応フィルタ手段へ送られ、
第2擬似エコー信号は前記非適応フィルタ手段によって現在時に対応する第1フィルタ係数に従って現在時に対応する受信信号から生成され、
第2擬似エコー信号は前記第2減算手段によって現在時に対応する送信信号から減算され、
前記第2減算手段で生成される第2残差信号を所定時間だけ遅延して遅延第2残差信号を生成することにより、遅延第2残差信号と第1残差信号との差に基づいてダブルトーク状態を前記検知手段によって検知するようにする第3遅延手段を備えることを特徴とする請求の範囲第5項記載のエコーキャンセラ。 - 前記遅延手段は、過去時に関わる受信信号を受信し所定時間だけ受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成することによって、第2擬似エコー信号を前記非適応フィルタ手段によって遅延受信信号から生成するようにする第1の遅延手段と、
過去時に対応する送信信号を第1の話者から受信し所定時間だけ送信信号を遅延させた遅延送信信号を出力することによって、第2擬似エコー信号を前記第2減算手段によって遅延送信信号から減算するようにする第2の遅延手段とから構成され、
第1擬似エコー信号は前記第1適応フィルタ手段によって現在時に対応する受信信号から生成され、
第1擬似エコー信号は前記第1減算手段によって現在時に対応する送信信号から減算され、
現在時に第1適応フィルタ手段で更新された現在時に対応する第1フィルタ係数は非適応フィルタ手段へ送られ、
前記第1減算手段で生成される第1残差信号を所定時間だけ遅延して遅延第1残差信号を生成することにより、遅延第1残差信号と第2残差信号との差に基づいてダブルトーク状態を前記検知手段によって検知するようにする第3遅延手段を備えることを特徴とする請求の範囲第6項記載のエコーキャンセラ。 - シングルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号を受信した場合、シングルトーク状態では受信信号に由来するエコー成分を示しダブルトーク状態では第1の話者の声及びエコー成分の混合を示す送信信号から得られるエコー消去送信信号に従って第1フィルタ係数を更新し、ダブルトーク状態で劣化する更新された第1フィルタ係数に従って受信信号から第1擬似エコー信号を生成する第1適応フィルタ手段と、
エコー消去送信信号に基づき前記第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数に従って、受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行い第2疑似エコー信号として生成することにより、更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分がダブルトーク状態で含まれる信号となるよう第2擬似エコー信号を出力する非適応フィルタ手段と、
同一の受信信号に対して用いられる適応フィルタのフィルタ係数と非適応フィルタのフィルタ係数との関係が、一方のフィルタ係数が常に他方のフィルタ係数の一定時間過去の値となるよう前記第1適応フィルタ手段に入力される受信信号を所定の時間だけ遅延させる遅延手段と、
前記第1適応フィルタ手段で生成された過去時に対応する第1擬似エコー信号を、第1擬似エコー信号と同じ過去時に対応する送信信号から減算し、シングルトーク状態において送信信号に含まれるエコー成分を有さないエコー消去送信信号を生成し、エコー消去送信信号を第1適応フィルタ手段へ送る第1減算手段と、
前記非適応フィルタ手段によって作られた現在時に対応する第2擬似エコー信号を、第2擬似エコー信号と同じ現在時に対応する送信信号から減算し、ダブルトーク状態で劣化分を示しシングルトーク状態でエコー消去送信信号に近似する第1残差信号を生成する第2減算手段と、
前記第2減算手段で生成された第2残差信号のレベルと前記第1減算手段で生成された第1残差信号のレベルとの比が所定のしきい値を超えた場合によってシングルトーク状態からダブルトーク状態に変化したことを検知し、ダブルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号またはシングルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号を第1適応フィルタ手段へ出力する検知手段とを備えたエコーキャンセラ。 - シングルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号を受信した場合、シングルトーク状態では受信信号に由来するエコー成分を示しダブルトーク状態では第1の話者の声及びエコー成分の混合を示す送信信号から得られるエコー消去送信信号に従って第1フィルタ係数を更新し、ダブルトーク状態で劣化する更新された第1フィルタ係数に従って受信信号から第1擬似エコー信号を生成する第1適応フィルタ手段と、
エコー消去送信信号に基づき前記第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数に従って、受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行い第2疑似エコー信号として生成することにより、更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分がダブルトーク状態で含まれる信号となるよう第2擬似エコー信号を出力する非適応フィルタ手段と、
同一の受信信号に対して用いられる適応フィルタのフィルタ係数と非適応フィルタのフィルタ係数との関係が、一方のフィルタ係数が常に他方のフィルタ係数の一定時間過去の値となるよう前記非適応フィルタ手段に入力される受信信号を所定の時間だけ遅延させる遅延手段と、
前記第1適応フィルタ手段で生成された現在時に対応する第1擬似エコー信号を、第1擬似エコー信号と同じ現在時に対応する送信信号から減算し、シングルトーク状態において送信信号に含まれるエコー成分を有さないエコー消去送信信号を生成し、エコー消去送信信号を第1適応フィルタ手段へ送る第1減算手段と、
前記非適応フィルタ手段によって作られた過去時に対応する第2擬似エコー信号を、第2擬似エコー信号と同じ過去時に対応する送信信号から減算し、ダブルトーク状態で劣化分を示しシングルトーク状態でエコー消去送信信号に近似する第1残差信号を生成する第2減算手段と、
前記第1減算手段で生成された第1残差信号のレベルと、前記第2減算手段で生成された第2残差信号のレベルの比が所定のしきい値を超えた場合によってシングルトーク状態からダブルトーク状態に変化したことを検知し、ダブルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号またはシングルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号を第1適応フィルタ手段へ出力する検知手段とを備えたエコーキャンセラ。 - 前記遅延手段は、過去時に関わる受信信号を受信し所定時間だけ受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成することによって、第1擬似エコー信号を前記第1適応フィルタ手段によって遅延受信信号から生成するようにする第1の遅延手段と、
過去時に対応する送信信号を第1の話者から受信し所定時間だけ送信信号を遅延させた遅延送信信号を出力することによって、第1擬似エコー信号を前記第1減算手段によって遅延送信信号から減算するようにする第2の遅延手段とから構成され、
現在時に前記第1適応フィルタ手段で更新された現在時に対応する第1フィルタ係数は非適応フィルタ手段へ送られ、
第2擬似エコー信号は前記非適応フィルタ手段によって現在時に対応する第1フィルタ係数に従って現在時に対応する受信信号から生成され、
第2擬似エコー信号は前記第2減算手段によって現在時に対応する送信信号から減算され、
前記第2減算手段で生成される第1残差信号を所定時間だけ遅延して遅延第1残差信号を生成することにより、遅延第1残差信号とエコー消去送信信号との差に基づいてダブルトーク状態を前記検知手段によって検知するようにする第3遅延手段を備えることを特徴とする請求の範囲第9項記載のエコーキャンセラ。 - 前記遅延手段は、過去時に関わる受信信号を受信し所定時間だけ受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成することによって、第2擬似エコー信号を前記非適応フィルタ手段によって遅延受信信号から生成するようにする第1の遅延手段と、
過去時に対応する送信信号を第1の話者から受信し所定時間だけ送信信号を遅延させた遅延送信信号を出力することによって、第2擬似エコー信号を前記第2減算手段によって遅延送信信号から減算するようにする第2の遅延手段とから構成され、
第1擬似エコー信号は前記第1適応フィルタ手段によって現在時に対応する受信信号から生成され、
第1擬似エコー信号は前記第1減算手段によって現在時に対応する送信信号から減算され、
現在時に前記第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数は前記非適応フィルタ手段へ送られ、
前記第1減算手段で生成されるエコー消去送信信号を所定時間だけ遅延して遅延第2残差信号を生成することにより、遅延第2残差信号と第1残差信号との差に基づいてダブルトーク状態を前記検知手段によって検知するようにする第3遅延手段を備えることを特徴とする請求の範囲第10項記載のエコーキャンセラ。 - シングルトーク状態では受信信号に由来するエコー成分を示しダブルトーク状態では第1の話者の声及びエコー成分の混合を示す送信信号から得られる第1残差信号に従って第1フィルタ係数を更新し、ダブルトーク状態で劣化する更新された第1フィルタ係数に従って受信信号から第1擬似エコー信号を生成する第1適応フィルタ手段と、
第1残差信号に基づき前記第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数に従って、受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行い第2疑似エコー信号として生成することにより、更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分がダブルトーク状態で含まれる信号となるよう第2擬似エコー信号を出力する非適応フィルタ手段と、
同一の受信信号に対して用いられる適応フィルタのフィルタ係数と非適応フィルタのフィルタ係数との関係が、一方のフィルタ係数が常に他方のフィルタ係数の一定時間過去の値となるよう前記第1適応フィルタ手段に入力される受信信号を所定の時間だけ遅延させる遅延手段と、
前記第1適応フィルタ手段で生成された過去時に対応する第1擬似エコー信号を、第1擬似エコー信号と同じ過去時に対応する送信信号から減算し、シングルトーク状態において送信信号に含まれるエコー成分を有さない第1残差信号を生成し、第1残差信号を第1適応フィルタ手段へ送る第1減算手段と、
前記非適応フィルタ手段によって作られた現在時に対応する第2擬似エコー信号を、第2擬似エコー信号と同じ現在時に対応する送信信号から減算し、ダブルトーク状態で劣化分を示しシングルトーク状態で第1残差信号に近似する第2残差信号を生成する第2減算手段と、
前記第2減算手段で生成された第2残差信号のレベルと前記第1減算手段で生成された第1残差信号のレベルとの比が所定のしきい値を超えた場合にシングルトーク状態からダブルトーク状態に変化したことを検知し、ダブルトーク状態の検知またはシングルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号を出力する検知手段と、
前記検知手段からトーク状態検知信号を受信し、トーク状態検知信号に従って、現在受けた送信信号の減衰量を示す送信減衰量制御信号及び現在受けた受信信号の減衰量を示す受信減衰量制御信号を作る減衰量制御手段と、
前記減衰量制御手段によって作られた送信減衰量制御信号に従って現在受けた送信信号を減衰する第1減衰手段と、
前記減衰量制御手段によって作られた受信減衰量制御信号に従って現在受けた受信信号を減衰する第2減衰手段とを備えたエコーサプレッサ。 - シングルトーク状態では受信信号に由来するエコー成分を示しダブルトーク状態では第1の話者の声及びエコー成分の混合を示す送信信号から得られる第1残差信号に従って第1フィルタ係数を更新し、ダブルトーク状態で劣化する更新された第1フィルタ係数に従って受信信号から第1擬似エコー信号を生成する第1適応フィルタ手段と、
第1残差信号に基づき前記第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数に従って、受信信号に対しエコーパスのインパルス応答の畳み込み演算を行い第2疑似エコー信号として生成することにより、更新された第1フィルタ係数の劣化を示す劣化分がダブルトーク状態で含まれる信号となるよう第2擬似エコー信号を出力する非適応フィルタ手段と、
同一の受信信号に対して用いられる適応フィルタのフィルタ係数と非適応フィルタのフィルタ係数との関係が、一方のフィルタ係数が常に他方のフィルタ係数の一定時間過去の値となるよう前記非適応フィルタ手段に入力される受信信号を所定の時間だけ遅延させる遅延手段と、
前記第1適応フィルタ手段で生成された現在時に対応する第1擬似エコー信号を、第1擬似エコー信号と同じ現在時に対応する送信信号から減算し、シングルトーク状態において送信信号に含まれるエコー成分を有さない第1残差信号を生成し、第1残差信号を第1適応フィルタ手段へ送る第1減算手段と、
前記非適応フィルタ手段によって作られた過去時に対応する第2擬似エコー信号を、第2擬似エコー信号と同じ過去時に対応する送信信号から減算し、ダブルトーク状態で劣化分を示しシングルトーク状態で第1残差信号に近似する第2残差信号を生成する第2減算手段と、
前記第1減算手段で生成された第1残差信号のレベルと、前記第2減算手段で生成された第2残差信号のレベルの比が所定のしきい値を超えた場合にシングルトーク状態からダブルトーク状態に変化したことを検知し、ダブルトーク状態の検知またはシングルトーク状態の検知を示すトーク状態検知信号を出力する検知手段と、
前記検知手段からトーク状態検知信号を受信し、トーク状態検知信号に従って、現在受けた送信信号の減衰量を示す送信減衰量制御信号及び現在受けた受信信号の減衰量を示す受信減衰量制御信号を作る減衰量制御手段と、
前記減衰量制御手段によって作られた送信減衰量制御信号に従って現在受けた送信信号を減衰する第1減衰手段と、
前記減衰量制御手段によって作られた受信減衰量制御信号に従って現在受けた受信信号を減衰する第2減衰手段とを備えたエコーサプレッサ。 - 前記遅延手段は、過去時に関わる受信信号を受信し所定時間だけ受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成することによって、第1擬似エコー信号を前記第1適応フィルタ手段によって遅延受信信号から生成するようにする第1の遅延手段と、
過去時に対応する送信信号を第1の話者から受信し所定時間だけ送信信号を遅延させた遅延送信信号を出力することによって、第1擬似エコー信号を前記第1減算手段によって遅延送信信号から減算するようにする第2の遅延手段とから構成され、
第2擬似エコー信号は前記非適応フィルタ手段によって現在時に対応する受信信号から生成され、
第2擬似エコー信号は前記第2減算手段によって現在時に対応する送信信号から減算され、
現在時に前記第1適応フィルタ手段で更新された第1フィルタ係数は非適応フィルタ手段へ送られ、
前記第2減算手段で生成される第2残差信号を所定時間だけ遅延して遅延第2残差信号を生成することにより、遅延第2残差信号と第1残差信号との差に基づいてダブルトーク状態を検知手段によって検知するようにする第3遅延手段を備えることを特徴とする請求の範囲第13項記載のエコーサプレッサ。 - 前記遅延手段は、過去時に関わる受信信号を受信し所定時間だけ受信信号を遅延させて遅延受信信号を生成することによって、第2擬似エコー信号を前記非適応フィルタ手段によって遅延受信信号から生成するようにする第1の遅延手段と、
過去時に対応する送信信号を第1の話者から受信し所定時間だけ送信信号を遅延させた遅延送信信号を出力することによって、第2擬似エコー信号を前記第2減算手段によって遅延送信信号から減算するようにする第2の遅延手段とから構成され、
第1擬似エコー信号は前記第1適応フィルタ手段によって現在時に対応する受信信号から生成され、
第1擬似エコー信号は前記第1減算手段によって現在時に対応する送信信号から減算され、
現在時に第1適応フィルタ手段で更新された現在時に対応する第1フィルタ係数は前記非適応フィルタ手段へ送られ、
前記第1減算手段で生成される第1残差信号を所定時間だけ遅延して遅延第1残差信号を生成することにより、遅延第1残差信号と第2残差信号との差に基づいてダブルトーク状態を前記検知手段によって検知するようにする第3遅延手段を備えることを特徴とする請求の範囲第14項記載のエコーサプレッサ。
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