JP4473201B2 - 電子デバイス - Google Patents

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Description

この発明は、電子デバイスに関し、特にGaNヘテロ接合FET(Field Effect Transistor;電界効果トランジスタ)に好適なものである。
従来、電子デバイスとしては、図11に示すGaNヘテロ接合FETがある(例えば、(非特許文献1)参照)。図11は前記GaNヘテロ接合FETの断面図を示している。このGaNヘテロ接合FETは、図11に示すように、サファイア基板1101上に、厚さ約3μmのアンドープGaNからなるGaN層1102と、厚さ20nmのアンドープAl0.5Ga0.5NからなるAl0.5Ga0.5N層1103とを順次形成し、そのAl0.5Ga0.5N層1103上に、Ti/Al/Ni/Auからなるソースオーミック電極1105と、Ni/Auからなるゲートショットキー電極1106と、Ti/Al/Ni/Auからなるドレインオーミック電極1107とを順次形成している。GaN層1102とAl0.5Ga0.5N層1103の境界の領域に2DEG(2Dimensional Electron Gas;2次元電子ガス)1104が発生する。2DEGの濃度は8×1012cm−2である。また、素子分離のためのアイソレーションメサ1112を形成している。
前記従来のGaNヘテロ接合FETにおいて、ゲートショットキー電極1106とドレインオーミック電極1107との間の電界が半導体の破壊電界を上回ると、デバイスの絶縁破壊が起こる。半導体がGaNの場合は、破壊電界Emaxが約5MV/cmである。ここで、ドレインオーミック電極1107とゲートショットキー電極1106との間隔がLdgであり、ドレイン・ゲート印加電圧がVdgであれば、平均の電界はVdg/Ldgで表される。しかし、電界分布は一般的に不均一であり、電界が最大となるのはゲートショットキー電極1106辺りにある。この最大の電界は通常平均の電界より高いから、通常のデバイスの耐圧は(Ldg・Emax)より低い。
図12に示すGaNヘテロ接合FETのデバイス構造は、図11に示す従来のGaNヘテロ接合FETの構造と同じものである。図12にはデバイス構造と共に電位を示している。この電位はシミュレーションによって計算したものである。図12に示すヘテロ接合FETの断面図を用いて、この発明が解決しようとする課題を以下に詳しく説明する。
サファイア基板1201の上に、厚さ3μmのアンドープGaNからなるGaN層1202と厚さ20nmのアンドープAl0.5Ga0.5NからなるAl0.5Ga0.5N層1203を形成し、そのAl0.5Ga0.5N層1203上に、ソースオーミック電極1205とゲートショットキー電極1206およびドレインオーミック電極1207を形成している。前記GaN層1202とAl0.5Ga0.5N層1203の境界の領域に2DEG1204が発生する。このときの2DEGの濃度は8×1012cm−2である。ここで、ドレインオーミック電極1107とゲートショットキー電極1106との間隔Ldgは3μm、ドレイン・ソース印加電圧Vdsは400V、ゲート・ソース印加電圧Vgsは−10Vである。このバイアス条件の場合は、デバイスがオフ状態(チャネルが空乏化され、電流が流れない状態)である。
図12に示す電位間が狭いところは電界が高いことを示している。図12から明らかなように、ゲートショットキー電極1206近傍では電界が高くなることが分かる。シミュレーション結果によって、このバイアス条件では最大電界が9.48MV/cmもあり、破壊電界Emax(約5MV/cm)を大きく上回ることが分かる。実物のGaNヘテロ接合FETに同じバイアス条件の電圧を印加すると絶縁破壊が起こる。
電位がゲート電極の近い領域に集中する程度はデバイスのチャネル辺りにある固定電荷(fixed charge)濃度に依存する。実用的なGaNヘテロ接合FETには、AlGaN層の組成または不純物ドーピングによって、この固定電荷濃度がある程度制御できる。固定電荷濃度が高い場合は、デバイスがオン状態の時の2DEG濃度nsが高くてオン抵抗が低いので、オフ状態の時の電界集中程度が高くて耐圧が低くなる。しかしながら、オン抵抗が低くてオフ耐圧が高いのが望ましい。
GaNヘテロ接合FETのゲート電極とドレイン電極は半導体層の同一面上にあって、ゲート電極とドレイン電極との間に印加される電圧が高い。GaNヘテロ接合FETは、GaAsやSiのFETと異なって、フィールドプレート(Field plate)構造は有効ではない。このようなGaNヘテロ接合FETにフィールドプレートを用いる場合は、半導体層の最大電界が低いが、フィールドプレート下側の絶縁膜の電界が高いために、絶縁膜で絶縁破壊が起こるという問題がある(通常の絶縁膜の破壊電界はGaAsやSiの破壊電界より高いが、GaNの破壊電界と同じ程度である)。
ツアング(Zhang,n.-Q.)著、他5名、「オーバーラッピングゲート構造の高ブレークダウンGaN HEMT(High Breakdown GaN HEMT with Overlapping Gate Structure)」、第21巻、エレクトロン・デバイス・レターズ(Electron Device Letters)、アイトリプルイー(IEEE)、2000年9月、p.373−375、p.421−423
そこで、この発明の目的は、簡単な構成で電極間の電界分布を均一にすることにより高耐圧化できる電子デバイスを提供することにある。
前記目的を達成するため、この発明の電子デバイスは、
III族窒化物系化合物半導体である能動層を備え、フィールドプレートを用いない電子デバイスであって、
前記能動層上に形成された複数の電極と、
前記複数の電極うちの少なくとも2つの電極間の電界分布が均一になるように、前記能動層上に形成された誘電体層とを備え
前記誘電体層の誘電率ε2は前記能動層の誘電率ε1より高く、
前記能動層の厚さをt1とし、前記誘電体層の最大厚さをt2maxとするとき、前記誘電体層の最大厚さt2maxと前記誘電体層の誘電率ε2との積t2max・ε2と、前記能動層の厚さt1と前記能動層の誘電率ε1との積t1・ε1との関係が、
t2max・ε2 > t1・ε1
となる第1の条件、または、
前記電界分布が均一になるようにした電極間の間隔をLとし、前記誘電体層の最大厚さt2maxと前記誘電体層の誘電率ε2との積t2max・ε2と、前記電極の間隔Lと前記能動層の誘電率ε1との積L・ε1との関係が、
t2max・ε2 > L・ε1
となる第2の条件のうちの少なくとも一方の条件を満たすと共に、
上記誘電体層の厚さの変化が、
Figure 0004473201
(ただし、yは表面の垂直方向、Nsは前記能動層のシート荷電濃度、Vは前記電極間の印加電圧)
で表されるように上記誘電体層の厚さを変化させたグレーディング構造と近似していることを特徴とする。
ここで、「能動層」とは、一般的に半導体または絶縁体で構成され、信号を伝達したりスイッチングしたり増幅したりする層のことである。
前記構成の電子デバイスによれば、前記能動層上に形成された誘電体層に例えば誘電率が高いTiOやHfOなどの誘電体を用いることによって、能動層上に形成された複数の電極うちの少なくとも2つの電極間の電界分布が略均一にすることが容易にできる(マクスウェル(Maxwell)式「div.(εE)=ρ」によれば、電荷密度ρが存在して、誘電率εが高いなるほど電界Eの勾配が小さくなる)。したがって、電界をシールドするためのフィールドプレート構造を用いることなく、簡単な構成で電極間の電界分布を均一にすることにより高耐圧化が図れる。
また、前記能動層にIII族窒化物系化合物半導体が用いられているデバイスでは、前記誘電体層による電界分布の均一化による効果が特に顕著である。
また、前記誘電体層の誘電率ε2を前記能動層の誘電率ε1より高くすることによって、電極間の電界分布を容易に均一化できる。
また、誘電体層の最大厚さt2maxと誘電体層の誘電率ε2との積t2max・ε2を、能動層の厚さt1と能動層の誘電率ε1との積t1・ε1よりも大きくすることによって、電極間の電界分布をより容易に均一化できる。
また、誘電体層の最大厚さt2maxと誘電体層の誘電率ε2との積t2max・ε2を、電極の間隔Lと前記能動層の誘電率ε1との積L・ε1よりも大きくすることによって、電極間の電界分布をより容易に均一化できる。
また、誘電体層の最大厚さt2maxと誘電体層の誘電率ε2との積t2max・ε2を、能動層の厚さt1と能動層の誘電率ε1との積t1・ε1よりも大きくし、かつ、誘電体層の最大厚さt2maxと誘電体層の誘電率ε2との積t2max・ε2を、電極の間隔Lと前記能動層の誘電率ε1との積L・ε1よりも大きくすることによって、電極間の電界分布の均一化をさらに確実に行うことができる。
また、一実施形態の電子デバイスは、前記誘電体層は、段毎に積層数の異なる階段状の積層構造をしており、前記誘電体層の各段における層の厚さと誘電率の積の和は、前記電界分布が略均一になるようにした電極の一方から他方に向かって小さくなっていることを特徴とする。
前記実施形態の電子デバイスによれば、誘電体層の各段を構成する層毎の厚さと誘電率の積の和は、電極の一方から他方に向かって段毎に小さくして、前記電界分布が略均一になるようにすることによって、電極間の電界分布をさらに確実に均一化する階段状の誘電体層を簡単に形成できる。
また、一実施形態の電子デバイスは、前記電界分布が略均一になるようにした電極の一方から他方に向かって前記誘電体層の厚さが薄くなるかまたは前記誘電体層の誘電率が小さくなっていることを特徴とする。
前記実施形態の電子デバイスによれば、電界分布が略均一になるようにした電極の一方から他方に向かって誘電体層の厚さを薄くすることによって、電極間の電界分布をさらに確実に均一化する誘電体層を簡単に形成できる。または、電界分布が略均一になるようにした電極の一方から他方に向かって誘電体層の誘電率を小さくすることによって、電極間の電界分布をさらに確実に均一化する階段状の誘電体層を簡単に形成できる。
また、一実施形態の電子デバイスは、前記誘電体層が金属酸化物(metallic oxide)を含むことを特徴とする。
前記実施形態の電子デバイスによれば、前記誘電体層が金属酸化物を含むことによって、誘電率の高い誘電体層を容易に形成することができる。
また、一実施形態の電子デバイスは、前記誘電体層が前記能動層にストレスをかけないように形成されていることを特徴とする。
前記実施形態の電子デバイスによれば、例えば、強い圧電効果を発揮するIII族窒化物系化合物半導体を能動層に用いた場合、能動層の表面にストレスが発生して2DEGの濃度変化が起こる可能性がある。このような2DEGの濃度変化は、電子デバイスの特性上、望ましくない。従って、誘電体層は半導体にストレスがかからないように形成するのが望ましい。特に、前記誘電体層をスパッタリングやスピンコート法により形成するのが好ましい。
また、一実施形態の電子デバイスは、前記複数の電極は、前記能動層上に形成されたゲート電極と、前記能動層上にかつ前記ゲート電極の両側に形成されたソース電極およびドレイン電極であって、前記ソース電極または前記ドレイン電極の少なくとも一方と前記ゲート電極との間の電界分布が略均一になるように、前記能動層上に前記誘電体層が形成されているヘテロ接合FETであることを特徴とする。
前記実施形態の電子デバイスによれば、前記能動層上に形成された誘電体層に例えば誘電率が高い誘電体を用いることによって、能動層上に形成されたソース電極またはドレイン電極の少なくとも一方とゲート電極との間の電界分布が略均一にすることが容易にできる
また、この発明の電子デバイスは、
能動層を備えた電子デバイスであって、
前記能動層上に形成された、複数の電極と、誘電体層とを備え、
前記複数の電極のうちの少なくとも2つの電極間の電界分布の最大値と最小値との差が減少するように、前記能動層上に前記誘電体層が形成されることが望ましい。
前記電子デバイスによれば、複数の電極のうちの少なくとも2つの電極間の電界分布を略均一にできる。それによって、電界をシールドするためのフィールドプレート構造を用いることなく、高耐圧化が図れる。
また、この発明のヘテロ接合FETは、
半導体層からなる能動層上に形成されたゲート電極と、誘電体層と
前記能動層上にかつ前記ゲート電極の両側に形成されたソース電極およびドレイン電極とを備え、
前記ゲート電極,ソース電極およびドレイン電極のうちの少なくとも2つの電極間の電界分布の最大値と最小値との差が減少するように、前記能動層上に前記誘電体層が形成されることが望ましい。
前記ヘテロ接合FETよれば、ゲート電極,ソース電極およびドレイン電極のうちの少なくとも2つの電極間の電界分布を略均一にできる。それによって、電界をシールドするためのフィールドプレート構造を用いることなく、高耐圧化が図れる。
以上より明らかなように、この発明の電子デバイスによれば、電極間の最大電界が低くなり耐圧が高くすることができる。また、電子デバイスのキャリア濃度が高くても電界の集中が起こらないので、チャネルの抵抗が低いにも係わらず耐圧を高くすることができる。
この発明は、さまざまな電子デバイス(SAW(Surface Acoustic Wave;表面弾性波)デバイスやMEMS(Micro electro mechanical system;微小電気機械システム)等)に有効であり、能動層の同一面上に2つ以上の電極があって、この電極に電圧が印加されるものにこの発明が有効である。
また、半導体デバイス(FETやダイオード等)では、電界が非常に高くなるので、この発明が特に有効である。さらに、この発明の最も有効であるデバイスはGaN系のヘテロ接合FETである。
以下、この発明の電子デバイスを図示の実施の形態により詳細に説明する。
まず、実施形態を説明する前に、理想的な誘電体層のグレーディングについて説明する。
電位の変化が1次元の場合はマクスウェル(Maxwell)式が次の式(1)のようになる。
E dε/dx + εdE/dx = ρ ……… (1)
理想的な場合は、電界の変化が無くて、電界の微分dE/dxがゼロであるので、1次元の場合は誘電体層の誘電率が理想的に次の式(2)のように変わると良い。
dε/dx = ρ/E = ρL/V ……… (2)
前記式(2)において、Lは電極の間隔、Vは印加電圧である。
電子デバイスがGaNヘテロ接合FETの場合は式(2)がより詳しく表すことができる。すなわち、GaNヘテロ接合FETでは、電界が最も高い領域はゲート電極とドレイン電極との間にあるので、このゲート電極とドレイン電極との間の領域に誘電体層の膜厚を変化させるグレーディングが有効である。
GaNヘテロ接合FETでは、前記式(2)が次の式(3)のようになる。
Figure 0004473201
前記式(3)において、yは表面の垂直方向、Nsは半導体層のシート荷電濃度、Ldgはドレイン電極とゲート電極との間隔、Vdgはドレイン・ゲート印加電圧である。
したがって、誘電体層の誘電率が一定の場合、誘電体層の厚さt(x)を理想的に次の式(4)のように変化させたグレーディング構造を形成する。
dt(x)/dx = −q・Ns・Ldg/(ε・Vdg) ……… (4)
一方、誘電体の厚さtが一定の場合は誘電率ε(x)を理想的に次の式(5)のように変化させたグレーディング構造を形成する。
dε(x)/dx = −q・Ns・Ldg/(Vdg・t) ……… (5)
前記式(4)と式(5)は誘電率が高い誘電体が電界に最も強い影響を与えると仮定している。この仮定が合うようするには、次の2つの条件を満たす必要がある。
(a) 誘電体層の誘電率ε2が下側の半導体層の誘電率ε1より高い。
(b) 積(ε2・t2)が積(ε1・t1)より高い、または、積(ε2・t2)が積(ε1・Ldg)より高い(t1=誘電体層の厚さ、t2=半導体層の厚さ)。
また、式(3)を積分したら下記の式となる。
Figure 0004473201
この式(6)のCは積分定数である。高誘電膜の厚さと比誘電率がプラスなので、下記の式となる。
Figure 0004473201
従って、比誘電率が一定の場合は、
Figure 0004473201
となる。以上より、理想的なグレーディングを実現するための高誘電膜の厚さと誘電率との積の値は、q・Ns・Ldg2/Vdg以上となる。Vdgは、一般的なデバイスの場合、仕様書に記載されている最大のドレイン・ゲート印加電圧がVdgとなる。
実用的には、式(4)または式(5)のような理想的に誘電体層の厚さを変化させるグレーディングまたは誘電率を変化させるグレーディングが困難である。しかし、グレーディングが式(4)または式(5)と近似であれば有効である。
次に、電極間の電界分布を均一化するのに、効果の高い、最適なグレーディング構造である、誘電体層の厚さを変化させたグレーディング構造の第1実施形態と、誘電体層の誘電率を変化させたグレーディング構造の第2実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図4はこの発明の第1実施形態の電子デバイスの一例としてのAlGaN/GaN系ヘテロ接合FETの断面図と共に電位を示す図であり、誘電体層の厚さを変化させたグレーディング構造の効果を示している。このヘテロ接合FETの構造は図12と同じであるが、半導体層表面に誘電体層の厚さを変化させたグレーディング構造を形成している。
図4に示すように、サファイア基板401の上に、厚さ3μmのアンドープGaNからなるGaN層402と厚さ20nmのアンドープAl0.5Ga0.5NからなるAl0.5Ga0.5N層403を形成し、そのAl0.5Ga0.5N層403上に、ソースオーミック電極405とゲートショットキー電極406およびドレインオーミック電極407を形成している。前記GaN層402とAlGaN層403で能動層を構成している。
前記Al0.5Ga0.5N層403の上に、誘電率εr=80の誘電体からなる誘電体層408を形成している。この誘電体層408の厚さをt(0)=600nmからt(3μm)=193nmまで変化させてグレーディング構造を形成している。ゲートショットキー電極406とドレインオーミック電極407との間において、グレーディングの程度は式(4)のようである。
前記GaN層402とAl0.5Ga0.5N層403の境界の領域に2DEG404が発生する。このときの2DEGの濃度は8×1012cm−2である。ここで、ドレインオーミック電極407とゲートショットキー電極406との間隔Ldgは3μm、ドレイン・ソース印加電圧Vdsは400V、ゲート・ソース印加電圧Vgsは−10Vである。このバイアス条件の場合はヘテロ接合FETがオフ状態(チャネルが空乏化され、電流が流れない状態)である。
この第1実施形態のヘテロ接合FETは、誘電体層408の厚さを変化させたグレーディング構造を形成した場合は電界分布の均一性が良く、最大電界が3.34MV/cmである。
この第1実施形態のヘテロ接合FETは、前記第5実施形態のヘテロ接合FETと同様の効果を有する。
この第1実施形態のヘテロ接合FETよれば、電界分布が略均一になるようにした電極の一方から他方に向かって誘電体層の厚さが薄くすることによって、電極間の電界分布をさらに確実に均一化する誘電体層を簡単に形成することができる。
(第2実施形態)
図5はこの発明の第2実施形態の電子デバイスの一例としてのAlGaN/GaN系ヘテロ接合FETの断面図と共に電位を示す図であり、誘電体層の誘電率を変化させたグレーディング構造の効果を示している。図5の上側には誘電率εrの変化を示している。
この第2実施形態のヘテロ接合FETの構造は図12と同じであるが、半導体層表面に誘電率を変化させた誘電体層を形成している。
図5に示すように、サファイア基板501の上に、厚さ3μmのアンドープGaNからなるGaN層502と厚さ20nmのアンドープAl0.5Ga0.5NからなるAl0.5Ga0.5N層503を形成し、そのAl0.5Ga0.5N層503上に、ソースオーミック電極505とゲートショットキー電極506およびドレインオーミック電極507を形成している。前記GaN層502とAlGaN層503で能動層を構成している。
前記Al0.5Ga0.5N層503の上に、厚さ600nm、誘電率εr=80〜26の誘電体からなる誘電体層508を形成している。誘電体層508の誘電率をεr(0)=80からεr(3μm)=26まで変化させたグレーディング構造を形成している。ゲートショットキー電極506とドレインオーミック電極507との間における誘電体層508のグレーディングの程度は式(5)のようである。
前記GaN層502とAl0.5Ga0.5N層503の境界の領域に2DEG504が発生する。2DEGの濃度は8×1012cm−2である。ここで、ドレインオーミック電極507とゲートショットキー電極506との間隔Ldgは3μm、ドレイン・ソース印加電圧Vdsは400V、ゲート・ソース印加電圧Vgsは−10Vである。このバイアス条件の場合はヘテロ接合FETがオフ状態(チャネルが空乏化され、電流が流れない状態)である。
この第2実施形態のヘテロ接合FETは、誘電体層508の厚さを変化させたグレーディング構造を形成した場合は、電界分布の均一性が良く、最大電界が3.29MV/cmである。
この第2実施形態のヘテロ接合FETは、前記第5実施形態のヘテロ接合FETと同様の効果を有する。
この第2実施形態のヘテロ接合FETよれば、電界分布が略均一になるようにした電極の一方から他方に向かって誘電体層の誘電率が小さくすることによって、電極間の電界分布をさらに確実に均一化する階段状の誘電体層を簡単に形成することができる。
(第3実施形態)
次に、厚さ及び誘電率が一定で、誘電率が高い誘電体を電子デバイスに形成した第3実施形態を説明する。この第3実施形態は、電極間の電界分布を均一化するのに、最適ではないが、効果はある。
図6はこの発明の第3実施形態の電子デバイスの一例としてのAlGaN/GaN系ヘテロ接合FETの断面図と共に電位を示す図である。このヘテロ接合FETの構造は図12と同じであるが、半導体層表面には誘電率が高い誘電体層を形成している。
図6に示すように、サファイア基板601の上に、厚さ3μmのアンドープGaNからなるGaN層602と厚さ20nmのアンドープAl0.5Ga0.5NからなるAl0.5Ga0.5N層603を形成し、そのAl0.5Ga0.5N層602上に、ソースオーミック電極605とゲートショットキー電極606およびドレインオーミック電極607を形成している。前記GaN層602とAlGaN層603で能動層を構成している。
前記Al0.5Ga0.5N層603の上に、厚さ600nm、誘電率εr=80の誘電体からなる誘電体層608を形成している。このGaN層602とAl0.5Ga0.5N層603の境界の領域に2DEG604が発生する。このときの2DEGの濃度は8×1012cm−2である。ここで、ドレインオーミック電極607とゲートショットキー電極606との間隔Ldgは3μm、ドレイン・ソース印加電圧Vdsは400V、ゲート・ソース印加電圧Vgsは−10Vである。このバイアス条件の場合は、ヘテロ接合FETがオフ状態(チャネルが空乏化され、電流が流れない状態)である。
この第3実施形態のヘテロ接合FETに、誘電率が高い誘電体層608を形成した場合は電界分布の均一性が良いことが分かる。図6の場合は最大電界が3.73MV/cmである。
前記構成のヘテロ接合FETによれば、前記GaN層602とAlGaN層603からなる能動層上に形成された誘電体層608に誘電率が高い誘電体を用いることによって、能動層上に形成されたゲートショットキー電極606とドレインオーミック電極607との間の電界分布が略均一にすることが容易にできる。したがって、電界をシールドするためのフィールドプレート構造を用いることなく、簡単な構成で電極間の電界分布を均一にすることにより高耐圧化が実現できる。
また、前記誘電体層の誘電率ε2を能動層の誘電率ε1より高くしていることによって、ゲートショットキー電極606とドレインオーミック電極607との間の電界分布を容易に均一化することができる。
(第1比較例)
図7は第1比較例のAlGaN/GaN系ヘテロ接合FETの断面図と共に電位を示す図である。ヘテロ接合FETの構造は図12と同じであるが、ドレイン電極に近い領域だけの半導体層表面に誘電率が高い誘電体層を形成している。
図7に示すように、サファイア基板701の上に、厚さ3μmのアンドープGaNからなるGaN層702と厚さ20nmのアンドープAl0.5Ga0.5NからなるAl0.5Ga0.5N層703を形成し、そのAl0.5Ga0.5N層703上に、ソースオーミック電極705とゲートショットキー電極706およびドレインオーミック電極707を形成している。前記GaN層702とAlGaN層703で能動層を構成している。
前記Al0.5Ga0.5N層703の上に、厚さ600nm、幅1μm、誘電率εr=80の誘電体からなる誘電体層708を形成している。このGaN層702とAl0.5Ga0.5N層703の境界の領域に2DEG704が発生する。このときの2DEGの濃度は8×1012cm−2である。ここで、ドレインオーミック電極707とゲートショットキー電極706との間隔Ldgは3μm、ドレイン・ソース印加電圧Vdsは400V、ゲート・ソース印加電圧Vgsは−10Vである。このバイアス条件の場合は、ヘテロ接合FETがオフ状態(チャネルが空乏化され、電流が流れない状態)である。
図7と図12を比較したら、誘電率が高い誘電体層708をドレイン電極に近い領域だけの半導体層表面に形成した場合は、電界の均一性が僅かに悪くなることが分かる。図7の場合は最大電界が9.50MV/cmである。
(第2比較例)
図8は第2比較例のAlGaN/GaN系ヘテロ接合FETの断面図と共に電位を示す図である。このヘテロ接合FETの構造は図12と同じですが、ゲート電極の近い領域だけの半導体層表面には誘電率が高い誘電体層808が付いている。この誘電体層とゲート電極の間に0.3μmの隙間がある。
図8に示すように、サファイア基板801の上に、厚さ3μmのアンドープGaNからなるGaN層802と厚さ20nmのアンドープAl0.5Ga0.5NからなるAl0.5Ga0.5N層803を形成し、そのAl0.5Ga0.5N層803上に、ソースオーミック電極805とゲートショットキー電極806およびドレインオーミック電極807を形成している。前記GaN層802とAlGaN層803で能動層を構成している。
前記Al0.5Ga0.5N層803の上に、厚さ600nm、幅1μm、誘電率εr=80の誘電体からなる誘電体層808を形成している。このGaN層802とAl0.5Ga0.5N層803の境界の領域に2DEG804が発生する。このときの2DEGの濃度は8×1012cm−2である。ここで、ドレインオーミック電極807とゲートショットキー電極806との間隔Ldgは3μm、ドレイン・ソース印加電圧Vdsは400V、ゲート・ソース印加電圧Vgsは−10Vである。このバイアス条件の場合は、デバイスがオフ状態(チャネルが空乏化され、電流が流れない状態)である。
図8と図12を比較したら、誘電率が高い誘電体層808をゲートショットキー電極806に近い領域だけの能動層の半導体表面に形成して、高誘電体層808とゲートショットキー電極806の間に隙間が開いた場合は電界分布の均一性が悪くなることが分かる。図8の場合は最大電界が13.47MV/cmである。
(第4実施形態)
誘電率の高い誘電体層は、電極の間の半導体層表面を一部だけに形成しても電界分布に強い影響を与えることがある。図9は誘電体層が半導体層表面の一部だけに形成している効果を示す図である。
図9はこの発明の第4実施形態の電子デバイスの一例としてのAlGaN/GaN系ヘテロ接合ヘテロ接合FETの断面図と共に電位を示す図である。このヘテロ接合FETの構造は図12と同じですが、ゲート電極の周りの領域だけの半導体層表面に誘電率が高い誘電体層を形成している。
図9に示すように、サファイア基板901の上に、厚さ3μmのアンドープGaNからなるGaN層902と厚さ20nmのアンドープAl0.5Ga0.5NからなるAl0.5Ga0.5N層903を形成し、そのAl0.5Ga0.5N層903上に、ソースオーミック電極905とゲートショットキー電極906およびドレインオーミック電極907を形成している。前記GaN層902とAlGaN層903で能動層を構成している。
前記Al0.5Ga0.5N層903の上に、厚さ600nm、幅2μm、誘電率εr=80の誘電体からなる誘電体層908を形成している。このGaN層902とAl0.5Ga0.5N層903の境界の領域に2DEG904が発生する。このときの2DEGの濃度は8×1012cm−2である。ここで、ドレインオーミック電極907とゲートショットキー電極906との間隔Ldgは3μm、ドレイン・ソース印加電圧Vdsは400V、ゲート・ソース印加電圧Vgsは−10Vである。このバイアス条件の場合は、ヘテロ接合FETがオフ状態(チャネルが空乏化され、電流が流れない状態)である。
図9と図7,図8の第1,第2比較例を比較したら、誘電率が高い誘電体層908をゲートショットキー電極906の周りの領域だけの能動層の半導体表面に形成した場合は電界分布の均一性が良くなり、最大電界が6.45MV/cmである。
(第5実施形態)
図1はこの発明の第5実施形態の電子デバイスの一例としてのAlGaN/GaN系ヘテロ接合FETの断面図を示す図である。
この第5実施形態のヘテロ接合FETは、TiO層を3回重ね合わせて、段毎に積層数の異なる階段状の積層構造の誘電体層を形成している。この階段状の積層構造の誘電体層の厚さの変化が、式(4)のように誘電体層の厚さを変化させたグレーディング構造と近似している。図1に示すヘテロ接合FETは、最大ドレイン・ゲート印加電圧Vdg=410Vに耐えられる構造である。ドレインオーミック電極107とゲートショットキー電極106との間隔Ldgは3μmである。
このヘテロ接合FETの製造方法は概略以下のとおりである。
まず、サファイア基板101上に、GaN層102とAlGaN層103を順に成長させて形成する。このときの結晶成長方法としてはMBE(Molecular Beam Epitaxy;分子線エピタキシャル)法またはMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition;有機金属気相成長)法が有効である。前記GaN層102とAlGaN層103で能動層を構成している。
次に、アイソレーションメサ112をドライエッチングで形成する。
次に、AlGaN層103上に、ソースオーミック電極105とドレインオーミック電極107を形成して、コンタクト抵抗が低くなるよう熱処理する。
次に、AlGaN層103上に、ゲートショットキー電極106を形成する。
次に、TiO層を全面にデポして、ウェットエッチングでパターニングを行ってTiO層108を形成する。デポ方法としてはスパッタリングまたはスピンオンプロセスが有効である。スピンオンプロセスの場合はデポした後に熱処理を行う。
次に、TiO層を全面にデポして、ウェットエッチングでパターニングを行って、TiO層109を形成し、TiO層を全面にデポして、ウェットエッチングでパターニングを行ってTiO層110を形成する。
この第5実施形態は、TiO層108,109,110の全体の厚さはゲートショットキー電極106とドレインオーミック電極107との間で3段階(各段の幅は1μm)に変わるので、TiO層108,109,110は式(4)のグレーディング構造と近似している。
前記TiO層108とTiO層109およびTiO層110で階段状の積層構造の誘電体層を構成している。このTiOの誘電率はεr=80と高くて、破壊電界が7MV/cmと高いので、この発明に用いる適切な誘電体である。
図12に示す従来ヘテロ接合FETの耐圧はシミュレーションによって、111Vであるのに対して、この第5実施形態の図1に示すヘテロ接合FETの耐圧は743Vもある。何れも、2DEG濃度と電子の移動度が同じなので、チャネルの抵抗は同じである。
前記構成のヘテロ接合FETによれば、GaN層102とAlGaN層103からなる能動層上に形成された誘電体層(TiO層108,109,110)に、誘電率が高い誘電体としてTiOを用いることによって、能動層上に形成されたゲートショットキー電極106とドレインオーミック電極107との間の電界分布が略均一にすることが容易にできる。したがって、電界をシールドするためのフィールドプレート構造を用いることなく、簡単な構成で電極間の電界分布を均一にすることにより高耐圧化が実現できる。
また、前記誘電体層のTiOの誘電率を能動層のGaN,AlGaNの誘電率よりも高くしていることによって、ゲートショットキー電極106とドレインオーミック電極107との間の電界分布を容易に均一化することができる。
また、階段状の積層構造の誘電体層(TiO層108,109,110)の各段を構成するTiO層毎の厚さと誘電率の積の和を、ゲートショットキー電極106からドレインオーミック電極107に向かって段毎に小さくして、電界分布が略均一になるようにすることによって、電極間の電界分布をより確実に均一化できる階段状の誘電体層を簡単に形成することができる。
また、前記能動層にIII族窒化物系化合物半導体が用いられているヘテロ接合FETでは、フィールドプレート構造が有効ではなく、誘電体層による電界分布の均一化による効果が特に顕著である。
また、前記誘電体層が金属酸化物であるTiOを含むことによって、誘電率の高い誘電体層を容易に形成することができる。
また、この第5実施形態のヘテロ接合FETは、強い圧電効果を発揮するIII族窒化物系化合物半導体を能動層に用いているので、能動層の表面にストレスが発生して2DEGの濃度変化が起こる可能性がある。このような2DEGの濃度変化は、電子デバイスの特性上、望ましくないので、誘電体層は能動層の半導体にストレスがかからないように形成するのが好ましい。
(第6実施形態)
図2はこの発明の第6実施形態の電子デバイスの一例としてのAlGaN/GaN系ヘテロ接合FETの断面図を示す図である。
この第6実施形態のヘテロ接合FETは、3種類の誘電体層を合わせて誘電体層を形成して、合わせた誘電体層の厚さの変化が式(3)のように厚さを変化させたグレーディング構造と近似している。図2の上側には誘電率と厚さの積(εr・t)の変化を示している。図2に示すヘテロ接合FETは、最大ドレイン・ゲート印加電圧Vdg=410Vに耐えられる構造である。ドレイン電極207とゲート電極205との間隔Ldgは3μmである。
このヘテロ接合FETの製造方法は概略以下のとおりである。
図2に示すように、サファイア基板201上に、GaN層202とAlGaN層203を順に成長する。このときの結晶成長方法としてはMBE法またはMOCVD法が有効である。前記GaN層202とAlGaN層203で能動層を構成している。
次に、アイソレーションメサ212をドライエッチングで形成する。
次に、AlGaN層203上に、ソース電極205とドレイン電極207を形成して、コンタクト抵抗が低くなるよう熱処理する。
次に、AlGaN層203上にゲートショットキー電極206を形成する。
次に、TiO層を全面にデポして、ウェットエッチングでパターニングを行ってTiO層208を形成する。デポ方法としてはスパッタリングまたはスピンオンプロセスが有効である。スピンオンプロセスの場合はデポした後に熱処理を行う。
次に、HfO層を全面にスパッタリングでデポして、ウェットエッチングでパターニングを行ってHfO層209を形成し、SiN層を全面にCVDでデポして、ウェットエッチングでパターニングを行ってSiN層210を形成する。
前記TiO層208とHfO層209およびSiN層210で誘電体層を構成している。前記TiO層208の幅は1μm、HfO層209の幅は1.5μm、SiN層210の幅は0.5μmである。
この第6実施形態のヘテロ接合FETは、誘電体層の全体の誘電率と厚さはゲートショットキー電極206とドレイン電極207との間に3段階で変わるので、式(3)のグレーディング構造と近似している。この第6実施形態の誘電体層に用いる誘電体の誘電率εr、厚さt、積(εr・t)は次のようになる。
TiO : εr=80、t=345nm、(εr・t)=2.76×10−3cm
HfO : εr=25、t=561nm、(εr・t)=1.40×10−3cm
SiN : εr=7.5、t=425nm、(εr・t)=0.32×10−3cm
ここで、図2の上側のグラフの近似直線の傾きd/dx(εr・t)は、
d/dx(εr・t) = −q・Ns・Ldg/(Vdg・ε0) = −10.6
となる(ここで、ε0は真空の誘電率)。
この第6実施形態のヘテロ接合FETは、前記第5実施形態のヘテロ接合FETと同様の効果を有する。
(第7実施形態)
図3はこの発明の第7実施形態の電子デバイスの一例としてのAlGaN/GaN系ヘテロ接合FETの断面図を示す図である。この第7実施形態のヘテロ接合FETは、誘電率が高い誘電体層と半導体層との間に薄いSiNのパッシベーション層308を挟んでいる。このSiNのパッシベーション層308はAlGaN層303の安定性のためである。SiNのパッシベーション層308は薄くしているので、その上の誘電体層の効果がほとんど減少しない。
この第7実施形態はゲートショットキー電極の代わりにMIS(metal−insulator−semiconductor)ゲート電極を用いる。また、ゲート絶縁膜はSiNのパッシベーション層308である。
図3に示すヘテロ接合FETは、最大ドレイン・ゲート印加電圧Vdg=410Vに耐えられる構造である。ドレイン電極307とゲートショットキー電極306との間隔Ldgは3μmである。
このヘテロ接合FETの製造方法は概略以下のとおりである。
まず、サファイア基板301上に、GaN層302とAlGaN層303を順に成長する。このときの結晶成長方法としてはMBE法またはMOCVD法が有効である。前記GaN層302とAlGaN層303で能動層を構成している。
次に、アイソレーションメサ312をドライエッチングで形成する。
次に、AlGaN層303に、ソース電極305とドレイン電極307を形成して、コンタクト抵抗が低くなるよう熱処理する。
次に、SiN層308を全面にCVDでデポし、ウェットエッチングでパターニングを行う。
次に、SiN層308上にゲート電極306を形成する。
次に、TiO層を全面にデポして、ウェットエッチングのプロセスを3回繰り返してTiO層309を形成し、TiO層309の厚さを3段に変化させたグレーディング構造の誘電体層を形成している。
詳しくは、第1回のウェットエッチングでTiO層の一部を約135nmエッチングする。次に、第2回のウェットエッチングでTiO層の別の一部を更に約135nmエッチングを行う。最後に、第3回のウェットエッチングでTiO層の別の一部を更に約135nmエッチングを行うことによりTiO層309を形成する。
この第7実施形態のヘテロ接合FETは、前記第5実施形態のヘテロ接合FETと同様の効果を有する。
(第8実施形態)
図10はこの発明の第8実施形態の電子デバイスの一例としてのショットキーダイオードの断面図である。
図10に示すように、サファイア基板1001の上に、厚さ50nmのAlNからなるバッファ層1002と厚さ3μmのGaNからなるGaN層1003(不純物濃度1×1017cm-3)を順次形成する。次に、前記GaN層1003上に、Ti/Al/Auからなるカソードオーミック電極1005とWN/Auからなるアノードショットキー電極1006およびTi/Al/Auからなるカソードオーミック電極1007を形成している。さらに、GaN層1003上かつアノードショットキー電極1006の両側に、アノードショットキー電極1006を挟むようにTiOからなる誘電体層1008,1009を形成している。
前記構成のショットキーダイオードによれば、GaN層1003からなる能動層上に形成された誘電体層1008,1009に誘電率が高い誘電体としてTiOを用いることによって、能動層上に形成されたアノードショットキー電極1006とカソードオーミック電極1005との間およびアノードショットキー電極1006とカソードオーミック電極1007との間の電界分布が略均一にすることが容易にできる。したがって、電界をシールドするためのフィールドプレート構造を用いることなく、簡単な構成で電極間の電界分布を均一にすることにより高耐圧化が実現できる。
また、前記誘電体層1008,1009の誘電率ε2を能動層のGaN層1003の誘電率ε1より高くしていることによって、アノードショットキー電極1006とカソードオーミック電極1005との間およびアノードショットキー電極1006とカソードオーミック電極1007との間の電界分布を容易に均一化することができる。
前記第1〜第7実施形態では、電子デバイスとしてヘテロ接合FETについて説明し、第8実施形態では、電子デバイスとしてGaNショットキーダイオードについて説明したが、電子デバイスはこれに限らず、ガンダイオードやSAWおよびMEMS等の電子デバイスにこの発明を適用してもよい。
また、前記第1〜第7実施形態のヘテロ接合FETにおいて、能動層の厚さをt1とし、誘電体層の最大厚さをt2maxとするとき、誘電体層の最大厚さt2maxと誘電体層の誘電率ε2との積t2max・ε2と、能動層の厚さt1と能動層の誘電率ε1との積t1・ε1との関係が、
t2max・ε2 > t1・ε1
の第1の条件を満たすことが好ましい。この場合、誘電体層の最大厚さt2maxと誘電体層の誘電率ε2との積t2max・ε2を、能動層の厚さt1と能動層の誘電率ε1との積t1・ε1よりも大きくすることによって、電極間の電界分布をより容易に均一化できる。
さらに、電界分布が略均一になるようにした電極間の間隔をLとし、誘電体層の最大厚さをt2maxとするとき、誘電体層の最大厚さt2maxと誘電体層の誘電率ε2との積t2max・ε2と、電極の間隔Lと能動層の誘電率ε1との積L・ε1との関係が、
t2max・ε2 > L・ε1
の第2の条件を満たすことが好ましい。この場合、誘電体層の最大厚さt2maxと誘電体層の誘電率ε2との積t2max・ε2を、電極の間隔Lと前記能動層の誘電率ε1との積L・ε1よりも大きくすることによって、電極間の電界分布をより容易に均一化できる。
また、前記第1の条件と第2の条件の両方を満足するのがより好ましい。
図1はこの発明の第5実施形態の電子デバイスの一例としてのヘテロ接合FETの断面図である。 図2はこの発明の第6実施形態の電子デバイスの一例としてのヘテロ接合FETの断面図である。 図3はこの発明の第7実施形態の電子デバイスの一例としてのヘテロ接合FETの断面図である。 図4はこの発明の第1実施形態の電子デバイスの一例としてのヘテロ接合FETのデバイス構造と電位を示す断面図である。 図5はこの発明の第2実施形態の電子デバイスの一例としてのヘテロ接合FETのデバイス構造と電位を示す断面図である。 図6はこの発明の第3実施形態の電子デバイスの一例としてのヘテロ接合FETのデバイス構造と電位を示す断面図である。 図7はこの発明の第1比較例の電子デバイスとしてのヘテロ接合FETのデバイス構造の例と電位を示す断面図である。 図8はこの発明の第2比較例の電子デバイスとしてのヘテロ接合FETのデバイス構造の例と電位を示す断面図である。 図9はこの発明の第4実施形態の電子デバイスとしてのヘテロ接合FETのデバイス構造の例と電位を示す断面図である。 図10はこの発明の第8実施形態の電子デバイスの一例としてのショットキーダイオードの断面図である。 図11は従来の電子デバイスとしてのヘテロ接合FETの断面図である。 図12は従来のヘテロ接合FETのデバイス構造と電位を示す断面図である。
101,201,301,401,501,601,1001,1201…サファイア基板
102,202,302,402,502,602,1202…GaN層
103,203,303,403,503,603,1203…Al0.5Ga0.5N層
104,201,301,401,501,601,1201…2DEG
105,205,305,405,505,605,1205…ソースオーミック電極
106,206,406,506,606,1206…ゲートショットキー電極
107,207,307,407,507,607,1207…ドレインオーミック電極
108…TiO
109…TiO
110…TiO
112…アイソレーションメサ
208…TiO
209…HfO
210…SiN
306…ゲート電極
308…SiN
309…HfO
312…アイソレーションメサ
408,508,608,708,808,908,1008,1009…誘電体層
1002…バッファ層
1003…GaN層
1005,1007…カソードオーミック電極
1006…アノードショットキー電極

Claims (6)

  1. III族窒化物系化合物半導体である能動層を備え、フィールドプレートを用いない電子デバイスであって、
    前記能動層上に形成された複数の電極と、
    前記複数の電極うちの少なくとも2つの電極間の電界分布が均一になるように、前記能動層上に形成された誘電体層とを備え
    前記誘電体層の誘電率ε2は前記能動層の誘電率ε1より高く、
    前記能動層の厚さをt1とし、前記誘電体層の最大厚さをt2maxとするとき、前記誘電体層の最大厚さt2maxと前記誘電体層の誘電率ε2との積t2max・ε2と、前記能動層の厚さt1と前記能動層の誘電率ε1との積t1・ε1との関係が、
    t2max・ε2 > t1・ε1
    となる第1の条件、または、
    前記電界分布が均一になるようにした電極間の間隔をLとし、前記誘電体層の最大厚さt2maxと前記誘電体層の誘電率ε2との積t2max・ε2と、前記電極の間隔Lと前記能動層の誘電率ε1との積L・ε1との関係が、
    t2max・ε2 > L・ε1
    となる第2の条件のうちの少なくとも一方の条件を満たすと共に、
    上記誘電体層の厚さの変化が、
    Figure 0004473201
    (ただし、yは表面の垂直方向、Nsは前記能動層のシート荷電濃度、Vは前記電極間の印加電圧)
    で表されるように上記誘電体層の厚さを変化させたグレーディング構造と近似していることを特徴とする電子デバイス。
  2. 請求項1に記載の電子デバイスにおいて、
    前記誘電体層は、段毎に積層数の異なる階段状の積層構造をしており、
    前記誘電体層の各段における層の厚さと誘電率の積の和は、前記電界分布が均一になるようにした電極の一方から他方に向かって小さくなっていることを特徴とする電子デバイス。
  3. 請求項1または2に記載の電子デバイスにおいて、
    前記電界分布が均一になるようにした電極の一方から他方に向かって前記誘電体層の厚さが薄くなるかまたは前記誘電体層の誘電率が小さくなっていることを特徴とする電子デバイス。
  4. 請求項1乃至のいずれか1つに記載の電子デバイスにおいて、
    前記誘電体層が金属酸化物を含むことを特徴とする電子デバイス。
  5. 請求項1乃至のいずれか1つに記載の電子デバイスにおいて、
    前記誘電体層が前記能動層にストレスをかけないように形成されていることを特徴とする電子デバイス。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1つに記載の電子デバイスにおいて、
    前記複数の電極は、前記能動層上に形成されたゲート電極と、前記能動層上にかつ前記ゲート電極の両側に形成されたソース電極およびドレイン電極であって、
    前記ソース電極または前記ドレイン電極の少なくとも一方と前記ゲート電極との間の電界分布が略均一になるように、前記能動層上に前記誘電体層が形成されているヘテロ接合FETであることを特徴とする電子デバイス。
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