本発明の第1の実施の形態による電動工具について図1乃至図3を参照しながら説明する。電動工具は、図1に示されるように具体的にはハンマドリル1であり、ハンドル部10とモータハウジング20とギヤハウジング30とによりケーシングが構成される。
ハンドル部10には電源ケーブル11が取付けられると共に、スイッチ機構(図示せず)が内蔵されている。図示せぬスイッチ機構には使用者により操作可能なトリガ12が機械的に接続されている。電源ケーブル11はスイッチ機構を外部電源(図示せず)に接続し、トリガ12を操作することにより、スイッチ機構と電源との接続と断続とが切換えられる。
モータハウジング20は、ハンドル部10の上部に設けられている。ハンドル部10とモータハウジング20とは、プラスチックで一体成型されている。モータハウジング20内には電動モータ(図示せず)が収納されている。電動モータは出力軸21を備えて回転駆動力を出力する。
ギヤハウジング30はモータハウジング20の前方に設けられた樹脂成型品である。ギヤハウジング30の内部には、ギヤハウジング30とモータハウジング20との間を仕切る金属製の支持部材30Aが設けられている。ギヤハウジング30と支持部材30Aとによって、後述の回転伝達機構を収容する機構室である減速室30aを画成する。また減速室30aを含むギヤハウジング30内には、後述するギヤ等の摩擦低減のための潤滑剤であるグリスが内包され、各摺動箇所に供給されている。このグリスは、石鹸基とシリコン油等の油分とを主な成分としている。
ギヤハウジング30内には、出力軸21と平行に中間軸32が、軸受32B、32Cを介してギヤハウジング30と支持部材30Aとに、その軸心を中心に回転可能に支承されている。中間軸32を支承する軸受32B、32Cはシール付(非接触形)ボールベアリングからなり、中間軸32の両端部に設けられており、ギヤハウジング30の一部と支持部材30Aとに担持されている。またギヤハウジング30の、後述する工具保持部35近傍には、サイドハンドル13が設けられている。
出力軸21の先端にはモータピニオンギヤ22が設けられている。中間軸32の電動モータ側端部には、モータピニオンギヤ22と噛合する第一ギヤ31が同軸的に固定されている。中間軸32の先端側にはギヤ部32Aが形成され、後述する第二ギヤ33と噛合している。ハンドル部10とモータハウジング20とギヤハウジング30とにより構成されるケーシングと、支持部材30Aとはハウジングに相当する。
ギヤハウジング30内であって中間軸32の上方の位置には、シリンダ34が設けられている。シリンダ34は中間軸32と平行に延び、支持部材30Aに回転可能に支承されている。第二ギヤ33はシリンダ34の外周に固定され、上述したギヤ部32Aとの噛合により、シリンダ34はその軸心を中心として回転可能である。
シリンダ34の先端側には上述した工具保持部35が設けられ、先端工具60が着脱自在に取付けられる。支持部材30Aが金属製であるのは、モータピニオンギヤ22、中間軸32、シリンダ34を支持するので、ギヤハウジング30やモータハウジング20に比較して高い機械的強度が必要であるためである。
中間軸32は中間部分にバネによって電動モータ方向に付勢されるクラッチ36がスプライン係合されており、クラッチ36は、ギヤハウジング30の下部に設けたチェンジレバ37によってハンマドリル・モード(図示した位置)とドリルモード(クラッチ36が先端方向に移動した位置)との間で切換え可能である。クラッチ36の電動モータ側には、回転運動を往復運動に変換する運動変換部40が中間軸32に回転可能に外装されている。運動変換部40の腕部40Aは、中間軸32の回転によりハンマドリル1の前後方向に往復動作可能に設けられている。
クラッチ36がチェンジレバ37によってハンマドリル・モードに切換えられているときには、クラッチ36により中間軸32と運動変換部40とが結合するように構成されており、運動変換部40は、ピストンピン41を介して、シリンダ34内に設けられたピストン42と連動するように接続される。ピストン42は、中間軸32と平行な方向に往復運動可能且つシリンダ34内で摺動可能に装着されている。ピストン42内には打撃子43が内装されており、シリンダ34内であってピストン42と打撃子43の間には空気室44が画成される。打撃子43の空気室側反対位置には、中間子45がシリンダ34内にピストン42の運動方向に摺動可能に支承されている。中間子45の打撃子側反対位置には、先端工具60が位置している。よって打撃子43は中間子45を介して先端工具60を打撃する。
図示せぬモータの回転出力はモータピニオンギヤ22から第一ギヤ31を介して中間軸32に伝わる。中間軸32の回転は、ギヤ部32Aとシリンダ34に外装した第二ギヤ33の噛合によりシリンダ34に伝わり、先端工具60に回転力が伝えられる。チェンジレバ37を操作することによりクラッチ36をハンマドリル・モードに移動させると、クラッチ36が運動変換部40と結合し、中間軸32の回転駆動力が運動変換部40に伝わる。運動変換部40では回転駆動力がピストンピン41を介してピストン42の往復運動に変換される。ピストン42の往復運動により打撃子43とピストン42との間に画成された空気室44も圧縮と膨張とを繰り返し、打撃子43に打撃力を付与する。打撃子43が前進して中間子45の後端面に衝突し、中間子45を介して打撃力が先端工具60に伝達される。このようにしてハンマドリル・モードでは先端工具60に回転力と打撃力が同時に付与される。
クラッチ36がドリルモードにあるときは、クラッチ36は中間軸32と運動変換部40との接続を断ち、中間軸32の回転駆動力のみがギヤ部32A、第二ギヤ33を介してシリンダ34に伝達される。よって先端工具60には回転力のみが付与されるように構成されている。
ギヤハウジング30により画成され回転伝達機構を収容する減速室30aは、複数種類のシール部材によりシールされている。これらシール部材によってギヤハウジング30内のグリスが外部に漏れ出ることを防止している。
具体的には、シリンダ34の周面とギヤハウジング30との間にはオイルシール71が設けられ、中間子45を支承するシリンダ34内面にOリング72が環装され、チェンジレバ37とギヤハウジング30との接続位置にはOリング73が設けられている。また、支持部材30Aとギヤハウジング30との接続位置にはOリング74が設けられ、モータピニオンギヤ22を支承する図示せぬ軸受は、シール付(接触形)ボールベアリングにより構成されており、減速室30aのシールに貢献している。
図1及び図2に示すように、支持部材30Aの中間軸32とシリンダ34との略中間位置であって、図2に示すように、先端工具60側から支持部材30Aを見て右側には、連通部形成部30Bが設けられている。この連通部形成部30Bには、図3に示すように、減速室30aに開口する開口部である入口30cと、外気と連通しているモータハウジング20内に開口している出口30dとが画成され、この入口30cと出口30dとを連通する連通部30bが形成されている。連通部30bの内径は、入口30cの開口径より若干大径であり、また出口30d近傍には、その内周に溝部30eが穿設されている。
連通部30b内の最も入口側には目の粗いフェルト製の第一フィルタ52Aが挿入されて連通部30bの出入口方向を遮っている。この第一フィルタ52Aの径は、連通部30bの内径と略同じか僅かに大径である。また、第一フィルタ52Aは、目詰まり防止のため、後述の第二フィルタ52Bに比較して薄く作成されている。
この第一フィルタ52Aや後述の第二フィルタ52Bにフェルトを用いることにより、厚さや充填密度等を容易に変更可能となる。この厚さや充填密度等を変化させることによりフィルタの濾過性能を容易に変更することができる。またフェルトは裁断等の加工が容易であるため、製造時の作業性を向上させることができる。
連通部30b内であって第一フィルタ52Aの出口30d側には連通路形成部品51が挿入されている。この連通路形成部品51は、一端側が第一フィルタ52Aに当接し連通部30b内径より小径な頭部51Aと、頭部51Aの他端側に位置して連通部30bに非装着の状態で連通部30b内径より大径の胴部51Dと、胴部51Dの他端側位置に設けられて溝部30eに嵌入される鍔部51Eとを備えており、耐油性のゴム素材より構成されている。
連通路形成部品51がゴム素材で構成されていることにより、連通路形成部品51を変形させて連通部30bに容易に圧入し、かつ鍔部51Eを溝部30e容易に嵌入することが可能となる。また、連通路形成部品51を連通部30bに嵌入した後も、ゴム素材の弾性力により胴部51Dは連通部30b内面に密着する。よって、胴部51Dと連通部30bとの間に隙間が生じ難く、この間からのグリスの漏れを防止することが可能となり、またズレも発生し難い。
また、溝部30eに鍔部51Eが嵌入されることにより、連通部30b内で連通路形成部品51の位置決めが可能となる。これにより連通路形成部品51と連通部30b内面とで構成される後述の連通路53を好適かつ均一な大きさにすることが可能となる。
連通路形成部品51の内部には穿孔51cが、胴部51Dの他端側に開口を備え頭部51A側に向けて頭部51Aの略中央部分まで穿設されている。頭部51Aには、穿孔51c内部から連通部30b内面方向に向けて、頭部51Aを貫通する側孔51bが穿孔51cと略直交して穿設されている。よって側孔51bと穿孔51cとが連続する箇所には屈曲部分が存在する。頭部51Aの外径は、連通部30bの内径より小さく形成されているため、頭部51Aの第一フィルタ52Aと当接している箇所から連通部30b内面と頭部51Aとの間に環状の隙間51aが形成されている。側孔51bは、頭部51Aの連通部30b内面と対向する面に開口しているため、隙間51aと連通している。この時に、側孔51bは、隙間51aを画成する内面に開口しているため、隙間51aと側孔51bとが連続する箇所には屈曲部分が存在する。この隙間51aを上流側とし、側孔51b及び穿孔51cの順に下流側として連通路53が形成されている。上述のように連通路形成部品51はゴム製であるため、これら連通路53の複雑な経路は容易に形成される。
胴部51Dは頭部51Aより大径であるため、頭部51Aと胴部51Dとの境界には段差がある。また、胴部51Dは連通部30b内面と当接しているため、頭部51Aと胴部51Dとの境界の段差部分で袋小路状体となり、この段差部分を第一衝突部51Bと規定する。隙間51a内を流れた流体は、一旦第一衝突部51B付近に衝突した後に、隙間51a内での流れ方向と直交する側孔51b内に流入している。穿孔51c内面の側孔51b開口と対向する面を第二衝突部51Cと規定する。この第二衝突部51Cには側孔51b内を流れた流体が衝突しており、その後流体は穿孔51c内を流れる。
連通部30b内であって連通路形成部品51の出口30d側には、第二フィルタ52Bが溝部30eに嵌入されて連通部30bの出入口方向を遮るように設けられている。第二フィルタ52Bは第一フィルタ52Aより肉厚で目が細かいフェルト製であり、その濾過性能が第一フィルタより高くなっている。また第二フィルタ52Bが溝部30eに嵌入されているため、連通路形成部品51が入口30c側に付勢されて保持される。頭部51Aは第一フィルタ52Aに当接しているため、第一フィルタ52Aは入口30c開口周辺の連通部形成部30Bに付勢されて保持される。
以下、上記構成のハンマドリル1を用いて穿孔する場合について説明する。ハンマドリル1で穿孔する場合には、サイドハンドル13とハンドル部10とを両手で保持した状態で、トリガ12を引き、図示せぬモータを電力供給して回転駆動させる。このモータの動力がモータピニオンギヤ2、第一ギヤ31、中間軸32、ギヤ部32A、第二ギヤ33等の回転伝達機構によって、先端工具60に回転力として伝達される。この時に各ギヤ等にはグリスが供給されているため、駆動力の摩擦損失は低減されているが、若干の摩擦は生じ、これが熱エネルギーに転換されて発熱する。また運動変換部40を介して回転駆動力が往復運動力に変換され、ピストン42及び中間子45で打撃力を生じている。この場合にピストン42内の空気室44で空気が圧縮されることにより圧縮熱が生じ、打撃子43が中間子45に衝突する運動エネルギーの一部が熱エネルギーに変換されて発熱する。
これら発熱因子により、ギヤハウジング30内は加熱され、内包されているグリスも加熱される。グリスは加熱されることにより、流動性を増し、また石鹸基と油分とに分離しやすくなる傾向がある。またギヤハウジング30内には空気が存在するため、ギヤハウジング30内が加熱されることにより、空気の体積が膨張する。各シール箇所は気密性を備えているため、加熱されて膨張した空気はギヤハウジング30内の減速室30a内外に開口を備えた連通部30bを介して大気中に排出される。
ギヤハウジング30内の加熱された空気中にはグリス成分が含まれている。この空気が第一フィルタ52Aを通過することにより、グリス中の固体状または液滴状の比較的粘性が高くて粒子が大きい石鹸基が漉し取られる。よってグリス中の油分と空気とは第一フィルタ52Aを通過する。
第一フィルタ52Aを通過した空気等は連通路53内を通過して更に第二フィルタ52Bに到る。連通路53内では、その通路構成の途中に屈曲している箇所を複数箇所形成し、ここに衝突部である第一衝突部51B及び第二衝突部51Cが規定してある。よって第一フィルタ52Aを通過した未だグリス成分を含む空気は第一衝突部51B及び第二衝突部51Cに衝突して流れが乱されると共に、空気中に含まれるグリス成分は、第一衝突部51B及び第二衝突部51Cに付着する。
連通路53を通過した後に空気等は第二フィルタ52Bに流入する。第二フィルタ52Bでは、第一フィルタ252Aより濾過性能の高いフェルトを使用しているため、空気中に含まれている油分等も濾過することが可能であり、連通路53内を通過してきた油分を漉し取って第二フィルタ252Bより外部に排出されることを抑制する。よって減速室30a内から外気に排出される空気中に含まれているグリスは第二フィルタ52Bを通過するまでに除去され、連通部30bより外部に排出されることが抑制される。また、連通路53は、その屈曲した箇所等を有する複雑な経路により、液状のグリスがその流動性や表面張力等により連通路53内壁面を伝播して外部に漏れることを抑制している。
ハンマドリル1の使用を止めた後は、減速室30a等が自然冷却されることにより内部の空気も冷却され、その体積が減少する。これにより減速室30a内は負圧となるため、第二フィルタ52Bから連通路53を通り第一フィルタ52Aを介して減速室30aに外気が流入する。この際に、第一フィルタ52A及び第二フィルタ52Bに付着したグリス成分は、流入する空気と一緒に減速室30a内に還元することが可能である。よって、第一フィルタ52A及び第二フィルタ52Bは目詰まりを起こし難く、長期に渡って濾過性能を保つことが可能となる。
また、ハンマドリル1は、先端工具60側から支持部材30Aを見て右側の側面に製品名や商標等の標章が表示されており、ハンマドリル1を出荷時等には右側の側面を上面として梱包してある。よって、先端工具60側から支持部材30Aを見て右側に連通部形成部30Bを設けて入口30cを形成することにより、出荷時において減速室30a内に内包されるグリスが連通路53を通って外部に排出されることが抑制される。ハンマドリル1が使用者に所有された場合であっても、例えば「未使用時には右側を上にした状態にしてください。」等の表示をしておくことにより、使用者にハンマドリル1の不使用時の保存方法を喚起してグリスが外部に排出されることを抑制することができる。
次に第二の実施の形態として図4を参照しながら説明する。本実施の形態に係るハンマドリルにおいて、連通部形成部230Bにかかる構成以外は、第一の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
図4に示すように、ギヤハウジング30内の支持部材30Aに設けられた連通部形成部230Bには、減速室30aに開口する開口部である入口230cと、外気と連通しているモータハウジング20内に開口している出口230dとが画成され、この入口230cと出口230dとを連通する連通部230bが形成されている。連通部230b内の入口230c近傍には、連通部230b内周に渡って溝部230fが形成されており、出口230d近傍には、同じく溝部230eが形成されている。この溝部230fと溝部230eとの間には、連通部230b内面の周方向に凹凸が刻まれた凹凸部230gが形成されている。
溝部230fには目の粗いフェルト製の第一フィルタ252Aが嵌入されており、溝部230eには、第二フィルタ252Bが嵌入されて、連通部230bを遮っている。第一フィルタ252Aは、目詰まり防止のため、第二フィルタ252Bに比較して薄く作成されている。第二フィルタ252Bは第一フィルタ252Aより肉厚で目が細かいフェルト製であり、その濾過性能が第一フィルタ252Aより高くなっている。これら溝部230e及び溝部230fにより、第一フィルタ252Aと第二フィルタ252Bとの位置固定が容易であり、かつ正確な位置に固定可能となる。
上述したような減速室30a内の圧力上昇により、減速室30a内の空気が連通部230bを介して大気中に排出される際には、先ず入口230cより連通部230bに流入して第一フィルタ252Aを通過する。この時にグリス中の固体状または液滴状の比較的粘性が高くて粒子が大きい石鹸基が漉し取られる。よってグリス中の油分と空気とは第一フィルタ252Aを通過し、その後に第二フィルタ252Bに流入する。第二フィルタ252Bでは、第一フィルタ252Aより濾過性能の高いフェルトを使用しているため、空気中に含まれている油分等も濾過することが可能であり、連通部230b内を通過してきた油分が漉し取られて第二フィルタ252B外に排出されることを抑制する。よって減速室30a内から外気に排出される空気中に含まれているグリス成分は第二フィルタ252Bを通過するまでに除去され、連通部230b外部に排出されることが抑制される。
第一フィルタ252Aは、グリス中の石鹸基のみを漉し取って油分を通過させるため、目の粗いフェルトが使用されているが、これにより、減速室30a内の油分が徐々に浸透し、連通部230b内にまで侵入する場合がある。この場合、連通部230bの内面に設けられた凹凸部230gにより、油分が連通部230bの内面を伝播する際の妨げになる。よって、グリス中の油分が第二フィルタ252Bに到達することを抑制し、グリスが外部に排出されることを抑制することが可能になる。
次に第三の実施の形態として図5を参照しながら説明する。本実施の形態に係るハンマドリルにおいて、連通部形成部330Bにかかる構成以外は、第一の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
図5に示すように、ギヤハウジング30内の支持部材30Aに設けられた連通部形成部330Bには、減速室30aに開口する開口部である入口330cと、外気と連通しているモータハウジング20内に開口している出口330dとが画成され、この入口330cと出口330dとを連通する連通部330bが形成されている。連通部330b内の出口330d近傍には、連通部330b内周に渡って溝部330eが形成されている。また、入口330cの開口径は、連通部330bの内径に比べて約半分程度となっている。
この連通部330b内には連通路形成部品351が挿入されている。この連通路形成部品351は、入口330cの開口径より小径で、入口330cより一端側が減速室30a内に突出している小径の第一頭部351A−1と、第一頭部351A−1の他端側に連なり連通部330b内径より小径で入口330cの開口径より大径の第二頭部351A−2とを備えている。連通路形成部品351は更に第二頭部351A−2の他端側に位置して連通部330b内径より非装着時において大径の胴部351Eを備え、胴部351Eの他端側位置には溝部330eに嵌入される鍔部351Fが設けられている。これらを含む連通路形成部品351は耐油性のゴム素材より構成されている。
連通路形成部品351がゴム素材で構成されていることにより、連通路形成部品351を変形させて連通部330bに容易に挿入し、かつ鍔部351Fを溝部330e容易に嵌入することが可能となる。また、連通路形成部品351を連通部330bに嵌入した後も、ゴム素材の弾性力により胴部351Eは連通部330b内面に密着する。よって、胴部351Eと連通部330bとの間に隙間が生じ難く、この間からのグリスの漏れを抑制することが可能となり、またズレも発生し難い。
また、溝部330eに鍔部351Fが嵌入されることにより、連通部330b内で連通路形成部品351の位置決めが可能となっている。これにより連通路形成部品351と連通部330b内面とで構成される後述の連通路353を好適かつ均一な大きさにすることが可能となっている。
連通路形成部品351の内部には穿孔351cが、胴部351Eの他端側に開口を備え第二頭部351A−2側に向けて第二頭部351A−2の略中央部分まで穿設されている。第二頭部351A−2には、穿孔351c内部から連通部330b内面方向に向けて、第二頭部351A−2を貫通する側孔351bが穿孔351cと略直交して穿設されている。よって側孔351bと穿孔351cとが連続する箇所には屈曲部分が存在する。第二頭部351A−2は、連通部330bの内径より小さく形成されているため、入口330cから連通部330b内面と第二頭部351A−2との間に環状の隙間351aが形成されている。側孔351bは、第二頭部351A−2の連通部330b内面と対向する面に開口しているため、隙間351aと連通している。この時に、側孔351bは、隙間351aを画成する内面に開口しているため、隙間351aと側孔351bとが連続する箇所には屈曲部分が存在する。この隙間351aを上流側とし、側孔351b及び穿孔351cの順に下流側として連通路353が形成されている。上述のように連通路形成部品351はゴム製であるため、これら連通路353の複雑な経路は容易に形成される。
第一頭部351A−1は、連通路形成部品351が溝部330eと鍔部351Fとの嵌合より定められる所定の位置に配置された状態で、その一端側が入口330cより減速室30a内に突出しているため、入口330cの開口断面積が小さくなっている。
第二頭部351A−2の第一頭部351A−1と交わる位置には、第一衝突部351Bが規定され、入口330cより流入した流体が隙間351aに流入する際に衝突している。胴部351Eは第二頭部351A−2より大径であるため、第二頭部351A−2と胴部351Eとの境界には段差がある。また、胴部351Eは連通部330b内面と当接しているため、第二頭部351A−2と胴部351Eとの境界の段差部分で袋小路状体となり、この段差部分を第二衝突部351Cと規定する。隙間351a内を流れた流体は、一旦第二衝突部351C付近に衝突した後に、隙間351a内での流れ方向と直交する側孔351b内に流入している。穿孔351c内面の側孔351b開口と対向する面を第三衝突部351Dと規定する。この第三衝突部351Dには側孔351b内を流れた流体が衝突しており、その後流体は穿孔351c内を流れる。
上述したような減速室30a内の圧力上昇により、減速室30a内の空気が連通部330bを介して大気中に排出される際には、先ず入口330cより連通部330b内に流入する。この時に入口330cの開口断面積は小さいため、入口330cを通過する空気の流速は早くなる。この状態で第一衝突部351Bに衝突して流れが乱されると共に、空気中に含まれるグリス成分は、第一衝突部351B〜第三衝突部351Eに付着する。よってグリス成分が連通部330bより外部に排出されることが抑制される。また、連通路353は、その屈曲した箇所等を有する複雑な経路により、液状のグリスがその流動性や表面張力等により連通路353内壁面を伝播して外部に漏れることを抑制している。
次に第四の実施の形態として図6を参照しながら説明する。本実施の形態に係るハンマドリルにおいて、連通部形成部430Bにかかる構成以外は、第一の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
図6に示すように、ギヤハウジング30内の支持部材30Aに設けられた連通部形成部430Bには、減速室30aに開口する開口部である入口430cと、外気と連通しているモータハウジング20内に開口している出口430dとが画成され、この入口430cと出口430dとを連通する連通部430bが形成されている。入口430cは、出口430dの開口径及び連通部430dの内径に対してその開口径が小さく設定されている。また出口430d近傍には、その内周に溝部430eが穿設されている。
連通部430b内には連通路形成部品451が挿入されている。この連通路形成部品451は、略円柱形で非装着時の外径が連通部430b内径より大きい胴部451Aと、胴部451Aの出口430d側端部に設けられて溝部430eに嵌入される鍔部451Dとを備えており、耐油性のゴム素材より構成されている。連通路形成部品451がゴム素材で構成されていることにより、連通路形成部品451を変形させて連通部430bに容易に挿入し、かつ鍔部451Dを溝部430e容易に嵌入することが可能となる。また、連通路形成部品451を連通部430bに嵌入した後も、ゴム素材の弾性力により胴部451Aは連通部430b内面に密着する。よって、胴部451Aと連通部430bとの間に隙間が生じ難く、この間からのグリスの漏れを抑制することが可能となり、またズレも発生し難い。
また、溝部430eに鍔部451Dが嵌入されることにより、連通部430b内で連通路形成部品451の位置決めが可能となる。これにより連通路形成部品451と連通部430b内面とで構成される後述の連通路453を好適かつ均一な大きさにすることが可能となる。
胴部451Aの内部には穿孔451bが、入口430c側端である一端面と出口側端部である他端面とに開口部を備えて穿設されている。尚、穿孔451bの入口430c側開口の出入口方向の投影と、入口430c開口の出入口方向の投影とが重ならないように連通路形成部品451が連通部430bに挿入されている。また、胴部451Aの一端面と、入口430c周辺の連通部形成部430Bとの間には、所定の隙間451aが形成されており、隙間451aと穿孔451bとが連通している。よって入口430c内での流体の流れ方向と、及び隙間451a内での流体の流れ方向とは略直交するため、入口430cと隙間451aとの連続部分に屈曲する箇所を備えている。また隙間451a内での流体の流れ方向と、穿孔451b内での流れ方向とも略直交するため、隙間451aと穿孔451bとの連続部分にも屈曲する箇所を備えている。この隙間451aを上流側とし、穿孔451bを下流側として連通路453が形成されている。上述のように連通路形成部品451はゴム製であるため、これら連通路453の複雑な経路は容易に形成される。
胴部451Aの一端側面の入口430cと対向する箇所には第一衝突物451Bが規定されており、入口430cより流入した流体が衝突可能となっている。また穿孔451b近傍の、隙間451aを画成する連通部430b内面には第二衝突部451Cが規定されている。隙間451a内を流れた流体は、穿孔451bに流入する際に一旦第二衝突部451C付近に衝突した後に穿孔451b内に流入している。
上述したような減速室30a内の圧力上昇により、減速室30a内の空気が連通部430bを介して大気中に排出される際には、先ず入口430cより連通部430b内に流入する。この時に入口430cの開口断面積は小さいため、入口430cを通過する空気の流速は早くなる。この状態で第一衝突部451Bに衝突して流れが乱されると共に、空気中に含まれるグリス成分は、第一衝突部451B及び第二衝突部451Cに付着する。よってグリス成分が連通部430bより外部に排出されることが抑制される。また、連通路453は、その屈曲した箇所等を有する複雑な経路により、液状のグリスがその流動性や表面張力等により連通路453内壁面を伝播して外部に漏れることを抑制している。
第四の実施の形態ではフィルタを使用していないが、第一の実施の形態と同様に、連通部453の出入口付近にそれぞれフィルタを用いた形態としても良い。この場合は、更にグリス成分が大気に排出されることが抑制される。
次に第五の実施の形態として図7を参照しながら説明する。本実施の形態に係るハンマドリルにおいて、連通部形成部530Bにかかる構成以外は、第一の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
図7に示すように、ギヤハウジング30内の支持部材30Aに設けられた連通部形成部530Bには、減速室30aに開口する開口部である入口530cと、外気と連通しているモータハウジング20内に開口している出口530dとが画成され、この入口530cと出口530dとを連通する連通部530bが形成されている。連通部530b内の出口530d近傍には、連通部530b内周に渡って溝部530eが形成されている。また、入口530cの開口径は、連通部530bの内径に比べて約半分程度となっている。
連痛部530bの最も入口側には目の粗いフェルト製のフィルタ552Aが挿入されている。このフィルタ552Aは、ドーナツ形状であり、外径は連通部530bの内径と略同じか僅かに大径であって、内径は後述の第一頭部551A−1の径と略同一である。また、濾過性能は、グリス中の石鹸基は濾過可能であるが、油分の大部分は通過する程度である。
フィルタ552Aの出口530D側には連通路形成部品551が挿入されている。この連通路形成部品551は、入口530cの開口径より小径で、入口530cより一端側が減速室30a内に突出している小径の第一頭部551A−1と、第一頭部551A−1の他端側に連なり連通部530b内径より小径で入口530cの開口径より大径の第二頭部551A−2とを備えている。連通路形成部品551は更に第二頭部551A−2の他端側に位置して連通部530b内径より非装着時において大径の胴部551Dを備え、胴部551Dの他端側位置には溝部530eに嵌入される鍔部551Eが設けられている。これらを含む連通路形成部品551は耐油性のゴム素材より構成されている。
連通路形成部品551がゴム素材で構成されていることにより、連通路形成部品551を変形させて連通部530bに容易に挿入し、かつ鍔部551Eを溝部530e容易に嵌入することが可能となる。また、連通路形成部品551を連通部530bに嵌入した後も、ゴム素材の弾性力により胴部551Dは連通部530b内面に密着する。よって、胴部551Dと連通部530bとの間に隙間が生じ難く、この間からのグリスの漏れを抑制することが可能となり、またズレも発生し難い。
また、溝部530eに鍔部551Eが嵌入されることにより、連通部530b内で連通路形成部品551の位置決めが可能となっている。これにより連通路形成部品551と連通部530b内面とで構成される後述の連通路553を好適かつ均一な大きさにすることが可能となっている。
また、第二頭部551A−1がフィルタ552Aに当接して付勢しているため、フィルタ552Aが保持されてズレが発生し難くなり、フィルタ552Aと連通部530bとの間に隙間等が形成されることが抑制されている。
連通路形成部品551の内部には穿孔551cが、胴部551Dの他端側に開口を備え第二頭部551A−2側に向けて第二頭部551A−2の略中央部分まで穿設されている。第二頭部551A−2には、穿孔551c内部から連通部530b内面方向に向けて、第二頭部551A−2を貫通する側孔551bが穿孔551cと略直交して穿設されている。よって側孔551bと穿孔551cとが連続する箇所には屈曲部分が存在する。第二頭部551A−2外径は連通部530b内径より小径であるため、フィルタ552Aの出口530d側面位置から側孔551b付近までの間の連通部530bと連通路形成部品551との間に環状の隙間551aが形成されている。側孔551bは、第二頭部551A−2の連通部530b内面と対向する面に開口しているため、隙間551aと連通している。この時に、側孔551bは、隙間551aを画成する内面に開口しているため隙間551aと側孔551bとが連続する箇所には屈曲部分が存在する。この隙間551aを上流側とし、側孔551b及び穿孔551cの順に下流側とする連通路553が形成されている。上述のように連通路形成部品551はゴム製であるため、これら連通路553の複雑な経路は容易に形成される。
第一頭部551A−1は、連通路形成部品551が溝部530eと鍔部551Eとの嵌合より定められる所定の位置に配置された状態で、フィルタ552Aの開口を貫通し、その一部が入口530cより減速室30a内に突出している。これにより、入口530cの開口断面積が小さくなっているとともに、入口530c開口の出入口方向の投影と、隙間551aの出入口方向の投影とが重ならない。従ってフィルタ552Aに流入した流体は、フィルタ552A内で、フィルタ552Aを通過するための最短距離である出入口方向ではなく、入口530cの下流側開口から隙間551aの上流側開口へと向かう方向に向かって流れることになる。これにより、フィルタ552Aでの濾過性能が増し、より好適にグリス成分を漉し取ることが可能になる。
胴部551Dの外径は第二頭部551A−2より大径であるため、第二頭部551A−2と胴部551Dとの境界には段差がある。また、胴部551Dは連通部530b内面と当接しているため、第二頭部551A−2と胴部5D51Dとの境界の段差部分で袋小路状体となり、この段差部分を第一衝突部551Bと規定する。隙間551a内を流れた流体は、一旦第一衝突部551B付近に衝突した後に、隙間551a内での流れ方向と直交する側孔551b内に流入している。穿孔551c内面の側孔551b開口と対向する面を第二衝突部351Cと規定する。この第二衝突部351Cには側孔351b内を流れた流体が衝突しており、その後流体は穿孔351c内を流れる。
上述したような減速室30a内の圧力上昇により、減速室30a内の空気が連通部530bを介して大気中に排出される際には、先ず入口530cより連通部530b内のフィルタ552Aに流入する。この空気がフィルタ552Aを通過することにより、グリス中の固体状または液滴状の比較的粘性が高くて粒子が大きい石鹸基が漉し取られる。よってグリス中の油分と空気とはフィルタ552Aを通過する。
フィルタ552Aを通過した空気等は連通路553内に流入する。連通路553内では、その通路構成の途中に屈曲している箇所を複数箇所形成し、ここに衝突部である第一衝突部551B及び第二衝突部551Cが設けてある。よって第一フィルタ552Aを通過した未だグリス成分を含む空気は第一衝突部551B及び第二衝突部551Cに衝突して流れが乱されると共に、空気中に含まれるグリス成分は、第一衝突部551B及び第二衝突部551Cに付着する。また、連通路553は、その屈曲した箇所等を有する複雑な経路により、液状のグリスがその流動性や表面張力等により連通路553内壁面を伝播して外部に漏れることを抑制している。
次に第六の実施の形態として図8を参照しながら説明する。本実施の形態に係るハンマドリルにおいて、連通部形成部630Bにかかる構成以外は、第一の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
図8に示すように、ギヤハウジング30内の支持部材30Aに設けられた連通部形成部630Bには、減速室30aに開口する開口部である入口630cと、外気と連通しているモータハウジング20内に開口している出口630dとが画成され、この入口630cと出口630dとを連通する連通部630bが形成されている。連通部630b内の出口630d近傍には、連通部630b内周に渡って溝部630eが形成されている。また、入口630cの開口径は、連通部630bの内径に比べて約半分程度となっている。
この連通部630b内には連通路形成部品651が挿入されている。この連通路形成部品651は、入口630cの開口径より小径で、入口630cより一端側が減速室30a内に突出している小径の第一頭部651A−1と、第一頭部651A−1の他端側に連なり連通部630b内径より小径で入口630cの開口径より大径の第二頭部651A−2とを備えている。連通路形成部品651は更に第二頭部651A−2の他端側に位置して連通部630b内径より非装着時において大径の胴部651Eを備え、胴部651Eの他端側位置には溝部630eに嵌入される鍔部651Fが設けられている。これらを含む連通路形成部品651は耐油性のゴム素材より構成されている。
連通路形成部品651がゴム素材で構成されていることにより、連通路形成部品651を変形させて連通部630bに容易に挿入し、かつ鍔部651Fを溝部630e容易に嵌入することが可能となる。また、連通路形成部品651を連通部630bに嵌入した後も、ゴム素材の弾性力により連通路形成部品651は連通部630b内面に密着する。よって、連通路形成部品651と連通部630bとの間に隙間が生じ難く、この間からのグリスの漏れを抑制することが可能となる。
また、溝部630eに鍔部651Fが嵌入されることにより、連通部630b内で連通路形成部品51の位置決めが可能となっている。これにより連通路形成部品651と連通部630b内面とで構成される後述の連通路653を好適かつ均一な大きさにすることが可能となりまたズレも発生し難い。
連通路形成部品651の内部には穿孔651cが、胴部651Eの他端側に開口を備え第二頭部651A−2側に向けて第二頭部651A−2の略中央部分まで穿設されている。第二頭部651A−2には、穿孔651c内部から連通部630b内面方向に向けて、第二頭部651A−2を貫通する側孔651bが穿孔651cと略直交して穿設されている。よって側孔651bと穿孔651cとが連続する箇所には屈曲部分が存在する。第二頭部651A−2外径は、連通部630b内径より小さく形成されているため、入口630cから連通部630b内面と第二頭部651A−2との間に環状の隙間651aが形成されている。側孔651bは、第二頭部651A−2の連通部630b内面と対向する面に開口しているため、隙間651aと連通している。この時に、側孔651bは、隙間651aを画成する内面に開口しているため、隙間651aと側孔651bとが連続する箇所には屈曲部分が存在する。この隙間651aを上流側とし、側孔651b及び穿孔651cの順に下流側として連通路653が形成されている。上述のように連通路形成部品651はゴム製であるため、これら連通路653の複雑な経路は容易に形成される。
第一頭部651A−1は、連通路形成部品651が溝部630eと鍔部651Fとの嵌合より定められる所定の位置に配置された状態で、その一部が入口630cより減速室30a内に突出しているため、入口630cの開口断面積が小さくなっている。
第二頭部651A−2の第一頭部651A−1と交わる位置には、第一衝突部651Bが規定され、入口630cより流入した流体が隙間651aに流入する際に衝突している。胴部651E外径は第二頭部651A−2より大径であるため、第二頭部651A−2と胴部651Eとの境界には段差がある。また、胴部651Eは連通部630b内面と当接しているため、第二頭部651A−2と胴部651Eとの境界の段差部分で袋小路状体となり、この段差部分を第二衝突部651Cと規定する。隙間651a内を流れた流体は、一旦第二衝突部651C付近に衝突した後に、隙間651a内での流れ方向と直交する側孔651b内に流入している。穿孔651c内面の側孔651b開口と対向する面を第三衝突部651Dと規定する。この第三衝突部651Dには側孔651b内を流れた流体が衝突しており、その後流体は穿孔651c内を流れる。
連通部630b内であって連通路形成部品651の出口603D側には、フィルタ652Bが溝部630eに嵌入されて設けられている。フィルタ652Bは目が細かいフェルト製であって、そのグリス中の油分を濾過可能な濾過性能を備えている。またフィルタ652Bが溝部630eに嵌入されているため、連通路形成部品651が入口630c側に付勢されて保持され、ズレ等が発生し難くなる。
上述したような減速室30a内の圧力上昇により、減速室30a内の空気が連通部630bを介して大気中に排出される際には、先ず入口630cより連通部630b内の連通路653内に流入する。連通路653内では、その通路構成の途中に屈曲している箇所を複数箇所形成し、ここに衝突部である第一衝突部651B〜第三衝突部651Dが設けてある。よってグリス成分を含む空気は第一衝突部651B〜第三衝突部651Dに衝突して流れが乱されると共に、空気中に含まれる噴霧状或いは液滴状のグリス成分は、第一衝突部651B〜第三衝突部651Dに付着する。
連通路653を通過した後に空気等はフィルタ652Bに流入する。フィルタ652Bでは、濾過性能の高いフェルトを使用しているため、空気中に含まれている油分等も濾過することが可能であり、連通路653内を通過してきた油分を漉し取ってフィルタ652Bより外部に排出されることを抑制する。よって減速室30a内から外気に排出される空気中に含まれているグリスはフィルタ652Bを通過するまでに除去され、連通部630bより外部に排出されることが抑制される。また、連通路653は、その屈曲した箇所等を有する複雑な経路により、液状のグリスがその流動性や表面張力等により連通路53内壁面を伝播して外部に漏れることを抑制している。
尚、第六の実施の形態において、その入口630c近傍の連通部630b内にフィルタ652Bより目の粗いフィルタを設け、グリス成分中の石鹸基を漉し取る用にしても良い。この場合、グリスが大気に排出されることが更に抑制される。
本発明の電動工具は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、連通路形成部品においてゴム製としているが、これに限らず、耐油性を備えた樹脂一般を使用することが可能である。また樹脂以外にも例えば金属製としても良い。金属製の連通路形成部品を用いることにより、これを連通部に固定する際には、圧入するだけで良く、連通部内の溝部等を形成する必要が無くなり、製造工程を簡略化することが可能である。
またフィルタについては、フェルトを用いることが好ましいが、これに限らず、濾過性能を備えた部材であれば使用可能である。第一フィルタ及び第二フィルタを備えた第一の実施の形態及び第二の実施の形態では、第一フィルタを連通部内の入口付近に設け、第二フィルタを出口付近に設けているが、これに限らず、例えば入口を覆うように第一フィルタを連通部形成部の減速室側壁面に設けても良い。同様に出口を覆う様に第二フィルタを連通部形成部のモータハウジング側壁面に設けても良い。この場合には、少なくとも第一フィルタ及び第二フィルタで連通部を遮ってフィルタとしての効果を果たすことが可能となり、また第一フィルタ及び第二フィルタを固定する溝を連通部内に穿設する必要が無くなり、製造工程を減らすことが可能となる。
また、第一の実施の形態及び第三〜第六の実施の形態において、連通路は連通部と連通部形成部品とにより画成される隙間を含んで構成されているが、これに限らず、連通部形成部品に形成された穿孔のみから構成されていても良い。