JP4455157B2 - 車両用ロック装置 - Google Patents
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Description
この種のロック機構は一般的に、座部の底部に設けたベース部材に形成した切欠溝と、この切欠溝に進入したストライカを把持するロック位置と、ストライカを解放するロック解除位置との間を回転可能なフックと、上記ロック位置にあるフックと係合して該フックが上記ロック解除位置側に回転するのを禁止する係合位置と、上記フックから離れて該フックが上記ロック解除位置側に回転するのを許容する非係合位置との間を回動可能なポールと、を具備しており、フックとポールは引張ばねによって常にロック解除位置側と係合位置側とに向けて回転付勢されている。
しかし、このようにフックをオーバーストローク位置まで回転可能とすると、着座時に、ロック位置においてストライカと係合しているフックがオーバーストローク分だけがたつくため、その分だけ折り畳みシートががたついてしまう。さらに、非着座時には車両からの振動により折り畳みシートがオーバーストローク分だけ動くため、異音が発生してしまう。
まず、本発明を適用した車両用折り畳みシートと、その周辺部材について説明する。
図1及び図2は、自動車(図示略)内の床面100と、床面100に回転可能に設けられた折り畳みシート(回動部材)10を示している。
折り畳みシート10は、座部11と、座部11の後端に左右方向(紙面の表裏方向を左右方向、図1及び図2の左側を前方、右側を後方とする)の軸回りに回転可能として枢着された背凭れ12とを具備しており、座部11の底面には、前後方向を向くとともに下面が開口する樋形状をなすアッパーレール13が左右一対設けられている。そして各アッパーレール13には上面が開口する樋形状をなす前後方向を向くロアレール14が、前後方向に摺動可能に支持されている。左右方向を向く回転軸15の両端部からは、回転軸15に対して直交する固定部15aが延出しており、この左右の固定部15aが左右のロアレール14の底面前端部にそれぞれ固着されている。そして、回転軸15には、左右一対の略三角形状のブラケット16が回転可能に取り付けられており、この左右のブラケット16を床面100に固定することにより、折り畳みシート10は床面100に取り付けられている。床面100に取り付けられた折り畳みシート10は、その回転軸15を中心に前後方向に回動可能である。
床面100のブラケット16の後方には、車両前方側から視たときに逆U字形をなす左右一対のストライカ101が突設されている。
次にロック機構20とその操作装置について説明する。
図3〜図10に詳しく示すように、左右のロック機構20は、ロアレール14の左右の側壁14bの間に架設された回転軸21回りに回転可能なフック22と、フック22の前方に位置し、左右の側壁14bの間に架設された回転軸23回りに回転可能なポール24と回転防止部材25とを備えている。
フック22は、ストライカ101が進入可能な係合溝22aと、ポール24と係脱可能な係合突部22bとを備えている。フック22の反時計方向への回転は図3に示すロック解除位置で規制されており、このロック解除位置から時計方向へ回転することにより図7に示すロック位置に到達する。ロック位置において、係合溝22aにストライカ101が係合することにより、フック22がストライカ101をロックする。フック22は、このロック位置において時計方向側に回転規制されていないので、ロック位置よりさらに時計方向側のオーバーストローク位置(図5の仮想線の位置)まで回転可能である。
フック22とポール24の間には引張ばねS1が張設され、この引張ばねの付勢力によって、フック22は図の反時計方向に回転付勢され、ポール24は時計方向に回転付勢されている。
さらに、回転防止部材25の先端部とロアレール14の一方の側壁14bとに穿設された係止孔25c、14cには、捻りコイルばね(付勢手段)S2の両端部S2a、S2bが係止されている。この捻りコイルばねS2は回転防止部材25を回転付勢する部材であり、図6、図9の状態を境にして、回転防止部材25の付勢方向を変化させる。具体的には、回転軸23の軸心と、捻りコイルばねS2の一方の端部S2aと係止孔14cの接触部とを結ぶ直線Lに対して、捻りコイルばねS2の他方の端部S2bと係止孔25cとの接触部が前方に位置するときは、回転防止部材25を時計方向に回転付勢し、この接触部が直線Lより後方に位置するときは回転防止部材25を反時計方向に回転付勢する。さらに、この捻りコイルばねS2の付勢力は、上記引張ばねS1の付勢力より小さく設定されている。
図3に示すように、ストライカ101が切欠溝14aから脱出して、フック22がロック解除位置に位置する状態で、操作レバー17を非操作位置に移動させると、引張ばねS1の付勢力によってポール24は係合位置側(時計方向)に回転し、ポール24は、その後面がロック解除位置にあるフック22に当接して停止する。このとき、回転防止部材25には捻りコイルばねS2から反時計方向の付勢力が掛かるので図3に示す位置に位置し、ロック機構20はアンロック状態となる。
図2に示すように、折り畳みシート10が、その背凭れ12が座部11と平行をなし、床面100に対してほぼ垂直をなす折り畳み位置にあるとき、ストライカ101はロック機構20から脱出しており、ロック機構20は図3に示す状態にある。
操作レバー17を非操作位置に位置させたまま、折り畳みシート10を回転軸15を中心に後方に回転させて図1に示す使用位置に移動させると、ストライカ101が切欠溝14aに進入する(図4参照)。折り畳みシート10をさらに後方に回転させると、ストライカ101が係合溝22aに係合し、かつ、引張ばねS1の付勢力に抗してフック22をロック位置側に回転させる。するとポール24の側面に当接しているフック22の係合突部22bが、ポール24の後面に接触し、引張ばねS1の付勢力に抗してポール24を反時計方向に回転させ、やがて、係合突部22bがポール24の後面を乗り越えてポール24の上方に移動する(図5参照)。ストライカ101の押圧力によってフック22は図5に仮想線で示すように、ロック位置(実線の位置)を超えてオーバーストローク位置(仮想線の位置)まで回転する。一方、ポール24は、係合突部22bからの押圧力が消失した瞬間に、引張ばねS1の付勢力によって時計方向に回転し、フック22がロック位置よりオーバーストローク位置側に移動した後に係合突部22bの下方まで回転する(図6参照)。このようなポール24の時計方向への回転に連動して、係合ピン24bが係合孔25aの後面を後方に押圧することにより、回転防止部材25がポール24に遅れながら時計方向に回転する。回転防止部材25の時計方向の回転中に、捻りコイルばねS2の端部S2bと係止孔25cとの接触部が直線Lの後方に位置すると(回転防止部材25が図6の位置より後方に移動すると)、それまで回転防止部材25を反時計方向に回転付勢していた捻りコイルばねS2が回転防止部材25を時計方向に回転付勢し始める。そして、引張ばねS1の付勢力によってフック22がオーバーストローク位置からロック位置に回転し、係合突部22bの反時計方向側の係止面22cが、係合位置に位置するポール24の係止部24aに当接し、フック22はロック位置で停止する(図7参照)。そして、回転防止部材25がポール24に遅れて係合位置に達し、そのストッパ部25bが係合突部22bのオーバーストローク位置側に位置し、係合突部22bの時計方向側の係止面22dに当接する(図7参照)。
しかも、ロック時にストライカ101に当接する部材はフック22のみであるので、折り畳みシート10の床面100への取付時に、ロック時におけるストライカ101との相対位置関係を注意しなければならない部材はフック22のみであり、その他の部材のストライカ101との相対位置関係を考慮する必要がない。従って、従来に比べて折り畳みシート10を床面100に簡単に取り付けられる。
101 ストライカ
10 折り畳みシート(回動部材)
11 座部
12 背凭れ
13 アッパーレール
14 ロアレール
14a 切欠溝
14b 側壁
15 回転軸
16 ブラケット
17 操作レバー
20 ロック機構(車両用ロック装置)
21 回転軸
22 フック
22a 係合溝
22b 係合突部
22c 22d 係止面
23 回転軸
24 ポール
24a 係止部
24b 係合ピン(連係手段)
25 回転防止部材
25a 係合孔(連係手段)
25b ストッパ部
25c 係止孔
S1 引張ばね
S2 捻りコイルばね(付勢手段)
S2a S2b 端部
W 操作ワイヤ
Claims (6)
- 車両ボディと、該車両ボディに対して回動可能な回動部材または着脱可能な着脱部材との一方と他方に、ストライカとこのストライカと係脱可能なロック機構とを設けた車両用ロック装置において、
上記ストライカを把持するロック位置と、該ストライカを解放するロック解除位置と、上記ロック位置を超えて上記ロック解除位置と反対側のオーバーストローク位置まで回転可能なフックと、
上記ロック位置にあるフックと係合して該フックが上記ロック解除位置側に回転するのを禁止する係合位置と、上記フックから離れて該フックが上記ロック解除位置側に回転するのを許容する非係合位置との間を回動可能なポールと、
該ポールとは別部材であり、該ポールが上記係合位置において上記フックと係合するとき、上記フックと係合して該フックが上記オーバーストローク位置側へ回転するのを禁止する一方でフックが上記ロック解除位置へ回転するのは許容し、上記ポールが上記非係合位置にあるときは、上記フックとの係合を解除して該フックの上記オーバーストローク位置側への回転を許容する回転防止部材と、を備えることを特徴とする車両用ロック装置。 - 請求項1記載の車両用ロック装置において、
上記ポールは、上記フックが上記ロック解除位置から上記ロック位置側に回転するときは、該フックが上記ロック位置より上記オーバーストローク位置側に移動した後に上記係合位置まで回転し、該フックが上記オーバーストローク位置から上記ロック位置に移動することにより、該フックと係合する車両用ロック装置。 - 請求項1または2記載の車両用ロック装置において、
上記ポールと上記回転防止部材を連係し、上記ポールが上記非係合位置側から上記係合位置側に回転するとき、上記回転防止部材を上記フックと係合する方向に遅れながら回転させる連係手段を備える車両用ロック装置。 - 請求項3記載の車両用ロック装置において、
上記回転防止部材が、上記ポールと共通の回転軸回りに回転可能であり、
上記連係手段が、上記ポールまたは上記回転防止部材の一方に穿設された係合孔と、他方に突設された、上記共通の回転軸を中心とする円弧方向に相対移動可能として該係合孔に係合する係合ピンである車両用ロック装置。 - 請求項4記載の車両用ロック装置において、
上記回転防止部材が、上記フックと係合する係合位置と、上記フックとの係合を解除する非係合位置との間を回転可能であり、
該回転防止部材が、その回転可能範囲内の所定位置より上記非係合位置側に位置するときは、該回転防止部材を該非係合位置側に回転付勢し、該所定位置より上記係合位置側に位置するときは、該回転防止部材を該係合位置側に回転付勢する付勢手段を備える車両用ロック装置。 - 請求項1から5のいずれか1項記載の車両用ロック装置において、
車両内の床面に回動可能に支持された折り畳みシートに上記ロック機構を設け、上記ストライカを該床面に突設した車両用ロック装置。
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