JP4452367B2 - 位置制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、工作機械などにおいて電動機等のトルク発生器を用いて機械系の位置制御を行う制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
モータなどのトルク発生器を用いて工作機械などの位置制御を行う位置制御装置では、高速高精度な位置決め制御を実現するために、機械共振を励起しないような制御が望まれ、また、整定時にオーバーシュートを起こすとクーロン摩擦の影響で整定時間が長くなるためオーバーシュートを起こさないような制御が望まれる。また、このような位置制御装置では、フィードフォワードを用いて位置指令に対する追従性を高速化させることが行われる。
【0003】
図12は、例えば「計測と制御」vol.12,p.1010〜p.1011に記載の第1の従来技術の位置制御装置の構成を示すブロック図である。図12において、1はトルク指令τrに応じたトルクを発生することにより機械系を駆動する制御対象である。2は制御対象1の位置である実位置xmを検出する位置検出器である。3は実位置xmの微分信号である実速度vmを検出する速度検出器である。4は位置指令xrを入力しモデル位置xaとモデル速度vaとモデルトルクτaとを出力するモデル信号演算部である。505はトルク指令演算部である。506は位置補償器である。507は速度PI補償器である。
次に図12に示した第1の従来技術の動作について説明する。まず、制御対象1の特性について説明する。制御対象1における発生トルクがトルク指令τrに理想的に一致するとした場合、制御対象1の伝達特性をG(s)と記述すると、トルク指令τrおよび外乱トルクτdと実位置xmとの関係は次の式1で表される。ただし、次式および以降においてsはラプラス演算子を表す。
xm=G(s)・τr+G(s)・τd ・・・・(式1)
【0004】
また、制御対象1が完全な剛体機械であると考えると、制御対象1の伝達特性G(s)は次の式2で表される。
G(s)=1/(J・s) ・・・・(式2)
【0005】
しかしながら実際の制御対象には機械共振や摩擦などのモデル誤差が存在し、例えば摩擦係数fの粘性摩擦が存在する場合の制御対象の伝達特性G(s)は次の式3となる。
G(s)=1/(J・s+f・s) ・・・・(式3)
【0006】
次にモデル信号演算部4の動作について説明する。モデル信号演算部4は外部から位置制御装置に与える位置指令xrを入力し、ローパス特性であるモデル伝達特性Ga(s)の伝達関数演算に基づくモデル位置xaと、モデル位置xaの微分信号であるモデル速度vaと、モデル速度vaの微分信号であるモデル加速度aaと、予め推定した制御対象のイナーシャ値であるモデルイナーシャJaをモデル加速度aaに乗じた信号であるモデルトルクτaを演算し、上記のモデル位置xaとモデル速度vaとモデルトルクτaとを出力する。
【0007】
ここで、外乱トルクτdが無く、制御対象1の特性が理想的な剛体機械でそのイナーシャJがモデルイナーシャJaに一致する場合(以下ではこれを理想モデルの場合と記述する)、上記のモデルトルクτaを用いて制御対象1を駆動すれば、制御対象1の実位置xmとモデル位置xaおよび実速度vmとモデル速度vaとが完全に一致し、位置指令xrから実位置xmまでの伝達特性はモデル伝達特性Ga(s)に一致する。すなわち次の式4が成り立つ。
xm/xr=xa/xr=Ga(s) ・・・・(式4)
【0008】
次にトルク指令演算部505の動作について説明する。実際の制御対象1には外乱やモデル誤差が存在するため、実位置xmとモデル位置xaおよび実速度vmとモデル速度vaとの間には誤差が生じる。位置補償器506はモデル位置xaと実位置xmとの差を位置ゲインωx倍した信号を出力し、速度PI補償器507はモデル速度vaと実速度vmとの差信号に位置補償器506の出力を加えた信号を入力し、速度比例ゲインKvと積分ゲインωPIのPI(比例積分)演算を行って誤差補償トルクτcを出力する。また、トルク指令演算部505はモデルトルクτaと誤差補償トルクτcの和信号をトルク指令τrとして出力する。すなわちトルク指令演算部505は以下の式5の演算によりトルク指令τrを演算する。
τr=τa+Kv・(1+ωPI/s){va−vm+ωx(xa−xm)}
・・・・(式5)
【0009】
トルク指令演算部505は上記のモデルトルクτaと誤差補償トルクτcとの和信号をトルク指令τrとして出力することにより、制御対象1が理想モデルの場合には、モデルトルクτaだけで、また制御対象1にモデル誤差が有った場合には誤差補償トルクτcを加えて制御対象1を駆動することにより、実位置xmがモデル位置xaに追従するように制御する。
【0010】
また、モデル伝達特性Ga(s)はローパス特性としているため、制御対象1に機械共振など高い周波数のモデル誤差が存在した場合には、モデル伝達特性Ga(s)の応答を遅く、すなわちローパス特性の遮断周波数を低くすることにより機械共振が抑制され、結果的に高速な整定を実現することができる。
【0011】
このように、第1の従来技術は、モデル伝達特性Ga(s)をローパス特性とすることで比較的高周波域(数10Hz程度)の機械共振を抑制している。しかし、同じくこのモデル伝達特性Ga(s)のローパス特性に期待してオーバーシュートをも抑制しようとすると、このオーバーシュートは更に低い周波数域(数Hz程度以下)での現象であるので、モデル伝達特性Ga(s)をこれに合わせた特性のものとすると、制御応答が非常に遅くなり、高速に整定する制御の実現が困難であった。
【0012】
次に、図13は、例えば特開平05−216540号公報に記載の第2の従来技術の制御系構成図である。図13では離散時間系の制御系を連続時間系に変換して、等価的に記載している。図13において図12と同一符号は同一部分を示す。605はトルク指令演算部である。606は位置補償器、607は速度PI補償器である。612はトルクフィードフォワード増幅器、611は速度フィードフォワード増幅器である。608は第1の微分器、609は第2の微分器、610はイナーシャ増幅器である。
【0013】
次に第2の従来技術の動作について説明する。第1の従来技術と同一部分は、その動作の説明を省略する。第1の微分器608は位置指令xrを微分して速度指令vrを出力し、第2の微分器609は速度指令vrを微分して加速度指令arを出力し、イナーシャ増幅器610は加速度指令arに予め設定した制御対象1のイナーシャの推定値Jaを乗じたモデルトルクτaを出力する。
【0014】
次にトルク指令演算部605の動作について説明する。トルク指令演算部605は位置指令xrと速度指令vrとモデルトルクτaと実速度vmと実位置xmとを入力する。トルク指令演算部605の内部においてトルクフィードフォワード増幅器612はモデルトルクτaにトルクフィードフォワードゲインατを乗じたフィードフォワードトルクτfを出力し、速度フィードフォワード増幅器611は速度指令vrに速度フィードフォワードゲインαvを乗じたフィードフォワード速度vfを出力する。
【0015】
次に位置補償器606は位置指令xrと実位置xmとの差信号に位置ゲインωxを乗じた信号を出力し、速度PI補償器607はフィードフォワード速度vfと実速度vmとの差信号に位置補償器606の出力を加えた信号を入力し、速度比例ゲインKvと積分ゲインωPIのPI(比例積分)演算を行って誤差補償トルクτcを出力する。また、トルク指令演算部605はモデルトルクτaと誤差補償トルクτcとの和信号をトルク指令τrとして出力する。すなわちトルク指令演算部605は以下の式6の演算によりトルク指令τrを演算する。
τr=ατ・τa+Kv・(1+ωPI/s){αv・vr−vm+ωx(xr−xm)} ・・・・(式6)
【0016】
第2の従来技術は上記のように構成することにより、トルクフィードフォワードゲインατと速度フィードフォワードゲインαvを1とすると、制御対象1が理想モデルの場合には位置指令xrと実位置xmとが一致するような制御が可能になる。また、制御対象1のモデル誤差や外乱トルクτdに対しては誤差補償トルクτcによって補償される。ここで、また更に、トルクフィードフォワードゲインατおよび速度フィードフォワードゲインαvを1から変更して微調整を行い、制御対象1のモデル誤差による位置指令xrに対する実位置xmの微少な応答誤差を修正する。
【0017】
しかしながら第2の従来技術では、トルクフィードフォワードゲインατを0にしなければ位置指令xrを2階微分した信号成分が直接トルク指令τrに印加されるため、トルク指令τrに高周波数成分が含まれ、制御対象1の特性に高周波数の機械共振が含まれている場合には、機械共振を励起して高速な整定を実現するのが困難だという問題が有った。
【0018】
また、伝達特性で考えると速度の積分は位置であるため、第2の従来技術では、次の式7、式8の関係を用い、信号をトルク、速度、位置、位置の積分の次元で纏めるように式6を変換すると、トルク指令演算部605は以下の式9の演算を行うことになる。
xr=(1/s)vr ・・・・(式7)
xm=(1/s)vm ・・・・(式8)
τr=ατ・τa+Kv(αv・vr−vm)+Kv(ωPI+ωx)(αx・xr−xm)
+Kv・ωx・ωPI(1/s)(xr−xm) ・・・・(式9)
ただし、上記のαxは次の式10で表される。
αx=(αv・ωPI+ωx)/(ωPI+ωx) ・・・・(式10)
【0019】
式10のαxを位置フィードフォワードゲインと呼ぶとすると、図13に示す構造の第2の従来技術では、位置フィードフォワードゲインαxを位置ゲインωx、積分ゲインωPI、速度フィードフォワードゲインαvと独立に調整することができない。ここで、位置ゲインωxおよび積分ゲインωPIは外乱トルクτdに対する応答を決定する制御ゲインすなわちフィードバックゲインである。したがって、外乱トルクτdに対する特性すなわちフィードバック特性を最適に保ったまま、トルクフィードフォワードゲインατ、速度フィードフォワードゲインαv、位置フィードフォワードゲインαxを最適に設定することが困難であるため、制御対象1のモデル誤差に対応した最適な調整が困難であるという問題が有る。また、オーバーシュートを抑制するための調整を簡単に行うのが困難であるという問題が有る。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、第1の従来技術では、整定時のオーバーシュートを抑制しようとすると、位置指令xrに対するモデル位置xmの応答をかなり遅くする必要があるため、実位置xmの応答が遅くなり、高速な整定を得るのが困難であるという問題が有った。
【0021】
また、第2の従来技術では、高速な応答を得ようとするとトルク指令τrに高周波数成分が印加されるため、制御対象1に機械共振が有る場合には共振を励起し、高速な整定を得るのが困難であるという問題があった。また、位置フィードフォワードゲインαxをフィードバックゲインおよび速度フィードフォワードゲインαvと独立に設定できないため、外乱に対する応答を最適に保ったまま、制御対象の微少なモデル誤差に対して高速な整定を得るような、最適な制御を実現するのが困難であるという問題が有った。また、簡単な演算や簡単な調整でオーバーシュートを抑制して高速に整定する制御が困難であるという問題が有った。
【0022】
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、外乱に対する応答を最適に保ったまま、制御対象の微少なモデル誤差に対する調整を緻密に行い、また簡単な調整で、機械共振を励起せずに高速に整定する制御を実現するためのものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る位置制御装置は、制御対象をモデルとして想定し上記制御対象のイナーシャ推定値を用いた演算により、入力した位置指令xrからモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号を作成するモデル信号演算部、およびこのモデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号と上記制御対象の位置検出信号である実位置xm、速度検出信号である実速度vmの各信号とを入力し、上記制御対象のトルク指令τrを作成するトルク指令演算部を備え、外部からの位置指令xrと上記実位置xm、上記実速度vmとを入力し上記トルク指令τrを出力し、上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrに応じたトルクを発生して上記制御対象を制御する位置制御装置において、
上記モデル信号演算部は、上記位置指令xrを入力して所定の伝達関数演算により演算したモデル位置xaとこのモデル位置xaの微分信号であるモデル速度vaとこのモデル速度vaの微分信号であるモデル加速度に上記制御対象のイナーシャ推定値を乗じたモデルトルクτaとを出力し、
上記トルク指令演算部は、上記モデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号にそれぞれ1を基準に設定したトルクフィードフォワードゲインατ、速度フィードフォワードゲインαvおよび位置フィードフォワードゲインαxを乗算して出力するフィードフォワード制御部、および外乱に対して設定したフィードバックゲインである位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとに基づき上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrを演算するフィードバック制御部を備え、
上記トルク指令演算部は、上記モデルトルクτaとモデル速度vaとモデル位置xaと実速度vmと実位置xmとを入力し、位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとトルクフィードフォワードゲインατと速度フィードフォワードゲインαvと位置フィードフォワードゲインαxとを用いた次式で表される演算に基づいて上記トルク指令τrを出力し、
τr=ατ・τa+Kv・(αv・va−vm)+Kx・(αx・xa−xm)+Ki(1/s)(xa−xm)
s:ラプラス演算子
上記フィードフォワード制御部は、上記フィードバック制御部による外乱応答を最適に保って上記モデルと制御対象との誤差に対する補償ができるよう上記位置フィードフォワードゲインαxを上記速度フィードフォワードゲインαvと独立に、かつ上記フィードバックゲインと独立に1以外の値に設定可能な構成としたものである。
【0024】
この発明に係る位置制御装置は、制御対象をモデルとして想定し上記制御対象のイナーシャ推定値を用いた演算により、入力した位置指令xrからモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号を作成するモデル信号演算部、およびこのモデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号と上記制御対象の位置検出信号である実位置xm、速度検出信号である実速度vmの各信号とを入力し、上記制御対象のトルク指令τrを作成するトルク指令演算部を備え、外部からの位置指令xrと上記実位置xm、上記実速度vmとを入力し上記トルク指令τrを出力し、上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrに応じたトルクを発生して上記制御対象を制御する位置制御装置において、
上記モデル信号演算部は、上記位置指令xrを入力して所定の伝達関数演算により演算したモデル位置xaとこのモデル位置xaの微分信号であるモデル速度vaとこのモデル速度vaの微分信号であるモデル加速度に上記制御対象のイナーシャ推定値を乗じたモデルトルクτaとを出力し、
上記トルク指令演算部は、上記モデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号にそれぞれ1を基準に設定したトルクフィードフォワードゲインατ、速度フィードフォワードゲインαvおよび位置フィードフォワードゲインαxを乗算して出力するフィードフォワード制御部、および外乱に対して設定したフィードバックゲインである位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとに基づき上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrを演算するフィードバック制御部を備え、
上記トルク指令演算部は、上記モデルトルクτaとモデル速度vaとモデル位置xaと実速度vmと実位置xmとを入力し、位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとトルクフィードフォワードゲインατと速度フィードフォワードゲインαvと位置フィードフォワードゲインαxとを用いた次式で表される演算に基づいて上記トルク指令τrを出力し、
τr=ατ・τa+Kv・(αv・va−vm)+Kx・(αx・xa−xm)+Ki(1/s)(xa−xm)
s:ラプラス演算子
上記フィードフォワード制御部は、上記フィードバック制御部による外乱応答を最適に保って上記モデルと制御対象との誤差に対する補償ができるよう上記位置フィードフォワードゲインαxと速度フィードフォワードゲインαvとトルクフィードフォワードゲインατとのすべてを上記フィードバックゲインと独立に1以外の値に設定可能な構成としたものである。
【0025】
この発明に係る位置制御装置は、制御対象をモデルとして想定し上記制御対象のイナーシャ推定値を用いた演算により、入力した位置指令xrからモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号を作成するモデル信号演算部、およびこのモデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号と上記制御対象の位置検出信号である実位置xm、速度検出信号である実速度vmの各信号とを入力し、上記制御対象のトルク指令τrを作成するトルク指令演算部を備え、外部からの位置指令xrと上記実位置xm、上記実速度vmとを入力し上記トルク指令τrを出力し、上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrに応じたトルクを発生して上記制御対象を制御する位置制御装置において、
上記モデル信号演算部は、上記位置指令xrを入力して所定の伝達関数演算により演算したモデル位置xaとこのモデル位置xaの微分信号であるモデル速度vaとこのモデル速度vaの微分信号であるモデル加速度に上記制御対象のイナーシャ推定値を乗じたモデルトルクτaとを出力し、
上記トルク指令演算部は、上記モデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号にそれぞれ1を基準に設定したトルクフィードフォワードゲインατ、速度フィードフォワードゲインαvおよび位置フィードフォワードゲインαxを乗算して出力するフィードフォワード制御部、および外乱に対して設定したフィードバックゲインである位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとに基づき上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrを演算するフィードバック制御部を備え、
上記トルク指令演算部は、上記モデルトルクτaとモデル速度vaとモデル位置xaと実速度vmと実位置xmとを入力し、位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとトルクフィードフォワードゲインατと速度フィードフォワードゲインαvと位置フィードフォワードゲインαxとを用いた次式で表される演算に基づいて上記トルク指令τrを出力し、
τr=ατ・τa+Kv・(αv・va−vm)+Kx・(αx・xa−xm)+Ki(1/s)(xa−xm)
s:ラプラス演算子
フィードフォワード制御部は、上記フィードバック制御部による外乱応答を最適に保って上記モデルと制御対象との誤差に対する補償ができるよう位置フィードフォワードゲインαxと速度フィードフォワードゲインαvとトルクフィードフォワードゲインατとを、フィードバックゲインと独立な関係式を用いて設定する構成としたものである。
【0026】
この発明に係る位置制御装置のフィードフォワード制御部は、位置フィードフォワードゲインαxと速度フィードフォワードゲインαvとトルクフィードフォワードゲインατとを、次式の関係を用いて設定する構成としたものである。
(位置フィードフォワードゲインαx)=(速度フィードフォワードゲインαv)
=(トルクフィードフォワードゲインατ)
【0027】
この発明に係る位置制御装置のフィードフォワード制御部は、位置フィードフォワードゲインαxと速度フィードフォワードゲインαvとトルクフィードフォワードゲインατとを、次式の関係を用いて設定する構成としたものである。
(トルクフィードフォワードゲインατ)=(位置フィードフォワードゲインαx)
(速度フィードフォワードゲインαv)=(位置フィードフォワードゲインαx)
【0028】
この発明に係る位置制御装置のトルク指令演算部は、モデルトルクτaにトルクフィードフォワードゲインατを乗算したフィードフォワードトルクτfを出力するトルクフィードフォワード増幅器、モデル速度vaに速度フィードフォワードゲインαvを乗算したフィードフォワード速度vfを出力する速度フィードフォワード増幅器、上記モデル速度vaに位置フィードフォワード低減ゲインβxを乗算したフィードフォワード位置xfを出力する位置フィードフォワード低減器、モデル位置xaと実位置xmとの偏差から上記フィードフォワード位置xfを減算した信号を積分した信号を出力する位置積分器、上記フィードフォワード速度vfと実速度vmとの偏差に速度比例ゲインKvを乗算した信号を出力する速度比例補償器、上記モデル位置xaと実位置xmとの偏差に位置比例ゲインKxを乗算した信号を出力する位置比例補償器、および上記位置積分器の出力に位置積分ゲインKiを乗算した信号を出力する位置積分補償器を備え、
位置フィードフォワードゲインαxは次式で設定するとともに、上記フィードフォワードトルクτfおよび上記速度比例補償器、位置比例補償器、位置積分補償器の出力信号の加算値をトルク指令τrとして出力するものである。
αx=1−Ki・βx/Kx
【0029】
この発明に係る位置制御装置のモデル信号演算部は、その位置指令からモデル位置までの伝達特性が所定の周波数以上をカットするローパス特性となるように構成したものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明における実施の形態1の位置制御装置の構成を示すブロック図である。図1において、1はトルク指令τrに応じたトルクを発生することにより機械系を駆動する制御対象である。2は制御対象1の位置である実位置xmを検出する位置検出器である。3は実位置xmの微分信号である実速度vmを検出する速度検出器である。4は外部から位置指令xrを入力しモデル位置xaとモデル速度vaとモデルトルクτaとを出力するモデル信号演算部である。5はトルク指令演算部である。6は位置積分器である。7は速度比例補償器、8は位置比例補償器、9は位置積分補償器である。10はトルクフィードフォワード増幅器、11は速度フィードフォワード増幅器、12は位置フィードフォワード増幅器である。
【0031】
次に実施の形態1の動作について説明する。まず、制御対象1の特性について説明する。制御対象1における発生トルクがトルク指令τrに理想的に一致するとした場合、制御対象1の伝達特性をG(s)と記述すると、トルク指令τrおよび外乱トルクτdと実位置xmとの関係は次の式1で表される。ただし、次式および以降においてsはラプラス演算子を表す。
xm=G(s)・τr+G(s)・τd ・・・・(式1)
【0032】
また、制御対象1が完全な剛体機械であるとした場合、制御対象1の伝達特性G(s)は次の式2で表される。ただし、下式においてJは制御対象1のイナーシャである、
G(s)=1/(J・s) ・・・・(式2)
【0033】
しかしながら実際の制御対象1には機械共振や摩擦などのモデル誤差が存在し、例えば摩擦係数fの粘性摩擦が存在する場合の制御対象の伝達特性G(s)は次の式3となる。
G(s)=1/(J・s+f・s) ・・・・(式3)
【0034】
次にモデル信号演算部4の動作を説明する。モデル信号演算部4は外部から位置制御装置に与える位置指令xrを入力し、ローパス特性であるモデル伝達特性Ga(s)の伝達関数演算に基づいてモデル位置xaを演算し、更にモデル位置xaの微分信号であるモデル速度vaと、モデル速度vaの微分信号であるモデル加速度aaを演算し、更にモデル信号演算部4は予め設定した制御対象のイナーシャ値であるモデルイナーシャJaをモデル加速度aaに乗じた信号であるモデルトルクτaを演算し、上記のモデル位置xaとモデル速度vaとモデルトルクτaとを出力する。モデル伝達特性Ga(s)は例えば次の式11のような2次のローパス特性を選ぶ。
Ga(s)=1/(s+ωa) ・・・・(式11)
ここで、上記の式11におけるωaはモデルの応答周波数、すなわちローパス特性の遮断周波数で、位置指令xrに対するモデルの応答の速さを決定するものである。
【0035】
以上の動作によりモデル信号演算部4では以下の式12、式13、式14の伝達関数演算を行っている。
xa=Ga(s)・xr ・・・・(式12)
va=s・Ga(s)・xr ・・・・(式13)
τa=Ja・s・Ga(s)・xr ・・・・(式14)
【0036】
次にトルク指令演算部5の動作について説明する。トルク指令演算部5はモデルトルクτaとモデル速度vaとモデル位置xaと実速度vmと実位置xmとを入力する。トルク指令演算部5の内部においてトルクフィードフォワード増幅器10はモデルトルクτaにトルクフィードフォワードゲインατを乗じたフィードフォワードトルクτfを出力し、速度フィードフォワード増幅器11はモデル速度vaに速度フィードフォワードゲインαvを乗じたフィードフォワード速度vfを出力し、位置フィードフォワード増幅器12はモデル位置xaに位置フィードフォワードゲインαxを乗じたフィードフォワード位置xfを出力する。
【0037】
次に位置積分器6はモデル位置xaと実位置xmとの偏差を積分した信号を出力し、速度比例補償器7はフィードフォワード速度vfと実速度vmとの偏差に速度比例ゲインKvを乗じた信号を出力し、位置比例補償器8はフィードフォワード位置xfと実位置xmとの偏差に位置比例ゲインKxを乗じた信号を出力し、位置積分補償器9は位置積分器6の出力信号に位置積分ゲインKiを乗じた信号を出力し、トルク指令演算部5はフィードフォワードトルクτfと速度比例補償器7の出力と位置比例補償器8の出力と位置積分補償器9の出力との和信号をトルク指令τrとして出力することにより制御対象1を制御する。
【0038】
以上のように構成することによりトルク指令演算部5は、モデル位置xa、モデル速度va、モデルトルクτa、実位置xm、実速度vmを入力し次の式15の伝達関数演算によりトルク指令τrを出力する。
τr=ατ・τa+Kv(αv・va−vm)+Kx(αx・xa−xm)+Ki(1/s)(xa−xm) ・・・・(式15)
【0039】
また、トルク指令演算部5は、トルクフィードフォワード増幅器10によりトルクフィードフォワードゲインατを、速度フィードフォワード増幅器11により速度フィードフォワードゲインαvを、位置フィードフォワード増幅器12により位置フィードフォワードゲインαxを、速度比例補償器7により速度比例ゲインKvを、位置比例補償器8により位置比例ゲインKxを、位置積分補償器9により位置積分ゲインKiを設定するため、トルクフィードフォワードゲインατと速度フィードフォワードゲインαvと位置フィードフォワードゲインαxとは互いに独立に、なおかつ速度比例ゲインKvおよび位置比例ゲインKxおよび位置積分ゲインKiと独立に設定することが可能である。なお、以降では速度比例ゲインKvと位置比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとを総称してフィードバックゲインと呼び、トルクフィードフォワードゲインατ、速度フィードフォワードゲインαv、位置フィードフォワードゲインαxを総称してフィードフォワードゲインと呼ぶ。
【0040】
また、以降では制御対象1が式1で表される理想的剛体機械で、モデル信号演算部4のモデルイナーシャJaと制御対象1のイナーシャJが一致する場合を、制御対象1が理想モデルの場合と呼ぶことにする。
【0041】
図1においてフィードフォワードゲインατ、αv、αxを全て1にした場合は、第1の従来技術から図1への等価変換が可能である。すなわち図1の制御系は第1の従来技術と同様に動作し、制御対象1が理想モデルの場合は、位置指令xrに対して実位置xmとモデル位置xaとが完全に一致する。しかしながら、制御対象1が例えば式3のようにモデル誤差を持った場合、そのモデル誤差が微少でも、実位置xmが微少のオーバーシュートを起こすなどの問題を生じる。
【0042】
次にトルク指令演算部5におけるフィードバックゲインKv、Kx、Kiの設定について図2を用いて説明する。図2は外乱τdに対する実位置xmのステップ応答を示す図である。
【0043】
フィードバックゲインKv、Kx、Kiは、外乱τdに対して実位置xmと位置指令xrとの誤差の変動がなるべく小さくなるように設定する。図1における外乱τdから実位置xmまでの伝達特性をGτ(s)と記述すると、Gτ(s)のステップ応答の概形は図2に示すような安定な波形になる。すなわち通常はGτ(s)のステップ応答が、正の方向だけに変動して負の方向へ行きすぎないようにフィードバックゲインKv、Kx、Kiを設定する。
なお、このGτ(s)は、制御対象1を含む閉回路の応答であって、制御対象1の伝達特性G(s)と後述するフィードバック制御系の伝達特性Cb(s)とから以下の式により表される。
Gτ(s)=G(s)/{1+G(s)・Cb(s)}
また、制御対象1が式2の理想的な剛体機械とした場合のGτ(s)をGτ1(s)と記述すると、Gτ1(s)は次の式16となる。
Gτ1(s)=s/(J・s+Kv・s+Kx・s+Ki) ・・・・(式16)
【0044】
次にフィードフォワードゲインατ、αv、αxの設定について、図3に示す一般的な2自由度制御系ブロックを用いて説明する。なお、図3の一般的な2自由度制御系は制御系の応答特性を解析するために用いるものである。図3において、図1と同一符号は同一部分を示す。13はフィードバック制御器である。14はフィードフォワード制御器である。
【0045】
次に図3に示す一般的な2自由度制御系の動作について説明する。フィードフォワード制御器14は位置指令xrを入力しCf(s)の伝達関数演算によりフィードフォワードトルクτfを出力する。フィードバック制御器13は実位置xmを入力しCb(s)の伝達関数演算によりフィードバックトルクτbを出力する。図3の2自由度制御系ではフィードフォワードトルクτfとフィードバックトルクτbの和をトルク指令τrとして制御対象1を駆動する。
【0046】
図1のモデル信号演算部4およびトルク指令演算部5を図3の一般的な2自由度制御系に等価変換すると、フィードフォワード制御器14の伝達特性Cf(s)およびフィードバック制御器13の伝達特性Cb(s)は次の式17および式18で表される。
Cf(s)=Ga(s)・Gf(s) ・・・・(式17)
Cb(s)=Kv・s+Kx+Ki/s ・・・・(式18)
ただし、上記の式17において
Gf(s)=(ατ・Ja・s+αv・Kv・s+αx・Kx・s+Ki)/s・・・・(式19)
である。また、次の式20のようにフィードフォワードゲインατ、αv、αxの全てを1とおいた場合のGf(s)をGf1(s)とおく。
Gf1(s)=(Ja・s+Kv・s+Kx・s+Ki)/s ・・・・(式20
【0047】
次に、フィードフォワードトルクτfから実位置xmまでの伝達関数は外乱トルクτdから実位置xmまでの応答Gτ(s)と全く同じである。したがって、位置指令xrから実位置xmまでの応答は次の式21で表される。
xm/xr=Cf(s)・Gτ(s)
=Ga(s)・Gf(s)・Gτ(s) ・・・・(式21)
【0048】
ここで、上式においてGa(s)は上述のように、モデル信号演算部4の伝達特性Ga(s)であり、これをローパス特性とすることにより、モデル信号演算部4および制御対象1の応答の速さを設定する部分である。また、式21で表される位置指令xrから実位置xmまでの応答からモデル伝達特性を除いた伝達特性Gf(s)・Gτ(s)が応答を補正する特性となり、このGf(s)・Gτ(s)の伝達特性は式19より次の式22となる。
Gf(s)・Gτ(s)=(ατ・Ja・s+αv・Kv・s+αx・Kx+Ki/s)・Gτ(s) ・・・・(式22)
【0049】
上記の式22より、Gf(s)・Gτ(s)の応答は図2に示した外乱応答Gτ(s)の積分、比例、微分、2階微分の応答の線形和となる。図4にKi・Gτ(s)/s、Kx・Gτ(s)、Kv・s・Gτ(s)、Ja・s・Gτ(s)のステップ応答をそれぞれ示す。また、制御対象1が理想モデルの場合、フィードフォワードゲインατ、αv、αxを全て1とするとGf(s)・Gτ(s)はGf1(s)・Gτ1(s)となり、上述の説明および式16と式20より、Gf(s)・Gτ(s)の伝達特性は1に一致する。すなわち、この場合には、図4に示した4つの波形を加算すると1となる。したがって、フィードフォワードゲインατ、αv、αxは、1を基準に設定するものである。
【0050】
ここで、上述のように制御対象1にはモデル誤差が有るため、Gf(s)・Gτ(s)の応答は1に近いながらも微少な誤差を生じる。位置指令xrから実位置xmまでの応答は上記の式21であるため、式11に示したモデルの応答Ga(s)の応答周波数ωaを小さくすると、モデルの応答自体の高い周波数成分が除去されるため、モデル位置xaと実位置xmとの誤差が小さくなる。したがって、機械共振などの高周波数で生じる誤差については、モデルの応答周波数ωaを所定量小さくすることによって、モデルの応答をそれほど遅くすることなく、モデル位置xaと実位置xmとの誤差を小さくすることができる。しかしながら、式3に示した粘性摩擦や、それによって生じるオーバーシュートなどの比較的低い周波数で生じる誤差について、モデルの応答周波数ωaを更に小さくして誤差を低減しようとすると、第1の従来技術で説明した通り、モデルの応答周波数ωaをかなり小さくする必要が有るため、結果的に位置指令xrに対する実位置xmの応答がかなり遅くなってしまう。
【0051】
そこで、例えば位置フィードフォワードゲインαxを1から減じた場合、Gf(s)・Gτ(s)の応答波形が、αxが1の場合に比べて図4におけるKx・Gτ(s)の波形に(1−αx)を乗じた波形を減じたものに変化する。このように、フィードフォワードゲインαx、αv、ατを1から変更することにより、フィードバックゲインKv、Kx、Kiを変更することなく、すなわち外乱応答は例えば、図2に示すように最適に保ったまま、また位置指令xrに対する実位置xmの応答をあまり遅くすることなく、位置指令xrに対する実位置xmの応答を調整することが可能になる。
【0052】
また、制御対象1のモデル誤差の特性は様々であり、このような不確かさにきめ細かく対応してなるべく速く整定させるためには、位置フィードフォワードゲインαx、速度フィードフォワードゲインαvおよびトルクフィードフォワードゲインατを独立に調整することにより、フィードバックゲインKv、Kx、Kiを最適な値に固定したまま、不確かさにきめ細かく対応して、なるべく速く整定させることが可能になる。
【0053】
また、図2に示したように、フィードバックゲインKv、Kx、Kiの通常の調整では、外乱応答Gτ(s)のステップ応答は符号が正の方向のみに応答するため、位置指令xrに対する実位置xmの応答がオーバーシュートを起こした場合、前述のようにαxを小さくすれば、必ずオーバーシュートを抑制する方向へ作用する。そこで一例として、図5に、制御対象1の特性を理想モデルとしたシミュレーションで、速度フィードフォワードゲインαvおよびトルクフィードフォワードゲインατは1に固定したまま、αxを小さく変化させた場合のGf(s)・Gτ(s)の応答の変化の様子を示す。図5に示したGf(s)・Gτ(s)の応答の変化より、実際の実位置xmの応答が微少なオーバーシュートを起こした場合は、位置フィードフォワードゲインαxだけを1より少し小さくすることにより、簡単な制御器内の演算と簡単な調整でオーバーシュートを抑制することが可能である。
【0054】
また、上記では位置フィードフォワードゲインαxだけを小さくするとしたが、図5に示した位置フィードフォワードゲインαxだけを1より小さくした場合のGf(s)・Gτ(s)のステップ応答は、時刻0の直後に1まで立上り、その後一旦小さくなり再び緩やかに上昇して1に達している。すなわち位置指令xrに対するトルク指令τrには、オーバーシュートの抑制にはあまり関与しない高い周波数成分が大きく含まれている。一方、制御対象1の高周波数領域における特性には機械共振が含まれていることが多いため、オーバーシュート抑制に寄与しないトルク指令τrの高周波数成分は低減した方が機械共振の抑制効果が大きくなる。したがって、オーバーシュートを抑制するために位置フィードフォワードゲインαxを1より小さくすると同時に、速度フィードフォワードゲインαvやトルクフィードフォワードゲインατも1より小さくした方が振動抑制効果が大きくなり整定時間の短縮につながる。
【0055】
ここで、例えば速度フィードフォワードゲインαvを小さくしたことによるGf(s)・Gτ(s)のステップ応答の変化は、図4のKv・s・Gτ(s)の波形に定数を掛けたものを減じることになり、またトルクフィードフォワードゲインατを小さくしたことによるGf(s)・Gτ(s)のステップ応答の変化は、図4のJa・s・Gτ(s)の波形に定数をかけたものを減じることになるため、応答波形は正負の両方向へ変化し、不用意に速度フィードフォワードゲインαvやトルクフィードフォワードゲインατを小さくすると、それが逆にオーバーシュートを増大させる原因となったり、特定の周波数成分が残るため応答が振動的になったりする。したがって、フィードフォワードゲインαx、αv、ατに、適切な関係式を持たせることにより、簡単な調整でオーバーシュートを抑制し、なおかつ振動抑制効果も得ることが可能になる。
【0056】
次に、その一例としてフィードフォワードゲインαx、αv、ατに次の式23の関係を持たせた場合を説明する。
αx=αv=ατ ・・・・(式23)
【0057】
上記の式23の関係を持たせてフィードフォワードゲインαx、αv、ατを1から小さくした場合のGf(s)・Gτ(s)の応答は、式23より次の式24で表される。
Gf(s)・Gτ(s)=αx・Gf1(s)・Gτ(s)+Ki・(1−αx)・Gτ(s)/s ・・・・(式24)
すなわち、Gf1(s)・Gτ(s)の伝達特性は1に近いので、Gf(s)・Gτ(s)のステップ応答波形は、高さαxのステップ状変化と、図4に示したKi・Gτ(s)/sの波形を定数倍したものとの和になる。図6に、Gf1(s)・Gτ(s)の伝達特性を1とし、式23の関係を持たせた上でフィードフォワードゲインαxを小さくした場合のGf(s)・Gτ(s)のステップ応答の変化を示す。図の変化の様子より、Gf1(s)・Gτ(s)が微少なオーバーシュートを起こす場合には、式23の関係を持たせた上でフィードフォワードゲインαx、αv、ατを小さくすると、なめらかに、また一つのパラメータαxによる簡単な調整で、オーバーシュートを抑制することが可能になる。
【0058】
次に、一例としてフィードフォワードゲインαx、αv、ατに次の式25の関係を持たせた場合を説明する。
αv=αx、ατ=αx ・・・・(式25)
【0059】
上記の式25の関係を持たせてフィードフォワードゲインαx、αv、ατを1から小さくした場合のGf(s)は下式で表される。
Gf(s)={Ja・(αx・s)+Kv・(αx・s)+Kx・αx・s+Ki)/s
図7に、Gf1(s)・Gτ(s)の伝達特性を1とし、式25の関係を持たせた上でフィードフォワードゲインαxを小さくした場合のGf(s)・Gτ(s)のステップ応答の変化を示す。図の変化の様子より、Gf1(s)・Gτ(s)が微少なオーバーシュートを起こす場合には、式25の関係を持たせた上でフィードフォワードゲインαx、αv、ατを小さくすると、立ち上がりを小さく、すなわち高周波数成分をより小さくしながら、なめらかに、また一つのパラメータαxによる簡単な調整でオーバーシュートを抑制することが可能になる。
【0060】
実施の形態1は以上のように構成することにより、フィードフォワードゲイン設定要素である位置フィードフォワード増幅器12を備え、位置フィードフォワードゲインαxを速度フィードフォワードゲインαvと独立にかつ速度比例ゲインKv、位置比例ゲインKx、位置積分ゲインKiと独立に1以外の値に設定できるため、またトルクフィードフォワードゲインατや速度フィードフォワードゲインαvが1のままでも位置フィードフォワード増幅器12における位置フィードフォワードゲインαxを1を基準にして小さく微調整することにより、簡単な制御器の演算で、外乱応答を最適に保ったままオーバーシュートを抑制して高速に整定させることが可能である。
【0061】
また、実施の形態1はフィードフォワード設定要素であるトルクフィードフォワード増幅器10と速度フィードフォワード増幅器11と位置フィードフォワード増幅器12を備え、フィードフォワードゲインατ、αv、αxを互いに独立に、かつフィードバックゲインKv、Kx、Kiと独立に1以外の値に設定できるため、フィードフォワードゲインατ、αv、αxを1を基準にきめ細かく微調整することにより、外乱応答を最適に保ったまま、高速に整定させることが可能である。
【0062】
さらに、実施の形態1はフィードフォワード設定要素であるトルクフィードフォワード増幅器10と速度フィードフォワード増幅器11と位置フィードフォワード増幅器12を備え、フィードフォワードゲインατ、αv、αxをフィードバックゲインKv、Kx、Kiと独立で適切な関係式を用いて一つのパラメータで設定することによって、フィードフォワードゲインατ、αv、αxを1を基準に一つのパラメータαxで微調整することにより、外乱応答を最適に保ったままオーバーシュートを抑制して滑らかかつ高速に整定させることが可能である。
【0063】
さらに、実施の形態1はモデル信号演算部4における位置指令xrからモデル位置xaまでの応答がローパス特性となるように構成し、フィードフォワード設定要素である位置フィードフォワード増幅器12を備え位置フィードフォワードゲインαxを1以外の値に設定できるため、モデル伝達特性Ga(s)をローパス特性として機械共振の励起を抑制し、位置フィードフォワードゲインαxを1を基準にして小さく微調整することにより、外乱応答を最適に保ったまま、振動を抑制し、オーバーシュートを抑制して高速に整定させることが可能である。
【0064】
なお、以上の実施の形態1の説明では、トルク指令演算部5においてトルクフィードフォワード増幅器を備えるとして構成したが、モデル信号演算部4における式14の伝達関数演算で、モデルイナーシャJaを制御対象1のイナーシャJにトルクフィードフォワードゲインατを乗じた値にするように構成しても、全く同じ効果を持つことは言うまでもない。
【0065】
また、例えば速度比例補償器8の出力などの信号に、ローパスフィルタを挿入したような場合も、本発明の本質的効果に変わりなく、同様の効果を持つことは言うまでもない。
更に、高周波の機械共振の抑制は、その条件によっては、モデル信号演算部4の伝達関数をローパス特性とすることによるのではなく、上述した各フィードフォワードゲインの設定を調整することにより行うこともできることは言うまでもない。
【0066】
実施の形態2.
図8は実施の形態2の位置制御装置の構成を示すブロック図である。図8において図1と同一符号は同一部分を示し、その説明を省略する。
【0067】
105はトルク指令演算部である。106は位置積分器である。107は速度比例補償器、108は位置比例補償器、109は位置積分補償器である。110はトルクフィードフォワード増幅器、111は速度フィードフォワード増幅器、112は位置フィードフォワード低減器である。
【0068】
図1に示した実施の形態1ではモデル位置xaに位置フィードフォワードゲインαxを乗じたフィードフォワード位置xfと実位置との差信号を用いてトルク指令τrを演算していたが、位置指令xrの移動距離が大きい場合には、定常的に位置比例補償器8の出力が大きくなり、またこの出力を相殺するように位置積分補償器9の出力信号が大きな値を持つため、計算条件が悪くなる可能性が有るが、この実施の形態2は以上の不具合を解消したものである。
【0069】
次に実施の形態2の動作について説明する。実施の形態1と異なる部分であるトルク指令演算部105の動作について説明する。トルク指令演算部105はモデルトルクτaとモデル速度vaとモデル位置xaと実速度vmと実位置xmとを入力する。トルク指令演算部105の内部においてトルクフィードフォワード増幅器110はモデルトルクτaにトルクフィードフォワードゲインατを乗じたフィードフォワードトルクτfを出力し、速度フィードフォワード増幅器111はモデル速度vaに速度フィードフォワードゲインαvを乗じたフィードフォワード速度vfを出力し、位置フィードフォワード低減器112はモデル速度vaに位置フィードフォワード低減ゲインβxを乗じたフィードフォワード位置(位置フィードフォワード低減信号)xfを出力する。
【0070】
次に位置積分器106はモデル位置xaと実位置xmとの偏差から上記の位置フィードフォワード低減信号xfを減じた信号を積分した信号を出力し、速度比例補償器107はフィードフォワード速度vfと実速度vmとの偏差に速度比例ゲインKvを乗じた信号を出力し、位置比例補償器108はモデル位置xaと実位置xmとの偏差に位置比例ゲインKxを乗じた信号を出力し、位置積分補償器109は位置積分器106の出力信号に位置積分ゲインKiを乗じた信号を出力し、トルク指令演算部105はフィードフォワードトルクτfと速度比例補償器107の出力と位置比例補償器108の出力と位置積分補償器109との出力の和信号をトルク指令τrとして出力することにより制御対象1を制御する。
【0071】
以上のように構成することにより、トルク指令演算部105はモデル位置xa、モデル速度va、モデルトルクτa、実位置xm、実速度vmに基づき次の式26の伝達関数演算によりトルク指令τrを出力する。
τr=ατ・τa+Kv(αv・va−vm)+Kx(xa−xm)+Ki(1/s)(xa−xm−βx・va) ・・・・(式26)
【0072】
ここで、モデル速度vaの積分はモデル位置xaであるため、信号をトルク、速度、位置、位置の積分の次元で纏めるように式26を変換すると、次の式27となる。
τr=ατ・τa+Kv(αv・va−vm)+Kx{(1−Ki・βx/Kx)xa−xm}+Ki(1/s)(xa−xm) ・・・・(式27)
【0073】
したがって、位置フィードフォワードゲインαxを下式の式28で定義すると、上記の式26の演算は実施の形態1のトルク指令演算部5における式15の演算と全く同じになる。
αx=1−Ki・βx/Kx ・・・・(式28)
【0074】
τr=ατ・τa+Kv(αv・va−vm)+Kx(αx・xa−xm)+Ki(1/s)(xa−xm) ・・・・(式15)
【0075】
また位置フィードフォワード低減ゲインβxを設定することにより、位置フィードフォワードゲインαxを速度フィードフォワードゲインαvおよびフィードバックゲインKv、Kx、Kiと独立に設定することが可能である。
【0076】
上記のように構成することにより、実施の形態2は実施の形態1と全く同様の効果を持ち、しかも、位置指令xrが大きくなっても位置比例補償器108の出力が特に大きくなるということがなく、安定した動作特性が得られる。
【0077】
実施の形態3.
図9は実施の形態3の制御系を示すブロック図である。図9において図1と同一符号は同一部分を示し、その説明を省略する。
【0078】
205はトルク指令演算部である。206は位置補償器、207は速度PI補償器である。210はトルクフィードフォワード増幅器、211は速度フィードフォワード増幅器である。
【0079】
次に実施の形態3の動作について説明する。実施の形態1と異なる部分であるトルク指令演算部205の動作について説明する。トルク指令演算部205はモデルトルクτaとモデル速度vaとモデル位置xaと実速度vmと実位置xmとを入力する。トルク指令演算部205の内部においてトルクフィードフォワード増幅器210はモデルトルクτaにトルクフィードフォワードゲインατを乗じたフィードフォワードトルクτfを出力し、速度フィードフォワード増幅器211はモデル速度vaに速度フィードフォワードゲインαvを乗じたフィードフォワード速度vfを出力する。
【0080】
次に位置補償器206はモデル位置xaと実位置xmとの偏差に位置ゲインωxを乗じた信号を出力し、速度PI補償器207はフィードフォワード速度vfと実速度vmとの差信号に位置補償器106の出力を加えた信号を入力し、速度比例ゲインKvと積分ゲインωPIのPI(比例積分)演算を行って誤差補償トルクτcを出力する。また、トルク指令演算部205はフィードフォワードトルクτfと誤差補償トルクτcとの和信号をトルク指令τrとして出力する。すなわちトルク指令演算部205は以下の式29の演算によりトルク指令τrを演算する。
τr=ατ・τa+Kv(1+ωPI/s){αv・va−vm+ωx(xa−xm)} ・・・・(式29)
【0081】
ここで、モデル速度vaの積分はモデル位置xaであるため、信号をトルク、速度、位置、位置の積分の次元で纏めるように式29を変換すると、次の式30、式31、式32、式33となる。
τr=ατ・τa+Kv(αv・va−vm)+Kx(αx・xa−xm)+Ki(1/s)(xa−xm) ・・・・(式30)
ただし、
Kx=Kv(ωx+ωPI) ・・・・(式31)
Ki=Kv・ωx・ωPI ・・・・(式32)
αx=(ωx+αv・ωPI)/(ωx+ωPI) ・・・・(式33)
【0082】
上記の式31、式32、式33より、式30における位置フィードフォワードゲインαxは、速度フィードフォワードゲインαvと独立かつ位置比例ゲインKxおよび位置積分ゲインKiと独立に設定することはできない。しかしながら、速度フィードフォワード増幅器211における速度フィードフォワードゲインαvを1より小さくすることにより式15における位置フィードフォワードゲインαxも1より小さくなる。また、位置フィードフォワードゲインαxと速度フォードフォワードゲインαvとの関係は式33により、フィードバックゲインである位置ゲインωxと積分ゲインωPIとの関係で決まるため、フィードバック特性は多少変化するがこの位置ゲインωxと積分ゲインωPIとの大小関係を調整することにより、速度フォードフォワードゲインαvを小さくすることによって位置フィードフォワードゲインαxが急速に小さくなり、速度フォードフォワードゲインαvを調整することでオーバーシュートの抑制が確実にできる。
【0083】
また、高周波数の機械共振に対しては、実施の形態1と同様に、モデル信号演算部4におけるモデル伝達特性Ga(s)の応答周波数ωaを小さくすることにより、機械振動抑制効果が大きく得られる。
【0084】
以上のように構成することにより、実施の形態3は位置指令xrからモデル位置xaまでの伝達特性がローパス特性をもつモデル信号演算部4を備え、フィードフォワードゲイン設定要素である速度フィードフォワード増幅器211によって位置フィードフォワードゲインαxを小さくすることにより、外乱抑制効果は多少犠牲にするが、比較的簡単な演算で振動を抑制し、オーバーシュートを抑制して高速に整定させることが可能である。
【0085】
実施の形態4.
図10は実施の形態4の制御系を示すブロック図である。図10において図1と同一符号は同一部分を示し、その説明を省略する。
【0086】
304は外部から位置指令xrを入力しモデル位置xaとモデル速度vaとモデルトルクτaとを出力するモデル信号演算部である。313は第1の微分器である。314は第2の微分器である。315はイナーシャ増幅器である。305はトルク指令演算部である。306は位置補償器、307は速度PI補償器である。310はトルクフィードフォワード増幅器、311は速度フィードフォワード低減器、312は位置フィードフォワード低減器である。
【0087】
次に実施の形態4の動作を説明する。モデル信号演算部304は位置指令xrを入力し、第1の微分器313は位置指令xrを微分して速度指令vrを出力し、第2の微分器314は速度指令vrを微分して加速度指令arを出力し、イナーシャ増幅器315は加速度指令arに予め設定した制御対象1のイナーシャの推定値Jaを乗じたモデルトルクτaを出力する。
【0088】
以上の動作によりモデル信号演算部304では以下の式34、式35、式36の伝達関数演算を行っている。
xa=xr ・・・・(式34)
va=s・xr ・・・・(式35)
τa=Ja・s・xr ・・・・(式36)
【0089】
上記の式34、式35、式36より、実施の形態4におけるモデル信号演算部304は、実施の形態1におけるモデル信号演算部4において、モデル伝達特性Ga(s)を1としたものに他ならない。したがってモデル伝達特性Ga(s)はローパス特性を持たないが、それ以外の点では実施の形態1と同様の特性を持つ。
【0090】
次にトルク指令演算部305の動作について説明する。トルク指令演算部305はモデルトルクτaとモデル速度vaとモデル位置xaと実速度vmと実位置xmとを入力する。トルク指令演算部305の内部においてトルクフィードフォワード増幅器310はモデルトルクτaにトルクフィードフォワードゲインατを乗じたフィードフォワードトルクτfを出力し、速度フィードフォワード低減器311はモデル速度vaに速度フィードフォワード低減ゲインγvを乗じたフィードフォワード速度(速度フィードフォワード低減信号)vfを出力し、位置フィードフォワード低減器312はモデル位置xaに位置フィードフォワード低減ゲインγxを乗じたフィードフォワード位置(位置フィードフォワード低減信号)xfを出力する。
【0091】
次に位置補償器306はモデル位置xaと実位置xmとの偏差に位置ゲインωxを乗じた信号を出力し、速度PI補償器307はモデル速度vaと実速度vmとの偏差に位置補償器306の出力を加えた信号を入力し、速度比例ゲインKvと積分ゲインωPIのPI(比例積分)演算を行って誤差補償トルクτcを出力する。また、トルク指令演算部305はフィードフォワードトルクτfから速度フィードフォワード低減信号vfと位置フィードフォワード低減信号xfとを減算した信号に誤差補償トルクτcを加算した信号をトルク指令τrとして出力する。すなわちトルク指令演算部305は以下の式37の演算によりトルク指令τrを演算する。
τr=ατ・τa−γv・va−γx・xa+Kv・(1+ωPI/s){va−vm+ωx(xa−xm)} ・・・・(式37)
【0092】
ここで、モデル速度vaの積分はモデル位置xa、実速度vmの積分は実位置xmであるため、信号をトルク、速度、位置、位置の積分の次元で纏めるように式37を変換すると、次の式38、式39、式40、式41となる。
τr=ατ・τa+Kv(αv・va−vm)+Kx(αx・xa−xm)+Ki(1/s)(xa−xm) ・・・・(式38)
ただし、
Kx=Kv(ωx+ωPI) ・・・・(式39)
Ki=Kv・ωx・ωPI ・・・・(式40)
αv=1−γv/Kv ・・・・(式41)
αx=1−γx/Kx ・・・・(式42)
【0093】
したがって、速度フィードフォワード低減器311で速度フィードフォワード低減ゲインγvを設定することにより速度フィードフォワードゲインαvを独立に設定でき、位置フィードフォワード低減器312で位置フィードフォワード低減ゲインγxを設定することにより位置フィードフォワードゲインαxを独立に設定できる。
【0094】
実施の形態4は以上のように構成することにより、フィードバック制御系を位置補償器と速度PI補償器とで構成する場合にも、フィードフォワードゲイン設定要素である位置フィードフォワード低減器312を備え、位置フィードフォワードゲインαxを速度フィードフォワードゲインαvと独立にかつフィードバックゲインと独立に1以外の値に設定できるため、またトルクフィードフォワードゲインατや速度フィードフォワードゲインαvが1のままでも位置フィードフォワードゲインαxを1を基準にして小さく微調整することにより、簡単な制御器の演算で、外乱応答を最適に保ったままオーバーシュートを抑制して高速に整定させることが可能である。
【0095】
また、実施の形態4はフィードフォワード設定要素であるトルクフィードフォワード増幅器310と速度フィードフォワード低減器311と位置フィードフォワード低減器312を備え、フィードフォワードゲインατ、αv、αxを互いに独立に、かつフィードバックゲインと独立に1以外の値に設定できるため、フィードフォワードゲインατ、αv、αxを1を基準にきめ細かく微調整することにより、外乱応答を最適に保ったまま、高速に整定させることが可能である。
【0096】
実施の形態5.
図11は実施の形態5の制御系構成を示すブロック図である。図11において図1と同一符号は同一部分を示し、その説明を省略する。
【0097】
405はトルク指令演算部である。406は積分器である。407は速度比例補償器、408は位置比例補償器、409は位置積分補償器である。410はトルクフィードフォワード増幅器、411は速度フィードフォワード増幅器である。
【0098】
次に実施の形態5の動作について説明する。実施の形態1と異なる部分であるトルク指令演算部405の動作について説明する。トルク指令演算部405はモデルトルクτaとモデル速度vaとモデル位置xaと実速度vmと実位置xmとを入力する。トルク指令演算部405の内部においてトルクフィードフォワード増幅器410はモデルトルクτaにトルクフィードフォワードゲインατを乗じたフィードフォワードトルクτfを出力し、速度フィードフォワード増幅器411はモデル速度vaに速度フィードフォワードゲインαvを乗じたフィードフォワード速度vfを出力する。
【0099】
次に位置積分補償器409はモデル位置xaと実位置xmとの偏差に位置積分ゲインωiを乗じた信号を出力し、積分器406は位置積分補償器409の出力からモデル速度vaとフィードフォワード速度vfとの差信号を減算した信号を入力し積分した信号を出力する。次に位置比例補償器408はモデル位置xaと実位置xmとの差信号に積分器406の出力を加算した信号を入力し、位置ゲインωxを乗じた信号を出力する。次に速度比例補償器407はフィードフォワード速度vfと実速度vmとの差信号に位置比例補償器408の出力を加算した信号を入力し速度比例ゲインKvを乗じた信号を出力し、トルク指令演算部405は速度比例補償器407の出力とフィードフォワードトルクτfとの和信号をトルク指令τrとして出力する。すなわちトルク指令演算部405は次の式43の演算によりトルク指令τrを演算する。
τr=ατ・τa+Kv[αv・va−vm+ωx{xa−xm+(1/s)(ωi(xa−xm)−(1−αv)va)}] ・・・・(式43)
【0100】
ここで、モデル速度vaの積分はモデル位置xaであるため、信号をトルク、速度、位置、位置の積分の次元で纏めるように式43を変換すると、次の式44、式45、式46、式47となる。
τr=ατ・τa+Kv(αv・va−vm)+Kx(αx・xa−xm)+Ki(1/s)(xa−xm) ・・・・(式44)
ただし、
Kx=ωx・Kv ・・・・(式45)
Ki=ωi・ωx・Kv ・・・・(式46)
αx=αv ・・・・(式47)
【0101】
上記の式45、式46、式47より、式15における位置フィードフォワードゲインαxは、速度フィードフォワードゲインαvと同じ値になる。またフィードフォワードゲイン設定要素であるトルクフィードフォワード増幅器410によりトルクフィードフォワードゲインατを、また速度フィードフォワード増幅器411の速度フィードフォワードゲインαvを設定することにより、速度フィードフォワードゲインαvおよび位置フィードフォワードゲインαxを、フィードバックゲインと独立に設定することが可能である。更に、図11におけるトルクフィードフォワードゲインατを速度フィードフォワードゲインαvと同じ値にするような関係式を持たせると、式44におけるフィードフォワードゲインατ、αv、αxの間に実施の形態1における式23の関係が成立するため、実施の形態1と同様に一つのパラメータαvで滑らかにオーバーシュートを抑制するように調整できる。
【0102】
実施の形態5は以上のように構成することにより、フィードフォワード設定要素であるトルクフィードフォワード増幅器410と速度フィードフォワード増幅器411を備え、比較的簡単な演算で、位置フィードフォワードゲインαxと速度フォードフォワードゲインαvとを良好な関係に保ったまま、フィードフォワードゲインατ、αv、αxの全てをフィードバックゲインと独立に1以外の値に設定できるため、オーバーシュートを抑制し、外乱応答を最適に保ったまま、高速に整定させることが可能である。
【0103】
また、実施の形態5はフィードフォワード設定要素であるトルクフィードフォワード増幅器410と速度フィードフォワード増幅器411を備え、フィードフォワードゲインατ、αv、αxをフィードバックゲインと独立で適切な関係式を用いて一つのパラメータで設定することによって、フィードフォワードゲインατ、αv、αxを1を基準に一つのパラメータαvで微調整することにより、外乱応答を最適に保ったままオーバーシュートを抑制して滑らかかつ高速に整定させることが可能である。
【0104】
なお、この発明は、上記各実施の形態で説明した具体的回路構成例に限られるものではなく、上記した所定のモデル信号演算部およびフィードバック制御部とフィードフォワード制御部とを有するトルク指令演算部を備え、位置フィードフォワードゲインを速度フィードフォワードゲインと独立に、かつフィードバックゲインと独立に、また、位置、速度、トルクの各フィードフォワードゲインのすべてをフィードバックゲインと独立に設定可能とする種々の回路構成例に適用できることは言うまでもない。
【0105】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係る位置制御装置は、制御対象をモデルとして想定し上記制御対象のイナーシャ推定値を用いた演算により、入力した位置指令xrからモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号を作成するモデル信号演算部、およびこのモデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号と上記制御対象の位置検出信号である実位置xm、速度検出信号である実速度vmの各信号とを入力し、上記制御対象のトルク指令τrを作成するトルク指令演算部を備え、外部からの位置指令xrと上記実位置xm、上記実速度vmとを入力し上記トルク指令τrを出力し、上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrに応じたトルクを発生して上記制御対象を制御する位置制御装置において、
上記モデル信号演算部は、上記位置指令xrを入力して所定の伝達関数演算により演算したモデル位置xaとこのモデル位置xaの微分信号であるモデル速度vaとこのモデル速度vaの微分信号であるモデル加速度に上記制御対象のイナーシャ推定値を乗じたモデルトルクτaとを出力し、
上記トルク指令演算部は、上記モデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号にそれぞれ1を基準に設定したトルクフィードフォワードゲインατ、速度フィードフォワードゲインαvおよび位置フィードフォワードゲインαxを乗算して出力するフィードフォワード制御部、および外乱に対して設定したフィードバックゲインである位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとに基づき上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrを演算するフィードバック制御部を備え、
上記トルク指令演算部は、上記モデルトルクτaとモデル速度vaとモデル位置xaと実速度vmと実位置xmとを入力し、位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとトルクフィードフォワードゲインατと速度フィードフォワードゲインαvと位置フィードフォワードゲインαxとを用いた次式で表される演算に基づいて上記トルク指令τrを出力し、
τr=ατ・τa+Kv・(αv・va−vm)+Kx・(αx・xa−xm)+Ki(1/s)(xa−xm)
s:ラプラス演算子
上記フィードフォワード制御部は、上記フィードバック制御部による外乱応答を最適に保って上記モデルと制御対象との誤差に対する補償ができるよう上記位置フィードフォワードゲインαxを上記速度フィードフォワードゲインαvと独立に、かつ上記フィードバックゲインと独立に1以外の値に設定可能な構成としたので、位置フィードフォワードゲインを1を基準に変更するという簡単な微調整により、各フィードバックゲインKx、Kv、Kiで決まる外乱に対する特性を最適に保ったまま、オーバーシュートを抑制でき、高速に整定可能な制御を実現することができる。
【0106】
また、この発明に係る位置制御装置は、制御対象をモデルとして想定し上記制御対象のイナーシャ推定値を用いた演算により、入力した位置指令xrからモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号を作成するモデル信号演算部、およびこのモデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号と上記制御対象の位置検出信号である実位置xm、速度検出信号である実速度vmの各信号とを入力し、上記制御対象のトルク指令τrを作成するトルク指令演算部を備え、外部からの位置指令xrと上記実位置xm、上記実速度vmとを入力し上記トルク指令τrを出力し、上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrに応じたトルクを発生して上記制御対象を制御する位置制御装置において、
上記モデル信号演算部は、上記位置指令xrを入力して所定の伝達関数演算により演算したモデル位置xaとこのモデル位置xaの微分信号であるモデル速度vaとこのモデル速度vaの微分信号であるモデル加速度に上記制御対象のイナーシャ推定値を乗じたモデルトルクτaとを出力し、
上記トルク指令演算部は、上記モデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号にそれぞれ1を基準に設定したトルクフィードフォワードゲインατ、速度フィードフォワードゲインαvおよび位置フィードフォワードゲインαxを乗算して出力するフィードフォワード制御部、および外乱に対して設定したフィードバックゲインである位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとに基づき上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrを演算するフィードバック制御部を備え、
上記トルク指令演算部は、上記モデルトルクτaとモデル速度vaとモデル位置xaと実速度vmと実位置xmとを入力し、位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとトルクフィードフォワードゲインατと速度フィードフォワードゲインαvと位置フィードフォワードゲインαxとを用いた次式で表される演算に基づいて上記トルク指令τrを出力し、
τr=ατ・τa+Kv・(αv・va−vm)+Kx・(αx・xa−xm)+Ki(1/s)(xa−xm)
s:ラプラス演算子
上記フィードフォワード制御部は、上記フィードバック制御部による外乱応答を最適に保って上記モデルと制御対象との誤差に対する補償ができるよう上記位置フィードフォワードゲインαxと速度フィードフォワードゲインαvとトルクフィードフォワードゲインατとのすべてを上記フィードバックゲインと独立に1以外の値に設定可能な構成としたので、位置フィードフォワードゲインと速度フィードフォワードゲインとトルクフィードフォワードゲインとを1を基準に変更するという簡単な微調整により、各フィードバックゲインKx、Kv、Kiで決まる外乱に対する特性を最適に保ったまま、オーバーシュートを抑制でき、高速に整定可能な制御を実現することができる。
【0107】
また、この発明に係る位置制御装置は、制御対象をモデルとして想定し上記制御対象のイナーシャ推定値を用いた演算により、入力した位置指令xrからモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号を作成するモデル信号演算部、およびこのモデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号と上記制御対象の位置検出信号である実位置xm、速度検出信号である実速度vmの各信号とを入力し、上記制御対象のトルク指令τrを作成するトルク指令演算部を備え、外部からの位置指令xrと上記実位置xm、上記実速度vmとを入力し上記トルク指令τrを出力し、上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrに応じたトルクを発生して上記制御対象を制御する位置制御装置において、
上記モデル信号演算部は、上記位置指令xrを入力して所定の伝達関数演算により演算したモデル位置xaとこのモデル位置xaの微分信号であるモデル速度vaとこのモデル速度vaの微分信号であるモデル加速度に上記制御対象のイナーシャ推定値を乗じたモデルトルクτaとを出力し、
上記トルク指令演算部は、上記モデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号にそれぞれ1を基準に設定したトルクフィードフォワードゲインατ、速度フィードフォワードゲインαvおよび位置フィードフォワードゲインαxを乗算して出力するフィードフォワード制御部、および外乱に対して設定したフィードバックゲインである位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとに基づき上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrを演算するフィードバック制御部を備え、
上記トルク指令演算部は、上記モデルトルクτaとモデル速度vaとモデル位置xaと実速度vmと実位置xmとを入力し、位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとトルクフィードフォワードゲインατと速度フィードフォワードゲインαvと位置フィードフォワードゲインαxとを用いた次式で表される演算に基づいて上記トルク指令τrを出力し、
τr=ατ・τa+Kv・(αv・va−vm)+Kx・(αx・xa−xm)+Ki(1/s)(xa−xm)
s:ラプラス演算子
フィードフォワード制御部は、上記フィードバック制御部による外乱応答を最適に保って上記モデルと制御対象との誤差に対する補償ができるよう位置フィードフォワードゲインαxと速度フィードフォワードゲインαvとトルクフィードフォワードゲインατとを、フィードバックゲインと独立な関係式を用いて設定する構成としたので、各フィードバックゲインKx、Kv、Kiで決まる外乱に対する特性を最適に保ったまま、より簡単な微調整でオーバーシュートを抑制でき、高速に整定可能な制御を実現することができる。
【0108】
また、この発明に係る位置制御装置のフィードフォワード制御部は、位置フィードフォワードゲインαxと速度フィードフォワードゲインαvとトルクフィードフォワードゲインατとを、次式の関係を用いて設定する構成としたので、各フィードバックゲインKx、Kv、Kiで決まる外乱に対する特性を最適に保ったまま、1つのパラメータによる簡単な微調整で滑らかにオーバーシュートを抑制でき、高速に整定可能な制御を実現することができる。
(位置フィードフォワードゲインαx)=(速度フィードフォワードゲインαv)
=(トルクフィードフォワードゲインατ)
【0109】
また、この発明に係る位置制御装置のフィードフォワード制御部は、位置フィードフォワードゲインαxと速度フィードフォワードゲインαvとトルクフィードフォワードゲインατとを、次式の関係を用いて設定する構成としたので、各フィードバックゲインKx、Kv、Kiで決まる外乱に対する特性を最適に保ったまま、1つのパラメータによる簡単な微調整で滑らかにオーバーシュートを抑制でき、高速に整定可能な制御を実現することができる。
(トルクフィードフォワードゲインατ)=(位置フィードフォワードゲインαx)
(速度フィードフォワードゲインαv)=(位置フィードフォワードゲインαx)
【0110】
また、この発明に係る位置制御装置のトルク指令演算部は、モデルトルクτaにトルクフィードフォワードゲインατを乗算したフィードフォワードトルクτfを出力するトルクフィードフォワード増幅器、モデル速度vaに速度フィードフォワードゲインαvを乗算したフィードフォワード速度vfを出力する速度フィードフォワード増幅器、上記モデル速度vaに位置フィードフォワード低減ゲインβxを乗算したフィードフォワード位置xfを出力する位置フィードフォワード低減器、モデル位置xaと実位置xmとの偏差から上記フィードフォワード位置xfを減算した信号を積分した信号を出力する位置積分器、上記フィードフォワード速度vfと実速度vmとの偏差に速度比例ゲインKvを乗算した信号を出力する速度比例補償器、上記モデル位置xaと実位置xmとの偏差に位置比例ゲインKxを乗算した信号を出力する位置比例補償器、および上記位置積分器の出力に位置積分ゲインKiを乗算した信号を出力する位置積分補償器を備え、
位置フィードフォワードゲインαxは次式で設定するとともに、上記フィードフォワードトルクτfおよび上記速度比例補償器、位置比例補償器、位置積分補償器の出力信号の加算値をトルク指令τrとして出力するので、位置指令xrが大きい場合も、安定した制御動作がなされる。
αx=1−Ki・βx/Kx
【0111】
また、この発明に係る位置制御装置のモデル信号演算部は、その位置指令からモデル位置までの伝達特性が所定の周波数以上をカットするローパス特性となるように構成したので、トルクフィードフォワードゲインατと速度フォードフォワードゲインαvと位置フィードフォワードゲインαxとを1を基準に最適に調整することにより、外乱に対する特性を最適に保ったまま、機械共振の励起を抑制しながら、高速に整定可能な制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の位置制御装置の構成図である。
【図2】 通常の制御系の外乱に対する応答波形を示す図である。
【図3】 一般的な二自由度制御系も構成図である。
【図4】 本発明の信号の応答特性を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態1における応答変化の一例を示す図である。
【図6】 本発明の実施の形態1における応答変化の一例を示す図である。
【図7】 本発明の実施の形態1における応答変化の一例を示す図である。
【図8】 本発明の実施の形態2の位置制御装置の構成図である。
【図9】 本発明の実施の形態3の位置制御装置の構成図である。
【図10】 本発明の実施の形態4の位置制御装置の構成図である。
【図11】 本発明の実施の形態5の位置制御装置の構成図である。
【図12】 第1の従来技術の位置制御装置の構成図である。
【図13】 第2の従来技術の位置制御装置の構成図である。
【符号の説明】
1 制御対象、2 位置検出器、3 速度検出器、4,304 モデル信号演算部、
5,105,205,305,405 トルク指令演算部、6,106 位置積分器、
7,107 速度比例補償器、8,108 位置比例補償器、
9,109 位置積分補償器、
10,110,210,310,410 トルクフィードフォワード増幅器、
11,111,211,411 速度フィードフォワード増幅器、
12 位置フィードフォワード増幅器、112 位置フィードフォワード低減器、
206,306 位置補償器、207,307 速度PI補償器、
311 速度フィードフォワード低減器、312 位置フィードフォワード低減器、
406 積分器、407 速度比例補償器、408 位置比例補償器、
409 位置積分補償器、xr 位置指令、xm 実位置、vm 実速度、
τa モデルトルク、va モデル速度、xa モデル位置、
ατ トルクフィードフォワードゲイン、αv 速度フィードフォワードゲイン、
αx 位置フィードフォワードゲイン、τf フィードフォワードトルク、
vf フィードフォワード速度、xf フィードフォワード位置、
βx 位置フィードフォワード低減ゲイン、γv 速度フィードフォワード低減ゲイン、γx 位置フィードフォワード低減ゲイン。

Claims (7)

  1. 制御対象をモデルとして想定し上記制御対象のイナーシャ推定値を用いた演算により、入力した位置指令xrからモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号を作成するモデル信号演算部、およびこのモデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号と上記制御対象の位置検出信号である実位置xm、速度検出信号である実速度vmの各信号とを入力し、上記制御対象のトルク指令τrを作成するトルク指令演算部を備え、外部からの位置指令xrと上記実位置xm、上記実速度vmとを入力し上記トルク指令τrを出力し、上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrに応じたトルクを発生して上記制御対象を制御する位置制御装置において、
    上記モデル信号演算部は、上記位置指令xrを入力して所定の伝達関数演算により演算したモデル位置xaとこのモデル位置xaの微分信号であるモデル速度vaとこのモデル速度vaの微分信号であるモデル加速度に上記制御対象のイナーシャ推定値を乗じたモデルトルクτaとを出力し、
    上記トルク指令演算部は、上記モデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号にそれぞれ1を基準に設定したトルクフィードフォワードゲインατ、速度フィードフォワードゲインαvおよび位置フィードフォワードゲインαxを乗算して出力するフィードフォワード制御部、および外乱に対して設定したフィードバックゲインである位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとに基づき上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrを演算するフィードバック制御部を備え、
    上記トルク指令演算部は、上記モデルトルクτaとモデル速度vaとモデル位置xaと実速度vmと実位置xmとを入力し、位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとトルクフィードフォワードゲインατと速度フィードフォワードゲインαvと位置フィードフォワードゲインαxとを用いた次式で表される演算に基づいて上記トルク指令τrを出力し、
    τr=ατ・τa+Kv・(αv・va−vm)+Kx・(αx・xa−xm)+Ki(1/s)(xa−xm)
    s:ラプラス演算子
    上記フィードフォワード制御部は、上記フィードバック制御部による外乱応答を最適に保って上記モデルと制御対象との誤差に対する補償ができるよう上記位置フィードフォワードゲインαxを上記速度フィードフォワードゲインαvと独立に、かつ上記フィードバックゲインと独立に1以外の値に設定可能な構成としたことを特徴とする位置制御装置。
  2. 制御対象をモデルとして想定し上記制御対象のイナーシャ推定値を用いた演算により、入力した位置指令xrからモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号を作成するモデル信号演算部、およびこのモデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号と上記制御対象の位置検出信号である実位置xm、速度検出信号である実速度vmの各信号とを入力し、上記制御対象のトルク指令τrを作成するトルク指令演算部を備え、外部からの位置指令xrと上記実位置xm、上記実速度vmとを入力し上記トルク指令τrを出力し、上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrに応じたトルクを発生して上記制御対象を制御する位置制御装置において、
    上記モデル信号演算部は、上記位置指令xrを入力して所定の伝達関数演算により演算したモデル位置xaとこのモデル位置xaの微分信号であるモデル速度vaとこのモデル速度vaの微分信号であるモデル加速度に上記制御対象のイナーシャ推定値を乗じたモデルトルクτaとを出力し、
    上記トルク指令演算部は、上記モデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号にそれぞれ1を基準に設定したトルクフィードフォワードゲインατ、速度フィードフォワードゲインαvおよび位置フィードフォワードゲインαxを乗算して出力するフィードフォワード制御部、および外乱に対して設定したフィードバックゲインである位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとに基づき上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrを演算するフィードバック制御部を備え、
    上記トルク指令演算部は、上記モデルトルクτaとモデル速度vaとモデル位置xaと実速度vmと実位置xmとを入力し、位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとトルクフィードフォワードゲインατと速度フィードフォワードゲインαvと位置フィードフォワードゲインαxとを用いた次式で表される演算に基づいて上記トルク指令τrを出力し、
    τr=ατ・τa+Kv・(αv・va−vm)+Kx・(αx・xa−xm)+Ki(1/s)(xa−xm)
    s:ラプラス演算子
    上記フィードフォワード制御部は、上記フィードバック制御部による外乱応答を最適に保って上記モデルと制御対象との誤差に対する補償ができるよう上記位置フィードフォワードゲインαxと速度フィードフォワードゲインαvとトルクフィードフォワードゲインατとのすべてを上記フィードバックゲインと独立に1以外の値に設定可能な構成としたことを特徴とする位置制御装置。
  3. 制御対象をモデルとして想定し上記制御対象のイナーシャ推定値を用いた演算により、入力した位置指令xrからモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号を作成するモデル信号演算部、およびこのモデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号と上記制御対象の位置検出信号である実位置xm、速度検出信号である実速度vmの各信号とを入力し、上記制御対象のトルク指令τrを作成するトルク指令演算部を備え、外部からの位置指令xrと上記実位置xm、上記実速度vmとを入力し上記トルク指令τrを出力し、上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrに応じたトルクを発生して上記制御対象を制御する位置制御装置において、
    上記モデル信号演算部は、上記位置指令xrを入力して所定の伝達関数演算により演算したモデル位置xaとこのモデル位置xaの微分信号であるモデル速度vaとこのモデル速度vaの微分信号であるモデル加速度に上記制御対象のイナーシャ推定値を乗じたモデルトルクτaとを出力し、
    上記トルク指令演算部は、上記モデル信号演算部からのモデルトルクτa、モデル速度va、モデル位置xaの各信号にそれぞれ1を基準に設定したトルクフィードフォワードゲインατ、速度フィードフォワードゲインαvおよび位置フィードフォワードゲインαxを乗算して出力するフィードフォワード制御部、および外乱に対して設定したフィードバックゲインである位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとに基づき上記実位置xmが上記位置指令xrに一致するように上記トルク指令τrを演算するフィードバック制御部を備え、
    上記トルク指令演算部は、上記モデルトルクτaとモデル速度vaとモデル位置xaと実速度vmと実位置xmとを入力し、位置比例ゲインKxと速度比例ゲインKvと位置積分ゲインKiとトルクフィードフォワードゲインατと速度フィードフォワードゲインαvと位置フィードフォワードゲインαxとを用いた次式で表される演算に基づいて上記トルク指令τrを出力し、
    τr=ατ・τa+Kv・(αv・va−vm)+Kx・(αx・xa−xm)+Ki(1/s)(xa−xm)
    s:ラプラス演算子
    フィードフォワード制御部は、上記フィードバック制御部による外乱応答を最適に保って上記モデルと制御対象との誤差に対する補償ができるよう位置フィードフォワードゲインαxと速度フィードフォワードゲインαvとトルクフィードフォワードゲインατとを、フィードバックゲインと独立な関係式を用いて設定する構成としたことを特徴とする位置制御装置。
  4. フィードフォワード制御部は、位置フィードフォワードゲインαxと速度フィードフォワードゲインαvとトルクフィードフォワードゲインατとを、次式の関係を用いて設定する構成としたことを特徴とする請求項3記載の位置制御装置。
    (位置フィードフォワードゲインαx)=(速度フィードフォワードゲインαv)
    =(トルクフィードフォワードゲインατ)
  5. フィードフォワード制御部は、位置フィードフォワードゲインαxと速度フィードフォワードゲインαvとトルクフィードフォワードゲインατとを、次式の関係を用いて設定する構成としたことを特徴とする請求項3記載の位置制御装置。
    (トルクフィードフォワードゲインατ)=(位置フィードフォワードゲインαx)
    (速度フィードフォワードゲインαv)=(位置フィードフォワードゲインαx)
  6. トルク指令演算部は、モデルトルクτaにトルクフィードフォワードゲインατを乗算したフィードフォワードトルクτfを出力するトルクフィードフォワード増幅器、モデル速度vaに速度フィードフォワードゲインαvを乗算したフィードフォワード速度vfを出力する速度フィードフォワード増幅器、上記モデル速度vaに位置フィードフォワード低減ゲインβxを乗算したフィードフォワード位置xfを出力する位置フィードフォワード低減器、モデル位置xaと実位置xmとの偏差から上記フィードフォワード位置xfを減算した信号を積分した信号を出力する位置積分器、上記フィードフォワード速度vfと実速度vmとの偏差に速度比例ゲインKvを乗算した信号を出力する速度比例補償器、上記モデル位置xaと実位置xmとの偏差に位置比例ゲインKxを乗算した信号を出力する位置比例補償器、および上記位置積分器の出力に位置積分ゲインKiを乗算した信号を出力する位置積分補償器を備え、
    位置フィードフォワードゲインαxは次式で設定するとともに、上記フィードフォワードトルクτfおよび上記速度比例補償器、位置比例補償器、位置積分補償器の出力信号の加算値をトルク指令τrとして出力することを特徴とする請求項1記載の位置制御装置。
    αx=1−Ki・βx/Kx
  7. モデル信号演算部は、その位置指令からモデル位置までの伝達特性が所定の周波数以上をカットするローパス特性となるように構成したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の位置制御装置。
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