JP4025971B2 - 電動機制御装置およびそのゲイン設定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機制御装置およびそのゲイン設定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動機速度制御装置の比例ゲイン(Kv)、電動機位置制御装置の比例ゲイン(Kp)は電動機の入力された指令に対する応答特性を上げ、位置決め整定時間を短縮したりするため、できるだけ大きく設定され積分時定数(Ti)はできるだけ小さい値が設定される。またこれらのゲインを設定する際には制御系が振動やオーバーシュートを発生しない様な安定な値をとるようにゲインを設定する必要がある。これらの関係は電動機制御系を2次系としてモデル化すれば
2π・Kv・Ti≧4(比例積分制御型の場合)‥‥‥‥(7)
2π・Kv・Ti≧2、Kp・Ti≦0.32(積分比例制御型)‥(8)
の関係がある。
例えば、IP(積分比例制御型)制御の場合、オーバーシュートが出ない範囲で、最も応答が速いゲイン設定となるようにサーボドライブ装置のパラメータ調整を行って、速度ループゲインKvの最大値を決定するようにしているが、その場合の速度ループ積分時定数Tiは、
2π・Kv・Ti≧2
より計算する。
また、位置ループゲインは上式で計算したTiを用いて、
Kp・Ti≦0.32
より計算する。
【0003】
この場合のシミュレーション結果の1例を図3に示す。図3中の、PI(比例積分制御型)制御の例(1)は、IP制御との比較のためにKpゲインを同じにした場合の例で、応答の立上がりはIP制御より速いが、うねりが出て目標付近では逆に遅くなっている。これは、位置ループゲインに対し速度ループゲインが十分大きいことを意味しているもので、うねりをとるためには速度ループ積分時定数Tiを大きくする必要がある。従って、
2πKv・Ti≧4 ……(7)
とした例が、PI制御(2)であり、うねりがとれてIP制御よりも立上がりが速くなっている。このように、PI制御の最適ゲインでは、IP制御の最適ゲインよりも指令に対する応答が速くなるので、PI制御はIP制御よりも位置ループゲインを大きくできるメリットがあるものの、IP制御よりもオーバーシュートが出やすい点があることを示している。
以上のように、電動機制御装置の安定性を保ちながら、応答特性や位置決め整定時間を短縮する場合には前記(7)または(8)式を満たしながらパラメータKv、Kp、Tiの各ゲインの調整を行うようにしている。
しかし、式(7)あるいは(8)で示される設定に沿ってゲイン設定を低いKvの設定から、いきなり高いKvの設定にすると、ゲインの急激な変化に機械が発振したりすることがあり、標準的で低めのKvゲインから2つないし3つのゲインをほぼ同時に、徐々に調整する必要がある。この操作には時間が掛り、常に正確なゲイン設定が要求される操作である。
次に、帯域設定係数αの設定方法について、本出願人による特開平11−136983号公報に開示の「電動機速度制御装置および同装置のゲイン設定方法」により説明する。
【0004】
図4は従来の「電動機速度制御装置および同装置のゲイン設定方法」のブロック線図である。図中、速度制御装置1は電動機と電動機のトルクを制御する手段(図示していない)からなるトルク制御装置11と、安定化補償器12とイナーシャ補償ゲイン13を備えた速度制御系である。10は等価剛体であり当ブロック内のJは電動機と負荷機構の全イナーシャ、D0は電動機と負荷機構の粘性摩擦、14は機械共振系である。安定化補償器12は速度指令信号と速度フィードバック信号を入力して加速度信号を出力する。加速度信号にイナーシャ補償ゲインを13を掛けてトルク指令信号を出力する。また、速度制御系をP制御(比例制御)とする場合は、安定化補償器12は速度指令信号から速度フイードバック信号を減算する減算ブロックと比例演算要素とし、PI制御(比例積分制御)の時は減算ブロックと比例要素と積分要素で構成する。IP制御(積分比例制御)時も減算ブロックと比例要素と積分要素で構成出来る。いずれの場合も比例ゲインはKvである。トルク制御装置11はトルク指令信号を入力して電動機のトルクを制御し、電動機の速度信号を出力する。速度オブザーバとして適用する等価剛体オブザーバ2は、等価剛体モデル21と電動機のイナーシャと負荷のイナーシャを加えた全イナーシャJで定義するイナーシャモデル22と、オブザーバの安定化補償器23とで構成する。オブザーバの安定化補償器23は、第1補償手段の比例演算手段231と、第2の補償手段の積分演算手段232で構成する。比例演算手段231のゲインは第1のゲインの減衰定数ζSと、第2のゲインの周波数帯域ωSの積を2倍したもので定義し、積分演算手段232のゲインはωSの2乗で定義する。オブザーバの周波数帯域ωSは帯域設定係数αと速度制御系の比例ゲインKvとの積で定義する。
【0005】
ここで帯域設定係数αについて説明すると、図5に示す速度制御系の原理を説明するブロック線図のように、同一次元の等価剛体オブザーバを併合した速度制御系は、速度信号の低域成分をフィードバックする外側(低域通過フィルタに相当)と、高域成分をフィードバックする内側(高域通過フィルタに相当)、の2つのフィードバックループに分離して考えることができる。
そして、速度制御系(機械振動系等)の安定化には高周波域の位相特性が関係し、外乱抑圧性能等の定常特性には低周波域のゲイン特性が関係すると考えられるので、図5で、高域通過フィルタと低域通過フィルタの周波数帯域を、速度制御ループで目標としている帯域よりも低く設定する(ωSの設定)場合、制御ループの安定性は内側のループで決まり、定常特性は外側のループで決まる。
内側のループは機械共振要素R(s)を通らないので高域通過フィルタの帯域をωSにより、最適に設定することにより速度ループゲインを増加して、速度制御系の目標応答特性が改善できることが分かる。
これについて、従来はオブザーバ併合系の、このような性質を利用する考えが無かったので、漠然とオブザーバの周波数帯域を制御系の周波数帯域よりも広く取り、例えば、ωS>2Kv、等としていたので、内側ループの安定化作用が殆ど無くなり、外側ループのみで安定化と定常性改善を同時に図ることになり、オブザーバを利用しない場合と同じで内側ループの長所を生かしていなかった。
ここでは、帯域設定係数αを使って、
ωS=αKv
により決定し、α<1、とすることにより、オブザーバの周波数帯域が自動的に速度制御ループで目標とする帯域(速度ループゲインKvで決まる)よりも低く設定出来るので応答特性を改善出来る。
数値的には、αの値は0.01〜1.00の範囲で設定する。
図4に戻って、速度オブザーバに関して、等価剛体モデル21と全イナーシャモデル22とオブザーバの減衰定数ζSは予め値を設定できるので、ここでは帯域設定係数αだけが調整すべきパラメータとなる。すなわち、速度制御系の各制御パラメータの他には、帯域設定係数αのみ調整すればよいことになる。
具体的なαの調整手順は、
1、帯域設定係数αを初期設定値に取る。
2、速度制御の比例ゲインKvを速度制御系の発振限界(振動を始める限界)直前まで増加する。
3、αを初期設定値よりも低い値に変更する。
4、再度、比例ゲインKvを速度制御系の発振限界まで増加する。
以上の手順を繰り返すことによって、比例ゲインKvを増加させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術では、帯域設定係数α、比例ゲインKvなどのゲイン設定中に各ゲインの上げすぎ、または下げすぎのため実際に機械に振動やオーバーシュートが発生し出した場合は、ゲイン調整者がこれをすぐに音や、トルク指令モニタ信号等を測定器で観測し、この振動やオーバーシュートが収まるような調整をしなければならない。この手順を正確に短時間で行わないと、発生した振動によって機械を損傷してしまうという問題がある。
そこで、本発明は、前記のゲインのいずれか1つのゲインを設定することで他の1つ、あるいは2つのゲインも自動的に(7)、(8)式を満たすように設定され、またゲインを設定中に振動が発生した場合には、等価剛体モデルの推定速度信号からモータあるいは機械の振動レベルを検出し、設定したKvゲインを自動的に下げることで、発生している振動が収まる様にしてゲインを調整する際の手間を省き、自動的に正確なゲイン設定を行って、調整時間を短縮できる電動機制御装置のゲイン設定方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の電動機制御装置の発明は、速度指令信号から速度フィードバック信号を減算する減算ブロックと比例要素と積分要素とで構成された安定化補償器を備え、検出速度信号を前記速度フィードバック信号として電動機の角速度を制御する速度制御手段と、前記速度制御手段の比例ゲイン(Kv)、積分時定数(Ti)を設定するゲイン設定手段と、
比例演算を行う第1の補償手段と、積分演算を行う第2の補償手段と、前記速度制御手段が出力する電動機のトルク信号(Tref)と前記第1の補償手段の出力と前記第2の補償手段の出力とを加算して、等価剛体モデルに入力するとともに、前記速度制御手段の速度信号から前記等価剛体モデルの出力を差し引いた差信号を前記第1の補償手段と前記第2の補償手段へ入力する手段と、前記第1の補償手段の比例ゲインを第1のゲイン(ζs)と第2のゲイン(ωs)の積で定義し、前記第2の補償手段の積分ゲインを前記第2のゲインの2乗で定義し、前記速度制御手段の前記比例演算手段の比例ゲイン(Kv)にあらかじめ設定する帯域設定係数(α)を乗算して前記第2のゲイン(ωs)となす手段と、
前記等価剛体モデルの推定速度信号と前記速度制御手段の検出速度信号とに基づいて機械振動を検出する振動検出手段とを備えた電動機制御装置において、前記ゲイン設定手段は、前記速度制御手段の比例ゲイン(Kv)、積分時定数(Ti)のいずれかが設定された場合、以下の(1)かつ(2)式、あるいは(3)かつ(4)式で示される関係を常に保つ様に、KvあるいはTiのいずれか1つのゲインを設定することで他のゲインを設定し、前記振動検出手段は、前記等価剛体モデルの推定速度信号と前記速度制御手段の検出速度信号との差信号の絶対値をあらかじめ設定されている基準振動速度レベルと比較して大きい場合は、振動検出信号を出力することを特徴とする。
2π・Kv・Ti≧Cpi(比例積分制御型の場合)‥‥‥‥(1)
ただしCpiは以下の条件で設定可能な定数
Cpi≧4‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(2)
2π・Kv・Ti≧Cip(積分比例制御型の場合)‥‥‥‥(3)
ただしCipは以下の条件で設定可能な定数
Cip≧2‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(4)
また、請求項2に記載の電動機制御装置の発明は、請求項1記載の電動機制御装置において、前記ゲイン設定手段は、前記(1)かつ(2)式、あるいは(3)かつ(4)式に基づく自動調整の調整テーブルを有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の電動機制御装置の発明は、請求項1記載の電動機制御装置における前記速度制御手段に加えて、位置制御装置を備え、この位置制御装置の比例ゲイン(Kp)と前記速度制御手段の比例ゲイン(Kv)、積分時定数(Ti)のいずれかが設定された場合、前記の(3)かつ(4)、および下記の(5)かつ(6)式、
Kp・Ti≦Cp(積分比例制御型)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(5)
ただしCpは以下の条件で設定可能な定数
Cp≦0.32‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(6)
で示される関係を常に保つ様に、Kv、TiあるいはKpのいずれか1つのゲインを設定することで他のゲインを設定することのできるゲイン設定手段、を有することを特徴とする。
また、請求項4に記載の電動機制御装置の発明は、請求項3記載の電動機制御装置において、前記ゲイン設定手段は、前記(3)かつ(4)式、および(5)かつ(6)式に基づく自動調整の調整テーブルを有することを特徴とする。
また、請求項5に記載の電動機制御装置のゲイン設定方法の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載の電動機制御装置を用い、前記振動検出手段より振動検出出力があった場合に、前記ゲイン設定手段が、自動的に比例ゲイン(Kv)10%程度を下げ、前記振動検出出力が無くなるまで繰返し前記比例ゲイン(Kv)を下げることを特徴とする。
以上のような構成を採ることにより、ゲイン調整が完全に自動化されて安全なゲイン設定が可能になり、処理時間も大幅に短縮できるようになる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は本発明の電動機速度制御装置の基礎となる速度制御装置のブロック線図である。図1において、15は電動機速度(あるいは電動機角度)信号と、推定速度信号を入力して振動検出信号を出力する振動検出手段である。その他の従来技術の図5と同一構成には同一符号を付して重複する説明は省略する。つぎに動作について説明する。図1に示す本発明は、機械共振を伴う制御対象と等価剛体オブザーバ、及び速度比例ゲインKvに関わる帯域設定係数αの、ωS=αKv、α<1、というオブザーバの周波数帯域の設定方法は、従来の技術と同じである。従来の技術の図4では、オブザーバ出力の推定速度信号を速度フィードバックとして、帯域設定係数αの設定方法により、速度制御系の速度比例ゲインKvを大きく設定することを可能とする1つの方式の提案であったが、本実施の形態では、速度フィードバックを検出速度信号とする方式に戻し、位置制御系も含むパラメータ調整における関連パラメータ間の自動設定化、および振動発生時の抑制処理の一層の自動化を進め処理時間の短縮を実現するものである。先ず、本実施の形態では、推定速度信号(Vob)と検出速度信号(Vfb)を振動検出手段Fvに入力し、この2つの信号から機械が振動しているかを検出する。この振動検出手段Fvの計算方法にはいくつかの方法があり、次の(1)または(2)の方法がある。
(1)推定速度信号(Vob)と検出速度信号(Vfb)の差の絶対値を速度制御演算周期ごとに計算し、そのN回算術平均を計算し、あらかじめ設定されている基準振動速度レベルVsと比較して大きい場合は振動検出信号を出力する。
【0010】
【数1】
(2)、推定速度信号(Vob)と検出速度信号の差の絶対値を速度制御演算周期ごとに計算し、基準振動速度レベルVsをM回連続して大きい場合は振動検出信号を出力する。
(3)、また(1)、(2)の方法の組み合わせによって振動検出信号を出力する。
このように既存の制御構造の簡単な変更によって振動検出が可能となる。
また図2には、
2π・Kv・Ti≧Cpi…(1)式、
Cpi≧4 …(2)式
に基づく自動調整の調整テーブルの内容を示す。図2(a)は、PI(比例積分)制御での速度制御比例ゲインKvと、積分時定数Tiの組み合わせを、Kvの大きさが10[Hz]から100[Hz]まで5[Hz]刻みで示してあり、(1)式の定数Cpi=4の場合を示している。今、比例ゲインKvが40[Hz]、積分時定数が16[ms]であるとする。このときKvを40[Hz]から60[Hz]に段階的に設定するたびにTiの値も自動的に段階的に変わり、最終的にKv=60[Hz]、Ti=11[ms]に変わる。
【0011】
図2(b)はIP(積分比例)制御での速度制御比例ゲインKvと位置比例ゲインKp、積分時定数Tiの組み合わせを、Kvの大きさが10[Hz]から100[Hz]まで、5[Hz]刻みでしめしてあり、
2π・Kv・Ti≧Cip … (3)、
Cip≧2 … (4)、
Kp・Ti≦Cp … (5)、
Cp≦0.32 … (6)
式の条件で、且つ、(3)式の定数Cip=2、(5)式のCp=0.32の場合を示している。
この場合も、図2(a)と同様に今、比例ゲインKvが40[Hz]、積分時定数Tiが7.96[ms]、位置比例ゲインKpが40[1/s]であるとき、Kvを段階的に60[Hz]に設定するたびに、Ti、Kpの値も自動的に段階的に変わり、最終的にKv=60[Hz]、Ti=5.31[ms]、Kp=60[1/s]に変わる。
【0012】
本ゲイン設定中に機械振動が発生した場合には、振動検出手段15によって振動を検出し、アラームやワーニング等の警告を表示してモータへの通電を遮断する、又は自動的にKvを10%程度下げる。この場合、もちろんその他のゲインも同時に設定される。つまり、図2(a)でKv=100[Hz]、Ti=6.4[ms]だった場合Kv=90[Hz]、Ti=7.1[ms]に自動的に設定され、さらに振動検出手段の出力があればさらにKvを10%下げ、機械の振動がなくなるまで繰り返される。これは、例えば、図4の従来の技術において、帯域設定係数αを下げて、比例ゲインKvを上げるという調整操作を行った後、上げた比例ゲインKvに対応した最適値にゲインKp、Ti値が自動的に更新されると言うことであり、更に、機械振動が発生したら直ちにゲインKvを自動的に、例えば、10%程度づつ下げて振動を抑止し処理を続行すると言うように、全て自動的に処理され、処理時間が短縮されるものである。現在サーボドライバのゲイン設定はKv、Ti、Kpを異なったパラメータ番号(たとえばPn100=Kv、Pn101=Ti、Pn102=Kp)で設定するが、この際パラメータ番号の表示の切り替えと、ゲインの設定というモードを切り替えて設定しなければならない。本発明のゲイン設定を用いる場合には、本発明のゲイン設定を開始する設定とすれば、この煩わしい表示の切り替え、設定の繰り返しをせずに、簡単で、正確にゲインを設定することが可能である。このように、図4に示した従来の技術に比較しても調整手順が改善され、等価剛体オブザーバによる振動検出手段により、振動が発生した場合には安全に、しかも自動的にゲインを下げ、又はアラーム、ワーニングを表示してモータへの通電を遮断して機械の損傷などを避けることが出来る。さらに、(1)〜(6)式の条件式以外の設定でさらに応答特性、位置決め整定時間を短縮したい場合には、本ゲイン設定を終了してから個々のゲインを設定すればよく、ゲイン設定に対する特別な知識も不要であり、調整作業の時間短縮に効果がある。
【0013】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、ゲインを設定する際、2つから3つのゲインを常に(1)〜(8)の条件式を満たしながら段階的に少しずつ設定し、しかも機械の発振、オーバーシュートなどを測定しながら設定しなけらばならない状況で、これら2〜3のゲインのいずれか1つのゲインを調整することで常に正確に、簡単に他の1つから2つのゲインを設定することができ、且つ、機械振動が発生した場合でもその振動を等価剛体オブザーバの出力信号から簡単な計算でできる振動検出手段によって検出し、自動的に機械振動が発生しないゲインまで低下させて安定化し、ゲイン調整を続行するので、ゲイン調整が完全に自動化されて安全なゲイン設定が可能になり、処理時間も大幅に短縮できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電動機制御装置のゲイン設定方法の原理を示すブロック線図である。
【図2】図1に示すゲイン自動調整時の調整テーブルの例を示す図である。
【図3】従来の電動機速度制御装置の応答シミュレーションを示す図である。
【図4】従来の電動機速度制御装置および同装置のゲイン設定方法のブロック線図である。
【図5】従来の速度制御系の原理を説明するためのブロック線図である。
【符号の説明】
1 速度制御装置
2 等価剛体オブザーバ
10 等価剛体
11 トルク制御装置
12 安定化補償器
13 イナーシャ補償ゲイン
14 機械共振系
15 振動検出装置
21 等価剛体モデル
22 イナーシャモデル
23 安定化補償器。
Claims (5)
- 速度指令信号から速度フィードバック信号を減算する減算ブロックと比例要素と積分要素とで構成された安定化補償器を備え、検出速度信号を前記速度フィードバック信号として電動機の角速度を制御する速度制御手段と、前記速度制御手段の比例ゲイン(Kv)、積分時定数(Ti)を設定するゲイン設定手段と、
比例演算を行う第1の補償手段と、
積分演算を行う第2の補償手段と、
前記速度制御手段が出力する電動機のトルク信号(Tref)と前記第1の補償手段の出力と前記第2の補償手段の出力とを加算して、等価剛体モデルに入力するとともに、前記速度制御手段の速度信号から前記等価剛体モデルの出力を差し引いた差信号を前記第1の補償手段と前記第2の補償手段へ入力する手段と、
前記第1の補償手段の比例ゲインを第1のゲイン(ζs)と第2のゲイン(ωs)の積で定義し、前記第2の補償手段の積分ゲインを前記第2のゲインの2乗で定義し、前記速度制御手段の前記比例演算手段の比例ゲイン(Kv)にあらかじめ設定する帯域設定係数(α)を乗算して前記第2のゲイン(ωs)となす手段と、
前記等価剛体モデルの推定速度信号と前記速度制御手段の検出速度信号とに基づいて機械振動を検出する振動検出手段とを備えた電動機制御装置において、
前記ゲイン設定手段は、前記速度制御手段の比例ゲイン(Kv)、積分時定数(Ti)のいずれかが設定された場合、以下の(1)かつ(2)式、あるいは(3)かつ(4)式で示される関係を常に保つ様に、KvあるいはTiのいずれか1つのゲインを設定することで他のゲインを設定し、前記振動検出手段は、前記等価剛体モデルの推定速度信号と前記速度制御手段の検出速度信号との差信号の絶対値をあらかじめ設定されている基準振動速度レベルと比較して大きい場合は、振動検出信号を出力することを特徴とする電動機制御装置。
2π・Kv・Ti≧Cpi(比例積分制御型の場合)‥‥‥‥(1)
ただしCpiは以下の条件で設定可能な定数
Cpi≧4‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(2)
2π・Kv・Ti≧Cip(積分比例制御型の場合)‥‥‥‥(3)
ただしCipは以下の条件で設定可能な定数
Cip≧2‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(4) - 前記ゲイン設定手段は、前記(1)かつ(2)式、あるいは(3)かつ(4)式に基づく自動調整の調整テーブルを有することを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
- 請求項1記載の電動機制御装置における前記速度制御手段に加えて、位置制御装置を備え、この位置制御装置の比例ゲイン(Kp)と前記速度制御手段の比例ゲイン(Kv)、積分時定数(Ti)のいずれかが設定された場合、前記の(3)かつ(4)、および下記の(5)かつ(6)式、
Kp・Ti≦Cp(積分比例制御型)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(5)
ただしCpは以下の条件で設定可能な定数
Cp≦0.32‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(6)
で示される関係を常に保つ様に、Kv、TiあるいはKpのいずれか1つのゲインを設定することで他のゲインを設定することのできるゲイン設定手段、を有することを特徴とする電動機制御装置。 - 前記ゲイン設定手段は、前記(3)かつ(4)式、および(5)かつ(6)式に基づく自動調整の調整テーブルを有することを特徴とする請求項3記載の電動機制御装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の電動機制御装置を用い、前記振動検出手段より振動検出出力があった場合に、前記ゲイン設定手段が、自動的に比例ゲイン(Kv)を下げ、前記振動検出出力が無くなるまで繰返し前記比例ゲイン(Kv)を下げることを特徴とする電動機制御装置のゲイン設定方法。
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