JP4451561B2 - 差動装置付ミシン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば縫製作業または刺繍作業等を行うのに好適に用いられる差動装置付ミシンに関し、特に、縫製品や刺繍柄等の品質を高め得るようにした差動装置付ミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、縫製作業または刺繍作業等を行うために用いられるミシンとしての刺繍機は、基台上に設けられ主軸の回転によりミシン針を運針させるヘッド部と、該ヘッド部の下側に位置して前記基台上に設けられ刺繍対象の布等を展張状態で保持する刺繍枠等の保持枠と、前記基台上で該保持枠を枠移動させる枠移動機構等とにより構成されている。
【0003】
そして、この種の従来技術による刺繍機には、ミシンのヘッド部側に、前記主軸の回転に従って駆動され刺繍糸となる上糸の繰出しと糸締めを行う天秤と、前記主軸の回転に従って上,下に往復動され前記ミシン針を運針駆動する針棒とが設けられている。
【0004】
また、前記基台側には、前記ミシン針の運針に応じて上糸と下糸とに絡みを与えて所謂「縫い目」を形成するための回転釜が設けられている。そして、この回転釜は、前記主軸の回転に従って駆動され前記主軸が1回転する間に2回転する釜軸と、該釜軸と一体に回転する外釜と、該外釜内に相対回転可能に配置され下糸用のボビンを収容する中釜とにより大略構成されている(例えば、特開平11−226284号公報等)。
【0005】
ここで、ミシンのヘッド部側に設けた天秤は、図28に示す特性線St のように主軸の回転角θに対して上,下に駆動され、針棒は主軸の回転角θに対し特性線Sh に沿って駆動される。また、回転釜の釜軸は、その剣先が特性線Sk に沿って上下動するように回転され、この釜軸は主軸が1回転する間に2回転するものである。
【0006】
そして、針棒が上死点に達する回転角θを針上死点θ0 (例えば、θ0 =0°)とすると、針棒は特性線Sh に沿って針下死点θc (例えば、θc =180°)で下死点となり、その後に角度θi (例えば、θi =360°)の位置で再び上死点に達するものである。
【0007】
また、針棒によって上,下に運針されるミシン針は、針棒と同様に特性線Sh に沿って駆動され、針突入点θb (例えば、θb =115°)で針先が針板を通して下糸側に突入し、その後は針抜け点θe (例えば、θe =250°)で針先が針板から上方へと抜け出すものである。
【0008】
一方、天秤は特性線Stに沿って駆動され、例えば主軸の回転角θが60°程度の位置で天秤上死点θaとなり、例えば回転角θが290°程度の位置で天秤下死点θfに達するものである。
【0009】
また、下糸側の釜軸は特性線Sk に沿って剣先が上下動するように回転し、糸掛け点θd (例えば、θd =200°)に達すると、剣先が上糸を引っ掛けて回転釜に取り込み、その後は回転釜により上糸が下糸と絡み終わる糸抜け点θg (例えば、θg =315°)に達し、釜抜け点θh (例えば、θh =358°)で上糸が回転釜から完全に抜け出すことになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術による刺繍機にあっては、ヘッド部側の天秤、針棒および下糸側の釜軸をカム機構、クランク機構、歯車機構等を用いて主軸とそれぞれ機械的に連結し、図28に例示した特性をもって主軸の回転により駆動する構成としているため、下記のような未解決な問題が生じている。
【0011】
即ち、刺繍機の縫い調子は、回転釜による上糸の糸掛け点θd から釜抜け点θh までの動作特性により変えることが可能である。しかし、回転釜の釜軸を図28に示す特性線Sk に沿って駆動している限り、釜軸と針棒、天秤との相対動作特性を変えることができず、刺繍品質を高めることが難しいという問題がある。
【0012】
この場合、従来技術による刺繍機では、図28に例示しているように糸抜け点θg 、釜抜け点θh に達する前に、特性線St の如く天秤で糸を引き上げ始めるために、例えば糸調子で100〜150g程度の糸張力を持たせておかないと、上糸が余分に引き出されて糸締まりのない刺繍になったり、布の裏面に糸の固まり(蜘蛛の巣)ができてしまうことがある。
【0013】
また、糸張力を強くして上糸を無理に引き上げると、糸が締まり過ぎて硬くて光沢のない刺繍となったり、糸切れが頻発して作業効率を落とすことになる。従って、天秤の引き上げタイミングを遅くゆっくりとしなければならず、縫い幅または振り幅が大きい刺繍柄になると、ミシン針を高速に運針することができなくなるという制約がある。
【0014】
このように、天秤で上糸を引き上げるタイミングを遅くし、上糸をゆっくり引き上げるようにすれば、糸切れの発生が少なくなり、刺繍の縫い上がりも綺麗になる。しかし、このためには主軸の回転速度を下げることにより天秤の動きを遅くする必要があり、刺繍スピードが犠牲となって、作業性が低下し、生産効率が悪くなるという問題がある。
【0015】
また、振り幅の大きい縫い目を形成するような場合には、刺繍枠の枠移動を早めて枠移動量を大きくする必要があるため、釜軸が糸抜け点θg に達する前に上糸が引っ張られることになり、上糸のたるみに余裕がなくなって、糸切れが発生したり、縫い目が締まり過ぎて刺繍の品質が低下するという問題がある。
【0016】
一方、図28中に二点鎖線で示す特性線Sk ′のように、釜軸の回転位相を全体的に早める設定とした場合には、糸抜け点θg ′を早めることができるが、糸掛け点θd ′も早くなるため、例えば主軸の回転スピードを速めた場合に回転釜の剣先で上糸を取りきれなくなることがあり、糸掛け自体が不可能となって目飛び(空縫い)が発生し易いという問題がある。
【0017】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、主軸の回転1周期のなかで釜軸等の回転位相を変えることにより、主軸、天秤、釜軸等の相互の動作特性を変更して、縫い目を綺麗に仕上げることができ、刺繍品質等を向上できるようにした差動装置付ミシンを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、ミシンの主軸と、該主軸の回転に従って駆動され上糸の繰出しと糸締めを行う天秤と、前記主軸の回転に従って往復動されミシン針を運針させる針棒と、前記ミシン針の運針に応じて上糸と下糸とに絡みを与えるため前記主軸の回転に従って駆動される下糸側の釜軸と、前記針棒、天秤および釜軸のうち少なくとも釜軸を前記主軸とは異なる位相で回転させる差動装置とを備え、該差動装置は、外殻となるケーシングと、該ケーシングに回転可能に設けられ前記主軸によって回転される入力軸と、前記ケーシングに回転可能に設けられ少なくとも前記釜軸に回転出力を伝える出力軸と、前記入力軸の回転を該出力軸に伝えるため前記入力軸と出力軸との間に設けられ該出力軸の回転位相を前記入力軸に対して変化させる位相差発生機構とにより構成し、前記位相差発生機構は、前記入力軸、出力軸に対し径方向に離間して前記ケーシングに設けられた中間軸と、前記入力軸と出力軸との間に設けられ互いに噛合して回転力を伝える第1,第2のはすば歯車と、前記入力軸の回転に従って該第1,第2のはすば歯車を軸方向に相対移動させる差動カム手段とにより構成し、前記第1,第2のはすば歯車は前記入力軸、中間軸および出力軸のうち少なくともいずれか2つの軸間に設ける構成とし、前記差動カム手段は、前記入力軸に従って回転するカムホイールと、該カムホイールと係合するように前記ケーシング側に設けられ該カムホイールの回転に従って前記第1または第2のはすば歯車を軸方向に変位させるカムフォロアとにより構成している。
【0020】
また、請求項2の発明によると、差動装置は、釜軸の回転位相を針棒が下死点になる位置を起点として変えることにより、前記釜軸の回転に伴って回転釜で上糸と下糸を絡め前記回転釜から上糸が釜抜けするタイミングを変化させる構成としている。
【0022】
また、請求項3の発明ミシンの主軸と、該主軸の回転に従って駆動され上糸の繰出しと糸締めを行う天秤と、前記主軸の回転に従って往復動されミシン針を運針させる針棒と、前記ミシン針の運針に応じて上糸と下糸とに絡みを与えるため前記主軸の回転に従って駆動される下糸側の釜軸と、前記針棒、天秤および釜軸のうち少なくとも釜軸を前記主軸とは異なる位相で回転させる差動装置とを備え、該差動装置は、外殻となるケーシングと、該ケーシングに回転可能に設けられ前記主軸によって回転される入力軸と、前記ケーシングに回転可能に設けられ少なくとも前記釜軸に回転出力を伝える出力軸と、前記入力軸の回転を該出力軸に伝えるため前記入力軸と出力軸との間に設けられ該出力軸の回転位相を前記入力軸に対して変化させる位相差発生機構とにより構成し、前記位相差発生機構は、前記入力軸、出力軸に対し径方向に離間して前記ケーシングに設けられた中間軸と、前記入力軸と出力軸との間に設けられ互いに噛合して回転力を伝える第1,第2のはすば歯車と、前記入力軸の回転に従って該第1,第2のはすば歯車を軸方向に相対移動させる差動カム手段とにより構成し、前記第1,第2のはすば歯車は前記入力軸、中間軸および出力軸のうち少なくともいずれか2つの軸間に設ける構成とし、前記差動カム手段は、前記第1のはすば歯車と一体に回転する第1のカムホイールと、前記第2のはすば歯車と一体に回転する第2のカムホイールと、前記ケーシング側に設けられ前記第1,第2のカムホイール間に位置する支点を中心にして回動可能となった回動体と、該回動体にそれぞれ設けられ前記第1,第2のカムホイールに係合する第1,第2のカムフォロアとにより構成している。
【0030】
また、請求項の発明によると、第1,第2のカムフォロアは回動体に対して位置調整可能に取付け、前記回動体は第1,第2のカムフォロアと支点との間の間隔L1 ,L2 を可変に調整する構成としている。
【0032】
また、請求項の発明によると、第1,第2のカムホイールは互いに異なる形状のカム溝を有し、第1,第2のカムフォロアは前記第1,第2のカムホイールのカム溝に係合する構成としている
【0033】
一方、請求項の発明は、ケーシングに複数の出力軸を設け、該各出力軸と入力軸との間にはそれぞれ位相差発生機構を設ける構成としている
【0034】
また、請求項の発明によると、複数の出力軸は天秤と釜軸とにそれぞれ異なる位相の回転出力を伝える構成としている
【0035】
さらに、請求項の発明によると、主軸を駆動する主軸モータと針棒の駆動部との間には、該針棒の駆動部を前記主軸モータとは異なる回転位相で駆動する他の差動装置を設ける構成としている
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による差動装置付ミシンを、複数本(例えば、15本)のミシン針を有する多色式刺繍機に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0037】
ここで、図1ないし図10は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は刺繍機で、該刺繍機1は、基台2と、該基台2上に立設された左,右の側枠3,4と、該側枠3,4の上部側に固定して設けられたヘッド支持体5と、該ヘッド支持体5の前部側に設けられ該ヘッド支持体5に対して左,右(図1中の矢示a,b方向)に移動可能となったヘッド部6と、ミシンの主軸7を回転駆動する主軸モータ(図示せず)等とにより構成されている。
【0038】
また、刺繍機1には、例えばヘッド支持体5の後側に位置して合計15色の刺繍糸(上糸)を各上糸ボビンと共に収容するチーズケース(いずれも図示せず)等が設けられ、刺繍機1はこれらの刺繍糸を用いて刺繍作業を行う多色式刺繍機を構成しているものである。
【0039】
また、刺繍機1のヘッド部6には、その上端側に合計15個の糸掛け8,8,…が設けられると共に、該各糸掛け8と後述の天秤10との間には合計15個の糸調子9,9,…が設けられている。そして、前記各チーズケースから引出された刺繍糸としての上糸は、それぞれ糸掛け8を介して各糸調子9へと導かれ、この糸調子9により上糸は天秤10側に向けて低摩擦給糸されるものである。
【0040】
そして、糸調子9は、例えば20〜50g程度、好ましくは30〜40g程度の張力を上糸に与え、後述のミシン針12等により上糸がこの張力を越えて引っ張られるときに、天秤10側に向けて上糸が給糸されるのを許す構成となっている。
【0041】
10,10,…はヘッド部6の前面側に配設された例えば合計15個の天秤を示し、該各天秤10は、ヘッド部6内に設けられた天秤駆動部(図示せず)により主軸7の回転に従って、図9中の特性線Stの如く上,下に駆動されるものである。そして、天秤10は下向きに駆動されるときに、ミシン針12との間で上糸に僅かなたるみを与え、上糸をミシン針12側に給糸させる。
【0042】
また、天秤10は上向きに駆動されるときに、ミシン針12により後述の刺繍布13上に形成した縫い目(いずれも図示せず)と糸調子9等との間で上糸を引っ張り上げるようにして上糸に張力を与え、前記縫い目の糸締めと上糸の繰り出しとを行うものである。
【0043】
11,11,…はヘッド部6の下端側に設けられた例えば15個の針棒で、該各針棒11の下端側にはそれぞれミシン針12が着脱可能に装着されている。そして、これらの針棒11およびミシン針12は、ヘッド部6内に設けられた針駆動部(図示せず)により主軸7の回転に従って図9中の特性線Shの如く上,下に駆動されるものである。
【0044】
ここで、ヘッド部6側のミシン針12と後述の釜ホルダ24との間には、図1中に二点鎖線で示すように刺繍対象物となる刺繍布13が配置され、この刺繍布13は刺繍枠等の保持枠(図示せず)を用いて展張状態で保持されている。そして、刺繍布13は保持枠と共に前,後、左,右へと水平方向に枠移動され、このときにミシン針12が運針されることにより、刺繍布13には刺繍データに対応した刺繍柄が実現されるものである。
【0045】
14は刺繍機1の側枠3に設けられた回転伝達機構を示し、該回転伝達機構14は、側枠3に回転可能に設けられ、主軸7に継手15を介して連結された駆動側の回転軸16と、該回転軸16に固定して設けられ、回転軸16と一体に回転する駆動側のプーリ17と、該プーリ17の下方に位置して側枠3に回転軸18と共に回転可能に設けられた従動側のプーリ19と、これらのプーリ17,19間に巻装されたタイミングベルト20とにより構成されている。
【0046】
そして、従動側の回転軸18は後述する差動装置40の入力軸42に継手21を介して連結され、この入力軸42は、主軸7の回転が回転伝達機構14を用いて伝えられることにより、主軸7と同一の回転位相で回転されるものである。
【0047】
また、差動装置40は後述の出力軸44が継手22を介して他の回転軸23に連結され、該回転軸23は後述する回転釜25の釜軸29に対して傘歯車(図示せず)等を介して回転力を伝達するものである。そして、これらの傘歯車等によって釜軸29は、回転軸23が1回転する間に2回転する構成となっている。
【0048】
24はヘッド部6の下方に位置して基台2上に設けられた釜ホルダ、25は該釜ホルダ24内に回転可能に取付けられた回転釜で、該回転釜25は、図3ないし図5に示すように後述の釜軸29が取付けられるボス部26Aを有した外釜26と、該外釜26内に相対回転可能に配置され下糸用のボビン(図示せず)を収容する中釜27と、該中釜27内で下糸用のボビンを保持するボビンケース28とにより大略構成されている。
【0049】
ここで、中釜27は中心側に支軸27Aを有し、該支軸27Aには下糸用のボビンがボビンケース28と共に回転可能に装着されるものである。また、中釜27の外周側には針孔27Bが穿設され、該針孔27Bには前記ミシン針12が上糸を伴って挿入される。
【0050】
一方、外釜26には図5に示す如く剣先26Bが設けられている。そして、剣先26Bは外釜26と共に矢示M方向に回転することにより、中釜27の針孔27Bにミシン針12の針先で挿入された上糸を引っ掛け(図9中の糸掛け点θd1)、この上糸を回転釜25に取り込む。
【0051】
これにより、上糸は所謂「縫い目」を形成するため、外釜26の回転に伴って中釜27内の下糸と絡み合うようになり(図9中の糸抜け点θg1)、その後は図9中の釜抜け点θh1で上糸が回転釜25から完全に抜け出すことになる。
【0052】
29は回転釜25の一部を構成する釜軸で、該釜軸29は図4に示す如く外釜26のボス部26A内に嵌合され、ビス30等を用いて外釜26に着脱可能に固定されている。そして、釜軸29は、前述の如く図2に示す回転軸23が1回転する間に2回転し、外釜26を図4、図5の矢示M方向に回転駆動する。
【0053】
ここで、釜軸29は、例えば図9に示す針下死点θc を起点として回転釜25の回転位相が変わるように、外釜26のボス部26Aに対して前記ビス30等で位置決めされ、これによって外釜26は、剣先26Bが図9、図10に示す特性線Sk1に沿って上下動するように回転駆動されるものである。
【0054】
次に、本実施の形態で採用した差動装置40について、図2、図6ないし図8を参照して詳述する。この場合、差動装置40は図2に示す如く刺繍機1の基台2上に設置され、回転軸18,23間の回転位相を後述の如く変化させるものである。
【0055】
41は当該差動装置40の外殻をなすケーシングで、該ケーシング41は、図2、図6および図7に示すように、刺繍機1の基台2上に固定される底板部41Aと、該底板部41Aの上面から上向きに立設された前,後の側板部41B,41Cおよび左,右の側板部41D,41Eとにより構成され、全体として有底の角筒体として形成されている。
【0056】
42はケーシング41に回転可能に設けられた入力軸で、該入力軸42は左側の側板部41Dに軸受ケース43等を介して支持されると共に、後述の中間軸受ケース46に対しても回転可能に取付けられている。そして、入力軸42はケーシング41外に突出する突出端側が、図2に示すように継手21を介して回転軸18に連結され、前記主軸7によりほぼ一定の速度で図6中の矢示A方向に等速回転されるものである。
【0057】
44は入力軸42から軸方向に離間してケーシング41に回転可能に設けられた出力軸を示し、該出力軸44は右側の側板部41Eに軸受ケース45等を介して支持されると共に、中間軸受ケース46に対しても回転可能に取付けられている。
【0058】
そして、出力軸44は中間軸受ケース46を介して入力軸42とほぼ同軸となる位置に配設され、ケーシング41外に突出する突出端側は図2に示すように継手22を介して回転軸23に連結されるものである。
【0059】
46は入力軸42と出力軸44との間に位置してケーシング41内に配置された中間軸受ケースで、該中間軸受ケース46は図6、図7に示す如く段付の円筒体として形成され、その外周側はケーシング41の側板部41Bまたは41Cにブラケット(図示せず)等を介して固定されている。そして、中間軸受ケース46は、軸方向両側に位置する入力軸42と出力軸44とをそれぞれベアリングを介して相対回転可能に支持しているものである。
【0060】
47は入力軸42と出力軸44との間に配設された位相差発生機構を示し、該位相差発生機構47は、後述の中間軸48、はすば歯車49,51およびカム装置55等により構成されている。
【0061】
48は入力軸42、出力軸44から径方向に離間してケーシング41に設けられた中間軸で、該中間軸48は左,右両端側が左,右の側板部41D,41Eに固定され、後述のはすば歯車51、平歯車52およびカムホイール56を回転可能で、かつ軸方向に摺動変位可能に支持するものである。
【0062】
49はケーシング41内に位置して入力軸42に設けられた第1のはすば歯車で、該はすば歯車49はストッパ筒49Aを有し、該ストッパ筒49Aにより入力軸42に対して一体に固定されている。そして、第1のはすば歯車49は相手方となる第2のはすば歯車51に噛合し、両者はそれぞれ同一の歯数、ピッチ円径D、ねじれ角β等をもって形成されている。
【0063】
50ははすば歯車49と中間軸受ケース46との間に位置して入力軸42の外周側に挿嵌された筒体で、該筒体50ははすば歯車49の端面等に当接することにより、ケーシング41内で入力軸42およびはすば歯車49等が軸方向に変位するのを規制しているものである。
【0064】
51は中間軸48の外周側にカムホイール56と共に摺動可能に挿嵌された第2のはすば歯車で、該第2のはすば歯車51は第1のはすば歯車49に噛合し、第1のはすば歯車49とは逆向き(図6中の矢示B方向)に回転する。そして、これらのはすば歯車49,51は、歯面間の噛合位置が変わることにより、下記の数1式のように最大位相角ψの範囲内で互いに異なる回転位相をもって回転するものである。
【0065】
【数1】
ψ=S×tanβ×360/(π×D)
但し、D:はすば歯車のピッチ円径
β:はすば歯車のねじれ角
S:カムホイールのオフセット量
【0066】
52は中間軸48の外周側にはすば歯車51、カムホイール56と共に摺動可能に挿嵌された歯車部材としての平歯車で、該平歯車52は後述の平歯車53に噛合し、これらの平歯車52,53は同一の回転位相で互いに逆向きに回転するものである。
【0067】
53はケーシング41内に位置して出力軸44に設けられた歯車部材としての他の平歯車で、該平歯車53は中間軸48側の平歯車52と同一の歯車形状を有し、平歯車52に噛合している。また、平歯車53はストッパ筒53Aを有し、該ストッパ筒53Aにより出力軸44に対して一体に固定されている。そして、平歯車53は出力軸44と一体に回転するものである。
【0068】
54は中間軸受ケース46と平歯車53との間に位置して出力軸44の外周側に挿嵌された他の筒体を示し、該筒体54は平歯車53の端面等に当接することにより、ケーシング41内で出力軸44および平歯車53が軸方向に変位するのを規制している。
【0069】
55は位相差発生機構47の一部を構成する差動カム手段としてのカム装置を示し、該カム装置55は、後述のカムホイール56およびカムフォロア57等により構成されている。
【0070】
56は中間軸48の外周側にはすば歯車51、平歯車52と共に摺動可能に挿嵌されたカムホイールで、該カムホイール56ははすば歯車51と平歯車52との間に配設され、その外周側には図6に示す如くオフセット量Sをもったサイン曲線に従って斜めに延びるカム溝56Aが形成されている。
【0071】
そして、カムホイール56は、カム溝56Aが図7に示す如くカムフォロア57に係合することにより、入力軸42の回転に従って図6中の矢示C,C′方向に摺動変位するものである。
【0072】
57は筒状のホルダ58を介してケーシング41の後側の側板部41Cに設けられたカムフォロアで、該カムフォロア57は回転可能なローラ等からなり、カムホイール56のカム溝56Aに常時係合している。そして、カムフォロア57は、カムホイール56の回転をカム溝56Aの形状に応じて軸方向の摺動変位に変換し、カムホイール56をはすば歯車51、平歯車52と一緒に図6中の矢示C,C′方向に摺動変位させるものである。
【0073】
本実施の形態による差動装置40を備えた刺繍機1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0074】
まず、刺繍機1の主軸モータにより主軸7を回転駆動すると、主軸7の回転はヘッド部6内の天秤駆動部を介して天秤10に伝えられ、該天秤10は図9に示す特性線St に沿って上下動するように駆動される。
【0075】
そして、天秤10が下向きに駆動されるとき(図9中の天秤上死点θa から天秤下死点θf までの間)に、ミシン針12との間で上糸には僅かなたるみが与えられ、これにより上糸はミシン針12側に給糸される。
【0076】
また、天秤10が上向きに駆動されるとき(図9中の天秤下死点θf から次の天秤上死点θa までの間)には、ミシン針12により刺繍布13上に形成した縫い目と糸調子9等との間で上糸を引っ張り上げるように上糸に張力を付与され、前記縫い目の糸締めと上糸の繰り出しとが天秤10により行われる。
【0077】
このとき、ヘッド部6の下端側では針棒11が、ヘッド部6内の針駆動部により主軸7の回転に従って、図9中の特性線Sh の如く上,下に往復動され、刺繍対象の刺繍布13に対してミシン針12が運針される。
【0078】
即ち、針棒11はミシン針12と共に主軸7の回転角θに対して、針上死点θ0 (例えば、θ0 =0°)の位置から針下死点θc (例えば、θc =180°)の位置まで下向きに駆動され、その後は針下死点θc の位置から角度θi (例えば、θi =360°)の位置まで上向きに駆動されて再び針上死点に達するものである。
【0079】
そして、針棒11によって上,下に運針されるミシン針12は、針棒11と同様に特性線Sh に沿って駆動され、針突入点θb (例えば、θb =115°)で針先が刺繍布13を貫通して回転釜25(中釜27の針孔27B)内へと突入し、その後は針抜け点θe (例えば、θe =250°)で針先が刺繍布13から上方へと抜け出すものである。
【0080】
そして、ミシン針12が刺繍布13よりも上方に位置する間(図9中の針上死点θ0から針突入点θbに達する間と、針抜け点θe から角度θi の次なる針上死点に達するまでの間に亘る)に、刺繍布13は保持枠と共に前,後、左,右へと水平方向に枠移動されることにより、刺繍布13にはミシン針12の運針動作に応じて刺繍柄が作成される。
【0081】
また、このときに主軸7の回転は回転伝達機構14を通じて差動装置40へと伝えられ、差動装置40の入力軸42と出力軸44との間には後述の如く位相差を発生する。そして、この位相差をもった回転が回転軸23を介して回転釜25の釜軸29へと伝えられることにより、釜軸29の回転位相を主軸7に対して後述の如く適宜に調整することができ、縫い目を綺麗に仕上げることが可能となるものである。
【0082】
そこで、差動装置40の作動について図6ないし図8を参照して説明するに、まず、主軸7の回転に従って入力軸42を図6中の矢示A方向に回転駆動すると、ケーシング41内ではすば歯車49が一体に回転し、この回転は相手方となるはすば歯車51に逆向き(矢示B方向)の回転となって伝えられる。
【0083】
そして、このときにはカムホイール56がはすば歯車51と一体回転するために、カム溝56Aに係合するカムフォロア57によりカムホイール56の回転は軸方向の変位に変換され、カムホイール56がはすば歯車51、平歯車52と一緒に図6中の矢示C,C′方向に摺動変位する。
【0084】
これにより、互いに噛合するはすば歯車49,51は、両歯車間の噛合位置がはすば歯車51の軸方向変位に応じて変わり、例えばはすば歯車51が図6中の矢示C方向に変位するときには、はすば歯車51がはすば歯車49に対して回転位相を進ませるように相対回転し、はすば歯車49,51間に進相方向の位相差が発生する。
【0085】
また、はすば歯車51がカムホイール56と一緒に図6中の矢示C′方向に変位するときには、はすば歯車51がはすば歯車49に対し回転位相を遅らせるように相対回転し、はすば歯車49,51間に遅相方向の位相差が発生する。そして、この間は平歯車52と平歯車53が互いに同一の回転位相で噛合し続けるため、出力軸44は入力軸42に対してはすば歯車49,51間と同様の位相差をもって回転することになる。
【0086】
この結果、入力軸42が図8中に実線で示す特性線60に沿ってほぼ一定の速度(例えば、4t秒間に360度)で回転するときに、出力軸44は図8中に二点鎖線で示す特性線61に沿って曲線状のカーブを描くように不等速で回転することになる。
【0087】
そして、入力軸42と出力軸44とは、回転位相が0度、180度、360度の位置ではほぼ一致するものの、時間t秒の時点で入力軸42の回転位相が90度となったときには、出力軸44の回転位相が最大位相角ψにほぼ対応する角度分だけ進むことになる。また、時間3t秒の時点で入力軸42の回転位相が270度となったときには、出力軸44の回転位相が最大位相角ψにほぼ対応する角度分だけ遅れることになる。
【0088】
即ち、カムホイール56が図6に示す初期位置から矢示C方向に変位している間(例えば、図8中に示す回転位相0〜180度の範囲)では、入力軸42と出力軸44との間に進相方向の位相差が発生し、カムホイール56が図6に示す位置から矢示C′方向に変位している間(例えば、図8中に示す回転位相180〜360度の範囲)では、入力軸42と出力軸44との間に遅相方向の位相差が発生するものである。
【0089】
ここで、差動装置40の出力軸44は、図2に示すように継手22を介して回転軸23に連結され、該回転軸23は回転釜25の釜軸29に対し傘歯車等を介して回転力を伝達し、これによって釜軸29は回転軸23が1回転する間に2回転するものである。
【0090】
そして、図8に例示した入力軸42(主軸7)の回転位相が270度となる位置、即ち、図6に示すカムホイール56が矢示C′方向に最大変位している時点で、図2に示す針棒11(ミシン針12)が下死点位置(図9中の針下死点θc )に達するように、例えば回転軸18と入力軸42との間を継手21により連結する。この場合、前述の条件を満たすように主軸7と回転軸16との間を継手15により連結してもよい。
【0091】
この結果、差動装置40の出力軸44は、入力軸42に対して回転位相が進み位相となるように調整される。そして、入力軸42は主軸7と同一の回転位相をもって回転するので、入力軸42は図10中に実線で示す針棒11の特性線Sh に沿って回転し、出力軸44は図10中に二点鎖線で示す特性線Sh1に沿って回転することになる。
【0092】
また、図2に示す出力軸44と回転軸23との間は、両者の回転位置を調整した状態で継手22により連結し、図4に示す釜軸29と外釜26のボス部26Aとの間も、両者の回転位置を適正に調整した状態でビス30等を用いて連結する。
【0093】
これにより、釜軸29は、例えば図9に示す針下死点θc を起点として回転釜25の回転位相が変わるように、外釜26のボス部26Aに対して前記ビス30等で位置決めされ、外釜26は、剣先26Bが図9、図10中に実線で示す特性線Sk1に沿って上下動するように回転駆動される。
【0094】
そして、差動装置40を用いることにより実現される釜軸29の回転位相は、図9、図10に一点鎖線で例示した従来技術の釜軸による特性線Sk に対し、針下死点θc を起点として回転釜25の回転位相を進めるように調整され、針下死点θc の位置では特性線Sk1と特性線Sk との位相が一致するものの、その前,後の回転位置では、釜軸29の回転位相が相対的に進み位相となっている。
【0095】
かくして、本実施の形態によれば、図9、図10に示す特性線Sk1に沿って釜軸29を回転させることにより、糸掛け点θd1(例えば、θd1=202°)に達すると、外釜26の剣先26Bで上糸を引っ掛けて回転釜25に取り込むことができ、その後は回転釜25により上糸が下糸と絡み終わる糸抜け点θg1(例えば、θg1=303°)に達し、釜抜け点θh1(例えば、θh1=342°)で上糸を回転釜25から完全に釜抜けさせることができる。
【0096】
そして、本実施の形態による特性線Sk1は、従来技術の特性線Sk と比較した場合に、糸抜け点θg1を従来の糸抜け点θg に比較して図10に示す如く位相差ψ1 (例えば、ψ1 =12°程度)分だけ進み位相に設定でき、釜抜け点θh1についても従来の釜抜け点θh に比較して位相差ψ2 (例えば、ψ2 =16°程度)分だけ進み位相に設定することができる。
【0097】
この結果、刺繍機1による刺繍布13の縫い調子を、回転釜25による上糸の糸掛け点θd1から釜抜け点θh1までの動作特性に応じて変えることができ、釜軸29と天秤10,針棒11との相対動作特性を適正化することによって、刺繍品質を向上できる。
【0098】
また、図9、図10に示す特性線Sk1の如く、糸抜け点θg1から釜抜け点θh1に亘るタイミングを進み位相とすることにより、天秤10で上糸を引き上げるタイミングを相対的に遅くすることができ、上糸は相対的にゆっくりと引き上げられるようになって、糸切れが発生する可能性を低減できると共に、糸締まり等を向上でき、刺繍の縫い上がりを綺麗にすることができる。
【0099】
そして、この場合には主軸7の回転速度を下げることなく、天秤10で上糸を引き上げるタイミング相対的に遅くできるので、刺繍スピードを速く保ったままの状態で刺繍作業を実行でき、作業性を向上できると共に、生産効率を良好に高めることができる。
【0100】
また、振り幅の大きい縫い目を形成するような場合に、前記刺繍布13の保持枠による枠移動を早めて枠移動量を大きくしても、釜軸29が糸抜け点θg1に達する前に上糸が引っ張られるような可能性を低減でき、上糸のたるみに余裕を与えることが可能となり、糸切れが発生したり、縫い目が締まり過ぎて刺繍の品質が低下する等の問題も解消することができる。
【0101】
従って、本実施の形態によれば、刺繍機1の主軸7と釜軸29との間に差動装置40を組込むことにより、主軸7に対する釜軸29の回転位相を変えることができ、刺繍布13の縫い目を綺麗に仕上げることができると共に、刺繍品質等を効果的に向上できる。
【0102】
また、本実施の形態によると、刺繍機1に差動装置40を設けることにより、糸抜け、釜抜けのタイミングを早め、天秤10で上糸を無理なく引き上げることができるために、糸調子9による糸張力を、例えば30〜40g(従来技術では100〜150g)程度まで下げることができ、上糸が余分に引き出されるのを防止できると共に、縫い幅または振り幅が大きい刺繍柄であっても、ミシン針12を高速で運針することができる。
【0103】
そして、回転釜25の回転位相を早めて相対的に天秤10のタイミングを遅くすることにより、糸張力を小さくして糸道の途中で発生する上糸の摩擦抵抗を低減できるので、上糸を傷めないで運針を行うことができ、適度な糸締まりで、糸切れもなく、光沢のある高品質の刺繍や縫製を高速で実現することができる。
【0104】
また、厚い布や皮革等の縫製、または刺繍を行う場合には、通常太い糸を用いるために、糸張力も大きくなるが、本実施の形態では、差動装置40を設けることにより、糸張力を従来よりも小さくして、回転釜25等の損耗を抑えることができ、かつ高速な運針を実現できる。
【0105】
また、本実施の形態によると、差動装置40のケーシング41内には入力軸42と出力軸44との間に位相差発生機構47を設け、該位相差発生機構47を、入力軸42、出力軸44から径方向に離間してケーシング41に設けられた中間軸48と、入力軸42と中間軸48との間に設けられ互いに噛合したはすば歯車49,51と、中間軸48と出力軸44との間に設けられ互いに噛合した平歯車52,53と、ケーシング41側のカムフォロア57にカム溝56Aが係合することにより、はすば歯車51および平歯車52を中間軸48の軸方向に摺動変位させるカムホイール56とにより構成している。
【0106】
このため、主軸7により回転伝達機構14等を介して入力軸42を図6中の矢示A方向に回転駆動したときに、はすば歯車49の回転をはすば歯車51に逆向き(矢示B方向)の回転として伝え、カムホイール56をはすば歯車51と一体に回転させることにより、カムフォロア57を用いてカムホイール56の回転を軸方向の変位に変換でき、カムホイール56をはすば歯車51、平歯車52と一緒に図6中の矢示C,C′方向に摺動変位できる。
【0107】
この結果、はすば歯車49,51間の噛合位置をはすば歯車51の軸方向変位に応じて変えることができ、例えばはすば歯車51が図6中の矢示C方向に変位するときには、はすば歯車51をはすば歯車49に対して回転位相を進ませるように相対回転でき、これによって、はすば歯車49,51間に進相方向の位相差を発生させることができる。
【0108】
また、はすば歯車51がカムホイール56と一緒に図6中の矢示C′方向に変位するときには、はすば歯車51をはすば歯車49に対して回転位相を遅らせるように相対回転でき、はすば歯車49,51間に遅相方向の位相差を発生することができる。そして、この間は平歯車52と平歯車53が互いに同一の回転位相で噛合し続けるため、出力軸44を入力軸42に対してはすば歯車49,51間と同様の位相差をもって回転させることができる。
【0109】
このように、本実施の形態による差動装置40は、出力軸44の回転位相を入力軸42に対して変化させ、等速回転する入力軸42の回転を出力軸44側の不等速な回転に変換して出力することができる。そして、はすば歯車49,51等からなる位相差発生機構47を用いることにより、当該差動装置40の構造を簡素化でき、小型、軽量化を図ることができる。
【0110】
また、入力軸42と出力軸44との間には、中間軸48を介在させることにより、出力軸44を入力軸42と同方向に回転させることができ、両者の回転位相を第1,第2のはすば歯車49,51の噛合位置に応じて円滑に変えることができる。そして、出力軸44の回転位相を安定して変化させ、その差動特性、信頼性を確実に向上できると共に、異音等の発生も小さく抑えることができる。
【0111】
次に、図11および図12は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。しかし、本実施の形態の特徴は、中間軸48と出力軸44との間に一対の歯車部材として第3のはすば歯車71と第4のはすば歯車72とを設ける構成としたことにある。
【0112】
ここで、第3,第4のはすば歯車71,72は、第1の実施の形態で述べた平歯車52,53に替えて用いられいる。そして、これらのはすば歯車71,72は、第1,第2のはすば歯車49,51と同様に構成され、互いに同一の歯数、ピッチ円径D、ねじれ角β等をもって形成されている。
【0113】
そして、これらのはすば歯車71,72もはすば歯車49,51と同様に、カムホイール56の軸方向変位に従って歯面間の噛合位置が変わることにより、前記数1式のように最大位相角ψの範囲内で互いに異なる回転位相をもって回転するものである。
【0114】
また、はすば歯車72はストッパ筒72Aを有し、該ストッパ筒72Aにより出力軸44に対して一体に固定されている。そして、はすば歯車72と中間軸受ケース46との間に位置して出力軸44の外周側には筒体73が挿嵌され、該筒体73ははすば歯車72の端面等に当接することにより、ケーシング41内で出力軸44およびはすば歯車72が軸方向に変位するのを規制している。
【0115】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができるが、特に本実施の形態では、位相差発生機構47として第1,第2のはすば歯車49,51と第3,第4のはすば歯車71,72とを用いる構成としているので、図12に示す特性線74のように入力軸42と出力軸44との位相差をほぼ2倍に拡大することができる。
【0116】
即ち、カムホイール56が図11に示す初期位置から矢示C方向に変位している間(例えば、図12中に示す回転位相0〜180度の範囲)では、はすば歯車71,72がはすば歯車49,51と同様に、カムホイール56の軸方向変位に従って歯面間の噛合位置が変わることによって、はすば歯車49,51間には進相方向の位相差を発生でき、さらにはすば歯車71,72間にも進相方向の位相差を発生することができる。
【0117】
また、カムホイール56が図11に示す初期位置から矢示C′方向に変位している間(例えば、図12中に示す回転位相180〜360度の範囲)では、はすば歯車71,72(はすば歯車49,51)間の噛合位置が、カムホイール56の軸方向変位に従って歯面間の噛合位置が変わることにより、はすば歯車49,51間には遅相方向の位相差を発生でき、さらにはすば歯車71,72間にも遅相方向の位相差を発生することができる。
【0118】
この結果、入力軸42が図12中に実線で示す特性線60に沿ってほぼ一定の速度(例えば、4t秒間に360度)で回転するときに、出力軸44は図12中に二点鎖線で示す特性線74に沿って曲線状のカーブを描くように不等速で回転するものである。
【0119】
そして、入力軸42と出力軸44とは、回転位相が0度、180度、360度の位置で位相がほぼ一致するものの、時間t秒の時点で入力軸42の回転位相が90度となったときには、出力軸44の回転位相を最大位相角ψの2倍にほぼ対応する角度(2ψ)分だけ進ませることができる。
【0120】
また、時間3t秒の時点で入力軸42の回転位相が270度となったときには、出力軸44の回転位相を最大位相角ψの2倍にほぼ対応する角度(2ψ)分だけ遅らせることができる。
【0121】
従って、本実施の形態にあっては、第1の実施の形態に比較して釜軸29の回転位相をより大きく変えることができ、図10に例示した位相差ψ1 ,ψ2 等をより大きく変更することによって、刺繍品質を向上することができる。
【0122】
なお、前記第2の実施の形態では、第3,第4のはすば歯車71,72を、第1,第2のはすば歯車49,51と同一のねじれ角βをもって形成するものとして述べたが、これに替えて、第1,第2のはすば歯車49,51と第3,第4のはすば歯車71,72のねじれ角を、例えば前記ねじれ角βの半分の角度(β/2)に設定すれば、前記第1の実施の形態によるものと同じ位相差を得ることができる。
【0123】
また、第1,第2のはすば歯車49,51または第3,第4のはすば歯車71,72のねじれ角を、前記ねじれ角βの半分の角度(β/2)に設定すれば、前記第1の実施の形態によるものと比較して1.5倍の位相差を発生させることができる。
【0124】
次に、図13ないし図23は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、差動装置の差動カム手段を、第1,第2のはすば歯車と一体に回転する第1,第2のカムホイールと、第1,第2のカムフォロアが設けられ該第1,第2のカムホイール間に位置する支点を中心にして回動する回動体等とにより構成としたことにある。
【0125】
なお、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0126】
図中、80は本実施の形態で採用した差動装置、81は当該差動装置80の外殻をなすケーシングで、該ケーシング81は、第1の実施の形態で述べたケーシング41とほぼ同様に有底の角筒体として形成され、底板部81A、前,後の側板部81B,81Cおよび左,右の側板部81D,81E等を有している。
【0127】
82はケーシング81に回転可能に設けられた入力軸で、該入力軸82は左,右の側板部81D,81Eに軸受ケース83,83等を介して支持され、その左,右の端部82A,82Bはケーシング81外に突出している。
【0128】
そして、入力軸82はケーシング81外に突出する一方の端部82A側が図2に例示した回転軸18に継手21等を介して連結され、主軸7によりほぼ一定の速度で図13中の矢示A方向に等速回転されるものである。また、入力軸82の他方の端部82B側には後述のカムホイール96が固定して設けられている。
【0129】
84は入力軸82の外周側に設けられたストッパ筒で、該ストッパ筒84はケーシング81内に位置して入力軸82に固定され、図13に示す右側の軸受ケース83内に設けた軸受の内輪に当接している。そして、ストッパ筒84は、入力軸82がケーシング81内で軸方向に変位するのを後述のストッパ筒91Aと共に規制しているものである。
【0130】
85は入力軸82から径方向に離間してケーシング81に回転可能に設けられた出力軸を示し、該出力軸85は左,右両端側が左,右の側板部81D,81Eに軸受ケース86,86等を介して支持されている。
【0131】
そして、出力軸85はケーシング81外に突出する突出端側が図2に例示した回転軸23に継手22等を介して連結され、入力軸82と同方向(矢示A方向)に回転駆動されるものである。
【0132】
87は出力軸85の外周側に設けられたストッパ筒で、該ストッパ筒87はケーシング81内に位置して出力軸85に固定され、図13に示す左側の軸受ケース86内に設けた軸受の内輪に当接している。そして、ストッパ筒87は、出力軸85がケーシング81内で軸方向に変位するのを後述のストッパ筒94Aと共に規制しているものである。
【0133】
88は入力軸82と出力軸85との間に配設された位相差発生機構を示し、該位相差発生機構88は、後述の中間軸89、はすば歯車91,92、平歯車93,94およびカム装置95等により構成されているものである。
【0134】
89は入力軸82、出力軸85から径方向に離間してケーシング81に設けられた中間軸で、該中間軸89は左,右の側板部81D,81Eに筒状のブッシュ90等を介して摺動可能に支持され、その左,右の端部89A,89Bはケーシング81外に突出している。
【0135】
そして、中間軸89には後述のはすば歯車92および平歯車93が固定して設けられ、中間軸89は、はすば歯車92および平歯車93と一体に矢示B方向に回転すると共に、軸方向(矢示K1 ,K2 方向)に摺動変位するものである。また、ケーシング81外に突出する中間軸89の端部89B側には後述のカムホイール97が固定して設けられている。
【0136】
91はケーシング81内に位置して入力軸82に設けられた第1のはすば歯車で、該はすば歯車91はストッパ筒91Aを有し、該ストッパ筒91Aにより入力軸82に対して一体に固定されている。そして、第1のはすば歯車91は相手方となる第2のはすば歯車92に噛合し、両者は第1の実施の形態で述べたはすば歯車49,51と同一の歯数、ピッチ円径およびねじれ角等をもって形成されている。
【0137】
92は中間軸89の外周側に固定して設けられた第2のはすば歯車で、該第2のはすば歯車92は第1のはすば歯車91に噛合し、第1のはすば歯車91とは逆向き(図13中の矢示B方向)に回転する。そして、これらのはすば歯車91,92は、後述のカム装置95で歯面間の噛合位置が変えられることにより、前記数1式とほぼ同様の最大位相角ψの範囲内で互いに異なる回転位相をもって回転するものである。
【0138】
93ははすば歯車92から軸方向に離間して中間軸89の外周側に固定された歯車部材としての平歯車で、該平歯車93は後述の平歯車94に噛合し、これらの平歯車93,94は同一の回転位相で互いに逆向きに回転するものである。
【0139】
94はケーシング81内に位置して出力軸85に設けられた歯車部材としての他の平歯車で、該平歯車94は中間軸89側の平歯車93とほぼ同一の歯車形状を有し、平歯車93に噛合している。また、平歯車94はストッパ筒94Aを有し、該ストッパ筒94Aにより出力軸85に対して一体に固定されている。そして、平歯車94は出力軸85と一体に回転するものである。
【0140】
95は位相差発生機構88の一部を構成する差動カム手段としてのカム装置を示し、該カム装置95は、後述のカムホイール96,97、支持ブロック98、フォロアサポート104およびカムフォロア109,110等により構成されている。
【0141】
96は入力軸82の端部82B側に固定して設けられた第1のカムホイールで、該カムホイール96ははすば歯車91と一体に回転するように入力軸82の端部82Bに固着され、その外周側には図13示す如くオフセット量Sのサイン曲線に従って斜めに延びるカム溝96Aが形成されている。この場合、カム溝96Aのオフセット量Sは、例えばS=10mm程度に設定するのがよい。
【0142】
そして、カムホイール96はカム溝96Aが図16に示す如くカムフォロア109に係合することにより、入力軸82の回転に従ってフォロアサポート104を矢示J1 ,J2 方向に回動するものである。
【0143】
97は中間軸89の端部89B側に固定して設けられた第2のカムホイールで、該カムホイール97ははすば歯車92と平歯車93と一体に回転するように中間軸89の端部89Bに固着され、その外周側には中間軸89の周方向に延びるカム溝としての環状溝97Aが形成されている。
【0144】
そして、カムホイール97の環状溝97Aには、図16に示す如く後述のカムフォロア110が係合することにより、カムホイール97は中間軸89と一体に軸方向(図13中の矢示K1 ,K2 方向)に変位するものである。
【0145】
98はカムホイール96,97の後側に配設された支持ブロックで、該支持ブロック98は、図14ないし図17に示す如くケーシング81の底板部81A上に台座99等を介して設けられ、後述の支軸102を介してフォロアサポート104等を回動可能に支持するものである。また、支持ブロック98には、図15に示すように上,下方向に延びる長穴状の取付穴98Aが形成されている。
【0146】
100は支持ブロック98の取付穴98A内に固定ねじ101を用いて取付けられたスライド板で、該スライド板100は取付穴98A内に上,下(矢示H1 ,H2 方向)にスライド可能に配設され、支軸102と一緒に固定ねじ101を用いて支持ブロック98に対し固定されるものである。
【0147】
ここで、スライド板100を取付穴98A内で矢示H1 方向に上昇させた場合には、後述のカムフォロア109,110に対する支軸102の相対位置が変わり、図16に示す支軸102とカムフォロア110との間隔L1 が相対的に小さくなり、支軸102とカムフォロア109との間隔L2 は相対的に大きくなる(L2 >L1 )ように調整される。
【0148】
また、スライド板100を取付穴98A内で矢示H2 方向に下降させた場合には、図16に示す支軸102とカムフォロア110との間隔L1 が相対的に大きくなり、支軸102とカムフォロア109との間隔L2 は相対的に小さくなる(L2 <L1 )ように調整されるものである。
【0149】
102はスライド板100に圧入等の手段を用いて固定された支軸で、該支軸102は図16に示す如くカムホイール96,97のほぼ中間となる位置に配設され、後述するフォロアサポート104の回動支点を構成するものである。そして、支軸102は先端側に大径の頭部102Aを有し、支軸102の長さ方向途中部位にはナット103が螺着される。
【0150】
そして、該ナット103は頭部102Aとの間でフォロアサポート104を挟持するように支軸102に取付けられ、これにより支軸102はフォロアサポート104を支持ブロック98(スライド板100)に対して回動可能に支持するものである。
【0151】
104はカムホイール96の回転をカムホイール97の軸方向変位に変換する回動体としてのフォロアサポートで、該フォロアサポート104は、後述のカムフォロア板105、一対の保持板106,106および締結ボルト108等により構成されている。
【0152】
105はカムフォロア109,110が取付けられたカムフォロア板で、該カムフォロア板105には、図19、図20に示すように上,下に離間して筒状の取付部105A,105Bが設けられ、該取付部105A,105Bにはカムフォロア109,110がそれぞれ取付けられている。
【0153】
また、カムフォロア板105には、取付部105A,105B間に位置して上,下方向に延びる長穴105Cが形成され、該長穴105C内には後述のスペーサ107等が上,下方向に相対移動可能に挿通される。
【0154】
さらに、カムフォロア板105には、取付部105A,105Bの左,右両側に離間して他の長穴105D,105D,…が合計4個形成され、これらの長穴105D内には後述の締結ボルト108が上,下方向に相対移動可能に挿入されるものである。
【0155】
106,106はカムフォロア板105を前,後から挟持するように保持する一対の保持板で、該各保持板106は、図21、図22に示すように略四角形の平板からなり、その中心側には支軸102がベアリング等を用いて回転可能に取付けられている。
【0156】
また、保持板106,106間には支軸102の外周側に位置して筒状のスペーサ107が配設され、該スペーサ107により保持板106,106間には、カムフォロア板105の板厚Tに対応する隙間が形成されている。
【0157】
また、保持板106には支軸102の上,下に離間して略U字状をなす切欠き106A,106Bが形成され、該切欠き106A,106B内には、カムフォロア板105の取付部105A,105Bが上,下に相対移動可能に挿入される。
【0158】
さらに、保持板106には切欠き106A,106Bの左,右両側に離間してねじ穴106C,106C,…が合計4個形成され、これらのねじ穴106Cにはそれぞれ締結ボルト108が螺合されるものである。
【0159】
108,108,…はカムフォロア板105を保持板106,106間に固定する締結ボルトで、該各締結ボルト108は、図17に示すようにカムフォロア板105を保持板106,106間に配置した状態で、保持板106のねじ穴106Cにそれぞれ螺着されることにより、カムフォロア板105を保持板106,106間に挟持した状態に保持するものである。
【0160】
また、各締結ボルト108を緩めた状態では、カムフォロア板105が保持板106,106間で、図19に示す長穴105C,105Dに沿って相対移動可能となる。そして、この状態でスライド板100を支持ブロック98の取付穴98A内で上,下に移動させることにより、支軸102とカムフォロア109,110との相対位置(図16に示す間隔L1 ,L2 )を可変に調整できるものである。
【0161】
109はカムフォロア板105の取付部105Aにナット109A等を介して設けられた第1のカムフォロアで、該カムフォロア109は回転可能なローラ等からなり、カムホイール96のカム溝96Aに常時係合している。そして、カムフォロア109は、カムホイール96の回転をカム溝96Aの形状に応じてフォロアサポート104の矢示J1 ,J2 方向における回動変位に変換するものである。
【0162】
110はカムフォロア板105の取付部105Bにナット110A等を介して設けられた第2のカムフォロアで、該カムフォロア110も回転可能なローラ等からなり、カムホイール97の環状溝97Aに常時係合している。そして、カムフォロア110は、図13に示す矢示J1 ,J2 方向におけるフォロアサポート104の回動変位を中間軸89の軸方向変位(図13中の矢示K1 ,K2 方向)に変換するものである。
【0163】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができ、例えばカムホイール96のカム溝96Aを、例えばS=10mm程度のオフセット量Sとした場合に、図23に示す特性線111のように、出力軸85の回転位相を入力軸82(特性線60)に対して変化させることができる。
【0164】
即ち、本実施の形態にあっては、入力軸82によりカムホイール96を矢示A方向に回転すると、図13に示す初期位置からフォロアサポート104が支軸102を中心として矢示J1 方向に回動される。そして、フォロアサポート104が矢示J1 方向に回動するときには、カムホイール97がカムフォロア110を介して図13中の矢示K1 方向に押動される。
【0165】
これにより、中間軸89は、はすば歯車92、平歯車93と一緒に図13中の矢示K1 方向に摺動変位し、はすば歯車91,92間の噛合位置が変わるため、はすば歯車92をはすば歯車91に対して回転位相を遅らせるように相対回転でき、中間軸89が図13に示す初期位置から矢示K1 方向に変位している間(例えば、図23中に示す回転位相0〜180度の範囲)では、入力軸82と出力軸85との間に遅相方向の位相差を発生できる。
【0166】
そして、この場合には、フォロアサポート104が矢示J1 方向に回動するときに、カムホイール97をカムフォロア110を介して図13中の矢示K1 方向に押動する構成であるため、例えばカム溝96Aのオフセット量Sを、S=10mmとした場合、入力軸82の回転位相が例えば90度となったときに、出力軸85の回転位相を最大位相角ψにほぼ対応する角度分だけ遅くすることができる。
【0167】
また、入力軸82の回転位相が180度を越えると、フォロアサポート104は矢示J2 方向に回動するようになり、このときにはカムホイール97がカムフォロア110を介して図13中の矢示K2 方向に押動される。そして、この場合には、はすば歯車92をはすば歯車91に対して回転位相を進ませるように相対回転できる。
【0168】
そして、中間軸89が図13に示す初期位置から矢示K2 方向に変位している間(例えば、図23中に示す回転位相180〜360度の範囲)では、入力軸82と出力軸85との間に進相方向の位相差を発生でき、入力軸82の回転位相が例えば270度となったときに、出力軸85の回転位相を最大位相角ψにほぼ対応する角度分だけ進めることができる。
【0169】
このように、フォロアサポート104は、カムホイール96のカム溝96Aの形状に沿って矢示J1 ,J2 方向に回動し、はすば歯車92を中間軸89と共に軸方向変位させることによって、入力軸82と出力軸85との回転位相に位相差を発生でき、前記実施の形態とは異なる位相特性を実現することができる。
【0170】
一方、図17に示す締結ボルト108を緩めた状態で、カムフォロア板105を保持板106,106間で図18、図19に示す長穴105C,105Dに沿って相対移動させると共に、スライド板100を支持ブロック98の取付穴98A内で上,下に移動させたときには、支軸102とカムフォロア109,110との相対位置(図16に示す間隔L1 ,L2 )を可変に調整できる。
【0171】
そして、スライド板100を取付穴98A内で矢示H1 方向に上昇させ、支軸102とカムフォロア110との間隔L1 を小さくし、支軸102とカムフォロア109との間隔L2 を大きく(L2 >L1 )した場合には、入力軸82と出力軸85との位相差を比率(L1 /L2 )分だけ小さくするように変更することができる。
【0172】
また、スライド板100を取付穴98A内で矢示H2 方向に下降させ、支軸102とカムフォロア110との間隔L1 を大きくし、支軸102とカムフォロア109との間隔L2 を小さく(L2 <L1 )した場合には、入力軸82と出力軸85との位相差を比率(L1 /L2 )分だけ大きくするように変更することができる。
【0173】
そして、前述した間隔L1 ,L2 の合計長さ(L1 +L2 )、カム溝96Aの傾き(オフセット量S)、カムホイール96のピッチ円径等を適宜に変えることにより、任意の位相特性を得ることができる。
【0174】
なお、カム溝96Aのオフセット量Sを、S=10mmよりも大きく、例えばS=20mm程度とした場合には、前述した90度(270度)の位置よりも60度(300度)に近い位置で入力軸82と出力軸85の位相差を最大とすることができる。
【0175】
この場合、カムフォロア109の外周がカムホイール96のカム溝96A周壁に当たる角度は、カム溝96Aの勾配(リフト)に従って徐々に変わるため、前記実施の形態で述べたように、入力軸82と出力軸85の位相差が90度、270度では最大とはならず、例えば約60度、300度の位置で最大の位相差にすることができる。
【0176】
次に、図24ないし図26は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、1本の入力軸と2本の出力軸との間にそれぞれ中間軸を設け、入力軸の回転をそれぞれ一対の歯車部材を介して各中間軸に伝えると共に、該各中間軸の回転をそれぞれ第1,第2のはすば歯車を介して各出力軸へと伝える構成としたことにある。
【0177】
なお、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0178】
図中、120は本実施の形態で採用した差動装置、121は当該差動装置120の外殻をなすケーシングで、該ケーシング121は、第1の実施の形態で述べたケーシング41とほぼ同様に有底の角筒体として形成され、底板部121A、前,後の側板部121B,121Cおよび左,右の側板部121D,121E等を有している。
【0179】
122はケーシング121に回転可能に設けられた入力軸で、該入力軸122は左,右両端側が左,右の側板部121D,121Eに軸受ケース123,123等を介して支持されている。そして、入力軸122はケーシング121外に突出する突出端側が、例えば主軸7に回転伝達機構(図示せず)等を介して連結され、主軸7によりほぼ一定の速度で図24中の矢示A方向に等速回転されるものである。
【0180】
124は入力軸122の外周側に設けられたストッパ筒で、該ストッパ筒124はケーシング121内に位置して入力軸122に固定され、図24に示す左側の軸受ケース123内に設けた軸受の内輪に当接している。そして、ストッパ筒124は、入力軸122がケーシング121内で軸方向に変位するのを後述のストッパ筒134Aと共に規制しているものである。
【0181】
125,126は入力軸122からそれぞれ径方向に離間してケーシング121に回転可能に設けられた出力軸を示し、該出力軸125,126は左,右両端側が左,右の側板部121D,121Eにそれぞれ軸受ケース127,127,…等を介して支持されている。
【0182】
そして、出力軸125,126はケーシング121外に突出する突出端側が外部の駆動対象物、例えば天秤10の駆動軸(図示せず),図2に例示した回転軸23(釜軸29に連結される軸)にそれぞれ別々に連結され、入力軸122と同方向(矢示A方向)に回転駆動されるものである。
【0183】
128,128は出力軸125,126の外周側に設けられたストッパ筒で、該各ストッパ筒128はケーシング121内に位置して出力軸125,126に固定され、図24に示す右側の軸受ケース127内に設けた軸受の内輪に当接している。そして、各ストッパ筒128は、出力軸125,126がケーシング121内で軸方向に変位するのを後述のストッパ筒139A,140Aと共に規制しているものである。
【0184】
129,130は入力軸122と出力軸125,126との間に配設された位相差発生機構を示し、該位相差発生機構129,130は、後述の中間軸131,132、平歯車134,135,136、はすば歯車137,138,139,140およびカム装置141,142等により構成されている。
【0185】
131,132は入力軸122と出力軸125,126との間に径方向に離間してケーシング121に設けられた中間軸で、該中間軸131,132は左,右両端側が左,右の側板部121D,121Eにキャップ133等を介して取付けられている。
【0186】
そして、中間軸131,132は、ケーシング121内で後述の平歯車135,136、はすば歯車137,138およびカムホイール143,144を回転可能で、かつ軸方向に摺動変位可能に支持するものである。
【0187】
134はケーシング121内に位置して入力軸122に設けられた歯車部材としての平歯車で、該平歯車134は後述の平歯車135,136に噛合し、平歯車134と平歯車135,136とは同一の回転位相で互いに逆向きに回転するものである。また、平歯車134はストッパ筒134Aを有し、該ストッパ筒134Aにより入力軸122に対して一体に固定されている。
【0188】
135,136はケーシング121内に位置して中間軸131,132に設けられた歯車部材としての他の平歯車で、該平歯車135,136は入力軸122側の平歯車134とほぼ同一の歯車形状を有し、それぞれが平歯車134に噛合している。そして、平歯車135,136はそれぞれ中間軸131,132と一体に回転するものである。
【0189】
137,138は中間軸131,132の外周側にカムホイール143,144と共に摺動可能に挿嵌された第1のはすば歯車で、該第1のはすば歯車137,138は後述する第2のはすば歯車139,140に噛合し、第2のはすば歯車139,140とは逆向き(図24中の矢示B方向)に回転する。
【0190】
139,140はケーシング121内に位置して出力軸125,126に設けられた第2のはすば歯車で、該はすば歯車139,140はストッパ筒139A,140Aを有し、該ストッパ筒139A,140Aにより出力軸125,126に対して一体に固定されている。
【0191】
そして、第2のはすば歯車139,140は相手方となる第1のはすば歯車137,138に噛合し、これらのはすば歯車137,139(138,140)は歯面間の噛合位置が変わることにより、前記数1式のように最大位相角ψの範囲内で互いに異なる回転位相をもって回転するものである。
【0192】
ここで、はすば歯車137,139(138,140)は、第1の実施の形態で述べたはすば歯車49,51とほぼ同様に互いに同一の歯数、ピッチ円径等をもって形成されている。
【0193】
しかし、はすば歯車137,139とはすば歯車138,140とは、例えば異なるねじれ角を有することにより、後述の如くはすば歯車139とはすば歯車140の回転位相を異ならしめることが可能となる。
【0194】
141,142は位相差発生機構129,130の一部を構成する差動カム手段としてのカム装置で、該カム装置141,142は、後述のカムホイール143,144およびカムフォロア145,146等により構成されている。
【0195】
143,144は中間軸131,132の外周側に平歯車135,136、はすば歯車137,138と共に摺動可能に挿嵌されたカムホイールで、該カムホイール143,144は平歯車135,136とはすば歯車137,138との間に配設され、その外周側には図25に例示する如くオフセット量Sをもって斜めに延びるカム溝143A,144Aが形成されている。
【0196】
しかし、該カムホイール143,144は、カム溝143A,144Aの形状が互いに異なることにより、後述の如く出力軸125,126(はすば歯車139,140)の回転位相を互いに異ならしめることが可能となる。
【0197】
そして、カムホイール143,144は、それぞれのカム溝143A,144Aがカムフォロア145,146に係合することにより、入力軸122の回転に従ってそれぞれ矢示C,C′方向に摺動変位するものである。
【0198】
145,146は筒状のホルダ147等を介してケーシング121の後側の側板部121Cに設けられたカムフォロアで、該カムフォロア145,146は回転可能なローラ等からなり、カムホイール143,144のカム溝143A,144Aに常時係合している。
【0199】
そして、カムフォロア145,146は、カムホイール143,144の回転をカム溝143A,144Aの形状に応じて軸方向の摺動変位に変換し、カムホイール143,144を平歯車135,136、はすば歯車137,138と一緒に図24中の矢示C,C′方向に摺動変位させるものである。
【0200】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に本実施の形態では、入力軸122の回転を、中間軸131,132、平歯車134,135,136、はすば歯車137,138,139,140およびカム装置141,142等からなる位相差発生機構129,130により出力軸125,126へとそれぞれ伝達する構成としている。
【0201】
このため、例えばはすば歯車137,139とはすば歯車138,140とのねじれ角を異ならしめることにより、出力軸125,126を入力軸122に対し互いに異なる位相差をもって回転でき、出力軸125,126から互いに異なる回転位相の出力を取出すことができる。
【0202】
そして、出力軸125は天秤10の駆動軸に連結されることにより、図26中に実線で示す特性線St1に沿って天秤10を上,下に駆動でき、従来技術による天秤の特性線St に対して、例えば糸抜け点θg1から釜抜け点θh1に亘る範囲で位相を進めることができる。
【0203】
この場合、天秤10の駆動軸は、例えば糸掛け点θd1の近傍位置(例えば、主軸7の回転角θが200度程度となる位置)が起点となるように出力軸125に連結され、糸抜け点θg1から釜抜け点θh1に亘る範囲で位相を、例えば10度程度進めるように設定されている。
【0204】
また、他方の出力軸126は、前記第1の実施の形態とほぼ同様に釜軸29側の回転軸23等に連結され、図26中に実線で示す特性線Sk1に沿って外釜26の剣先26Bを上下動させるように外釜26を回転駆動できる。
【0205】
この結果、回転釜25による上糸の糸掛け点θd1から釜抜け点θh1までの動作特性を変えることができる共に、この間に天秤10が上糸を引き上げるスピードも速めるように調整でき、釜軸29と天秤10,針棒11との相対動作特性を適正化することによって、刺繍品質を向上できる。
【0206】
また、図26に示す特性線Sk1の如く、回転釜25の糸抜け点θg1から釜抜け点θh1に亘るタイミングを進み位相に設定すると共に、特性線St1の如く天秤10で上糸を引き上げるタイミングも早くし引き上げ速度を速くできるので、刺繍布13の保持枠等を枠移動させるときのスピードを上げることが可能となり、刺繍スピードを速くして作業性を向上することができる。
【0207】
また、振り幅の大きい縫い目を形成するような場合に、保持枠等の枠移動量を大きくしても、上糸のたるみに余裕を与えることが可能となり、糸切れの発生を防止できると共に、縫い目の締まりを適正化して刺繍の品質を高め、刺繍の縫い上がりを綺麗にすることができる。
【0208】
また、このような作用効果は、カムホイール143,144のカム溝143A,144Aの形状を互いに異ならしめてもよく、カムホイール143,144の回転位置の起点を互いに異ならしめてもよく、この場合でも、出力軸125,126から互いに異なる回転位相の出力を取出すことができる。
【0209】
さらに、差動装置120を用いて、回転釜25(釜軸29)の回転位相を変えるだけでなく、天秤10の位相も変える構成としているので、主軸7に対する天秤10、釜軸29の位相を相互に変え、そのタイミングを最適に調整でき、例えば回転釜25の位相を早めて相対的に天秤10のタイミングを遅くすることができる。
【0210】
これにより、糸張力を小さくして糸道の途中で発生する上糸の摩擦抵抗を低減できるので、上糸を傷めないで運針を行うことができ、適度な糸締まりで、糸切れもなく、光沢のある高品質の刺繍や縫製を高速で実現することができる。
【0211】
また、厚い布や皮革等の縫製、または刺繍を行う場合には、通常太い糸を用いるために、糸張力も大きくなるが、本実施の形態では、差動装置120を設けることにより、糸張力を従来よりも小さくして、回転釜25等の損耗を抑えることができ、かつ高速な運針を実現できる。
【0212】
次に、図27は本発明の第5の実施の形態を示し、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。しかし、本実施の形態の特徴は、主軸モータ151と針駆動部152との間に差動装置153を設け、該差動装置153により針駆動部152を主軸モータ151とは異なる回転位相で駆動する構成としたことにある。
【0213】
ここで、主軸モータ151は第1の実施の形態で述べた主軸7と同様の主軸(図示せず)を駆動し、この主軸の回転を針駆動部152(針棒の駆動部)に伝えることにより、該針駆動部152で針棒11をミシン針12と共に上,下に往復動させるものである。
【0214】
また、差動装置153の出力側には他の差動装置154が設けられ、該差動装置154は前記第4の実施の形態で述べた差動装置120と同様に、1本の入力軸に対して2本の出力軸(いずれも図示せず)を備える構成となっている。そして、差動装置154は入力軸が差動装置153の出力側に連結され、2本の出力軸は、第4の実施の形態と同様に天秤10の駆動部と釜軸29の駆動部とに連結されている。
【0215】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、差動装置154を用いることにより釜軸29と天秤10との相対動作特性を適正化でき、前記第4の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0216】
また、本実施の形態では、主軸モータ151と針駆動部152との間に設けた差動装置153により、針駆動部152を主軸モータ151とは異なる回転位相で駆動する構成としているため、図9に例示した針突入点θbから針抜け点θeまでの間隔を、針のストロークを変えることなく短くし、ミシン針12が刺繍布13よりも上方に位置する時間を長くするように、針棒11の動作特性を変えることができる。
【0217】
この結果、ミシン針12が刺繍布13から上方に針抜けしている間に、刺繍布13を保持枠と共に前,後、左,右へと枠移動する時間を長くとることができ、例えば振り幅の大きい刺繍柄等であっても、枠移動のタイミングを十分に確保して刺繍品質を向上することができる。
【0218】
そして、振り幅の大きい縫い目を形成するような場合に、保持枠等の枠移動量を大きくしても、上糸のたるみに余裕を与えることが可能となるので、糸切れの発生を防止できると共に、縫い目の締まりを適正化して刺繍の品質を高め、刺繍の縫い上がりを綺麗にすることができる。
【0219】
なお、前記第5の実施の形態では、差動装置153と差動装置154とを別体の装置とした場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば図27中に二点鎖線で示す単一の差動装置161内に、差動装置153と差動装置154とを組込む構成とすることも可能であり、この場合には、差動装置161を1入力−3出力の差動装置として構成すればよいものである。
【0220】
また、前記第1の実施の形態では、中間軸受ケース46を用いて入力軸42と出力軸44とを同軸に配設した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば2個の中間軸受ケース等を用いて入力軸42と出力軸44とを互いに異なる軸線上に配設してもよい。この点は他の実施の形態についても同様である。
【0221】
また、前記第3の実施の形態では、図13に例示したようにカム装置95をケーシング81の側板部81Eに対して外側となる位置に設ける構成としている。このようなカム装置95は、例えばカムホイール96,97を入力軸82,中間軸89に対して着脱可能に取付ける構成とすることにより、カム装置95全体を交換可能な構成とすることができる。
【0222】
また、カムホイール96(97)のカム溝96A(カム溝としての環状溝97A)の形状を変更したり、はすば歯車91,92のねじれ角βを変えたりすることにより、入力軸と出力軸との回転位相を増,減することができる。この点は他の実施の形態についても同様である。
【0223】
また、前記各実施の形態で述べた各はすば歯車、平歯車およびカム装置は、その組合わせを適宜に変更することができ、それぞれの組合わせに応じて種々の差動装置を実現できる。特に、ケーシング外にカム装置を設けることにより、カム装置をユニットとして交換することが可能となり、任意の位相差をもった差動装置を実現することができるものである。
【0224】
一方、前記第4の実施の形態でも述べたように、入力軸に対して2本以上の出力軸を設ける構成としてもよく、これらの2本以上の出力軸を、入力軸に対してそれぞれ異なる回転位相で回転駆動する構成としてもよいものである。また、当該差動装置を複数組シリアルに連結することにより、系列的に位相を変えて協動特性を得ることができる。
【0225】
また、前記第3の実施の形態にあっては、前述した間隔L1 ,L2 の合計長さ(L1 +L2 )、カム溝96Aの傾き(オフセット量S)、カムホイール96のピッチ円径等を適宜に変えることにより、任意の位相特性を得ることができる。
【0226】
さらに、前記各実施の形態では、差動装置付ミシンを刺繍機1に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば工業用ミシン、家庭用ミシン等にも広く適用できるものである。
【0227】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1に記載の発明は、針棒、天秤および釜軸のうち少なくとも釜軸を主軸とは異なる位相で回転させる差動装置を、ケーシング、入力軸、出力軸および位相差発生機構により構成し、該位相差発生機構は、前記入力軸、出力軸に対し径方向に離間して前記ケーシングに設けられた中間軸と、前記入力軸と出力軸との間に設けられ互いに噛合して回転力を伝える第1,第2のはすば歯車と、前記入力軸の回転に従って該第1,第2のはすば歯車を軸方向に相対移動させる差動カム手段とにより構成し、前記第1,第2のはすば歯車は前記入力軸、中間軸および出力軸のうち少なくともいずれか2つの軸間に設ける構成とし、前記差動カム手段は、前記入力軸に従って回転するカムホイールと、該カムホイールと係合するように前記ケーシング側に設けられ該カムホイールの回転に従って前記第1または第2のはすば歯車を軸方向に変位させるカムフォロアとにより構成しているため、主軸の回転に従って差動装置の入力軸を回転する間に、位相差発生機構により出力軸の回転位相を入力軸に対して変化させ、位相差をもった回転を出力軸から下糸側の釜軸へと伝えることができ、釜軸の回転位相を主軸に対して変えることができる。
この場合、前記位相差発生機構を、第1,第2のはすば歯車と、入力軸の回転に従って第1,第2のはすば歯車を軸方向に相対移動させる差動カム手段とにより構成しているので、差動カム手段を入力軸の回転に従って作動させると、第1,第2のはすば歯車が軸方向に相対移動して両者の噛合位置が変わるため、これに応じて第2のはすば歯車を第1のはすば歯車に対して回転位相を進めたり、遅らせたりすることができ、出力軸の回転位相を入力軸に対して簡単に変えることができる。また、位相差発生機構にはすば歯車を用いて構造を簡素化でき、装置全体の小型、軽量化を図ることができる。しかも、前記入力軸と出力軸との間に中間軸を介在させることにより、出力軸を入力軸と同方向に回転させることができ、両者の回転位相を第1,第2のはすば歯車の噛合位置に応じて変えることができる。
また、前記差動カム手段は、入力軸に従って回転するカムホイールと、該カムホイールと係合するようにケーシング側に設けられ該カムホイールの回転に従って第1または第2のはすば歯車を軸方向に変位させるカムフォロアとを備える構成としているため、カムホイールに係合するカムフォロアにより、カムホイールの回転を軸方向の変位に変換でき、このときに第1のはすば歯車または第2のはすば歯車を軸方向に変位させることによって、両歯車の噛合位置を変化させ回転位相を円滑に変えることができる。
【0228】
従って、主軸に対して釜軸の回転位相を変えることにより、縫い目を綺麗に仕上げることができ、刺繍品質等を向上できる。また、差動装置により糸抜け、釜抜けのタイミングを早め、天秤で上糸を無理なく引き上げることができるために、糸調子による糸張力を従来技術よりも下げることができ、上糸が余分に引き出されるのを防止できると共に、縫い幅または振り幅が大きい柄であっても、ミシン針を高速で運針することができる。そして、糸張力を小さくして糸道の途中で発生する上糸の摩擦抵抗を低減できるので、上糸を傷めないで運針を行うことができ、適度な糸締まりで、糸切れもなく、光沢のある高品質の刺繍や縫製を高速で実現することができる。
【0229】
また、請求項2に記載の発明によると、差動装置は、釜軸の回転位相を針棒が下死点になる位置を起点として変えることにより、前記釜軸の回転に伴って回転釜で上糸と下糸を絡め前記回転釜から上糸が釜抜けするタイミングを変化させる構成としているため、釜軸と針棒、天秤との相対動作特性を変えることができ、回転釜の剣先が上糸を引っ掛けて回転釜に取り込んだ後に、回転釜で上糸と下糸を絡め、この上糸が回転釜から完全に抜け出す釜抜け点までのタイミングを相対的に早めることができる。従って、釜軸と天秤,針棒との相対動作特性を適正化することができ、糸切れが発生する可能性を低減できると共に、糸締まり等を向上でき、刺繍の縫い上がりを綺麗にすることができる。
【0233】
また、請求項に記載の発明は、差動カム手段を、第1のはすば歯車と一体に回転する第1のカムホイールと、第2のはすば歯車と一体に回転する第2のカムホイールと、ケーシング側に設けられ前記第1,第2のカムホイール間に位置する支点を中心にして回動可能となった回動体と、該回動体にそれぞれ設けられ前記第1,第2のカムホイールに係合する第1,第2のカムフォロアとにより構成しているため、第1のカムホイールに係合する第1のカムフォロアは、例えば入力軸と一体に第1のカムホイールが回転すると、これを支点を中心とした回動体の回動変位に変換することができ、このときに第2のカムフォロアは回動体と一緒に回動変位する。このため、第1のカムフォロアにより第1のカムホイールの回転を、前記支点を中心とした回動体の回動変位に変換することができ、このときに第2のカムフォロアを回動体と一緒に回動変位させ、第2のカムホイールを介して第2のはすば歯車を軸方向に変位させつつ、第1,第2のはすば歯車の噛合位置を変えることができ、これによって、両歯車の回転位相を安定して変化させることができる。
【0234】
また、請求項に記載の発明によると、第1,第2のカムフォロアは回動体に対して位置調整可能に取付け、前記回動体は第1,第2のカムフォロアと支点との間の間隔L1 ,L2 を可変に調整する構成としているため、第1,第2のカムフォロアと支点との間の間隔L1 ,L2 を可変に調整することにより、入力軸と出力軸との位相差を間隔L1 ,L2 の比率(L1 /L2 )に応じて変えることができ、回転位相の変更を容易に行うことができる。
【0235】
また、請求項に記載の発明によると、第1,第2のカムホイールは互いに異なる形状のカム溝を有し、第1,第2のカムフォロアは前記第1,第2のカムホイールのカム溝に係合する構成としているため、第1,第2のカムホイールのカム形状に応じて入力軸と出力軸の回転位相を適宜に変えることができる。
【0236】
また、請求項に記載の発明は、ケーシングに複数の出力軸を設け、該各出力軸と入力軸との間にはそれぞれ位相差発生機構を設ける構成としているため、入力軸の回転をそれぞれの出力軸に位相差発生機構を通じて伝達でき、単一の入力軸に対して複数の出力軸から互いに回転位相の異なる出力を個別に取出すことができる。
【0237】
また、請求項に記載の発明によると、複数の出力軸は天秤と釜軸とにそれぞれ異なる位相の回転出力を伝える構成としているので、それぞれの出力軸から天秤と釜軸とに互いに異なる位相の回転出力を伝えることができ、釜軸と天秤との相対動作特性を適正化し、糸切れの発生を防止できると共に、縫い目の締まりを良好にして刺繍品、縫製品等を綺麗に仕上げることができる。
【0238】
さらに、請求項に記載の発明は、主軸を駆動する主軸モータと針棒の駆動部との間に、該針棒の駆動部を前記主軸モータとは異なる回転位相で駆動する他の差動装置を設ける構成としているため、主軸モータの回転位相に対して針棒の位相を変えることができる上に、天秤と釜軸についても主軸モータに対して異なる位相をもって回転させることができる。これにより、ミシン針が針板(刺繍布等)よりも上方に位置する時間を長くするように針棒の動作特性を変えることができ、刺繍布等を保持枠と共に前,後、左,右へと枠移動する時間を長くとることができる。そして、振り幅の大きい縫い目を形成するような場合に、保持枠等の枠移動量を大きくしても、上糸のたるみに余裕を与えることが可能となるので、糸切れの発生を防止できると共に、縫い目の締まりを適正化して刺繍等の品質を高め、縫い上がりを綺麗にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による差動装置付ミシンを示す正面図である。
【図2】図1中の差動装置、釜ホルダおよび回転釜等を拡大して示す正面図である。
【図3】図2中の回転釜を単体として示す外観図である。
【図4】ボビンケースを取外した状態で図3中の矢示IV−IV方向からみた回転釜の縦断面図である。
【図5】図4に示す回転釜の平面図である。
【図6】図1中の差動装置を拡大して示す縦断面図である。
【図7】図6中の矢示VII−VII方向からみた差動装置の断面図である。
【図8】図6中の入力軸と出力軸の回転位相を示す特性線図である。
【図9】主軸の回転角に対する天秤、針棒および釜軸の動作特性を示す特性線図である。
【図10】図9中の針棒と釜軸の動作特性を拡大して示す特性線図である。
【図11】第2の実施の形態による差動装置を示す縦断面図である。
【図12】図11中の入力軸と出力軸の回転位相を示す特性線図である。
【図13】第3の実施の形態による差動装置を示す縦断面図である。
【図14】図13中のカム装置等を示す差動装置の右側面図である。
【図15】カム装置の支持ブロック、スライド板およびフォロアサポート等を図14中の矢示XV−XV方向からみた断面図である。
【図16】カム装置を図13中の矢示 XVI−XVI 方向から拡大して示す断面図である。
【図17】カム装置を図13中の矢示XVII−XVII方向から拡大して示す断面図である。
【図18】カム装置のフォロアサポートを図16中のXVIII−XVIII方向から拡大して示す断面図である。
【図19】図18中のカムフォロア板を第1,第2のカムフォロアと共に示す正面図である。
【図20】カムフォロア板と第1,第2のカムフォロアを図19中の矢示XX−XX方向から示す断面図である。
【図21】図18中の保持板を支軸と共に示す正面図である。
【図22】保持板と支軸を図21中の矢示XXII−XXII方向から示す断面図である。
【図23】図13中の入力軸と出力軸の回転位相を示す特性線図である。
【図24】第4の実施の形態による差動装置を示す縦断面図である。
【図25】図24に示す差動装置の平面図である。
【図26】主軸の回転角に対する天秤および釜軸の動作特性を示す特性線図である。
【図27】第5の実施の形態による差動装置付ミシンの構成図である。
【図28】従来技術による天秤、針棒および釜軸の動作特性を示す特性線図である。
【符号の説明】
1 刺繍機(ミシン)
2 基台
6 ヘッド部
7 主軸
8 糸掛け
9 糸調子
10 天秤
11 針棒
12 ミシン針
13 刺繍布
24 釜ホルダ
25 回転釜
26 外釜
26B 剣先
27 中釜
29 釜軸
40,80,120,153,154 差動装置
41,81,121 ケーシング
42,82,122 入力軸
44,85,125,126 出力軸
47,88,129,130 位相差発生機構
48,89,131,132 中間軸
49,91,137,138 第1のはすば歯車
51,92,139,140 第2のはすば歯車
52,53,93,94,134,135,136 平歯車(歯車部材)
55,95,141,142 カム装置(差動カム手段)
56,143,144 カムホイール
56A,96A,143A,144A カム溝
57,145,146 カムフォロア
71 第3のはすば歯車
72 第4のはすば歯車
96 第1のカムホイール
97 第2のカムホイール
102 支軸(支点)
104 フォロアサポート(回動体)
109 第1のカムフォロア
110 第2のカムフォロア
151 主軸モータ
152 針駆動部(針棒の駆動部)

Claims (8)

  1. ミシンの主軸と、該主軸の回転に従って駆動され上糸の繰出しと糸締めを行う天秤と、前記主軸の回転に従って往復動されミシン針を運針させる針棒と、前記ミシン針の運針に応じて上糸と下糸とに絡みを与えるため前記主軸の回転に従って駆動される下糸側の釜軸と、前記針棒、天秤および釜軸のうち少なくとも釜軸を前記主軸とは異なる位相で回転させる差動装置とを備え、
    該差動装置は、外殻となるケーシングと、該ケーシングに回転可能に設けられ前記主軸によって回転される入力軸と、前記ケーシングに回転可能に設けられ少なくとも前記釜軸に回転出力を伝える出力軸と、前記入力軸の回転を該出力軸に伝えるため前記入力軸と出力軸との間に設けられ該出力軸の回転位相を前記入力軸に対して変化させる位相差発生機構とにより構成し
    前記位相差発生機構は、前記入力軸、出力軸に対し径方向に離間して前記ケーシングに設けられた中間軸と、前記入力軸と出力軸との間に設けられ互いに噛合して回転力を伝える第1,第2のはすば歯車と、前記入力軸の回転に従って該第1,第2のはすば歯車を軸方向に相対移動させる差動カム手段とにより構成し、
    前記第1,第2のはすば歯車は前記入力軸、中間軸および出力軸のうち少なくともいずれか2つの軸間に設ける構成とし、
    前記差動カム手段は、前記入力軸に従って回転するカムホイールと、該カムホイールと係合するように前記ケーシング側に設けられ該カムホイールの回転に従って前記第1または第2のはすば歯車を軸方向に変位させるカムフォロアとにより構成してなる差動装置付ミシン。
  2. 前記差動装置は、前記釜軸の回転位相を前記針棒が下死点になる位置を起点として変えることにより、前記釜軸の回転に伴って回転釜で上糸と下糸を絡め前記回転釜から上糸が釜抜けするタイミングを変化させる構成としてなる請求項1に記載の差動装置付ミシン。
  3. ミシンの主軸と、該主軸の回転に従って駆動され上糸の繰出しと糸締めを行う天秤と、前記主軸の回転に従って往復動されミシン針を運針させる針棒と、前記ミシン針の運針に応じて上糸と下糸とに絡みを与えるため前記主軸の回転に従って駆動される下糸側の釜軸と、前記針棒、天秤および釜軸のうち少なくとも釜軸を前記主軸とは異なる位相で回転させる差動装置とを備え、
    該差動装置は、外殻となるケーシングと、該ケーシングに回転可能に設けられ前記主軸によって回転される入力軸と、前記ケーシングに回転可能に設けられ少なくとも前記釜軸に回転出力を伝える出力軸と、前記入力軸の回転を該出力軸に伝えるため前記入力軸と出力軸との間に設けられ該出力軸の回転位相を前記入力軸に対して変化させる位相差発生機構とにより構成し、
    前記位相差発生機構は、前記入力軸、出力軸に対し径方向に離間して前記ケーシングに設けられた中間軸と、前記入力軸と出力軸との間に設けられ互いに噛合して回転力を伝える第1,第2のはすば歯車と、前記入力軸の回転に従って該第1,第2のはすば歯車を軸方向に相対移動させる差動カム手段とにより構成し
    前記第1,第2のはすば歯車は前記入力軸、中間軸および出力軸のうち少なくともいずれか2つの軸間に設ける構成とし、
    前記差動カム手段は、前記第1のはすば歯車と一体に回転する第1のカムホイールと、前記第2のはすば歯車と一体に回転する第2のカムホイールと、前記ケーシング側に設けられ前記第1,第2のカムホイール間に位置する支点を中心にして回動可能となった回動体と、該回動体にそれぞれ設けられ前記第1,第2のカムホイールに係合する第1,第2のカムフォロアとにより構成してなる差動装置付ミシン。
  4. 前記第1,第2のカムフォロアは前記回動体に対して位置調整可能に取付け、前記回動体は第1,第2のカムフォロアと前記支点との間の間隔L1 ,L2 を可変に調整する構成としてなる請求項に記載の差動装置付ミシン。
  5. 前記第1,第2のカムホイールは互いに異なる形状のカム溝を有し、前記第1,第2のカムフォロアは前記第1,第2のカムホイールのカム溝に係合する構成としてなる請求項またはに記載の差動装置付ミシン。
  6. 前記ケーシングには複数の出力軸を設け、該各出力軸と入力軸との間にはそれぞれ前記位相差発生機構を設ける構成としてなる請求項1,2,3,4または5に記載の差動装置付ミシン。
  7. 前記複数の出力軸は前記天秤と釜軸とにそれぞれ異なる位相の回転出力を伝える構成としてなる請求項に記載の差動装置付ミシン。
  8. 前記主軸を駆動する主軸モータと前記針棒の駆動部との間には、該針棒の駆動部を前記主軸モータとは異なる回転位相で駆動する他の差動装置を設ける構成としてなる請求項1,2,3,4,5,6または7に記載の差動装置付ミシン。
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