JP4439641B2 - 新規マンナナーゼ、その製造法および用途 - Google Patents

新規マンナナーゼ、その製造法および用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なβ−マンナナーゼ、その製造法および用途、ならびに関連の微生物に関するものであり、さらに詳細には、本発明は、従来のものより低温でも活性を示す新規なβ−マンナナーゼおよびその製造方法、β−マンナナーゼ酵素剤(代表的には、コーヒー飲料での沈殿生成防止剤)、β−マンナナーゼのコーヒー飲料における沈殿生成防止のための使用および沈殿生成防止方法、ならびに上記酵素の産生能を有するβ−マンナナーゼ産生菌に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コーヒー飲料は缶入り製品としての流通量が増加している。コーヒー抽出液は保存中に濁りや沈殿を発生しやすく、これらを抑える製法の開発が望まれている。さらに近年では、本格風味を提供するための原料コーヒー豆の使用量増加、販売地域拡大による市場滞留期間の長期化および自動販売機や温缶機による加温などにより、沈殿が生じ、商品価値を著しく低下させるという問題が生じている。コーヒー抽出液の沈殿はコーヒー豆由来のガラクトマンナンに起因し、マンナン分解酵素を利用して沈殿発生を抑える飲料の製造方法が特開平7-184546号公報に、また繊維素分解酵素を用いた沈殿防止方法が特公昭47−19736号公報に、酵素を用いた混濁防止法が特開平4−45745号公報に開示されている。
【0003】
また、マンナン分解酵素は、バチルス属由来の酵素が特公昭63−18474、特公平3−65754号公報に、ペニシリウム・パープロゲナム由来の酵素が特開昭63−209586号公報に、クロストリジウム・テルチウム、ラクトバチルス属由来の酵素が特開平5−176767号公報に、リゾプス・ニーベウスが特公昭49−12710号公報にそれぞれ開示されている。さらに報告があるものとしてトリコデルマ・レーゼイ(Appl. Microbiol. (1993 39:58-62)、ストレプトマイセス属(Agric. Biol. Chem., 48(9), 2189-2195, 1985)、エンテロコッカス・カゼリフラバス(J. Ferment. Bioeng., vol.76(1), 14-18, 1993)、ビブリオ属(Appl. and Environ. Microbiol. Nov., 1990, 3505-36510)、エアロモナス属(J. Fac. Arg., Kyushu Univ., 27(3. 4), 89-98(1983)由来のマンナナーゼ等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の方法では例えば、市販されているマンナン分解酵素であるアスペルギルス・ニガー由来の酵素セルロシンGM5(阪急共栄物産株式会社)、ガマナーゼ(ノボノルディスクバイオインダストリー株式会社)、また論文にて報告されている酵素であるトリコイデルマ・レーゼイ由来酵素、ペニシリウム・パープロゲナム由来のβ−マンナナーゼ等は、その至適温度は概ね70〜80℃であり、常温における酵素反応性が低い。さらに蛋白重量あたりの比活性が低いため、コーヒー抽出液の沈殿解消を工業的に行うには、処理温度を高くする(40〜50℃)ことが必要であった。その結果、工程が複雑化し、またコーヒー本来の香味、品質の劣化の問題を生じていた。20〜30℃程度の常温で十分に作用させるためには酵素添加量を上げることも考えられるが、その場合上述の酵素は比活性が低いために多量の酵素を添加せざるをえず、酵素蛋白質由来の異味を生じる問題があり、常温における酵素反応性のより高い酵素、あるいは少量の添加量で効果のある、より高い比活性の酵素の開発が望まれる。
【0005】
その他に現在報告されている微生物由来のβ−マンナナーゼとしてはバチルス属由来、クロストリジウム・テルチウム、ラクトバチルス属由来、ストレプトマイセス属由来、エンテロコッカス・カゼリフラバス由来、リゾプス・ニーベウス由来、ビブリオ属由来、エアロモナス属由来があるが、バチルス属、ストレプトマイセス属由来酵素は至適pHが中性〜アルカリ性であるため、コーヒーの処理の目的には適さず、クロストリジウム・テルチウム、ラクトバチルス属、エンテロコッカス・カゼリフラバスは微嫌気性細菌のため、培養装置の気相部を窒素で置換する必要があり、培養方法が煩雑化するため工業的に使用するのには困難である。リゾプス・ニーベウス由来酵素については特公昭49−12710号公報によると、酵素の採取方法として、SE−セファデックスなどのイオン交換体を低イオン強度に緩衝化し分離する第一工程と、高イオン強度に緩衝化し分離する第二工程が必要であり、実用上は難点を残していた。またビブリオ属には食品汚染菌が数多く見られ、食品工業において使用するには安全性に難点がある。エアロモナス属酵素は温度安定性が低く、工業的に流通して使用するには保存安定性に問題がある。
【0006】
本発明は、より常温に近い状態でもマンナン分解活性が高く、かつ高い比活性を有する酵素、その製造法および用途(例えば、コーヒー製造において少量の添加量で有効な沈殿防止方法)を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者はかかる実情において、コーヒー沈殿防止に更に適した活性を有するβ−マンナナーゼを産生する微生物を微生物保存機関より取寄せた菌株にて探索した結果、単輪生のペニシリウム属に属する微生物から高いマンナン分解活性を持つ菌株を多数見出した。単輪生とはペニシリウム属の同定を行う際に重要なぺニシリの形態的特徴の一種であり、分生子柄より直接フィアライドを輪生し、メトレ、ラミなどの分岐を持たないぺニシリの状態を表している。一方、分生子柄に分岐を持つ複輪生、多輪生もある。
【0008】
本発明者は、さらに自然界からも検索した結果、群馬県の土壌から高分解活性株を複数株見出し、分離同定あるいは分離観察したところ、分離された微生物のうち、コーヒー沈殿防止に適した活性を有するものの全てが単輪生のペニシリウム(Penicillium)属に属する微生物であることがわかった。この微生物は(1)マンナンに対し高い分解活性を有するβーマンナナーゼを多量に産生すること、(2)これをコーヒー抽出液に作用させた場合、驚くべきことに常温でも沈殿防止効果がすぐれていること、(3)この酵素を精製したところ、非常に高い比活性を持つため、酵素添加量が少なくてよいこと、(4)また本菌は安全な菌であり、食品工業での利用において安全性に問題がないこと、を見出し、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
【0009】
従って、本発明は新規なβ−マンナナーゼ、その製造法および用途、さらに具体的には、β−マンナナーゼ酵素剤(代表的には、例えばガラクトマンナンに作用してコーヒー飲料での沈殿を解消することができる沈殿生成防止剤)、β−マンナナーゼのコーヒー飲料における沈殿生成防止のための使用および沈殿生成防止方法、ならびに上記酵素を産生する能力を有するβ−マンナナーゼ産生菌に関する。
【0010】
すなわち、本発明によるβ−マンナナーゼは、次の理化学的性質を有することを特徴とするものであり、代表的には単輪生のペニシリウム属または単輪生のユーぺニシリウム属に属する微生物によって生産することができる。
(1)作用
β−マンナンのβ−1,4−D−マンノピラノシド結合を非特異的に加水分解して、マンノースおよびマンノオリゴ糖を生成する。
(2)至適pH
至適pHは約5.0〜6.0である。
(3)作用適温の範囲
作用適温範囲は少なくとも約20〜70℃である。
(ここで、少なくとも約20〜70℃とは、約20〜70℃は明確に適温範囲であるということであり、それ以外の範囲を排除するものではない。)
(4)30℃活性/40℃活性が約80%以上である。
【0011】
好ましい態様において、このβ−マンナナーゼは、次の理化学的性質を有することを特徴とするものであり、代表的には前記の微生物、特にペニシリウム・マルチカラーに属する微生物によって生産することができる。
(1)作用
β−マンナンのβ−1,4−D−マンノピラノシド結合を非特異的に加水分解して、マンノースおよびマンノオリゴ糖を生成する。
(2)至適pH
至適pHは約5.0〜6.0である。
(3)作用適温の範囲
作用適温範囲は少なくとも約20〜70℃である。
(4)30℃活性/40℃活性が約80%以上である。
(5)基質特異性
マンナン、ガラクトマンナン、グルコマンナンに特異的に作用し、アラビノキシラン、キシラン、トラガントガム、セルロース、カルボキシメチルセルロースには作用しない。
(6)至適温度
至適温度は約60〜70℃である
(7)安定pH範囲
安定pH範囲は約3.0〜10.0である。
(8)温度安定性
温度安定性(pH5.0において)は、30℃で1時間の処理を行ったときの残存活性を100%としたとき、50℃で1時間の処理により約100%の残存活性であり、60℃で1時間の処理により約70%の残存活性である。
(9)分子量
分子量は約42,000〜45,000(SDS-PAGE法)である。
【0012】
また、本発明によるβ−マンナナーゼの製造方法は、上記β−マンナナーゼの生産菌を培養し、培養物から上記酵素もしくは含有組成物を採取することを特徴とするものである。
【0013】
さらに、本発明によるβ−マンナナーゼ酵素剤(代表的には、コーヒー飲料の沈殿生成防止剤)は、上記β−マンナナーゼを含んでなるものである。
【0014】
本発明はまた、上記β−マンナナーゼの、コーヒー飲料における沈殿生成防止のための使用でもある。
【0015】
本発明による沈殿生成防止法は、コーヒー抽出液に、上記のβ−マンナナーゼ酵素剤を作用させる(好ましくは低温もしくは常温で)ことを特徴とするものである。
【0016】
本発明による微生物は、上記のβ−マンナナーゼを産生する能力を有する微生物である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明において、β−マンナナーゼとは、本発明による酵素が精製されたもの、粗精製物もしくは非精製物のいずれをも包含することを意味する。すなわち、この酵素は後述のように上記β−マンナナーゼの生産菌を培養し、この培養物(培養液、培養濾液)の活性画分を蛋白質を得るのに通常用いられる手段、例えば硫安を用いた塩析、限外ろ過による濃縮あるいは減圧蒸留による濃縮により粗精製物を得ることができ、またこの生成物を適当なクロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動などを適宜使用してより精製された酵素を得ることができるが、本発明においては、上記の性質のβ−マンナナーゼを含んでいる限り、このいずれの段階のものも包含される。ここでは、培養濾液等の非精製物あるいは粗精製物をβ−マンナナーゼ含有組成物ともいう。
【0018】
本発明のβ−マンナナーゼは、前記のようなβ−マンナナーゼを産生する能力を有するβ−マンナナーゼ生産菌を適当な栄養源含有培地(後述)で培養し、培養物からβ−マンナナーゼを得ることにより製造することができる。β−マンナナーゼ生産菌は、好ましくは単輪生のペニシリウム属または単輪生のユーペニシリウム属に属する微生物であり、具体的には例えば、ペニシリウム属アスペルギロイデス亜属に属する微生物、代表的にはペニシリウム・マルチカラー(特にぺニシリウム・マルチカラーmch13-2株)があげられる。
【0019】
単輪生のペニシリウム属および単輪生のユーペニシリウム属に属するβ−マンナナーゼ生産菌としては、例えばペニシリウム・マルチカラー(Penicillium multicolor)、ペニシリウム・スクレロチオラム(Penicillium sclerotiorum)、Penicillium purprescens、Penicillium spinulosum、Penicillium thomii、Penicillium implicatum、Penicillium adametzioides、Penicillium quercetorum、Penicillium montanense、Penicillium chermesinum、Penicillium restrictum、Penicillium roseopurpureum、Penicillium vinaceum、Penicillium capsulatum、Penicillium resedanum、Penicillium citreonigrum、Penicillium sublateritium、Penicillium cyaneum、Penicillium decumbens、Eupenicillium alutaceum、Eupenicillium gracilentum、Eupenicillium stolkiae、Eupenicillium meridianum、Eupenicillium cinnamopurpureum、Eupenicillium erubescens、Eupenicillium parvum、Eupenicillium abidjanum、Eupenicillium hirayamae、Eupenicillium fractum、Eupenicillium inusitatum、Eupenicillium catenatum、Eupenicillium rubidurum、Eupenicillium pinetorum、Eupenicillium katangense、Eupenicillium euglaucum、Eupenicillium senticosum、Eupenicillium javanicum、Eupenicillium brefeldianum、Eupenicillium levitum、Eupenicillium zonatum、Eupenicillium lapidosum等が挙げられる。例えば下記に示すペニシリウム・マルチカラーmch13-2株は本発明者らが見出した新菌株であって、次の菌学的性質を有する。なお、以下の文中で本菌株と表記したものはmch13-2株を表す。
【0020】
[1]生理的、生態的性質
1)培地における生育状態
(1)CYA培地(CZAPEK YEAST AUTOLYSATE AGAR PITT, 1973)
5℃:生育せず。
25℃:表面--色調はオレンジ色、外周は白いマージン有り。放射状の深いしわが有る。透明な浸出液有り。
裏面--はっきりしたオレンジ色。
37℃:生育せず。
(2)MEA培地(MALT EXTRACT AGAR; AFTER BLAKESLEE, 1915)
25℃:表面--色調は暗いオレンジ色、中央がけば立つように盛り上がっている。色は明るいオレンジ、または白色。外周は白いマージン有り。
裏面--暗いオレンジ色。
2)生育速度
(1)CYA培地(CZAPEK YEAST AUTOLYSATE AGAR PITT, 1973)
5℃:生育せず。
25℃:直径29〜35mm(7日目)
37℃:生育せず。
(2)MEA培地(MALT EXTRACT AGAR; AFTER BLAKESLEE, 1915)
25℃:直径24〜29.5mm(7日目)
[2]顕微鏡的所見
(1)分生子柄: 長さ--滑面、無色、110〜300μm×2〜3μm
(2)ペニシリ: 単輪生
(3)ラミ: 形成せず
(4)メトレ: 形成せず
(5)フィアライド: アンプル形、11〜14μm×2〜3μm
(6)分生子: 球形〜楕円形〜倒卵形、滑面--無色〜淡緑色、3〜5μm×3〜4μm
(7)菌核: 形成せず。
【0021】
以上の菌学的性質を「ザ・ジーナス・ペニシリウム・アンド・イッツ・テレオモルフィック・ステイツ・ユーペニシリウム・アンド・タラロマイセス(The Genus PENICILLIUM and its teleomorphic states Eupenicillium and Talaromyces)」(1979)(ジョン・ アイ・ピット(John I Pitt))及び「菌類図鑑」(1978)(宇田川俊一、椿啓介他)に照合したところ、本菌株はペニシリウム・スクレオチオラム(Penicillium sclerotiorum)に類似の形態を示すことがわかった。本発明者らは、微生物保存機関より取寄せたペニシリウム・スクレオチオラムからも高いマンナン分解活性を見出している。しかし、本菌株は菌核を形成しない点でペニシリウム・スクレオチオラムとは異なっていた。そこでさらに調べたところ、従来ペニシリウム・スクレオチオラムに分類されていたが、菌核を形成しないことで分類が分かれた菌株であるペニシリウム・マルチカラーであることがわかり、最終的に本発明者は本菌株をペニシリウム・マルチカラー(Penicillium multicolor)mch13-2株と命名し、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に(受託番号)FERM BP-6831として寄託した。
【0022】
ペニシリウム・マルチカラーがβ−マンナナーゼを生産し、ましてや非常に高活性で生産することは現在までに報告されておらず、新知見である。
【0023】
ペニシリウム・マルチカラーは、「ファンジャイ・アンド・フード・スポイレ-ジ・セカンド・エディション(FUNGI AND FOOD SPOILAGE Second edition)(1997)(ジェイ・アイ・ピット・アンド・エイ・ディー・ホッキング(J I Pitt and A D Hocking)に「マイコトキシンの生産の報告はない」との記載があり、食品加工においても安全性に問題のないことがわかった。なお、本発明によるβ−マンナナーゼは、マウスを用いた急性毒性試験および亜急性毒性試験において毒性のないことが確認されている。また、後記実施例にも示されるように、単輪生のペニシリウム属あるいは単輪生のユーペニシリウム属に属する他の種々の菌株においても同様に高い酵素活性が確認された。
【0024】
本発明によるβ−マンナナーゼ産生菌は、その代表例である上記微生物の他に、ぺニシリウム属あるいはユーペニシリウム属に属する菌等に適した適当な栄養源含有培地(後記)で培養して前記のような理化学的性質を有するβ−マンナナーゼ酵素の産生を指標として目的の菌株をスクリーニングすることにより自然界より得ることが可能である。また、自然的変異あるいは通常の人工的変異手段(紫外線、放射線照射、薬品(亜硝酸ナトリウム、エチルメタンスルホネート、ニトロソグアニジンなど))等による変異体であっても、同様の酵素の産生能を有するものであれば本発明のβ−マンナナーゼ産生菌に包含される。
【0025】
本発明によるβ−マンナナーゼは、上記のようなβ−マンナナーゼ産生菌により産生されるものの他、遺伝子工学的手法により製造されたもの等、前記のような理化学的性質を有する限り、その製造方法の由来は問わず任意の方法により得られる酵素を包含するものである。
【0026】
本発明のβ−マンナナーゼを得るには、前記のようなβ−マンナナーゼ産生菌(具体的には、単輪生のペニシリウム属に属する菌株)を栄養源含有培地に接種して好気的に培養し、培養物(培養液、培養濾液もしくは培養上清)、特に好ましくは培養ろ液もしくは培養上清を採取する。
【0027】
培養に使用される栄養源としては、従来知られている各種培養材料を用いることができるが、炭素源としては、例えばローカストビーンガム、グアーガム、コンニャクマンナン、コプラミール等が好ましい。ローカストビーンガムはイナゴ豆より抽出されたガラクトマンナンで、またグアーガムはグアプラントの種子から得られるガラクトマンナンであり、主として食品の増粘、保水、品質改良などの目的で利用されている。また、コンニャクマンナンはコンニャクから抽出したグルコマンナンであり、コプラミールはココナッツヤシよりヤシ油を絞った残渣で、ガラクトマンナンを含有する。窒素源も特に制限はないが、例えば酵母エキス、ペプトン、硫酸アンモニウム、大豆、大豆フレーク、コーンスティープリカー、ピーナッツミール、綿実ミール、カゼイン水解物、魚紛、その他一般的に培地成分として利用される成分が利用できる。さらに培地には、炭素源、窒素源の他に必要に応じて無機塩、ビタミン類、ミネラル類などを添加することができ、例えばマグネシウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、カリウム塩、カルシウム塩などを用いることも可能である。
【0028】
培養は、好ましくは培養温度15〜35℃、特に好ましくは25〜30℃で振盪培養もしくは通気撹拌培養で行うことができる。かかる条件で培養を行えば、培養開始後通常4日〜7日にてβ-マンナナーゼを含有する培養物を得ることができる。
【0029】
培養物は遠心または濾過分離等で菌体を除去して培養上清(培養濾液)を採取することによりこれをそのまま本発明によるβ-マンナナーゼとするか、凍結乾燥などにより粉体にして用いることも可能である。また、培養上清液を分離、精製して培養濾液から目的の酵素をさらに粗精製もしくは精製状態で採取することも可能である。具体的には例えば、培養上清(もしくは濾液)を限外濾過膜(例えば分子量カット13000)または減圧蒸留にて濃縮した後、塩析(硫酸アンモニウムなど)して目的の酵素活性を有する画分の沈殿を得て、この沈殿を適当なクロマトグラフィー(疎水性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、クロマトフォーカシングなど)、およびさらなる限外濾過(例えば分子量カット10000)に付し、さらにこれを電気泳動(例えばSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動)などにより粗精製あるいは精製して本発明によるβ-マンナナーゼとすることができる。これらの具体例については後記の実施例を参照されたい。
【0030】
前述のように、本発明は上記β-マンナナーゼを含んでなる β-マンナナーゼ酵素剤、およびそのコーヒー飲料における沈殿生成防止のための使用にも関する。すなわち、本発明によるβ-マンナナーゼは、β-マンナナーゼ酵素剤として、代表的にはコーヒー飲料における沈殿生成防止剤として使用することができる。
【0031】
本発明によるβ-マンナナーゼ酵素剤あるいはコーヒー飲料における沈殿生成防止剤は、上記のようなβ-マンナナーゼのみから構成して粉末状、顆粒状、液体状の剤形等種々の形態にすることもできるが、通常は食品用賦形剤、保存料、安定剤など必要に応じて他の添加剤を含んでなるものである。
【0032】
食用賦形剤としては、一般的な食用賦形剤、例えば乳糖、ソルビトール、マルチトール、デキストリン、グルコース、デンプン類、多糖類、ガム類、ペクチン等が使用できる。保存料としては、例えばエタノールやパラオキシ安息香酸エステル、亜硫酸ナトリウムなどが単独または併用で使用できる。その他、食品に添加できる通常使用される他の添加剤なども適宜使用できる。
【0033】
添加剤の使用量は適宜設定できるが、具体的には例えば、液状酵素剤(例えば培養上清)の場合、静菌剤としてエタノールを10重量%、パラオキシ安息香酸エステルを0.01重量%添加することができる。また、本発明による-マンナナーゼの酵素剤中での配合比率は特に制限はないが、酵素剤1gあたり1〜100,000ユニット、望ましくは10,000〜50,000ユニットになるように配合すれば、工業的利用上から望ましい。
【0034】
上記のようなβ−マンナナーゼ酵素剤を用いた本発明によるコーヒー飲料の沈殿生成防止法は、コーヒー抽出液に、本発明によるβ−マンナナーゼ酵素剤を作用させることを特徴とするものであり、上記のβ−マンナナーゼ酵素剤がコーヒー抽出液と接触する方法である限り特に限定されるものではないが、具体的には、例えば下記のようにして実施することができる。
【0035】
通常この方法は、基本的に上記β−マンナナーゼ酵素剤をコーヒー抽出液に添加して適当な時間、酵素反応処理に付すことからなるが、この際、上記酵素剤に加えて他の沈殿防止剤、例えばアルカリ性ナトリウム塩またはアルカリ性カリウム塩などを添加することも可能である。
【0036】
コーヒー抽出液は、通常焙煎豆から抽出した液、それを濃縮したエキス、あるいは一旦インスタントコーヒーに加工したものを熱水で溶かした液のいずれでも使用可能である。コーヒー飲料としては、コーヒー抽出液をそのままもしくは熱水等で希釈するものの他、乳類(全粉乳、脱脂粉乳、牛乳など)、糖類(砂糖など)等の通常コーヒー飲料に使用される添加剤を加えたものも対象となる。
【0037】
コーヒー抽出液のβ−マンナナーゼ酵素剤による処理において、この反応温度、時間、pH、添加量は酵素の活性等により適宜設定すればよいが、本発明の酵素を用いる場合、通常、原料の焙煎豆に対して酵素剤を0.02%〜4.0%程度になるようにコーヒー抽出液に添加して、約20〜70℃、pH4〜6の条件で30分以上反応させればよいが、好ましくは、酵素剤を0.2〜2.0%添加して、常温、pH約5.5の条件で2時間以上反応させることが望ましい。本発明において、常温とは、約20℃〜40℃の範囲をいうが、好ましい態様では25℃〜35℃である。なお、本明細書で使用する%表示は、特に断りのない限り重量%を意味する。
【0038】
他の沈殿防止剤としての上記塩(アルカリ性ナトリウム塩およびアルカリ性カリウム塩)としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸カリウム等があげられるが、香味の点からアルカリ性ナトリウム塩が好ましく、特に炭酸水素ナトリウムが最も好ましい。これらの塩は、最終製品(水で希釈して焙煎豆含量を一定濃度に調整したもの)に対して通常0.03〜0.30%、好ましくは0.05〜0.20%添加する。添加時期は、酵素反応より前またはこれと同時であっても良いが、酵素処理後の方が好ましい。上記酵素処理と塩処理との併用処理による方法では、特に乳類を添加したコーヒー飲料の場合において、より高い沈殿防止効果を発揮することができる。乳類を添加したコーヒー飲料の場合の沈殿防止効果については、特開平7−184546号公報も参照されたい。
【0039】
添加した酵素は、反応後において特に除去する必要はなく、また、この酵素反応は、酵素の添加の他に、固定化酵素などによる接触反応によりコーヒー抽出液中に直接酵素が含まれないようにすることも可能である。上述のような本発明の沈殿防止方法により、常温においても多量の酵素を添加しなくても酵素反応を遂行してコーヒー飲料の沈殿防止を可能とし、これにより酵素蛋白由来の異味を生じることのない本来の風味を維持したコーヒー飲料を製造することができる。
【0040】
【実施例】
以下に、具体的な実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例に制限されないことはいうまでもない。
【0041】
実施例1 本発明のβ−マンナナーゼを産生する微生物
β-マンナナーゼ生産菌、Penicillium multicolor mch13-2株は、群馬県の土壌より単離した。15mlの試験管に分注した10g/リットルのローカスト・ビーン・ガム、10g/リットルのバクトペプトン(ディフコ社製)、1g/リットルのイースト・エキストラクト(ディフコ社製)、2g/リットルのリン酸2水素カリウム、及び0.5g/リットルの硫酸マグネシウム・7水和物からなる液体培地に植菌して振とう培養を行い、β-マンナナーゼ活性を測定し、最も活性の高い菌株としてmch13-2株を得た。
なお、本発明のβ-マンナナーゼの活性測定は次の方法により行った。
10g/リットルのローカストビーンガム溶液3mlと150mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)2mlに被験液1mlを加えて40℃で30分反応させた。反応液中に生じた還元糖をソモギーネルソン法にて定量した。β-マンナナーゼ活性は被験液1mlが1分間に1μmoleのマンノースに相当する還元力を生じる酵素活性を1Unitとして示した。
【0042】
実施例2 Penicillium multicolor mch13-2 由来のβ−マンナナーゼの精製
10g/リットルのローカスト・ビーン・ガム、10g/リットルのバクトペプトン(ディフコ社製)、1g/リットルのイースト・エキストラクト(ディフコ社製)、2g/リットルのリン酸2水素カリウム、及び0.5g/リットルの硫酸マグネシウム・7水和物を含む培地1リットルを、5Lのバッフル付き三角フラスコに入れ、121℃、40分滅菌した。
Penicillium multicolor mch13-2株を、上記のようにして調製した5L三角フラスコ培地16本に植菌し、27℃、160rpmにて、4日間培養した。培養液はヌッチェにて菌体を濾過分離し、培養上清約14Lを得た。なお、以後の操作は全て4℃にて行った。また、β−マンナナーゼ活性測定法は実施例1に記載の方法にて行った。
上記のようにして得られた培養上清を、限外濾過膜(分子量カット13000)にて濃縮し、118mlの濃縮液を得た。次に、40%飽和となるよう硫酸アンモニウムを添加し、10000×g、15分間遠心分離し、活性画分である上清を126ml得た。これに75%飽和となるよう硫酸アンモニウムを添加し、10000×g、15分間遠心分離し、活性画分である沈殿を得た。
上記のように遠心分離して得られた沈澱を1.5Mの硫酸アンモニウムを含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に溶解し、34mlとした。同緩衝液にて平衡化した疎水クロマトグラフィー(カラム:TOSOH TSK-gel Phenyl-TOYOPEARL 650S 120ml)に通した。カラムを同緩衝液にて洗浄し、次に300mlの1.5M〜0M硫安の線状勾配でβ−マンナナーゼを溶離した。活性画分を限外濾過膜(分子量カット10000)にて濃縮し、引き続き50mMトリス・塩酸緩衝液(pH8.0)にて洗浄、脱塩した。
次いで同緩衝液にて平衡化したイオン交換クロマトグラフィー(カラム:TOSOH TSK-gel DEAE-TOYOPEARL 650S 120ml)に通した。カラムを同緩衝液にて洗浄し、引き続き300mlの0〜0.5M食塩の線状勾配でβ−マンナナーゼを溶離した。活性画分を限外濾過膜(分子量カット10000)にて濃縮し、引き続き0.2Mの食塩を含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)にて洗浄、濃縮した。
次に濃縮液をゲル濾過クロマトグラフィー(カラム:Pharmacia HiLoad 16/60 Superdex 200pg )にアプライし、同緩衝液にてβ−マンナナーゼを溶出した。活性画分を限外濾過膜(分子量カット10000)にて濃縮した。
次に、この濃縮液を25mMビス・トリス緩衝液(pH4.85)にて平衡化したクロマトフォーカシング(カラム:Pharmacia Mono P HR5/20 )にアプライし、10%Polybuffer 74 (Pharmacia 製、塩酸にてpH3.5に調製したもの)で目的のβ−マンナナーゼを溶出した。活性画分を限外濾過膜(分子量カット10000)にて濃縮した。
最終的にSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、及び等電点電気泳動にて単一バンドを示す精製酵素を得た。
各精製ステップにおける総酵素活性、総蛋白量、比活性を以下の第1表に示す。
なお、蛋白量は、BSA(牛血清アルブミン)を標準物質として、フォーリン・ローリー法にて測定した。
Figure 0004439641
また、最終的に精製された酵素について、実施例1の活性測定法に従って30℃での活性を測定し、フォーリン・ローリー法での同サンプルの蛋白質量にて比活性を求めたところ、180U/mg−proteinであった。
【0043】
比較例1 その他のマンナナ - ゼの蛋白重量当りの比活性の測定
Aspergillus niger由来のマンナナ-ゼの比活性を測定した。活性測定方法は実施例1に従い、蛋白質量の測定は実施例2と同様にフォーリン・ローリー法によるものに加えて、重量法にても行なった。重量法は、精製酵素300μlを透析膜(三光純薬社製 10000カット)に入れ、MQ水400ml中で6時間2回、さらに18時間透析を行い、回収後、凍結乾燥し重量を測定した。結果を第2表に示す。
Figure 0004439641
精製酵素の蛋白質重量当りの比活性は40℃において245U/mg蛋白(ローリー法)、341.1U/mg蛋白質(重量法)であり、蛋白質の定量法によって値が異なるが、市販のアスペルギルス・ニガー由来酵素に比べて1.9〜10.8倍であり、いずれの測定方法においてもペニシリウム・マルチカラーmch13−2株は非常に蛋白質当りの比活性が高いことがわかった。測定方法によって値が異なる原因としては、ローリー法は蛋白質中のチロシン、トリプトファン、システインと反応して青色を示すが、この発色反応は試料中に含まれる上記アミノ酸量の違いにより発色の度合いが異なることが考えられる。
【0044】
実施例3 本発明のβ - マンナナーゼの諸性質の検討
実施例2で得られた精製酵素の酵素学的諸性質を測定した。
なお、酵素活性は上記実施例1に記載の方法にて測定した。
(1)作用
β−1,4−D−マンノピラノシド結合しているローカストビーンガム0.2%溶液に、本発明の酵素を2U/mlの濃度になるように添加し、経時的にサンプルをとり、反応生成物を液体高速クロマトグラフィー(カラムBio−rad社Aminex 42A)にて分析した。その結果、反応開始後60分後には高分子のローカストビーンガムは消失し、主として中〜低分子の酵素分解物が観察されたが、反応開始後5時間後にはそれらがさらに低分子化していた。反応初期に高分子がすみやかに消失し、中〜低分子の酵素分解物が観察されたことで、本酵素がβ−1,4−D−マンノピラノシド結合にエンド型で非特異的に作用し、マンノオリゴ糖、マンノースを生成したと考えられる。
(2)基質特異性
ローカストビーンガム(ガラクトマンナン)、グルコマンナン(コンニャク由来)、アラビノキシラン(大麦由来)、キシラン、トラガントガム、セルロース、カルボキシメチルセルロースの各0.2%溶液に本酵素2U/mlになるように混合し、45℃にて66時間反応させた。その後、反応を100℃にて停止後、反応生成物を液体高速クロマトグラフィー(カラムBio−rad社Aminex 42A)にて分析した。その結果、ローカストビーンガム、グルコマンナンでは低分子化が観察されたが、それ以外のアラビノキシラン、キシラン、トラガントガム、セルロース、カルボキシメチルセルロースでは変化は認められなかった。
(3)分子量
分子量の測定はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により行った。マーカータンパク質として200,000、116,300、97,400、66,300、55,400、36,500、31,000、21,500、14,400を用いた。その結果、本酵素は糖鎖がついていると考えられ、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動のバンドはスメアになった。分子量範囲は42,000〜45,000であり、メインバンドの分子量は43,000であった。
(4)等電点
ファーマライトpH2.5〜5.0(ファルマシア社製)3に対してファーマライトpH4.5〜5.4(ファルマシア社製)を1加えた溶液を作成した。さらに、その溶液1に対して15の割合で純水を加えた液にて膨潤させたアガロースゲルを用いて、等電点電気泳動を行った。その結果、等電点は3.2であった。
(5)安定性
得られた精製酵素の各温度、各pHにおける安定性をそれぞれ図1、図2に示す。測定は温度の安定性を調べるには50mM酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0を、pHの安定性を調べるにはpH2.2〜8.0の間はマッケルヴァイン緩衝液を、pH8.0〜10.0の間は50mMトリス塩酸系緩衝液を、pH10.0〜11.0の間は50mM炭酸水素ナトリウム系緩衝液をそれぞれ用いた。温度安定性は、各温度で1時間処理した後の活性を測定し、30℃で1時間処理を行った時の残存活性を100%として比較表記した。
本酵素は50℃で1時間の処理で安定(100%の残存活性)であり、60℃1時間の処理で70%の残存活性であった。またpH3.0〜10.0の20℃で20時間処理で安定であった。
(6)反応性
得られた精製酵素の各温度、各pHにおける反応性をそれぞれ図3、図4に示す。測定は温度の反応性を調べるには50mM酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0を、pHの反応性を調べるにはマッケルヴァイン緩衝液をそれぞれ用いた。
本酵素は70℃付近に反応最適温度、pH5.5付近に反応最適pHを有する。
(7)各種活性化剤、阻害剤の影響
実施例1のβ-マンナナーゼ活性測定法において、以下の第3表に示す物質を基質と共に添加し、それぞれの場合の活性測定を行い、活性化または阻害の有無を調べた。その結果、マンガンイオン、N-ブロモコハク酸イミドにより阻害を受けることがわかった。
Figure 0004439641
【0045】
実施例4 単輪生の Penicillium 属微生物由来の低温での活性
10g/リットルのローカスト・ビーン・ガム、10g/リットルのバクトペプトン(ディフコ社製)、1g/リットルのイースト・エキストラクト(ディフコ社製)、2g/リットルのリン酸2水素カリウム、及び0.5g/リットルの硫酸マグネシウム・7水和物を含む培地2mlを、15mLの試験管に入れ、121℃、20分滅菌した。
単輪生のPenicillium属に属する菌株29株を、上記の試験管に植菌し、27℃、250rpmにて、5日間振盪培養した。培養液は菌体を遠心分離し、培養上清約1mlを得た。その上清を粗酵素液として40℃における酵素活性を、上記実施例1に記載の方法にて測定した。結果を第4表に示す。表中のペニシリウム属の分類は、「ザ・ジーナス・ペニシリウム・アンド・イッツ・テレオモルフィック・ステイツ・ユーペニシリウム・アンド・タラロマイセス(The Genus PENICILLIUNM and its teleomorphic states Eupenicillium and Talaromyces)」(1979)(ジョン・アイ・ビット(John I Pitt)に従った。
【表1】
Figure 0004439641
Pittらによれば、ペニシリウム属とペニシリウム属の完全世代であるユーペニシリウム属、タラロマイセス属のうち、ぺニシリの形状が単輪生を示すのはペニシリウム属アスペルギロイデス亜属とユーペニシリウム属である。第4表に示すように、単輪生のペニシリウム属のうち、ほとんどの菌株にマンナナーゼの生産が認められ、その中でもとりわけペニシリウム属のグラブラシリーズ、ユーペニシリウム属のアルタセアグループ、フラクタシリーズ、ジャパニカシリーズに顕著に反応性の高い菌株が認められた。特に、ペニシリウム・マルチカラーIFO7817、IFO5725、ペニシリウム・スクレオチオラムIFO6105は、高い活性を示した。また、本発明者が天然より分離したカビの一例としてmch33株、mch47株、mch51株は最終的に同定はしていないものの、顕微鏡での形態観察から、ペニシリウム属に属し、それらのぺニシリは単輪生のものばかりであったことを観察した。
単輪生のペニシリウム属のうち、ペニシリウム・マルチカラーIFO7817株、ユーペニシリウムジャパニカムIFO31369株については30℃〜80℃での各温度での活性を調べた。結果を図5、図6に示す。
また単輪生のPenicillium属であるペニシリウム・マルチカラーmch13−2株、IFO7817株、ペニシリウム・スクレオチオラムIFO6105株、ユーペニシリウムジャパニカムIFO31369株、ユーペニシリウム・ルビドラムIFO9703株が生産するβ-マンナナーゼは、40℃での活性を基準とした時に、30℃でも活性がそれぞれ84.7%、76.8%、94.2%、81.1%、77.2%維持されていた。単輪生のPenicillium属由来酵素は40℃での活性が高く、また30℃活性/40℃活性の比率が高かった。一方で、比較としてアスペルギルス・ニガー由来の酵素であるセルロシンGM5はその製品シートによると、30℃活性/40℃活性が56%と低いものであった。従って、本発明の酵素を用いて常温での酵素処理を行う場合、添加量が少なくてすむという有用性が明確となった。
【0046】
比較例2 複輪生の Penicillium 属微生物由来酵素の低温での活性
実施例4に記載の方法により、複輪生のPenicillium 属24株の活性を測定した。結果を第5表に示す。
【表2】
Figure 0004439641
複輪生のPenicillium 属に属する微生物が生産する酵素の40℃での活性は、単輪生のPenicillium 属に属する微生物が生産する酵素の活性に比べて低く、従って、常温でも酵素添加量を少なくできないことがわかった。
【0047】
実施例5 酵素剤の配合例
液状酵素剤:
実施例1で得られた培養上清液に、保存剤としてエタノールを10重量%、パラオキシ安息香酸エステルを0.01重量%添加して酵素剤とした。
活性は安定であり、汚染微生物の増加は抑制された。
【0048】
【発明の効果】
上述してきたように、本発明によれば、より常温に近い状態でもマンナン分解活性が高く、かつ高い比活性を有するβ-マンナナーゼ酵素、その製造法および用途を提供することができる。従って本発明は、例えばコーヒー飲料において、常温下でも多量の酵素を添加しなくても酵素反応を遂行して沈殿生成を防止することを可能とし、これにより酵素蛋白由来の異味を生じることなく、本来のコーヒーの風味を維持したコーヒー飲料の製造を可能とするものである。
従来コーヒー飲料の沈殿防止に用いられていたマンナン分解酵素はアスペルギルス・ニガー由来であり、しかもその酵素の至適温度が75〜80℃の高温であって常温における作用は低く、かつ比活性が低いものであったことから、特に、本発明で提供される単輪生ぺニシリウム属菌および単輪生ユーペニシリウム属菌由来のマンナナーゼ酵素が、このように常温においても実用的に高い活性および比活性を有していたことは当業者にとって意外なことであったと解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるβ−マンナナーゼ酵素の温度安定性を示すグラフ。
【図2】本発明によるβ−マンナナーゼ酵素のpH安定性を示すグラフ。
【図3】本発明によるβ−マンナナーゼ酵素の温度反応性を示すグラフ。
【図4】本発明によるβ−マンナナーゼ酵素のpH反応性を示すグラフ。
【図5】ペニシリウム・マルチカラーIFO7817の温度反応性を示すグラフ。
【図6】ユーペニシリウム・ジャパニカムIFO31369の温度反応性を示すグラフ。

Claims (11)

  1. 次の理化学的性質を有することを特徴とする、単輪生のペニシリウム属アスペルギロイデス亜属に属する微生物によって生産されるβ-マンナナーゼ。
    (1)作用
    β−マンナンのβ−1,4−D−マンノピラノシド結合を非特異的に加水分解して、マンノースおよびマンノオリゴ糖を生成する。
    (2)至適pH
    至適pHは5.0〜6.0である。
    (3)作用適温の範囲
    作用適温範囲は少なくとも20〜70℃である。
    (4)30℃活性/40℃活性が80%以上である。
    (5)基質特異性
    マンナン、ガラクトマンナン、グルコマンナンに特異的に作用し、アラビノキシラン、キシラン、トラガントガム、セルロース、カルボキシメチルセルロースには作用しない。
    (6)至適温度
    至適温度は60〜70℃である。
    (7)安定pH範囲
    安定pH範囲は3.0〜10.0である。
    (8)温度安定性
    温度安定性(pH5.0において)は、30℃で1時間の処理を行ったときの残存活性を100%としたとき、50℃で1時間の処理により100%の残存活性であり、60℃で1時間の処理により70%の残存活性である。
    (9)分子量
    分子量は42,000〜45,000(SDS-PAGE法)である。
  2. ペニシリウム・マルチカラーに属する微生物によって生産される、請求項1記載のβ-マンナナーゼ。
  3. ペニシリウム・マルチカラーmch13-2株(FERM BP-6831)によって生産される、請求項2記載のβ−マンナナーゼ。
  4. 次の理化学的性質を有することを特徴とするβ-マンナナーゼ。
    (1)作用
    β−マンナンのβ−1,4−D−マンノピラノシド結合を非特異的に加水分解して、マンノースおよびマンノオリゴ糖を生成する。
    (2)至適pH
    至適pHは5.0〜6.0である。
    (3)作用適温の範囲
    作用適温範囲は少なくとも20〜70℃である。
    (4)30℃活性/40℃活性が80%以上である。
    (5)基質特異性
    マンナン、ガラクトマンナン、グルコマンナンに特異的に作用し、アラビノキシラン、キシラン、トラガントガム、セルロース、カルボキシメチルセルロースには作用しない。
    (6)至適温度
    至適温度は60〜70℃である。
    (7)安定pH範囲
    安定pH範囲は3.0〜10.0である。
    (8)温度安定性
    温度安定性(pH5.0において)は、30℃で1時間の処理を行ったときの残存活性を100%としたとき、50℃で1時間の処理により100%の残存活性であり、60℃で1時間の処理により70%の残存活性である。
    (9)分子量
    分子量は42,000〜45,000(SDS-PAGE法)である。
  5. 請求項1または4に記載のβ−マンナナーゼ酵素を産生するペニシリウム属アスペルギロイデス亜属に属するペニシリウム・マルチカラーmch13-2株(FERM BP-6831)である微生物。
  6. 請求項5に記載のβ−マンナナーゼ酵素産生微生物を培養し、培養物から上記酵素を採取することを特徴とする、β−マンナナーゼの製造法。
  7. 請求項1〜4に記載のβ−マンナナーゼまたは請求項に記載の方法により製造されるβ−マンナナーゼを含んでなる、β−マンナナーゼ酵素剤。
  8. コーヒー飲料の沈殿防止剤である、請求項に記載のβ−マンナナーゼ酵素剤。
  9. 請求項1〜4に記載のβ−マンナナーゼまたは請求項に記載の方法により製造されるβ−マンナナーゼの、コーヒー飲料における沈殿生成防止のための使用。
  10. コーヒー抽出液に、請求項7または8に記載のβ−マンナナーゼ酵素剤を作用させることを特徴とする、コーヒー飲料における沈殿生成防止法。
  11. β−マンナナーゼ酵素剤を、常温で作用させることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
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