JP3070290B2 - 耐熱性アルカリキシラナーゼを生産する微生物及びその利用法 - Google Patents

耐熱性アルカリキシラナーゼを生産する微生物及びその利用法

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JP3070290B2 JP24007692A JP24007692A JP3070290B2 JP 3070290 B2 JP3070290 B2 JP 3070290B2 JP 24007692 A JP24007692 A JP 24007692A JP 24007692 A JP24007692 A JP 24007692A JP 3070290 B2 JP3070290 B2 JP 3070290B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性アルカリキシラ
ナーゼを生産する新規な微生物と該微生物の利用方法に
関する。より詳しく言うと、本発明は、耐熱性アルカリ
キシラナーゼを生産する微生物であるバチルス(Bacill
us)属に属するバチルス エスピーBX−1(微工研菌
寄第13052号)、バチルス エスピーBX−2(微
工研菌寄第13053号)、バチルス エスピーBX−
3(微工研菌寄第13054号)、バチルス エスピー
BX−4(微工研菌寄第13055号)と、該耐熱性ア
ルカリキシラナーゼ生産菌による耐熱性アルカリキシラ
ナーゼの製造方法、ならびに耐熱性アルカリキシラナー
ゼ生産菌及び/または該微生物の生産する耐熱性アルカ
リキシラナーゼによるパルプの漂白方法に関する。
【0002】キシラナーゼは、ヘミセルロース中のキシ
ランを分解する酵素であるが、今まであまり有効な利用
法が開発されていなかった。しかし、クラフトパルプを
キシラナーゼで処理すると漂白性が向上し、パルプの漂
白工程で用いる塩素等の薬品や排液中のAOXが削減で
きることや、機能性オリゴ糖の有用性が明らかにされて
以来、キシラーゼは注目されるようになった酵素であ
る。
【0003】
【従来の技術】パルプ製造工程に於いては、クラフト蒸
解を始めとしてアルカリ条件や高温条件での処理が多
く、従って酵素処理を紙パルプ製造工程中で効率よく実
施するために耐熱性で耐アルカリ性のキシラナーゼが求
められている。このような耐熱性アルカリキシラナーゼ
を用いることができれば、pH調整のための薬品が削減
できるとともに、反応を高温およびアルカリの条件で行
なうことができるため雑菌の繁殖も防ぐことができる。
【0004】キシラーゼを生産する微生物としては、キ
シラナーゼの総説(Microbiological Reviews Sept., 3
05,1988 )などによるとアスペルギルス(Aspergillus
)属、トリコデルマ(Trichoderma )属、アウレオバ
シデウム(Aureobasidium )属、ストレプトマイセス
(Streptomyces)属、スエヒロタケ(Schizophyllum co
mmune )等の糸状菌、バチルス(Bacillus)属やクロス
トリジウム(Clostridium)等の細菌類等数多くの微生
物が知られているがほとんどが酸性乃至中性で活性を有
するキシラナーゼを生産するものであり、アルカリキシ
ラナーゼを生産する微生物についてはバチルス(Bacill
us)属(System.Appl.Microbiol.,8,152,1986,Appl.Mic
robiol.and Biotechnol.,19,335,1984)、アエロモナス
(Aeromonas)属(Agric. Biol.Chem.,40,3037,1985),
ストレプトマイセス(Streptomyces)属(Biotechnol.L
et.,12,225,1990 )等に属する一部の菌株しか知られて
ない。
【0005】またパルプにキシラナーゼを作用させ、漂
白薬品やAOXを低減させようとする試みについてもい
くつか報告されており、例えばViikali et.al Bleachi
ng with enzymes, 3rd international conference on
biotechnology in the pulpand paper industry p.67
1988 、特開平2−210086号公報、特開平2−2
21482号公報、特開平2−264087号公報、特
開平2−293486号公報、特開平3−40887号
公報、特開平3−505785号公報などがあるが、こ
れらはすべて酸性キシラナーゼに関するものである。
【0006】一方、アルカリ性キシラナーゼを用いたも
のとしては、例えばノボ社のPulpzyme HB がありL.S.Pe
derson et.al" Bleach boosting of kraft pulp using
alkaline hemicellulase", Production of bleached ch
emical pulp in the futureinternational pulp bleach
ing conference 1991,Vol.2 p.107 および紙パルプ技
術タイムズ, 5 ,20-25,1992などで報告されているが、
本酵素は至適pHが中性から弱アルカリでありpH9で
は活性がほとんどない。
【0007】他にアルカリ性キシラナーゼを用いた例と
しては"Stefan Hogman et.al" Bleachability improvem
ent of softwood kraft pulp through treatment with
an alkali and thermostable xylanase", 5th internat
ional conference on biotechnology in the pulp and
paper industry 1992 p.5 があり、針葉樹酸素晒クラフ
トパルプを至適pHが9、至適温度が65℃のアルカリ
キシラナーゼを用いて処理すると、カッパー価が17.
1から15.6に低下することを示している。
【0008】また、Viikali et.al "Important propert
ies of xylanases for use in thepulp and paper indu
stry", 5th international conference on biotechnolo
gyin the pulp and paper industry 1992 p.4 は、pH
5〜8、温度が50〜80℃でバチルス ステアロサー
モフィラス(Bacillus stearothermophilus )由来のア
ルカリキシラナーゼを用いて広葉樹未晒クラフトパルプ
を処理することにより、化学漂白における塩素ガスを2
5%低減出来ることを示している。
【0009】なお、キシラナーゼは一般的にキシランを
炭素源としたとき最も生産性が高く、また生産性は落ち
るがキシランを含むような小麦ふすま等の農産廃棄物や
パルプ、バガス等の植物繊維等の炭素源を用いて生産す
ることもできる。しかしキシランを含まないグルコース
などではほとんど生産しない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】アルカリ及び高温条件
の多い紙パルプ製造工程においては、酸性のキシラナー
ゼを使うにあたっては、温度やpHを酵素反応が可能な
範囲まで下げ、更に酵素反応中の温度及びpHを制御す
る必要がある。また工程によっては酵素反応終了後に更
にアルカリを加えて従来のpHに戻したり、温度を高く
することが必要になるため、多大な薬品やエネルギー、
および設備が必要となる。
【0011】もし、耐熱性アルカリキシラナーゼを用い
ることができれば、温度やpHの調整、制御が不要にな
るため、従来の製造ラインに効率よくキシラナーゼ処理
を組み込むことができる。しかし、現在容易に入手でき
るキシラナーゼは酸性、乃至中性の中温キシラナーゼで
ある。これらのキシラナーゼはアルカリ性や高温におい
ては極めて不安定であるため、アルカリ、高温での反応
に用いることはできない。
【0012】70℃以上を至適反応温度とする耐熱性ア
ルカリキシラナーゼについては市販されておらず入手が
困難であり、またその生産菌としてもバチルス(Bacill
us)属等に属する一部の菌株が知られているにすぎな
い。またキシラナーゼはキシラン及びキシランを含む炭
素源を用いて生産できるが、キシランは高価であり、経
済的に効率よくキシラナーゼを生産させるには、グルコ
ースなどのキシラン以外の安価な炭素源でも生産できる
アルカリキシラナーゼ生産菌が望まれている。
【0013】以上のことから、本発明は、耐熱性アルカ
リキシラナーゼを生産する新規な微生物を提供すること
を目的とするものである。
【0014】
【課題を解決しようとする手段】本発明者らは、耐熱性
と耐アルカリ性を有するキシラナーゼ生産菌を求め、鋭
意広範なスクリーニングを行なった結果、パルプ工場内
の土壌から耐熱性及び耐アルカリ性において優れた性質
を有する耐熱性アルカリキシラナーゼを生産する好アル
カリ性バチルス(Bacillus)属に属する菌株を見いだし
た。
【0015】本発明は、耐熱性アルカリキシラナーゼを
生産する微生物であるバチルス(Bacillus)属に属する
バチルス エスピーBX−1(Bacillus sp.BX-1) 、バ
チルス エスピーBX−2(Bacillus sp.BX-2) 、バチ
ルス エスピーBX−3(Bacillus sp.BX-3) 、バチル
ス エスピーBX−4(Bacillus sp.BX-4) と、該耐熱
性アルカリキシラナーゼ生産菌による耐熱性アルカリキ
シラナーゼの製造方法、ならびに該微生物の生産する耐
熱性アルカリキシラナーゼによるパルプの漂白方法に関
する。
【0016】本発明の本菌株は、全て1%の炭酸ナトリ
ウムを含むアルカリ培地(グルコースまたはキシラン
1.0、ペプトン0.5 、酵母抽出物0.5 、K2HPO4 0.1 、M
gSO4・7H2O 0.02、 Na2CO3 1.0 、pH10.3の各成分組成
の数値は重量%を示す。以下も同様。)でよく生育す
る。本菌株の菌学的性質は次の通りである。
【0017】まず(a)形態的性質について、(1)バ
チルス エスピーBX−1、バチルスエスピーBX−
2、バチルス エスピーBX−3、バチルス エスピー
BX−4はいずれも形態は桿菌であり、大きさはバチル
ス エスピーBX−1は2.5〜5×0.3〜0.7μ
m、バチルス エスピーBX−2は2.5〜5×0.4
〜0.7μm、バチルス エスピーBX−3は2.5〜
5.5×0.4〜0.7μm、バチルスエスピーBX−
4は2.5〜5×0.4〜0.7μmである。(2)バ
チルス エスピーBX−1、バチルス エスピーBX−
2、バチルス エスピーBX−3、バチルス エスピー
BX−4は、いづれも卵型の端立内性胞子(1.0〜
2.5×0.4〜1.0μm)を作り、(3)運動性を
有する。(4)バチルス エスピーBX−1、バチルス
エスピーBX−2、バチルス エスピーBX−3は単
細胞であるが、数個の連鎖状になることがある。バチル
ス エスピーBX−3については単細胞であるが、連鎖
が数十におよぶことがある。
【0018】(5)バチルス エスピーBX−1、バチ
ルス エスピーBX−2、バチルスエスピーBX−3、
バチルス エスピーBX−4のグラム染色性は陽性ある
いは不定。
【0019】(b)各種培地における生育状態等は以下
のようである(以下培地中の成分組成を示す数値は重量
%)。 (1)肉汁寒天平板培地(Difco nutrient broth 0.8、
寒天1.5 、Na2CO3 1.0、 pH10.3 )でバチルス エスピ
ーBX−1、バチルス エスピーBX−2、バチルス
エスピーBX−3、バチルス エスピーBX−4とも良
く生育する。4菌株ともコロニーの形状は円形または不
規則表面は円滑であるが生育に従って粗野になり、周縁
は円滑であるが生育に従って不規則になる。色調はバチ
ルス エスピーBX−1、バチルス エスピーBX−
2、バチルス エスピーBX−4は淡黄土色の不透明で
光沢はやや鈍い。バチルス エスピーBX−3はやや白
く透明で光沢がある。
【0020】(2)NaClを7.5%含む肉汁寒天平板培
地(Difco nutrient broth 0.8、NaCl 7.5、寒天1.5 、
Na2CO3 1.0、 pH10.3 )でバチルス エスピーBX−
1、バチルス エスピーBX−2、バチルス エスピー
BX−3、バチルス エスピーBX−4とも良く生育す
る。
【0021】(3)NaClを12%含む肉汁寒天平板培地
(Difco nutrient broth 0.8、NaCl12、寒天1.5 、Na2C
O3 1.0、 pH10.3 )ではバチルス エスピーBX−1、
バチルス エスピーBX−2、バチルス エスピーBX
−3、バチルス エスピーBX−4とも生育が悪い。
【0022】(4)肉汁寒天平板培地(Difco nutrient
broth 0.8、寒天1.5 、pH7.0 )では バチルス エス
ピーBX−2と バチルス エスピーBX−3は生育す
るが、バチルス エスピーBX−1とバチルス エスピ
ーBX−4は生育が悪い。
【0023】(5)肉汁ゼラチン培地(Difco beef ext
ract 1.0、ペプトン 1.0、 NaCl 0.5 、ゼラチン 12.0
、 Na2CO3 1.0 、pH10.3) ではバチルス エスピーB
X−1、バチルス エスピーBX−2、バチルス エス
ピーBX−3、バチルス エスピーBX−4とも生育
し、液化する。次表に(c)生理学的性質を示す
【0024】
【表】 表 1 エスピー エスピー エスピー エスピー BX−1 BX−2 BX−3 BX−4 (1)硝酸塩の還元 + − + − (2)VPテスト + + + + (3)インドールの生成 − − − − (4)硫化水素の生成 − − − − (5)澱粉の加水分解 + + + + (6)クエン酸の利用 Koser − − − − Christensen + + + + (7)オキシダーゼ + + + + (8)カタラーゼ + + + + (9)糖類の利用 アラビノース + + + + ガラクトース + + + + グルコース + + + + マルトース + + + − マンニトール + + + + マンノース + + + − シュクロース + + + + キシロース +− +− +− +−
【0025】ガスの発生はバチルス エスピーBX−
1、バチルス エスピーBX−2、バチルス エスピー
BX−3、バチルス エスピーBX−4とも認められな
かった。
【0026】(10)バチルス エスピーBX−1、バチル
ス エスピーBX−2、バチルスエスピーBX−3、バ
チルス エスピーBX−4とも生育の温度範囲は20〜
55℃、生育至適温度は40〜50℃である。
【0027】(11)バチルス エスピーBX−1、バチル
ス エスピーBX−2、バチルスエスピーBX−3、バ
チルス エスピーBX−4とも生育のpH範囲は6〜1
2、生育至適pHは9〜10.5である。
【0028】(12)GC含量はバチルス エスピーBX−
1は49.4%、バチルス エスピーBX−2は43.
1%、バチルス エスピーBX−3は43.8%、バチ
ルスエスピーBX−4は51.1%であった。
【0029】以上の菌学的性質についてBergy's Manual
of Systematic Bacteriology を参考にして検討した結
果、これら4菌株は胞子を形成する好気性のグラム陽性
桿菌であり、カタラーゼ陽性であることからバチルス
(Bacillus)属に属することは明かであるが種別につい
ては該当するものがなく、これらの菌株は新菌株である
と判断した。
【0030】これらの菌株をバチルス エスピーBX−
1、バチルス エスピーBX−2、バチルス エスピー
BX−3、バチルス エスピーBX−4と命名し、微生
物工業技術研究所に寄託した。受託番号は、バチルス
エスピーBX−1(Bacillussp.BX-1)は微工研菌寄第1
3052号、バチルス エスピーBX−2(Bacillussp.
BX-2)は微工研菌寄第13053号、バチルス エスピ
ーBX−3(Bacillussp.BX-3)は微工研菌寄第1305
4号、バチルス エスピーBX−4(Bacillussp.BX-4)
は微工研菌寄第13055号である。
【0031】既知であるバチルス(Bacillus)属のアル
カリキシラナーゼ生産菌C−125(System. Appl.Mic
robiol.8,152,1986 )と本発明を比較するとC−125
はVPテストが陰性であるのに対しバチルス エスピー
BX−1、バチルス エスピーBX−2、バチルス エ
スピーBX−3、バチルス エスピーBX−4は全て陽
性であること、またC−125はアルカリキシラナーゼ
生産量が本発明の1/100程度であることよりバチル
ス エスピーBX−1、バチルス エスピーBX−2、
バチルス エスピーBX−3、バチルス エスピーBX
−4とC−125は明らかに異なる菌株である。
【0032】また、既知であるバチルス(Bacillus)属
の耐熱性アルカリキシラナーゼ生産菌(Appl.Microbio
l. and Biotechnol., 19,335,1984)W1、W2、W
3、W4と比較するとW2、W4はオキシダーゼが陰性
であるのに対し、バチルス エスピーBX−1、バチル
ス エスピーBX−2、バチルス エスピーBX−3、
バチルスエスピーBX−4は全てオキシダーゼ陽性であ
る。
【0033】W1、W2、W3、W4とも12%NaC
lを含む培地で生育するのに対し、バチルス エスピー
BX−1、バチルス エスピーBX−2、バチルス エ
スピーBX−3、バチルス エスピーBX−4は全て生
育しない。
【0034】W1、W2、W3、W4とも中立胞子であ
るのに対し、バチルス エスピーBX−1、バチルス
エスピーBX−2、バチルス エスピーBX−3、バチ
ルスエスピーBX−4は全て端立胞子である。
【0035】以上のことから本発明のバチルス エスピ
ーBX−1、バチルス エスピーBX−2、バチルス
エスピーBX−3、バチルス エスピーBX−4は、既
知のアルカリキシラナーゼ生産菌であるバチルス(Baci
llus)属のW1、W2、W3、W4と明らかに異なる菌
株である。
【0036】これらの新菌株を培養することで耐熱性ア
ルカリキシラナーゼを生産することができる。炭素源、
窒素源は資化して耐熱性アルカリキシラナーゼを生産す
ることのできるものであればいずれも用いることができ
る。例えば炭素源としては、キシランやキシランを含む
ような小麦ふすま等の農産廃棄物やパルプ、バガス等の
植物繊維等のほかキシランを含まないような廃糖蜜や澱
粉、グルコースなどの単糖類を使用することができる。
例えば窒素源としては酵母エキス、ペプトン、各種アミ
ノ酸、大豆、コーンスティープリカー、各種無機窒素等
の窒素化合物を用いることができる。また、各種の塩類
やビタミン、ミネラル等を用いることができる。
【0037】培養温度およびpHは菌が生育しアルカリ
セルラーゼを生産する範囲であればいずれでも良く培養
温度は20〜55℃、好ましくは40〜50℃でpHは
6〜12、好ましくは9〜10.5である。本発明の微
生物を培養した後、菌体を分離し、培養濾液をそのまま
耐熱性アルカリキシラナーゼ粗酵素液として使用するこ
とができる。こうして得られた耐熱性アルカリキシラナ
ーゼは至適反応温度が50〜70℃、至適pHが7〜1
1.5である。
【0038】また、透析、塩析、限外濾過、凍結乾燥等
の手段により、粗酵素を濃縮、あるいは固体化すること
ができる。さらに、粗酵素をゲル濾過による分子量分画
や各種イオン交換樹脂、ハイドロキシアパタイト、等電
点分画等により精製することができる。
【0039】化学パルプ及び機械パルプ製造工程におい
て、パルプに対し本発明の耐熱性アルカリキシラナーゼ
処理を行うことで漂白を行なうことができる。該キシラ
ーゼによる漂白処理の前後に、さらに化学漂白やアルカ
リ抽出を組み入れることでパルプの漂白を行なうことが
できる。アルカリキシラナーゼ処理は2回以上に分けて
行うこともできる。
【0040】次に実施例を示すが、本発明はこれらによ
って限定されるものではない。
【実施例1】キシラン(カバ材由来、シグマ社製)1.0
%、ペプトン0.5%、酵母抽出物0.5%、K2HPO4 0.1
%、MgSO4 ・7H2O 0.02%、 Na2CO3 1.0%、pH 10.
3の液体培地にバチルス エスピーBX−1、バチルス
エスピーBX−2、バチルス エスピーBX−3、バ
チルス エスピーBX−4をそれぞれ植菌し、45℃で
24時間培養した。培養終了後、遠心分離(10,000rpm
×10min.)して培養上清を分離し、耐熱性アルカリキシ
ラナーゼを得た。
【0041】培養上清中の耐熱性アルカリキシラナーゼ
を次の方法により測定した。1%キシラン溶液(ブナ材
キシラン、シグマ社製 pH8.0、1/10 McIlvai
ne Buffer)200μlに酵素溶液50μlを添加し、
70℃にて10分間反応させる。DNS試薬を500μ
l添加して5分間煮沸した後直ちに氷冷し、4mlの蒸
留水を加えて500nmの吸光度を測定する。検量線は
濃度既知のキシロースを用いて作製する。キシラナーゼ
活性は上記の条件で1分間に1μmolの還元糖を生成
する酵素量を1Unit(ユニット)とする。その結果、培
養上清中の耐熱性アルカリキシラナーゼ活性はバチルス
エスピーBX−1は、51U/ml、バチルス エス
ピーBX−2は37U/mlバチルス エスピーBX−
3は34U/ml、バチルス エスピーBX−4は31
U/mlであった。
【0042】
【実施例2】グルコース1.0%、ペプトン0.5%、酵母
抽出物0.5%、K2HPO4 0.1%、MgSO4 ・7H2O 0.02
%、 Na2CO3 1.0%、pH10.3の液体培地にバチルスエ
スピーBX−1、バチルス エスピーBX−2、バチル
ス エスピーBX−3、バチルス エスピーBX−4を
それぞれ植菌し、45℃で24時間培養した。 培養終
了後、遠心分離(10,000rpm ×10min.)して培養上清を
分離し、耐熱性アルカリキシラナーゼを得た。培養上清
中の耐熱性アルカリキシラナーゼを実施例1と同様に測
定した結果、バチルス エスピーBX−1は、31U/
ml、バチルス エスピーBX−2は20U/ml、バ
チルス エスピーBX−3は18U/ml、バチルス
エスピーBX−4は14U/mlであった。
【0043】
【実施例3】キシラン(カバ材由来、シグマ社製)1.0
%、ペプトン0.5%、酵母抽出物0.5%、K2HPO4 0.1
%、MgSO4 ・7H2O 0.02%、pH 7.0の液体培地にバチ
ルスエスピーBX−1、バチルス エスピーBX−2、
バチルス エスピーBX−3、バチルス エスピーBX
−4をそれぞれ植菌し、45℃で24時間培養した。培
養終了後、遠心分離(10,000rpm ×10min.)して培養上
清を分離し、耐熱性アルカリキシラナーゼを得た。培養
上清中の耐熱性アルカリキシラナーゼを実施例1と同様
に測定した結果、バチルス エスピーBX−1は33U
/ml、バチルス エスピーBX−2は23U/ml、
バチルス エスピーBX−3は17U/ml、バチルス
エスピーBX−4は18U/mlであった。
【0044】
【実施例4】グルコース1.0%、ペプトン0.5%、酵母
抽出物0.5%、K2HPO4 0.1%、MgSO4 ・7H2O 0.02
%、pH7.0 の液体培地にバチルス エスピーBX−1、
バチルス エスピーBX−2、バチルス エスピーBX
−3、バチルス エスピーBX−4をそれぞれ植菌し、
45℃で24時間培養した。培養終了後、遠心分離(1
0,000rpm ×10min.)して培養上清を分離し、耐熱性ア
ルカリキシラナーゼを得た。培養上清中の耐熱性アルカ
リキシラナーゼを実施例1と同様に測定した結果、バチ
ルス エスピーBX−1は30U/ml、バチルス エ
スピーBX−2は20U/ml、バチルス エスピーB
X−3は17U/ml、バチルス エスピーBX−4は
15U/mlであった。
【0045】
【実施例5】 <耐熱性アルカリキシラナーゼ処理によるパルプ漂白性
の向上>広葉樹未晒クラフトパルプに実施例1で得られ
た耐熱性アルカリキシラナーゼをそれぞれパルプ絶乾重
量あたり10U添加しパルプ濃度3%、pH9、60℃
にて4時間反応させる。反応終了後、塩素−アルカリ抽
出−次亜塩素酸塩−二酸化塩素の順で常法により漂白を
行なった。
【0046】その結果、酵素処理しないものに比べ、白
色度を低下させること無く塩素量をバチルス エスピー
BX−1の耐熱性アルカリキシラナーゼでは26%、バ
チルス エスピーBX−2の耐熱性アルカリキシラナー
ゼでは24%、バチルス エスピーBX−3の耐熱性ア
ルカリキシラナーゼでは26%、バチルス エスピーB
X−4の耐熱性アルカリキシラナーゼでは25%削減す
ることができた。
【0047】
【発明の効果】本発明は耐熱性アルカリキシラナーゼを
生産する新規微生物を提供したものある。本発明によ
り、耐熱性アルカリキシラナーゼを生産できることが可
能になり、耐熱性アルカリキシラナーゼの工業的生産に
貢献するとともに、紙パルプ製造において塩素等の薬品
節減、排水中のAOX節減などに貢献することができた
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:07) (56)参考文献 Agric.Biol.Chem., vol.49,no.11(1985)p.3165 −3169 J.Ferment.Techno l.,vol.64,no.5(1985) p.373−377 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) WPI(DIALOG) BIOSIS(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性アルカリキシラナーゼを生産する
    微生物であるバチルス(Bacillus)属に属する菌株バチ
    ルス エスピーBX−1、バチルス エスピーBX−
    2、バチルス エスピーBX−3、バチルス エスピー
    BX−4。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の耐熱性アルカリキシラナ
    ーゼ生産菌を培養し、該培養物から耐熱性アルカリキシ
    ラナーゼを採取することを特徴とする耐熱性アルカリキ
    シラナーゼの製造方法。
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Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Agric.Biol.Chem.,vol.49,no.11(1985)p.3165−3169
J.Ferment.Technol.,vol.64,no.5(1985)p.373−377

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