JP4432347B2 - 液体吐出装置及び液体吐出方法 - Google Patents

液体吐出装置及び液体吐出方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力発生素子が発生した圧力で押圧された液体を対象物と対向する吐出孔より対象物に向かって吐出させる液体吐出装置及び液体吐出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器等に実装されるプリント配線基板において、絶縁板上に例えば銅等の導電性金属からなるパターン配線を形成するときは、絶縁板の主面全面に成膜された金属膜上に感光性樹脂を成膜し、この感光性樹脂にフォトリソグラフィ技術を施すことで所望の回路パターンからなるレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして金属膜をエッチングすることでパターン配線を形成している。そして、このようなパターン配線の形成方法では、例えば感光性樹脂成膜行程、回路パターンマスクの準備、露光行程、現像行程、エッチング処理等、様々な工程が必要であり、中には煩わしい作業が行われる工程もあって製造歩留まりが悪くなることがある。
【0003】
そこで、最近では、液体吐出装置等を使用することで、上述したような煩わしい作業を行うことなく、絶縁板上にパターン配線や、簡単な半導体回路等を形成する技術が着目されている。具体的には、低ランニングコスト、装置の小型化等が可能なインクジェット方式のプリンタ装置を用いて、パターン配線を形成する技術が着目されている(特許文献1を参照)。
【0004】
このインクジェット方式を用いたプリンタ装置では、例えば複数種の液体がそれぞれ充填されたカートリッジからヘッドチップに複数設けられた液室の一つに供給され、液室に供給された液体を、液室内に配置された発熱抵抗体等で加熱し、発熱抵抗体上の液体に気泡を発生させ、この気泡が割れて消えるときのエネルギーにより液体を各液室に設けられた微小な吐出孔より液滴として吐出させて対象物に着弾させ、対象物に画像や文字等を印刷させる。インクジェット方式のプリンタ装置の中には、カートリッジが装着され、且つ液滴を吐出させるヘッドチップを備えるヘッド部を、液滴が着弾される対象物の主面と略平行な面内に絶えず吐出孔が位置するように移動させながら吐出孔より液滴を吐出して対象物に着弾させるシリアル型のプリンタ装置がある。
【0005】
そして、このシリアル型のプリンタ装置は、ヘッドチップの吐出孔と対向する位置に保持されている対象物にヘッド部が所定の方向に移動しながら液滴を吐出、着弾させ、これを繰り返すことで対象物の主面に印刷する。
【0006】
具体的に、シリアル型のプリンタ装置を用いてパターン配線を形成する場合、予め導体材料等を溶解した液体を充填したカートリッジをヘッド部に装着し、このヘッド部を移動させながら吐出対象物となる絶縁板の主面にヘッドチップの吐出孔より所望の回路パターンとなるように液滴を吐出することで、絶縁板の主面にパターン配線が形成される。すなわち、絶縁板の主面にパターン配線が印刷される。
【0007】
このように、シリアル型のプリンタ装置を用いてパターン配線を形成した場合、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてパターン配線を形成するのに比べて製造工程が簡略化され、且つ僅かな製造装置で同様のパターン配線を形成することができることから、製造歩留まりの向上及び低コスト化を図れる。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−324966号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、シリアル型のプリンタ装置を用いたパターン配線の形成方法では、例えば多層プリント配線基板の主面にパターン配線を形成する場合、下層に形成されたパターン配線の凹凸が最上層のパターン配線を形成させる主面にも現れてしまい、パターン配線を適切に形成することが困難になる。すなわち、この方法では、凹凸のある主面にシリアル型のプリンタ装置でパターン配線を適切に印刷することが困難であり、断線したパターン配線が形成される虞がある。
【0010】
これは、図22(A)及び図22(B)に示すように、例えばヘッド部200が液滴iを吐出孔201よりプリント配線基板202に対して略垂直に吐出しても、ヘッド部200が、図22(A)及び図22(B)中矢印Sで示す方向に移動しながら液滴iを吐出し、ヘッド部200を所定の速度で移動させたときのヘッド部200の移動方向に発生する有向線分Xと、吐出孔201より液滴iを略垂直に所定の速度で吐出させたときの液滴iの吐出方向に生じる有向線分Yとを合成させた有向線分Zの方向に液滴iが吐出孔201より吐出されるからである。
【0011】
これにより、ヘッド部200より吐出された液滴iは、プリント配線基板202の主面202aに対して有向線分Zと略同方向に斜めに入射して着弾することになり、例えば吐出孔201と、主面202aより下層に形成されたパターン配線203による凸部204の基端部204aとは反対側の角部204bとを有向線分Zで結んで主面202aにできるポイントTより凸部204側の範囲、すなわち凸部204の基端部204a近傍には凸部204自体が遮蔽物となって着弾することが困難となる。すなわち、ヘッド部200より吐出された液滴iは、有向線分Zに向かって、換言すると移動するヘッド部200に近づいてくる凸部204に向かって吐出されることから、移動するヘッド部200に近づいてくる凸部204における奥側の基端部204a近傍に着弾することが困難になる。
【0012】
具体的に、例えばヘッド部200を所定の方向に速度1m/secで移動させながら、吐出孔201より液滴iを速度10m/secで吐出させた場合、液滴iが吐出孔201より吐出される吐出角度を略垂直方向に対してヘッド部200の移動方向に約5.7°傾けた状態で液滴iが吐出されることになる。そして、この場合、プリント配線基板202の主面202aに高さを約100μmとする凸部204があると、移動するヘッド部200に近づいてくる凸部204の奥側の基端部204aから約10μmの範囲に液滴iを着弾させることが困難になる。
【0013】
したがって、この方法では、隣り合うパターン配線203同士の間の距離を狭くすることが困難となってパターン配線203の集積度が低下し、プリント配線基板202が大型化、コストアップするといった問題が生じてしまう。
【0014】
このような不具合は、例えばヘッド部200を少なくとも一回以上往復させることで解決することができる。すなわち、ヘッド部200は、図22(A)に示すように、往路で近づいてくる凸部204の手前側の基端部204a近傍に液滴iを着弾させ、図22(B)に示すように、復路で近づいてくる凸部204の手前側の基端部204a近傍、すなわち往路における凸部204の奥側の基端部204a近傍に液滴iを着弾させることで、プリント配線基板202の主面202a全面に液滴iを着弾させることが可能となる。
【0015】
しかしながら、この場合、ヘッド部200を一回以上往復させて往路と復路でパターン配線203がずれることがないように高精度に形成、すなわち印刷する必要があることから製造歩留まりが低下してしまう。また、この場合、ヘッド部200を一回以上往復することでパターン配線203を印刷するのに係る時間が長くなったり、パターン配線203を印刷する液体の量が多くなったりするといった問題もある。
【0016】
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、印刷に係る時間を短縮し、且つ凹凸のある面にも適切に液体を着弾させることが可能な優れた液体吐出装置及び液体吐出方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明に係る液体吐出装置は、液体を収容する1つ以上の液室と、上記各液室に設けられ、エネルギが供給されることで上記液室に収容された上記液体を押圧する圧力を発生させる一対の圧力発生素子と、上記一対の圧力発生素子と対向し、該一対の圧力発生素子が発生した圧力が押圧した上記液体を吐出させるための吐出孔とを有する吐出手段と、上記吐出孔と対向する位置に配置された対象物を保持する保持手段と、上記対象物の主面と略平行な面内を上記吐出孔が移動するように上記吐出手段を所定の方向に移動させる移動手段と、上記一対の圧力発生素子にそれぞれ異なるエネルギ量を供給することで、上記吐出孔より吐出される上記液体の吐出方向を変化させる吐出方向制御手段とを備え、上記一対の圧力発生素子は、上記吐出手段が上記移動手段により移動される方向と同方向に並設され、上記吐出方向制御手段は、上記一対の圧力発生素子をオン又はオフの状態に制御する第1のスイッチング素子と、上記各圧力発生素子に供給されるエネルギ量を可変する制御を行う第2のスイッチング素子と、上記吐出孔より吐出される液体の吐出方向を制御する第3のスイッチング素子とを有し、上記吐出手段が上記移動手段により所定の方向に移動しながら上記液体を上記対象物の主面に吐出する際に、上記吐出方向制御手段は、上記第1のスイッチング素子を切換制御し、上記一対の圧力発生素子をオンの状態にし、上記第2のスイッチング素子及び上記第3のスイッチング素子を切換制御して、上記各圧力発生素子に供給されるエネルギ量を制御し、上記各圧力発生素子にそれぞれ異なるエネルギ量を供給して、上記吐出方向が上記吐出手段の移動する方向とは略反対方向になるように上記液体を上記吐出孔より吐出させることで、上記吐出孔より吐出された上記液体を上記対象物の主面に対して略垂直に入射させることを特徴としている。
【0018】
この液体吐出装置では、所定の方向に移動しながら液体を吐出する吐出手段が液体を、吐出手段が移動する方向とは略反対方向に吐出させることで、吐出孔より吐出された液体を、対象物の主面に対して略垂直に入射できることから、対象物の主面に液体を略均一に着弾することができる。
【0019】
本発明に係る液体吐出方法は、各液室に該液室が移動される方向と同方向に並設されて設けられた一対の圧力発生素子にエネルギを供給することで発生する圧力が上記液室に収容された液体を押圧させることで、上記液室に上記一対の圧力発生素子と対向するように設けられた上記液体を吐出させるための吐出孔より、上記吐出孔と対向するように保持された対象物の主面に上記液体を吐出する液体吐出方法において、上記対象物の主面と略平行な面内を上記吐出孔が移動するように上記液室を移動させながら、吐出方向制御手段は、上記圧力発生素子をオン又はオフの状態に制御する第1のスイッチング素子を切換制御し、上記一対の圧力発生素子をオンの状態にし、上記各圧力発生素子に供給されるエネルギ量を可変する第2のスイッチング素子及び上記吐出孔より吐出される液体の吐出方向を制御する第3のスイッチング素子を切換制御して、上記各圧力発生素子に供給されるエネルギ量を制御し、上記各圧力発生素子にそれぞれ異なるエネルギ量を供給して、上記吐出孔より吐出される上記液体の吐出方向が上記液室の移動する方向とは略反対方向になるように上記液体を上記吐出孔より吐出させることで、上記吐出孔より吐出された上記液体を上記対象物の主面に対して略垂直に入射させることを特徴としている。
【0020】
この液体吐出装方法では、液室が移動する方向とは略反対方向に液体を吐出孔より吐出させることで、吐出孔より吐出された液体を対象物の主面に対して略垂直に入射させて対象物の主面に液体を略均一に着弾することができることから、対象物の主面に液体の未着弾部ができてしまうことを防止できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された液体吐出装置について、図面を参照して説明する。図1に示す液体吐出装置1は、液体吐出対象となるプリント基板Pに対して例えば銅等の導電性金属等といった導電材料を含有する導電塗液2を吐出し、所望のパターン配線Wを印刷により形成するものである。また、この液体吐出装置1は、プリント基板Pの印刷幅方向に導電塗液2を吐出するヘッド部3を走査させながらヘッド部3より導電塗液2を吐出していくことでプリント基板Pにパターン配線Wを印刷する、いわゆるシリアル型のプリンタ装置である。
【0022】
この液体吐出装置1は、プリント基板Pの主面と略平行な面内をプリント基板Pの印刷幅方向に走査しながら導電塗液2を吐出するヘッド部3と、このヘッド部3が実装された装置本体4とを備える。液体吐出装置1におけるヘッド部3は、導電塗液2の供給源となる塗液カートリッジ5が着脱可能になっている。そして、液体吐出装置1では、ヘッド部3に対して着脱可能な塗液カートリッジ5を消耗品として交換可能になっている。
【0023】
液体吐出装置1において、ヘッド部3は、プリント基板Pの図1中矢印Aで示す搬送方向に略直交する図1中矢印Bで示すヘッド部3の走査方向に延在する走査レール6に、片持ち梁状態に支持、且つ摺動自在に支持され、プリント基板Pの搬送方向に略直交する方向に駆動する駆動ベルト7により走査方向に往復移動する。
【0024】
液体吐出装置1において、プリント基板Pの搬送は、ヘッド部3の導電塗液2の吐出位置を基準にしてプリント基板Pの搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ設けられた一対の搬送ローラ8a,8bと9a,9bとが、プリント基板Pを挟持した状態で互いに反対方向に回転することで行われる。
【0025】
このような液体吐出装置1は、ヘッド部3の導電塗液2の吐出位置と対向する位置で一対の搬送ローラ8a,8b及び9a,9bにより保持、搬送されるプリント基板Pの主面上を、ヘッド部3が導電塗液2を吐出しながらプリント基板Pの搬送方向と略直交する方向に走査されることで、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置より入力された回路パターン等をプリント基板Pの主面に印刷する。そして、液体吐出装置1は、所望の回路パターン等が印刷されたプリント基板Pを装置本体4のプリント基板Pの搬送方向に位置する側面に設けられた排出口4aより排出する。
【0026】
プリント基板Pに印刷を行うヘッド部3は、図1中矢印Cに示すように、装置本体4の上面側から装着され、一対の搬送ローラ8a,8b及び9a,9bにより搬送されるプリント基板Pに対して導電塗液2を吐出して印刷を行う。そこで、先ず、上述した液体吐出装置1を構成するヘッド部3と、このヘッド部3より着脱可能にされた塗液カートリッジ5について図面を参照して説明する。
【0027】
このヘッド部3は、例えば銅等の導電性金属等の導電材料を含有する導電塗液2を、例えば電気熱変換式又は電気機械変換式などで微細に粒子化して吐出し、プリント基板P等の被記録物上に導電塗液2を液滴状態にして吹き付ける。具体的に、ヘッド部3は、図2に示すように、本体部31を有し、この本体部31には、導電塗液2が充填された容器である塗液カートリッジ5が装着される。
【0028】
ヘッド部3に着脱可能な塗液カートリッジ5は、図2に示すように、強度や耐インク性を有するポリプロピレン等の樹脂材料等を射出成形することにより成形されるカートリッジ本体11を有している。このカートリッジ本体11は、略矩形状に形成され、内部に導電塗液2を貯留する容器である。
【0029】
具体的に、塗液カートリッジ5を構成するカートリッジ本体11には、導電塗液2を収容する塗液収容部12と、塗液収容部12からヘッド部3の本体部31に導電塗液2を供給する塗液供給部13と、外部より塗液収容部12内に空気を取り込む外部連通孔14と、外部連通孔14より取り込まれた空気を塗液収容部12内に導入する空気導入路15と、外部連通孔14と空気導入路15との間で導電塗液2を一時的に貯留する貯留部16と、外部連通孔14から外部への液漏れを防ぐシール17と、塗液カートリッジ5を本体部31に係止するための係止突部18及び係合段部19と、塗液収容部12内の導電塗液2の残量を検出するための残量検出部20と、塗液カートリッジ5が装着されているかどうかを識別するための係合突部21とが設けられている。
【0030】
塗液収容部12は、略矩形状に形成され、気密性の高い材料により導電塗液2を収容するための空間を形成している。
【0031】
塗液供給部13は、塗液収容部12の下側略中央部に設けられている。この塗液供給部13は、塗液収容部12と連通した略突形状のノズルであり、このノズルの先端が後述する本体部31の接続部37に嵌合されることにより、塗液カートリッジ5と本体部31とを接続する。
【0032】
塗液供給部13は、図3及び図4に示すように、塗液カートリッジ5の底面13aに導電塗液2を供給する供給口13bが設けられ、この底面13aに、供給口13bを開閉する弁13cと、弁13cを供給口13bの閉塞する方向に付勢するコイルバネ13dと、弁13cを開閉する開閉ピン13eとを備えている。本体部31の接続部37に接続される導電塗液2を供給する供給口13dは、図3に示すように、塗液カートリッジ5がヘッド部3の本体部31に装着される前の段階において、付勢部材であるコイルバネ13dの付勢力により弁13cが供給口13dを閉じる方向に付勢され閉塞されている。そして、塗液カートリッジ5が本体部31に装着されると、図4に示すように、開閉ピン13eがヘッド部3を構成する本体部31の接続部37の上部により図4中矢印Dで示すコイルばね13dの付勢方向とは反対の方向に押し上げられる。これにより、押し上げられた開閉ピン13eは、コイルバネ13dの付勢力に抗して弁13cを押し上げて供給口13bを開放する。このようにして、塗液カートリッジ5の塗液供給部13は、ヘッド部3の接続部37に接続され、塗液収容部12と塗液溜め部51とを連通し、塗液溜め部51への導電塗液2の供給が可能な状態となる。
【0033】
また、塗液カートリッジ5をヘッド部3側の接続部37から引き抜くとき、すなわち塗液カートリッジ5をヘッド部3の装着部32より取り外すとき、弁13cの開閉ピン13eによる押し上げ状態が解除され、弁13cは、コイルバネ13dの付勢方向に移動し、供給口13bを閉塞する。これにより、塗液カートリッジ5を本体部31に装着する直前に塗液供給部13の先端部が下方を向いている状態であっても塗液収容部12内の導電塗液2が漏れることを防止することができる。また、塗液カートリッジ5を本体部31から引き抜いたときには、直ちに弁13cが供給口13bを閉塞するので、塗液供給部13の先端から導電塗液2が漏れることを防止することができる。
【0034】
外部連通孔14は、図2に示すように、塗液カートリッジ5の外部から塗液収容部12に空気を取り込む通気口であり、塗液カートリッジ5が本体部31の装着部32に装着されたときも、外部を臨み外気を取り込むことができるように、装着部32への装着時に外部に臨む位置であるカートリッジ本体11の上面、ここでは上面略中央に設けられている。外部連通孔14は、塗液カートリッジ5が本体部31に装着されて塗液収容部12から本体部31側に導電塗液2が流下した際に、塗液収容部12内の導電塗液2が減少した分に相当する分の空気を外部より塗液カートリッジ5内に取り込む。
【0035】
空気導入路15は、塗液収容部12と外部連通孔14とを連通し、外部連通孔14より取り込まれた空気を塗液収容部12内に導入する。これにより、この塗液カートリッジ5が本体部31に装着された際に、ヘッド部3の本体部31に導電塗液2が供給されて塗液収容部12内の導電塗液2が減少し内部が減圧状態となっても、塗液収容部12には、空気導入路15により塗液収容部12に空気が導入されることから、内部の圧力が平衡状態に保たれて導電塗液2を本体部31に適切に供給することができる。
【0036】
貯留部16は、外部連通孔14と空気導入路15との間に設けられ、塗液収容部12に連通する空気導入路15より導電塗液2が漏れ出た際に、いきなり外部に流出することがないように導電塗液2を一時的に貯留する。
【0037】
この貯留部16は、短い方の対角線をプリント基板Pの主面に対して略垂直方向とした略菱形に形成され、塗液収容部12の最も下側に位置する頂部に、すなわち短い方の対角線上の下側に空気導入路15を設けるようにし、塗液収容部12より進入した導電塗液2を塗液収容部12に再び戻すことができるようにしている。また、貯留部16は、短い方の対角線上の最も下側の頂部に外部連通孔14を設けるようにし、塗液収容部12より進入した導電塗液2が外部連通孔14より外部に漏れにくくする。
【0038】
シール17は、外部連通孔14を閉塞する部材であり、外部連通孔14まで導電塗液2が逆流してしまった導電塗液2が塗液カートリッジ5の外部に漏れてしまうことを防止する。このため、シール17は、少なくとも導電塗液2を透過しないような撥水性を有する材料で形成されている。そして、このシール17は、使用時において、剥離され、塗液使用量に応じて、外気連通孔14からは、塗液収容部12内に外気を随時補充できるようにする。
【0039】
係止突部18は、塗液カートリッジ5の側面に一カ所設けられた突部であり、ヘッド部3の本体部31のラッチレバー34に形成された係合孔34aと係合する。この係止突部18は、上面が塗液収容部12の側面に対して略直交するような平面で形成されると共に、下面は側面から上面に向かって傾斜するように形成されている。
【0040】
係合段部19は、塗液カートリッジ5の係止突部18が設けられた側面の反対側の側面の上部に設けられている。係合段部19は、カートリッジ本体11の上面と一端を接する傾斜面19aと、この傾斜面19aの他端と他方の側面と連続し、上面と略平行な平面19bとからなる。塗液カートリッジ5は、係合段部19が設けられていることで、平面19bが設けられた側面の高さがカートリッジ本体11の上面より1段低くなるように形成され、この段部で本体部31の係合片33と係合する。係合段部19は、ヘッド部3の装着部32に挿入されるとき、挿入端側の側面に設けられ、ヘッド部3の装着部32側の係合片33に係合することで、塗液カートリッジ5を装着部32に装着する際の回動支点部となる。
【0041】
残量検出部20は、塗液カートリッジ5の係合段部19が設けられた側面に設けられている。残量検出部20は、塗液収容部12内に臨まされる一対の検出ピンと、塗液カートリッジ5がヘッド部3の装着部32に装着されたとき、ヘッド部3の塗液残量検出部36と電気的に接続される接点とを備える接点部材を有し、この接点部材は、カートリッジ本体11の側面の高さ方向に複数、ここでは3段並設されている。導電塗液2は、導電性を有するものであるから、塗液収容部12内に臨まされている一対の検出ピンが導電塗液2に浸漬しているとき電気抵抗値が小さくなり、導電塗液2に浸漬していないとき、電気抵抗が高くなる。すなわち、塗液収容部12内に導電塗液2が満杯のとき、全ての検出ピンは、導電塗液2に浸漬されており、全て電気抵抗値が低い状態となる。そして、導電塗液2が使用されるに連れて、検出ピンの電気抵抗値は上の段から順に高くなる。これによって、残量検出部20は、塗液収容部12内の塗液残量を検出することができる。なお、塗液収容部12の高さ方向に設ける端子板の数は、3段に限定されるものではなく、2段でもよく、また、より正確な残量検出を行う場合には、この段数を更に増やすようにすればよい。
【0042】
ところで、塗液カートリッジ5を構成するカートリッジ本体11は、塗液供給部13が設けられた底面側がヘッド部3に設けられた装着部32に係合する係合領域22となる。そして、係合領域22の一部、すなわちカートリッジ本体11の係合領域22には、係合凹部23と契合することで塗液カートリッジ5が装着されているかどうかを識別するための係合突部21が設けられている。
【0043】
次に、以上のように構成された導電塗液2を収納した塗液カートリッジ5が装着されるヘッド部3について説明する。
【0044】
ヘッド部3は、図2及び図5に示すように、本体部31を有し、この本体部31には、塗液カートリッジ5が装着される装着部32と、塗液カートリッジ5を固定する係合片33及びラッチレバー34と、塗液カートリッジ5を取り出し方向に付勢する付勢部材35と、塗液カートリッジ5内における塗液残量を検出する塗液残量検出部36と、塗液供給部13と接続されて導電塗液2が供給される接続部37と、接続部37内における導電塗液2の有無を検出する塗液検出部38,39と、走査レール6が係合されるレール孔40と、駆動ベルト7に本体部31を係止させるベルト止め部41と、導電塗液2を吐出するヘッドチップ42とを有している。
【0045】
塗液カートリッジ5が装着される装着部32は、塗液カートリッジ5が装着されるように上面を塗液カートリッジ5の挿脱口として略凹形状に形成され、この凹部に塗液カートリッジ5が収納される。これにより、本体部31には、塗液カートリッジ5が収納装着される。
【0046】
以上のように塗液カートリッジ5が装着される装着部32の開口端には、係合片33が設けられている。この係合片33は、走査レール6と略平行な装着部32の端縁の一方に設けられており、塗液カートリッジ5の係合段部19と係合する。塗液カートリッジ5は、係合段部19側を挿入端として斜めに装着部32内に挿入し、係合段部19と係合片33との係合位置を回動支点として、塗液カートリッジ5の係合段部19が設けられていない側を装着部32側に回動させるようにして装着部32に装着することができる。これによって、塗液カートリッジ5は、装着部32に容易に装着することができ、また、挿入端となる側面に設けられている残量検出部20が本体部31の側面とこすれることをなくし、残量検出部20の保護を図っている。
【0047】
ラッチレバー34は、板バネを折曲して形成されるものであり、装着部32の係合片33に対して反対側の側面、すなわち走査レール6と略平行な装着部32の端縁の他方に設けられている。ラッチレバー34は、基端部が装着部32の底面側に一体的に設けられ、先端側がこの装着部32の端縁に対して近接離間する方向に弾性変位するように形成され、先端側に係合孔34aが形成されている。ラッチレバー34は、塗液カートリッジ5が装着部32に装着されると同時に、弾性変位し、係合孔34aが塗液カートリッジ5の係止突部18と係合し、装着部32に装着された塗液カートリッジ5が装着部32より脱落しないようにする。
【0048】
付勢部材35は、塗液カートリッジ5の係合段部19に対応する側面側の底面上に塗液カートリッジ5を取り外す方向に付勢する板バネを折曲して設けられる。付勢部材35は、折曲することにより形成された頂部を有し、底面に対して近接離間する方向に弾性変位し、頂部で塗液カートリッジ5の底面を押圧し、装着部32に装着されている塗液カートリッジ5を装着部32より取り外す方向に付勢するイジェクト部材である。付勢部材35は、ラッチレバー34の係合孔34aと係止突部18との係合状態が解除されたとき、装着部32より塗液カートリッジ5を排出する。
【0049】
塗液残量検出部36は、塗液カートリッジ5内の導電塗液2の残量を段階的に検出するものであり、塗液カートリッジ5が装着部32に装着されたとき、塗液カートリッジ5内の側面の高さ方向に並設された残量検出部20に接触し電気的に接続される。塗液残量検出部36は、塗液カートリッジ5側へ付勢する図示しない付勢部材により押圧されており、塗液カートリッジ5が装着されたとき、塗液カートリッジ5の残量検出部20に密着され確実に残量検出部20と電気的に接続される。
【0050】
装着部32の略中央付近には、塗液カートリッジ5が装着部32に装着されたとき、塗液カートリッジ5の塗液供給部13が接続される接続部37が設けられている。この接続部37は、装着部32に装着された塗液カートリッジ5の塗液供給部13から本体部31の底面に設けられた導電塗液2を吐出するヘッドチップ42に導電塗液2を供給する塗液供給路となる。
【0051】
具体的に、接続部37は、図6に示すように、塗液カートリッジ5から供給される導電塗液2を溜める塗液溜め部51と、接続部37に連結される塗液供給部13をシールするシール部材52と、導電塗液2内の不純物を除去するフィルタ53と、ヘッドチップ42側への供給路を開閉する弁機構54とを有している。
【0052】
塗液溜め部51は、塗液供給部13と接続され塗液カートリッジ5から供給される導電塗液2を溜める空間部である。
【0053】
シール部材52は、塗液溜め部51の上端に設けられた部材であり、塗液カートリッジ5の塗液供給部13が接続部37の塗液溜め部51に接続されるとき、導電塗液2が外部に漏れないよう塗液溜め部51と塗液供給部13との間を密閉する。
【0054】
フィルタ53は、塗液カートリッジ5の着脱時等に導電塗液2に混入してしまった塵や埃等のごみを取り除くものであり、塗液検出部38,39よりも下部に設けられている。
【0055】
弁機構54は、図7及び図8に示すように、塗液溜め部51から導電塗液2が供給される塗液流入路61と、塗液流入路61から導電塗液2が流入する塗液室62と、塗液室62から導電塗液2を流出する塗液流出路63と、塗液室62を塗液流入路61側と塗液流出路63側との間に設けられた開口部64と、開口部64を開閉する弁65と、弁65を開口部64の閉塞する方向に付勢する付勢部材66と、付勢部材66の強さを調節する負圧調整ネジ67と、弁65と接続される弁シャフト68と、弁シャフト68と接続されるダイアフラム69とを有する。
【0056】
塗液流入路61は、塗液溜め部51を介して塗液カートリッジ5の塗液収容部12内の導電塗液2をヘッドチップ42に供給可能に塗液収容部12と連結する供給路である。塗液流入路61は、塗液溜め部51の底面側から塗液室62まで設けられている。塗液室62は、塗液流入路61、塗液流出路63及び開口部64と一体となって形成された略直方体をなす空間部であり、塗液流入路61から導電塗液2が流入し、開口部64を介して塗液流出路63から導電塗液2を流出する。塗液流出路63は、塗液室62から開口部64を介して導電塗液2が供給されて、更にヘッドチップ42と連結された供給路である。塗液流出路63は、塗液室62の底面側からヘッドチップ42まで延在されている。
【0057】
弁65は、開口部64を閉塞して塗液流入路61側と塗液流出路63側とを分割する弁であり、塗液室62内に配設される。弁65は、付勢部材66の付勢力と、弁シャフト68を介して接続されたダイアフラム69の復元力と、塗液流出路63側の導電塗液2の負圧によって上下に移動する。弁65は、下端に位置するとき、塗液室62を塗液流入路61側と塗液流出路63側とを分離するように開口部64を閉塞し、塗液流出路63への導電塗液2の供給を遮断する。弁65は、付勢部材66の付勢力に抗して上端に位置するとき、塗液室62を塗液流入路61側と塗液流出路63側とを遮断せずに、ヘッドチップ42へ導電塗液2の供給を可能とする。なお、弁65を構成する材質は、その種類を問わないが、高い閉塞性を確保するため例えばゴム弾性体、いわゆるエラストマーにより形成される。
【0058】
付勢部材66は、例えば圧縮コイルバネ等であり、弁65の上面と塗液室62の上面との間で負圧調整ネジ67と弁65とを接続し、付勢力により弁65を開口部64の閉塞する方向に付勢する。負圧調整ネジ67は、付勢部材66の付勢力を調整するネジであり、負圧調整ネジ67を調整することで付勢部材66の付勢力を調整することができるようにしている。これにより、負圧調整ネジ67は、詳細は後述するが開口部64を開閉する弁65を動作させる導電塗液2の負圧を調整することができる。
【0059】
弁シャフト68は、一端に接続された弁65と、他端に接続されたダイアフラム69とを連結して運動するように設けられたシャフトである。ダイアフラム69は、弁シャフト68の他端に接続された薄い弾性板である。このダイアフラム69は、塗液室62の塗液流出路63側の一主面と、外気と接する他主面とからなり、大気圧と導電塗液2の負圧により外気側と塗液流出路63側に弾性変位する。
【0060】
以上のような弁機構54では、図7に示すように、弁65が付勢部材66の付勢力とダイアフラム69の付勢力とによって塗液室62の開口部64を閉塞するように押圧されている。そして、ヘッドチップ42から導電塗液2が吐出された際に、開口部64分割された塗液流出路63側の塗液室62の導電塗液2の負圧が高まると、図8に示すように、導電塗液2の負圧によりダイアフラム69が大気圧により押し上げられて、弁シャフト68と共に弁65を付勢部材66の付勢力に抗して押し上げる。このとき、塗液室62の塗液流入路61側と塗液流出路63側と間の開口部64が開放され、導電塗液2が塗液流入路61側から塗液流出路63側に供給される。そして、導電塗液2の負圧が低下してダイアフラム69が復元力により元の形状に戻り、付勢部材66の付勢力により弁シャフト68と共に弁65を塗液室62が閉塞するように引き下げる。以上のようにして弁機構54では、導電塗液2を吐出する度に導電塗液2の負圧が高まると、上述の動作を繰り返す。
【0061】
また、この接続部37では、塗液収容部12内の導電塗液2が塗液室62に供給されると、塗液収容部12内の導電塗液2が減少するが、このとき、空気導入路15から外気が塗液カートリッジ5内に入り込む。塗液カートリッジ5内に入り込んだ空気は、塗液カートリッジ5の上方に送られる。これにより、液滴iが後述するノズル74aから吐出される前の状態に戻り、平衡状態となる。このとき、空気導入路15内に導電塗液2がほとんどない状態で平衡状態となる。
【0062】
塗液検出部38,39は、図6に示すように、それぞれ塗液カートリッジ5の塗液供給部13に接続される接続部37内の導電塗液2の有無を検出する一対の導電性を有する線状部材からなり、先端部が接続部37内に臨ませるように配設されている。塗液検出部38,39は、接続部37の塗液溜め部51の側面に接続部37の内部から外部に貫通するように設けられ、それぞれヘッドチップ42に接続されている。塗液検出部38,39の先端部は、接続部37内におけるフィルタ53よりも上部に設けられている。これは、導電塗液2がフィルタ53以下となる場合に、ヘッドチップ42側における導電塗液2の負圧が高まり、装置の故障の原因となることを防止するためである。塗液検出部38,39は、導電塗液2をフィルタ53よりも塗液カートリッジ5側で検出することで、導電塗液2がフィルタ53よりヘッドチップ42側になくなってしまうことを防止することができる。
【0063】
レール孔40は、本体部31の走査レール6と対向する側面に設けられ、ヘッド部3の走査方向に貫通する孔であり、走査レール6が挿通されている。ベルト止め部41は、本体部31の駆動ベルト7と対向する側面に設けられ、本体部31を駆動ベルト7に係止する。これにより、ヘッド部3は、駆動ベルト7の駆動に伴い、走査レール6をガイドにしてプリント基板Pの搬送方向と略直交する方向に往復移動可能に走査させることが可能となる。
【0064】
ヘッドチップ42は、本体部31の底面に沿って配設されており、接続部37から供給される液滴iを吐出する塗液吐出孔である後述するノズル74aが設けられている。
【0065】
このヘッドチップ42は、図9及び図10に示すように、ベースとなる回路基板71と、導電塗液2を加熱する一対の発熱抵抗体72a,72bと、導電塗液2の漏れを防ぐフィルム73と、導電塗液2が液滴の状態で吐出されるノズル74aが設けられたノズルシート74と、これらに囲まれて導電塗液2が供給される空間である液室75と、液室75に導電塗液2を供給する塗液流路76とを有する。
【0066】
回路基板71は、シリコン等の半導体基板であり、その一主面71aに、発熱抵抗体72a,72bが形成されており、一対の発熱抵抗体72a,72bと回路基板71上の図示しない制御回路とが接続されている。この制御回路は、ロジックIC(Integrated Circuit)やドライバートランジスタ等で構成されている。
【0067】
一対の発熱抵抗体72a,72bは、制御回路から供給される電力により発熱し、液室75内の導電塗液2を加熱して内圧を高める。これにより加熱された導電塗液2は、後述するノズルシート74に設けられたノズル74aから液滴iの状態で吐出する。
【0068】
フィルム73は、回路基板71の一主面71aに積層されている。フィルム73は、例えば露光硬化型のドライフィルムレジストからなるものであり、回路基板71の一主面71aの略全体に積層された後、フォトリソグラフィプロセスによって不要部分が除去され、一対の発熱抵抗体72a,72bを一括して略凹状に囲むように形成されている。フィルム73により一対の発熱抵抗体72a,72bを囲む部分が液室75の一部を形成する。
【0069】
ノズルシート74は、液滴iを吐出させるためのノズル74aが形成されたシート状部材であり、フィルム73の回路基板71と反対側に積層されている。ノズル74aは、ノズルシート74に円形状に開口された微小孔であり、一対の発熱抵抗体72a,72bと対向するように配置されている。なお、ノズルシート74は液室75の一部を構成する。
【0070】
液室75は、回路基板71、一対の発熱抵抗体72a,72b、フィルム73及びノズルシート74に囲まれた空間部であり、塗液流路76からの導電塗液2が供給される。液室75の導電塗液2は、発熱抵抗体72a,72bにより加熱され、内圧が上昇される。塗液流路76は、接続部37の塗液流出路63と接続されており、接続部37に接続された塗液カートリッジ5から導電塗液2が供給され、この塗液流路76に連通する各液室75に導電塗液2を送り込む流路を形成する。すなわち、塗液流路76と接続部34とが連通されている。これにより、塗液カートリッジ5から供給される導電塗液2が塗液流路76に流れ込み、液室75内に充填される。
【0071】
上述した1個のヘッドチップ42には、一対の発熱抵抗体72a,72bを備えた液室75を一つ以上備えている。そして、ヘッドチップ42においては、液室75を一つ以上備えている場合、液体吐出装置1の制御部からの指令によってこれら一対の発熱抵抗体72a,72bを適宜選択して一対の発熱抵抗体72a,72bに対応する液室75内の導電塗液2を、液室75に対応するノズル74aから液滴iの状態で吐出させる。
【0072】
すなわち、ヘッドチップ42において、ヘッドチップ42と結合された塗液流路76から、液室75に導電塗液2が満たされる。そして、一対の発熱抵抗体72a,72bに短時間、例えば、1〜3μsecの間パルス電流を流すことにより、一対の発熱抵抗体72a,72bがそれぞれ急速に加熱され、その結果、一対の発熱抵抗体72a,72bと接する部分が気相になって気泡が発生し、その気泡の膨張によってある体積の導電塗液2が押圧される(導電塗液2が沸騰する)。これによって、ノズル74aに接する部分で気泡に押圧された導電塗液2と同等の体積の導電塗液2が液滴iとしてノズル74aから吐出され、プリント基板Pの主面上に着弾される。
【0073】
ヘッドチップ42では、図11に示すように、1つの液室75内に、一対の発熱抵抗体72a,72bが並設されている。すなわち、1つの液室75内に、一対の発熱抵抗体72a,72bを一つ備えるものである。具体的に、一対の発熱抵抗体72a,72bは、詳細は後述するが図11中矢印Bで示すヘッド部3の走査方向と略同方向に並設されている。なお、図11では、ノズル74aの位置を1点鎖線で示している。
【0074】
このように、一対の発熱抵抗体72a,72bでは、1つの発熱抵抗体を2つに分割したような形状となり長さが同じで幅が半分になることから、抵抗値がほぼ倍の値になる。この一対の発熱抵抗体72a,72bを直列に接続した場合、それぞれ2倍程度の抵抗値を有する一対の発熱抵抗体72a,72bが直列に接続されることとなり、抵抗値は分割する前の4倍程度になる。
【0075】
ここで、液室75内の導電塗液2を沸騰させるためには、一対の発熱抵抗体72a,72bに一定の電流を流して一対の発熱抵抗体72a,72bを発熱する必要がある。液滴iは、この沸騰時のエネルギーにより、ノズル74aより吐出される。発熱抵抗体72a,72bは、所定の発熱量を得るに当たって、抵抗値が小さいと、流す電流を大きくする必要があるが、ここでは幅を狭くし、更に2つの抵抗を直列に接続することで抵抗値を高くし、少ない電流で液室75内の導電塗液2を沸騰させることができるようにしている。これにより、ヘッドチップ42は、電流を流すためのトランジスタ等を小さくすることができ、省スペース化を図ることができる。
【0076】
なお、一対の発熱抵抗体72a,72bの厚みを薄く形成すれば抵抗値を高くすることができるが、一対の発熱抵抗体72a,72bとして選定される材料や強度(耐久性)等の観点から、一対の発熱抵抗体72a,72bの厚みを薄くするには一定の限界がある。このため、厚みを薄くすることなく、分割することで、一対の発熱抵抗体72a,72bの抵抗値を高くしている。
【0077】
ところで、液室75内の導電塗液2をノズル74aより吐出させるとき、一対の発熱抵抗体72a,72bによって液室75内の導電塗液2が沸騰するまでの時間、すなわち気泡発生時間が同じになるように発熱抵抗体72a,72bを駆動制御すると、液滴iは、ノズル74aより真下に滴下される。また、一対の発熱抵抗体72a,72bの気泡発生時間に時間差を発生させた場合には、一対の発熱抵抗体72a,72b上で略同時に導電塗液2が沸騰し気泡が発生しなくなり、発熱抵抗体72a,72bの並設方向の何れか一方にずれて液滴iが滴下される。
【0078】
このことについて、図12を用いて説明する。図12(A)及び図12(B)は、一対の発熱抵抗体72a,72bにおける気泡発生時間の差と、液滴iの吐出角度との関係を示している。なお、図12(A)は、ヘッド部3の走査方向(一対の発熱抵抗体72a,72bの並設方向)の吐出角度θxを示し、図12(B)は、プリント基板Pの搬送方向の吐出角度θyを示している。図12(A)及び図12(B)は、横軸に気泡発生時間の差をとっており、一対の発熱抵抗体72a,72bにおける抵抗差は、時間差0.04μsecで3%、時間差0.08μsecで6%程度のばらつきが生じる。なお、図12(A)及び図12(B)はコンピュータによるシミュレーション結果である。
【0079】
図12(A)及び図12(B)に示すように、気泡発生時間に差が生じると、液滴iの吐出角度が略垂直でなくなり、時間差が大きいほど傾きも大きくなることがわかる。
【0080】
そこで、ヘッドチップ42は、この特性を利用し、一対の発熱抵抗体72a,72bの気泡発生時間をそれぞれ制御することで、液滴iがノズル74aから吐出する際の吐出角度、すなわち吐出方向を制御することが可能となる。
【0081】
以上のようなヘッドチップ42は、液室75内の一対の発熱抵抗体72a,72bのそれぞれに電流を供給することで、ノズル74aから液滴iを吐出する。そして、このヘッドチップ42では、一対の発熱抵抗体72a,72bに対し、略同時に同一量の電流を供給することで、一対の発熱抵抗体72a,72bの気泡発生時間を理論上、同じにすることができる。したがって、一対の発熱抵抗体72a,72bは、導電塗液2を同時に沸騰させることができ、液滴iの吐出角度が液滴iの着弾面に対して略垂直になるようにノズル74aから液滴iを吐出させることができる。
【0082】
さらに、ヘッドチップ42は、各液室75内の一対の発熱抵抗体72a,72bにおける気泡発生時間を異ならせるように発熱抵抗体72a,72bを制御する。この場合、ヘッドチップ42は、一対の発熱抵抗体72a,72bに供給する電流に差異を与え或いは同じ電流量を供給するが時間差を与えることで、一対の発熱抵抗対72a,72bそれぞれの気泡発生時間に差を生じさせることができ、ノズル74aから吐出される液滴iを、着弾面に対して略垂直に液滴iが吐出されたときの液滴iの着弾位置と異なる位置に着弾させることができる。すなわち、ヘッドチップ42は、液滴iの吐出角度が導電塗液2の着弾面に対して斜めになるようにノズル74aから液滴iを吐出させることができる。
【0083】
図11に示すように、発熱抵抗体72a,72bは、ヘッド部3の走査方向となる図11中矢印B方向に並設されていることから、液滴iをヘッド部3の走査方向、すなわち図11中矢印B方向に所定範囲に亘って吐出することができる。
【0084】
以上のように、ヘッドチップ42は、塗液の着弾位置をヘッド部3の走査方向に分散させることができる。これにより、ヘッド部3は、プリント基板Pの搬送方向と略直交する方向に走査しながらプリント基板Pに向かってヘッドチップ42より導電塗液2を吐出するときに、液滴iの吐出方向を走査方向内で制御させることが可能となる。
【0085】
以上のような構成の液体吐出装置1は、上述した構成の他に、走査レール6に片持ち梁状態に支持されたヘッド部3におけるヘッドチップ42等を保護し、且つヘッドチップ42内の導電塗液2が乾燥しないようにするための図示しないヘッドキャップや、ヘッドチップ42の吐出面42aに付着した余分な導電塗液2やゴミ等を除去する図示しない清掃ローラ等を有している。
【0086】
次に、以上のように構成された液体吐出装置1による印刷を制御する制御回路について図面を参照して説明する。
【0087】
制御回路80は、図13に示すように、装置本体4の各駆動部を駆動する駆動部81と、ヘッドチップ42に供給される電流等を制御する吐出制御部82と、導電塗液2の残量を警告する警告部83と、外部装置と信号の入出力を行う入出力端子84と、制御プログラム等が記録されたROM(Read Only Memory)85と、読み出された制御プログラム等が読み出されるRAM(Random Access Memory)86と、各部の制御を行う制御部87とを有している。
【0088】
駆動部81は、制御部87からの制御信号に基づき、一対の搬送ローラ8a,8b及び9a,9bを構成する駆動モータを駆動させて装置本体4に供給されたプリント基板Pをヘッド部3の走査方向とは略直交する方向に搬送する。駆動部81は、制御部87からの制御信号に基づき、駆動ベルト7を構成する駆動モータ等を駆動させることで駆動ベルト7をプリント基板Pの搬送方向と略直交する方向に往復可能に駆動する。これにより、駆動部81は、駆動ベルト7に係止されているヘッド部3をプリント基板Pの搬送方向と略直交する方向に往復可能に走査する。また、駆動部81は、制御部87からの制御信号に基づき、駆動ベルト7の駆動速度を制御し、ヘッド部3の走査速度を制御する。
【0089】
吐出制御部82は、図14に示すように、それぞれが抵抗体である一対の発熱抵抗体72a,72bに電流を流すための電源91a,91bと、一対の発熱抵抗体72a,72bと電源91a,91bとの電気的な接続をオン/オフするスイッチング素子92a,92b,92cと、一対の発熱抵抗体72a,72bに供給される電流を制御するための抵抗器93a,93b,93c及び可変抵抗器94とを備える。
【0090】
電源91aは、発熱抵抗体72bに接続され、電源91bは、スイッチング素子92c、可変抵抗器94を介して抵抗器92a,92b,92cに選択的に接続される。
【0091】
スイッチング素子92aは、トランジスタ等で構成され、発熱抵抗体72aとグランドとの間に配置され、発熱抵抗体72a,72bのオン/オフを制御する。スイッチング素子92bも、トランジスタ等で構成され、可変抵抗器94と抵抗器93a,93b,93cとの間に接続され、発熱抵抗体72aに供給する電流量を制御する。スイッチング素子92cは、可変抵抗器94と電源91bとの間に接続され、液滴iの吐出方向を制御する。抵抗器93a,93b,93c、可変抵抗器94、スイッチング素子92b、スイッチング素子92cは、液滴iの吐出方向を制御する。
【0092】
抵抗器93a,93b,93cは、それぞれ異なる抵抗値を有し、スイッチング素子92bが切り換えられることにより発熱抵抗体72aに供給される電流量を制御する。具体的に、抵抗器93aが、最も抵抗値が大きく、次いで、抵抗器93bが大きく、抵抗器93cの抵抗値が最も小さくなっており、発熱抵抗体72aに供給される電流量は、抵抗器93a〜93cの何れに接続されるかによって定まる。
【0093】
可変抵抗器94は、抵抗器93a,93b,93cの何れかと組み合わされることで一対の発熱抵抗体72aに供給される電流量を更に調節することができる。
【0094】
スイッチング素子92bをオフにして抵抗器93a,93b,93cと一対の発熱抵抗体72a,72bとが接続されていないとき、スイッチング素子92aをオンにすると、電源91aから電流が直列接続された一対の発熱抵抗体72a,72bに供給される(抵抗器93a,93b,93cには電流が流れない)。このとき、一対の発熱抵抗体72a,72bの抵抗値は、略同一であるから、一対の発熱抵抗体72a,72bが発生する熱量は、略同一になる。したがって、気泡発生時間が略同一となり、図15に示すように、液滴iの吐出角度が液滴iの着弾面に対して略垂直になるようにノズル74aから液滴iが吐出される。したがって、吐出された液滴iは、図15中101で示す着弾点に着弾する。
【0095】
また、スイッチング素子92bと抵抗器93a,93b,93cのうちの何れかとの接続をオンにし、スイッチング素子92aをオンにし、スイッチング素子92cをグランドと接続したとき、液滴iの吐出方向が図15中矢印Bで示すヘッド部3の走査方向の下流側となり、図15中矢印B方向において、液滴iの吐出方向を可変することができる。すなわち、抵抗器93a,93b,93cの何れかに接続されることで、発熱抵抗体72aへ供給される電流量が少なくなり、一対の発熱抵抗体72a,72bは、供給される電流に差異が生じ、両者に発生する熱量にも差異が生じる。この場合、抵抗器93a,93b,93cは、それぞれ異なる抵抗値を有することから、スイッチング素子92bの切り換えで一対の発熱抵抗体72aに供給される電流量を3段階に異ならせることができる。これにより、ヘッドチップ42は、一対の発熱抵抗体72a,72bで発生する熱量に差異が生じ、スイッチング素子92bの切り換えで一対の発熱抵抗体72a,72bそれぞれの気泡発生時間に三段階の時間差を持たせることができ、液滴iの吐出角度を一対の発熱抵抗体72a,72bが並設された図15中矢印B方向に三段階に変化させることができる。
【0096】
具体的に、吐出制御部82は、図14に示すように、ノズル74aから略垂直に液滴iが吐出されて着弾した着弾点101から、図15中矢印B方向、すなわちヘッド部3の走査方向に三段階に分かれた着弾点102,103,104の何れかに液滴iを着弾させるようにヘッドチップ42を制御する。さらに詳しくは、スイッチング素子92bが抵抗値の最も小さい抵抗器93cと接続されると発熱抵抗体72aへの電流供給量が最も少なくなり、一対の発熱抵抗体72a,72bに供給される電流差が最も大きくなり、液滴iは、着弾点101から最も遠い位置の着弾点104に着弾される。また、抵抗値が最も高い抵抗器93aと接続されると、発熱抵抗体72bに供給される電流供給量は、最も大きくなり、一対の発熱抵抗体72a,72bに供給される電流差が最も小さくなり、液滴iは、着弾点101から最も近い位置の着弾点102に着弾される。
【0097】
さらに、可変抵抗器94で、抵抗値を可変することで、発熱抵抗体72aに供給される電流を微調節することができ、これに伴って、着弾点101,102,103,104それぞれの間に着弾するように液滴iの吐出角度を調節することができる。
【0098】
スイッチング素子92cを切り換えて電源91bと接続すると、液滴iの吐出方向を図15中反矢印B方向、すなわちヘッド部3の走査方向の上流側にすることができる。この場合、発熱抵抗体72aには、電源91aからの電流と電源91bからの電流が加算されることになる。すなわち、スイッチング素子92cをグランドに接続したときとは一対の発熱抵抗対の発熱状態が逆になる。これにより、液滴iは、ノズル74aから液滴iが略垂直に吐出されて着弾した着弾点101を境に、スイッチング素子92cをグランドに接続したときとは反対側の着弾位置に吐出方向を三段階に変化させて吐出される。
【0099】
具体的に、スイッチング素子92bが、抵抗値が最も小さい抵抗器93cと接続されると、発熱抵抗体72aに供給される電流量が電源92aからの電流と電源91bからの電流が加算され、最も多くなり、一対の発熱抵抗体72a,72bに供給される電流差が最も大きくなる。したがって、液滴iは、着弾点101から最も遠い位置の着弾点107に着弾される。スイッチング素子92bが抵抗値の最も大きい抵抗器93aと接続されると、発熱抵抗体72aに供給される電流が最も少なくなり、一対の発熱抵抗体72a,72bに供給される電流差が最も小さくなる。したがって、液滴iは、着弾点101から最も近い位置の着弾点105に液滴iを着弾される。
【0100】
このように、吐出制御部82では、スイッチング素子92b,92cを切り換えることで液滴iのノズル74aからの吐出方向をヘッド部3の走査方向に7段階に変化させることができ、さらに抵抗器93a,93b,93cと可変抵抗器94とを組み合わせることで液滴iの吐出方向を7段階以上に変化させることができる。具体的には、ノズル74aから略垂直に吐出されて着弾した着弾点101を中心に、ヘッド部3の走査方向に前後に50μm程度の範囲内に液滴iを着弾することができる。また、吐出制御部82は、一対の発熱抵抗対72a,72bに供給される電流を制御することでノズル74aより吐出される液滴iの吐出速度も制御することが可能である。
【0101】
そして、この吐出制御部82は、図16及び図17に示すように、スイッチング素子92b,92cを切り換えることで、プリント基板Pの搬送方向と略直交方向に往復可能に走査するヘッド部3の走査する方向に対して略反対方向に液滴iを吐出するように液滴iの吐出方向を制御する。
【0102】
具体的に、プリント基板Pの搬送方向と略直交方向に往復可能に走査するヘッド部3の往路においては、図16に示すように、図16中矢印Bで示す方向に走査しているヘッド部3のノズル74aより吐出される液滴iの吐出方向が、ヘッド部3の走査する方向とは反対方向になる図16中に示す有向線分Dの方向になるように制御する。
【0103】
さらに詳しくは、ヘッド部3が図16中に示す走査方向Bを往路として走査しながらノズル74aより液滴iを吐出するときに、ヘッド部3の走査する方向とは反対方向に所定の速度で吐出させたときに液滴iの吐出方向に生じる有向線分Dと、ヘッド部3を所定の速度で走査させたときにヘッド部3の走査方向に発生する図16中の有向線分Eとを合成させた図16中の有向線分Fが、プリント配線基板Pの主面に対して略垂直になるように、有向線分Dの方向に液滴iが吐出されるように吐出方向を制御する。
【0104】
これにより、走査しながら液滴iをノズル74aより吐出するヘッド部3は、往路において、プリント基板Pの主面に対して液滴iが略垂直に入射、着弾されるように液滴iをノズル74aより吐出することができ、液滴iを印刷範囲全面に略均一に着弾させることが可能となる。ヘッド部3は、例えば走査速度が0.1m/sec、液滴iのノズル74aより吐出する吐出速度が10m/sec、ノズル74aより吐出された液適iの量が5ピコリットルのとき、有向線分Fと有向線分Dとがなす角度θが0.57°になるように液滴iをノズル74aより有向線分Dに向かって吐出させることで、液滴iをプリント基板Pの主面に対して略垂直に入射することが可能となる。
【0105】
また、プリント基板Pの搬送方向と略直交方向に往復可能に走査するヘッド部3の復路においては、図17に示すように、吐出制御部82におけるスイッチング素子92b,92cの切り換えを制御することで、ヘッド部3のノズル74aより吐出される液滴iの吐出方向が、ヘッド部3の走査する方向とは反対方向になる図17中に示す有向線分G、すなわち上述した有向線分Dとは反対方向になるように制御する。具体的には、ヘッド部3が図17中に示す走査方向Bを復路として走査しながらノズル74aより液滴iを吐出するときに、ヘッド部3の走査する方向とは反対方向に所定の速度で吐出させたときに液滴iの吐出方向に生じる有向線分Gと、ヘッド部3を所定の速度で走査させたときにヘッド部3の走査方向に発生する図17中の有向線分Hとを合成させた図17中の有向線分Iが、プリント配線基板Pの主面に対して略垂直になるように、液滴iの吐出方向を有向線分Gの方向に制御する。
【0106】
これにより、走査しながら液滴iをノズル74aより吐出するヘッド部3は、復路においても、プリント基板Pの主面に対して略垂直に液滴iが着弾されるように液滴iをノズル74aより吐出することができ、液滴iを印刷範囲全面に略均一に着弾させることが可能となる。
【0107】
なお、吐出制御部82では、一対の発熱抵抗体72a,72bに対する電力の供給をスイッチング素子92a,92b,92cをオン/オフすることで液滴iの吐出方向を制御しているが、このことに限定されることはなく、例えばデジタル回路等を使用して液滴iがプリント基板Pに対して略垂直に着弾するように制御することも可能である。
【0108】
図13に示す警告部83は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示手段であり、印刷条件、印刷状態、塗液残量等の情報を表示する。また、警告部83は、例えばスピーカ等の音声出力手段であってもよく、この場合は、印刷条件、印刷状態、塗液残量等の情報を音声で出力する。なお、警告部83は、表示手段及び音声出力手段をともに有するように構成してもよい。また、この警告は、情報処理装置88のモニタやスピーカ等で行うようにしてもよい。
【0109】
入出力端子84は、上述した印刷条件、印刷状態、塗液残量等の情報をインタフェースを介して外部の情報処理装置88等に送信する。また、入出力端子84は、外部の情報処理装置88等から、上述した印刷条件、印刷状態、塗液残量等の情報を出力する制御信号や、印刷データ等が入力される。ここで、上述した情報処理装置88は、例えば、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器である。
【0110】
情報処理装置88等と接続される入出力端子84は、インタフェースとして、例えばシリアルインタフェースやパラレルインタフェース等を用いることができ、具体的にUSB(Universal Serial Bus)、RS(Recommended Standard)232C、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394等の規格に準拠したものである。また、入出力端子84は、情報処理装置88との間で有線通信又は無線通信の何れ形式でデータ通信を行うようにしてもよい。なお、この無線通信規格としては、IEEE802.11a,802.11b,802.11g等がある。
【0111】
ROM85は、例えばEP−ROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)等のメモリであり、制御部87が行う各処理のプログラムが格納されている。この格納されているプログラムは、制御部87によりRAM86にロードされる。RAM86は、制御部87によりROM85から読み出されたプログラムや、液体吐出装置1の各種状態を記憶する。
【0112】
入出力端子84と情報処理装置88との間には、例えばインターネット等のネットワークが介在していてもよく、この場合、入出力端子84は、例えばLAN(Local Area Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、xDSL(Digital Subscriber Line)、FTHP(Fiber To The Home)、CATV(Community Antenna TeleVision)、BS(Broadcasting Satellite)等のネットワーク網に接続され、データ通信は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の各種プロトコルにより行われる。
【0113】
制御部87は、入出力端子84から入力された印刷データ及び制御信号や、塗液検出部38,39による電気抵抗値の変化や、塗液残量検出手部36による電気抵抗値の変化等に基づき、各部を制御する。制御部87、このような処理プログラムとしてROM85から読み出してRAM86に記憶し、このプログラムに基づき各処理を行う。
【0114】
この制御部87は、吐出制御を行う処理プログラムをROM85から読み出してRAM86に記憶し、このプログラムに基づく制御信号を可撓性のケーブル89を介して吐出制御部82に送信する。これにより、吐出制御部82は、スイッチング素子92a,92b,92cのオン/オフを切り換えて液滴iの吐出方向を制御する。
【0115】
この制御部87は、駆動部81を制御することで、ヘッド部3が走査しながら液滴iをプリント基板Pの所定の印刷範囲に吐出しているときは、プリント基板Pの搬送を停止させる。そして、所定の印刷範囲への液滴iの吐出が終了してヘッド部3がプリント基板Pの幅方向の一方端部で走査を停止しているときに、所定の印刷範囲とプリント基板Pの搬送方向で隣接する次の印刷範囲に対してヘッド部3が液滴iを吐出できるようにプリント基板Pを所定量搬送させる。そして、プリント基板Pを所定量搬送させたら、プリント基板Pの搬送を停止させ、プリント基板Pの幅方向の一方端部で停止していたヘッド部3を、前回走査した方向とは反対方向に走査する。このように、制御部87は、ヘッド部3の走査とプリント基板Pの搬送とを交互に行うように駆動部81を制御する。
【0116】
また、制御部87は、往復移動可能に走査するヘッド部3の走査方向に応じて吐出制御部82が制御する液滴iの吐出方向を切り換える。具体的に、制御部87は、往路をヘッド部3が走査するときは、図16中有向線分Dで示すヘッド部3の走査する方向とは反対方向に液滴iを吐出させ、復路をヘッド部3が走査するときは、図17中有向線分Hで示すヘッド部3の走査する方向とは反対方向、すなわち往路における有向線分Dで示す方向とは反対の方向に液滴iを吐出させるように吐出制御部82を制御して液滴iの吐出方向を切り換える。
【0117】
なお、以上のように構成された制御回路80においてROM85にプログラムを格納するようにしたが、プログラムを格納する媒体としては、ROMに限定されるものでなく、例えばプログラムが記録された光ディスクや、磁気ディスク、光磁気ディスク、ICカード等の各種記録媒体を用いることができる。この場合に制御回路80は、各種記録媒体を駆動するドライブと直接又は情報処理装置88を介して接続されてこれら記録媒体からプログラムを読み出すように構成する。
【0118】
次に、以上のように構成される液体吐出装置1の全体の動作について図18及び図19に示すフローチャートを参照にして説明する。なお、本動作はROM85等の記憶手段に格納された処理プログラムに基づいて制御部87内の図示しないCPU(Central Processing Unit)の処理に基づいて実行されるものである。
【0119】
先ず、ユーザが情報処理装置88でプリント基板Pの主面に印刷する回路パターン等を選択し、印刷実行操作をすると、情報処理装置88は、選択されたデータより印刷データを生成し、液体吐出装置1の入出力端子84に生成した印刷データを出力する。
【0120】
次に、制御部87は、ステップS1において、装着部32に塗液カートリッジ5が装着されているかどうかを、係合突部21と係合凹部23との係合の具合により判断する。そして、制御部87は、装着部32に塗液カートリッジ5が適切に装着されているときはステップS2に進み、装着部32において塗液カートリッジ5が適切に装着されていないときはステップS3に進む。ステップS3においては、塗液カートリッジ5が装着部32に適切に装着されていないことをユーザに知らせる警告表示を警告部83が行う。
【0121】
制御部87は、ステップS2において、塗液残量検出部36の電気抵抗値の変化を検出し、電気抵抗値が変化したことが検出された場合、この電気抵抗値が変化に応じて塗液残量の表示変更を行う。すなわち、ここでは、塗液残量検出部36が塗液カートリッジ5の高さ方向に3段設けられていことから、警告部83に3段階で残量表示を行うことができる。制御部87は、塗液カートリッジ5の導電塗液2が満杯のとき、全ての段の塗液残量検出部36の電気抵抗値が閾値より小さくなっており、これに基づいて、警告部83に行くが満杯である旨を表示する。そして、導電塗液2が使用され、最上段の塗液残量検出部36の電気抵抗値が変化し、閾値以下になると、警告部83に、導電塗液2が1レベル減ったことを表示する。更に導電塗液2が使用され、中段の塗液残量検出部36の電気抵抗値が変化し、閾値以下になると、警告部83に、導電塗液2が更に1レベル減ったことを表示する。更に導電塗液2が使用され、最下段の塗液残量検出部36の電気抵抗値が変化し、閾値以下になると、警告部83に、塗液残量が残り僅かであることを表示する。
【0122】
制御部87は、ステップS4において、接続部37内の導電塗液2が所定量以下、すなわち塗液無し状態であるか否かを判断し、塗液無し状態であると判断されたときはステップS5において、警告部83にその旨を表示、すなわち警告表示を行い、ステップS6において、印刷動作を禁止する。
【0123】
また、制御部87は、接続部37内の導電塗液2が所定量以下でないとき、すなわち導電塗液2が満たされているとき、ステップS7において、印刷動作を許可する。
【0124】
そして、制御部87は、図19に示すステップS11において、回路パターンが印刷される所定の印刷範囲に対してヘッド部3が往路を走査したときに液滴iを吐出可能な位置まで、一対の搬送ローラ8a,8b及び9a,9bを構成する駆動モータを駆動させてプリント基板Pを搬送させ、位置が決まったらプリント基板Pの搬送を停止し、ステップS12に進む。
【0125】
次に、制御部87は、ステップS12において、ヘッド部3が、プリント基板Pの幅方向の一方端部より他方端部へ往路を走査しながら、ノズル74aより液滴iを吐出するように駆動部81と吐出制御部82とを制御して所定の印刷範囲の印刷を行い、ステップ13に進む。具体的に、制御部87は、プリント基板Pの搬送方向と略直交方向を走査方向として往復移動可能なヘッド部3が、駆動ベルト7を構成する駆動モータを駆動させることで往路を走査しながら、ヘッド部3におけるヘッドチップ42のノズル74aより導電塗液2からなる液滴iをヘッド部3の走査する方向に対して略反対方向に吐出するように、駆動部81と吐出制御部82とを同時に制御する。これにより、液体吐出装置1は、プリント基板Pの主面の所定の印刷範囲に導電材料等からなる回路パターンを印刷する。
【0126】
このとき、吐出制御部82によるヘッドチップ42がプリント基板Pの主面に液滴iを吐出する制御は次にように行われる。ヘッドチップ42では、吐出制御部82により一対の発熱抵抗体72a,72bに電流が供給されると、図20に示すように、塗液流路76内の一対の発熱抵抗体72a,72bに接する部分には、気泡J,Kが発生し、図21に示すように、この気泡J,Kの膨張によって気泡J,Kの膨張分の体積と等しい体積の導電塗液2が押しのけられる。
【0127】
これにより、ノズル74aに接する部分の押しのけられた導電塗液2と同等の体積の液滴iがノズル74aから吐出され、プリント基板Pの主面に着弾し、プリント基板Pには、所望の回路パターンが印刷される。また、ヘッドチップ42は、気泡J,Kそれぞれの膨張の具合により液滴iのノズル74aから吐出方向を決定する。すなわち、ヘッドチップ42では、気泡J,Kのうちの膨張する速度が早い方が導電塗液2をより押圧することからノズル74aを中心に気泡の膨張が遅い側に押し出すように液滴iを吐出させる。なお、気泡J,Kは、より多くの電力が供給される等して一対の発熱抵抗体72a,72bのうち発熱する速度が早い方に接している方の膨張が早くなる。ヘッドチップ42においては、例えば図20及び図21中矢印Bで示す方向にヘッド部3が走査する場合、一対の発熱抵抗体72a,72bのうち、走査方向において前側に位置する発熱抵抗体72aが発熱する速度を早くすることでヘッド部3が走査する方向に対して略反対方向に液滴iを吐出できる。
【0128】
同時に、制御部87は、ヘッド部3が往路を走査するときの走査速度、及びヘッド部3のノズル74aより吐出される液滴iの吐出速度を制御する。これにより、ヘッド部3は、図16に示すように、走査方向Bを往路として走査しながらノズル74aより液滴iを吐出するときに、走査する方向とは反対方向に液滴iを吐出させたときに発生する有向線分Dとヘッド部3を所定の速度で走査させたときに発生する有向線分Eとを合成させた有向線分Fが、プリント配線基板Pの主面に対して略垂直になるように、液滴iを有向線分Dの方向に吐出し、液滴iをプリント基板Pの主面に対して略垂直に入射させることが可能となる。
【0129】
次に、制御部87は、ステップS13において、ヘッド部3が往路を走査して所定の印刷範囲の印刷が終了したら、ヘッド部3の走査を停止させてステップ14に進む。
【0130】
次に、制御部87は、ステップS14において、情報処理装置88が生成した印刷データが全てプリント基板Pの主面に対して印刷されたかどうかを判断し、印刷データが全て印刷されていない場合はステップS15に進み、印刷データが全て印刷された場合はステップS19に進んで印刷動作を終了する。
【0131】
次に、制御部87は、ステップS15において、ヘッド部3によって印刷が施された所定の印刷範囲に隣接する次の印刷範囲に対してヘッド部3が復路を走査したときに液滴iを吐出可能な位置まで、一対の搬送ローラ8a,8b及び9a,9bを構成する駆動モータを駆動させてプリント基板Pを搬送させ、位置が決まったらプリント基板Pの搬送を停止し、ステップS16に進む。
【0132】
次に、制御部87は、ステップS16において、ヘッド部3が、プリント基板Pの幅方向の他方端部より一方端部へ復路を走査しながら、ノズル74aより液滴iを吐出するように駆動部81と吐出制御部82とを制御して次の印刷範囲の印刷を行い、ステップ17に進む。具体的に、制御部87は、プリント基板Pの搬送方向と略直交方向を走査方向として往復移動可能なヘッド部3が、駆動ベルト7を構成する駆動モータを駆動させることで復路を走査しながら、ヘッド部3におけるヘッドチップ42のノズル74aより導電塗液2からなる液滴iをヘッド部3の走査する方向に対して略反対方向に吐出するように、駆動部81と吐出制御部82とを同時に制御する。これにより、液体吐出装置1は、プリント基板Pの主面における前回印刷された印刷範囲に隣接する次の印刷範囲に導電材料等からなる回路パターンを印刷する。
【0133】
このとき、制御部87は、往路と同様、ヘッド部3が復路を走査するときの走査速度、及びヘッド部3のノズル74aより吐出される液滴iの吐出速度も制御する。これにより、ヘッド部3は、図17に示すように、走査方向Bを復路として走査しながらノズル74aより液滴iを吐出するときに、走査する方向とは反対方向に液滴iを吐出させたときに発生する有向線分Gとヘッド部3を所定の速度で走査させたときに発生する有向線分Hとを合成させた有向線分Iが、プリント配線基板Pの主面に対して略垂直になるように、液滴iを有向線分Gの方向、すなわち往路のときの有向線分Dとは略反対方向に吐出し、液滴iをプリント基板Pの主面に対して略垂直に入射させることが可能となる。
【0134】
次に、制御部87は、ステップS17において、ヘッド部3が復路を走査して次の印刷範囲の印刷が終了したら、ヘッド部3の走査を停止させてステップ18に進む。
【0135】
次に、制御部87は、ステップS18において、情報処理装置88が生成した印刷データが全てプリント基板Pの主面に対して印刷されたかどうかを判断し、印刷データが全て印刷されていない場合はステップS11に進みステップS11以降の処理を行い、印刷データが全て印刷された場合はステップS19に進んで印刷動作を終了する。
【0136】
このようにして、搬送ローラ8a,8b及び9a,9bによって搬送されるプリント基板Pには、ヘッド部3が往路を走査したときに印刷された範囲に隣接する次の印刷範囲をヘッド部3が復路を走査したときに印刷し、この動作が繰り返されることで印刷データに応じた回路パターン等が印刷されることになる。そして、印刷が終了したプリント基板Pは、排出口4aより排出される。
【0137】
このように構成された液体吐出装置1では、図16に示すように、ヘッド部3が走査方向Bを往路として走査しながらノズル74aより液滴iを吐出するときに、走査方向Bとは反対方向の有向線分Dが示す方向に液滴iを吐出させることで、液滴iをプリント基板Pの主面に対して略垂直に入射させることが可能となる。
【0138】
これにより、この液体吐出装置1では、図16に示すように、例えば絶縁層111を介して下層に形成されたパターン配線Wの凹凸によりプリント配線基板Pの主面に凸部112が生じたとき等、液滴iをプリント基板Pの主面に対して略垂直に入射して凸部112の基端部112a近傍にも液滴iを適切に着弾できる。
【0139】
したがって、この液体塗液装置1では、従来のようなプリント基板の主面に対して斜めに入射していた液滴が凸部に邪魔されて凸部の基端部等に着弾できずにプリント基板の主面に印刷されたパターン配線が断線するといった不具合を防止できる。
【0140】
なお、この液体吐出装置1では、図17に示すように、ヘッド部3が復路を走査するときも、往路の時と同様に、走査方向とは反対方向に液滴iを吐出させることで、液滴iをプリント基板Pの主面に対して略垂直に入射させることが可能となる。
【0141】
また、この液体吐出装置1では、従来のような凸部の基端部近傍で生じていたパターン配線の断線を防止できることから、例えばプリント配線基板Pの主面に印刷される隣り合うパターン配線W同士の間の距離を狭くしてパターン配線Wの集積度を向上させることが可能となり、プリント基板Pの小型化及び低コスト化を図れる。
【0142】
さらに、この液体吐出装置1では、液滴iをプリント基板Pの主面に対して略垂直に入射させることから、ヘッド部3が往路を走査したときに印刷した範囲に隣接する次の印刷範囲をヘッド部3が復路を走査したときに印刷することができる。すなわち、この液体吐出装置1では、所定の印刷範囲をヘッド部3が液滴iを吐出しながら一回走査するだけで断線が防止されたパターン配線Wをプリント基板Pの主面に印刷することができる。
【0143】
これにより、この液体吐出装置1では、従来のようなプリント基板の主面に印刷されたパターン配線の断線を防止するためにヘッド部を同じ印刷範囲で一回以上往復させることや、ヘッド部の走査速度を遅くして液滴を対象物に対して略垂直に入射させることを行う必要がなく、印刷に係る時間を短縮でき、且つ印刷に使用する導電塗液2の量を少なくできる。したがって、この液体吐出装置1では、製造歩留まりを向上できると共に製造コストを抑えることができる。
【0144】
なお、以上の例では、プリント基板Pの主面にパターン配線Wを印刷する液体吐出装置1を例に挙げて説明したが、本発明は、微少量の液体を吐出する他の装置や、インク等を吐出することで記録紙に文字や画像を印刷するプリンタ装置等にも広く適用することができる。例えば、本発明は、液体中のDNAチップ用吐出装置(特開2002−34560号公報)等に適用することもできる。
【0145】
さらに、以上の例では、一対の発熱抵抗体72a,72bによって導電塗液2を加熱しながらノズル74aから吐出させる電気熱変換方式を採用しているが、このような方式に限定されず、例えばピエゾ素子等の電気機械変換素子等によって液滴iを電気機械的にノズル74aより吐出させる電気機械変換方式を採用したものにも適用可能である。
【0146】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、吐出された液体が着弾する対象物の主面に凹凸があっても、吐出手段が移動する方向とは略反対方向になるように液体を吐出孔より吐出させることで、吐出孔より吐出された液体を対象物の主面に対して略垂直に入射、着弾でき、従来のような対象物の主面において凸部の基端部近傍に液体を着弾できないといった不具合を防止できる。
【0147】
したがって、本発明によれば、例えばプリント基板の主面に液体を吐出してパターン配線を印刷により形成する場合、プリント基板の主面において凸部の基端部近傍でパターン配線が断線することを防止できる。
【0148】
また、本発明によれば、液体を対象物の主面に対して略垂直に入射できることから、対象物の主面上を吐出手段が液体を吐出しながら一回移動するだけで液体を略均一に着弾させることができる。
【0149】
したがって、本発明によれば、対象物の主面に液体を吐出するのにかかる時間を短縮でき、且つ使用する液体の量も少なくできることから、製造歩留まりの向上及び製造コスト、材料コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体吐出装置を示す斜視図である。
【図2】同液体吐出装置に備わるヘッド部を示す断面図である。
【図3】同ヘッド部に塗液カートリッジが装着された際に塗液供給部の供給口が弁により閉塞された状態を示す模式図である。
【図4】同ヘッド部に塗液カートリッジが装着された際に塗液供給部の供給口が開放された状態を示す模式図である。
【図5】同ヘッド部の装着部を示す平面図である。
【図6】同塗液カートリッジとヘッドチップの関係を示す断面図である。
【図7】同ヘッド部の接続部における弁機構の弁が閉じた状態を示す断面図である。
【図8】同ヘッド部の接続部における弁機構の弁が開いた状態を示す断面図である。
【図9】同ヘッド部のヘッドチップを示す断面図である。
【図10】同ヘッド部のヘッドチップを示す分解斜視図である。
【図11】同ヘッド部のヘッドチップを示す平面図である。
【図12】気泡発生時間の差と吐出角度との関係を示す特性図であり、同図(A)はヘッド部の走査方向における液滴の吐出角度を示し、同図(B)はプリント基板の搬送方向における液滴の吐出角度を示している。
【図13】同液体吐出装置の制御回路を説明するブロック図である。
【図14】同液体吐出装置に備わる吐出制御部を説明する模式図である。
【図15】同ヘッドチップより吐出した液滴の着弾点を模式的に示す平面図である。
【図16】同ヘッド部が往路を走査しながら液滴を走査方向とは略反対方向に吐出する状態を模式的に示す側面図である。
【図17】同ヘッド部が復路を走査しながら液滴を走査方向とは略反対方向に吐出する状態を模式的に示す側面図である。
【図18】同液体吐出装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図19】同液体吐出装置の印刷動作を説明するフローチャートである。
【図20】同ヘッド部のヘッドチップにおいて、気泡が発生した状態を示す断面図である。
【図21】同ヘッド部のヘッドチップにおいて、発生した気泡により液滴がノズルより吐出される状態を示す断面図である。
【図22】従来のヘッド部が走査しながら液滴をプリント基板の主面に対して略垂直に吐出する状態を模式的に示す側面図であり、同図(A)は往路において液滴を吐出している状態を示し、同図(B)は復路において液滴を吐出している状態を示している。
【符号の説明】
1 液体吐出装置、2 導電塗液、3 ヘッド部、4 装置本体、4a 排出口、5 塗液カートリッジ、6 走査レール、7 駆動ベルト、8a,8b,9a,9b 搬送ローラ、11 塗液カートリッジ、12 塗液収容部、13 塗液供給部、31 本体部、32 装着部、42 ヘッドチップ、71 回路基板、72a,72b 発熱抵抗体、73 フィルム、74 ノズルシート、74aノズル、75 液室、76 塗液供給路、82 吐出制御部、87 制御部、91a,91b 電源、92a,92b,92c スイッチング素子、93a,93b,93c 抵抗器、94 可変抵抗器、101,102,103,104,105,106,107 着弾点

Claims (4)

  1. 液体を収容する1つ以上の液室と、上記液室設けられ、エネルギが供給されることで上記液室に収容された上記液体を押圧する圧力を発生させる一対の圧力発生素子と、上記一対の圧力発生素子と対向し、該一対の圧力発生素子が発生した圧力が押圧した上記液体を吐出させるための吐出孔とを有する吐出手段と、
    上記吐出孔と対向する位置に配置された対象物を保持する保持手段と、
    上記対象物の主面と略平行な面内を上記吐出孔が移動するように上記吐出手段を所定の方向に移動させる移動手段と、
    上記一対の圧力発生素子にそれぞれ異なるエネルギを供給することで上記吐出孔より吐出される上記液体の吐出方向を変化させる吐出方向制御手段とを備え、
    上記一対の圧力発生素子は、上記吐出手段が上記移動手段により移動される方向と同方向に並設され、
    上記吐出方向制御手段は、上記一対の圧力発生素子をオン又はオフの状態に制御する第1のスイッチング素子と、上記各圧力発生素子に供給されるエネルギ量を可変する制御を行う第2のスイッチング素子と、上記吐出孔より吐出される液体の吐出方向を制御する第3のスイッチング素子とを有し、
    上記吐出手段上記移動手段により所定の方向に移動しながら上記液体を上記対象物の主面に吐出する際に、上記吐出方向制御手段は、上記第1のスイッチング素子を切換制御し、上記一対の圧力発生素子をオンの状態にし、上記第2のスイッチング素子及び上記第3のスイッチング素子を切換制御して、上記圧力発生素子に供給されエネルギを制御し、上記各圧力発生素子にそれぞれ異なるエネルギ量を供給して、上記吐出方向が上記吐出手段の移動する方向とは略反対方向になるように上記液体を上記吐出孔より吐出させることで、上記吐出孔より吐出された上記液体を上記対象物の主面に対して略垂直に入射させる液体吐出装置。
  2. 上記対象物が、プリント配線基板である請求項1記載の液体吐出装置。
  3. 液室に該液室が移動される方向と同方向に並設されて設けられ一対の圧力発生素子にエネルギを供給することで発生する圧力が上記液室に収容された液体を押圧させることで、上記液室に上記一対の圧力発生素子と対向するように設けられた上記液体を吐出させるための吐出孔より、上記吐出孔と対向するように保持された対象物の主面に上記液体を吐出する液体吐出方法において、
    上記対象物の主面と略平行な面内を上記吐出孔が移動するように上記液室を移動させながら、吐出方向制御手段は、上記圧力発生素子をオン又はオフの状態に制御する第1のスイッチング素子を切換制御し、上記一対の圧力発生素子をオンの状態にし、上記各圧力発生素子に供給されるエネルギ量を可変する第2のスイッチング素子及び上記吐出孔より吐出される液体の吐出方向を制御する第3のスイッチング素子を切換制御して、上記各圧力発生素子に供給されるエネルギ量を制御し、上記各圧力発生素子にそれぞれ異なエネルギを供給して、上記吐出孔より吐出される上記液体の吐出方向が上記液室の移動する方向とは略反対方向になるように上記液体を上記吐出孔より吐出させることで、上記吐出孔より吐出された上記液体を上記対象物の主面に対して略垂直に入射させ液体吐出方法。
  4. 上記対象物が、プリント配線基板であり、このプリント配線基板の主面に上記吐出孔より上記液体を吐出させることを特徴とする請求項3記載の液体吐出方法。
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