JP2005219314A - 液体吐出カートリッジ及び液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出カートリッジ及び液体吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 色の濃度ムラの無い印刷を行う。
【解決手段】 インク流路52の長尺方向の両端部52aに波動吸収部53が設けられており、インク流路52内のインクi中に定在波が発生することを防止できることから、インク流路52内のインクiに圧力ムラが生じることを防ぎ、過不足のない適切な量のインクiが供給されたインク液室64のノズル62aより、適量のインクiが吐出され、色の濃度ムラの無い優れた画質の印刷が行える。
【選択図】 図5

Description

本発明は、対象物に記録を行うための液体を対象物に吐出する液体吐出カートリッジ及び液体吐出装置に関する。
液体を吐出する装置として、対象物となる記録紙に対して液体吐出ヘッドより記録液、いわゆるインクを吐出させて、画像や文字を記録するインクジェット方式の液体吐出装置、いわゆるプリンタ装置がある。このインクジェット方式を用いた液体吐出装置は、低ランニングコスト、装置の小型化、印刷画像のカラー化が容易という利点がある。
インクジェット方式を用いた液体吐出装置では、インクは、複数の色(例えばイエロー、マゼンダ、シアン、ブラック等)のインクがそれぞれ充填されたインクタンクから液体吐出ヘッドのインク液室等に供給される。そして、インク液室等に供給されたインクは、インク液室内に配置された圧電素子や発熱抵抗体等の圧力発生素子にパルス電流等が供給されることで発生する圧力によって押圧される。その結果、インク液室内のインクは、液体吐出ヘッドに設けられた微小な吐出口、いわゆるノズルより吐出されて記録紙に着弾し、画像や文字を記録、すなわち印刷することになる。
インクジェット方式の液体吐出装置としては、インクタンクが液体吐出ヘッドに装着され、液体吐出ヘッドが記録紙の幅方向、すなわち記録紙の搬送方向と略直交する方向に移動することによって所定の色のインクを記録紙に着弾させるシリアル型のプリンタ装置がある。また、記録紙の幅とほぼ同じ範囲をインクの吐出範囲とした、すなわち記録紙の幅方向に並設させたノズルを備える液体吐出ヘッドより記録紙の幅方向に一度にインクを吐出する、いわゆるラインヘッド型の液体吐出装置がある。
シリアル型の液体吐出装置は、液体吐出ヘッドが記録紙の搬送方向と略直交する方向に移動するときに記録紙の走行を停止させ、停止している記録紙に液体吐出ヘッドを移動させながらインクを吐出し、これを繰り返すことで印刷を行う。一方、ラインヘッド型の液体吐出装置は、液体吐出ヘッドが固定、若しくは印刷ムラを避けるための僅かな微動できる程度に固定されており、連続的に走行している記録紙に液体吐出ヘッドが記録紙の幅方向に一度にインクを吐出、着弾させることで印刷する。
このため、このラインヘッド型の液体吐出装置は、シリアル型と異なり液体吐出ヘッドを移動させないものであることから、シリアル型の液体吐出装置に比べて高速印刷を行うことが可能となる。また、ラインヘッド型の液体吐出装置は、液体吐出ヘッドを移動させる必要がないことから、各インクタンクを大型化することができ、インクタンクのインク容量を増やすことができる。このようなラインヘッド型の液体吐出装置では、液体吐出ヘッドを移動させるものではないため構成の簡素化を図ることができ、各インクタンクと液体吐出ヘッドとを一体的に設けることが可能となる。
また、ラインヘッド型の液体吐出装置においては、液体吐出ヘッドのノズルが記録紙の幅方向に並設されていることから、各ノズルと相対するインク液室も記録紙の幅方向に並設されており、これらインク液室全てにインクを供給するために略直線状に形成されたインク流路が設けられている。すなわち、液体吐出ヘッドには、インク液室にインクを導入するために記録紙の幅と略同じ長さ、具体的には数cm〜数十cmの長さの略直線状を成すインク流路が設けられている(特許文献1を参照。)。
このラインヘッド型の液体吐出装置において、圧力発生素子が発生した圧力は、ノズルよりインクを吐出するために作用するだけでなく、略直線状に形成されたインク流路にインクタンクより流入し、隙間なく充填されたインクにも伝播され、インク流路内のインク中に縦波(いわゆる音波)の定在波を発生させる原因となる虞がある。
具体的には、図23に示すように、液体吐出ヘッド201に複数並設された圧力発生素子202が発生した圧力がインク液室203よりインク流路204内に充填されているインク中に縦波の圧力波となって伝播される。そして、インク流路204内のインク中に伝播された圧力波は、インク流路204に沿って進行してインク流路204の長尺方向、すなわち記録紙の幅方向の端部204aに達して反射し、圧力波が進行してきた方向とは反対方向に進行して反対側の端部204aに達すると再び反射し、減衰するまで両端部204aでの反射が繰り返されてインク流路204内のインク中で定在波となる。
なお、液体吐出ヘッド201においては、複数の圧力発生素子202が記録紙の幅方向に並設されていて各圧力発生素子202それぞれが圧力発生源となっているが、各圧力発生素子202がインクを吐出するための圧力を略同時に発生することから、圧力発生素子202全てが1つの定在波発生源となる。
また、インク流路204のインク中の定在波は、インクの吐出間隔、すなわち圧力発生素子202の圧力発生間隔、具体的には圧力発生素子に供給されるパルス電流の周波数成分や、インク流路204の長さ等、諸条件を満たしたときに発生する。具体的には、インク流路204といった空間中に充填されたインクという媒体を伝播する圧力波は両端部204aを固定端として反射することから、数1に示す一般式を満たすことが定在波発生の条件である。
L=n(λ/2)・・・(数1)
(但し、Lはインク流路の長さであり、nは自然数であり、λは圧力波の波長である。)
すなわち、nは1以上の整数であることから、数1において、nが小数等にならない限り定在波が発生する。また、インク中を縦波が伝わる速度vと、圧力波の波長λと、圧力波の周波数fとの間には、数2に示す一般式の関係が成り立つ。
v=fλ・・・(数2)
なお、圧力波の周波数fは、記録紙の幅方向に並設されている各圧力発生素子202が発生させた圧力波の合成波が持つ周波数成分であり、吐出周波数と深い関係がある。
そして、上述した数1に示す一般式のnが1の場合、図24に示すように、インク流路204の両端部204aが節、インク流路204の長さ方向の略中央部が腹となるような定在波となる。また、一般式のnが2の場合、図25に示すように、インク流路204の両端部204aと略中央部とが節、インク流路204の長さ方向の1/4、3/4の位置が腹となるような定在波となる。なお、図24及び図25では、節の部分をXで示し、腹の部分をYで示す。
具体的に、A4サイズの記録紙に印刷することが可能なインク吐出ヘッド201は、インク流路204の長さが20cm程度であり、吐出周波数7500Hzでインクを高速吐出、すなわち圧力発生素子202を周波数7500Hzのパルス電流で駆動させた場合、nは2となり、図25に示すような定在波がインク流路204内のインク中に発生する。なお、インク中を縦波が伝わる速度vは、水中の音速と略同じと考えられることから1500m/sとした。また、吐出周波数7500Hzでインクを高速吐出した場合、1つのノズルからは1秒間に約7000回、インクが吐出されることになる。
インク流路204内に充填されたインクは、インク中に定在波が発生すると、インク流路204の両端部204aでは固定端、すなわち流路の端面に阻まれて移動し難くなり、両端部204a以外の定在波の節の部分でも媒体となるインクの振動が打ち消されて移動し難くなっている。一方、定在波の腹の部分では、媒体となるインクは大きく振動し、インク粒子(分子)の振動する速度(音響的粒子速度)が大きくなり、インクが移動し易くなっている。
換言すると、インク流路204内のインク中、インク粒子の速度が大きい定在波の腹の部分では媒体の粒子と粒子とが離れ、媒体の密度は低くなっている。密度が低いから激しく振動できるとも言える。一方、インク流路204内のインク中、インク粒子の速度が小さい定在波の節の部分では媒体の粒子同士が接近し、密度が高くなっている。
そして、インク流路204内のインクにおいては、密度が低い部分では圧力が低く、密度が高い部分では圧力が高くなる。
以上で説明したように、インク吐出ヘッド201においては、インク流路204内のインク中に定在波が発生した場合、インク流路204内のインク中では定在波の節や腹の部分でインクに掛かる圧力がことなることから、インク液室205や各インク液室205に設けられるノズルへのインクの供給に影響を及ぼす。インク吐出ヘッド201においては、ノズルが直径数μm〜十数μmという微細な口径であり、ノズル内に供給されたインクによって形成されるメニスカス(ノズルの液面)の維持は、毛管力とインク液室205内のインク圧力との微妙なバランスの上に成り立っていることから、インク流路204内のインク中に掛かる圧力がノズル等へのインクの供給に及ぼす影響は大きいと言える。
具体的に、インク吐出ヘッド201においては、インク流路204内のインクの圧力が高い部分ではインク液室205やノズルへのインクの供給を促進し、インク流路204中のインクの圧力が低い部分ではインク液室205やノズルへのインクの供給を妨げるように作用する。
すなわち、インク流路204内のインクの圧力が低い部分と相対するインク液室205のノズルへのインクの供給に時間が掛かることになる。
そして、インク吐出ヘッド201においては、インクの供給に時間が掛かるノズルでインクの供給が十分にされていない状態でインクを吐出することになる。具体的には、1つのノズルより1秒間に約7000回インクを吐出する高速吐出の場合、約7000分の1秒毎に十分な量のインクをノズルに供給する必要があり、インク流路204中のインクの圧力が低い部分と相対する位置のノズルでは7000分の1秒毎に十分な量のインクを供給することが困難になる。
この結果、インク吐出ヘッド201においては、インク流路204内のインクの圧力が低い部分と相対する位置のノズルでは吐出したインクの量が少なくなったり、不吐出が起こったりして記録紙に着弾したインクの量が少なくなり、この部分の印刷濃度、すなわち色の濃度が低くなって画質を低下させてしまう。
一方、インク吐出ヘッド201においては、インク流路204内のインクの圧力が高い部分と相対する位置のノズルでは吐出したインクの量が多くなることがあり、記録紙に着弾したインクの量が多くて滲みが発生したり、この部分の色の濃度が高くなったりして画質を低下させてしまう。
すなわち、インク吐出ヘッド201においては、インク流路204内のインク中に定在波が発生すると、各ノズルに対するインク供給量のムラが生じ、印刷濃度の高い箇所と低い箇所とが記録紙の幅方向と略直交方向、すなわち記録紙の搬送方向にスジ状になって現れ、色の濃度ムラによって画質が劣化することになる。
特開2003−127412号公報
本発明は、吐出口への液体の供給ムラを抑制し、吐出口より吐出された液滴量を安定させて色の濃度ムラの無い優れた画質の印刷が可能な液体吐出カートリッジ及び液体吐出装置を提供するものである。
本発明に係る液体吐出カートリッジは、液体を吐出して対象物に着弾させる液体吐出装置に着脱自在に取り付けられ、液体が充填された液体収容部より流入した液体の導入路となる流路、及び流路を介して供給された液体を収容する液室と、液室に設けられ、液室に収容された液体を押圧する圧力を発生する圧力発生素子と、圧力発生素子によって押圧された液体を液滴の状態にして吐出する吐出口とを有する液体吐出ヘッドを備え、流路が、圧力発生素子が発生した圧力によって流路内の液体中に生じた波動を吸収する波動吸収部を有していることを特徴としている。
本発明に係る液体吐出装置は、液体を吐出して対象物に着弾させ、液体が充填された液体収容部より流入した上記液体の導入路となる流路と、流路より介して供給された液体を液滴の状態で吐出する液体吐出ヘッドとを有する液体吐出カートリッジと、液体吐出ヘッドが液滴を吐出するときの吐出動作を制御する制御部とを備え、液体吐出ヘッドが、流路を介して供給された液体を収容する液室と、液室に設けられ、液室に収容された液体を押圧する圧力を発生する圧力発生素子と、圧力発生素子によって押圧された液体を吐出する吐出口とを有し、流路が、圧力発生素子が発生した圧力によって流路内の液体中に生じた波動を吸収する波動吸収部を有していることを特徴としている。
本発明によれば、液体吐出カートリッジが、流路内に波動吸収部を有していることから、吐出口より液滴を吐出するときに圧力発生素子が発生した圧力によって流路内の液体中に生じた波動を流路内の波動吸収部で吸収することができ、流路内に定在波が発生することを防ぐことができる。
本発明によれば、液体吐出カートリッジの流路内に波動吸収部が設けられることで、圧力発生素子が発生した圧力によって流路内の液体中に生じた波動を流路内の波動吸収部で吸収し、流路内に定在波が発生することを防止できる。
本発明によれば、流路内の液体中で定在波の発生が抑えられていることから、流路内で液体に加わる圧力を略均一にすることができ、液室や吐出口に対する液体の供給量にムラが生じることを防止できる。
本発明によれば、液室や吐出口への液体の供給量にムラが生じることが防止されていることから、吐出口より吐出された液体の量が多くなったり、少なくなったりすることが無く、所定量の液体が対象物に着弾されて色の濃度ムラの無い優れた画質の印刷を行うことができる。
以下、本発明が適用された液体吐出カートリッジ及び液体吐出装置について、図面を参照して説明する。図1に示すインクジェットプリンタ装置(以下、プリンタ装置と記す。)1は、所定の方向に走行する記録紙Pに対してインク等を吐出して画像や文字を印刷するものである。また、このプリンタ装置1は、記録紙Pの印刷幅に合わせて、記録紙Pの幅方向、すなわち図1中矢印W方向にインク吐出口(ノズル)が略直線状に並設され、約7000分の1秒毎にインク等を吐出する、いわゆる高速吐出が可能なライン型のプリンタ装置である。
このプリンタ装置1は、図2及び図3に示すように、記録紙Pに対して画像や文字等を記録する記録液であるインクiを吐出するインクジェットプリンタヘッドカートリッジ(以下、ヘッドカートリッジと記す。)2と、このヘッドカートリッジ2を装着するプリンタ本体3とを備える。プリンタ装置1は、ヘッドカートリッジ2がプリンタ本体3に対して着脱可能であり、更に、ヘッドカートリッジ2に対してインク供給源となり、インクiを収容する液体カートリッジであるインクタンク4y,4m,4c,4kが着脱可能となっている。このプリンタ装置1では、イエローのインクタンク4y、マゼンタのインクタンク4m、シアンのインクタンク4c、ブラックのインクタンク4kが使用可能となっており、また、プリンタ本体3に対して着脱可能なヘッドカートリッジ2と、ヘッドカートリッジ2に対して着脱可能なインクタンク4y,4m,4c,4kとを消耗品として交換可能になっている。
このようなプリンタ装置1は、記録紙Pを積層して収納するトレイ65aをプリンタ本体3の前面底面側に設けられたトレイ装着部5に装着することにより、トレイ65aに収納されている記録紙Pをプリンタ本体3内に給紙できる。トレイ65aは、プリンタ本体3の前面のトレイ装着部5に装着されると、給排紙機構74により記録紙Pが給紙口75からプリンタ本体3の背面側に給紙される。プリンタ本体3の背面側に送られた記録紙Pは、後述する反転ローラ83により走行方向が反転され、往路の上側をプリンタ本体3の背面側から前面側に送られる。プリンタ本体3の背面側から前面側に送られる記録紙Pは、プリンタ本体3の前面に設けられた排紙口76より排紙されるまでに、パーソナルコンピュータ等の後述する情報処理装置89より入力された文字データや画像データに応じた印刷データが文字や画像として印刷される。
次に、上述したプリンタ装置1を構成するプリンタ本体2に対して着脱可能なヘッドカートリッジ2と、このヘッドカートリッジ2に着脱可能にされたインクタンク4y,4m,4c,4kとについて図面を参照して説明する。
記録紙Pに印刷を行うヘッドカートリッジ2は、図1に示すように、プリンタ本体3の上面側から、すなわち図1中矢印A方向から装着され、給排紙機構74により走行する記録紙Pに対してインクiを吐出して印刷を行う。
ヘッドカートリッジ2は、上述したインクiを、例えば電気熱変換式又は電気機械変換式等を用いた圧力発生手段が発生した圧力により微細に粒子化して吐出し、記録紙P等といった対象物の主面に液滴状態にしたインクiを吹き付ける。具体的に、ヘッドカートリッジ2は、図2及び図3に示すように、カートリッジ本体21を有し、このカートリッジ本体21にインクiが充填された容器であるインクタンク4y,4m,4c,4kが装着される。なお、以下では、インクタンク4y,4m,4c,4kを単にインクタンク4ともいう。
ヘッドカートリッジ2に着脱可能なインクタンク4は、強度や耐インク性を有するポリプロピレン等の樹脂材料等を射出成形することにより成形されるタンク容器11を有している。このタンク容器11は、長手方向を使用する記録紙Pの幅方向の寸法と略同じ寸法にされた略矩形状に形成され、内部に収容するインク容量を最大限に増やす構成となっている。
具体的に、インクタンク4を構成するタンク容器11には、インクiを収容するインク収容部12と、インク収容部12からヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体21にインクiを供給するインク供給部13と、外部よりインク収容部12内に空気を取り込む外部連通孔14と、外部連通孔14より取り込まれた空気をインク収容部12内に導入する空気導入路15と、外部連通孔14と空気導入路15との間でインクiを一時的に貯留する貯留部16と、インクタンク4をカートリッジ本体21に係止するための係止突部17及び係合段部18とが設けられている。
インク収容部12は、気密性の高い材料によりインクiを収容するための空間を形成している。インク収容部12は、略矩形に形成され、長手方向の寸法が使用する記録紙Pの幅方向、すなわち図3中矢印W方向で略同じ寸法となるように形成されている。
インク供給部13は、インク収容部12の下側略中央部に設けられている。このインク供給部13は、インク収容部12と連通した略突形状のノズルであり、このノズルの先端が後述するヘッドカートリッジ2の接続部26に嵌合されることにより、インクタンク2のタンク容器11とヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体21を接続する。
インク供給部13は、図4(A)及び図4(B)に示すように、インクタンク4の底面13aにインクiを供給する供給口13bが設けられ、この底面13aに、供給口13bを開閉する弁13cと、弁13cを供給口13bの閉塞する方向に付勢するコイルバネ13dと、弁13cを開閉する開閉ピン13eとを備えている。
ヘッドカートリッジ2の接続部26に接続されるインクiを供給する供給口13bは、図4(A)に示すように、インクタンク4がヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体21に装着される前の段階において、付勢部材であるコイルバネ13dの付勢力により弁13cが供給口13bを閉じる方向に付勢され閉塞されている。
そして、インクタンク4がカートリッジ本体21に装着されると、図4(B)に示すように、開閉ピン13eがヘッドカートリッジ2を構成するカートリッジ本体21の接続部26の上部によりコイルバネ13dの付勢方向とは反対の方向に押し上げられる。これにより、押し上げられた開閉ピン13eは、コイルバネ13dの付勢力に抗して弁13cを押し上げて供給口13bを開放する。
このようにして、インクタンク4のインク供給部13は、ヘッドカートリッジ2の接続部26に接続され、インク収容部12とインク溜め部31とを連通し、インク溜め部31へのインクiの供給が可能な状態となる。
また、インクタンク4をヘッドカートリッジ2側の接続部26から引き抜くとき、すなわちインクタンク4をヘッドカートリッジ2の装着部22より取り外すときは、弁13cの開閉ピン13eによる押し上げ状態が解除され、弁13cがコイルバネ13dの付勢方向に移動して供給口13bを閉塞する。
これにより、インクタンク4をカートリッジ本体21に装着する直前にインク供給部13の先端部が下方を向いている状態であってもインク収容部12内のインクiが漏れることを防止することができる。また、インクタンク4をカートリッジ本体21から引き抜いたときには、直ちに弁13cが供給口13bを閉塞するので、インク供給部13の先端からインクiが漏れることを防止できる。
外部連通孔14は、図3に示すように、インクタンク4外部からインク収容部12に空気を取り込む通気口であり、ヘッドカートリッジ2の装着部22に装着されたときも、外部に臨み外気を取り込むことができるように、装着部22への装着時に外部に臨む位置であるタンク容器11の上面の所定の位置に、ここでは上面略中央に設けられている。外部連通孔14は、インクタンク4がカートリッジ本体21に装着されてインク収容部12からカートリッジ本体21側にインクiが流下した際に、インク収容部12内のインクiが減少した分に相当する分の空気を外部よりインクタンク4内に取り込む。
空気導入路15は、インク収容部12と外部連通孔14とを連通し、外部連通孔14より取り込まれた空気をインク収容部12内に導入する。これにより、このインクタンク4がカートリッジ本体21に装着された際に、ヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体21にインクiが供給されてインク収容部12内のインクiが減少し内部が減圧状態となっても、インク収容部12には、空気導入路15によりインク収容部12に空気が導入されることから、内部の圧力が平衡状態に保たれてインクiをカートリッジ本体21に適切に供給することができる。
貯留部16は、外部連通孔14と空気導入路15との間に設けられ、インク収容部12に連通する空気導入路15よりインクiが漏れ出た際に、いきなり外部に流出することがないようにインクiを一時的に貯留する。この貯留部16は、長い方の対角線をインク収容部12の長手方向とした略菱形に形成され、インク収容部12の最も下側に位置する頂部に、すなわち短い方の対角線上の下側に空気導入路15を設けるようにし、インク収容部12より進入したインクiを再度インク収容部12に戻すことができるようにされている。また、貯留部16は、短い方の対角線上の最も下側の頂部に外部連通孔14を設けるようにし、インク収容部12より進入したインクiが外部連通孔14より外部に漏れにくくする。
係止突部17は、インクタンク4の短辺の一方の側面に設けられた突部であり、ヘッドカートリッジ2のカートリッジ本体21のラッチレバー24に形成された係合孔24aと係合する。この係止突部17は、上面がインク収容部12の側面に対して略直交するような平面で形成されると共に、下面は側面から上面に向かって傾斜するように形成されている。
係合段部18は、インクタンク4の係止突部17が設けられた側面の反対側の側面の上部に設けられている。係合段部18は、タンク容器11の上面と一端を接する傾斜面18aと、この傾斜面18aの他端と他方の側面と連続し、上面と略平行な平面18bとからなる。インクタンク4は、係合段部18が設けられていることで、平面18bが設けられた側面の高さがタンク容器11の上面より1段低くなるように形成され、この段部でカートリッジ本体21の係合片23と係合する。係合段部18は、ヘッドカートリッジ2の装着部22に挿入されるとき、挿入端側の側面に設けられ、ヘッドカートリッジ2の装着部22側の係合片23に係合することで、インクタンク4を装着部22に装着する際の回動支点部となる。
以上のような構成のインクタンク4は、上述した構成の他に、例えばインク収容部12内のインクiの残量を検出するための残量検出部や、インクタンク4y,4m,4c,4kを識別するための識別部等を備えている。
次に、以上のように構成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクiを収納したインクタンク4y,4m,4c,4kが装着されるヘッドカートリッジ2について説明する。
ヘッドカートリッジ2は、図2及び図3に示すように、上述したインクタンク4とカートリッジ本体21とによって構成され、カートリッジ本体21には、インクタンク4が装着される装着部22y,22m,22c,22k(以下、全体を示すときには単に装着部22ともいう。)と、インクタンク4を固定する係合片23及びラッチレバー24と、インクタンク4を取り出し方向に付勢する付勢部材25と、インク供給部13と接続されてインクiが供給される接続部26と、インクiを吐出するインク吐出ヘッド27と、インク吐出ヘッド27を保護するヘッドキャップ28とを有している。
インクタンク4が装着される装着部22は、インクタンク4が装着されるように上面をインクタンク4の挿脱口として略凹形状に形成され、ここでは4本のインクタンク4が記録紙Pの幅方向と略直交方向、すなわち記録紙Pの走行方向に並んで収納されている。装着部22は、インクタンク4が収納されることから、インクタンク4と同様に印刷幅の方向に長く設けられている。カートリッジ本体21には、インクタンク4が収納装着される。
装着部22は、図2に示すように、インクタンク4が装着される部分であり、イエロー用のインクタンク4yが装着される部分を装着部22yとし、マゼンタ用のインクタンク4mが装着される部分を装着部22mとし、シアン用のインクタンク4cが装着される部分を装着部22cとし、ブラック用のインクタンク4kが装着される部分を装着部22kとし、各装着部22y,22m,22c,22kは、隔壁22aによりそれぞれ区画されている。なお、上述したようにブラックのインクタンク4kは、一般的に使用量が多いことから、インクiの内容量が大きくなるように厚く形成されているため、幅が他のインクタンク4y,4m,4cよりも大きくなっている。このため、装着部22kは、インクタンク4kの厚みに合わせて他の装着部22y,22m,22cよりも広くなっている。
また、インクタンク4が装着される装着部22の開口端には、図3に示すように、係合片23が設けられている。この係合片23は、装着部22の長手方向の一端縁に設けられており、インクタンク4の係合段部18と係合する。インクタンク4は、インクタンク4の係合段部18側を挿入端として斜めに装着部22内に挿入し、係合段部18と係合片23との係合位置を回動支点として、インクタンク4の係合段部18が設けられていない側を装着部22側に回動させるようにして装着部22に装着することができる。これによって、インクタンク4は、装着部22に容易に装着することができる。
ラッチレバー24は、板バネを折曲して形成されるものであり、装着部22の係合片23に対して反対側の側面、すなわち長手方向の他端の側面に設けられている。ラッチレバー24は、基端部が装着部22を構成する長手方向の他端の側面の底面側に一体的に設けられ、先端側がこの側面に対して近接離間する方向に弾性変位するように形成され、先端側に係合孔24aが形成されている。ラッチレバー24は、インクタンク4が装着部22に装着されると同時に、弾性変位し、係合孔24aがインクタンク4の係止突部17と係合し、装着部22に装着されたインクタンク4が装着部22より脱落しないようにする。
付勢部材25は、インクタンク4の係合段部18に対応する側面側の底面上にインクタンク4を取り外す方向に付勢する板バネを折曲して設けられる。付勢部材25は、折曲することにより形成された頂部を有し、底面に対して近接離間する方向に弾性変位し、頂部でインクタンク4の底面を押圧し、装着部22に装着されているインクタンク4を装着部22より取り外す方向に付勢するイジェクト部材である。付勢部材25は、ラッチレバー24の係合孔24aと係止突部17との係合状態が解除されたとき、装着部23よりインクタンク4を排出する。
各装着部22y,22m,22c,22kの長手方向略中央には、インクタンク4y,4m,4c,4kが装着部22y,22m,22c,22kに装着されたとき、インクタンク4y,4m,4c,4kのインク供給部13が接続される接続部26が設けられている。この接続部26は、装着部22に装着されたインクタンク4のインク供給部13からカートリッジ本体21の底面に設けられたインクiを吐出するインク吐出ヘッド27にインクiを供給するインク供給路となる。
具体的に、接続部26は、図5に示すように、インクタンク4から供給されるインクiを溜めるインク溜め部31と、接続部26に連結されるインク供給部13をシールするシール部材32と、インクi内の不純物を除去するフィルタ33と、インク吐出ヘッド27側への供給路を開閉する弁機構34とを有している。
インク溜め部31は、インク供給部13と接続されインクタンク4から供給されるインクiを溜める空間部である。シール部材32は、インク溜め部31の上端に設けられた部材であり、インクタンク4のインク供給部13が接続部26のインク溜め部31に接続されるとき、インクiが外部に漏れないようインク溜め部31とインク供給部13との間を密閉する。フィルタ33は、インクタンク4の着脱時等にインクiに混入してしまった塵や埃等のごみを取り除くものであり、インク溜め部31よりも下流に設けられている。
弁機構34は、図6(A)及び図6(B)に示すように、インク溜め部31からインクiが供給されるインク流入路41と、インク流入路41からインクiが流入するインク室42と、インク室42からインクiを流出するインク流出路43と、インク室42をインク流入路41側とインク流出路43側との間に設けられた開口部44と、開口部44を開閉する弁45と、弁45を開口部44の閉塞する方向に付勢する付勢部材46と、付勢部材46の強さを調節する負圧調整ネジ47と、弁45と接続される弁シャフト48と、弁シャフト48と接続されるダイアフラム49とを有する。
インク流入路41は、インク溜め部31を介してインクタンク4のインク収容部12内のインクiをインク吐出ヘッド27に供給可能にインク収容部12と連結する供給路である。インク流入路41は、インク溜め部31の底面側からインク室42まで設けられている。インク室42は、インク流入路41、インク流出路43及び開口部44と一体となって形成された略直方体をなす空間部であり、インク流入路41からインクiが流入し、開口部44を介してインク流出路43からインクiを流出する。
インク流出路43は、インク室42から開口部44を介してインクiが供給されて、更にインク吐出ヘッド27と連結された供給路である。インク流出路43は、インク室42の底面側からインク吐出ヘッド27まで延在されている。
弁45は、開口部44を閉塞してインク流入路41側とインク流出路43側とを分割する弁であり、インク室42内に配設される。弁45は、付勢部材46の付勢力と、弁シャフト48を介して接続されたダイアフラム49の復元力と、インク流出路43側のインクiの負圧によって上下に移動する。弁45は、下端に位置するとき、インク室42をインク流入路41側とインク流出路43側とを分離するように開口部44を閉塞し、インク流出路43に対するインクiの供給を遮断する。弁45は、付勢部材46の付勢力に抗して上端に位置するとき、インク室42をインク流入路41側とインク流出路43側とを遮断せずに、インク吐出ヘッド27へインクiの供給を可能とする。なお、弁45を構成する材質は、その種類を問わないが、高い閉塞性を確保するため例えばゴム弾性体、いわゆるエラストマー等により形成される。
付勢部材46は、例えば圧縮コイルバネ等であり、弁45の上面とインク室42の上面との間で負圧調整ネジ47と弁45とを接続し、付勢力により弁45を開口部44の閉塞する方向に付勢する。負圧調整ネジ47は、付勢部材46の付勢力を調整するネジであり、負圧調整ネジ47を調整することで付勢部材46の付勢力を調整することができるようにしている。これにより、負圧調整ネジ47は、詳細は後述するが開口部44を開閉する弁45を動作させるインクiの負圧を調整することができる。
弁シャフト48は、一端に接続された弁45と、他端に接続されたダイアフラム49とを連結して運動するように設けられたシャフトである。ダイアフラム49は、弁シャフト48の他端に接続された薄い弾性板である。このダイアフラム49は、インク室42のインク流出路43側の一主面と、外気と接する他主面とからなり、大気圧とインクiの負圧により外気側とインク流出路43側とに弾性変位する。
以上のような弁機構34では、図6(A)に示すように、弁45が付勢部材46の付勢力とダイアフラム49の付勢力とによってインク室42の開口部44を閉塞するように押圧されている。そして、インク吐出ヘッド27からインクiが吐出された際には、開口部44で分割されたインク流出路43側のインク室42のインクiの負圧が高まると、図6(B)に示すように、インクiの負圧によりダイアフラム49が大気圧により押し上げられて、弁シャフト48と共に弁45を付勢部材46の付勢力に抗して押し上げる。
このとき、インク室42のインク流入路41側とインク流出路43側と間の開口部44が開放され、インクiがインク流入路41側からインク流出路43側に供給される。そして、インクiの負圧が低下してダイアフラム49が復元力により元の形状に戻り、付勢部材46の付勢力により弁シャフト48と共に弁45をインク室42が閉塞するように引き下げる。以上のようにして弁機構34では、インクiを吐出する度にインクiの負圧が高まると、上述の動作を繰り返す。
また、この接続部26では、インク収容部12内のインクiがインク室42に供給されると、インク収容部12内のインクiが減少するが、このとき、空気導入路15から外気がインクタンク4内に入り込む。インクタンク4内に入り込んだ空気は、インクタンク4の上方に送られる。これにより、インク液滴が後述するノズル62aから吐出される前の状態に戻り、平衡状態となる。このとき、空気導入路15内にインクiがほとんどない状態で平衡状態となる。
インク吐出ヘッド27は、図5に示すように、カートリッジ本体21の底面に沿って配設されており、接続部26から供給されるインクiを液滴の状態にして吐出するインク吐出口である後述するノズル62aが色毎に、記録紙Pの幅方向、すなわち図5中矢印W方向に略直線状に並んで設けられている。
ヘッドキャップ28は、図2に示すように、インク吐出ヘッド27を保護するために設けられたカバーであり、印刷動作するときにはインク吐出ヘッド27より退避する。ヘッドキャップ28は、図2中矢印W方向の両端に開閉方向に設けられた一対の係合突部28aと、長手方向に設けられインク吐出ヘッド27の吐出面27aに付着した余分なインクiを吸い取るクリーニングローラ28bとを有している。ヘッドキャップ28は、係合突部28aがインク吐出ヘッド27の吐出面27aに図2中矢印W方向とは略直交方向に亘って設けられたに一対の係合溝27bに係合され、この一対の係合溝27bに沿ってインクタンク4の短手方向、すなわち図2中矢印W方向とは略直交方向に開閉するようにされている。そして、ヘッドキャップ28においては、開閉動作時に、クリーニングローラ28bがインク吐出ヘッド27の吐出面27aに当接しながら回転することで、余分なインクiを吸い取り、インク吐出ヘッド27の吐出面27aをクリーニングする。このクリーニングローラ28bには、例えば吸湿性の高い部材、具体的にはスポンジ、不織布、織布等が用いられる。また、ヘッドキャップ28は、印刷動作しないときにはインク吐出ヘッド27内のインクiが乾燥しないように吐出面27aを閉塞する。
インク吐出ヘッド27は、図5及び図7に示すように、吐出面27aよりも上方に位置して、上述したインク供給部13からインクiが供給されるインク供給口51と、このインク供給口51から供給されたインクiを各ノズルへと導くインク流路52とを有している。
インク供給口51は、インク流路52の上面中央部に設けられ、上述した弁機構34のインク流出路43と連通されている。
インク流路52は、後述する各色ノズル62aにインクiが供給されるように記録紙の幅に相当する長さに亘って略直線状を成すように設けられている。
そして、インク流路52には、その長尺方向の両端部52aに流路内のインクi中に生じる波動を吸収する波動吸収部53が設けられている。この波動吸収部53は、例えばウレタン等の有機樹脂材料等からなる発泡性樹脂材等からなり、インク流路52内のインクi中をインク流路52の長尺方向の端部52aに向かって伝播してきた波動を吸収する。具体的には、後述する発熱抵抗体65がインクi中に発生させた気泡による圧力波を端部52aで伝播してきた方向に反射させないように吸収する。
これにより、インク流路52では、例えば波動の波長や、流路の長さ等、諸条件が流路内のインクi中に定在波発生を裏付ける数1に示す一般式を満たしても、流路内のインクi中に定在波が発生することを防止できる。
L=n(λ/2)・・・(数1)
(但し、Lはインク流路の長さであり、nは自然数であり、λは圧力波の波長である。)
なお、以上では、波動吸収部53としてインク流路52の両端部52aに発泡樹脂材を設けた構成を例に挙げて説明したが、このような構成に限定されることはなく、例えばインク流路52の長尺方向の端面に、この面に対して略垂直に突出する突片を1つ以上設け、流路内のインクi中を伝播して端面にまで達した波動を乱反射させることでインク流路52内のインクi中に定在波が発生することを防止するような構成にさせることも可能である。
このインク吐出ヘッド27には、後述するノズル62aを所定数で一組とするヘッドチップ54が、色毎に千鳥状に配置されている。すなわち、このヘッドチップ54は、図8に示すように、色毎に、インク流路52を挟んで記録紙Pの幅方向に互い違いに並ぶように配置されている。
ヘッドチップ54は、図9に示すように、ベースとなる回路基板61と、複数のノズル62aが形成されたノズルシート62と、回路基板61とノズルシート62との間をノズル62a毎に区画するフィルム63と、インク流路52を通して供給されたインクiを加圧するインク液室64と、インク液室64に供給されたインクiを加熱する発熱抵抗体65とを有している。
回路基板61は、シリコン等からなる半導体ウェハ上に、ロジックIC(Integrated Circuit)やドライバートランジスタ等からなる制御回路を構成すると共に、インク液室64の上面部を形成している。
ノズルシート62は、吐出面27aに向かって縮径されたノズル62aが穿設されると共に、回路基板61とフィルム63を挟んで対向配置されることで、インク液室64の下面部を形成している。
フィルム63は、例えば露光硬化型のドライフィルムレジストからなり、上述したインク流路52と連通される部分を除いて各ノズル62aの周囲を囲むように形成されている。また、このフィルム63は、回路基板61とノズルシート62との間に介在されることによって、インク液室64の側面部を形成している。
インク液室64は、上述した回路基板61、ノズルシート62及びフィルム63により囲まれることで、ノズル62a毎にインク流路52から供給されたインクiを加圧する加圧空間を形成している。
発熱抵抗体65は、インク液室64に臨む回路基板61に配置されると共に、この回路基板61の制御回路と電気的に接続されている。そして、この発熱抵抗体65は、制御回路により制御されながら、インク液室64内のインクiを加熱する。
そして、このヘッドチップ54では、回路基板61の制御回路が発熱抵抗体65を制御し、選択された発熱抵抗体65に対して、例えば1〜3マイクロ秒程度の間だけパルス電流を供給する。これにより、発熱抵抗体65が急速に加熱される。すると、発熱抵抗体65と接するインク液室64内のインクiに気泡が発生する。そして、このインク液室64内において、気泡が膨張しながらインクiを加圧し、押し退けられたインクiの液滴がノズル62aから吐出される。また、インクiの液滴が吐出された後は、インク液室64にインク流路52を通してインクiが供給されることによって、再び吐出前の状態へと戻る。
具体的には、発熱抵抗体65によってインクiが急速に加熱されると、インクiの温度は急速に沸点を超えて上昇する。そして、インク温度が300℃程度に熱せられて自発核生成温度に達すると、図10に示すように、瞬間的に発熱抵抗体65上に無数のインク気泡bが発生する。そして、インク液室64内では、図11に示すように、インクi中の過剰エネルギーが一気に放出されてインク気泡bの内圧が上昇する。
そして、インク気泡bは、図12に示すように、急激に成長する。そして、インク液室64内のインクiは、図13に示すように、インク気泡bの成長の勢いでノズル62aから飛び出し、インク気泡bはその膨張に伴い減圧されて収縮する。ノズル62aより飛び出したインクiは、図14に示すように、その慣性とインク気泡bの収縮によってノズル62aより外に伸びた尾が切れる、すなわちノズル62aよりインクiが吐出される。
そして、インク液室64内のインク気泡bは、図15に示すように、発熱抵抗体65上で崩壊する。そして、インク液室64には、図16に示すように、元のメニスカス(ノズル62aの液面)に戻ろうとするノズル62aの毛細管力によってノズル62aより吐出された量と同量のインクiが、インク流路52から供給される。このようにして、ヘッドチップ54では、インクiをノズル62aより吐出する。
なお、上述したヘッドチップ54は、回路基板61の一主面上にフィルム63を全面に亘って形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてフィルム63をインク液室64に対応した形状に成形した後に、この上にノズルシート62を積層することで形成される。
また、上述したヘッドチップ54は、発熱抵抗体65によってインクiを加熱しながら吐出させる電気熱変換方式を採用しているが、このような方式に限定されず、例えば圧電素子等の電気機械変換素子によってインクiの液滴を電気機械的に吐出させる電気機械変換方式を採用したものであってもよい。
また、上述した各色に対応したインク供給部13の下方には、それぞれインク吐出ヘッド27が設けられている。そして、カートリッジ本体21の底面部には、各色のインク吐出ヘッド27の吐出面27aが、それぞれカートリッジ本体21の短尺方向に並んで設けられており、これらは連続した吐出面27aを形成している。すなわち、ヘッドカートリッジ2は、各色に対応するインク吐出ヘッド27が一体化されて連続した吐出面27aを形成する、いわゆるマルチラインヘッドを有している。そして、このインク吐出ヘッド27には、色毎に、ノズル62aを100個〜5000個程度備え、全体では吐出面27aに400個〜20000個程度のノズル62aが設けられている。また、このインク吐出ヘッド27においては、各ノズル62aより約7000分の1秒毎にインクiを吐出する、高速吐出を行うことが可能になっている。
このようなインク吐出ヘッド27では、インクiをノズル62aより吐出する際のインク気泡bが発生し、収縮するときに、インク気泡bによってインク液室64内のインクi中に圧力波が生じ、この圧力波がインク流路52内のインクi中にまで伝播する。そして、インク吐出ヘッド27では、例えばインク流路52の長尺方向の長さや、圧力波の周波数等といった諸条件が上述した数1に示す一般式を満たす場合、インク流路52内のインクi中に定在波が発生する。
しかしながら、このインク吐出ヘッド27では、インク流路52の長尺方向の両端部52aに波動吸収部53が設けられており、インク流路52を長尺方向に伝播した圧力波が両端部52aで吸収され、圧力波が端部52aで反射されないことから、インク流路52内のインクi中に定在波が発生することが防止される。
これにより、このインク吐出ヘッド27では、インク流路52のインクi中に定在波が発生することで起こっていたインク流路52内のインクに圧力ムラが生じることを防止でき、インク流路52内のインクの圧力を略均一にできることから、インク液室64にはインクiを吐出した後のノズル62a内に再びメニスカスを形成しようとする毛細管力により適切な量のインクiが供給される。
したがって、このインク吐出ヘッド27では、適切な量のインクiが供給されたインク液室64に対応するノズル62aより、過不足のない量のインクiを液滴の状態で吐出できる。
次に、以上で説明したヘッドカートリッジ2が装着されるプリンタ装置1を構成するプリンタ本体3について図面を参照して説明する。
プリンタ本体3は、図1及び図17に示すように、ヘッドカートリッジ2が装着されるヘッドカートリッジ装着部71と、ヘッドカートリッジ2をヘッドカートリッジ装着部71に保持、固定するためのヘッドカートリッジ保持機構72と、ヘッドキャップを開閉するヘッドキャップ開閉機構73と、記録紙Pを給排紙する給排紙機構74と、給排紙機構74に記録紙Pを供給する給紙口75と、給排紙機構74から記録紙Pが出力される排紙口76とを有する。
ヘッドカートリッジ装着部71は、ヘッドカートリッジ2が装着される凹部であり、走行する記録紙にデータ通り印刷を行うため、インク吐出ヘッド27の吐出面27aと走行する記録紙Pの紙面とが互いに略平行となるようにヘッドカートリッジ2が装着される。そして、ヘッドカートリッジ2は、インク吐出ヘッド27内のインク詰まり等で交換する必要が生じる場合等があり、インクタンク4程の頻度はないが消耗品であるため、ヘッドカートリッジ装着部71に対して着脱可能にヘッドカートリッジ保持機構72によって保持される。
ヘッドカートリッジ保持機構72は、ヘッドカートリッジ装着部71にヘッドカートリッジ2を着脱可能に保持するための機構であり、ヘッドカートリッジ2に設けられたつまみ72aをプリンタ本体3の係止孔72b内に設けられた図示しないバネ等の付勢部材に係止することによってプリンタ本体3に設けられた基準面3aに圧着するようにしてヘッドカートリッジ2を位置決めして保持、固定できるようにする。
ヘッドキャップ開閉機構73は、ヘッドカートリッジ2のヘッドキャップ28を開閉する駆動部を有しており、印刷を行うときにヘッドキャップ28を開放してインク吐出ヘッド27の吐出面72aが記録紙Pに対して露出するようにし、印刷が終了したときにヘッドキャップ28を閉塞してインク吐出ヘッド27を保護する。
給排紙機構74は、記録紙Pを搬送する駆動部を有しており、給紙口75から供給される記録紙Pをヘッドカートリッジ2のインク吐出ヘッド27まで搬送し、ノズル62aより吐出されたインク液滴が着弾し、印刷された記録紙Pを排紙口76に搬送して装置外部へ排出する。
給紙口75は、給排紙機構74に記録紙Pを供給する開口部であり、トレイ75a等に複数枚の記録紙Pを積層してストックすることができる。排紙口76は、インク液滴が着弾し、印刷された記録紙Pを排出する開口部である。
次に、以上のように構成されたプリンタ装置1による印刷を制御する図18に示す制御回路81について図面を参照して説明する。
制御回路81は、上述したプリンタ本体3のヘッドキャップ開閉機構73、給排紙機構74等の駆動を制御するプリンタ駆動部82と、各色のインクiに対応するインク吐出ヘッド27に供給される電流等を制御する吐出制御部83と、各色のインクiの残量を警告する警告部84と、外部装置と信号の入出力を行う入出力端子85と、制御プログラム等が記録されたROM(Read Only Memory)86と、読み出された制御プログラム等を一旦格納し、必要に応じて読み出されるRAM(Random Access Memory)87と、各部の制御を行う制御部88とを有している。
プリンタ駆動部82は、制御部88からの制御信号に基づき、ヘッドキャップ開閉機構73を構成する駆動モータを駆動させてヘッドキャップ28を開閉動作するように、ヘッドキャップ開閉機構を制御する。また、プリンタ駆動部82は、制御部88からの制御信号に基づき、給排紙機構74を構成する駆動モータを駆動させてプリンタ本体3の給紙口75から記録紙Pを給紙し、印刷後に排紙口76から記録紙Pを排出するように給排紙機構74を制御する。
吐出制御部83は、インク吐出ヘッド27に備わる発熱抵抗体65にパルス電流を供給する外部電源との電気的な接続をオン/オフするスイッチング素子や、発熱抵抗体65に供給されるパルス電流値を調整する抵抗体や、スイッチング素子等のオン/オフの切り替えを制御する制御回路部等を有する電気回路である。そして、吐出制御部83は、制御部88からの制御信号に基づき、インク吐出ヘッド27に備わる発熱抵抗体65に供給されるパルス電流等を調整し、ノズル62aよりインクiを吐出するインク吐出ヘッド27を制御する。
警告部84は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示手段であり、印刷条件、印刷状態、インク残量等の情報を表示する。また、警告部84は、例えばスピーカ等の音声出力手段であってもよく、この場合は、印刷条件、印刷状態、インク残量等の情報を音声で出力する。なお、警告部84は、表示手段及び音声出力手段をともに有するように構成してもよい。また、この警告は、情報処理装置89のモニタやスピーカ等で行うようにしてもよい。
入出力端子85は、上述した印刷条件、印刷状態、インク残量等の情報をインタフェースを介して外部の情報処理装置89等に送信する。また、入出力端子85は、外部の情報処理装置89等から、上述した印刷条件、印刷状態、インク残量等の情報を出力する制御信号や、印刷データ等が入力される。ここで、上述した情報処理装置89は、例えば、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器である。
情報処理装置89等と接続される入出力端子85は、インタフェースとして例えばシリアルインタフェースやパラレルインタフェース等を用いることができ、具体的にUSB(Universal Serial Bus)、RS(Recommended Standard)232C、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394等の規格に準拠したものである。また、入出力端子85は、情報処理装置89との間で有線通信又は無線通信の何れ形式でデータ通信を行うようにしてもよい。なお、この無線通信規格としては、IEEE802.11a,802.11b,802.11g等がある。
入出力端子85と情報処理装置89との間には、例えばインターネット等のネットワークが介在していてもよく、この場合、入出力端子85は、例えばLAN(Local Area Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、xDSL(Digital Subscriber Line)、FTHP(Fiber To The Home)、CATV(Community Antenna TeleVision)、BS(Broadcasting Satellite)等のネットワーク網に接続され、データ通信は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の各種プロトコルにより行われる。
ROM86は、例えばEP−ROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)等のメモリであり、制御部88が行う各処理のプログラムが格納されている。この格納されているプログラムは、制御部88によりRAM87にロードされる。RAM87は、制御部88によりROM86から読み出されたプログラムや、プリンタ装置1の各種状態を記憶する。
制御部88は、入出力端子85から入力された印刷データ、ヘッドカートリッジ2から入力されがインクiの残量データ等に基づき、各部を制御する。制御部88は、入力された制御信号等に基づいて各部を制御する処理プログラムをROM86から読み出してRAM87に記憶し、この処理プログラムに基づき各部の制御や処理を行う。
なお、以上のように構成された制御回路81においては、ROM86に処理プログラムを格納するようにしたが、処理プログラムを格納する媒体としては、ROM86に限定されるものでなく、例えば処理プログラムが記録された光ディスクや、磁気ディスク、光磁気ディスク、ICカード等の各種記録媒体を用いることができる。この場合に制御回路81は、各種記録媒体を駆動するドライブと直接又は情報処理装置89を介して接続されてこれら記録媒体から処理プログラムを読み出すように構成する。
ここで、以上のように構成されるプリンタ装置1の印刷動作について図19に示すフローチャートを参照にして説明する。なお、本動作はROM86等の記憶手段に格納された処理プログラムに基づいて制御部88内の図示しないCPU(Central Processing Unit)の演算処理等により実行されるものである。
先ず、ユーザが、印刷動作をプリンタ装置1が実行するように、プリンタ本体3に設けられている操作パネル等を操作して命令する。次に、制御部88は、ステップS1において、各装着部22に所定の色のインクタンク4が装着されているかどうかを判断する。そして、制御部88は、全ての装着部22に所定の色のインクタンク4が適切に装着されているときはステップS2に進み、装着部22においてインクタンク4が適切に装着されていないときはステップS7に進み、印刷動作を禁止する。
制御部88は、ステップS2において、インクタンク4内のインクiが所定量以下、すなわちインク無し状態であるか否かを判断し、インク無し状態であると判断されたときは、警告部84でその旨を警告し、ステップS7において、印刷動作を禁止する。一方、制御部88は、インクタンク4内のインクiが所定量以上であるとき、すなわちインクiが満たされているとき、ステップS3において、印刷動作を許可する。
印刷動作を行う際は、ステップS4において、制御部88がプリンタ駆動部82によって各駆動機構73,74を駆動制御して記録紙Pを印刷可能な位置まで移動させる。具体的に、制御部88は、図20に示すように、ヘッドキャップ開閉機構73を構成する駆動モータを駆動させてヘッドキャップ28をヘッドカートリッジ2に対してトレイ75a側に移動させ、インク吐出ヘッド27のノズル62aを露出させる。そして、制御部88は、給排紙機構74を構成する駆動モータを駆動させて記録紙Pを走行させる。具体的に、制御部88は、トレイ75aから給紙ローラ91によって記録紙Pを引き出し、同一方向に回転する一対の分離ローラ92a,92bによって引き出された記録紙Pの一枚を反転ローラ93に搬送して搬送方向を反転させた後に搬送ベルト94に記録紙Pを搬送し、搬送ベルト94に搬送された記録紙Pを押さえ手段95が所定の位置で保持させることでインクiが着弾される位置が決定されるように給排紙機構74を制御する。
次に、制御部88は、ステップS5において、吐出制御部83によってインク吐出ヘッド27を制御し、この印刷位置に搬送された記録紙Pに対してノズル62aよりインク液滴を吐出、着弾させてインクドットからなる画像や文字等を記録させる。
このとき、インク吐出ヘッド27では、例えばインク流路52の長尺方向の長さや、圧力波の周波数等といった諸条件が上述した数1に示す一般式を満たし、インク流路52のインクi中に定在波を生じさせるような場合でも、インク流路52の長尺方向の両端部52aに波動吸収部53が設けられており、インク流路52を長尺方向に伝播したインク気泡bによって発生した圧力波が両端部52aで吸収され、圧力波が端部52aで反射されないことから、インク流路52内のインクi中に定在波が発生することが防止される。
そして、インク液滴がノズル62a吐出されると、インク液滴を吐出した量と同量のインクiがインク流路52から直ちにノズル62に元のメニスカスを形成させようとする毛細管力によってインク液室64内に補充され、図6(B)に示すように、元の状態に戻る。インク吐出ヘッド27からインク液滴が吐出されると、付勢部材46の付勢力とダイアフラム49の付勢力とによってインク室42の開口部44を閉塞している弁45は、図6(A)に示すように、インク吐出ヘッド27からインク液滴が吐出された際に、開口部44に分割されたインク流出路43側のインク室42内のインクiの負圧が高まると、インクiの負圧によりダイアフラム49が大気圧により押し上げられて、弁シャフト48と共に弁45を付勢部材46の付勢力に抗して押し上げる。このとき、インク室42のインク流入路41側とインク流出路43側との間の開口部44が開放され、インクiがインク流入路41側からインク流出路43側に供給され、インク吐出ヘッド27のインク流路56にインクiが補充される。そして、インクiの負圧が低下してダイアフラム49が復元力により元の形状に戻り、付勢部材46の付勢力により弁シャフト48と共に弁45をインク室42が閉塞するように引き下げる。以上のようにして弁機構34では、インク液滴を吐出する度にインクiの負圧が高まると、上述の動作を繰り返す。
このようにして、給排紙機構74によって走行している記録紙Pには、順に印刷データに応じた文字や画像が優れた画質で印刷されることになる。そして、印刷が終了した記録紙Pは、ステップS6において、給排紙機構74によって排紙口76より排出される。
以上で説明したプリンタ装置1では、例えばインク流路52の長尺方向の長さや、圧力波の周波数等といった諸条件が上述した数1に示す一般式を満たすような場合でも、インク流路52の長尺方向の両端部52aに波動吸収部53が設けられていることから、インク流路52内のインクi中に定在波が発生することを防止できる。
これにより、このプリンタ装置1では、インク流路52のインクi中に発生した定在波によってインク流路52内のインクiに圧力ムラが生じることを防止でき、インク流路52内のインクiの圧力を略均一にできることから、インク液室64には過不足のない適切な量のインクiを安定して供給できる。
したがって、このプリンタ装置1では、適切な量のインクiが供給されたインク液室64に対応するノズル62aより、過不足のない量のインクiが吐出されることから、所定量のインクiが記録紙Pに着弾されて色の濃度ムラの無い優れた画質の印刷を行うことができる。
また、このプリンタ装置1では、例えば1つのノズル62aより1秒間に約7000回インクiを吐出するような高速吐出を行う場合、すなわち約7000分の1秒毎に十分な量のインクiを各ノズル62aに供給する必要がある場合でも、インク液室64に過不足のない適切な量のインクiを安定して供給できることから、約7000分の1秒毎に過不足のない量のインクiが各ノズル62aより吐出され、色の濃度ムラの無い優れた画質で高速印刷を行える。
なお、以上では、略直線上に形成されたインク流路52を例に挙げて説明したが、このような構成に限定されることはなく、図21に示すヘッドカートリッジ101のように、インク流路102に折曲部103を設けるような構成にしても上述した作用効果が得られる。ヘッドカートリッジ101においては、インク流路102以外の部位は、上述したヘッドカートリッジ2と同様な構成及び同様な機能であることから、その説明を省略すると共に、図21においては同じ符号を付すものとする。
このヘッドカートリッジ101のインク流路102には、上述したインク流路52と同様、両端部102aに波動吸収部53が設けられ、両端部102aの間に同一方向に折曲された折曲部103が一カ所以上形成されている。なお、ここでは、折曲部103が2カ所形成されたインク流路102について説明する。
そして、この折曲部103には、インク流路102内のインクi中にインク気泡bにより発生した圧力波を波動吸収部53に向かって、すなわち図21中矢印B方向に反射させるための波動反射面103aが形成されている。この波動反射面103aは、図22に示すように、インク流路102内のインクiをインク流路102の長手方向に伝播される圧力波を、波動吸収部53に向かって適切に反射させることが可能であれば、曲面にされていてもよい。
このようなヘッドカートリッジ101では、例えばカートリッジ本体21の設計上、インク流路102を長尺方向に長くすることができず、略直線状に形成させるインク流路52の両端部52aに波動吸収部53を設けるスペースがないときに、インク流路102の折曲部103をカートリッジ本体21の長尺方向の端部付近に配置することで、波動吸収部53を吐出面27aに対して略垂直方向に設けることができる。すなわち、ヘッドカートリッジ101では、インク流路102に波動反射面103aを有する折曲部103が形成されていることで、カートリッジ本体21の所定のスペース、具体的には構造上空いているスペースに波動吸収部53を配置することができ、小型化を図ることができる。
なお、ここでは、インク流路102を吐出面27aに対して上方へ略垂直に折曲させたが、このようなことに限定されることはなく、折曲させる方向はカートリッジ本体21に波動吸収部53を設けるスペースが有れば吐出面27aの面内方向と略平行方向に折曲でき、且つ折曲する角度は波動反射面103aで圧力波を波動吸収部53に向かって反射できれば所定の角度にできる。
なお、上述したヘッドカートリッジ2では、カートリッジ本体21に対してインクタンク4が着脱可能となっているが、このような構成に必ずしも限定されるものではない。すなわち、このヘッドカートリッジ2自体が消耗品として取り扱われており、プリンタ本体3に対して着脱可能なことから、このカートリッジ本体21にインクタンク4が一体に設けられた構成とすることも可能である。
以上は、本発明をプリンタ装置に適用した例について説明したが、本発明は、以上の例に限定されるものではなく、液体を吐出する他の液体吐出装置に広く適用することが可能である。例えばファクシミリやコピー機、液体中のDNAチップ用吐出装置(特開2002−253200号公報)、プリンタ配線基板の配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出したりする液体吐出装置等にも適用可能である。
以上では、1つの発熱抵抗体65がインクiを加熱して吐出するインク吐出ヘッド27を例に挙げて説明したが、このような構造に限定されることはなく、複数の圧力発生素子を備え、各圧力発生素子に異なるエネルギー又は異なるタイミングでエネルギーを供給することで吐出方向を制御することが可能な吐出手段を備える液体吐出装置にも適用可能である。
以上では、1つの発熱抵抗体65によってインクiを加熱しながらノズル62aから吐出させる電気熱変換方式を採用しているが、このような方式に限定されず、例えばピエゾ素子といった圧電素子等の電気機械変換素子等によってインクを電気機械的にノズルより吐出させる電気機械変換方式(特開昭55−65559号公報、特開昭62−160243号公報、特開平2−270561号公報)を採用したものであってもよい。
以上では、ライン型のプリンタ装置1を例に挙げて説明したが、このことに限定されることはなく、例えばインクヘッドが記録紙Pの走行方向と略直交する方向に移動するシリアル型の液体吐出装置にも適用可能である。
本発明が適用されたプリンタ装置を示す斜視図である。 同プリンタ装置に備わるヘッドカートリッジを示す斜視図である。 同ヘッドカートリッジを示す断面図である。 同ヘッドカートリッジにインクタンクが装着されたときのインク供給部を示しており、同図(A)は供給口が閉塞された状態を示す模式図であり、同図(B)は供給口が開口された状態を示す模式図である。 同ヘッドカートリッジにおけるインクタンクとインク吐出ヘッドとの関係を示す模式図である。 同インクタンクの接続部における弁機構を示しており、同図(A)は弁が閉じた状態を示す断面図であり、同図(B)は弁が開いた状態を示す断面図である。 同インク吐出ヘッドの要部を一部透視して示す斜視図である。 同インク吐出ヘッドの吐出面を一部透視して示す平面図である。 同インク吐出ヘッドのヘッドチップの構造を示す断面図である。 同ヘッドチップがインクを吐出する動作を説明する図であり、発熱抵抗体上に気泡が発生した状態を示す断面図である。 同ヘッドチップがインクを吐出する動作を説明する図であり、発熱抵抗体上の気泡が成長した状態を示す断面図である。 同ヘッドチップがインクを吐出する動作を説明する図であり、発熱抵抗体上の気泡がさらに成長した状態を示す断面図である。 同ヘッドチップがインクを吐出する動作を説明する図であり、ノズルよりインクが押し出される状態を示す断面図である。 同ヘッドチップがインクを吐出する動作を説明する図であり、ノズルよりインクが吐出された状態を示す断面図である。 同ヘッドチップがインクを吐出する動作を説明する図であり、発熱抵抗体上の気泡が収縮する状態を示す断面図である。 同ヘッドチップがインクを吐出する動作を説明する図であり、毛細管力によりインクがインク液室に供給される状態を示す断面図である。 同プリンタ装置の一部を透視して示す側面図である。 同プリンタ装置の制御回路を模式的に示すブロック図である。 同プリンタ装置の印刷動作を説明するフローチャートである。 同プリンタ装置において、ヘッドキャップが開いている状態を一部透視して示す側面図である。 同ヘッドカートリッジのインク流路に折曲部が形成された状態を示すに模式図である。 同インク流路に形成された折曲部の波動反射面が曲面にされている状態を示すに模式図である。 従来の液体吐出ヘッドを示しており、インク流路内に圧力波が発生した状態を一部透視して示す模式図である。 同液体吐出ヘッドのインク流路内に定在波が発生した状態を一部透視して示す模式図である。 同液体吐出ヘッドのインク流路内に定在波が発生した他の例を一部透視して示す模式図である。
符号の説明
1 インクジェットプリンタ装置、2,101 インクジェットプリンタヘッドカートリッジ、3 プリンタ本体、4 インクタンク、21 カートリッジ本体、27 インク吐出ヘッド、27a 吐出面、52,102 インク流路、52a,102a 端部、53 波動吸収部、54 ヘッドチップ、61 回路基板、62 ノズルシート、62a ノズル、63 フィルム、64 インク液室、65 発熱抵抗体、81 制御回路、82 プリンタ駆動部、83 吐出制御部、84 警告部、85 入出力端子、86 ROM、87 RAM、88 制御部、103 折曲部、103a 波動反射面

Claims (8)

  1. 液体を吐出して対象物に着弾させる液体吐出装置に着脱自在に取り付けられる液体吐出カートリッジにおいて、
    上記液体が充填された液体収容部より流入した上記液体の導入路となる流路と、
    上記流路を介して供給された上記液体を収容する液室と、上記液室に設けられ、上記液室に収容された上記液体を押圧する圧力を発生する圧力発生素子と、上記圧力発生素子によって押圧された上記液体を液滴の状態にして吐出する吐出口とを有する液体吐出ヘッドとを備え、
    上記流路は、上記圧力発生素子が発生した圧力によって上記流路内の液体中に生じた波動を吸収する波動吸収部を有していることを特徴とする液体吐出カートリッジ。
  2. 上記流路は、略直線状に形成され、
    上記波動吸収部は、上記流路の長尺方向の両端部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体吐出カートリッジ。
  3. 上記吐出口は、上記流路に沿うようにして略直線状に並設されていることを特徴とする請求項2記載の液体吐出カートリッジ。
  4. 上記流路は、折曲部を有し、この折曲部に、上記波動を上記波動吸収部に向かって反射させる反射面が設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体吐出カートリッジ。
  5. 液体を吐出して対象物に着弾させる液体吐出装置において、
    上記液体が充填された液体収容部より流入した上記液体の導入路となる流路と、上記流路より介して供給された液体を液滴の状態で吐出する液体吐出ヘッドとを有する液体吐出カートリッジと、
    上記液体吐出ヘッドが上記液滴を吐出するときの吐出動作を制御する制御部とを備え、
    上記液体吐出ヘッドは、上記流路を介して供給された上記液体を収容する液室と、上記液室に設けられ、上記液室に収容された上記液体を押圧する圧力を発生する圧力発生素子と、上記圧力発生素子によって押圧された上記液体を吐出する吐出口とを有し、
    上記流路は、上記圧力発生素子が発生した圧力によって上記流路内の液体中に生じた波動を吸収する波動吸収部を有していることを特徴とする液体吐出装置。
  6. 上記流路は、略直線状に形成され、
    上記波動吸収部は、上記流路の長尺方向の両端部に設けられていることを特徴とする請求項5記載の液体吐出装置。
  7. 上記吐出口は、上記流路に沿うようにして略直線状に並設されていることを特徴とする請求項6記載の液体吐出装置。
  8. 上記流路は、折曲部を有し、この折曲部に、上記波動を上記波動吸収部に向かって反射させる反射面が設けられていることを特徴とする請求項5記載の液体吐出装置。
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