JP4426488B2 - 熱収縮性積層フィルム及び該フィルムを用いた成形品、容器 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明の目的は、以下の熱収縮性積層フィルムにより達成される。
(1)(I)層と(III)層との間に(II)層を有する少なくとも3層からなる積層フィルムであって、各層が下記成分を主成分とする樹脂からなるとともに、フィルム全体の厚みに対する前記(I)層の厚み比が10%以上70%以下であり、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬させたときの熱収縮率が少なくとも一方向において40%以上であり、30℃50%RH雰囲気下で30日間保管したときの自然収縮率が3%未満であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
(I)層:ポリエステル系樹脂
(II)層:スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体であり、スチレン系炭化水素の含有率が5質量%以上50質量%以下である樹脂
(III)層:スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体とスチレン系共重合体とからなり、前記スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体とスチレン系共重合体との質量比が60/40乃至95/5である混合物
(2)前記(II)層が、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体100質量部に対し、粘着付与樹脂を5質量部以上100質量部以下含有する(1)に記載の熱収縮性積層フィルム。
(3)前記粘着付与樹脂が、石油樹脂、テルペン系樹脂、及びロジン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である(2)に記載の熱収縮性積層フィルム。
(4)前記(I)層の主成分を構成するポリエステル系樹脂が、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分とからなり、全ジオール成分中に1,4−シクロヘキサンジメタノールを15モル%以上50モル%以下含有する非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする樹脂である(1)乃至(3)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
(5)前記(III)層の主成分を構成するスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体中のスチレン系炭化水素の含有率が55質量%以上90質量%以下である樹脂(1)乃至(4)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
(6)JIS K7127に準拠して測定されるフィルム主収縮方向と直交する方向の引張弾性率が1400MPa以上である(1)乃至(5)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム
(7)前記(II)層の厚みが0.5μm以上5μm以下である(1)乃至(6)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた成形品。
(9)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル。
(10)(8)に記載の成形品又は(9)に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
本発明の熱収縮性積層フィルム(以下「本発明のフィルム」ともいう。)は、ポリエステル系樹脂を主成分とする(I)層と、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体とスチレン系共重合体との混合樹脂を主成分とする(III)層との間に、接着性を持たせる目的で、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体を主成分とする(II)層を形成してなる。
本発明のフィルムの(I)層は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とを含む少なくとも1種の熱可塑性ポリエステル樹脂を主成分とするポリエステル系樹脂を主成分として構成される。
本発明におけるフィルムの(III)層は、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体とスチレン系共重合体との混合樹脂を主成分として構成される。
本発明における(II)層は、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体と粘着付与樹脂との混合樹脂を主成分として構成される。
各層の厚み比は、上述した作用効果を考慮して設定すればよく、特に限定されるものではない。(I)層のフィルム全体の厚みに対する厚み比は10%以上、好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%であり、前記厚み比の上限は70%以下、好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下である。また(III)層のフィルム全体の厚みに対する厚み比は、20%以上、好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上であり、上限は80%以下、好ましくは75%以下、さらに好ましくは70%以下である。さらに(II)層はその機能から、0.5μm以上、好ましくは0.75μm以上、さらに好ましくは1μm以上であり、上限は6μm以下、好ましくは5μm以下の範囲であることが望ましい。各層の厚み比が上記範囲内であれば、フィルムの腰(常温での剛性)、収縮仕上がり性、再生添加時の透明性、自然収縮に優れ、かつフィルムの層間剥離が抑制された、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムがバランスよく得ることができる。
本発明のフィルムの腰(常温での剛性)は、フィルムの主収縮方向と直交する方向の引張弾性率が1400MPa以上であることが好ましく、1500MPaであることがより好ましく、1600MPa以上であることがさらに好ましい。また、通常使用される熱収縮性フィルムの引張弾性率の上限値は3000MPa程度であり、好ましくは2900MPa程度であり、さらに好ましは2800MPa程度である。フィルムの主収縮方向と直交する方向の引張弾性率が1400MPa以上あれば、フィルム全体としての腰(常温での剛性)を高くすることができ、特にフィルムの厚みを薄くした場合においても、ペットボトルなどの容器に製袋したフィルムをラベリングマシン等で被せる際に、斜めに被ったり、フィルムの腰折れなどで歩留まりが低下したりしやすいなどの問題点が発生し難く、好ましい。上記引張弾性率は、JISK7127に準じて、23℃の条件で測定することができる。上記フィルムの引張弾性率を調整する手段としては、各層を構成する樹脂の組成を本発明で規定する範囲に調整することのほか、(I)層のフィルム全体の厚みに対する厚み比を10%以上70%以下に調整すること、及び(II)層の厚みを5μm以下に調整することが挙げられる。
なお、本明細書においてフィルムの主収縮方向とは、縦方向と横方向のうち延伸方向の大きい方を意味し、例えば、ボトルに装着する場合にはその外周方向に相当する方向である。
本発明のフィルムは、フィルムの低温収縮性、収縮仕上がり性、透明性、自然収縮等に優れているため、その用途が特に制限されるものではないが、必要に応じて印刷層、蒸着層その他機能層を形成することにより、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器等の様々な成形品として用いることができる。特に本発明のフィルムを食品容器(例えば清涼飲料水用または食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用熱収縮性ラベルとして用いる場合、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗なラベルが装着された容器が得られる。本発明の成形品および容器は、通常の成形法を用いることにより作製することができる。
なお、実施例に示す測定値及び評価は次のように行った。実施例では、積層フィルムの引き取り(流れ)方向を「縦」方向、その直角方向を「横」方向と記載する。
JISK7127に準じて、温度23℃の条件でフィルムの主収縮方向と直交する方向(縦方向)について測定した。また、下記の基準で評価した結果も併記した。
◎:引張弾性率が1600MPa以上
○:引張弾性率が1400MPa以上1600MPa未満
×:引張弾性率が1400MPa未満
フィルムを縦100mm、横100mmの大きさに切り取り、70℃、80℃及び90℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、収縮量を測定した。熱収縮率は、縦方向及び横方向について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
縦100mm、横1000mmの大きさにフィルムを切り取り、30℃の雰囲気の恒温槽に30日間放置し、主収縮方向について、収縮前の原寸に対する収縮量を測定し、その比率を%値で表示した。
JIS K7105に準拠してフィルム厚み50μmでフィルムのヘーズ値を測定した。
JIS K7127に準じて、温度0℃、試験速度100mm/分の条件でフィルムの主収縮方向と直交する方向(縦方向)について測定した。
フィルムの横方向の両端より10mmの位置で、THF90質量%、n−ヘキサン10質量%からなる混合溶剤を用いて接着し、筒状ラベルを製造した。シール部分を円周と直角方向に5mm幅に切り取り、それを恒温槽付引張試験機((株)インテスコ製「201X」)を使用し、剥離試験を行った。層間剥離強度を以下の数値で評価した。
◎:層間剥離強度が6N/15mm幅以上
○:層間剥離強度が4N/15mm幅以上6N/15mm幅未満
×:層間剥離強度が2N/15mm幅未満
得られた熱収縮性積層フィルムを粉砕器を用いて粉砕し、再生ペレット化した後、フィルム総量に対して30質量%に相当する量を中間層(III)層にリターンして、各実施例と同様、再生添加フィルムを得た。得られた厚み50μmのフィルムを用いて、JIS K7105に準拠してヘーズ値を測定した。また、下記の基準で評価した結果も併記した。
◎:ヘーズ値が7%未満
○:ヘーズ値が7%以上10%未満
×:ヘーズ値が10%以上
表1に示すように、イーストマンケミカル社製ポリエステル樹脂 商品名『coplyester6763』(以下「PETGと略称する」)を(I)層とし、旭化成ケミカルズ社製SBS(スチレン/ブタジエン=71/29 ビカット軟化点70℃)(以下「M1と略称する」):45質量%、旭化成ケミカルズ社製SBS(スチレン/ブタジエン=82/18 ビカット軟化点73℃)(以下「M2と略称する」):35質量%、PSジャパン社製GPPS 商品名『HF77』(以下M3と略称する):20質量%からなる混合樹脂100質量部に対し、酸化防止剤(住友化学社製、商品名:スミライザーGS)0.3質量部を添加した樹脂を(III)層とし、JSRクレイトンポリマー社製SIS 商品名『クレイトンD1124』(以下「AD1」と略称する):85質量%と荒川化学社製部分水添石油樹脂 商品名『アルコンM90』(以下「AD4」と略称する):15質量%との混合樹脂を(II)層として、それぞれ別個の三菱重工業株式会社製単軸押出機に投入し、設定温度230℃で溶融混合後、各層の厚みが(I)層/(II)層/(III)層/(II)層/(I)層=40μm/10μm/150μm/10μm/40μmとなるよう3種5層ダイスより共押出し、50℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅300mm、厚さ250μmの未延伸積層シートを得た。次いで、京都機械株式会社製フィルムテンターにて、予熱温度110℃、延伸温度93℃で横一軸方向に5.0倍延伸した後、冷風で急冷して、厚さ50μmの熱収縮性積層フィルムを得た。評価項目の全てが◎であったフィルムを(◎)、○が含まれるフィルムを(○)、1つでも×があったフィルムを(×)として総合評価した。評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、実施例1において、(III)層に用いたM1とM2とM3の質量比をM1:35質量%、M2:30質量%、M3:35質量%とし、(II)層に用いたAD1とクラレ社製SIS 商品名『ハイブラー5125』(以下「AD2」と略称する)の質量比をAD1:60質量%、AD2:40質量%と変更した以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、実施例2において、(II)層にAD1単体を用いた以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、実施例1において、(III)層に用いたM1とM2とM3の質量比をM1:45質量%、M2:25質量%、M3:30質量%とし、(II)層をAD2:70質量%とAD4:30質量%との混合樹脂に変更した以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、実施例3において、(II)層に用いたAD1を三井・デュポンポリケミカル(株)製エチレン−酢酸ビニル共重合体(VA含有量14%)商品名『エバフレックス EV560』(以下「AD3」と略称する)に変更した以外は、実施例3と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、実施例1において、(III)層をM1:40質量%、M3:60質量%の混合樹脂とした以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルムを作製しようとしたが、フィルム延伸途中で破断が生じ、所定倍率で延伸した熱収縮性積層フィルムを得ることができなかった。
表1に示すように、実施例1において、(II)層を有さず、未延伸積層シートでの各層の厚みを(I)層/(III)層/(I)層=45μm/160μm/45μmと変更した以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、実施例1において、(III)層をM1:60質量%、M2:40質量%との混合樹脂とした以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、実施例1において、未延伸積層シートでの各層の厚み(I)層/(II)層/(III)層/(II)層/(I)層=10μm/10μm/210μm/10μm/10μmとした以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
Claims (10)
- (I)層と(III)層との間に(II)層を有する少なくとも3層からなる積層フィルムであって、各層が下記成分を主成分とする樹脂からなるとともに、フィルム全体の厚みに対する前記(I)層の厚み比が10%以上70%以下であり、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬させたときの熱収縮率が少なくとも一方向において40%以上であり、30℃50%RH雰囲気下で30日間保管したときの自然収縮率が3%未満であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
(I)層:ポリエステル系樹脂
(II)層:スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体であり、スチレン系炭化水素の含有率が5質量%以上50質量%以下である樹脂
(III)層:スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体とスチレン系共重合体とからなり、前記スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体とスチレン系共重合体との質量比が60/40乃至95/5である混合物 - 前記(II)層が、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体100質量部に対し、粘着付与樹脂を5質量部以上100質量部以下含有する請求項1に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記粘着付与樹脂が、石油樹脂、テルペン系樹脂、及びロジン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(I)層の主成分を構成するポリエステル系樹脂が、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分とからなり、全ジオール成分中に1,4−シクロヘキサンジメタノールを15モル%以上50モル%以下含有する非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする樹脂である請求項1乃至3のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(III)層の主成分を構成するスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体中のスチレン系炭化水素の含有率が55質量%以上90質量%以下である請求項1乃至4のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- JIS K7127に準拠して測定されるフィルム主収縮方向と直交する方向の引張弾性率が1400MPa以上である請求項1乃至5のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(II)層の厚みが0.5μm以上5μm以下である請求項1乃至6のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた成形品。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル。
- 請求項8に記載の成形品又は請求項9に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
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