JP4425443B2 - 4−メチル−1−ペンテン重合体組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、4-メチル-1-ペンテン重合体組成物に関し、さらに詳しくは、多数回の繰り返し使用が可能であり、しかも安全衛生性に優れた4-メチル-1-ペンテン重合体組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来マンドレル、シース、電力ケーブルなどの用途には、耐熱性、剥離性が良好であることから4-メチル-1-ペンテン重合体が広く用いられている。例えば、耐熱性のある4-メチル-1-ペンテン重合体のマンドレル(芯材)上に、架橋剤、加硫剤を含む未加硫ゴムを押し出し被覆し、さらにその外周部を4-メチル-1-ペンテン重合体で被覆し、その後、加硫釜中で加硫した後に被覆材を剥離し、芯材を抜いて、加硫ゴムホースを製造する方法が知られている。このとき使用済みの4-メチル-1-ペンテン重合体からなる被覆層は、剥離粉砕されて再度押出被覆に利用され、またゴムホースから抜かれた4-メチル-1-ペンテン重合体製のマンドレルは、再度芯材として繰り返し使用されている。
【0003】
このように4-メチル-1-ペンテン重合体製の部材は、架橋剤含有重合体と接触使用された後、そのまま、または粉砕、再成形して繰り返し使用されるが、未加硫ゴム等に含有される架橋剤は、主として反応性に富む有機過酸化物系の化合物が使用されており、また未加硫ゴム等はEPDMラバーのように多官能モノマーを含有しているものが多く、これらと繰り返し接触しているうちに、架橋剤や加硫剤の移行に起因すると思われる表面の肌荒れが起こるため、用途によっては使用が困難になる場合があるという問題点があった。
【0004】
この点を改良するために、4-メチル-1-ペンテン重合体等のポリオレフィン(a)に対し、アミン化合物(b)とホスファイト化合物(c)の2種類の添加物を配合したポリオレフィン樹脂組成物を上記用途に用いることが提案されている(特開平5−320431号公報参照)。しかし、アミン化合物の使用は安全衛生上、好ましくない場合がある。また、上記組成物から成形された成形品を用いても、架橋剤含有重合体との繰り返し接触使用による表面肌荒れの問題は充分には解決されていない。
【0005】
本発明の発明者は、こうした繰り返し使用によっても肌荒れが起こりにくく、多数回の繰り返し使用が可能であり、しかも安全衛生性に優れたマンドレル、シース、電力ケーブルなどを得るべく検討した結果、不飽和カルボン酸で変性した4-メチル-1-ペンテン重合体にフェノールアクリレート化合物を特定量配合した組成物は上記のような要件を満たすことを見出して本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の目的】
すなわち本発明は、マンドレル、シース、電力ケーブルなどに使用可能であり、繰り返し使用によっても肌荒れが起こりにくく、多数回の繰り返し使用が可能であり、しかも安全衛生性に優れた4-メチル-1-ペンテン重合体組成物を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン重合体組成物は、
(A)不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体と、
(B)下記一般式(1)で表されるフェノールアクリレート化合物とからなり、不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)100重量部に対し、フェノールアクリレート化合物(B)を0.5〜15重量部の割合で含有することを特徴としている;
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、R1 は水素原子またはメチル基を示し、R2 は水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基を示し、R3 、R4 、R5 およびR6 は互いに同一でも異なっていてもよく炭素原子数1〜9のアルキル基を示す。)
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン重合体組成物は、上記不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)およびフェノールアクリレート化合物(B)に加えて、さらにヒンダードフェノール化合物(C)および/またはホスファイト化合物(D)を不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)100重量部に対してそれぞれ0.5〜15重量部の割合で含有していてもよい。
【0010】
本発明では、上記不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体が、
(E)不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体と、
必要に応じて
(F)未変性4-メチル-1-ペンテン重合体、
(G)未変性α-オレフィン重合体、および
(H)不飽和カルボン酸変性α-オレフィン重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体とからなり、
不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(E)を5〜100重量%、
未変性4-メチル-1-ペンテン重合体(F)を0〜95重量%、
未変性α-オレフィン重合体(G)を0〜50重量%、
不飽和カルボン酸変性α-オレフィン重合体(H)を0〜50重量%の割合(但し、(E)+(F)+(G)+(H)=100重量%、(G)+(H)=50重量%以下である。)で含有し、かつ(E)、(F)、(G)および(H)の合計重量に対する不飽和カルボン酸のグラフト変性量が0.1〜5重量%の範囲にあることが好ましい。
【0011】
上記不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(E)は、4-メチル-1-ペンテンから導かれる繰返し単位を80〜100重量%の割合で含有し、炭素原子数2〜20のα-オレフィンから導かれる繰返し単位を0〜20重量%の割合で含有する4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を不飽和カルボン酸でグラフト変性した変性物であって、グラフト変性量が0.1〜5重量%の範囲にあることが好ましい。
【0012】
上記未変性α-オレフィン重合体(G)は、炭素原子数2〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンの(共)重合体であることが好ましい。
上記不飽和カルボン酸変性α-オレフィン重合体(H)が、炭素原子数2〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンの(共)重合体を不飽和カルボン酸でグラフト変性した変性物であり、グラフト変性量が0.1〜5重量%の範囲にあることが好ましい。
【0013】
【発明の具体的説明】
以下本発明に係る4-メチル-1-ペンテン重合体組成物について具体的に説明する。なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
【0014】
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン重合体組成物は、(A)不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体と、(B)下記一般式(1)で表されるフェノールアクリレート化合物とからなる。
(A)不飽和カルボン酸変性 4- メチル -1- ペンテン重合体
本発明で用いられる不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)は、4-メチル-1-ペンテン重合体が不飽和カルボン酸でグラフト変性されたものである。
【0015】
4-メチル-1-ペンテン重合体は、4-メチル-1-ペンテンの単独重合体、または4-メチル-1-ペンテンと、炭素原子数2〜20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く、以下「他のα-オレフィン」という。)とのランダム共重合体であって、4-メチル-1-ペンテンから導かれる繰返し単位を好ましくは80〜100重量%の割合で含有し、他のα-オレフィンから導かれる繰返し単位を好ましくは0〜20重量%の割合で含有している。
【0016】
他のα-オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられ、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンまたは1-エイコセンなどの炭素原子数10〜20のα-オレフィンが好ましいものとして挙げられる。これらの他のα-オレフィンは、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0017】
4-メチル-1-ペンテン重合体が共重合体である場合、4-メチル-1-ペンテンから導かれる繰返し単位を通常80〜99.9重量%、好ましくは90〜99.9重量%、他のα-オレフィンから導かれる繰返し単位を通常0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%の割合で含有する共重合体であることが好ましい。他のα-オレフィンから導かれる繰返し単位の含有量が上記範囲にある場合、より耐熱性に優れた組成物が得られる。
【0018】
4-メチル-1-ペンテン重合体としては、電力ケーブルの架橋時の温度、ゴムホース製造時の加硫温度に対する耐熱性の面から、4-メチル-1-ペンテンの単独重合体、または4-メチル-1-ペンテンから導かれる繰返し単位を85モル%以上、好ましくは90モル%以上含む4-メチル-1-ペンテンと他のα-オレフィンとの共重合体であることが好ましい。
【0019】
4-メチル-1-ペンテン重合体は、ASTM D 1238に準じ荷重:5.0kg、温度:260℃の条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜200g/10分、好ましくは1〜150g/10分の範囲にあることが望ましい。
上記のような要件を満たす4-メチル-1-ペンテン重合体としては、TPX MX001、TPX MX002、TPX MX004、TPX MX021、TPX MX321、TPX RT18、TPX DX845(いずれも商標、三井化学(株)製)などが市販されている。
【0020】
不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)は、上記のような4-メチル-1-ペンテン重合体を不飽和カルボン酸で変性することにより製造することができ、変性法として溶液法、溶融混練法等、公知のグラフト重合法が挙げられる。
以下、グラフト変性法について溶液法を例に挙げて説明するが、溶融混練法もそれ自体よく知られている方法であるので、溶液法の説明を参照すれば、当業者が溶融混練法によって本発明に用いられる不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)を製造することは容易なことである。
【0021】
溶液法によるグラフト変性法は、概略的には、変性前の4-メチル-1-ペンテン重合体を溶剤に溶解して溶液状態とし、これに不飽和カルボン酸および/または無水カルボン酸と、ラジカル開始剤とを添加し、加熱することによって行われる。
グラフト変性に使用する溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロドデカンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、エチルトルエン、トリメチルベンゼン、シメン、ジイソプロピルベンゼンなどの芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o-ジクロロベンゼン、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素などを例示することができる。これらの中ではアルキル芳香族炭化水素が好適である。
【0022】
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸およびこれらの酸無水物が挙げられる。具体的な化合物の例としては、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸アミノエチルおよびメタクリル酸アミノプロピルなどが挙げられる。
【0023】
これらの中では、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸アミノプロピルが好ましい。
グラフト変性に使用するラジカル開始剤として代表的なものは、有機過酸化物であり、さらに具体的にはアルキルペルオキシド、アリールペルオキシド、アシルペルオキシド、アロイルペルオキシド、ケトンペルオキシド、ペルオキシカーボネート、ペルオキシカルボキシレート、ヒドロペルオキシドなどが挙げられる。
【0024】
上記アルキルペルオキシドとしては、ジイソプロピルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチルペルオキシヘキシン-3などが挙げられ、アリールペルオキシドとしてはジクミルペルオキシドなどが挙げられ、アシルペルオキシドとしてはジラウロイルペルオキシドなどが挙げられ、アシロイルペルオキシドとしてはジベンゾイルペルオキシドなどが挙げられ、ケトンペルオキシドとしてはメチルエチルケトンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシドなどが挙げられ、ヒドロペルオキシドとしてはtert-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどが挙げられる。
【0025】
これらの中では、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチルペルオキシヘキシン-3、ジクミルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシドなどが好ましい。
不飽和カルボン酸の使用割合は、変性前の4-メチル-1-ペンテン重合体100重量部に対して、通常1〜500重量部、好ましくは2〜100重量部である。
【0026】
ラジカル開始剤の使用割合は、変性前の4-メチル-1-ペンテン重合体100重量部に対して、好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは1〜50重量部である。
溶媒の使用割合は、変性前の4-メチル-1-ペンテン重合体100重量部に対して、好ましくは100〜100000重量部、より好ましくは200〜10000重量部である。
【0027】
反応温度は、好ましくは100〜250℃、より好ましくは110〜200℃であり、反応時間は、好ましくは15〜600分、より好ましくは30〜360分である。
溶液法によるグラフト変性終了後、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの不活性極性溶媒により洗浄して未反応モノマーおよび開始剤などの不純物を除去した後、乾燥することにより不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)を得ることができる。
【0028】
得られた不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)のグラフト変性量は、通常0.1〜5重量%であり、好ましくは0.2〜4重量%、より好ましくは0.5〜2重量%である。グラフト変性量の制御は、既に述べたグラフト変性条件を適宜に選択することにより、容易に行うことができる。
このような不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0029】
本発明で用いられる不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)は、1種の重合体の変性物であってもよく、不飽和カルボン酸変性または未変性の重合体の組成物であってもよく、例えば
(E)不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体と、
必要に応じて
(F)未変性4-メチル-1-ペンテン重合体、
(G)未変性α-オレフィン重合体、および
(H)不飽和カルボン酸変性α-オレフィン重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体とからなるものがであってもよい。
【0030】
(E)不飽和カルボン酸変性 4- メチル -1- ペンテン重合体
本発明で用いられる不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(E)としては、上記不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体と同様のものが挙げられる。なお不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(E)のグラフト変性量は、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%であり、より好ましくは0.2〜4重量%、さらに好ましくは0.5〜2重量%である。
【0031】
(F)未変性 4- メチル -1- ペンテン重合体
本発明で用いられる未変性4-メチル-1-ペンテン重合体(F)は、上述した変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)の調製に用いられる変性前の4-メチル-1-ペンテン重合体である。
4-メチル-1-ペンテン重合体(F)としては、4-メチル-1-ペンテンから導かれる繰返し単位の含有量が80〜99.9重量%、好ましくは90〜99.9重量%、他のα-オレフィンから導かれる繰返し単位の含有量が0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%である共重合体が好ましい。
【0032】
このような未変性4-メチル-1-ペンテン重合体(F)は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
(G)未変性α - オレフィン重合体
未変性α-オレフィン重合体(G)は、炭素原子数2〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンの単独重合体または共重合体である(但し、上記未変性4-メチル-1-ペンテン重合体(F)を除く。)。
【0033】
炭素原子数が2〜20のα-オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。
【0034】
未変性α-オレフィン重合体(G)は、ジエン化合物から誘導される成分単位などのα-オレフィンから誘導される成分単位以外の成分単位を含んでいてもよい。
このようなα-オレフィンから誘導される成分単位以外の成分単位としては、例えば1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1、6-オクタジエンなどの鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネンなどの環状非共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエンなどのジエン化合物から誘導される成分単位が挙げられる。ジエン成分は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。また、ジエン成分の含有量は、通常は0〜1モル%、好ましくは0〜0.5モル%である。
【0035】
未変性α-オレフィン重合体(G)としては、例えばエチレン単独重合体またはエチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとの共重合体であって、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜50g/10分の範囲にあり、密度が0.950g/cm3 以上、好ましくは0.950〜0.970g/cm3 の範囲にあり、エチレンとα-オレフィンとのモル比(エチレン/α-オレフィン)が、100/0〜80/20、好ましくは100/0〜90/10の範囲にあるエチレン(共)重合体、
プロピレン単独重合体、またはプロピレンとエチレンおよび炭素原子数が4〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンとの共重合体であって、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが0.1〜100g/10分、好ましくは0.5〜50g/10分の範囲にあり、密度が0.900g/cm3 以上、好ましくは0.900〜0.920g/cm3 の範囲にあり、プロピレン(Pr)と、エチレンおよび炭素原子数が4〜20のα-オレフィン(Or)とのモル比(Pr/Or)が、100/0〜80/20、好ましくは100/0〜90/10の範囲にあるプロピレン(共)重合体、
炭素原子数4〜20のα-オレフィンの共重合体であって、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが0.1〜100g/10分、好ましくは0.5〜50g/10分の範囲にあり、密度が0.900g/cm3 以上、好ましくは0.900〜0.920g/cm3 の範囲にあり、炭素原子数4〜20のα-オレフィンから選ばれる1種のα-オレフィン(Or-1)と、炭素原子数が4〜20のα-オレフィンから選ばれる他のα-オレフィン(Or-2)とのモル比((Or-1)/(Or-2))が100/0〜80/20、好ましくは100/0〜90/10の範囲にあるα-オレフィン(共)重合体が挙げられる。
【0036】
このような未変性α-オレフィン重合体(G)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
(H)変性α - オレフィン重合体
本発明で用いられる変性α-オレフィン重合体は、上記未変性α-オレフィン重合体(G)が不飽和カルボン酸でグラフト変性されたものである。
【0037】
変性α-オレフィン重合体(H)の調製は、上記変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)の場合と同様にして行うことができる。
変性α-オレフィン重合体(H)のグラフト変性量は、0.1〜20重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜2重量%である。グラフト変性量の制御は、既に述べたグラフト変性条件を適宜に選択することにより、容易に行うことができる。
【0038】
このような変性α-オレフィン重合体(H)は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
このような(E)、(F)、(G)および(H)からなる組成物は、
不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)を5〜100重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%、
未変性4-メチル-1-ペンテン重合体(F)を0〜95重量%、好ましくは30〜95重量%、より好ましくは50〜90重量%、
未変性α-オレフィン重合体(G)を0〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%、
変性α-オレフィン重合体(H)を0〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%の割合(但し、(E)+(F)+(G)+(H)=100重量%、(G)+(H)=50重量%以下である。)で含有することが望ましい。
【0039】
また、この組成物は、不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(E)、未変性4-メチル-1-ペンテン重合体(F)、未変性α-オレフィン重合体(G)および変性α-オレフィン重合体(H)の合計重量に対する不飽和カルボン酸および無水カルボン酸のグラフト変性量が0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%の範囲にあることが望ましい。
【0040】
(B)フェノールアクリレート化合物
本発明で用いられるフェノールアクリレート化合物(B)は、下記一般式(1)で表される。なおフェノールアクリレート化合物(B)にはフェノールメタクリレート化合物も包含される。
【0041】
【化3】
【0042】
式中R1 は水素またはメチル基を示す。
R2 は水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基であり、特に水素原子またはメチル基が好ましい。
R3 、R4 、R5 およびR6 は、互いに同一でも異なっていてもよく炭素原子数1〜9のアルキル基であり、そのうちR3 およびR6は炭素原子数4〜8で3級炭素がベンゼン核に結合したもの、例えばt-ブチル基、t-アミル基などが好ましい。またR4 およびR5 は炭素原子数1〜6のアルキル基、メチル基、エチル基、t-ブチル基、t-アミル基等が好ましい。
【0043】
フェノールアクリレート化合物の具体的な化合物としては、例えば、2,4-ジ(tert-アミル)-6-[1-{3,5-ジ(tert-アミル)-2-ヒドロキシフェニル}エチル]フェニルアクリレートや2,4-ジ(tert-ブチル)-6-[1-{3,5-ジ(tert-ブチル)-2-ヒドロキシフェニル}エチル]フェニルアクリレートなどが挙げられるが、耐熱性の面から2,4-ジ(tert-アミル)-6-[1-{3,5-ジ(tert-アミル)-2-ヒドロキシフェニル}エチル]フェニルアクリレートが好ましい。
【0044】
このフェノールアクリレート化合物は、分子中に不飽和結合をもつ重合性モノマー構造と、ヒンダードフェノール構造とを有する特異な化合物であり、4-メチル-1-ペンテン重合体に配合すると、肌荒れを有効に防止する作用がある。
このようなフェノールアクリレート化合物(B)は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
フェノールアクリレート化合物(B)の配合量は、4-メチル-1-ペンテン重合体(A)100重量部に対し通常0.5〜15重量部、好ましくは1.0〜5重量部である。配合量が上記範囲にあると4-メチル-1-ペンテン重合体の肌荒れ防止効果に優れ、かつゴムの加硫反応を阻害しない。
また本発明に係る4-メチル-1-ペンテン重合体組成物は、上記不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)およびフェノールアクリレート化合物(B)に加えて、さらにヒンダードフェノール化合物(C)および/またはホスファイト化合物(D)を含有することができる。
【0046】
ヒンダードフェノール化合物(C)
本発明で必要に応じて用いられるヒンダードフェノール化合物(C)は、フェノールの水酸基に対しオルト位置にtert-ブチル基などのバルキーなアルキル基が少なくとも1個置換したアルキルフェノール構造を分子内に有する化合物であり、具体的には、例えばテトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、n-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-tert-ブチルフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[2-{3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼンなどが挙げられる。これらは、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0047】
上記したヒンダードフェノール化合物(C)のうちでは、テトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9-ビス[2-{3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが特に好ましい。
【0048】
ホスファイト化合物(D)
本発明において必要に応じて用いられるホスファイト化合物(D)として、好適に使用されるものは、ホスホン酸[P(OH)3 ]の水酸基の少なくとも1個が置換または無置換のフェノキシ基で置換されたアリールホスファイトであり、例えばトリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ミックスド、モノおよびジノリルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4-ジターシャリブチルフェニール)4,4'-ビフェニレンジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。これらは、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0049】
上記したホスファイト化合物(D)のうちでは、4-メチル-1-ペンテン重合体に対しては、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましく使用される。
上記ヒンダードフェノール化合物(C)およびホスファイト化合物(D)成分は単独でも(B)成分添加による肌荒れ防止効果をさらに向上させる効果があるが、両者を併用してもよい。
【0050】
ヒンダードフェノール化合物(C)の配合量は、不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)100重量部に対し通常0.5〜15重量部、好ましくは1.0〜5重量部であり、ホスファイト化合物(D)の配合量は、不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)100重量部に対し通常0.5〜15重量部、好ましくは1.0〜5重量部である。
【0051】
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン重合体組成物には、上記した以外の安定剤、例えば硫黄系安定剤などを併用しても良い。また場合によって、例えば紫外線吸収剤、増核剤、可塑剤、滑剤、耐電防止剤、顔料、染料、粉末状充填剤(カオリン、タルク等)、繊維状充填剤(ティスモ、ガラス繊維、炭素繊維等)を本願発明の目的を損なわない範囲で配合してもよい。
【0052】
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン重合体組成物を調製する方法としては、公知の任意の方法が採用できる。例えば、タンブラーブレンダー、ヘンシルミキサー、リボンブレンダー等の混合機で上記(A)(または(E)と必要に応じて(F)、(G)もしくは(H))と、上記(B)、必要に応じて(C)、(D)、各種配合剤などとを混合後、押出機、ニーダー、二本ロール等で混練して調製する方法等を採用することができる。
【0053】
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン重合体組成物は、架橋剤を含有した重合体と接触し、繰り返し使用されるものであれば、いずれの用途にも使用することができるが、特にゴムホース製造におけるマンドレル、被覆材料、あるいは、エチレン系重合体電力ケーブル製造用被覆材は、架橋剤含有重合体と接触して何回も繰り返し使用できることが求めらる用途に好適に使用される。本発明に係る4-メチル-1-ペンテン重合体組成物から形成品を製造する場合には、従来公知の種々の溶融成形法を採用することができ、例えば射出成形法、押出成形法、押出被覆法、圧縮成形法など、いずれの方法によっても成形することができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明の4-メチル-1-ペンテン重合体組成物は、有機過酸化物系の架橋剤、多官能モノマーなどが含まれる未加硫ゴム等と表面接触し、繰り返し加硫操作を行った場合であっても肌荒れが発生し難く、繰り返し使用回数をより増やすことができる。従って、例えば架橋エチレン重合体系電力ケーブル架橋時の被覆材やゴムホース架橋工程でのマンドレル、または被覆材等の用途に用いた場合、繰り返し使用回数がより増えるため、生産・製造コストの低減を図ることができる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例において以下の各成分を用いた。
未変性 - メチル -1- ペンテン共重合体
4-メチル-1-ペンテンと、ダイアレン−168(1-ヘキサジエンと1-オクタジエン)との共重合体であり、4-メチル-1-ペンテン含量が95重量%、1-ヘキサジエン含量と1-オクタジエン含量との合計が5重量%であり、MFR(ASTMD 1238、260℃、5kg荷重)が0.5g/分、密度(ASTM D 1505)が0.835g/cm3 の4-メチル-1-ペンテン共重合体(F)を用いた。
【0056】
不飽和カルボン酸変性 4- メチル -1- ペンテン重合体
上記4-メチル-1-ペンテン共重合体(F)を94重量%、無水マレイン酸を5重量%、有機過酸化物(2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、商品名:パーヘキサ25B、日本油脂(株)製)を1重量%の重量比率でヘンシェルミキサーにより混合した後、温度280℃で二軸押出機で混練してグラフト変性して得られた、無水マレイン酸グラフト率が2.7重量%であり、MFR(ASTM D 1238、260℃、5kg荷重)が260g/10分である不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(E-1)、および
上記4-メチル-1-ペンテン重合体(F)を97.5重量%、無水マレイン酸を2重量%、有機過酸化物2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン(商品名:パーヘキサ25B、日本油脂(株)製)を0.5重量%の重量比率でヘンシェルミキサーにより混合した後、温度280℃で二軸押出機で混練してグラフト変性して得られた、無水マレイン酸グラフト率が1.0重量%であり、MFR(ASTM D 1238、260℃、5kg荷重)が170g/10分である不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(E-2)を用いた。
【0057】
未変性α−オレフィン共重合体
エチレン含量が80重量%であり、プロピレン含量が20重量%であり、MFRが25g/10分であるエチレン−プロピレン共重合体(G)を用いた。
不飽和カルボン酸変性α−オレフィン重合体
上記エチレン−プロピレン共重合体(G)を94重量%、無水マレイン酸を5重量%、有機過酸化物(2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、商品名:パーヘキサ25B、日本油脂(株)製)を1重量%の重量比率でヘンシェルミキサーにより混合した後、温度280℃で二軸押出機で混練することによりグラフト変性して得られた、無水マレイン酸グラフト率が2.8重量%であり、MFR(260℃、5kg荷重で測定)が120g/10分である不飽和カルボン酸変性α−オレフィン重合体(H-1)、および
上記エチレン−プロピレン共重合体(G)を97.5重量%、無水マレイン酸を2重量%、有機過酸化物(2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、商品名:パーヘキサ25B、日本油脂(株)製)を0.5重量%の重量比率でヘンシェルミキサーにより混合した後、温度280℃で二軸押出機で混練することによりグラフト変性して得られた、無水マレイン酸グラフト率が0.9重量%であり、MFR(260℃、5kg荷重で測定)が80g/10分である不飽和カルボン酸変性α−オレフィン重合体(H-2)を用いた。
【0058】
フェノールアクリレート化合物(B)
2,4-ジ(tert-アミル)-6-〔1-[3,5-ジ(tert-アミル)-2-ヒドロキシフェニル]エチル〕フェニルアクリレート
ヒンダードフェノール化合物(C)
テトラキス〔メチレン-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン
ホスファイト化合物(D)
ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト
【0059】
【実施例1〜4】
▲1▼ 4- メチル -1- ペンテン重合体組成物ペレットの作製
4-メチル-1-ペンテン共重合体(F)、不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン系重合体(E)、フェノールアクリレート化合物(B)、ヒンダードフェノール化合物(C)、ホスファイト化合物(D)を表1に示した割合で配合し、ヘンシェルミキサーにて3分間低速回転にて混合した。この混合物を二軸押出機にて280℃の温度で押し出し、4-メチル-1-ペンテン重合体組成物のペレットを得た。
【0060】
▲2▼未加硫エチレン・プロピレン・ジエン共重合体棒状体の作製
次にエチレン・プロピレン・ジエン共重合体(商品名:三井EPT3045、以下「EPDM」という。)100重量部、酸化亜鉛5重量部、ステアリン酸1重量部、FEFカーボンブラック60重量部、パラフィン系プロセスオイル20重量部、ジクミルパーオキサイド3.5重量部、トリアリルイソシアヌレート2重量部を60℃でミキシングロールで混練して得られた未加硫ゴムを直径が13mmの円型のダイを通して80℃押し出し、直径15mmの棒状の未加硫ゴムを得た。
【0061】
▲3▼ 4- メチル -1- ペンテン重合体組成物被覆未加硫EPDM棒状体の作製
前記▲1▼の処方および手順で得られた4-メチル-1-ペンテン重合体組成物ペレット、または▲5▼の手順で得た4-メチル-1-ペンテン重合体組成物リサイクル粉砕品を未加硫EPDM棒状体の表面に280℃で溶融押し出し被覆し、4-メチル-1-ペンテン重合体組成物被覆未加硫EPDM棒状体を得た。
【0062】
▲4▼加硫
前記▲3▼の手順で得られた4-メチル-1-ペンテン重合体組成物被覆未加硫EPDM棒状体を160℃のエアーオーブン中で40分加硫した。
▲5▼ 4- メチル -1- ペンテン重合体組成物リサイクル品の作製
前記▲4▼の加硫操作後、4-メチル-1-ペンテン重合体組成物被覆層をゴムから剥がして長さ3mm以下に粉砕し、4-メチル-1-ペンテン重合体組成物リサイクル粉砕品を得た。
【0063】
▲6▼繰り返し使用性の評価
前記▲5▼の操作で得られた4-メチル-1-ペンテン重合体組成物リサイクル粉砕品を▲3▼から▲5▼の操作を繰り返し使用後、粉砕して再押し出し成形したもの(手順▲3▼が終わった状態のもの)の表面状態を、JIS B0601に従って表面粗さ計によって測定し、表面上の最大高さ(Rmax)が100μmを超えた状態を肌荒れが顕著である状態とし、その状態に至るまでの使用回数を繰り返し使用回数とした。
【0064】
その結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【実施例5〜7】
▲1▼高耐熱老化性 4- メチル -1- ペンテン重合体組成物ペレットの作製
4-メチル-1-ペンテン共重合体(F)、不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(E-1)、不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(E-2)、エチレン−プロピレン共重合体(G)、不飽和カルボン酸変性α−オレフィン重合体(H-1)、不飽和カルボン酸変性α−オレフィン重合体(H-2)、フェノールアクリレート化合物(B)、ヒンダードフェノール化合物(C)、ホスファイト化合物(D)を表2に示した割合で配合し、ヘンシェルミキサーにて3分間低速回転にて混合した。この混合物を二軸押出機にて280℃の温度で押し出し、4-メチル-1-ペンテン重合体組成物のペレットを得た。
【0067】
以下、実施例1〜4と同様にして▲2▼〜▲6▼の操作を行ない、繰り返し使用回数を測定した。結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
【比較例1〜3】
▲1▼ 4- メチル -1- ペンテン重合体組成物ペレットの作製
4-メチル-1-ペンテン共重合体(F)、不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(E-1)、不飽和カルボン酸変性α-オレフィン重合体(H-1)、フェノールアクリレート化合物(B)、ヒンダードフェノール化合物(C)、ホスファイト化合物(D)を表3に示した割合で配合し、ヘンシェルミキサーにて3分間低速回転にて混合した。この混合物を二軸押出機にて280℃の温度で押し出し、4-メチル-1-ペンテン重合体組成物のペレットを得た。
【0070】
以下、実施例1〜4と同様にして▲2▼〜▲6▼の操作を行ない、繰り返し使用回数を測定した。結果を表3に示す。
【0071】
【表3】
【0072】
表1〜表3の結果から明らかなように、本発明の4-メチル-1-ペンテン重合体組成物から成形された成形品は、有機過酸化物系の架橋剤および多官能モノマー等を含有せしめた重合体と表面接触し、繰り返し加硫を行なった際に発生する4-メチル-1-ペンテン重合体組成物の肌荒れが顕著に抑制され、繰り返し使用回数をより増やすことができる。従って、例えば架橋エチレン重合体系電力ケーブル架橋時の被覆材やゴムホース架橋工程でのマンドレル、或いは被覆材などに用いた場合、繰り返し使用回数がより増えるため、生産・製造コストの低減を図ることができる。
Claims (6)
- 上記不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)およびフェノールアクリレート化合物(B)に加えて、さらにヒンダードフェノール化合物(C)および/またはホスファイト化合物(D)を不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)100重量部に対してそれぞれ0.5〜15重量部の割合で含有する請求項1に記載の4-メチル-1-ペンテン重合体組成物。
- 上記不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(A)が、
(E)不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体と、
必要に応じて
(F)未変性4-メチル-1-ペンテン重合体、
(G)未変性α-オレフィン重合体、および
(H)不飽和カルボン酸変性α-オレフィン重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体とからなり、
不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(E)を5〜100重量%、
未変性4-メチル-1-ペンテン重合体(F)を0〜95重量%、
未変性α-オレフィン重合体(G)を0〜50重量%、
不飽和カルボン酸変性α-オレフィン重合体(H)を0〜50重量%の割合(但し、(E)+(F)+(G)+(H)=100重量%、(G)+(H)=50重量%以下である。)で含有し、かつ(E)、(F)、(G)および(H)の合計重量に対する不飽和カルボン酸のグラフト変性量が0.1〜5重量%の範囲にある請求項1または2に記載の4-メチル-1-ペンテン重合体組成物。 - 上記不飽和カルボン酸変性4-メチル-1-ペンテン重合体(E)が、4-メチル-1-ペンテンから導かれる繰返し単位を80〜100重量%の割合で含有し、炭素原子数2〜20のα-オレフィンから導かれる繰返し単位を0〜20重量%の割合で含有する4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を不飽和カルボン酸でグラフト変性した変性物であって、グラフト変性量が0.1〜5重量%の範囲にある請求項3に記載の4-メチル-1-ペンテン重合体組成物。
- 上記未変性α-オレフィン重合体(G)が、炭素原子数2〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンの(共)重合体である請求項3または4に記載の4-メチル-1-ペンテン重合体組成物。
- 上記不飽和カルボン酸変性α-オレフィン重合体(H)が、炭素原子数2〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンの(共)重合体を不飽和カルボン酸でグラフト変性した変性物であって、グラフト変性量が0.1〜5重量%の範囲にある請求項3ないし5のいずれかに記載の4-メチル-1-ペンテン重合体組成物。
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