JP4423961B2 - 電動車両のモータ出力制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電気モータを駆動源とし、タイヤの転舵機構を持たない簡便な構成の電動車両のモータ出力制御装置の技術分野に属する。
タイヤの転舵機構を持たない簡便な構成の車両形態としては、車両の後輪をキャスター形式とし、前輪を左右独立にモータ駆動するものが知られていて、この電動車両では、前輪のモータ出力を左右独立に調整することにより旋回半径の小さな旋回動作を実現するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭48−44914号公報
しかしながら、従来の旋回半径の小さな旋回動作を実現する形態の電動車両を、自動車のように車速が0km/hから100km/h以上まで広範囲に変化する車両へ適用する場合には、次のような課題が出てくる。
(1) 乗員の搭乗位置や車載荷物の搭載位置などによって車両の前後重心位置が変化した場合には、その変化に応じて定常旋回特性が大きく変化してしまうため、運転者はその変化に合わせてステアリングを操作する必要があり、運転負荷が大きいものとなってしまう。
(2) 乗員の搭乗位置や車載荷物の搭載位置などによって車両の前後重心位置が変化する場合には、その変化に応じて過渡的な旋回特性をも大きく変化してしまうため、運転者はその変化に合わせてステアリングを操作する必要があり、運転負荷が大きいものとなってしまう。
(3) 例えば、実開平2−68285号公報などに記載されているように、所定の大きさの重量物とその重量物を車両前後方向に動かすことによって車両の前後重心位置を所定の位置に保持する装置を適用し、前述の課題を解決する案がある。しかし、車両の前後重心位置を調整する装置を車載することで、車両の居住空間を狭めてしまったり、車両の走行効率が悪化してしまったり、高コストになるという新たな課題を生む。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、前後輪のうち一方の車輪がキャスターなどの横力を発生しない形態であり、他方の車輪の左右輪駆動力差により旋回動作を実現する電動車両にあって、特別なハードウエアを搭載せずに、前後重心位置の変化による車両挙動特性の変化を抑え、運転者の操作負荷を低減することができる電動車両のモータ出力制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の電動車両のモータ出力制御装置では、車体の重心位置が駆動輪寄りとされ、前後輪のうち、一方の左右輪を電気モータにより左右輪に制駆動力および制駆動力差を発生させる駆動輪とし、他方の左右輪を前記駆動輪と比較して車体横方向に小さな力しか発生せず、車体の向きに追従して回転する従動輪とする電動車両において、
車両の速度を検出する車速検出手段と、車両の旋回指令を検出する旋回指令値検出手段と、車両の加減速指令を検出する加減速指令値検出手段と、車両状態に基づいて変化する車両の前後重心位置を推定する車両前後重心位置推定手段と、前記旋回指令値および加減速指令値を実現するよう、前記検出された車速および前記推定された前後重心位置に応じて前記駆動輪のモータ出力を演算するモータ出力演算手段と、を備えた。
よって、本発明の電動車両のモータ出力制御装置にあっては、車両の前後重心位置を推定して駆動輪を駆動する電気モータによる左右駆動力差を補正する構成としたため、効果的に前後重心位置変化による車両挙動特性変化を抑制することができるという特徴を有する。この結果、前後輪のうち一方の車輪がキャスターなどの横力を発生しない形態であり、他方の車輪の左右輪駆動力差により旋回動作を実現する電動車両にあって、特別なハードウエアを搭載せずに、前後重心位置の変化による車両挙動特性の変化を抑え、運転者の操作負荷を低減することができる。
以下、本発明の電動車両のモータ出力制御装置を実施するための最良の形態を、図面に示す実施例1〜実施例6に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の電動車両のモータ出力制御装置を示す全体システム図である。実施例1の電動車両のモータ出力制御装置は、図1に示すように、駆動力発生源としての電気モータ3RL、3RRを備えており、各々の電気モータ3RL、3RRの回転軸は、減速機4RL、4RRを介して、電動車両のモータ出力制御装置の後輪2RL、2RR(駆動輪)に連結されている。ここで、2つの電気モータ3RL、3RRの出力特性、および、2つの減速機4RL、4RRの減速比、および、左右の2つの後輪2RL、2RRの半径はいずれも同じである。
前記電気モータ3RL、3RRは、いずれも永久磁石をロータに埋め込んだ三相同期モータである。リチウムイオンバッテリ6との電力授受を制御する駆動回路5RL、5RRが、それらの電気モータ3RL、3RRの力行および回生トルクを、統合コントローラ30から受信するトルク指令値tTRL(左後輪)、tTRR(右後輪)とそれぞれ一致するように調整する。ただし、トルク指令値通り出力すると後輪2RL、2RRが空転してしまう状況では、駆動回路5RL、5RRに対応する後輪2RL、2RRが空転しないよう、各後輪2RL、2RRごとにトルクを制限して出力する。そして、駆動回路5RL、5RRは、各々のモータ回転軸に取り付けられた図外の回転位置センサにより検出したモータ回転速度をそれぞれ統合コントローラ30(モータ出力演算手段)へ送信する。
ここで、後輪2RL、2RRが空転しないように各輪のモータトルクを制限して出力する方法としては、例えば、特開平6−98418号公報に開示されているように、車輪が路面から受ける反力を推定し、その推定値に基づき各輪のモータトルクを調整する方法、文献『Lateral Motion Stabilization with Feedback Controlled Wheels』(坂井ら6th International Symposium on Advanced Vehicle Control、2002)に開示されているように、モータトルクに対する車輪回転速度特性を表すモデルを使用し、そのモデルが出力する車輪回転速度と実回転速度との差に応じてモータトルクを各輪独立に調整する方法、あるいは、各輪のスリップ率が所定範囲内に収まるようにモータのトルクを各輪独立に調整する方法、などがあるが、いずれかの方式を用いればよいので、ここでは説明を省略する。
前輪42FL、42FR(従動輪)は、前輪42FL、42FRの転舵回転軸41FL、41FRに備え付けられている。キャスター構造による左右前輪42FL、42FRのうち一輪の前輪42を図2に示す。前輪42の転舵回転軸41は、前輪42の中空支持部45の内側にあり、ベアリングを介して45に対して回転運動する。要素44、43および前輪42は、いずれも転舵回転軸41を中心として一体で回転するように支持されている。ここで、回転軸41の中心を延長したときの地表面との交点Pと、タイヤの回転中心点43の直下点Qとは、距離がζ(>0)となるよう構成しており、車両走行時には走行抵抗により、前輪42の転舵回転軸41の進む向きとタイヤの向きAとが一致するようにタイヤが自然に転舵する、いわゆるキャスターの構造としている。前輪42の中空支持部45には、中空支持部45が車両の前後左右方向に変形しにくいよう、車体前後方向と車体横方向にそれぞれ図外の支持軸があり車体と連結されている。また、中空支持部45には、上下方向に対して図外のバネおよびダンパーが備えられており、前輪42が路面から受ける上下方向の力を車体に伝えにくくしている。
また、前輪42には、要素44に図外の油圧システムによる摩擦ブレーキが備え付けられており、運転者によるブレーキペダル22の踏み込みに応じてブレーキ系の油圧が上昇し、油圧の上昇に応じて要素44に固定されたブレーキパッドが、前輪42と共に回転するディスクを挟み込むことで前輪42を制動させる。
前記後輪2RL、2RRにも図外の摩擦ブレーキが備え付けられており、前輪42と同様に、運転者によるブレーキペダル22の踏み込みに応じて後輪2RL、2RRを制動させる。更に、後輪2RL、2RRには左右輪を同じ大きさで転舵させるリンク51が接続されており、転舵用モータ52により、このリンク51を車両左右方向に移動させることで、後輪を転舵させる(駆動輪転舵手段)。前記転舵用モータ52には、モータ駆動回路53が接続されており、モータ駆動回路53は実舵角センサからの舵角検出値と統合コントローラ30から受信する後輪舵角目標値tδrに基づいて、後輪実転舵角が後輪舵角目標値tδrに一致するように転舵用モータ52のトルクを調整する。このような転舵装置としては、特開2003−19975号公報に開示されているものなどがある。
なお、図1の電動車両のモータ出力制御装置の前後重心位置は、後輪寄りになるように後輪2RL、2RRの前後位置に、電気モータ3RL、3RRやバッテリなどが配置されている。例えば、前輪45FL、45FRと後輪2RL、2RRの輪荷重比が、2:8となるように前後重心位置を設計しておく。
前記統合コントローラ30には、アクセルペダルセンサ23(加減速指令値検出手段)によって検出するアクセル開度信号と、ブレーキペダルセンサ22(加減速指令値検出手段)によって検出するブレーキ踏力信号と、ステアリングホイール11の回転軸に取り付けられた操舵角センサ21(旋回指令値検出手段)によって検出するステアリングホイール11の回転角信号と、車両に取り付けられた加速度センサ24によって検出する車体横加速度(車幅方向の加速度)および前後加速度信号と、ヨーレートセンサ8によって検出するヨーレート信号と、車両のピッチ方向およびロール方向の傾きを検出するジャイロセンサ26と、各輪のサスペンションに取り付けられたストロークセンサ27FL,27FR,27RL,27RR(荷重センサ)によって検出する各輪のストローク量信号と、運転者によって操作されるシフトレバー25の状態信号と、左右前輪42FL、42FRの転舵回転軸41FL、41FRにそれぞれ取り付けられた前輪回転センサ49、50によって左右それぞれ検出する前輪回転速度信号が入力される。
前記シフトレバー25のシフト位置としては、車両停止時のみ選択可能でパーキング時に使用する位置「P」、前進走行時に使用する位置「D」、後退走行時に使用する位置「R」がある。
これらのシフト位置は、シフトレバー25の操作により運転者が選択する。前記統合コントローラ30は、これらの信号に基づいて後左輪モータ3RLへのトルク指令値tTRL、後右輪モータ3RRへのトルク指令値tTRR、後輪舵角目標値tδrを演算し、各モータ3RL、3RRの駆動回路5RL、5RRに送信する。ここで、後左輪モータ3RLへのトルク指令値tTRL、後右輪モータ3RRへのトルク指令値tTRRは、いずれも単位はNmで、車両を前向きに加速させる向きを正とする。後輪舵角目標値tδrは、単位はradで左に転舵する向きを正とする。
次に、作用を説明する。
[モード選択制御処理]
図3は実施例1の統合コントローラ30にて実行されるモード選択制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、統合コントローラ30は、マイクロコンピュータのほかにRAM/ROMなどの周辺部品を備えており、図3のフローチャートを一定時間毎、例えば5ms毎に実行する。
ステップS401では、各センサ信号や、駆動回路5RL、5RRからの受信信号をRAM変数に格納し、ステップS402へ移行する。具体的には、アクセル開度信号を変数APS(単位は%で、全開時を100%とする。)に格納し、ブレーキ踏力信号を変数BRK(単位はPa)に格納し、ステアリングホイール11の回転角信号を変数δ(単位はradで、反時計回りを正とする。)に格納し、車体横加速度信号を変数YG(図1左旋回時の向きを正にとる。単位はm/s2)に格納し、車体前後加速度信号を変数XG(前進の向きを正にとる。単位はm/s2)に格納し、車体ヨーレート信号を変数γ(図1左旋回時の向きを正にとる。単位はrad/s)に格納し、車両のピッチ角をsP(単位はrad)に格納し、ロール角をsR(単位はrad)に格納し、各輪のサスペンションのストローク量(空車時のストローク量からの差であり、ストロークが縮む向きを正とする。単位はm)をそれぞれsSFL(左前輪)、sSFR(右前輪)、sSRL(左後輪)、sSRR(右後輪)に格納し、シフトレバー信号を変数SFTに格納する。また、左前輪回転センサ49からの回転速度信号は変数NFLに、右前輪回転センサ50からの回転速度信号を変数NFR(いずれも単位はrad/sで、車両が前進する向きを正とする。)に格納する。さらに、駆動回路5RL、5RRから受信する信号についても、それぞれのモータの回転速度を変数NRL、NRR(いずれも単位はrad/sで、車両が前進する向きを正とする。)に格納する。
ステップS402では、車両の速度V(単位はm/sで、車両が前進する向きを正とする)を次式で演算し、ステップS403へ移行する(車速検出手段)。
V=(NFL*Rf+NFR*Rf+NRL/GG*Rr+NRR/GG*Rr)*R/4
ここで、Rfは前輪の半径、Rrは後輪の半径、GGは後輪の減速機の減速比である。
ステップS430では、各輪のサスペンションのストローク量sSFL(左前輪)、sSFR(右前輪)、sSRL(左後輪)、sSRR(右後輪)、および、車両のピッチ角sP、、ロール方向角sRに基づいて、車両の前後重心位置cLr(後輪車軸からの距離であり、単位はm。)を推定し、ステップS403へ移行する。推定の方法は、図4に示すフローチャートにより説明する。
ステップS403では、シフトレバー位置がパーキング時に使用する位置「P」であるか否かを判定し、「P」の場合、ステップS404へ移行し、tTRL=tTRR=tδr=0として本ルーチンを終了する。そうでない場合にはステップS410へ移行する。
ステップS410では、シフトレバー位置が「D」であるか否かを判定し、シフトレバー位置が「D」である場合、ステップS415へ移行し、モードD時の演算ルーチン実行後に本ルーチンを終了する。そうでない場合にはステップS422へ移行し、モードR時の演算ルーチン実行後に本ルーチンを終了する。
よって、シフトレバー25のシフト位置として車両停止時のみ選択可能でパーキング時に使用する「P」位置が選択されたときは、図3のフローチャートにおいて、ステップS401→ステップS402→ステップS430→ステップS403→ステップS404へと進む流れとなり、ステップS404では、後左輪モータ3RLへのトルク指令値tTRL、後右輪モータ3RRへのトルク指令値tTRR、後輪舵角目標値tδrは、tTRL=tTRR=tδr=0として本ルーチンを終了する。
シフトレバー25のシフト位置として、前進走行時に使用する「D」の位置が選択されたときは、図3のフローチャートにおいて、ステップS401→ステップS402→ステップS430→ステップS403→ステップS410→ステップS415へと進む流れとなり、ステップS415では、モードD時の演算ルーチン(図6)を実行し、本ルーチンを終了する。
シフトレバー25のシフト位置として、後退走行時に使用する「R」位置が選択されたときは、図3のフローチャートにおいて、ステップS401→ステップS402→ステップS430→ステップS403→ステップS410→ステップS422へと進む流れとなり、ステップS422では、モードR時の演算ルーチン(図9)を実行し、本ルーチンを終了する。
[車両の前後重心位置推定処理]
図4は図3のステップS430で実行される車両の前後重心位置推定処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(請求項5の車両前後重心位置推定手段)。
ステップS701では、車両のピッチ角sP、ロール方向角sRの大きさがそれぞれ予め設定しておいた閾値sPth、sPth(例えば、共にπ/90[rad])より小さいか否かを判断し、共に閾値より小さい場合にはステップS702に移行し、それ以外の場合は車両の前後重心位置cLrを更新せずに本ルーチンを終了する。本ステップにより、道路勾配にともなう輪荷重変化要因を排除し、車両重心位置の推定精度を向上させることができる。
ステップS702では、左右のストローク量の差が、前後とも所定の閾値sSthより小さいか否かを判断し、共に閾値より小さい場合にはステップS703に移行し、それ以外の場合は車両の前後重心位置cLrを更新せずに本ルーチンを終了する。本ステップにより、左右一輪だけ段差に乗り上げている状況など、車両重心位置の推定精度が悪化するケースを排除できる。
ステップS703では、前後加速度XGの大きさが所定値XGth(例えば、0.5 m/s2)以下であるか否かを判定し、所定値以下の場合にはステップS704に移行し、それ以外の場合は車両の前後重心位置cLrを更新せずに本ルーチンを終了する。本ステップにより、車両の加減速に伴う前後ストローク変化による、車両重心位置の推定精度悪化を抑制できる。
ステップS704では、車両の前後重心位置基準値cLr_0を次式で演算する。
cLr_0=WB*{Wf+KFr*(sSFL+sSFR)}/{Wf+KFr*(sSFL+sSFR)+Wr+KRr*(sSRL+sSRR)}
ここで、WBはホイールベースの長さ(単位はm)、Wfは空車時の前輪荷重設計値(単位はkgf)、Wrは空車時の後輪荷重設計値(単位はkgf)、KFrは単位ストローク量に対する前輪サスペンションの復元力の割合(単位はkgf/m)、KRrは単位ストローク量に対する後輪サスペンションの復元力の割合(単位はkgf/m)である。
ステップS705では、車両の前後重心位置cLrを次式で演算する。
cLrz=cLr
cLr=Ca*cLrz+(1-Ca)*cLr_0
ここで、Caは定数である。本式は、1次遅れ特性でcLrをcLr_0に追従させるものであり、追従させる速度は定数Caによる。例えばCa=0.999とし、サスペンションの振動の影響を抑制する為に、サスペンションの振動速度よりも充分遅い速度で追従させる。本ステップ実行後は、本ルーチンを終了する。
なおここで、cLrについては、車両のキーON時に初期化ルーチンにてLrd(1名乗車時の前後重心位置の設計値)を代入しておくものとする。
[規範モデル応答を実現するコントローラの設計原理および演算形態について]
ステップS415のモードD時の演算ルーチン(図6)のステップS503〜S506では、ステアリングホイール回転角δおよび車速VおよびステップS430にて演算した前後重心位置cLrに応じて、後輪左右モータに発生させる駆動力差分の目標トルクtU[Nm]および後輪操舵指令値δtrを演算する。演算は、ステアリングホイール回転角δに対するヨーレートの応答が規範モデル応答と一致し、ステアリングホイール回転角δに対する後輪軸上点C(図11)のすべり角の応答も規範モデル応答と一致するように演算する。
ここで、ステップS503〜S506を説明する前に、まず、その演算原理および実現方法について説明する。
「自動車の運動と制御」(山海堂)には前後輪を操舵する車両挙動の運動方程式が示されている。例えば、p194には前輪舵角δf[rad]と後輪舵角δr[rad]を操作量とし、車両のヨーレートγ[rad/s]および車体重心位置の車体すべり角β[rad]を状態量としたときの運動方程式が示されている。この運動方程式は、車速V [m/s] は一定(V=0)かつV≠0かつ滑り角(β[rad]) は微少(|β|<<1、 sinββ、cosβ1)などの前提で導出している。
本運動方程式の考え方は、本発明の実施例1の車両にも拡張して適用できる。即ち、右輪の駆動力をu[N]、左輪の駆動力をu[N]とする操作量を付加し、前輪を図1のキャスター形式とすることによる作用として、前輪で発生する横力がほぼ0として、運動方程式を式(1)のように導出することができる。
ここで、Lrは後輪軸と重心との距離[m]、Ltは後輪のトレッドベース距離/2[m]、mは車重[kg]、Iγはヨー慣性モーメント[Nmss]である。また、Krは後輪タイヤコーナリングスティッフネス[N/rad]であり、後輪ステアリング剛性の影響によるステアリング角に対するコーナリングパワーの低下分も加味した値である。Vは車速[m/s] であり、γはヨーレート[rad/s] 、βは車体重心位置の車体すべり角[rad]である。
車両後輪軸から前方にLcの位置のすべり角βcおよびその点の横力Y[N]は、それぞれ式(2)(3)の関係で表せることから、左右輪の駆動力差分uおよび後輪の舵角δrに対する、すべり角βcおよびヨーレートγ[rad/s]および横力Y[N]の伝達特性は、式(4)〜(13)と書ける。ここで、Q12(s)、Q13(s)、Q22(s)、Q23(s)、Q32(s)、Q33(s)、Qden(s)はいずれも車速Vの関数になっている。
「自動車の運動と制御」(山海堂)p203-p207 には、ステアリング操作量δに対する、車両のヨーレートγおよび滑り角βの応答が望ましい伝達特性(規範モデル)となるように、前輪舵角の指令値δf*と後輪舵角の指令値δr*を生成するコントローラの導出方法も示されている。この方法に従えば、実施例1において、ステアリング操作量δに対する、ヨーレートγおよび滑り角βcの応答が望ましい伝達特性(規範モデル)となるように、左右輪の駆動力差の指令値u*と後輪舵角の指令値δr*を演算するコントローラ(図5(a)中のP1(s)とP2(s))を以下のように導くことができる。
いま、ステアリング操作量δに対するヨーレートγの望ましい伝達特性(規範モデル)をGγδ、ステアリング操作量δに対する滑り角βcの望ましい伝達特性(規範モデル)をGβδとおき、例えば式(14)(15)の特性とする。つまり、ステアリング操作量δに対するヨーレートγの望ましい応答を滑らかな2次応答特性(例えばwn=4π、m2=wn2/4)とし、ステアリング操作量δによらず常に滑り角βcが0となるように設定する。
ところで、図5(a)において、ステアリング操作量δとヨーレートγとの関係、および、ステアリング操作量δと滑り角βcとの関係は、式(16)(17)の関係にある。ここで、1/Td(s)は、後輪操舵系のサーボ遅れである。したがって、この伝達特性を、それぞれ望ましい伝達特性Gβδδ、Gγδδと一致させるという条件から、コントローラP1(s)とP2(s)が式(18)(19)のように導かれる。ここで後輪操舵のサーボ遅れについては時定数τ(例えば、τ=0.1[s])の一次遅れとし、つまり、Td=τs+1としている。
このように実施例1において、ステアリング操作量δに対する、ヨーレートγおよび滑り角βcの応答が望ましい伝達特性(規範モデル)となるように、左右輪の駆動力差の指令値u*と後輪舵角の指令値δr*を演算するコントローラ(図5(a)中のP1(s)とP2(s))を導くことができる(後輪軸上点C(図11)においては、Lc=0であることも利用している)。
さて次に、式(18)(19)のコントローラP1(s)とP2(s)の実現方法について説明する。P1(s)とP2(s)は式(20)で書き直せるため、式(20)の実現方法を説明する。b0、b1、b1は車速Vの関数である。
式(20)は図5(b)のように書き換えることができる。よって、所定時間ごとに(例えば、5ms毎に)、まず、図5(b)中の積分演算を例えばオイラー近似で行なうことでX2、X1を更新し、次に、b0、b1、b2を車速Vに応じて逐次更新した上で、最後にX2、X1、b0、b1、b2から出力yxを時々刻々と演算することで実現できる。
Figure 0004423961
βc=β−{(Lr-Lc)/V}γ …(2)
Y=mV(γ+dβc/dt) …(3)
βc={Q12(s)/Qden(s)}・δr+{Q13(s)/Qden(s)}・u …(4)
γ={Q22(s)/Qden(s)}・δr+{Q23(s)/Qden(s)}・u …(5)
Y={Q32(s)/Qden(s)}・δr+{Q33(s)/Qden(s)}・u …(6)
12(s)=2VKr((Iγ+mLr(Lr-Lc))s+mVLr) …(7)
13(s)=-2Lt(mV(Lr-Lc)s+mV2−2LcKr) …(8)
22(s)=-2mV2KrLrs …(9)
23(s)=2VLt(mVs+2Kr) …(10)
32(s)=mV(sQ12(s)+Q22(s)) …(11)
33(s)=mV(sQ13(s)+Q23(s)) …(12)
Qden(s)=mV2Iγs2+2VKr(mLr2+Iγ)s+2mV2LrKr …(13)
βδ=0 …(14)
γδ=m2/(s2+2wns+wn2) …(15)
βc=({Q13(s)/Qden(s)}p1(s)+{Q12(s)/Qden(s)}・{p2(s)/Td(s)})δ…(16)
γ=({Q23(s)/Qden(s)}p1(s)+{Q22(s)/Qden(s)}・{p2(s)/Td(s)})δ…(17)
p1(s)={m2/2Lt}・{(Iγs+mLr2)s+mVLr}/(s2+2wns+wn2) …(18)
p2(s)={m2mτ/2Kr}・{(Lrs2+(τV+Lr)s+V)}/(s2+2wns+wn2) …(19)
yx={(b2s2+b1s+b0)/(s2+2wns+wn2)}ux …(20)
γ=({Q23(s)/Qden(s)}p1(s))δ …(21)
[モードD時の演算ルーチン]
図3中のステップS415のモードD時の演算ルーチンでは、図6のフローチャートを実行する。
ステップS501では、車両の目標駆動力tTDを演算する。演算は、予めROMに格納してあるマップMAP_tTD(V、APS)を表引きすることで行なう。マップMAP_tTD(V、APS)は、車速Vとアクセル開度APSを軸とした特性データであり、例えば、図7のように設定しておく。
上記の演算原理を踏まえ、ステップS503〜S506では、目標ヨーレートtγおよび車速Vおよび車両の前後重心位置cLrに応じて、後輪左右モータに発生させる駆動力差分の目標トルクtU[Nm]および後輪操舵指令値tδrを演算する。前述したように、ステアリングホイール回転角δに対するヨーレートの応答が規範モデル応答と一致し、ステアリングホイール回転角δに対する車体すべり角の応答も規範モデル応答と一致するように演算する。ステアリングホイール回転角δに対するヨーレートの規範モデル応答は、式(5)に示す2次伝達特性とし、ステアリングホイール回転角δに対する車体すべり角の規範モデル応答は常に0として説明する。
ステップS503では、ステップS402で演算した車速VおよびステップS430で演算した車両の前後重心位置cLrを用い、式(18)について、式(20)のb0、b1、b2に対応する値を次のように演算する。
b2=0
b1=m2*(Ir+m*cLr*cLr)/2/Lt
b0=m2*m*V*cLr/2/Lt …式(B1)
ここでm2は、ステアリングホイール回転角δに対するヨーレートの定常値が、例えば、δ/4となるように、
m2=wn2/4 (wnは、例えば4πとする)
としておく。mおよびIrおよびLtは車両設計値を用いる。
ステップS504では、前回のステップS504を実行した時のX2、X1を用い、図5(b)の積分演算をオイラー近似することでX2、X1を更新する。図5(b)中のuxはステアリングホイール回転角δであり、出力yxは左右輪の駆動力差指令値tUである。演算する際には図5(b)中のX2、X1としては、ステップS504で使用する変数として、変数X2a、X1aを用いることとする。図5(b)のX2、X1を更新した後は、それらの値とステップS503で求めたb0、b1、b2に応じ、図5(b)に示す関係式から出力yxを演算することで、左右輪の駆動力差指令値tUを演算する。
ステップS505では、ステップS402で演算した車速Vを用い、式(19)について、式(20)のb0、b1、b2に対応する値を次のように演算する。なお、0割を防止する意味で車速Vについては、最小値をVmin(例えば、1m/s)に制限して演算を行なう。
b2=τ*cLr*m2*m/2/Kr
b1=(τ*V+cLr)*m2*m/2/Kr
b0=V*m2*m /2/Kr …式(B2)
ここで、mおよびIrおよびLtおよびKrは車両設計値を用いる。またτは、後輪操舵系のサーボ遅れに合わせて例えば0.1程度に設定する。
ステップS506では、前回のステップS506を実行した時のX2、X1を用い、図5(b)の積分演算をオイラー近似することでX2、X1を更新する。図5(b)中のuxはステアリングホイール回転角δであり、出力yxは後輪操舵指令値tδrである。演算する際には図5(b)中のX2、X1としては、ステップS504で使用する変数として、変数X2b、X1bを用いることとする。図5(b)のX2、X1を更新した後は、それらの値とステップS505で求めたb0、b1、b2に応じ、図5(b)に示す関係式から出力yxを演算することで、後輪操舵指令値tδrを演算する。
ステップS507では、目標駆動力tTDと目標左右駆動力差tUから、後輪へのトルク指令値tTRL、tTRRを次式で演算する。
tTRL=tTD*Rr/GG/2-tU*Rr/GG
tTRR=tTD*Rr/GG/2+tU*Rr/GG …式(B3)
ステップS507の演算後、本ルーチンを終了する。
以上の実施例1での車両挙動シミュレーション結果例を、図8に示す。車重は1670kg、減速機の減速比は4、ホイールベースは2.8mとしている。車速100km/hで走行中に、時刻0にてステアリングホイールをステップ的に操舵した場合の結果例である(ステップ操舵量は、図8(a)と(b)で同一)。図8(a)はLr=cLr=2.8*0.15のときの結果であり、図8(b)はLr=cLr=2.8*0.05のときの結果である。いずれのケースにおいても、車体滑り角βcをほぼ常に0付近に保ちつつ、旋回動作を行なっており、所望の動作を実現できていることを確認できる。
また、推定した重心位置が後輪軸から遠いほど(Lr、cLrが大きいほど)、旋回指令値に対する左右駆動力差を大きく補正出力していることを確認できる。つまり、図8(a)のモータトルクの方が図8(b) のモータトルクより大きく補正されていることを確認できる。
更に、時刻0以降のモータトルクのオーバーシュート割合(モータトルクのオーバーシュート量/モータトルクの収束値)については、図8(a)より図8(b)の方が大きい。つまり、進み補償量が大きく、推定した重心位置が後輪軸に近いほど(Lr、cLrが小さいほど)、旋回指令値に対する補償速度を早くするように左右駆動力差を補正出力していることを確認できる。
また、図8の時系列波形では明確に確認できないが、後輪舵角についても、重心位置に応じて過渡的に補正出力している(式(B2)において、定常的な補正に影響を及ぼすb0についてはcLrの項を含まず、過渡補正量に影響を及ぼすb1、b2についてはcLrの項を含んでいることから確認できる)。
[モードR時の演算ルーチン]
図3中のステップS422のモードR時の演算ルーチンでは、図9のフローチャートを実行する。
ステップS1301では、車両の目標駆動力tTDを演算する。演算は、予めROMに格納してあるマップMAP_tTDR(V、APS)を表引きすることで行なう。マップMAP_tTDR(V、APS)は、車速Vとアクセル開度APSを軸とした特性データであり、例えば、図13のように設定しておく。
ステップS1302では、目標左右駆動力差tUを演算する。目標左右駆動力差tUは、ステアリングホイール回転角δに比例するように次式で演算する。
tU=KK*δ
KKはステアリングを左に切っているときに、車両上空から見て、車両が時計回りに回転するよう負の値としておく。
ステップS1303では、目標駆動力tTDと目標左右駆動力差tUから、後輪へのトルク指令値tTRL、tTRRを次式で演算する。
tTRL=tTD*Rr/GG/2−tU*Rr/GG
tTRR=tTD*Rr/GG/2+tU*Rr/GG
ステップS1304では、後輪操舵指令値tδrを演算する。演算は、例えばtδr=0とする。他にも、ステアリングホイール回転角δに応じて関連付けしておいたテーブルをROM内にもたせておき、そのテーブルを参照して演算する方法などでも良い。ステップS1304の演算後、本ルーチンを終了する。
以上の演算を行なうことにより、車両を後退させることができる。
[電動車両のモータ出力制御作用]
例えば、特開昭48−44914号公報に記載された電動車両を、自動車のように車速が0km/hから100km/h以上まで広範囲に変化する車両へ適用する場合には、次のような課題が出てくる。
本発明者らの検討によれば、車両の旋回特性は、車速だけでなく、車両の前後重心位置によっても大きく変化することがわかっている。図12は、所定の横加速度を発生させながら車両を定常旋回させるために必要な左右輪の駆動力差特性を表したものである。横軸は、車両後輪軸から重心までの長さLrであり、Lrに比例した左右駆動力差が必要となる(上記の式(6)において、左右駆動力差分uから横力Yまでの定常ゲインQ33(0)/Qden(0)がLrに反比例しているため)。言い換えると、同じ左右駆動力差を与えた場合でも、重心位置が車両前方にあるほど(Lrが大きいほど)車両が定常的に発生する旋回横加速度は小さくなってしまう(旋回半径が大きくなってしまう)ことになる。
したがって、乗員の搭乗位置や車載荷物の搭載位置などによって車両の前後重心位置が変化した場合には、その変化に応じて定常旋回特性が大きく変化してしまうため、運転者はその変化に合わせてステアリングを操作する必要があり、運転負荷が大きいものとなってしまう課題があった。
定常的な旋回特性のみならず、ステアリングを操作したときの過渡的な車両運動特性も車両の前後重心位置に大きく依存することを、本発明者らは明らかにしている。図13は、車速40km/h、と120km/hのときに左右駆動力差を時刻t=0にてステップ的に入力したときの車両ヨーレートの発生時系列データであり、それぞれ3種類の前後重心位置Lrについての波形を描いている(ステップ入力の大きさは、前後重心位置Lrに依らず、同じ定常ヨーレートを発生するだけの大きさとしている)。図中のWBはホイールベース長であり、いずれの車速においても、車両の前後重心位置Lrに応じて、発生ヨーレート波形が大きく異なることを確認できる。
したがって、乗員の搭乗位置や車載荷物の搭載位置などによって車両の前後重心位置が変化する場合には、その変化に応じて過渡的な旋回特性をも大きく変化してしまうため、運転者はその変化に合わせてステアリングを操作する必要があり、運転負荷が大きいものとなってしまう課題があった。
この課題を解決する方法としては、例えば、実開平2−68285号公報などに記載の装置がある。所定の大きさの重量物とその重量物を車両前後方向に動かすことによって車両の前後重心位置を所定の位置に保持する装置である。本装置を適用すれば、乗員や車載荷物による前後重心位置変化を補正することが出来るため、前述の課題を解決することができる。
しかし、このような装置を車載することは、車両の居住空間を狭めてしまう課題のほか、重量物を車載することにより車両の走行効率が悪化してしまうという課題やコストがかかるという課題を生む。
これに対し、実施例1は、前輪がキャスターなどの横力を発生しない形態であり、後輪の左右輪駆動力差により旋回動作を実現する車両にあって、特別なハードウエアを搭載せずに、前後重心位置に依る車両挙動特性の変化を抑え、運転者の操作負荷を低減することができる電動車両のモータ出力制御装置を提供するものである。
すなわち、前後重心位置変化による車両挙動特性変化を抑制する方法としては、フィードバック制御による方法も考えられる。例えば、車両のヨーレートを検出し、ヨーレートが望ましいヨーレートと一致するように後輪モータの左右駆動力差を調整する方法である。しかし、車両の挙動(例えばヨーレート応答)が望ましい応答からずれて初めて作用するため、性能向上には限界がある。また、性能を向上させるためにフィードバックゲインを上げると、センサノイズ(ヨーレートセンサのノイズなど)の影響を受けやすくなり、かえって車両挙動に悪影響をもたらすことになってしまう。
これに対し、実施例1の構成によれば、重心位置を推定して後輪モータの左右駆動力差を補正する構成としたため、効果的に前後重心位置変化による車両挙動特性変化を抑制できる特徴を有する。したがって、前後重心位置に変化がおきた場合における運転者の運転負荷を低減することができるようになった。
実施例1では、モータ出力演算において、推定した重心位置が後輪軸から遠いほど旋回指令値に対する左右駆動力差を大きく補正出力するようにした。これにより、車両の重心位置が車両前方にあるほど定常旋回半径が大きくなってしまうという特性変化を抑制することができる。したがって、車両運転者は重心前後位置に応じたステアリング操作をすることが必要なくなり、運転負荷を低減することができるようになった。
実施例1では、モータ出力演算において、推定した重心位置が後輪軸に近いほど旋回指令値に対する補償速度を早くするように左右駆動力差を補正出力するようにした。これにより、車両の重心位置が車両後方にあるほど車両の応答速度が遅くなるという特性変化を抑制することができる。したがって、車両運転者は過渡的にも重心前後位置に応じたステアリング操作をすることが必要なくなり、運転負荷を低減することができるようになった。
実施例1では、後輪の左右輪を転舵する手段と、推定した重心位置に応じて、後輪左右輪の転舵角を過渡的に補正出力する手段と、を有するものとした。よって、左右駆動力差だけでなく後輪の操舵によって車両の挙動を制御するシステムにおいても、重心前後位置に応じたステアリング操作をすることが必要なくなり、運転負荷を低減することができるようになった。特に、後輪舵角に対するヨーレートおよび横加速度の定常ゲインが小さいことから(上記式(5)(6)において、後輪舵角δrからヨーレートγおよび横力Yまでの定常ゲインQ22(0)/Qden(0とQ32(0)/Qden(0)がともに0であることから)、定常的な補正は行なわず過渡的な補正のみを行なうことで、効果的にできる。
実施例1では、車両前後重心位置の推定手段として、前輪および後輪の荷重を計測するストロークセンサ27FL,27FR,27RL,27RRを有し、前後の荷重比から前後重心位置を演算する手段とした。このようにすることで、車両が走行を開始する以前に前後重心位置を推定することが可能となった。
次に、効果を説明する。
実施例1の電動車両のモータ出力制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 車体の重心位置が駆動輪寄りとされ、前後輪のうち、一方の左右輪を電気モータ3RL、3RRにより左右輪に制駆動力および制駆動力差を発生させる駆動輪とし、他方の左右輪を前記駆動輪と比較して車体横方向に小さな力しか発生せず、車体の向きに追従して回転する従動輪とする電動車両において、車両の速度を検出する車速検出ステップS402と、車両の旋回指令を検出する操舵角センサ21と、車両の加減速指令を検出するブレーキペダルセンサ22およびアクセルペダルセンサ23と、車両状態に基づいて変化する前後重心位置を推定する車両前後重心位置推定ステップS705と、旋回指令値および加減速指令値を実現するよう、検出された車速Vおよび推定された前後重心位置cLrに応じて前記電気モータ3RL、3RRの出力を演算する統合コントローラ30と、を備えたため、前後輪のうち一方の車輪がキャスターなどの横力を発生しない形態であり、他方の車輪の左右輪駆動力差により旋回動作を実現する電動車両にあって、特別なハードウエアを搭載せずに、前後重心位置cLrの変化による車両挙動特性の変化を抑え、運転者の操作負荷を低減することができる。
(2) 統合コントローラ30を、推定した前後重心位置cLrが後輪軸から遠いほど旋回指令値に対する左右駆動力差を大きく補正出力する手段としたため、車両の重心位置が車両前方にあるほど定常旋回半径が大きくなってしまうという特性変化が抑制され、車両運転者は重心前後位置cLrに応じたステアリング操作をすることが必要なくなり、運転負荷を低減することができる。
(3) 統合コントローラ30を、推定した前後重心位置cLrが後輪軸に近いほど旋回指令値に対する補償速度を早くするように左右駆動力差を補正出力する手段としたため、車両の前後重心位置cLrが車両後方にあるほど車両の応答速度が遅くなるという特性変化を抑制することができ、車両運転者は過渡的にも重心前後位置に応じたステアリング操作をすることが必要なくなり、運転負荷を低減することができる。


(4) 後輪2RL、2RRの左右輪を転舵する手段と、推定した前後重心位置cLrに応じて、後輪左右輪の転舵角を過渡的に補正出力する統合コントローラ30を有するものとしたため、左右駆動力差だけでなく後輪の操舵によって車両の挙動を制御するシステムにおいても、重心前後位置cLrに応じたステアリング操作をすることが必要なくなり、運転負荷を低減することができる。
(5) 車両前後重心位置推定手段を、前輪42RL、42RRおよび後輪2RL、2RRの荷重を計測するストロークセンサ27FL,27FR,27RL,27RRを有し、前後の荷重比から前後重心位置cLrを演算する手段としたため、車両が走行を開始る前に予め前後重心位置cLrを推定することができる。
(6) 電動車両は、電気モータ3RL、3RRにより左右輪に制駆動力および制駆動力差を発生させる後輪2RL、2RRと、車体の重心位置が後輪寄りとされ、前記後輪2RL、2RRと比較して車体横方向に小さな力しか発生せず、車体の向きに追従して回転する前輪42FL、42FRと、を備えた車両であるため、前輪42FL、42FRがキャスターなどの横力を発生しない形態であり、後輪2RL、2RRの左右輪駆動力差により旋回動作を実現する電動車両において、前後重心位置cLrの変化による車両挙動特性の変化を抑え、運転者の操作負荷を低減することができる。
実施例2は、左右駆動力差に対する横加速度の定常ゲインに基づいて、車両の前後重心位置cLrを推定するようにした例である(請求項6の車両前後重心位置推定手段)。
すなわち、実施例2の前後重心位置cLrの推定は、例えば次のようにする。いま式(5)(6)(13)から、左右駆動力差に対する横加速度の定常ゲインは、2*Lt/(m*Lr)であることがわかる。したがって、モータに入力する左右駆動力差の値に対する、横加速度センサ出力の比KKBを常に演算し、その演算値の平均値をm/(2*Lt)倍することで前後重心位置cLrを推定する。この場合、推定精度を上げる為に、左右駆動力差が小さいときの比KKBを無視するようにするとなお良い。なお、他の構成および作用については、実施例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
よって、実施例2の電動車両のモータ出力制御装置にあっては、実施例1の(1)〜(4),(6)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(7) 車両前後重心位置推定手段を、電気モータ3RL,3RRによる左右駆動力差に対する横加速度の定常特性から重心位置を推定する手段としたため、前後輪それぞれに必要であった荷重センサを使用せず、横加速度を検出する加速度センサ24のみで前後重心位置cLrを推定することができる。
実施例3は、左右駆動力差に対するヨーレートの定常ゲインに基づいて、車両の前後重心位置cLrを推定するようにした例である(請求項7の車両前後重心位置推定手段)。
すなわち、実施例3の前後重心位置cLrの推定は、例えば次のようにする。いま式(5)(10)(13)から、左右駆動力差に対するヨーレートの定常ゲインは、2*Lt/(m*V*Lr)であることがわかる。したがって、モータに入力する左右駆動力差の値に対する、ヨーレートセンサ出力の比KKAを常に演算し、その演算値の平均値をm*V/(2*Lt)倍することで前後重心位置cLrを推定する。この場合、推定精度を上げる為に、左右駆動力差が小さいときの比KKAを無視するようにするとなお良い。なお、他の構成および作用については、実施例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
よって、実施例3の電動車両のモータ出力制御装置にあっては、実施例1の(1)〜(4),(6)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(8) 車両前後重心位置推定手段を、電気モータ3RL,3RRによる左右駆動力差に対するヨーレートの定常特性から重心位置を推定する手段としたため、前後輪それぞれに必要であった荷重センサを使用せず、ヨーレートセンサ8のみで前後重心位置を推定することができる。
実施例4は、車速および左右駆動力差に対する横加速度の立ち上がり特性に基づいて、車両の前後重心位置cLrを推定するようにした例である(請求項8の車両前後重心位置推定手段)。
すなわち、実施例4の前後重心位置cLrの推定は、例えば次のようにする。例えば、まず、後輪舵角を0にした状況において、左右駆動力差を入力とし、横加速度を出力とする2次伝達関数を同定し、その伝達関数の係数を演算する。そして、伝達関数の係数のうち、分母のsの二乗の係数をC2、分母のsの0乗の係数をC0とする。次にC2およびC0から前後重心位置cLrを推定する。このとき、左右駆動力差から横加速度への伝達関数の分母(式(13))において、sの二乗の係数がmVIr、sの0乗の係数が、2mVLrKrであることを利用する。つまり、その比Ir/2LrKr (=mVIr/2mVLrKr)が、C2/C0に一致するはずであることから、cLr=C0/C2*Ir/2として前後重心位置を推定する。このようにすることで、実施例2のように、定常的な車両運動特性で前後重心位置を推定するだけでなく、過渡的な車両運動特性による前後重心位置の推定もできる。なお、他の構成および作用については、実施例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
よって、実施例4の電動車両のモータ出力制御装置にあっては、実施例1の(1)〜(4),(6)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(9) 車両前後重心位置推定手段を、車速V、および、電気モータ3RL,3RRによる左右駆動力差に対する横加速度の立ち上がり特性から重心位置を推定する手段としたため、前後輪それぞれに必要であった荷重センサを使用せず、加速度センサ24のみで前後重心位置cLrを推定することができるし、また、過渡的な挙動から重心位置を推定するので、定常特性から推定するよりも高速に推定できる。
実施例5は、車速および左右駆動力差に対するヨーレートの立ち上がり特性に基づいて、車両の前後重心位置cLrを推定するようにした例である(請求項9の車両前後重心位置推定手段)。
すなわち、実施例5の前後重心位置cLrの推定は、例えば、最小二乗法による方法がある。例えば、まず、後輪舵角を0にした状況において、左右駆動力差を入力とし、ヨーレートを出力とする2次伝達関数を同定し(最小二乗法による同定については例えば、オーム社:ロバスト適応制御入門:寺尾・金井著の第2章などを参照)、その伝達関数の係数を演算する。そして、伝達関数の係数のうち、分母のsの二乗の係数をC2、分母のsの0乗の係数をC0とする。次にC2およびC0から前後重心位置cLrを推定する。このとき、左右駆動力差からヨーレートへの伝達関数の分母(式(13))において、sの二乗の係数がmVIr、sの0乗の係数が、2mVLrKrであることを利用する。つまり、その比Ir/2LrKr (=mVIr/2mVLrKr)が、C2/C0に一致するはずであることから、cLr = C0/C2*Ir/2として前後重心位置を推定する。このようにすることで、実施例7のように、定常的な車両運動特性で前後重心位置を推定するだけでなく、過渡的な車両運動特性による前後重心位置の推定もできる。なお、他の構成および作用については、実施例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
よって、実施例5の電動車両のモータ出力制御装置にあっては、実施例1の(1)〜(4),(6)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(10) 車両前後重心位置推定手段を、車速V、および、電気モータ3RL,3RRによる左右駆動力差に対するヨーレートの立ち上がり特性から重心位置を推定する手段としたため、前後輪それぞれに必要であった荷重センサを使用せず、ヨーレートセンサ8のみで前後重心位置を推定することができ、また、過渡的な挙動から重心位置を推定するようにしたので定常特性から推定するよりも高速に推定できる。
実施例6は、実施例1〜実施例5の車両前後重心位置推定手段のうち、複数の車両前後重心位置推定手段を有し、車両の状況に応じて車両の前後重心位置cLrの推定方法を切替えるようにした例である(請求項10の車両前後重心位置推定手段)。
すなわち、実施例6の前後重心位置cLrの推定は、例えば、車両が停止している状況では、ストローク量にもとづいて重心位置を推定し、車速Vが低いときにはヨーレートセンサ8の出力を用いて推定し、車速Vが高いときには加速度センサ24の出力を用いて推定するといった方法がある。車速に応じて使うセンサを切替えることにより、センサの精度を考慮し、精度良く重心位置を推定することが可能となる。
つまり、本方法は、(横加速度変化=車速*ヨーレート変化)という関係から、低速ではヨーレート変化を検出しやすく、高速では横加速度変化を検出しやすいという特徴を利用している。なお、他の構成および作用については、実施例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
よって、実施例6の電動車両のモータ出力制御装置にあっては、実施例1の(1)〜(4),(6)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(11) 実施例1〜実施例5の車両前後重心位置推定手段を複数有することによって、前後重心位置cLrを推定するようにしたため、車両の状況に応じて推定方法を切り替えることで推定精度を向上させることができる。
例えば、車両が停止している状況では、実施例2〜実施例5の方法では前後重心位置cLrを推定できないので、実施例1の方法により前後重心位置cLrを推定し、車速Vが低いときにはヨーレートセンサ8の出力を用いる実施例3あるいは実施例5の方法により推定し、車速Vが高いときには加速度センサ24の出力を用いる実施例2あるいは実施例4の方法により推定するといった方法がある。
以上、本発明の電動車両のモータ出力制御装置を実施例1〜実施例6に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、車両の前後重心位置cLrを各輪のサスペンションのストローク量に基づいて推定演算する方法を示したが、この方法に限られるものではない。
例えば、車両の前後重心位置cLrを推定する別の方法として、各座席下および荷物室に荷重センサを取り付け、各座席位置情報とその座席への荷重、および、荷物室の位置情報と荷物室への荷重から演算してもよい。
実施例1に示したモータトルク演算方法や後輪操舵量の演算方法についても、より簡便には、例えば、モータトルク量の過渡的な補償分を考慮せずに、定常値な補償分のみ補正するといったように、部分的に導入しても良い。
また、フィードバックを併用するとなお良い。例えば、図14に示すように制御システムを構成すればよい。この場合、車両の前後重心位置cLrの修正によりコントローラP1(s)、P2(s)を適応させる系と、フィードバック補償器によるのフィードバック系の速度が干渉しないようにフィードバックゲインを調整する。
駆動システムとしては、図1に示す形態に限られるものではなく、例えば、後輪の駆動形態としては、図15に示すようなものでもよい。図15は、後輪をクラッチモータ60(モータのインナーおよびアウターがいずれも回転支持されており、モータにトルクを発生させることで減速機63R、63Lを介して左右輪に逆のトルクを付加することができるモータであり、特開平4−332927号公報などに開示されている。)により後輪左右輪に駆動力差をつけるとともに、駆動用モータ61でデファレンシャルギア62を介して車両に制駆動力を発生させる形態である。このように後輪の左右輪トルクを独立に調整できる形態であれば良い。
また、前輪の形態も車体横向きの力を発生しにくいものであればよく、キャスター式である必要は必ずしも無い。例えば、前輪は全く転舵せず、前輪のタイヤを図16に示すように、転動面方向の回転軸(軸Z)を有する円筒形状のゴム回転体を、路面への接地部分に多数配列したものとしても良い。
図1において駆動輪転舵手段がない形態についても同じように実現できる。即ち、上述の実施例1に対し、次のように変更することで実現できる。
1) モードP、D、Rの全てにおいて後輪操舵指令値を演算するステップを削除する。
2) モードDについては、実施例1では、ステアリングホイール回転角δに対するヨーレートの応答が規範モデル応答と一致し、ステアリングホイール回転角δに対するすべり角βcの応答も規範モデル応答と一致するように演算するようにしていた。しかし、駆動輪転舵手段がない形態では操作入力が1つ減るためこれを実現することはできない。そこで、ステアリングホイール回転角δに対するヨーレートの応答のみが規範モデル応答と一致するように左右輪の駆動力差指令値tUを演算する形態とする。つまり式(17)の代わりに式(21)を用い、Q23(s)/Qden(s)*P1(s)=Gγδの関係からP1(s)を導出し、それをもとに同様に左右輪の駆動力差指令値tUを演算すればよい。
実施例1では、左右後輪を独立の電気モータで駆動する駆動システムと、駆動輪転舵手段とを備えた電動車両のモータ出力制御装置を示したが、左右前輪を独立の電気モータで駆動する駆動システムを備えた電動車両に適用することができるし、上記のように、後輪の左右輪トルクを独立に調整できる駆動システムを搭載した電動車両のモータ出力制御装置にも適用することができるし、また、上記のように、駆動輪転舵手段がないものにも適用することができる。
実施例1の電動車両のモータ出力制御装置を示す全体システム図である。 実施例1の電動車両のモータ出力制御装置に適用された前輪を示す側面図および平面図である。 実施例1の統合コントローラにて実行されるモード選択制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の統合コントローラにて実行される前後重心位置推定処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の統合コントローラでのモードD時における演算方法を説明する図である。 実施例1でのモードD時の演算ルーチンを示すフローチャートである。 実施例1でのモードD時の演算ルーチンにて使用する目標駆動力tTDのROMデータ特性図である。 実施例1でのモードD時の旋回挙動シミュレーション例を示す図である。 実施例1でのモードR時の演算ルーチンを示すフローチャートである。 実施例1でのモードR時の演算ルーチンにて使用する目標駆動力tTDのROMデータ特性図である。 左右後輪に駆動力差を与えたときの車両模式図である。 所定の横加速度を発生させながら車両を定常旋回させるために必要な左右輪の駆動力差特性をあらわす図である。 車速40km/hと120km/hのときに左右駆動力差を時刻t=0にてステップ的に入力したときの車両ヨーレートの発生時系列データである。 実施例1にてフィードバックを併用した場合の制御システムのブロック図である。 駆動システムの他の実施例を示す図である。 前輪の他の実施例を示す図である。
符号の説明
2RL、2RR 後輪
3RL、3RR 電気モータ
8 ヨーレートセンサ
11 ステアリングホイール
21 操舵角センサ(旋回指令値検出手段)
22 ブレーキペダルセンサ(加減速指令値検出手段)
23 アクセルペダルセンサ(加減速指令値検出手段)
24 加速度センサ(横加速度センサ)
25 シフトレバー
27 ストロークセンサ(荷重センサ)
30 統合コントローラ(モータ出力演算手段)
42FL、42FR 前輪
49、50 前輪の回転センサ
51 リンク(駆動輪転舵手段)
52 転舵用モータ(駆動輪転舵手段)

Claims (11)

  1. 車体の重心位置が駆動輪寄りとされ、前後輪のうち、一方の左右輪を電気モータにより左右輪に制駆動力および制駆動力差を発生させる駆動輪とし、他方の左右輪を前記駆動輪と比較して車体横方向に小さな力しか発生せず、車体の向きに追従して回転する従動輪とする電動車両において、
    車両の速度を検出する車速検出手段と、
    車両の旋回指令を検出する旋回指令値検出手段と、
    車両の加減速指令を検出する加減速指令値検出手段と、
    車両状態に基づいて変化する車両の前後重心位置を推定する車両前後重心位置推定手段と、前記旋回指令値および加減速指令値を実現するよう、前記検出された車速および前記推定された前後重心位置に応じて前記駆動輪のモータ出力を演算するモータ出力演算手段と、
    を備えたことを特徴とする電動車両のモータ出力制御装置。
  2. 請求項1に記載された電動車両のモータ出力制御装置おいて、
    前記モータ出力演算手段は、前記推定された前後重心位置が駆動輪軸から遠いほど前記旋回指令値に対する左右駆動力差を大きく補正出力することを特徴とする電動車両のモータ出力制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載された電動車両のモータ出力制御装置おいて、
    前記モータ出力演算手段は、前記推定された前後重心位置が駆動輪軸に近いほど前記旋回指令値に対する補償速度を早くするように左右駆動力差を補正出力することを特徴とする電動車両のモータ出力制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載された電動車両のモータ出力制御装置において、
    駆動輪の左右輪を転舵する駆動輪転舵手段と、
    前記推定された前後重心位置に応じて、前記駆動輪左右輪の転舵角を過渡的に補正出力する駆動輪転舵出力演算手段と、
    を設けたことを特徴とする電動車両のモータ出力制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載された電動車両のモータ出力制御装置において、
    前輪および後輪の荷重を計測する荷重センサを有し、
    前記車両前後重心位置推定手段は、前後の荷重比から前後重心位置を演算することを特徴とする電動車両のモータ出力制御装置。
  6. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載された電動車両のモータ出力制御装置において、
    車両の横加速度を計測する横加速度センサを有し、
    前記車両前後重心位置推定手段は、前記電気モータによる左右駆動力差に対する横加速度の定常特性から前後重心位置を推定することを特徴とする電動車両のモータ出力制御装置。
  7. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載された電動車両のモータ出力制御装置において、
    車両のヨーレートを計測するヨーレートセンサを有し、
    前記車両前後重心位置推定手段は、前記電気モータによる左右駆動力差に対するヨーレートの定常特性から前後重心位置を推定することを特徴とする電動車両のモータ出力制御装置。
  8. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載された電動車両のモータ出力制御装置において、
    車両の横加速度を計測する横加速度センサを有し、
    前記車両前後重心位置推定手段は、車速、および、前記電気モータによる左右駆動力差に対する横加速度の立ち上がり特性から前後重心位置を推定することを特徴とする電動車両のモータ出力制御装置。
  9. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載された電動車両のモータ出力制御装置において、
    車両のヨーレートを計測するヨーレートセンサを有し、
    前記車両前後重心位置推定手段は、車速、および、前記電気モータによる左右駆動力差に対するヨーレートの立ち上がり特性から前後重心位置を推定することを特徴とする電動車両のモータ出力制御装置。
  10. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載された電動車両のモータ出力制御装置において、
    前輪および後輪の荷重を計測する荷重センサと、車両の横加速度を計測する横加速度センサと、車両のヨーレートを計測するヨーレートセンサのうち、少なくとも2以上のセンサを有し、
    前記車両前後重心位置推定手段は、前後の荷重比、横加速度の定常特性、ヨーレートの定常特性、横加速度の立ち上がり特性、ヨーレートの立ち上がり特性、のそれぞれにより重心位置を推定する手段のうち、複数の手段を用いて前後重心位置を推定することを特徴とする電動車両のモータ出力制御装置。
  11. 請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載された電動車両のモータ出力制御装置において、
    前記電動車両は、電気モータにより左右輪に制駆動力および制駆動力差を発生させる後輪と、車体の重心位置が後輪寄りとされ、前記後輪と比較して車体横方向に小さな力しか発生せず、車体の向きに追従して回転する前輪と、を備えた車両であることを特徴とする電動車両のモータ出力制御装置。
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