しかし、上記特許文献1に開示された構成の整水器で得られたアルカリ性水は、確かに溶存水素量が増大して健康に良いと考えられるが、そのためには酸化還元物質添加装置が必要となって装置が複雑化していた。
すなわち、原水を電気分解した場合、陰極室で生成されたアルカリ生水中には、2H20+2e-→H2+2OH-の反応によって水素ガスが発生するとともにpHが上昇する。このとき溶存水素ガス粒子の濃度を上昇させるために電解反応の進行度を大きくすると、pHが飲用に適さない値まで上昇するおそれがある。そこで、水素イオンを透過する前記イオン交換膜を隔膜に用いて、陽極室で発生した水素イオンを陰極室に通過させ、水酸化物イオンを水素イオンによって中和してpH上昇を抑制している。つまり、電気分解で陽極室内に発生した水素イオンはpHの上昇を抑制する作用に供され、溶存水素濃度を高めるための直接的な構成は酸化還元物質添加装置に依存したものとなっていた。
また、上記特許文献1や特許文献2に開示された構成の整水器では、電解槽の隔膜と水素イオンを透過させるためのイオン交換膜とを兼用せざるをえない構成としているために、アルカリ性水の生成性能、溶存水素の増大性能のいずれもが中途半端になってしまうおそれがあるとともに、pH及び溶存水素濃度を個別に制御することができなかった。
しかも、上記いずれの整水器も飲用に供せられるアルカリ性水の生成に重点を置くあまり、例えば衛生水として有用な強酸性水の生成が難しくなっている。
すなわち、水素イオンを透過する前記イオン交換膜を隔膜に用いた構成を、アルカリ性水と酸性水とを一つの取水口から取水可能な整水器に適用した場合、酸性水を取水するときに水素が酸性水中に移動して酸性度合いを低下させ、所望するpHの酸性水を得られなくなるおそれがある。
さらに、例えば薬を服用するための飲料水としてはアルカリ性水ではなく中性水が良いとする報告や、乳児などに与える粉ミルクを溶かす水としては浄水が良いとされる報告もあって、使用者からすれば、溶存水素濃度の高いアルカリ性水、通常のアルカリ性水、溶存水素濃度の高い中性水、通常の中性水など多様な性状の水を取水できる整水器が望まれるが、上記従来の各整水器ではかかる要求に応えることもできなかった。
そこで、本発明では、上記課題を解決することのできる整水器を提供することを目的としている。
請求項1記載の本発明では、陽極と陰極とを対向配置した第1の電解部と、前記陰極側で生成したアルカリ性水の溶存水素濃度を高める第2の電解部とを備え、前記第1の電解部と第2の電解部とを、それぞれ独立して制御可能、更に、前記第2の電解部は、イオン交換膜の表裏に導電性を付与して通電可能とした電気化学セルを介して区画形成され、それぞれ入水部と出水部とが設けられた陽極室と陰極室とを有し、前記陽極室の入水部と前記第1の電解部の陽極側とを連通し、前記陰極室の入水部と前記第1の電解部の陰極側とを連通することで溶存水素を増加させたアルカリ性水を取水可能とした。
請求項2記載の本発明では、前記第1の電解部と第2の電解部とを、それぞれ独立して制御可能とした。
請求項3記載の本発明では、前記第2の電解部は、イオン交換膜の表裏に導電性を付与して通電可能とした電気化学セルを介して区画形成され、それぞれ入水部と出水部とが設けられた陽極室と陰極室とを有し、前記陽極室の入水部と前記第1の電解部の陽極側とを連通し、前記陰極室の入水部と前記第1の電解部の陰極側とを連通した。
請求項2記載の本発明では、前記陽極室及び陰極室の各入水部に形成した入水口と、前記第1の電解部の陽極側及び陰極側に設けた出水口とをそれぞれ直接的に着脱可能とした。
請求項3記載の本発明では、前記陽極室及び陰極室の各入水部は、各室内に浸入する水が前記電気化学セルに対して直交方向に導水できるようにした。
請求項4記載の本発明では、前記陽極室と陰極室の内部空間を扁平形状とし、各入水部から浸入した水が前記電気化学セル表面に接触しながら流動して前記各出水部からそれぞれ出水するようにした。
請求項5記載の本発明では、前記第1の電解部に供給する原水中に食塩を供給可能とした食塩添加部と、前記第1の電解部に供給する原水中にカルシウムを供給可能としたカルシウム添加部とを配設し、前記食塩添加部に原水を導入させた場合、前記第2の電解部への通電を遮断するように制御した。
請求項6記載の本発明では、アルカリ性水と酸性水と中性水とを、前記第2の電解部に設けた陰極室に連通する主取水口から選択的に取水可能とし、少なくとも酸性水を前記取水口から取水する場合は、第1の電解部の電極を反転させるとともに、第2の電解部への通電を遮断するようにした。
請求項7記載の本発明では、ケース本体内に導水部と取水部とを連通する主流路を設け、この主流路の中途に、前記カルシウム添加部と前記第1の電解部と前記第2の電解部とを直列的に配設する一方、前記第1の電解部の上流側に前記主流路から分岐させたバイパス流路を設けるとともに、このバイパス流路の中途に食塩添加部を配設し、しかも、前記主流路と前記バイパス流路との分岐部に、前記導水部からの原水を前記主流路と前記バイパス流路のいずれか一方に選択的に給水する流路切換部を配設した。
請求項8記載の本発明では、前記添加物選択部を駆動させる水平回転式の二方向切換スイッチを前記ケース本体上に設け、このスイッチを一側方向又は他側方向に回動させることにより、食塩又はカルシウムを原水中に選択的に供給可能とした。
請求項9記載の本発明では、前記カルシウム添加部の一端をなす第1開口部と前記食塩添加部の一端をなす第2開口部とを、前記二方向切換スイッチの近傍位置に設け、前記第1開口部にカルシウムケースを、前記第2開口部に食塩ケースをそれぞれ収納取出自在に配設し、しかも、前記二方向切換スイッチには、前記第1開口部及び第2開口部を指し示すための指示部を突設した。
請求項1記載の本発明では、陽極と陰極とを対向配置した第1の電解部と、前記陰極側で生成したアルカリ性水の溶存水素濃度を高める第2の電解部とを備え、溶存水素を増加させたアルカリ性水を取水可能とした構成としているために、生成した通常のアルカリ性水と、これに必要に応じて水素イオンを供給して溶存水素濃度を高めたアルカリ性水とを、選択的に生成することができ、しかも、整水器全体をシンプルな構成とすることができる。さらには、前記第1の電解部と第2の電解部とを、それぞれ独立して制御可能としたために、溶存水素濃度の高いアルカリ性水、通常のアルカリ性水、溶存水素濃度の高い中性水、通常の中性水などを選択的に取水可能となり、しかも、溶存水素濃度の調整やpH調整もきめ細かく行えることになって、上記の効果をより高めることができる。また、前記第2の電解部は、イオン交換膜の表裏に導電性を付与して通電可能とした電気化学セルを介して区画形成され、それぞれ入水部と出水部とが設けられた陽極室と陰極室とを有し、前記陽極室の入水部と前記第1の電解部の陽極側とを連通し、前記陰極室の入水部と前記第1の電解部の陰極側とを連通したために、第1の電解部で電解水を連続的に生成しながら、さらに第2の電解部で電解水を連続的に電気分解し、アルカリ性水の溶存水素量を増大させることができる。
(2)請求項2記載の本発明では、前記陽極室及び陰極室の各入水部に入水口をそれぞれ形成し、前記第2の電解部の陽極側及び陰極側に設けた出水口にそれぞれ直接的に着脱可能としたために、第1の電解部に従来構造の電解槽を用いた場合、第2の電解部を直接取付けることができ、上記(3)の効果に加え、さらに後付けも可能となるという効果を奏する。
(3)請求項3記載の本発明では、請求項5記載の本発明では、前記陽極室及び陰極室の各入水部は、各室内に浸入する水が前記電気化学セルに対して直交方向に導水できるようにしたために、陽極室及び陰極室内において、電解水は電気化学セルに確実に接触し、上記(2)の効果に加え、さらに上記(1)の効果をより高めてアルカリ性水の溶存水素を十分に増加させることができる。
(4)請求項4記載の本発明では、前記陽極室と陰極室の内部空間を扁平形状とし、各入水部から浸入した水が前記電気化学セル表面に接触しながら流動して前記各出水部からそれぞれ出水するようにしたために、電解水の電気化学セルとの接触面積、接触時間も十分となって、上記(3)の効果をより高めて極めて効率良くアルカリ性水の溶存水素を十分に増加させることができる。
(5)請求項5記載の本発明では、前記第1の電解部に供給する原水中に食塩を供給可能とした食塩添加部と、前記第1の電解部に供給する原水中にカルシウムを供給可能としたカルシウム添加部とを配設し、前記食塩添加部に原水を導入させた場合、前記第2の電解部への通電を遮断するように制御したために、上記(1)〜(4)の効果に加え、原水に食塩を混入することで電解度合いを高めて強酸性水や強アルカリ性水の生成が可能となり、しかも、これらの水は飲用には不適であるために溶存酸素を高める必要はないことから第2電解部への通電を遮断することで無用な電力消費がなくなり省電力となる。
(6)請求項6記載の本発明では、アルカリ性水と酸性水と中性水とを、前記第2の電解部に設けた陰極室に連通する主取水口から選択的に取水可能とし、少なくとも酸性水を前記取水口から取水する場合は、第1の電解部の電極を反転させるとともに、第2の電解部への通電を遮断するようにしたために、上記(5)の効果に加え、アルカリ性水も酸性水も共用の主取水口から選択的に取り出せるとともに、酸性水を取水する場合は第2の電解槽内に流入した酸性水中の溶存水素が増加することがなく、酸性水としての効能を阻害するおそれがない。
(7)請求項7記載の本発明では、ケース本体内に導水部と取水部とを連通する主流路を設け、この主流路の中途に、前記カルシウム添加部と前記第1の電解部と前記第2の電解部とを直列的に配設する一方、前記第1の電解部の上流側に前記主流路から分岐させたバイパス流路を設けるとともに、このバイパス流路の中途に食塩添加部を配設し、しかも、前記主流路と前記バイパス流路との分岐部に、前記導水部からの原水を前記主流路と前記バイパス流路のいずれか一方に選択的に給水する流路切換部を配設したために、上記(5)又は(6)の効果に加え、コンパクトな構成でありながら、流路切換部により原水の流路が切換わることと第2電解部への通電のON・OFF制御が連動した整水器の提供が可能となる。
(8)請求項8記載の本発明では、前記添加物選択部を駆動させる水平回転式の二方向切換スイッチを前記ケース本体上に設け、このスイッチを一側方向又は他側方向に回動させることにより、食塩又はカルシウムを原水中に選択的に供給可能としたために、使用者が意識的にスイッチ操作を行って酸性水を選択したときには自動的に第2電解槽への通電が遮断されることになり、使い勝手が良好となる。
(9)請求項9記載の本発明では、前記カルシウム添加部の一端をなす第1開口部と前記食塩添加部の一端をなす第2開口部とを、前記二方向切換スイッチの近傍位置に設け、前記第1開口部にカルシウムケースを、前記第2開口部に食塩ケースをそれぞれ収納取出自在に配設し、しかも、前記二方向切換スイッチには、前記第1開口部及び第2開口部を指し示すための指示部を突設したために、カルシウムケース及び食塩ケースの出し入れ口とスイッチとが直接的に関連付けられることになり、視覚的にもスイッチの誤操作などのおそれを可及的に防止でき、上記(8)の効果をさらに高めることができる。
本発明に係る整水器は、陽極と陰極とを対向配置した第1の電解部と、前記陰極側で生成したアルカリ性水の溶存水素濃度を高める第2の電解部とを備えた構成としたものである。
前記第1の電解部と第2の電解部とは互いに連通させただけの簡単な構成であり、第1の電解部と第2の電解部との位置関係などは特に制限はなく、第1の電解部で生成された電解水(酸性水とアルカリ性水)のうち、アルカリ性水の溶存水素濃度を高めることができる構成であればよい。かかる構成とすれば、第1の電解部と第2の電解部とを、それぞれ独立して制御することが容易となる。
そして、実際に第1の電解部と第2の電解部とをそれぞれ独立して制御可能とすることが好ましく、両者を独立制御した場合、溶存水素濃度の高いアルカリ性水、通常のアルカリ性水、溶存水素濃度の高い中性水、通常の中性水などを選択的に取水可能となり、しかも、溶存水素濃度の調整やpH調整もきめ細かく行える。
前記第2の電解部は、イオン交換膜の表裏に導電性を付与して通電可能とした電気化学セルを介して区画形成され、それぞれ入水部と出水部とが設けられた陽極室と陰極室とを有し、前記陽極室の入水部と前記陽極側とを連通し、前記陰極室の入水部と前記陰極側とを連通することができる。
ここで、第1の電解部における陽極側及び陰極側としての概念は、隔膜を介して互いに区画形成した室を有する電解槽における陽極を配設した陽極室と、陰極を配設した陰極室とをそれぞれ指す場合、あるいは、無隔膜方式の電解槽において対向配置された陽極側と陰極側とを指す場合とを含むものである。
前記電気化学セルは、イオン交換膜と陽極及び電極とが一体構成となっており、電極を形成するためにイオン交換膜の表裏に導電性を付与する方法としては、金属箔を形成したり、スパッタリングなどで金属層を形成したりするなどが考えられる。
かかる構成により、第1の電解部で連続的に生成された酸性水及びアルカリ性水を第2の電解部に連続的に導水し、この第2の電解部内に配設した電気化学セルの陽極側で酸性水を電気分解し、このとき発生した水素が前記電気化学セルのイオン交換膜を通ってアルカリ性水中に移動することにより、溶存水素量が増大したアルカリ性水を連続的に生成することが可能となる。
また、特に、前記陽極室及び陰極室の各入水部に、前記第1の電解部の陽極側及び陰極側に設けた出水口に、それぞれ直接的に着脱可能とした入水口を形成すると、第1の電解部として、例えば、従来より一般的である陽極室と陰極室とを隔膜を介して区画形成した電解槽を用いて、この第1の電解部となる電解槽に、前記第2の電解部となる第2の電解槽を直接取付けることができることから、製造側からすれば、第2の電解部を後付けする簡単な工程の追加で、アルカリ性水中の溶存水素濃度を高めることのできる高品質な整水器の製造が可能となり、安価に提供することもできる。
また、前記陽極室及び陰極室の各入水部は、各室内に浸入する水が前記電気化学セルに対して直交方向に導水できる形状とすることが望ましい。第1の電解部からの電解水が第2の電解部の陽極室及び陰極室内にそれぞれ至ると、水は電気化学セルに確実に接触するので、電気分解が促進されてアルカリ性水の溶存水素を十分に増加させることができる。
さらに、前記陽極室と陰極室の内部空間を扁平形状とすると、各入水部から浸入した水が前記電気化学セル表面に接触しながら流動して前記各出水部からそれぞれ出水するために、電解水の電気化学セルとの接触面積、接触時間も十分となって、より効果的に電気分解が行われ、効率良くアルカリ性水の溶存水素を十分に増加させることができる。
ところで、第1の電解部と第2の電解部の配置について、上述したように第2の電解部を第1の電解部に直接着脱自在となる構成とする他、第1の電解部と第2の電解部を一体的に構成し、一つの電解槽内に設ける構成としてもよい。さらに、別途第2の電解部をユニット化して完全な別体構造とすることもできる。また、この場合、第2の電解部のみの提供もできるようにして、使用者が既存の整水器に必要に応じて取付け可能とすることもできる。
また、他の実施の形態として、前記第1の電解部に供給する原水中に食塩を供給可能とした食塩添加部と、前記第1の電解部に供給する原水中にカルシウムを供給可能としたカルシウム添加部とを配設し、前記食塩添加部に原水を導入させた場合、前記第2の電解部への通電を遮断するように制御することができる。
かかる制御を行うと、原水に食塩を混入することで電解度合いを高め、衛生水などに用いられる強酸性水や、各種洗浄水などに用いることのできる強アルカリ性水の生成が可能となり、しかも、これらの水は飲用には不適であるために溶存酸素を高める必要はないことから第2電解部への通電を遮断することで無用な電力消費がなくなり省電力となる。
上記制御を行う整水器は、アルカリ性水と酸性水のほか、第1の電解部への通電を止めることで、当然ながら中性水の取水も可能であり、このとき、アルカリ性水と酸性水と中性水とを、前記第2の電解部に設けた陰極室に連通する主取水口から選択的に取水できる構成とすることができる。その場合は、少なくとも酸性水を前記取水口から取水するときは第1の電解部の電極を反転させるとともに、第2の電解部への通電を遮断するように制御するとよい。
すなわち、必要な性状の水を常に同じ取水口から選択的に取り出せるので使い勝手がよく、しかも、酸性水を取水する場合は第2の電解槽内に流入した酸性水中の溶存水素が増加することがなく、酸性水としての効能を阻害するおそれがないので、酸性水によるアストリンゼン効果や殺菌、消毒効果を損なうおそれがなくなる。なお、酸性水を取水した後は自動的に中性水を流出させて流路内を洗浄するようにするとよい。
整水器は、ケース本体内に導水部と取水部とを連通する主流路を設け、この主流路の中途に、前記カルシウム添加部と前記第1の電解部と前記第2の電解部とを直列的に配設する一方、前記第1の電解部の上流側に前記主流路から分岐させたバイパス流路を設けるとともに、このバイパス流路の中途に食塩添加部を配設し、しかも、前記主流路と前記バイパス流路との分岐部に、前記導水部からの原水を前記主流路と前記バイパス流路のいずれか一方に選択的に給水する流路切換部を配設する構成とすることができる。
かかる構成により、整水器全体をコンパクト化でき、一般家庭などへの設置も簡単に行え、しかも、前記流路切換部による原水の流路の切換わりと第2電解部への通電のON・OFF制御が連動した整水器となすことができるので、子供から老人まで安心して簡単に使用することが可能となる。
ところで、前記添加物選択部を駆動させるためには、例えば水平回転式の二方向切換スイッチを前記ケース本体上に設けるとよい。そして、このスイッチを一側方向又は他側方向に回動させることにより、食塩又はカルシウムを原水中に選択的に供給可能とするのである。
かかる構成であれば、使用者が意識的にスイッチ操作を行って酸性水を選択したときには自動的に第2電解槽への通電が遮断されることになり、使い勝手がさらに良好となる。
さらに、前記食塩添加部の一端をなす第1開口部と前記カルシウム添加部の一端をなす第2開口部とを、前記二方向切換スイッチの近傍位置に設け、前記第1開口部に食塩ケースを、前記第2開口部にカルシウムケースをそれぞれ収納取出自在に配設し、しかも、前記二方向切換スイッチには、前記第1開口部及び第2開口部を指し示すための指示部を突設することができる。
すなわち、食塩ケース及びカルシウムケースの出し入れ口とスイッチとが直接的に関連付けられることになり、視覚的にもスイッチの誤操作などのおそれを可及的に防止でき、誤操作防止の効果がより向上する。また、食塩ケース及びカルシウムケースの出し入れ口を本体ケースに別途設ける必要がなく、デザイン面でも全体的にすっきりとして見栄えが向上する。
ところで、前記第2の電解部においては、前記電気化学セルを介して区画された陽極室と陰極室とに不通水領域を設け、この不通水領域内に、前記電気化学セルの電極端子をそれぞれ配設することが好ましい。
このように、電極が水に接触しない構成とすることで、電極端子が水に触れた場合に発生する端子部分及びその近傍へのスケース付着が防止でき、第2の電解槽の能力低下を防止することができる。
(第1実施例)
以下、この発明の第1実施例を図面に基づき具体的に説明する。図1は本実施例に係る整水器の内部を透視した説明図、図2は同整水器の模式的説明図である。
図1及び図2に示するように、整水器1は主なる構成要素として、原水を浄化するカートリッジタイプとした浄水槽20を具備する浄水部2と、浄化された原水を電気分解する主電解槽30を具備する電解部3とを備えており、これらを略箱型のケーシング10内に収納配設している。
前記浄水槽20内には中空糸膜や活性炭などが収納され、基端を水源と連通する導水管11と連通連結している。12は送水管であり、前記浄水槽20と電解部3の主電解槽30とを連通連結している。また、この送水管12の中途にはカルシウムなどの添加剤を収容する添加剤収容ケース13を設けカルシウム添加部を構成している。
なお、前記浄水槽20は着脱自在としており、必要に応じて別途用意した食塩ケース(図示せず)と取替え、原水中に食塩を混入して前記主電解槽30による電解度合いを高めて強酸性水や強アルカリ性水を生成することが可能である。
前記主電解槽30内は、本発明における陽極側となる陽極31を配設した陽極室32と、本発明における陰極側となる陰極33を配設した陰極室34とに隔膜35を介して区画形成されており(図2参照)、陰極室34に基端を連通連結したアルカリ性水取水管14の先端取水口14a(図1)より飲用のアルカリ性水を得ることができる。一方、前記陽極室32には酸性水取水管15の基端を連通連結し、その先端取水口15a(図1)より、例えば洗顔用や洗浄用に用いられる酸性水を得ることができるようにしている。なお、図中、16は前記送水管12と酸性水取水管15との間を連通した連通管であり、この連通管16の中途に弁体17を設け、同弁体17を開成することにより整水器1内の滞留水を排出可能としている。
上記構成において、本実施例の特徴となるのは、前記電解部3を、前述した陽極室32と陰極室34とを有する主電解槽30からなる第1の電解部と、前記主電解槽30の陰極室34で生成したアルカリ性水の溶存水素濃度を高める副電解槽40からなる第2の電解部とから構成したことにある。
そして、図2に示すように、主電解槽30と副電解槽40とを制御部7を介してそれぞれ個別に制御可能としている。具体的には、主電解槽30に配設した陽極31及び陰極33、副電解槽40に配設した後述する電気化学セル43への通電を制御するようにしており、例えば、(1)主電解槽30及び副電解槽40への通電が両方ともON、(2)両方ともOFF、(3)主電解槽30がON、副電解槽40がOFF、(4)主電解槽30がOFF、副電解槽40がON、などの制御も自由に行え、所望する性状の水を得ることが可能となっている。また、電流値についても個別に制御可能とし、アルカリ性水のpHを例えば8〜10の範囲で変更したり、溶存水素濃度の値を変更したりすることもできる。
ところで、本実施例では、前記浄水槽20を食塩ケースに取替えて食塩添加部を付加した場合、食塩添加部に原水を導入させると前記第2の電解部への通電を遮断するように制御している。強酸性水や強アルカリ性水は飲用に不適なので水中の溶存水素濃度を高める必要がないからである。かかる制御によって無用な電力消費も抑制でき省電効果が期待できる。
以下、本実施例の要部をなす電解部3について詳述する。図3は主電解槽30と副電解槽40とから構成した電解部3の斜視図、図4は同電解部3の縦断面図、図5は主電解槽30の分解斜視図、図6は副電解槽40の横断面図、図7は同副電解槽40の分解斜視図、図8は同副電解槽40の機能を示す説明図である。
第1の電解部となる本実施例における主電解槽30は周知の構造であり、図3〜図5に示すように、下ケース30aと上ケース30bとを連結したケーシング内に、薄板状の陽極31を収納するとともに、表裏面に隔膜35を張設した複数の陽極室形成用箱体36と、陽極31と同形状の3枚の陰極33とを交互に重合並設した状態で収納している。陽極31及び陰極33はチタンなどの金属板からなり、下側短辺から雄ネジを先端部に形成した給電端子37を突設し、ケーシング内に収納した状態で、各給電端子37を下ケース30aから外方へ突出させ、図示しないリード線を結線できるようにしている。図4中、51はナット、ワッシャなどからなる接続金具、52は下ケース30aと上ケース30bとを連結するビスである。また、図5中、35aは隔膜35を支持するとともに、前記陽極室形成用箱体36を構成する箱縦リブ付フレーム、36aは前記陽極室形成用箱体36に設けた給水口であり、後述する第1給水口38aと接続している。
このように、本実施例における主電解槽30では、陽極室形成用箱体36により陽極室32が形成され、陰極室34としては前記複数の陽極室形成用箱体36の外側及びケーシングとの間に形成される空間により形成されることになる。
前記ケーシング(下ケース30aと上ケース30b)は合成樹脂より形成されており、下ケース30aの底部の両端側に、前記陽極室形成用箱体36に設けた給水口36aと接続される第1給水口38a、及び陰極室34に連通する第2給水口38bが、また、上ケース30bの頂部の両端には、前記第1給水口38a及び第2給水口38bとそれぞれ線対称状に対向するように、第1取水口39a及び第2取水口39bが一体的に突設されている。
かかる構成により、前記ケーシング内に第1・第2給水口38a,38bから原水を導入して電気分解することで、第1取水口39aから酸性水が、第2取水口39bからアルカリ性水が流出するように構成している。なお、この主電解槽30での電気分解では電流値を4Aに設定している。
また、第2の電解部となる本実施例における副電解槽40は、図3及び図4、図6及び図7に示すように、入水部となる第1入水口41aと出水部となる第1出水口42aとを突設した第1ケース40aと、同じく入水部となる第2入水口41bと出水部となる第2出水口42bとを突設した第2ケース40bとを水密状となるように付き合わせて構成しており、主電解槽30の頂部に仮想中心軸線が直交する状態で取付けている。
この副電解槽40の内部には電気化学セル43を介して、互いに扁平な空間である陽極室44と陰極室45とが区画形成されている。4aは第1ケース40aと第2ケース40bとを連結する連結ビスである。
そして、前記第1入水口41a及び第2入水口41bとを、略L字状に形成し、その先端がそれぞれ主電解槽30の第1取水口39aと第2取水口39bとにそれぞれ直接着脱自在に連結可能としている。すなわち、副電解槽40は、周知の主電解槽30に取水口と入水口とを直接連結して互いに連通させることができる。50は取水口と入水口との連結を保持するクリップ式接続具である。
また、前記電気化学セル43は、図7に示すように、前記第1ケース40aと第2ケース40bとに見合ったサイズの略矩形形状としており、イオン交換膜43aの表裏に導電性を付与して通電可能として電極を形成している。本実施例では、固体高分子電解質膜からなるイオン交換膜43aの表裏に白金メッキを施して金属導通層を形成し、一端にリード線(図示せず)を結線できるように形成した端子構成ピン46,46を前記第1入水口41a及び第2入水口41bの水平伸延部41a’,41b’内部に貫通状態に配設し、端子構成ピン46の先端に設けた接触片47を前記金属導通層に当接させて陽極及び陰極を形成するようにしている。43bはイオン交換膜43aの周縁部に形成したマスク部分である。
かかる構成により、副電解槽40の第1入水口41aと主電解槽30の陽極室32とを連通するとともに、副電解槽40の第2入水口41bと主電解槽30の陰極室34とを連通することができる。
したがって、送水管12(図2)から主電解槽30に送られた原水は電気分解されて酸性水とアルカリ性水とが生成されるが、主電解槽30の陽極室32で生成された酸性水は、第1取水口39a→第1入水口41a→陽極室44→第1出水口42a→酸性水取水管15と流れ、一方、主電解槽30の陰極室34で生成されたアルカリ性水は第2取水口39b→第2入水口41b→陰極室45→第2出水口42b→アルカリ性水取水管14と流れて流出する。
このとき、図8に示すように、電気化学セル43に通電することにより、副電解槽40の陽極室44内では酸性水が電気分解され、反応式(1)で示すように、酸素と水素が発生し、イオン交換膜43aを介して水素イオンが陰極室45へと通過して、連続的に生成されるアルカリ性水中の溶存水素濃度を高めることができる。なお、この副電解槽40での電気分解では、主電解槽30での電気分解の電流値が4Aであったのに対し、0.5A程度でよい。
反応式(1)・・・2H2O→4H++4e-+O2
特に、本実施例では、副電解槽40の前記第1入水口41a及び第2入水口41bとを略L字状に形成し、陽極室44及び陰極室45内に浸入する水が前記電気化学セル43に対して直交方向に導水できる形状としているので、主電解槽30からの酸性水、アルカリ性水が前記陽極室44及び陰極室45内にそれぞれ至ると、各水は先ず電気化学セル43に衝突してその後向きを変えて第1出水口42a、第2出水口42bへと向かうので、水と電気化学セル43とが確実に接触して電気分解が促進されるとともに、水素イオンがイオン交換膜43aを介して移動しやすくなって、アルカリ性水の溶存水素を十分に増加させることができるようになっている。さらに、前記陽極室44と陰極室45の内部空間が扁平形状なので、浸入した水が前記電気化学セル43表面に接触しながら流動することになり、水と電気化学セル43との接触面積、接触時間も十分となるので、前述した効果がより高められ、より効率良くアルカリ性水の溶存水素を十分に増加させることができる。
本実施例に係る整水器1では上述のように溶存水素濃度を高めたアルカリ性水を容易に連続的に取水することができ、しかも、電解部3の主電解槽30と副電解槽40への通電を個別に制御できるようにしているので、溶存水素濃度の高いアルカリ性水、通常のアルカリ性水、溶存水素濃度の高い中性水(浄水を含む)、通常の中性水、さらにはアルカリ性水についても所定範囲内における所望するpHにするなどが可能となり、通常の飲用、乳児の飲用(ミルクを作る場合など)、服薬時、料理用、その他用途に応じた多様な性状の水を得ることができる。
ところで、上述してきた例では、主電解層30に対して、副電解槽40を後付可能な形態とし、副電解槽40の第1入水口41a及び第2入水口41bを、それぞれ主電解槽30の第1取水口39a及び第2取水口39bに直接接続する構成としたが、その変形例として、図9に示すように、主電解槽30と副電解槽40とを完全に別体構成とすることもできる。この場合、副電解槽40を別ユニットとして単独で販売可能とし、使用者が既存の整水器に必要に応じて取付け可能とすることもできる。図中、18a,18bは連結チューブである。
また、他の変形例として、図10に示すように、主電解層30と副電解槽40とを一体の電解槽とすることもできる。
この場合、箱型ケーシング6の下側に陽極室32と陰極室34とを隔膜35を介して区画形成して第1の電解部を構成するとともに、上側には、前記隔膜35からの延長線上に電気化学セル43を配設するとともに、同電気化学セル43に向けて前記箱型ケーシング6の側壁60を絞って陽極室44と陰極室45を形成して第2の電解部を構成することができる。したがって、陽極室32及び陰極室34から陽極室44及び陰極室45に流入する水は、前記電気化学セル43に略直交方向に進み、幅狭とした陽極室44及び陰極室45を通過しながら電気分解されて、酸性水側に発生した水素イオンをイオン交換膜43aを介してアルカリ性水に透過させ、溶存水素濃度を高めることができる。
かかる構成では、電解部3がコンパクトとなるので、整水器1全体の小型化が可能となる。
(第2実施例)
次に第2実施例に係る整水器について説明する。図11は第2実施例に係る整水器1の模式的説明図、図12は同整水器1の斜視図、図13は同平面図、図14は同縦断面図、図15は図14のI−I線における断面図、図16は図14のII−II線における断面図、図17は図14のIII−III線における断面図、図18は図14のIV−IV線における断面図である。なお、本実施例では、第1実施例と同一の構成要素については同一符号を用いて説明する。
図11〜図18に示すように、本実施例に係る整水器1は、第1実施例と同様にケース本体である箱型のケーシング10中に、第1実施例同様に原水を浄化する浄水槽20を配設した浄水部2と、浄化された原水を電気分解する第1の電解部である主電解槽30と、この主電解槽30の陰極室34で生成したアルカリ性水の溶存水素濃度を高める第2の電解部である副電解槽40とからなる電解部3とを備えている。そして、主電解槽30と副電解槽40とを制御部7を介してそれぞれ個別に制御可能とした構成を基本としている。したがって、溶存水素濃度の高いアルカリ性水、通常のアルカリ性水、溶存水素濃度の高い中性水、通常の中性水など多様な性状の水を浄化した状態で取水できる。なお、本実施例における浄水槽20は、上側カートリッジ20aと下側カートリッジ20bとからなり個別に取替え可能としている。
さらに本実施例では、図示するように、前記主電解槽30に供給する原水中にカルシウムを供給可能としたカルシウム添加部8と、前記主電解槽30に供給する原水中に食塩を供給可能とした食塩添加部9とを並設させた状態で配設している。
上記各構成をより具体的に説明すると、図11に示すように、ケーシング10内に導水部(導水口19a)と取水部(取水管19b)とを連通する主流路(送水管12)を配設し、この送水管12の中途に、前記浄水槽20と流量センサCと前記カルシウム添加部8と前記主電解槽30と前記副電解槽40とを直列的に配設する一方、前記主電解槽30の上流側であって前記浄水槽20の下流側をなす前記送水管12からバイパス流路(バイパス管12a)を分岐させ、このバイパス管12aの中途に前記食塩添加部9を配設している。なお、バイパス管12aの下流端は逆止弁70を介してカルシウム添加部8の下流側と連通して合流している。そして、カルシウム添加部8と食塩添加部9とは、図14〜図18に示すように並設状態となるように配設される。
また、前記取水管19bは、副電解槽40の陰極室45に連通してケーシング10の上方へ伸延し先端に主取水口19cを開口している。なお、図12に一点鎖線で示すように取水管19bの先端に延長ホース19dを適宜連結することもでき、その場合はこの延長ホース19dの先端が主取水口19cとなる。他方、副電解槽40の陽極室44からは排水管12bをケーシング10の下方へ伸延させ、その中途には制御部7と電気的に接続された電磁バルブ71を配設している。また、前記排水管12bの中途と前記主電解槽30とは、逆止弁72を介して連通連結している。なお、図11中、11aは水道蛇口、11bは水道蛇口11aの下流側に設けた分岐栓であり、この分岐栓11bのレバー11cを操作することにより、原水である水道水を整水器1側に通水するか、あるいは直接取水するかを選択することができる。
上記の構成により、アルカリ性水と酸性水、さらに主電解槽30への通電を止めることで中性水についてもそれぞれ浄化した状態で共通の主取水口19cから取水することができる。ところで、酸性水を前記主取水口19cから取水するときは、主電解槽30の電極を反転させている。このように、必要な性状の水を共通の主取水口19cから選択的に取り出せるので使い勝手がよい。
この整水器1で各種性状の水を取水するための操作及び各種設定は、図12に示すように、ケーシング10の側面に設けた操作パネルPの各操作ボタンB1〜B10により制御部7を介して実行できる。
図示するように、操作パネルP上には、その上部中央に液晶表示装置からなる表示部Dを設け、その右上に電源ボタンB1を配設するとともに、前記表示部Dの下方位置にはORP表示ボタンB2と通水量表示ボタンB3とを横並びに配設している。ここでORPとは酸化還元電位と呼ばれるもので、酸化、還元する強さをmV(ミリボルト)の単位で数値化しており、プラス数値が大きいほど酸化能力が大きく、マイナス数値が大きいほど還元能力が大きい。したがって、この数値により酸性水、アルカリ性水の性状強さを確認でき、ここでは前記ORP表示ボタンB2を押すと現在のORP値が前記表示部Dにデジタル表示されるようにしている。
また、前記通水量表示ボタンB3を押すと、現在の整水器1内への原水通水量が前記表示部Dにデジタル表示される。そして、この通水量表示ボタンB3の下方には、縦一列に強アルカリ性水ボタンB4、アルカリ性水ボタンB5〜B7、浄水ボタンB8、酸性水ボタンB9を配設している。アルカリ性水は、用途に応じて3段階で選択可能としている。なお、図中、L1は衛生水ランプ、L2は洗浄中ランプ、L3はすすぎランプ、L4,L5は浄水部2のカートリッジ寿命設定ボタン及びランプ、L6,L7は浄水部2のカートリッジ交換ランプ、L8は温度上昇警告ランプ、B10はカートリッジ交換リセットボタンである。
上記整水器1の構成において、ケーシング10内に配設した前記送水管12と前記バイパス管12aとの分岐部に、前記導水口19aからの原水を前記送水管12aと前記バイパス管12aのいずれか一方に選択的に給水する流路切換弁80を配設して、前記バイパス管12aに給水して食塩添加部9に原水を導入させた場合、前記副電解槽40への通電を遮断するように制御したことに本実施例の特徴がある。
前記流路切換弁80は、図11に示すように、ケーシング10の上面に設けた水平回転式の二方向切換スイッチ81(図12参照)と制御部7を介して連動連結しており、この二方向切換スイッチ81を一側方向又は他側方向に回動させることにより、前記流路切換弁80が制御部7により駆動制御されて原水の流路がカルシウム添加部8又は食塩添加部9に切換わるとともに、原水に食塩を混入する側に切換えた場合、前記制御部7は副電解槽40への通電を遮断するのである。図12において、10aはケーシング10の上面に一側を枢支して開閉自在とした透明蓋であり、前記二方向切換スイッチ81の操作はこの透明蓋10aを開いて行う。
また、本実施例では、図12、図13及び図16に示すように、前記カルシウム添加部8の一端をなす第1開口部8aと前記食塩添加部9の一端をなす第2開口部9aとを、前記二方向切換スイッチ81の近傍位置に設け、前記第1開口部8aにカルシウムケース82を、前記第2開口部9aに食塩ケース92をそれぞれ収納取出自在に配設している。なお、両ケース82,92はそのサイズを異ならせて挿通間違いのないようにしている。また、図12及び図13において82a,92aはカルシウムケース82及び食塩ケース92の上端に設けた摘み付きのケース蓋である。
前記二方向切換スイッチ81には、前記第1開口部8a及び第2開口部9aを指し示すための指示部81aを突設している。すなわち、この指示部81aによってカルシウムケース82が収納されたカルシウム添加部8、及び食塩ケース92が収納された食塩添加部9を指し示すことができ、使用者は原水中に添加されているのがカルシウムなのか食塩であるのかも視認することができる。
以上の構成より、使用者は、カルシウムが添加され、かつ溶存水素量の増加した健康に良いとされるアルカリ性水を取水できる状態で通常使用しながら、必要に応じて二方向切換スイッチ81による簡単な操作で原水に食塩を混入させて電解度合いを高め、この状態で前記酸性水ボタンB9や強アルカリ性水ボタンB4を操作して、衛生水などに用いられる強酸性水や、各種洗浄水などに用いることのできる強アルカリ性水の取水ができる。しかも、これら強酸性水や強アルカリ性水は飲用には不適であるために溶存酸素を高める必要はなく、二方向切換スイッチ81を食塩添加部9側に操作すると、整水器1側で自動的に副電解槽40への通電を遮断することから使用者は意識せずとも省電力を図ることが可能となっている。
また、この二方向切換スイッチ81が食塩添加部9側に操作されない限り、衛生水は生成されることがなく、かつ同時に前記した強アルカリ性水ボタンB4は受け付けられないように制御される。したがって、衛生水や強アルカリ性水を得るためには、透明蓋10aを開け、二方向切換ボタン81を食塩添加部9側に切換えた後に強アルカリ性水ボタンB4を操作するか、酸性水ボタンB9を操作しなければならないので、意に反して強酸性水である衛生水や強アルカリ性水を取水してしまうおそれも防止できる。
また、上記構成により、カルシウムケース82及び食塩ケース92の出し入れ口となる前記第1開口部8a及び第2開口部9aと二方向切換スイッチ81とが直接的に関連付けられ、スイッチの誤操作のおそれを視覚的にも可及的に防止でき、誤操作防止の効果がより向上する。また、カルシウムケース82及び食塩ケース92の出し入れ口を、ケーシング10に別途設ける必要がないのでデザイン面でも全体的にすっきりとして見栄えが向上する。
また、本実施例では、前記二方向切換スイッチ81がカルシウム添加部8側を指している状態で前記酸性水ボタンB9を押した場合でも、副電解槽40への通電は自動的に遮断するようにしている。すなわち、洗顔用などに酸性水が必要な場合は、通常カルシウム添加部8側を指している二方向切換スイッチ81を切換えることなく前記酸性水ボタンB9を押せばよく、このとき副電解槽40への通電は遮断される。副電解槽40へのを遮断してしまえば副電解槽40内に流入した酸性水中の溶存水素は増加することがないので、酸性水のpHが高まってしまい酸性水としてのアストリンゼン効果や殺菌、消毒効果を損なうおそれがなくなる。
このように、本実施例では、少なくとも酸性水を前記取水口19cから取水する場合は主電解槽30の電極を反転させるとともに、副電解槽40への通電を遮断するようにしたために、酸性水を取水する場合に酸性水としての効能を阻害することなく、かつ省電効果を奏する。
ところで、衛生水や強アルカリ性水を取水した後は、自動的に中性水を所定量あるいは所定時間流出させて流路内を洗浄するようにして、その後に取水される中性水やアルカリ性水に塩分が残らないようにしている。
以上説明してきた本実施例に係る整水器1は、全体をコンパクト化であり、一般家庭などへの設置も簡単に行え、しかも、前記流路切換弁80による原水の流路の切換わりと主電解部30への通電のON・OFF制御を連動させることができるので、子供から老人まで安心して簡単に使用することが可能となる。
ここで、本実施例に係る副電解槽40の構成について説明する。
本実施例における副電解槽40は、基本的には第1実施例に係る副電解槽40と同様な構成であるが、電気化学セル43に設ける電極端子を可及的に長めに形成した点、また、電気化学セル43を介して区画された陽極室44と陰極室45とに不通水領域を設け、この不通水領域内に、前記前記電極端子をそれぞれ配設した点に特徴がある。
図19は本実施例に係る副電解槽40の分解斜視図、図20は同副電解槽40の横断面図、図21は同副電解槽40を主電解槽30に取付けた状態を示す側面図である。
図示するように、本副電解槽40は、一端開口の箱型の第1ケース40aと、同じく一端開口の箱型の第2ケース40bとを、シール用パッキン4bを介して水密状となるように開口同士を付き合せて構成したものであり、主電解槽30と類似した構成としている。4aは第1ケース40aと第2ケース40bとを連結する連結ビスである。
そして、図19において下側に位置する第1ケース40aの対向する面それぞれに、陽極室44への入水部となる第1入水口41aと陰極室45への入水部となる第2入水口41bとを突設する一方、図19において上側に位置する第2ケース40bの対向する面それぞれには、陽極室44からの出水部となる第1出水口42aと、陰極室45からの取水部となる第2取水口42bとをそれぞれ突設している。そして、この副電解槽40は、第1実施例同様に、図21に示すように主電解槽30の頂部において、略L字状に形成された前記第1入水口41a及び第2入水口41bとが、それぞれ前記主電解槽30の第1取水口39aと第2取水口39bとに直接着脱自在に連結するようになっている。この場合も第1実施例同様、主電解槽30と副電解槽40とを仮想中心軸線が直交する状態で全体が略L字状となるように取付けて、図18に示すように、ケーシング10内の空間を有効利用可能としている。
この副電解槽40の内部には、固体高分子電解質膜からなるイオン交換膜の表裏に白金メッキを施して金属導通層を形成した第1実施例同様の電気化学セル43を配設し、この電気化学セル43によって副電解槽40の内部を陽極室44と陰極室45とに区画しているが、ここでは、この電気化学セル43を2枚の挟持板48,48とでサンドイッチ状に挟持した状態で配設している。
この挟持板48は、中央をくり抜いた孔部48aを形成するとともに、この孔部48aの周囲を表裏面側それぞれにおいてパッキン48bで囲繞している。ここでは、挟持板48の突合せ面側のパッキン48bを反対面のパッキン48bよりも細くしている。
かかる挟持板48,48で挟持された状態で電気化学セル43を副電解槽40中に配設すると、前記パッキン48bを介して水が通水される通水領域と、水が通されない不通水領域とに区画されることになる。すなわち、図20に示すように、パッキン48bを境にして前記孔部48a側が通水領域となり、その反対側が不通水領域となる。
本実施例では、前記各挟持板48のパッキン48bの外側をなす不通水領域内に、縦長の端子収納溝48c,48cを前記孔部48aを挟んで対向状態に形成し、この端子収納溝48c中に、この溝48cと略同長さの端子構成ピン46を配設し、略矩形形状とした前記電気化学セル43の略長辺全長に亘って接触する電極端子となすとともに、端子構成ピン46の基端側を第1ケース40aから突出させている。図19中、46aは端子構成ピン46の基端に形成したネジ部であり、このネジ部46aにワッシャやナットなどの接続具46bを取付けてリード線接続部46cを形成している。
このように、端子構成ピン46を電気化学セル43の長辺側に沿って可及的に長く接触させるようにしたために、端子構成ピンが水に触れた場合に発生する端子部分及びその近傍へのスケール付着を防止することができ、副電解槽40における電解能力の低下を可及的に防止することができる。しかも、本実施例では、前記端子構成ピン46を不通水領域内に配設して、水に可及的に接触させないようにしているため、前記スケール付着をより効果的に防止することができる。したがって、副電解槽40における電解能力の低下をより確実に防止することができる。
ところで、本実施例では、電極端子を直線的な棒状の端子構成ピン46としたが、電気化学セル43の金属導通層との接触長さを可及的に長くしたものであればその形状などは何ら限定されるものではない。線状、板状、箔状など何でも良く、略矩形形状とした前記電気化学セル43に対して略L字状に配設したり、周縁面を囲繞するように配設したりしても構わない。
また、上記構成の副電解槽40においても、例えばアルカリ性水を取水するときは、図11に示すように、送水管12から主電解槽30に送られた原水は電気分解されて酸性水とアルカリ性水とが生成され、主電解槽30の陽極室32で生成された酸性水は、第1取水口39a→第1入水口41a→陽極室44→第1出水口42a→排水管12bと流れて排出される一方、主電解槽30の陰極室34で生成されたアルカリ性水は第2取水口39b→第2入水口41b→陰極室45→第2出水口42b→取水管19bと流れて飲用などに供することができる。
このとき、電気化学セル43に通電することにより、副電解槽40の陽極室44内では酸性水が電気分解され、第1実施例で示した反応式(1)で示すように、酸素と水素が発生し、電気化学セル43のイオン交換膜を介して水素イオンが陰極室45へと通過して、連続的に生成されるアルカリ性水中の溶存水素濃度を高めることができる。また、本実施例においても、副電解槽40の前記第1入水口41a及び第2入水口41bとを略L字状に形成し、陽極室44及び陰極室45内に浸入する水が前記電気化学セル43に対して直交方向に導水できる形状としているので、主電解槽30からの酸性水、アルカリ性水が前記陽極室44及び陰極室45内にそれぞれ至ると、各水は先ず電気化学セル43に衝突してその後向きを変えて第1出水口42a、第2出水口42bへと向かい、水と電気化学セル43とが確実に接触して電気分解が促進されるとともに、水素イオンがイオン交換膜を介して移動しやすくなって、アルカリ性水の溶存水素を十分に増加させることができる。さらに、前記陽極室44と陰極室45の内部空間が扁平形状なので、浸入した水が前記電気化学セル43表面に接触しながら流動することになり、水と電気化学セル43との接触面積、接触時間も十分となるので、前述した効果がより高められ、より効率良くアルカリ性水の溶存水素を十分に増加させることができる。
なお、上述してきた副電解槽40は、本実施例に限らず第1実施例など他の整水器1にも適用できる。