JP4407045B2 - 摩擦ローラ式変速機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、各種機械装置に組み込んで、減速或は増速しつつ回転運動を伝達する摩擦ローラ式変速機に関し、組立作業を容易に行なえる構造を実現するものである。
【0002】
【従来の技術】
摩擦ローラ式変速機は、遊星歯車式等の歯車式変速機に比べて、高速で運転した場合にも発生する騒音が小さい。この為、例えば摩擦ローラ式変速機を電動モータの出力部に組み付けて減速機として使用し、この電動モータの回転運動を減速すると共にトルクを増大させる構造が、例えば特開平8−210455号公報に記載されている。この公報等に記載された一般的な摩擦ローラ式変速機は、各ローラの周面同士の当接圧を、伝達すべきトルクの変動に拘らず、常に一定のままに保持している。この為、伝達効率が必ずしも良好とは言えない。良好な伝達効率を確保する為には、伝達すべきトルクが小さい場合には上記当接圧を低くし、反対に伝達すべきトルクが大きい場合には上記当接圧を高くする事が考えられる。
【0003】
この様に、伝達すべきトルクの大きさに応じて、各ローラの周面同士の当接圧を変化させる構造として、米国特許第4709589号明細書には、図5〜7に示す様な摩擦ローラ式変速機が記載されている。この従来の摩擦ローラ式変速機は、有底円筒状の本体1とこの本体1の基端開口部を塞ぐ蓋体2とから成る固定のハウジング3内に中心ローラ4の内半部(図5の右半部)を、上記蓋体2の略中央部に形成した通孔5を通じて挿入している。尚、この通孔5は、上記蓋体2の中心から、少しだけ外れた位置に設けている。又、上記中心ローラ4の外半部(図5の左半部)で上記蓋体2から突出した部分には、入力軸6の端部を結合固定している。
【0004】
又、上記ハウジング3の内側で上記中心ローラ4の周囲部分には、3本の枢軸7a、7b、7cを、それぞれこの中心ローラ4と平行に配置している。即ち、これら各枢軸7a、7b、7cの一端部(図5の左端部)を上記蓋体2に支持すると共に、他端部(図5の右端部)を連結板8に支持している。尚、これら3本の枢軸7a、7b、7cのうち、図6〜7の上部中央に位置する1本の枢軸7aは、その両端部を上記蓋体2及び連結板8に形成した嵌合孔28、28に圧入固定している。従って、この枢軸7aが、上記ハウジング3内で円周方向或は直径方向に変位する事はない。
【0005】
これに対して、図6〜7の下部左右両側に位置する残り2本の枢軸7b、7cは、両端部を上記蓋体2及び連結板8に対し、上記ハウジング3の円周方向及び直径方向に若干の変位自在に支持している。この為に、上記蓋体2及び連結板8の一部で上記枢軸7b、7cの両端部に整合する部分には、図7に示す様に、上記両枢軸7b、7cの外径よりも大きな内径を有する支持孔9、9を形成し、これら各支持孔9、9に、上記両枢軸7b、7cの両端部を緩く係合させている。そして、これら各枢軸7a、7b、7cの中間部周囲に、それぞれが中間ローラであるガイドローラ10及びウェッジローラ11a、11bを、それぞれラジアルニードル軸受12により、回転自在に支持している。尚、上記連結板8は、上記蓋体2の内面(上記ガイドローラ10及びウェッジローラ11a、11bを設置した空間側の面で、図5の右面)の一部で、上記ガイドローラ10及びウェッジローラ11a、11bから外れた位置に突設した突部13、13に突き当て、連結ボルト14、14により、上記蓋体2に連結固定している。
【0006】
又、上記ハウジング3の内側で上記ガイドローラ10及びウェッジローラ11a、11bを囲む部分には、円環状の外輪15を、回転自在に設けている。この外輪15の内周面中央部は直径方向内方に突出させる事により、土手状の凸部16とし、この凸部16の内周面を第二の円筒面17としている。そして、この第二の円筒面17と、上記ガイドローラ10及びウェッジローラ11a、11bの外周面である第三の円筒面18、18とを当接自在としている。又、上記外輪15には、結合ブラケット19の外径側端部を外嵌固定し、この結合ブラケット19の中心部に、出力軸20の内端部(図5の左端部)を結合固定している。この出力軸20は、前記ハウジング3を構成する本体1の中央部に形成した第二の通孔21を回転自在に挿通して、このハウジング3外に突出させている。
【0007】
上記ガイドローラ10及びウェッジローラ11a、11bの外周面である、上記各第三の円筒面18、18は、それぞれ前記中心ローラ4の外周面に設けた第一の円筒面22と、上記外輪15の内周面に設けた上記第二の円筒面17とに当接させている。上記中心ローラ4の中心と上記出力軸20及び外輪15の中心とは互いに偏心している。即ち、前述の様に、上記中心ローラ4を挿通する通孔5は、上記ハウジング3の中心から少しだけ外れた位置に設けているのに対して、上記出力軸20を挿通する第二の通孔21は、上記ハウジング3の中心に設けている。又、この第二の通孔21の内側に回転自在に支持した出力軸20と外輪15とは、互いに同心である。従って、上記中心ローラ4と上記外輪15及び出力軸20とは、上記通孔5のハウジング3の中心からのずれ量δ(図5参照)分だけ、互いに偏心している。そして、上記中心ローラ4の外周面に設けた上記第一の円筒面22と上記外輪15に設けた上記第二の円筒面17との間に存在して上記ガイドローラ10及びウェッジローラ11a、11bが設けられた環状空間23の幅寸法が、このδ分の偏心量に見合う分だけ、円周方向に関して不同になっている。
【0008】
この様に、上記環状空間23の幅寸法を円周方向に関して不同にした分、上記ガイドローラ10及びウェッジローラ11a、11bの外径を異ならせている。即ち、上記外輪15に対し中心ローラ4が偏心している側(図5〜7の下側)に位置するウェッジローラ11a、11bの径を、互いに同じとすると共に比較的小径にしている。これに対し、上記外輪15に対し中心ローラ4が偏心しているのと反対側(図5〜7の上側)に位置するガイドローラ10の径を、上記両ウェッジローラ11a、11bの径よりも大きくしている。そして、これら3個の、それぞれが中間ローラであるガイドローラ10及びウェッジローラ11a、11bの外周面である第三の円筒面18、18を、上記第一、第二の円筒面22、17に当接させている。
【0009】
尚、それぞれが中間ローラである、上記1個のガイドローラ10及び2個のウェッジローラ11a、11bのうち、ガイドローラ10を支持した枢軸7aは、前述の様に、上記ハウジング3内に固定している。これに対して、ウェッジローラ11a、11bを支持した枢軸7b、7cは、やはり前述した様に上記ハウジング3内に、円周方向及び直径方向に若干の変位を自在に支持している。従って、上記ウェッジローラ11a、11bも、上記ハウジング3内で円周方向及び直径方向に若干の変位自在である。そして、前記蓋体2のシリンダ孔24、24内に装着した圧縮コイルばね25、25等の圧縮ばねにより、上記各ウェッジローラ11a、11bを支持した枢軸7b、7cを、これら各枢軸7b、7cに回転自在に支持したウェッジローラ11a、11bを前記環状空間23の幅の狭い部分に向け移動させるべく、弾性的に押圧している。
【0010】
上述の様に構成される従来の摩擦ローラ式変速機の場合、前記入力軸6に結合した上記中心ローラ4の回転は、この中心ローラ4の外周面に設けた第一の円筒面22と、ガイドローラ10及びウェッジローラ11a、11bの外周面である第三の円筒面18、18との当接部である、各内径側当接部26、26を介して、これらガイドローラ10及び何れかのウェッジローラ11a、11bに伝わる。更に、これらガイドローラ10及び何れかのウェッジローラ11a、11bの回転は、上記各第三の円筒面18、18と前記外輪15の内周面に設けた第二の円筒面17との当接部である、各外径側当接部27、27を介して、この外輪15に伝わる。そして、この外輪15に結合固定した前記出力軸20が回転する。
【0011】
上記中心ローラ4が図6〜7の時計方向(又は反時計方向)に、外輪15が同じく反時計方向(又は時計方向)に、それぞれ回転すると、図6〜7の右側の枢軸7b(又は左側の枢軸7c)に回転自在に支持したウェッジローラ11a(又は11b)が、上記第一、第二の円筒面22、17同士の間に存在する環状空間23内で、この環状空間23の幅の狭い部分(図6〜7の下側中央部分)に向け移動する。一方、図6〜7の左側の枢軸7c(又は右側の枢軸7b)に回転自在に支持したウェッジローラ11b(又は11a)は、上記環状空間23内で、この環状空間23の幅の広い部分{図6〜7の左側中央部分(又は図6〜7の右側中央部分)}に向け移動する。この結果、上記右側の枢軸7b(又は左側の枢軸7c)に回転自在に支持したウェッジローラ11a(又は11b)の外周面である第三の円筒面18が、上記第一の円筒面22と第二の円筒面17とを強く押圧する。そして、当該ウェッジローラ11a(又は11b)に関する第三の円筒面18と上記第一の円筒面22との当接部である内径側当接部26、及び、当該ウェッジローラ11a(又は11b)に関する第三の円筒面18と上記第二の円筒面17との当接部である外径側当接部27の当接圧が高くなる。
【0012】
そして、当該ウェッジローラ11a(又は11b)に関する内径側、外径側両当接部26、27の当接圧が高くなると、上記中心ローラ4と外輪15とのうちの少なくとも一方の部材が、組み付け隙間、或は弾性変形等に基づき、それぞれの直径方向に関して僅かに変位する。この結果、ガイドローラ10の外周面である第三の円筒面18と上記中心ローラ4の外周面である第一の円筒面22との当接部である内径側当接部26、及び、このガイドローラ10の外周面である第三の円筒面18と上記外輪15の内周面である第二の円筒面17との当接部である外径側当接部27の当接圧が高くなる。
【0013】
上記右側の枢軸7b(又は左側の枢軸7c)に回転自在に支持したウェッジローラ11a(又は11b)を、上記環状空間23内でこの環状空間23の幅の狭い部分に向け移動させようとする力は、上記中心ローラ4から上記外輪15に伝達するトルクの大きさに応じて変化する。即ち、上記中心ローラ4の駆動トルクが大きくなる程、上記ウェッジローラ11a(又は11b)を上記環状空間23の幅の狭い部分に向け移動させようとする力が大きくなる。そして、この力が大きくなる程、上記各内径側、外径側両当接部26、27の当接圧が大きくなる。逆に言えば、上記駆動トルクが小さい場合には、これら各内径側、外径側両当接部26、27の当接圧が小さい。
【0014】
尚、上述した従来構造は、3個の中間ローラのうち、1個の中間ローラのみをガイドローラ10とし、残り2個の中間ローラをウェッジローラ11a、11bとしている。これに対して、3個の中間ローラのうちの2個の中間ローラをガイドローラとし、残り1個の中間ローラのみをウェッジローラとする構造も、従来から知られている。この様な構造を有する摩擦ローラ式変速機の場合には、一方向の回転力のみを伝達可能であり、逆方向の回転力に対しては内部で滑りが発生して、この回転力を伝達しない。言い換えれば、回転力の伝達を一方向のみ行なう、クラッチ機能を備える。
【0015】
又、図示の例の場合は、ウェッジローラ11a、11bを支持する各枢軸7b、7cの一端部(蓋体2側の端部)のみを、上記圧縮コイルばね25、25により直接押圧している。これに対して、図8に示す様に、蓋体2及び連結板8にシリンダ孔24、24をそれぞれ設け、これら各シリンダ孔24、24内に装着した圧縮コイルばね25、25により、上記枢軸7b(7c)の両端部を押圧する場合もある。又、上記枢軸7b(7c)の両端部を、押圧ピン29、29を介して押圧する場合もある。
【0016】
上述の様な従来の摩擦ローラ式変速機を組み立てる場合には、蓋体2と連結板8との結合作業を、次の様に行なう。先ず、これら蓋体2と連結板8とのうちの一方の部材(例えば、蓋体2)の嵌合孔28に、ガイドローラ10を支持する枢軸7aの一端部(図5の左端部)を内嵌する。次いで、この枢軸7aに、ラジアルニードル軸受12及び上記ガイドローラ10を外嵌する。一方、ウェッジローラ11a、11bは、ラジアルニードル軸受12と共に、枢軸7b、7cに予め外嵌しておく。又、圧縮コイルばね25、25を、シリンダ孔24、24内に装着しておく。そして、上記ウェッジローラ11a、11bを支持した枢軸7b、7cの両端部を、上記蓋体2及び連結板8の両支持孔9、9に整合させた状態で、これら蓋体2と連結板8とを近付ける。そして、上記ガイドローラ10を支持した枢軸7aの他端部(図5の右端部)を、これら蓋体2と連結板8とのうちの他方の部材(連結板8)の嵌合孔28に圧入すると共に、これら蓋体2と連結板8とを、連結ボルト14、14により連結固定する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上述の様に蓋体2と連結板8とを結合する際、通常は、図9に示す様に、一方の部材(例えば、連結板8に比べて外径及び軸方向の厚さの大きい蓋体2)を作業台30等の水平な場所に置き、他方の部材(連結板8)をこの一方の部材2の鉛直方向上側から下降させ(近付け)、これら蓋体2及び連結板8同士を結合する。この為、結合作業の際に上側になる部材(連結板8)に圧縮コイルばね25を装着する、前述の図8(及び上記図9)に示す様な構造の場合には、この上側の部材8を下降させる際に、この上側の部材8のシリンダ孔24から上記圧縮コイルばね25及び押圧ピン29が落下する可能性がある。又、この様に上側の部材8を下降させる際には、上記ウェッジローラ11a、11bを支持する枢軸5b、5cの端部を上記上側の部材8の両支持孔9、9に挿入すべく、上記押圧ピン29を上記圧縮コイルばね25の弾力に抗して変位させる必要もある。この為、これら圧縮コイルばね25及び押圧ピン29を治具や手等により支持しつつ上記結合作業を行なう必要があり、面倒である。
【0018】
又、上述の様に蓋体2と連結板8とを結合固定した後、ガイドローラ10及びウェッジローラ11a、11bの外側並びに内側に、外輪15及び中心ローラ4を組み付ける際、次の様な不都合が生じる可能性もある。即ち、これら外輪15及び中心ローラ4を組み付ける前の状態では、上記ウェッジローラ11a、11bを支持した上記枢軸7b、7cは、上記圧縮コイルばね25、25の弾力に基づいて、上記支持孔9、9内の端部で環状空間23のうちの幅が狭い部分に対応する部分(図8〜9の右端部)に移動する。この様に枢軸7b、7cが端部に移動した状態では、上記ガイドローラ10及びウェッジローラ11a、11bの外接円の直径は、上記外輪15の内周面(第二の円筒面17)の内径よりも大きくなり、同じく内接円の直径は、上記中心ローラ4の外周面(第一の円筒面22)の外径よりも小さくなる。この為、上記ガイドローラ10及びウェッジローラ11a、11bの外側並びに内側に上記外輪15及び中心ローラ4を取り付ける際、このウェッジローラー11a、11bを径方向内方及び外方に、上記圧縮コイルばね25、25の弾力に抗して変位させる必要がある。従来構造の場合には、この組み付け作業の際に、上記ウェッジローラ11a、11bを変位させなければならない量(長さ)が大きくなり、面倒である。この様に変位量が大きくなると、外輪15及び中心ローラ4を取り付ける際、これら外輪15の内周面17及び中心ローラ4の外周面22と上記ガイドローラ10及びウェッジローラ11a、11bの外周面(第三の円筒面18、18)とが擦れ合い易くなる。そして、擦れ合った場合には、これら各面17、18、22に擦り傷等の損傷が発生する可能性もある。この様な損傷は、運転時にこれら各面17、18、22に早期剥離等の新たな損傷を生じさせる可能性があり、これら各面17、18、19が早期に寿命に達する等、十分な耐久性を確保する事が難しくなる。
本発明は、この様な事情に鑑みて、組立作業が容易で、しかも、この組立作業時に中間ローラの外周面、外輪の内周面及び中心ローラの外周面を傷付きにくくできる摩擦ローラ式変速機を実現すべく発明したものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の摩擦ローラ式変速機は、前述した従来から知られている摩擦ローラ式変速機と同様に、ハウジングと、中心ローラと、外輪と、複数本の枢軸と、複数個の中間ローラとを備える。
このうちのハウジングは、円筒状の内周面を有する本体及びこの本体の開口端部を塞ぐ状態でこの本体に結合固定された蓋体から成る。
又、上記中心ローラは、上記ハウジングに対し回転自在に設けられ、その外周面を第一の円筒面としている。
又、上記外輪は、その内周面を第二の円筒面として上記中心ローラの外周面と上記本体の内周面との間に、これら中心ローラ及び本体に対する相対回転を自在に設けられている。
又、上記各枢軸は、上記蓋体とこの蓋体に対し平行に結合固定された連結板とにそれぞれの両端部を支持された状態で上記第一の円筒面と上記第二の円筒面との間の環状空間内に、上記中心ローラと平行に配置されている。
上記各中間ローラは、上記各枢軸により回転自在に支持され、それぞれの外周面を第三の円筒面としている。
そして、上記中心ローラの中心と上記外輪の中心とを偏心させる事により、上記環状空間の幅寸法を円周方向に関して不同にしている。
又、上記複数個の中間ローラのうちの少なくとも1個の中間ローラを、少なくとも上記環状空間の円周方向に変位自在に支持してウェッジローラとし、圧縮ばねによりこのウェッジローラを、上記環状空間のうちで幅の狭い部分に弾性的に押圧している。
これと共に、残りの中間ローラをガイドローラとしている。
そして、上記中心ローラ及び外輪が所定方向に所定の速度比で回転した場合に、上記ウェッジローラとなる少なくとも1個の中間ローラを、上記環状空間の幅の狭い部分に向け移動自在としている。
【0020】
特に、本発明の摩擦ローラ式変速機は、上記ウェッジローラとなる中間ローラを回転自在に支持する枢軸の端部は、上記蓋体と連結板との互いに整合する部分に設けられた支持孔に、上記環状空間の円周方向への変位自在に緩く係合した状態で、上記圧縮ばねによりこの環状空間のうちで幅の狭い部分に向け弾性的に押圧されている。そして、上記支持孔に上記枢軸の端部を挿入する前の状態で、上記蓋体と連結板とのうちの少なくとも一方の部材に装着する上記圧縮ばねを、この圧縮ばねを装着するシリンダ孔内に収縮した状態で装着可能とすべく、このシリンダ孔に上記圧縮ばねの伸長を阻止する、段部等の係止部を設けている。
【0021】
又、好ましくは、上記シリンダ孔内に上記圧縮ばねを装着した状態で、この圧縮ばねを更に収縮させる事なく上記支持孔内に上記枢軸の端部を挿入自在となる様に、且つ、上記各中間ローラの外周面を外輪の内周面及び中心ローラの外周面に当接させた状態で、上記ウェッジローラとなる中間ローラを上記圧縮ばねにより環状空間のうちで幅の狭い部分に向け弾性的に押圧自在となる様に、上記シリンダ孔に設ける上記段部等の係止部の位置を規制する。
【0022】
【作用】
上述の様に構成する本発明の摩擦ローラ式変速機によれば、組立作業の容易化を図れる。即ち、蓋体と連結板とのうちの少なくとも一方の部材に装着する圧縮ばねを、この圧縮ばねを装着するシリンダ孔内に収縮した状態で装着可能としている為、上記蓋体と連結板との結合作業の際に、上記一方の部材を他方の部材の鉛直方向上側から近付け(下降させ)た場合でも、上記圧縮ばねが上記シリンダ孔内から落下する事はない。この為、この様に蓋体と連結板とを近付ける際に、上記圧縮ばねを治具や手等により抑える様な面倒な作業を行なう必要がなく、これら蓋体と連結板との結合作業を容易に行なえる。
【0023】
又、上記シリンダ孔内に上記圧縮ばねを装着した状態で、支持孔内に枢軸の端部を、この圧縮ばねを更に収縮させる事なく挿入自在となる様に、段部等の係止部を設ける位置を規制すれば、上記蓋体と連結板との結合作業がより容易に行なえる。即ち、上記係止部により上記圧縮ばねの伸長を阻止した状態で、しかも、この状態からこの圧縮ばねを更に収縮する事なく、上記支持孔内に上記枢軸の端部を挿入できれば、上記圧縮ばねを弾性力に抗して収縮させつつ、上記支持孔に上記枢軸の端部を挿入する必要がなくなる。この為、この枢軸の端部を上記支持孔に整合させつつ上記蓋体と連結板とを近付ける作業が容易になる。
【0024】
又、複数個の中間ローラの外周面を外輪の内周面及び中心ローラの外周面に当接させた状態で、上記ウェッジローラとなる中間ローラを上記圧縮ばねにより環状空間のうちで幅の狭い部分に向け弾性的に押圧自在となる様に、上記係止部を設ける位置を規制すれば、組み立て完了後の状態で、上記ウェッジローラとなる中間ローラに所定の押圧力(初期予圧)を付与する事ができる。即ち、運転時に上記圧縮ばねの伸長が上記係止部によって阻止されて、この圧縮ばねによる上記押圧力が喪失する事を防止できる。この為、上記係止部を設けた場合でも、上記ウェッジローラとなる中間ローラが所定方向の回転力を伝達しなくなる事を防止でき、摩擦ローラ式変速機の挙動が不安定になる事はない。
【0025】
又、上記圧縮ばねの伸長を上記係止部によって阻止する為、この圧縮ばねの弾力に基づいて上記ウェッジローラを支持する枢軸が、上記支持孔内で環状空間のうちの幅が狭い部分に対応する端部まで移動する事を防止できる。言い換えれば、上記各中間ローラの外側並びに内側に上記外輪及び中心ローラを組み付ける際に、上記ウェッジローラとなる中間ローラを上記圧縮ばねの弾力に抗して変位させる距離が小さくなり、この組み付け作業が容易になる。しかも、この組み付け作業が容易になる事により、上記中間ローラの外周面、外輪の内周面及び中心ローラの外周面に傷が付く可能性が低減し、これら各面の耐久性も確保し易くなる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1〜3は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、図示の例は、3個の中間ローラのうちの2個の中間ローラをガイドローラ10a、10bとし、残り1個の中間ローラのみをウェッジローラ11とする事により、摩擦ローラ式変速機に一方向クラッチの機能を持たせた構造で、本発明を実施した場合に就いて示している。
【0027】
本例の摩擦ローラ式変速機も、前述した従来構造の場合と同様に、鋼或はアルミニウム合金製で有底円筒状の本体1aと、この本体1aの基端開口部を塞ぐ、鋼製の蓋体2aとから成る、固定のハウジング3aを有する。そして、このハウジング3a内に中心ローラ4aの内半部(図1の右半部)を、上記蓋体2aの略中央部に形成した通孔5aを通じて挿入している。図示の例では、この通孔5aの内側に上記中心ローラ4aを、玉軸受31により回転自在に支持している。尚、この通孔5aは、上記蓋体2aの略中央部で、上記ハウジング3a(の本体1a)の中心から少しだけ外れた位置となる部分に設けている。又、上記中心ローラ4aの外端部(図1の左端部)には、図示しない電動モータの回転軸を構成する駆動軸32を、この中心ローラ4aと一体に設けている。
【0028】
又、上記ハウジング3aの内側で上記中心ローラ4aの周囲部分には、3本の枢軸7a、7b、7cを、それぞれこの中心ローラ4aと平行に配置している。即ち、これら各枢軸7a、7b、7cの一端部(図1の左端部)を上記蓋体2aに支持すると共に、他端部(図1の右端部)を連結板8aに支持している。尚、これら各枢軸7a、7b、7cのうち、図2の上部中央並びに下部右側に位置する2本の枢軸7a、7bは、その両端部を上記蓋体2a及び連結板8aに形成した嵌合孔28、28に圧入固定している。従って、これら両枢軸7a、7bが、上記ハウジング3a内で円周方向或は直径方向に変位する事はない。これに対して、図2の下部左側に位置する残り1本の枢軸7cは、両端部を上記蓋体2a及び連結板8aに対し、上記ハウジング3aの円周方向及び直径方向に関して若干の変位自在に支持している。この為に、上記蓋体2a及び連結板8aの一部で上記枢軸7cの両端部に整合する部分には、この枢軸7cの外径よりも大きな幅及び長さを有する支持孔9a、9aを形成し、これら各支持孔9a、9aに、上記枢軸7cの両端部を緩く係合させている。
【0029】
そして、これら各枢軸7a、7b、7cの中間部周囲に、それぞれが中間ローラであるガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11を、それぞれラジアルニードル軸受12により、回転自在に支持している。尚、上記連結板8aは、上記蓋体2aの内面(上記ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11を設置した空間側の面で、図1の右面)の一部で、上記ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11から外れた位置に突設した突部13、13に突き当てた状態で、連結ボルト14、14により、上記蓋体2aに連結固定している。又、上記ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11の軸方向両端面と上記連結板8a及び蓋体2aとの間には、それぞれワッシャ33、33を設けて、これら各中間ローラ10a、10b、11の回転が円滑に行なわれる様にしている。
【0030】
又、上記ハウジング3aの内側で上記ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11を囲む部分には、有底円筒状の外輪15aを設け、この外輪15aの内周面を、第二の円筒面17としている。そして、この第二の円筒面17と、上記ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11の外周面である第三の円筒面18、18とを、当接自在としている。又、上記外輪15aの底板部34の外面(図1の右面)中央部には、出力軸20aの内端部(図1の左端部)を結合している。この出力軸20aは、前記ハウジング3aを構成する本体1aの中央部に形成した支持筒部35の内側に挿通し、この支持筒部35の内側に上記出力軸20aを、深溝型の玉軸受36により回転自在に支持している。
【0031】
又、上記各ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11の外周面である、上記各第三の円筒面18、18は、それぞれ前記中心ローラ4aの外周面に設けた第一の円筒面22と、上記外輪15aの内周面に設けた上記第二の円筒面17とに当接させている。上記中心ローラ4aの中心と上記出力軸20a及び外輪15aの中心とは互いに偏心している。即ち、前述の様に、上記中心ローラ4aを挿通する通孔5aは、上記ハウジング3aの中心から少しだけ外れた位置に設けているのに対して、上記出力軸20aを挿通する支持筒部35は、上記ハウジング3aの中心に設けている。又、この支持筒部35の内側に回転自在に支持した出力軸20aと外輪15aとは、互いに同心である。従って、上記中心ローラ4aと上記外輪15a及び出力軸20aとは、上記通孔5aのハウジング3aの中心からのずれ量δ(図1参照)分だけ、互いに偏心している。そして、上記中心ローラ4aの外周面に設けた上記第一の円筒面22と上記外輪15aに設けた上記第二の円筒面17との間に存在して上記ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11が設けられた環状空間23の幅寸法が、上記δ分の偏心量に見合う分だけ、円周方向に関して不同になっている。
【0032】
この様に、上記環状空間23の幅寸法を円周方向に関して不同にした分、上記ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11の外径を異ならせている。即ち、上記外輪15aに対し中心ローラ4aが偏心している側(図1〜2の下側)に位置するガイドローラ10b及びウェッジローラ11の径を、互いに同じとすると共に比較的小径にしている。これに対して、上記外輪15aに対し中心ローラ4aが偏心しているのと反対側(図1〜2の上側)に位置するガイドローラ10aの径を、上記ガイドローラ10b及びウェッジローラ11よりも大きくしている。そして、これら3個の、それぞれが中間ローラであるガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11の外周面である第三の円筒面18、18を、上記第一、第二の円筒面22、17に当接させている。
【0033】
尚、それぞれが中間ローラである、上記2個のガイドローラ10a、10b及び1個のウェッジローラ11のうち、両ガイドローラ10a、10bを支持した枢軸7a、7bは、前述の様に、上記ハウジング3a内に固定している。これに対して、ウェッジローラ11を支持した枢軸7cは、やはり前述した様に上記ハウジング3a内に、円周方向及び直径方向に関する若干の変位を自在に支持している。従って、上記ウェッジローラ11も、上記ハウジング3a内で円周方向及び直径方向に関して若干の変位自在である。そして、前記蓋体2a及び連結板8aのシリンダ孔24a、24a内に装着した圧縮コイルばね25、25等の圧縮ばねにより、上記ウェッジローラ11を支持した枢軸7cを、この枢軸7cに回転自在に支持したウェッジローラ11を前記環状空間23の幅の狭い部分に向け移動させるべく、弾性的に押圧している。図示の例では、上記圧縮コイルばね25、25により、それぞれの先端部(図2の右下端部)に外向フランジ状の鍔部37を形成した押圧ピン29、29を押圧し、これら両押圧ピン29、29により、上記枢軸7cの両端部を同方向に押圧している。
【0034】
又、本例の場合、上記蓋体2aと連結板8aとの結合作業を容易にすべく、図4に示す様に、前記各支持孔9a、9aに上記枢軸7cの両端部を挿入する前の状態で、これら蓋体2a及び連結板8aに装着する上記圧縮コイルばね25、25を、上記各シリンダ孔24a、24a内に収縮させた状態で装着可能としている。この為に、これら各シリンダ孔24a、24aの途中に、上記圧縮コイルばね25、25の伸長を阻止する係止部である段部38、38を、これら各シリンダ孔24a、24aの深さを上記各支持孔9a、9aの深さよりも大きくする事により設けている。そして、上記各シリンダ孔24a、24aの一端面(環状空間23の幅が広い側の端面で、図3〜4の左端面)から上記段部38、38までの長さaを、上記圧縮コイルばね25の自由状態での長さと上記押圧ピン29の鍔部37の軸方向長さとを足した値よりも、小さくしている。
【0035】
又、上記各シリンダ孔24a、24a内に上記圧縮コイルばね25、25を装着した状態で、これら各圧縮コイルばね25、25を更に収縮する事なく、上記各支持孔9a、9a内に上記枢軸7cの両端部を挿入自在となる様に、上記段部38、38を設ける位置を規制している。即ち、上記各支持孔9a、9aの他端面(環状空間23の幅が狹い側の端面で、図3〜4の右端面)から上記段部38、38までの長さbを、上記枢軸7cの外径cよりも大きく(b>c)している。
【0036】
又、上記ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11の外周面(第三の円筒面18、18)を前記外輪15aの内周面(第二の円筒面17)及び中心ローラ4aの外周面(第一の円筒面22)に当接させた状態で、上記ウェッジローラ11を上記圧縮コイルばね25、25により環状空間23のうちで幅の狭い部分に向け弾性的に押圧自在となる様に、上記段部38、38を設ける位置を規制している。即ち、上記ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11の外側並びに内側に、上記外輪15a及び中心ローラ4aを組み付けた状態で、上記各シリンダ孔24a、24aの一端面(環状空間23の幅が広い側の端面で、図3〜4の左端面)から上記押圧ピン29の鍔部37側の端面までの長さdを、上記長さaよりも小さくしている。
【0037】
以上に述べた様に構成する本発明の摩擦ローラ式変速機の場合、前記駆動軸32と一体に設けた前記中心ローラ4aの回転は、この中心ローラ4aの外周面に設けた第一の円筒面22と、ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11の外周面である第三の円筒面18、18との当接部である、各内径側当接部26、26を介して、上記各ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11に伝わる。更に、これらガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11の回転は、上記各第三の円筒面18、18と前記外輪15aの内周面に設けた第二の円筒面17との当接部である、各外径側当接部27、27を介して、上記外輪15aに伝わる。そして、この外輪15aに結合した前記出力軸20aが、上記中心ローラ4aとは逆方向に回転駆動される。
【0038】
上記駆動軸32より上記出力軸20aを回転駆動すべく、上記中心ローラ4aが図2の反時計方向に回転すると、ウェッジローラ11が、この中心ローラ4aから加わる力と前記各圧縮コイルばね25の弾力とにより、上記第一、第二の円筒面22、17の間に存在する環状空間23内で、この環状空間23の幅の狭い部分(図2の下側中央部分)に向け移動する。この結果、上記ウェッジローラ11の外周面である第三の円筒面18が、上記第一の円筒面22と第二の円筒面17とを強く押圧する。そして、このウェッジローラ11に関する第三の円筒面18と上記第一の円筒面22との当接部である内径側当接部26、及び、上記ウェッジローラ11に関する第三の円筒面18と上記第二の円筒面17との当接部である外径側当接部27の当接圧が高くなる。
【0039】
上記ウェッジローラ11に関する内径側、外径側両当接部26、27の当接圧が高くなると、上記中心ローラ4aと外輪15aとのうちの少なくとも一方の部材が、組み付け隙間、或は弾性変形等に基づき、それぞれの直径方向に関して僅かに変位する。この結果、残り2個の中間ローラであるガイドローラ10a、10bの外周面である第三の円筒面18、18と上記中心ローラ4aの外周面に設けた第一の円筒面22との当接部である2個所の内径側当接部26、26、及びこれらガイドローラ10a、10bの外周面である第三の円筒面18、18と上記外輪15aの内周面に設けた第二の円筒面17との当接部である2個所の外径側当接部27、27の当接圧が高くなる。そして、上記外輪15a及び上記出力軸20aが、図2の時計方向に回転する。尚、この状態では、上記ウェッジローラ11を支持した前記枢軸7cと、前記各押圧ピン29、29の先端部に形成した鍔部37、37とが離隔しても差し支えない。
【0040】
上記ウェッジローラ11を、上記環状空間23内でこの環状空間23の幅の狭い部分に向け移動させようとする力は、上記中心ローラ4aから上記外輪15aに伝達するトルクの大きさに応じて変化する。即ち、上記中心ローラ4aの駆動トルクが大きくなる程、上記ウェッジローラ11を上記環状空間23の幅の狭い部分に向け移動させようとする力が大きくなる。そして、この力が大きくなる程、上記各内径側、外径側両当接部26、27の当接圧が大きくなる。逆に言えば、上記駆動トルクが小さい場合には、これら各内径側、外径側両当接部26、27の当接圧が小さい。この為、上記各内径側、外径側両当接部26、27の当接圧を、前記駆動軸32と前記出力軸20aとの間で伝達すべきトルクの大きさに応じた適正値にできて、摩擦ローラ式変速機の伝達効率を高くできる。この状態では、クラッチ機構がONとなる。
【0041】
一方、上記駆動軸32が停止した状態のまま、上記外輪15aが、図2の時計方向に回転する等、前記出力軸20aの回転速度が上記駆動軸32の回転速度に見合う速度よりも速くなる様な場合には、上記ウェッジローラ11が、上記外輪15aから加わる力により、前記各圧縮コイルばね25、25の弾力に抗し、上記環状空間23内で、この環状空間23の幅の広い部分(図2の左側中央部分)に向け移動する。この結果、上記ウェッジローラ11の外周面である第三の円筒面18が、上記第一の円筒面22と第二の円筒面17とを押圧しなくなる。そして、このウェッジローラ11並びに前記各ガイドローラ10a、10bに関する第三の円筒面18、18と上記第一の円筒面22との当接部である内径側当接部26、26、及び、上記ウェッジローラ11並びに前記各ガイドローラ10a、10bに関する第三の円筒面18、18と上記第二の円筒面17との当接部である外径側当接部27、27の当接圧が、低下若しくは喪失する。この結果、上記外輪15aの回転が上記駆動軸32にまで伝達されなくなる。この状態では、クラッチ機構がOFFとなる。
【0042】
更に本例の場合には、摩擦ローラ式変速機の組み立てを容易に行なえる。即ち、前記蓋体2a及び連結板8aに装着する圧縮コイルばね25、25を、この圧縮コイルばね25、25を装着する各シリンダ孔24a、24a内に収縮した状態で装着可能としている為、上記蓋体2aと連結板8aとの結合作業の際に、この連結板8a(又は蓋体2a)を蓋体2a(又は連結板8a)の鉛直方向上側から下降させた場合でも、上記圧縮コイルばね25が上記シリンダ孔24a内から落下する事はない。この為、この様に蓋体2aと連結板8aとを近付ける際に、上記圧縮コイルばね25及び押圧ピン29を治具や手等により抑える様な面倒な作業を行なう必要がなく、これら蓋体2aと連結板8aとの結合作業を容易に行なえる。
【0043】
しかも、上記各シリンダ孔24a、24a内に上記圧縮コイルばね25、25を装着した状態で、前記支持孔9a、9a内に前記枢軸7cの端部を、この圧縮コイルばね25、25を更に収縮させる事なく挿入自在となる様に、上記段部38、38を設ける位置を規制している為、上記蓋体2aと連結板8aとの結合作業をより容易に行なえる。即ち、上記各段部38、38により上記圧縮コイルばね25、25の伸長を阻止した状態で、しかも、この状態からこの圧縮コイルばね25、25を更に収縮する事なく、上記各支持孔9a、9a内に上記枢軸7cの両端部を挿入できれば、上記圧縮コイルばね25、25を弾性力に抗して収縮させつつ、上記各支持孔9a、9aに上記枢軸7cの両端部を挿入する必要がなくなる。この為、この枢軸7cの両端部を上記各支持孔9a、9aに整合させつつ上記蓋体2aと連結板8aとを近付ける作業が容易になる。尚、組み立て時には、上記枢軸7cを上記各支持孔9a、9aの端部に挿入した後、前記ウェッジローラ11を上記各圧縮コイルばね25、25により押圧しつつ、このウェッジローラ11及び前記各ガイドローラ11a、11bの周囲に、前記外輪15aを被せる(外嵌する)。
【0044】
この様にして摩擦ローラ式変速機を組み立て、上記ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11の外周面を外輪15aの内周面及び中心ローラ4aの外周面に当接させた状態で、上記ウェッジローラ11を上記圧縮コイルばね25、25により環状空間23のうちで幅の狭い部分に向け弾性的に押圧自在となる様に、上記段部38、38を設ける位置を規制している。従って、組み立て完了後の状態では、上記ウェッジローラ11に所定の押圧力(初期予圧)が付与される。そして、運転時に上記圧縮コイルばね25、25の伸長が上記段部38、38によって阻止されて、この圧縮コイルばね25、25による上記押圧力が喪失する事を防止する。この為、上記段部38、38を設けた場合でも、上記ウェッジローラ11が所定方向の回転力を伝達しなくなる事を防止でき、摩擦ローラ式変速機の挙動が不安定になる事はない。動力伝達開始後に上記各圧縮コイルばね25、25の弾力が上記ウェッジローラ11に伝達されなくなっても構わない事は、前述の通りである。
【0045】
又、上記圧縮コイルばね25、25の伸長を上記段部38、38によって阻止する為、この圧縮コイルばね25、25の弾力に基づいて上記ウェッジローラ11を支持する枢軸7cが、上記各支持孔9a、9a内で環状空間23のうちの幅が狭い部分に対応する端部まで移動する事を防止できる。従って、上記ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11の外側並びに内側に上記外輪15a及び中心ローラ4aを組み付ける際に、上記ウェッジローラ11を上記圧縮コイルばね25、25の弾力に抗して変位させなければならない距離が小さくなり、この組み付け作業が容易になる。しかも、この組み付け作業が容易になる事により、上記ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11の外周面、外輪15aの内周面及び中心ローラ4aの外周面に傷が付く可能性が低減し、これら各面の耐久性を確保し易くなる。
【0046】
尚、本例の場合は、蓋体2a及び連結板8aの各シリンダ孔24a、24aに、係止部である段部38、38をそれぞれ設けているが、このうちの連結板8aのシリンダ孔24aにのみ、上記段部38を設けても良い。即ち、上記蓋体2aと連結板8aとを結合する際に、少なくとも鉛直方向上側となる部材のシリンダ孔に、上記段部を設ければ、上述の様な作用に基づく組み立て作業の容易化の少なくとも一部を図れる。又、ウェッジローラを支持する枢軸の一端部のみを圧縮コイルばねで押圧する構造(前述の図5〜7に示した従来構造)の場合でも、組立時に圧縮コイルばねを装着する部材が鉛直方向上側となる場合には、この上側となる部材のシリンダ孔に上記段部を設ける。但し、組立時に圧縮コイルばねを装着する部材が鉛直方向下側となる場合でも、この下側となる部材のシリンダ孔に上記段部を設け、外輪及び中心ローラの組み付け作業の容易化を図っても良い。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成し作用する為、組立作業が容易で、優れた耐久性を有する摩擦ローラ式変速機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図2のB−B断面図。
【図4】結合前の蓋体と連結板とを示す、図3と同様の図。
【図5】従来構造の第1例を示す断面図。
【図6】図5のC−C断面図。
【図7】同D−D断面図。
【図8】従来構造の第2例を示す、図7のE−E断面に相当する図。
【図9】結合前の蓋体と連結板とを示す、図8と同様の図。
【符号の説明】
1、1a 本体
2、2a 蓋体
3、3a ハウジング
4、4a 中心ローラ
5、5a 通孔
6 入力軸
7a、7b、7c 枢軸
8、8a 連結板
9、9a 支持孔
10、10a、10b ガイドローラ
11、11a、11b ウェッジローラ
12 ラジアルニードル軸受
13 突部
14 連結ボルト
15、15a 外輪
16 凸部
17 第二の円筒面
18 第三の円筒面
19 結合ブラケット
20、20a 出力軸
21 第二の通孔
22 第一の円筒面
23 環状空間
24、24a シリンダ孔
25 圧縮コイルばね
26 内径側当接部
27 外径側当接部
28 嵌合孔
29 押圧ピン
30 作業台
31 玉軸受
32 駆動軸
33 ワッシャ
34 底板部
35 支持筒部
36 玉軸受
37 鍔部
38 段部

Claims (2)

  1. 円筒状の内周面を有する本体及びこの本体の開口端部を塞ぐ状態でこの本体に結合固定された蓋体から成るハウジングと、このハウジングに対し回転自在に設けられ、その外周面を第一の円筒面とした中心ローラと、その内周面を第二の円筒面としてこの中心ローラの外周面と上記本体の内周面との間に、これら中心ローラ及び本体に対する相対回転を自在に設けられた外輪と、上記蓋体とこの蓋体に対し平行に結合固定された連結板とにそれぞれの両端部を支持された状態で上記第一の円筒面と上記第二の円筒面との間の環状空間内に、上記中心ローラと平行に配置された複数本の枢軸と、これら各枢軸により回転自在に支持され、それぞれの外周面を第三の円筒面とした複数個の中間ローラとを備え、上記中心ローラの中心と上記外輪の中心とを偏心させる事により、上記環状空間の幅寸法を円周方向に関して不同にし、上記複数個の中間ローラのうちの少なくとも1個の中間ローラを、少なくとも上記環状空間の円周方向に変位自在に支持してウェッジローラとし、圧縮ばねによりこのウェッジローラを、上記環状空間のうちで幅の狭い部分に弾性的に押圧すると共に、残りの中間ローラをガイドローラとする事により、上記中心ローラ及び外輪が所定方向に所定の速度比で回転した場合に、上記ウェッジローラとなる少なくとも1個の中間ローラを、上記環状空間の幅の狭い部分に向け移動自在とした摩擦ローラ式変速機に於いて、上記ウェッジローラとなる中間ローラを回転自在に支持する枢軸の端部は、上記蓋体と連結板との互いに整合する部分に設けられた支持孔に、上記環状空間の円周方向への変位自在に緩く係合した状態で、上記圧縮ばねによりこの環状空間のうちで幅の狭い部分に向け弾性的に押圧されており、この支持孔に上記枢軸の端部を挿入する前の状態で、上記蓋体と連結板とのうちの少なくとも一方の部材に装着する上記圧縮ばねを、この圧縮ばねを装着するシリンダ孔内に収縮させた状態で装着可能とすべく、このシリンダ孔に上記圧縮ばねの伸長を阻止する係止部を設けている事を特徴とする摩擦ローラ式変速機。
  2. シリンダ孔内に圧縮ばねを装着した状態で、この圧縮ばねを更に収縮させる事なく支持孔内に枢軸の端部を挿入自在となる様に、且つ、複数個の中間ローラの外周面を外輪の内周面及び中心ローラの外周面に当接させた状態で、ウェッジローラとなる中間ローラを上記圧縮ばねにより環状空間のうちで幅の狭い部分に向け弾性的に押圧自在となる様に、上記シリンダ孔に設ける係止部の位置を規制した、請求項1に記載した摩擦ローラ式変速機。
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