JP4405016B2 - みりんの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はみりんの製造方法、詳しくは、みりん製造原料の仕込み液に所定量の糖含有液を添加することによって着色の原因となるアミノ酸生成を抑え、経時的な濃色変化が少ないみりん、特に非増醸みりんを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からのみりんの基本的な製造方法としては、まず、浸漬した原料米(もち米) を蒸した蒸し米と米麹とを混合したものを、焼酎又はアルコールに加えて調製した仕込み液を発酵熟成させ、原料米中の成分を分解溶出させて「みりん醪」とし、次に、これを圧搾して得られた圧搾液に火入れ、滓下げ処理を施して製品とする方法がある。このような製造方法で製造されたみりんは、一般には、みりん100ml中の米使用量が45g以上で、エキス分が40w/v%以上となる。
【0003】
一方、上記と同様にして得られた「みりん醪」に、水飴(澱粉加水分解物)などの糖液と焼酎又はアルコールとを加えて3倍量までの範囲で増量し、これを圧搾し、得られた圧搾液に火入れ、滓下げ処理を施して製品とする方法も知られている。この製造方法で製造されたみりんは、エキス分は40w/v%以上であるが、100ml中の米使用量は45g以下と増醸しないみりんより低くなっている。
【0004】
本発明においては、後者の水飴などの糖液をみりん醪に加えて増量して製造したみりんを増醸みりんと呼び、これに対して水飴などをみりん醪に加えないで製造した前者のみりんを非増醸みりんと呼ぶ。
【0005】
みりんの糖分は、増醸みりん及び非増醸みりん共に100ml中に40〜50g(以下、100ml中のg数をw/v%と表記)とほぼ一定であるが、糖分とともにみりんの味覚成分として重要な働きをしている蛋白質分解物、なかでもアミノ酸については両者で差があり、増醸みりんのアミノ酸濃度は100ml中に100〜200mg(以下、100ml中のmg数をmg%と表記)であるのに対して、非増醸みりんでは250〜500mg%と高濃度となっている〔ただし、ここでいう増醸みりんとは水飴などの糖液(アルコール含有)のみを使用するものであって、旨み付与のためにグルタミン酸等のアミノ酸やコハク酸等の有機酸を添加しているものは含まない。〕。
【0006】
このように糖分とアミノ酸はみりんの味にとって重要な成分であり、これらの糖分とアミノ酸が共存することによってみりん固有の香気成分なども生成され、みりんの味や香りの形成にとって必須の反応が起こることになる。その一方で、糖分とアミノ酸が共存することによって着色物質が生成され、みりんの褐変化が進むことから、これらの成分が多量に存在する場合は、みりんの色が濃くなり商品価値を著しく損なうという問題が生じる。特に、非増醸みりんの場合、上述したように、アミノ酸濃度が増醸みりんよりも高濃度であるから着色度が大きく、従来から着色防止が品質上大きな課題となっていた。また、製品完成時の着色度のみならず、その後の着色の経時変化(着色速度)が大きいと、消費者に対して異なる品質のみりんであるとの印象を与えるので好ましくない。
【0007】
アミノ酸は、原料米であるもち米に含まれる蛋白質が米麹中の蛋白質分解酵素や添加した蛋白分解酵素製剤により分解されて生成されるので、米麹及び蛋白質分解酵素製剤の使用量を減らせば当然アミノ酸生成量は減少し、みりんのアミノ酸濃度も低くなる。また、分解時間(発酵熟成期間)を短くしたり、低温で発酵熟成したりしてもアミノ酸生成量は減少する。しかしながら、これらの手段によってアミノ酸濃度を低くしても、弊害として圧搾が困難になったり、未熟臭があったりして、品質の劣化を招くことになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、着色の原因となるアミノ酸の生成を抑制したみりん、特に非増醸みりんの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、アミノ酸濃度が高ければ着色度が大きくなること、また原料の仕込み液のブドウ糖濃度と発酵熟成後のアミノ酸濃度に相関性があることに着目し、ブドウ糖濃度が所定範囲になるよう調整した仕込み液を発酵熟成させれば、その発酵熟成中のアミノ酸生成が顕著に抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、原料米、米麹、及び焼酎又はアルコールを含んでなる仕込み液に、ブドウ糖濃度が5w/v%以上10w/v%以下となる量の糖含有液を添加し、発酵熟成させることを特徴とする、みりんの製造方法である。
【0011】
本発明はまた、上記の製造方法によって得られたみりん100ml中の米使用量が45g以上で、エキス分が40w/v%以上であり、かつアミノ酸含有量が100〜200mg%であることを特徴とする、みりんである。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する原料米、米麹、焼酎又はアルコール等の原料については通常のみりん製造に用いられるものであればよく特に制限はないが、一般的には、原料米としてはもち米を用い、15〜18%搗減の白米とする。米麹は、うるち米を蒸した蒸し米に種麹を接種し、製麹することにより得る。うるち米は、15〜18%搗減の白米とする。また、焼酎は、いわゆる乙類焼酎が用いられる。アルコールとしては、具体的にはアルコール濃度が40〜95%程度のものであればよく、いわゆる醸造用アルコールが用いられる。
【0013】
さらに、原料米や米麹の使用量が変化した場合には、それに応じて酵素製剤((糖化酵素製剤や蛋白質分解酵素製剤)などの添加量を調整すれば良く、それぞれの場合において最適な組み合わせを見つけることができる。 酵素製剤については、後記実施例で使用したものに関わらず、各製造メーカーの各種酵素製剤のほとんどのものが使用できる。
【0014】
みりんは、通常、蒸したもち米、米麹、焼酎又はアルコール等を混合し、1〜2カ月発酵熟成させ、得られたみりん醪を圧搾、濾過して製造されるが、この正規のみりん(非増醸みりん)が熟成したころに水飴、ブドウ糖などの糖液、焼酎又はアルコールを加えて増量して増醸みりんとする方法もある。
【0015】
本発明方法は、みりん、特には前者の非増醸みりんの従来からの製造方法において、原料を仕込む際に、仕込み液中のブドウ糖濃度が5w/v%以上10w/v%以下となる量の糖含有液を添加する。
【0016】
本発明においては、仕込み液中のブドウ糖濃度を上記の範囲にするために、ブドウ糖自体、又はブドウ糖含有糖液などを添加してもよいが、好適には、糖含有液を添加する。糖含有液としては、みりん醪、みりん、米糖化醪、米糖化液から選ばれる1種、又は2種以上の混合物が使用できる。
【0017】
糖含有液として添加する上記の「みりん醪」とは、通常のみりんの製造により得られるものであればよく、蒸したもち米、米麹、焼酎又はアルコール、その他酵素製剤を混合し、1〜2カ月発酵熟成させたものをいい、「みりん」とは、上記みりん醪を圧搾濾過したものをいう。みりん及びみりん醪のブドウ糖濃度は35〜45w/v%程度である。
【0018】
また、「米糖化醪」とは、原料米を破砕又は粉砕後、麹及び/又は酵素製剤(糖化酵素、蛋白質分解酵素等)でアルコール非存在下で分解反応させたものをいい、「米糖化液」とは、上記米糖化醪を圧搾濾過したものをいう。米糖化醪及び米糖化液のブドウ糖濃度は20〜65w/v%程度である。
【0019】
本発明では、原料の仕込水(水とアルコール)の少なくとも一部に上記の糖含有液を使用することになるが、仕込み液中のブドウ糖濃度が5w/v%以上とするためには、みりん醪出来高に対して15v/v%以上添加しなければならない。一方、原料米、米麹等を添加し、さらに発酵熟成中の微生物汚染防止の上でアルコール濃度を15v/v%程度に維持する必要があるなどのため、糖含有液の添加量の上限は出来高に対して30v/v%程度となる。
【0020】
かくして本発明方法により製造されるみりんは、みりん100ml中の米使用量が45g以上で、エキス分が40w/v%以上であり、アミノ酸含有量は、着色が顕著に抑制され、かつ満足のいく旨みも付与できる範囲である100〜200mg%である。
【0021】
ここで、エキス分とは、無塩可溶性固形分のことをいい、みりんの場合は水やアルコールなどを加熱乾燥で揮発させた後に残った成分のうち、食塩を除外した成分をいう。みりんは、その大部分が糖類であり、w/v%表示される。
また、100ml中の米使用量が45g以上であることは、糖液等を添加した増醸みりんではなく、無添加の非増醸みりんであることを意味している。
【0022】
また、本発明において、原料として使用するアルコールに100%米原料由来のアルコールを使用すると、使用原料は全て米になるので、純米みりん、すなわち、米のみを原料とするみりんが製造できる。しかも非増醸みりんの欠点である高アミノ酸濃度による着色しやすい性質が増醸みりん並みに改良された安定品質の純米みりんを製造することが可能となる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明について実施例、試験例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔試験例1〕 アミノ酸濃度の違いによるみりんの着色試験
みりん製品中のアミノ酸濃度の着色度への影響を調べるため、みりん製品を糖液及びアルコールで糖濃度及びアルコール濃度を変えないようにして希釈することによって、アミノ酸濃度が135.47mg%〜367.28mg%の間で段階的に変化した6種類のみりん製品を用意した。これらの製品を40℃で5週間保存して、この間のみりんの着色度合いを1週毎に調査した。着色度合いは、比色計により420nmでの吸光度(OD)を測定して求めた。その結果を表1及び図1に示す。さらに、これらの結果から着色速度及び着色速度比(アミノ酸単位量当たりの着色速度の値)を求めた。その結果を表2に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
表1及び図1より明らかなように、みりん製品中のアミノ酸濃度が多ければ多い程、着色しやすく、着色を防止するにはアミノ酸を低く抑える必要があることがわかった。また、表2に示すように、着色速度はアミノ酸濃度が高くなると、比例的な範囲を超えて加速される傾向が見られ、特にアミノ酸濃度が200mg%を超すと急激に増大した。同時に、着色速度比も急激に増大することも判明した。
【0027】
従って、製品の着色を抑制するには、アミノ酸濃度を200mg%以下にすることが必要であるといえる。しかしながら、アミノ酸はみりんの香味にとって重要な成分の1つであるから、例えば、アミノ酸濃度が100mg%以下にすると、味は淡白となり、旨みとして物足りない。
以上より、着色抑制とみりんの香味とのバランスから、製品中のアミノ酸濃度が100〜200mg%とすることが適当であるといえる。
【0028】
〔試験例2〕 仕込み液中のブドウ糖濃度の検討
(1) ブドウ糖添加
表3に示す組成にて、原料米、米麹、糖化酵素製剤、蛋白質分解酵素製剤、アルコール、水を仕込んだ仕込み液に、ブドウ糖を2〜12w/v%の間で6段階に添加する試験区を設定し、所定の発酵熟成(30℃、30日間)を行い、みりん醪を調製した。なお、糖化酵素製剤は、天野製薬製のグルコアミラーゼ製剤(グルクザイムAF)を、蛋白質分解酵素製剤は、天野製薬製のプロテアーゼMアマノを使用した。それぞれの試験区で得られたみりん醪を圧搾濾過し、みりん中のアミノ酸濃度を測定した結果を表4に示す。また、みりん中のブドウ糖濃度とエキス分についても併せて示す。
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
表4より、仕込み液中のブドウ糖濃度が5w/v%程度を超えると、急激にアミノ酸生成量が減少し、特に着色抑制効果の高いアミノ酸濃度(エキス分換算)200mg%以下のみりんを製造できることがわかった。(表中のエキス分換算とは、試験例1のみりんのエキス分48w/v%を標準として、他の各試験区のアミノ酸濃度をエキス分の比率で換算した値をいう)。
【0032】
従って、仕込み液中のブドウ糖濃度が5w/v%以上となるように仕込み段階で糖含有液を添加することにより、製品(みりん)中のアミノ酸濃度が、試験例1で確認した着色抑制に有効な濃度範囲になるといえる。
【0033】
一方、仕込み液中のブドウ糖濃度が10w/v%程度を超えると、アミノ酸濃度(エキス換算)が100mg%を切り、みりんの旨味の点からは好ましくない。
以上より、仕込み液中のブドウ糖濃度は5w/v%以上10w/v%以下が好ましいといえる。
【0034】
(2) みりん醪、米糖化醪、米糖化液添加
表5に示す組成にて、原料米、米麹、糖化酵素製剤、蛋白質分解酵素製剤、アルコール、水を仕込んだ仕込み液に、みりん醪を5〜30%の間(ブドウ糖濃度2〜11.6w/v%)で5段階で添加した試験区を設定し、所定の発酵熟成(30℃、30日間)を行い、みりん醪を調製した。なお、糖化酵素製剤は、天野製薬製のグルコアミラーゼ製剤(グルクザイムAF)を、蛋白質分解酵素製剤は、天野製薬製のプロテアーゼMアマノを使用した。それぞれの試験区で得られたみりん醪を圧搾濾過し、みりん中のアミノ酸濃度を測定した結果を表6に示す。また、みりん中のブドウ糖濃度とエキス分についても併せて示す。
【0035】
なお、添加したみりん醪のエキス分は48w/v%、グルコース濃度は38w/v%、アミノ酸濃度は311mg%であり、80℃、10分の加熱処理後に使用した。表6中、試験区Bから試験区Fまでのみりん中のアミノ酸濃度はアルコール水でエキス分が48w/v%となるように希釈後の値である。
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
上記結果より、アミノ酸濃度については、仕込み液1000L中にみりん醪を150L以上添加すれば、約200mg%以下に低下することが分かった。さらに、(1) で得られたブドウ糖添加と比較し、ほぼ同様のブドウ糖濃度となる試験区を比較した結果、アミノ酸生成量は(2) におけるみりん醪を添加した場合の方がより低く抑えられることが判明し、みりん醪を添加した場合の方がアミノ酸生成を抑制する効果が高いことが確認された。
【0039】
例えば、(1) での試験区4(初発ブドウ糖濃度6w/v%)と(2) の試験区D(初発ブドウ糖濃度5.9w/v%)とは、ほぼ同等の初発ブドウ糖濃度であるが、生成したアミノ酸は試験区4では168mg%(エキス分換算)であるのに対し、試験区Dではアミノ酸増加は153mg%(エキス分換算)となった。
【0040】
なお、みりん醪の添加量については、試験区Fで仕込み液1000L当たり298Lを添加した場合、加水量は0Lとなり、従って、この場合が添加量の上限となっていることがわかる。
さらに、みりん醪の代わりにみりん、米糖化醪、米糖化液を使用した同様の試験を行い、いずれもみりん醪と同様の効果が得られることを確認した。
【0041】
〔実施例1〕 みりん製造例(その1)
蒸煮もち米(元米として)500kg、米麹(元米として)50kg、天野製薬製グルクザイムAF0.2kg、天野製薬製プロテアーゼMアマノ0.1kg、95%アルコール160Lに水を加えて1000Lとして仕込みを行った。仕込み後30℃25日間の発酵熟成を行った後、80℃10分の加熱を行い、酵素を失活させた。得られた醪をアドバンテック社製濾紙(No.2)で濾過した濾液を分析すると、エキス分47.5w/v%、アミノ酸405mg%であった。ここで得られた醪(「仕込み用みりん醪」という)は、糖含有液(ブドウ糖濃度は、36w/v%)として以下のみりんの製造に用いた。
【0042】
上記仕込み用みりん醪200Lに蒸煮もち米(元米として)500kg、米麹(元米として)50kg、天野製薬製グルクザイムAF0.1kg、天野製薬製プロテアーゼMアマノ0.1kg、95%アルコール129Lに水を加えて1000Lとして仕込みを行った。仕込み後30℃30日間発酵熟成を行った後、14%アルコール濃度の水200Lを加え希釈した。この希釈したみりん醪を圧搾したところ、圧搾性は良好であり、未熟臭のない良好な香りの圧搾液が得られた。この圧搾液を分析した結果、エキス分48.2w/v%、アミノ酸195mg%であった。
【0043】
〔実施例2〕 みりん製造例(その2)
実施例1と同様にして得た「仕込み用みりん醪」(ブドウ糖濃度は、36w/v%)200Lに蒸煮もち米(元米として)500kg、米麹(元米として)50kg、天野製薬製グルクザイムAF0.1kg、天野製薬製プロテアーゼMアマノ0.05kg、95%アルコール129Lに水を加えて1000Lとして仕込みを行った。仕込み後30℃30日間発酵熟成を行った後、14%アルコール濃度の水200Lを加え希釈した。この希釈したみりん醪を圧搾したが圧搾性は良好であり、未熟臭のない良好な香りの圧搾液が得られた。この圧搾液を分析した結果、エキス分48.3w/v%%、アミノ酸濃度170mg%であった。
【0044】
〔実施例3〕 みりん製造例(その3)
実施例1と同様にして得た「仕込み用みりん醪」(ブドウ糖濃度は、36w/v%)200Lに蒸煮もち米(元米として)500kg、米麹(元米として)25kg、天野製薬製グルクザイムAF0.15kg、天野製薬製プロテアーゼMアマノ0.05kg、95%アルコール129Lに水を加えて1000Lとして仕込みを行った。仕込み後30℃30日間発酵熟成を行った後、14%アルコール濃度の水200Lを加え希釈した。この希釈したみりん醪を圧搾したが圧搾性は良好であり、未熟臭のない良好な香りの圧搾液が得られた。この圧搾液を分析した結果、エキス分47.0w/v%、アミノ酸濃度135mg%であった。
【0045】
〔実施例4〕 みりん製造例(その4)
実施例1で得られた「仕込み用みりん醪」を圧搾してみりん(「仕込み用圧搾液」という)とした。この「仕込み用圧搾液」(ブドウ糖濃度は、36.5w/v%)200Lに蒸煮もち米(元米として)500kg、米麹(元米として)25kg、天野製薬製グルクザイムAF0.15kg、天野製薬製プロテアーゼMアマノ0.05kg、95%アルコール129Lに水を加えて1000Lとして仕込みを行った。仕込み後30℃30日間発酵熟成を行った後、14%アルコール濃度の水200Lを加え希釈した。この希釈したみりん醪を圧搾したが圧搾性は良好であり、未熟臭のない良好な香りの圧搾液が得られた。この圧搾液を分析した結果、エキス分46.5w/v%、アミノ酸濃度129mg%であった。
【0046】
〔実施例5〕 みりんの製造例(その5)
実施例1で得られた「仕込み用みりん醪」100L及びこれを圧搾した「仕込み用圧搾液」100Lを合わせた計200Lに蒸煮もち米(元米として)500kg、米麹(元米として)25kg、天野製薬製グルクザイムAF0.15kg、天野製薬製プロテアーゼMアマノ0.05kg、95%アルコール129Lに水を加えて1000Lとして仕込みを行った。仕込み後30℃30日間熟成を行った後、14%アルコール濃度の水250Lを加え希釈した。この希釈したみりん醪を圧搾したが圧搾性は良好であり、未熟臭のない良好な香りの圧搾液が得られた。この圧搾液を分析した結果、エキス分47.1w/v%、アミノ酸濃度131mg%であった。
【0047】
〔比較例〕
比較として、蒸煮もち米(元米として)500kg,米麹(元米として)50kg、天野製薬製グルクザイムAF0.1kg、天野製薬製プロテアーゼMアマノ0.1kg、95%アルコール160Lに水を加えて1000Lとして仕込みを行った。仕込み後30℃30日間の発酵熟成を行った。得られたみりん醪を圧搾したところ、圧搾性良好であり、未熟臭のない圧搾液が得られた。圧搾液の分析値はエキス分48.3w/v%、アミノ酸濃度431mg%であった。
【0048】
以上の実施例、比較例における原料組成を表7に示す。また、製品特性(圧搾性、香り、アミノ酸濃度、エキス分)及び着色試験(40℃5週間保存)の結果を表8に示す。表8中、実施例1〜5の圧搾性、みりん中のアミノ酸濃度はアルコール水で希釈後の値である。
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、みりん醪の圧搾に弊害を起こしたり、未熟臭などの品質劣化を招くことなく、非増醸みりんの欠点である着色を十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】種々のブドウ糖濃度のみりんにおける着色変化を示す。
Claims (2)
- 蒸煮した原料米、米麹、及び焼酎又はアルコールを含んでなる仕込み液に、該仕込み液中のブドウ糖濃度の増加量が6w/v%以上10w/v%以下の範囲となるようにブドウ糖含有液を添加し、熟成させることを特徴とする、ブドウ糖濃度が43.9w/v%以上48.1w/v%以下の範囲であり、かつ、アミノ酸含有量が100〜200mg%であるみりんの製造方法。
- ブドウ糖含有液が、みりん、みりん醪、米糖化液及び米糖化醪からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のみりんの製造方法。
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