JP4404489B2 - 水溶性蛍光半導体ナノ結晶 - Google Patents

水溶性蛍光半導体ナノ結晶 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、米国国立科学財団(National Science Foundation)によって認可された契約番号94−00334番の元に米国政府の支援でなされた。米国政府は本発明における特定の権利を有する。
【0002】
本明細書は、以下の共通に所有される出願、すなわち1998年9月18日付および24日付で出願された、名称が「在庫管理(Inventory Control)」であるそれぞれ出願番号第60/101,046号および出願第09/160,458号、1998年9月18日付で出願された、名称が「量子ドットを用いた、化合物の検出および生物系における相互作用(Detection of Compounds and Interaction in Biological Systems Using Quantam Dots)」である出願番号第60/100,947号、1998年9月24日付で出願された名称が「量子ドットの生物学的用途(Biological Applications of Quantum Dots)」である出願番号第09/160,454号、1998年9月18日付で出願された名称が「水溶性チオールキャップドナノ結晶(Water-Soluble Thiol-Capped Nanocrystals)」である出願番号第09/156,457号に関連する。
【0003】
発明の技術分野
本発明は、狭い範囲の波長でエネルギーを放出する水溶性ナノ結晶物質に関する。特に本発明は、可視および赤外エネルギー範囲において光を放出する水溶性半導体ナノ結晶に関する。
【0004】
発明の背景
バルクの励起子のボーア半径より小さい半径を有する半導体ナノ結晶(またはQuantum DotTM粒子として知られている)は、物体の分子形態とバルク形態との間の物質中間体の分類を構成する。3次元全てにおける電子および空孔(hole)の量子閉じ込めは、結晶サイズの減少を伴なって、物質の有効なバンドギャップの増加を導く。その結果、半導体ナノ結晶の光学的吸収および放出の両方が、ナノ結晶サイズが小さくなるにつれて、青(より高いエネルギー)にシフトする。
【0005】
バウエンディおよび協力者は、熱い配位溶媒(coordinating solvent)へ注入された有機金属試薬が熱分解することによる、単分散性の半導体ナノ結晶の調製方法を説明している(Murray et al.(1993) J. Am. Chem. Soc., 115:8706)。これにより、現在、個別的な核形成が可能であり、肉眼的な量の制御されたナノ結晶成長が可能である。成長溶液からの微結晶(crystallites)のサイズ選択的析出によって、いっそう狭いサイズ分布の微結晶が提供され得る。狭いサイズ分布の半導体ナノ結晶によって、狭いスペクトル線幅を有する光放出が可能である。
【0006】
半導体ナノ結晶の光ルミネセンス収率を改善する努力において、表面の原子を有機不活性化配位子と反応させることによってナノ結晶表面を不活性化し、微結晶表面の、バルク内部のエネルギー的な禁制ギャップ内に存在するエネルギーレベルを消去する。これらの表面のエネルギー状態は、物質のルミネセンス特性を減少させる電子および空孔のトラップとして作用する。このような不活性化により、半導体および不活性化層の境界で、化学ポテンシャルにおける原子的な突然の増加がもたらされる(Alivisatos(1996),J.Phys.Chem.100:13226を参照)。Murray et al.(1993)は、トルエンのような有機溶媒中で量子収量が20%程度の、トリ−n−オクチルホスフィン(TOP)およびトリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)のような有機成分でキャップされたCdSeナノ結晶を説明している(また、Christopher Murrayの博士論文「II-IV量子ドットの合成および特徴づけ、ならびそれらの3次元量子ドット超格子への組み立て(Synthesis and Characterization of II-VI Quantum Dots and Their Assembly into 3-D Quantum Dot Superlattices)」(1995),Massachusetts Institute of Technology;および、Kuno et al.(1997) J. Phys. Chem. 106(23):9869を参照)。
【0007】
バウエンディおよび協力者が説明したように調製された半導体ナノ結晶はほとんど単分散性を示し、それによって高い色選択性を示しているにも関わらず、物質のルミネセンス特性はプロセスに依存する。ナノ結晶の光ルミネセンス特性の安定性は、ナノ結晶の外側を被覆している不活性種(passivating species)の性質の作用による。既知の有機的に被覆されたナノ結晶は、溶液中で強固ではなく、光ルミネセンス収率の低下を示す。これは、ナノ結晶表面からの不活性化層の解離または不活性化層の分解により、半導体表面の分解を招来するためと思われる。
【0008】
無機物質を用いた半導体ナノ結晶の不活性化も報告されている。無機被覆で不活性化された粒子は、有機的に不活性化された粒子より強く、それらがデバイスに混合されるのに必要とされる加工条件に対してより大きい耐性を持つ。これまでに報告された無機的に不活性化された半導体ナノ結晶粒子構造としては、CdSでキャップしたCdSeおよびCdSeでキャップしたCdS(Than et al.(1996), J. Phys. Chem. 100:8927):CdS上で成長したZnS(Youn et al.(1988), J. Phys. Chem.92:6320);CdSe上のZnSおよびその逆の構造(Kortan et al.(1990)J. Am. Chem. Soc. 112:1327);ZnSでキャップしたCdSeナノ結晶(Danek et al.(1996) Chem. Materials 8:173);ならびに、Si上のSiO2(Wilson et al.(1993) Science 262:1242)が挙げられる。
【0009】
Kortan et al.(1990)は、チオフェニル基が外表面に結合してなる層を有するZnSキャップドCdSeナノ粒子(ZnS capped-CdSe nanoparticle)を説明している。チオフェニル基は表面を不活性化するために用いられ、クラスターは粉末形態で分離され得る。Lawless et al.(1995) J. Phys. Chem. 99:10329は、二官能価のメルカプトカルボン酸HS(CH2nCOOH(ここで、nは1〜3)でキャップしたCdS半導体ナノ結晶の調製を報告している。異種の半導体ナノ結晶粒子間における粒子間の電子移動を促進するために、TiO2粒子が、二官能価キャッピング成分である機能的なカルボン酸基を介してCdSナノ結晶に付着されている。
【0010】
上述の半導体ナノ結晶は、ヘキサンまたはピリジンのような有機溶媒中でのみ可溶性または分散性である。半導体ナノ結晶の蛍光放出に基づく多くの用途は、半導体ナノ結晶が水溶性であることを必要とする。
【0011】
報告されている多くの水溶性半導体ナノ結晶は、それらの広範囲な適用性を制限する深刻な不利益を被っている。例えば、Spanhel et al.(1987) J. Am. Chem. Soc. 109:5649は、Cd(OH)2でキャップしたCdSゾルを開示している。しかしながら、そのゾルの光ルミネセンス特性はpH依存性である。そのゾルは非常に狭いpH範囲(pH8〜10)でのみ調製され得、10より大きいpHでのみ狭い蛍光バンドを示す。このようなpH依存性は物質の有益性を大いに制限し、特に生物系における使用に適さない。
【0012】
他のグループは、半導体ナノ結晶の有機不活性化層を水溶性成分で置換している。しかしながら、半導体ナノ結晶を被覆した結果物は、それほど強く発光しない。2−メルカプトエタノールおよび1−チオ−グリセロールのような短い鎖のチオールは、水溶性CdTeナノ結晶の調製において安定化剤として用いられている。例えばRogach et al.(1996) Ber. Bunsenges. Phys. Chem. 100:1772およびRajh et al(1993) J. Phys. Chem. 97:11999を参照。他のさらに外来性のキャッピング化合物も似たような結果で報告されている。デオキシリボ核酸(DNA)をキャッピング化合物として使用することを説明したCoffer et al.(1992) Nanotechnology 3:69を参照。これら全てのシステムにおいて、被覆された半導体ナノ結晶は安定ではなく、時間によって光ルミネセンス特性が減少している。
【0013】
強い光ルミネセンス放出を有する半導体ナノ結晶の水性懸濁液または水溶液を利用することができないために、生物学的用途のような種々の水を基礎とする用途において、それらの適用は制限される。加えて、水溶液はしばしば非常に活発な化学系であり、多くの既知の水溶性半導体ナノ結晶系は、水中での長い露光時間中に、主に半導体表面の境界での光陽極分解(photoanodic decomposition)によって分解する。
【0014】
従って、水性媒体中において安定で強固な懸濁液または溶液として調製され得る水溶性半導体ナノ結晶への要求が依然としてある。また、高い量子効率でエネルギー放出が可能な水溶性半導体ナノ結晶も必要とされており、これらは狭い粒度を有する(それゆえに狭い光ルミネセンススペクトル範囲を有する)。
【0015】
発明の要約
本発明の第一の目的は、当業界における前述の必要性を処理することである。
【0016】
本発明の他の目的は、従来技術の制限を克服し、高いスペクトル純度の光ルミネセンス放出を伴なう高い量子収量を示す水溶性半導体ナノ結晶を提供することである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、水系で容易に可溶化し、その中で化学的および電子的安定性を示す半導体ナノ結晶を提供することである。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、被覆されて、結合またはカップリング能が提供された水溶性半導体ナノ結晶を提供することである。
【0019】
本発明の一つの観点において、エネルギー放出が可能な水溶性半導体ナノ結晶が提供される。該ナノ結晶は、適切なバンドギャップオフセットを伴なう、コアより大きいバンドギャップエネルギーを有する物質からなるシェル層でオーバーコートされた、選択されたバンドギャップエネルギーを有する半導体ナノ結晶コアを含む。可溶性ナノ結晶はさらに、そのオーバーコーティング層の外部表面に外層を含む。該外層は、オーバーコーティング層への分子の付着用の1以上の結合基、および、必要であれば、疎水性領域での電子電荷移動を最小化するのに十分な疎水性領域により該結合基から離れて間隔があけられる1以上の親水性基、を有する分子を含む。
【0020】
ナノ結晶の外層は、有機分子を含み得る。該有機分子は、水性媒体に親和性を持つ成分と、半導体ナノ結晶表面に親和性を示す成分とで末端を形成している長鎖炭化水素原子のような、水性媒体中で溶解性を提供するように選択された成分を含み得る。ナノ結晶表面への親和性によって有機分子の半導体ナノ結晶外部表面に対する配位が促進され、水性媒体への親和性を持つ成分によって半導体ナノ結晶懸濁液が安定化される。
【0021】
一つの好ましい実施形態において、該分子は構造式(I)
【0022】
【化7】
Figure 0004404489
【0023】
を有し、かつその塩を含む。ここで、X1はN、P、SまたはO=Pであり、nは6以上であり、ならびに、zおよびyはX1の原子価の必要条件を満たすように選択される。
【0024】
他の好ましい実施形態において、該分子は構造式(II)
【0025】
【化8】
Figure 0004404489
【0026】
を有し、ここで、XおよびX’は、同一もしくは異なるものであり、S、N、PまたはO=Pからなる群より選択され、Yは親水性成分であり、ならびに、Zは存在しないまたは少なくとも6個の原子からなる主鎖を有する疎水性領域である。XおよびX’は、原子価の必要条件を満たす他の置換基を含んでもよく、例えば、水素原子または他の有機成分によって置換された、アミン、チオール、ホスフィンおよびホスフィンオキシドである。加えて、XおよびX’を架橋する原子は、半導体表面に配位時に5員〜8員環を形成するように選択され得る。該架橋する原子は一般的に炭素であるが、例えば酸素、窒素および硫黄のような他の元素も可能である。Yは、カルボキシレート、スルホネート、ホスフェート、ポリエチレングリコールまたは他のポリオールおよびアンモニウム塩のような任意の荷電された基または極性基(charged or polar group)であり、例えばカルボキシレート(−CO2 -)、スルホネート(SO3 -)、ヒドロキシド(−OH)、アルコキシド、アンモニウム塩(−NH4 +)ならびにホスフェート(−PO4 -2)およびホスホネート(−PO3 -2)等である。Zは一般的にアルキル基またはアルケニル基でるが、炭素および窒素のような他の原子も含まれる。さらにZは、本明細書中で説明されるように、近接する配位子と引力的な相互作用を提供するように修飾され得る。
【0027】
さらに他の好ましい実施形態において、該分子は、構造式(III)
【0028】
【化9】
Figure 0004404489
【0029】
を有し、ここで、X、X’およびX”は、同一もしくは異なるものであり、S、N、PまたはO=Pからなる群より選択され、Yは親水性成分であり、ならびに、Zは少なくとも6個の原子からなる主鎖を有する疎水性領域である。X、X’およびX”は、原子価の必要条件を満たすように他の置換基を含んでもよく、例えば、水素原子または他の有機成分によって置換された、アミン、チオール、ホスフィンおよびホスフィンオキシドである。加えて、X、X’およびX”を架橋する原子は、半導体表面に配位時に5員〜8員環を形成するように選択され得る。該架橋する原子は一般的に炭素であるが、例えば酸素、窒素および硫黄のような他の元素も可能である。Yは、カルボキシレート、スルホネート、ホスフェート、ポリエチレングリコールまたは他のポリオールおよびアンモニウム塩のような任意の荷電された基または極性基であり、例えばカルボキシレート(−CO2 -)、スルホネート(SO3 -)、ヒドロキシド(−OH)、アルコキシド、アンモニウム塩(−NH4 +)ならびにホスフェート(−PO4 -2)およびホスホネート(−PO3 -2)等である。Zは一般的にアルキル基またはアルケニル基であるが、炭素および窒素のような他の原子も含まれる。Zはさらに、本明細書中で説明されるように、近接する配位子と引力的な相互作用を提供するように修飾される。
【0030】
他の好ましい実施形態において、該分子は、構造式(IV)
【0031】
【化10】
Figure 0004404489
【0032】
を有し、ここで、R1は、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、−OR、−SR、−NHR、−NR’R”、−N(O)HR、−N(O)R’R”、−PHR、−PR’R”、−P(NR’R”)NR’R”、−P(O)R’R”、−P(O)(NR’R”)NR’R”、−P(O)(OR’)OR”、−P(O)OR、−P(O)NR’R”、−P(S)(OR’)OR’および−P(S)ORであり、ここで、R、R’およびR”は、それぞれ独立して、H、分岐または分岐していないアルキル、分岐または分岐していないアルケニル、分岐または分岐していないアルキニル、分岐または分岐していないヘテロアルキル、分岐または分岐していないヘテロアルケニルおよび分岐または分岐していないヘテロアルキニルからなる群より選択され、ここでaが1より大きい場合、R1基は、同一もしくは異なるものであり、または、6、7、8、9もしくは10員のシクロアルキル、シクロアルケニル、複素環式、アリール、ヘテロアリールまたは6〜30員のクラウンエーテルもしくはへテロクラウンエーテルを形成するように結合され得る;
2は、単結合(すなわちR2は存在しない)、分岐または分岐していないアルキレン、分岐または分岐していないアルケニレン、分岐または分岐していないヘテロアルキレン、分岐または分岐していないヘテロアルケニレン、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、複素環式、アリールおよびヘテロアリールである;
3は、分岐または分岐していないアルキレン、分岐または分岐していないアルケニレン、分岐または分岐していないヘテロアルキレン、分岐または分岐していないヘテロアルケニレン、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、複素環式、アリールおよびヘテロアリールである;
4は、水素原子、カルボキシレート、チオカルボキシレート、アミド、イミド、ヒドラジン、スルホネート、スルホキシド、スルホン、スルフィット、ホスフェート、ホスホネート、ホスホニウム、アルコール、チオール、アミン、アンモニウム、アルキルアンモニウム、ニトレート、糖成分および5、6、7、8、9もしくは10員のシクロアルケニル、シクロアルキニル、複素環式、アリールまたはへテロアリールからなる群より選択される;
aは1、2、3または4である;
bは0、1、2または3である;
cは0、1、2または3である;ならびに
dは0、1、2または3であり、ここでdが2もしくは3の場合、R3基は同一もしくは異なるものであり、または、共に結合し5、6、7、8、9もしくは10員のシクロアルキル、シクロアルケニル、複素環式、アリールもしくはへテロアリールを形成するように共に結合し得る。
【0033】
好ましくは、R1はチオール(例えば−SH)、ホスフィン、ホスフィンオキシドまたはアミン(例えば−NH2、−NHRまたは−NRR’)である。
【0034】
好ましくは、R2は6〜12個の原子を含む。より好ましくは、R2は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の原子を含む直鎖アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンもしくはへテロアルキニレン、または、5もしくは6個の原子を含むシクロアルキルもしくは複素環式である。
【0035】
好ましくは、bは1、2または3の場合、R3は6〜20個の原子を含む。より好ましくは、R3は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の原子を含む直鎖アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンもしくはヘテロアルキニレン、または、5もしくは6個の原子を含むシクロアルキルもしくは複素環式である。
【0036】
好ましくは、R4はカルボキシレート(−COO-)、ホスホネート(−PO3−)、スルホネート(−SO3 -)またはアンモニウム(−N+HRR’)である。
【0037】
本発明のさらに他の実施形態において、該分子は、構造式(V)
【0038】
【化11】
Figure 0004404489
【0039】
を有し、ここで、ペンダント基R1ならびにR4およびR2成分は上記で定義した通りであり、X2およびY2は同一もしくは異なるものであり、アクリレート、スチレン、イミド、アクリルアミド、エチレン、ビニル、ジアセチレン、フェニレン−ビニレン、アミノ酸、糖、スルホン、ピロール、イミダゾール、チオフェンおよびエーテルからなる群より選択されるマーユニット(mer unit)であり、m’およびn’は半導体ナノ結晶表面の利用可能な配位部位の数に関連して選択される。m’は、利用可能な配位部位の数以下、好ましくは利用可能な配位部位の数の約4分の1以下であることが望ましい。特にm’は約3〜約100の範囲内である。n’の値は一般的に、m’の値と同程度になるように選択される。すなわち、n’は、利用可能な配位部位の数以下、好ましくは利用可能な配位部位の数の約4分の1以下であることが望ましい。特にn’は約3〜約100の範囲内である。該分子は、ブロックコポリマーであり得、ここで、結合成分Yとして機能化できるペンダント基を含む第一ブロックが提供され、親水性基Xとして機能化できるペンダント基を含む第二ブロックが提供される。ポリマーブロックは親水性領域として働く。
【0040】
好ましい実施形態において、該分子は、式
【0041】
【化12】
Figure 0004404489
【0042】
を有し、ここで、Xは、同一もしくは異なるものであり、S、N、PまたはO=Pからなる群より選択される元素であり、Yは、同一もしくは異なるものであり、例えばカルボキシレート、スルホネート、ホスフェート、ホスホネート、ポリエチレングリコール、アンモニウム塩等のような親水性成分である。Xは、原子価の必要条件を満たすように、例えば水素原子もしくは他の有機成分で置換されたアミン、チオール、ホスフィンおよびホスフィンオキシドのような他の置換基を含んでもよい。末端基RおよびR’は任意の成分であり、例えば水素原子である。特にRに関しては、親水性ブロックに近接しているために、極性成分であることが望ましい。同様に、R’に関しては、疎水性ブロックに近接しているために、非極性成分であることが好ましい。mおよびnは、半導体ナノ結晶表面の利用可能な配位部位の数に関連して選択される。mは利用可能な配位部位の数以下、好ましくは利用可能な配位部位の数の約4分の1以下であることが望ましい。一般的な用途において、mは約3〜100の範囲内である。nの値は一般的に、mの値と同程度になるように選択される。すなわち、nは利用可能な配位部位の数以下、好ましくは利用可能な配位部位の数の約4分の1以下であることが望ましい。一般的な用途において、nは約3〜100の範囲内である。
【0043】
理論通りに結合されるとも限らないが、発明者等は、構造式(IV)を有する分子のオーバーコートされたナノ結晶への配位は、ナノ結晶の表面成分および該分子のR1成分の間で起こる、と考えている。
【0044】
他の好ましい実施形態において、水溶性化する外層は、構造式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)を有する分子の均一な集合体(homogeneous population)、すべての各構造式の分子の混合集合体、すなわち構造式(I)、(II)、(III)または(V)を有する分子全ての混合集合体、もしくは、構造式(I)、(II)、(III)および(V)の2以上の組み合わせからなる分子の混合集合体、を含む。
【0045】
本発明の他の観点において、水溶性化する層が、オーバーコーティング層に親和性を持つ二重層の第一層、および、その第一層に近接した疎水性領域を持ち、親水性基において末端化されている(terminating in a hydrophilic group)二重層の第二層、を有する二重層である、水溶性半導体ナノ結晶が提供される。該二重層は、第一層として、半導体ナノ結晶を製造することに用いられる配位親液性分子(coordinating lyophilic molecule)、かつ第二層として界面活性剤を含んでもよい。
【0046】
本発明のこれらおよび他の実施形態は、ここで開示された見解において当業者により容易に到達されるであろう。
【0047】
発明の詳細な説明
定義および命名:
本発明を詳細に開示、説明する前に、本発明はそれ自体特定のアッセイフォーマット、物質または試薬に制限されるものではなく、言うまでもなく、変更できるものであると解されるべきである。また、本明細書中で使用される専門用語は特定の実施態様を説明するためのものであり、制限するものではないと解されるべきである。
【0048】
本明細書及び添付した特許請求の範囲中で使用される、単数形「a」、「an」及び「the」は特記しない限り複数形を含むものであることに留意すべきである。従って、例えば、「ナノ結晶(a nanocrystal)」という言及は1以上のナノ結晶を包含し、「外層(an outer layer)」という言及は1以上のこのような外層を包含するなどである。
【0049】
本明細書においておよび下記特許請求の範囲において、多くの用語は下記意味を有するように定義されて引用されている。
【0050】
「Quantum dotTM粒子」とは、サイズ依存型の光および電子特性を有する半導体ナノ結晶のことである。特に、半導体ナノ結晶のバンドギャップエネルギーは結晶の直径によって変化する。
【0051】
「半導体ナノ結晶(semiconductor nanocrystal)」は、例えば、第二の半導体物質の「シェル」に囲まれてもよい、一以上の第一の半導体物質の「コア」を含む直径が約1nm〜約1000nm、好ましくは約2nm〜約50nm、より好ましくは約5nm〜約20nm(約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20nmなど)の無機微結晶を含む。半導体シェルによって囲まれた半導体ナノ結晶コアは、「コア/シェル」半導体ナノ結晶と称される。周囲の「シェル」物質は、好ましくはコア物質のバンドギャップよりより大きいバンドギャップを持ち、「コア」基材の原子間隔(atomic spacing)に近い原子間隔を持つように選択され得る。コアおよび/またはシェルは、これらに限定されないが、II−VI族(ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、MgTe等)、III−V族(GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlAs、AlP、AlSb、AlS等)およびIV族(Ge、Si、Pb等)物質のもの、ならびに、それらの合金、または、それらの三元ならびに四元混合を含む混合物、を含む半導体物質でありうる。
【0052】
半導体ナノ結晶は、必要であれば、有機キャッピング剤の「被膜」によって囲まれる。有機キャッピング剤は、任意の多くの物質であり得るが、半導体ナノ結晶表面に対する親和性を有するものである。通常、キャッピング剤は、単離された有機分子、ポリマー(または重合反応用のモノマー)、無機複合体、および、拡張された結晶質構造(extended crystalline structure)であり得る。被膜は、被覆された半導体ナノ結晶を所定の溶媒中で均一に分散する能力、溶解性、官能性(functionality)、結合特性等を付与するのに使用される。加えて、被膜は、半導体ナノ結晶の光学特性を適合させるために用いられる。
【0053】
本明細書中で使用される、「量子収量」ということばは、吸収されたものに対する放出された光量子の割合を意味し、例えば光ルミネセンス量子収量である。
【0054】
本発明の他の実施形態において、被覆されたナノ結晶は、ナノ結晶がコア直径における10%rms(自乗平均)未満、好ましくは5%rms未満の偏差を示すことを特徴とする。このように、「単分散性の粒子」相は、粒子集合体が直径において10%rms未満、好ましくは5%rms未満の偏差を示す粒子集合体を含む。水性環境におけるナノ結晶は、好ましくは10%より大きい、最も好ましくは約10%〜30%の範囲の量子収量を有する光ルミネセンスを示す。
【0055】
本明細書中で使用される、「アルキル」ということばは、炭素原子1〜100個の分岐または分岐していない飽和炭化水素基を意味し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル等、さらにはシクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基が挙げられる。「低級アルキル」ということばは、炭素原子1〜20個、好ましくは6〜20個のアルキル基を含む。
【0056】
本明細書中で使用される、「アルキレン」ということばは、炭素原子1〜100個の、二官能の分岐または分岐していない飽和炭化水素基を意味し、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2−CH2−)、プロピレン(−CH2−CH2−CH2−)、2−メチルプロピレン(−CH2−CH(CH3)−CH2−)、ヘキシレン(−(CH26−)等が挙げられる。「低級アルキレン」ということばは、炭素原子1〜20個、より好ましくは6〜20個のアルキレン基を含む。
【0057】
本明細書中で使用される、「アルケニル」ということばは、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含む、炭素原子2〜100個の、分岐または分岐していない炭化水素基を意味し、例えばエテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブテニル、イソブテニル、t−ブテニル、オクテニル、デセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、エイコセニル、テトラコセニル等が挙げられる。「低級アルケニル」ということばは、一つの−C=C−結合を含む、炭素原子2〜20個、好ましくは6〜20個のアルケニル基を含む。
【0058】
「アルケニレン」ということばは、炭素原子2〜100個および少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含む、二官能の分岐または分岐していない炭化水素基を意味する。「低級アルキニレン」は、一つの炭素−炭素二重結合を含む炭素原子2〜20個、より好ましくは6〜20個のアルケニレン基を含む。
【0059】
本明細書中で使用される、「アルキニル」ということばは、炭素原子2〜100個および少なくとも一つのC□C結合を含む、分岐または分岐していない炭化水素基を意味し、例えばエチニル、n−プロピニル、イソプロピニル、n−ブチニル、イソブチニル、t−ブチニル、オクチニル、デシニル等が挙げられる。好ましくは炭素原子2〜10個および一つの−C□C−結合を有するアルキニル基である。
【0060】
「アルキニレン」ということばは、炭素原子2〜100個および少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含む、二官能の分岐または分岐していない炭化水素基を意味する。「低級アルキニレン」は、一つの−C□C−結合を含む、炭素原子2〜10個のアルキニレン基を含む。
【0061】
必要であれば、アルキル、アルキレン、アルケニル、アルケニレン、アルキニルまたはアルキニル鎖は、−O−、−S−および−NR−(ここで、Rは水素原子、低級アルキルまたは低級アルケニルである)からなる群より選択される1〜6個の結合(linkages)を含む。
【0062】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルキレン」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルケニレン」、「ヘテロアルキニル」および「ヘテロアルキニレン」ということばは、1以上の炭素原子が例えば窒素、硫黄または酸素原子でそれぞれ置換されるアルキル、アルキレン、アルケニル、アルケニレン、アルキニルおよびアルキニレン基をそれぞれ意味する。
【0063】
「アルコキシ」は、−O−R基(ここで、Rは上述と同様のアルキル基である)を意味する。アルコキシ基の例としては、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等が挙げられる。
【0064】
「アルキルアミノ」は、−NHR基(ここで、Rは上述と同様のアルキル基である)を意味する。アルキルアミノ基の例としては、これらに限定されないが、メチルアミノ(1−エチルエチル)アミノ等が挙げられる。
【0065】
「アルキルチオ」は、−SR基(ここで、Rは上述と同様のアルキル期である)を意味する。アルキルチオ基の例としては、これらに限定されないが、メチルチオ、ブチルチオ等が挙げられる。
【0066】
「ジアルキルアミノ」は、−NR’R”基(ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して、上記と同様のアルキル基である)を意味する。ジアルキルアミノ基の例としては、これらに限定されないが、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ(1−メチルエチル)アミノ等が挙げられる。
【0067】
「ヒドロキシアルキル」は、1以上の水酸基で置換された、上記と同様のアルキル基を意味する。ヒドロキシアルキル基の例としては、これらに限定されないが、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチルおよび2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキプロピル等が挙げられる。
【0068】
本明細書中で使用される、「アシル」ということばは、−(CO)−結合を介して結合したアルキル基を含む。「低級アシル」ということばは、カルボニル結合を介して結合したアルキル基が低級アルキル基であるアシル基を含む。
【0069】
「糖成分」ということばは、単糖類、二糖類、多糖類等を意味する。「糖」ということばは、1以上の水酸基がハロゲン原子、アルコキシ成分、脂肪族基で置換される、または、エーテル、アミン等として機能化される(functionalized)などの、修飾された部位を含む。修飾された糖の例としては、ヒドロキシル成分の代わりに低級アルコキシ基を含むもの、すなわち、メチルα−D−グルコピラノシド、メチルβ−D−グルコピラノシド等のようなαまたはβ−グリコシドであり;アミンと反応したもの、すなわち、例えばN−(α−D−グルコピラノシル)メチルアミンのようなN−グリコシルアミンまたはN−グリコシドであり;アシル化された水酸基を含むもので、具体的には1〜5個の低級アシル基であり;1以上のカルボン酸基を含むものであり、例えばD−グルコン酸等であり;遊離アミン基を含むものであり、例えばD−グルコサミン、D−ガラクトサミン、N−アセチル−D−グルコサミン等、を含む。好ましい糖類の例としては、グルコース、ガラクトース、フルクトース、リボース、マンノース、アラビノース、キシロースが挙げられる。多糖類の例としては、デキストランおよびセルロースが挙げられる。
【0070】
「アリール」は、少なくとも一つの環が本質的に芳香環である1以上の縮合環から構成される一価の芳香族炭化水素基を意味し、必要であれば1以上の下記の置換基;特記しない限り、ヒドロキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、ハロゲン原子、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノで置換されてもよい。
【0071】
「ヘテロアリール」は、環内に1〜3個のヘテロ原子(窒素、酸素または硫黄から選択される)を組み入れる1以上の環を有する一価の芳香族炭素環式基を意味し、必要であれば、1以上の下記の置換基;特記しない限り、ヒドロキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、ハロゲン原子、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アミノ、ならびに、アルキルアミノおよびジアルキルアミノで置換されてもよい。
【0072】
「シクロアルキル」は、1以上の環から構成される一価の飽和炭素環式基を意味し、必要であれば、1以上の下記の置換基;特記しない限り、ヒドロキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、ハロゲン原子、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノで置換されてもよい。
【0073】
「シクロアルケニル」は、1以上の環から構成されかつ1以上の炭素−炭素二重結合を含む一価の不飽和炭素環式基を意味し、必要であれば、1以上の下記の置換基;特記しない限り、ヒドロキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、ハロゲン原子、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノで置換されてもよい。
【0074】
「シクロアルキニル」は、1以上の環から構成されかつ1以上の炭素−炭素三重結合を含む一価の不飽和炭素環式基を意味し、必要であれば、1以上の下記の置換基;特記しない限り、ヒドロキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、ハロゲン原子、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノで置換されてもよい。
【0075】
「複素環式」は、1以上の環から構成されかつ1〜3個のヘテロ原子(窒素、酸素または硫黄から選択される)を組み入れる一価の飽和炭素環式基を意味し、必要であれば、1以上の下記の置換基;特記しない限り、ヒドロキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、ハロゲン原子、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノで置換され得る。
【0076】
「クラウンエーテル」ということばは、一価、二価、三価またはそれ以上(例えば4、5、6、7もしくは8価)の多価基の、分岐していない飽和複素環式分子を意味する。クラウンエーテルは、一般的に、「xクラウンy」または「xCy」のように称され、この際、xは分子中の総原子数を表し、yは分子中のヘテロ原子数を表す。従って、例えば12クラウン4は、12個の原子を含み、うち4個がヘテロ原子であるクラウンエーテルであり、18C6は、18個の原子を含み、うち6個がヘテロ原子であるクラウンエーテルである。好ましいヘテロ原子は、O、SおよびNであり、いくつかの特定のクラウンエーテルによっては、ヘテロ原子は同一であってもまたは異なっていてもよい。「ヘテロクラウンエーテル」は、ヘテロ原子が異なるクラウンエーテルである。好ましいクラウンエーテルは6〜13員のクラウンまたはヘテロクラウンエーテルであり、より好ましくは8C4、9C3、12C4、15C5、18C6および20C8であり、さらにより好ましくは12C4および18C6である。
【0077】
「必要で」または「必要であれば」は、その後に説明される事象または状況が生じてもあるいは生じなくてもよい、さらにその記載は前記事象または状況が生じる場合および生じない場合を含むことを意味する。例えば、「必要であれば置換されたアルキレン」という文言は、アルキレン成分は置換されてもまたは置換されていなくてもよく、その記載は未置換アルキレンまたは置換が存在するアルキレンの両方を含むことを意味すし、他も同様である。
【0078】
本発明は、高いルミネセンスでかつ水溶液中で安定である水溶性半導体ナノ結晶に注目している。ナノ結晶は図1に概略的に示される。半導体ナノ結晶10は、結晶を水溶性にする外層14で被覆される。外層14はさらに、ナノ結晶のルミネセンス特性を維持し、水溶液中でのナノ結晶の強固さを改善するために選択される。必要であれば光学的オーバーコーティング層12は、外層14の塗布の前に、半導体ナノ結晶を被覆するのに用いられる。外層は、オーバーコーティング層への分子の付着用の少なくとも一つの結合基16、および、疎水性領域での電子電荷移動を防ぐのに十分な疎水性領域18により該結合基から離れて間隔があけられる少なくとも一つの親水性基20、を有する分子15を含む。図1において、親水性基20は負電荷として便宜上示されているが、該基は正に帯電している、または極性的に中性(polar neutral)でありうる、ということに留意すべきである。
【0079】
ナノ結晶は、それらの発光特性において量子閉じ込め効果を示す半導体ナノ結晶を含む。これらのナノ結晶は、「Quantum DotTM粒子」として知られている。半導体ナノ結晶が一次エネルギー源により発光している場合には、半導体ナノ結晶で用いられる半導体物質のバンドギャップに相当する周波数を有するエネルギーの二次放出が生じる。量子を閉じ込めた粒子では、バンドギャップはナノ結晶サイズの関数である。
【0080】
半導体ナノ結晶は、光源へ晒されて、その組成およびサイズに特有な波長のエネルギーを放出する。本発明の水溶性層は、ナノ結晶コアおよびオーバーコートの様々な組み合わせを有するナノ結晶で用いられ得る。本発明は、非常に狭い粒度分布を持ち、かつ色純度およびそれらの光ルミネセンス放出強度における改善を示し、さらに水ベースの懸濁液および溶液中で強固かつ安定であることを示す、種々の水溶性ナノ結晶の調製を可能にする。II−VI族、III−V族およびIV族の多くの半導体は、量子サイズ粒子として調製され、それらの物理的特性における量子閉じ込め効果を示し、本発明の水溶性ナノ結晶において使用できる。半導体ナノ結晶コアとしての使用に適した具体的な物質としては、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、MgTe、GaAs、GaP、GaSb、GaN、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InSn、InN、AlAs、AlP、AlSb、AlS、PbS、PbSe、Ge、Si、それらの合金、またはそれらの三元および四元混合物等のそれらの混合物が挙げられる。
【0081】
半導体ナノ結晶は、それらの均一なナノメーターサイズを特徴とする。「ナノメーター」サイズとは、約150オングストローム(Å)未満、好ましくは15〜150オングストローム(Å)の範囲であることを意味する。またナノ結晶は、上述の広いサイズ範囲内で実質的に単分散性である。本明細書中で使用される単分散とは、懸濁粒子が実質的に同一なサイズおよび形状を有するコロイド系を意味する。本発明の目的として、単分散性の粒子は、少なくとも60%の粒子が特定の粒度範囲内にあることを意味する。好ましい実施形態において、単分散性の粒子は直径が10%rms未満、好ましくは5%未満の偏差を示す。単分散性の半導体ナノ結晶は、Murray et al.(1993)、the Murray thesis(1995) およびKuno et al.で詳細に説明されている。
【0082】
好ましい実施形態において、半導体ナノ結晶は、オーバーコーティングシェル層を有する。半導体ナノ結晶の表面において、表面欠陥は、半導体ナノ結晶の電気的および光学的特性を減少させる電子または空孔のトラップを生ずる。半導体ナノ結晶表面の絶縁層は、電子および空孔のトラップとして作用し得るエネルギー状態を消去する界面で化学的ポテンシャルにおける突然型の原子的なジャンプを提供する。これは発光段階で高い効果を生じる。
【0083】
オーバーコーティングシェル層のための適切な物質は、半導体ナノ結晶より高いバンドギャップエネルギーを有する半導体を含む。オーバーコーティングシェル層に適切な物質は、半導体ナノ結晶より高いバンドギャップエネルギーを有することに加えて、半導体ナノ結晶において良好な伝導帯および価電子帯のオフセットを持つべきである。このように、半導体ナノ結晶コアに比べて、伝導帯は高いことが望ましく、かつ価電子帯は低いことが望ましい。従って、コアは、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaAs、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、それらの合金、またはそれらの三元および四元混合物を含むそれらの混合物を含むシェル物質でオーバーコートされ得る。オーバーコーティングシェルのバンドギャップエネルギーは、コアより大きいことが好ましい。可視(例えばCdS、CdSe、CdTe、ZnSe、ZnTe、GaP、GaAs)または近赤外(例えばInP、InAs、InSb、PbS、PbSe)においてエネルギーを放出する半導体ナノ結晶に関して、紫外領域でバンドギャップエネルギーを有する物質が用いられ得る。具体的な物質は、ZnS、GaN、および、例えばMgS、MgSeおよびMgTeのようなマグネシウムカルコゲニドを含む。近赤外域で放出する半導体ナノ結晶として、CdSまたはCdSeのような可視域においてバンドギャップエネルギーを有する物質も用いられる。オーバーコーティングシェル層は、半導体物質の単分子層を8まで含んでもよい。
【0084】
可視域での放出のために特に好ましい半導体ナノ結晶は、CdX3(ここで、X3はS、SeおよびTeである)、ならびに、ZnY3(ここで、Y3はSe、Teである)を含む。これらの分子に関して、ZnSはオーバーコートとして用いるのに好ましい物質である。CdTeに関して、ZnSeは物質間の結晶格子の合わせ(lattice match)がより高い程度であることにより、オーバーコートとして用いるのに好ましい物質であり得る。本発明で用いられるオーバーコートされたナノ結晶は、Dabbousi et al. (1997) J. Phys. Chem. B, 101(46):9463, and Kuno et al.において詳細に説明されている。
【0085】
多くの先行技術の半導体ナノ結晶は配位溶媒中で調製されており、ナノ結晶表面上に有機溶媒で構成される不活性化有機層が形成される。従って不活性化半導体ナノ結晶は、例えばトルエン、クロロホルムおよびヘキサンのような有機溶媒に容易に溶解する。本発明は、その代わりに、表面を修飾した、水性媒体中で可溶性である粒子を提供する。本発明によれば、半導体ナノ結晶の表面は、水溶液中で半導体ナノ結晶を安定化する外層で被覆される。外層は、粒子表面へ付着される少なくとも一つの結合成分、および、少なくとも一つの親水性成分で末端化される少なくとも一つの結合成分を有する分子を含む。結合成分および親水性成分は、必要であれば、その領域での電荷移動を防ぐのに十分な疎水性領域により離れて間隔があけられている。疎水性領域はまた、ナノ結晶のための「偽性の疎水性(pseudo-hydrophobic)」環境を提供しており、それによって水性環境から保護している。高い量子効率を示すために、粒子が互いに電気的に孤立しているままであることが望ましい。本発明の外層は、各半導体ナノ結晶間の望ましい孤立を維持するという、追加の有用な目的の役に立つ。
【0086】
外層は、本明細書中で述べられるような構造的および性能的基準に見合う任意の物質から製造され得る。その物質は有機または無機であり得る。特に好ましい実施形態において、分子は有機分子である。いくつかの実施形態において、外層は、2以上の異なる水溶性化する分子の混合物であり得る。他の実施形態において、外層は、半導体ナノ結晶へ望ましい特性を提供するように選択される追加の分子を含んでもよい。例えば、外層は、他の基質または分子と反応するための反応性官能基を有する分子を含む。
【0087】
適切な結合成分としては、酸素(O)、硫黄(S)、窒素(N)およびリン(P)のような、半導体表面との相互作用に利用される電子対を有する分子が挙げられる。具体的な分子としては、例えばアミン、チオール、ホスフィン、アミンオキシド、ホスフィンオキシド等のような、電子供与性成分が挙げられる。結合成分は、結合基の窒素、硫黄、酸素またはリン原子の孤立電子対の配位結合により、初めに半導体ナノ結晶表面に付着する。共有結合およびイオン結合もまた、半導体ナノ結晶と外層との相互作用を形成するために用いられ得る。
【0088】
単一の結合成分を有する分子は、水溶性化する特性を有する外層を形成する。しかしながら、図2Aで概略的に示すように、複数の結合成分を含むことが分子にとって望ましいことがある。すなわち、該分子は、2以上の結合基22、22’を有する二座または三座配位子であり得る。結合基としては、上記と同様のものが使用できる。例えば、該分子は、誘導されたジチオール、ジアミン、トリアミン、ジホスフィン等であり得る。結合基は、同一であってもまたは異なっていてもよい。
【0089】
多座配位子は、有機層と得られる水溶性ナノ結晶とに、増強された安定性および強さを提供する。特定の操作様式に関係なく、多座配位子の半導体ナノ結晶に対する結合係数が増加することによって、水溶性ナノ結晶の改善された安定性が達成される、と考えられる。有機層が溶媒和された溶媒分子(solvated solvent molecules)(以下を参照)との交換反応によって形成され、それに続いて水溶性化する分子もまた半導体ナノ結晶表面で変換され得る。例えば、外層は水溶性層の分離(dialysis)によって少なくとも部分的に除去され得ることが観察されている。多座配位子を使用することによって、半導体ナノ結晶と分子との相互作用の強度が増加し、かつ他の配位分子による有機層の交換が起こり難くなる。
【0090】
得られた水溶性半導体ナノ結晶の増加した安定性は、被覆された半導体ナノ結晶のサイズ選択的析出において質的に観察されている。例えばリポ酸のような二座配位子でオーバーコートされた半導体ナノ結晶は、比較の単座配位子被覆分子に対して、懸濁安定性において4倍の増加を示した。
【0091】
親水性成分は、極性基または(正または負に)荷電された基であり得る。基の極性または荷電によって必須の水との親水性相互作用が提供され、半導体ナノ結晶の安定な溶液または懸濁液が提供される。具体的な親水性基としては、ヒドロキシド(−OH)、アミンのような極性基、ポリエチレングリコール等のようなポリエーテル、さらにカルボキシレート(CO2 -)、スルホネート(SO3 -)、ホスフェート(PO4 2- )およびホスホネート(PO3 2- )、ニトレート、アンモニウム塩(NH4 +)等のような荷電された基を含む。
【0092】
水溶性は単一の親水性基を有する分子を用いて達成されてきた。しかしながら、図2Bで概略的に示されるように、該分子において1以上の親水性成分を含むことが望ましい。図2Bは、少なくとも二つの親水性成分24、24’を有する分子を示している。親水性基は同一であってもまたは異なっていてもよい。また図2Cに示されるように、水溶性分子は複数の結合基および親水性基を含みうることが考えられる。
【0093】
疎水性領域は、半導体ナノ結晶コアまたは周囲環境の双方から表面への空孔の電荷移動によって表面が光酸化されることを防ぐように選択される。一般的なプロセスは、例えば半導体ナノ結晶またはオーバーコーティング層がSまたはSeを含む場合において(半導体ナノ結晶の)硫黄またはセレニウムのSO2またはSeO2への結果として生じる酸化を伴なう周囲環境からの水の電気分解を含む。層での電荷移動は、半導体の励起状態のための非エネルギー的な放出経路を表しており、それによって光ルミネセンスは顕著に減少または抑制される。
【0094】
先行技術の半導体ナノ結晶の表面修飾としては、2−メルカプトエタノール、1−チオグリセロールおよび3−メルカプトプロピオン酸によるCdSナノ結晶のキャッピングが挙げられる。Lawless et al.およびRogach et al, を参照。これら短鎖の有機分子は、最適な発光を示す水溶性半導体ナノ結晶を提供しない。なぜなら、短い炭素鎖は、光酸化プロセスに対する半導体ナノ結晶の十分な絶縁性を提供しないからである。それゆえに電荷移動は、半導体ナノ結晶とカルボキシレートまたは水性環境のいずれかとの間で生じる。短鎖の有機分子を用いた系において、ルミネセンスは部分的に抑制され、量子収量は低く、すなわち1%未満である。
【0095】
本発明の一つの実施形態において、疎水性領域は長鎖の炭化水素成分−(CH2n−であり、ここで、nは6より大きく、好ましくは8より大きい。nが11〜15の炭化水素成分は、本発明の水溶性ナノ結晶の製造において好適に使用され得る。炭化水素鎖の長さの上限はないが、非常に長い炭化水素鎖は、ナノ結晶を望ましくなく「油性」にすることがある、と考えられる。疎水性領域はまた、分岐した炭化水素も含んでもよい。
【0096】
他の実施形態において、疎水性領域は修飾された炭化水素主鎖を含んでもよい。この修飾は、例えば、疎水性主鎖の長さを増すために用いられるカルボジイミドカップリングのようなカップリング反応によるものであり得る。あるいは、近接する分子と水溶性配位子との引力の相互作用を改善するように、炭素以外の原子が主鎖に導入されてもよい。
【0097】
主鎖はまた、ファンデルワールス力または水素結合のような力を介して近接する疎水性領域にひきつけられるペンダント基を含むように修飾される。近接する分子間の引力の相互作用は、半導体ナノ結晶の外層を安定化するように作用する。結合成分が半導体ナノ結晶表面から分離する場合において、その近接するものの引力の相互作用は、その結合成分が表面に再配位できるまで、分子が半導体ナノ結晶と密接に会合し続けるように補助する。
【0098】
具体的な修飾としては、アミド、ケトン、エーテルおよび芳香族成分等を、全体または部分的に炭化水素主鎖に置換する、または、炭化水素主鎖からのペンダント基として付着させることが挙げられる。その成分の極性特性により近接する分子との水素結合および他の引力の相互作用が促進され、それにより被覆が安定化され、水溶液中におけるその強固さが増加される。
【0099】
本発明の他の実施形態において、外層の分子は、その近接する分子に架橋されている、または、重合されている。架橋は、半導体表面で効果的に多座配位子を形成することによって層へ安定性を提供し、それにより顕著に配位子の非持久性を減少させ、被覆の強固さおよび安定性を増加させる。具体的な架橋ネットワークは、図3に概略的に示される。
【0100】
最後に、炭化水素鎖はある程度の不飽和度を含んでもよく、これにより紫外線エネルギーまたは他のラジカル開始剤に晒されて架橋され、近接する配位子はブリッジされる。炭化水素が不飽和であること(およびその後の架橋)によって、半導体表面の光誘導性分解(photoinduced degradation)を防ぐのに望ましい疎水性が維持される。
【0101】
本発明の一つの実施形態において、外層は、架橋または重合されうる不飽和疎水性成分で末端化されている。例えば、図4に示すように、不飽和成分は、ラジカル開始剤、熱、紫外線エネルギー等に晒すことにより重合され、ポリ(メタクリレート)を形成しうるアクリレートまたはメタクリレートである。結果として、ポリマーネットワークを生じ、この実施例においては、半導体ナノ結晶と相互作用し効果的に水性環境から半導体ナノ結晶を遮蔽するポリ(メタクリレート)を生じる。ポリ(メタクリレート)は、脱プロトン化し、電荷表面(charged surface)を提供し、ナノ結晶を水溶性にする。重合のための他の具体的な不飽和成分としては、例えばカルボキシレートおよびスルホネート等のような水溶性化する官能基(water-solubilizing functional group)を含むように誘導されたアクリル酸およびポリスチレンが挙げられる。
【0102】
本発明の他の実施形態において、外層は、必須の結合性、親水性および疎水性機能を付与するブロックコポリマーを含む。該ポリマーは、少なくとも、結合成分として機能化できるペンダント基を含む第一ブロック、および、親水性成分として機能化できるペンダント基を含む第二ブロックを含む。そのポリマー主鎖は、疎水性領域として機能し得る。結合および親水性成分は直接炭化水素主鎖に付着され得る、または、それらは中間スペーシング基(intermediary spacing groups)を介して付着され得る。例えば、結合基Yは、半導体表面により接近する芳香族またはアルキルスペーシング基で末端化されている。
【0103】
本発明の一つの実施形態において、該分子は構造式(V):
【0104】
【化13】
Figure 0004404489
【0105】
を有し、ここでR1、R2、R4、X2、Y2、m’およびn’は上記で定義した通りである。構造式(V)を有する分子の一つの具体的な実施形態において、該分子は式
【0106】
【化14】
Figure 0004404489
【0107】
を有するブロックコポリマーであり、ここでXおよびYはそれぞれ結合および親水性成分であり、上述した任意の成分でありうる。RおよびR’は水素原子、Rは極性成分、および、R’は非極性成分であり得る。ブロックコポリマーは300〜50,000の分子量を有し得る。親水性および結合成分に関するブロックの大きさは好ましくは約3〜100の範囲内である。
【0108】
本発明で用いられる具体的な分子は、構造式(I)
【0109】
【化15】
Figure 0004404489
【0110】
(ここでX、z、nおよびyは上記で定義した通りである)、構造式(II)
【0111】
【化16】
Figure 0004404489
【0112】
または構造式(III)
【0113】
【化17】
Figure 0004404489
【0114】
(ここで、Y、Z、X、X’およびX”は上記で定義した通りである)、構造式(IV)
【0115】
【化18】
Figure 0004404489
【0116】
(ここでR1、R2、R3、R4、a、b、c、およびdは上記で定義した通りである)
を有する。
【0117】
本発明の水溶性ナノ結晶の外層において用いられる上記で提供された式を有する具体的な分子としては、長鎖アミノカルボン酸、NH2(CH2nCOOHならびにホスフィノカルボン酸(phosphinocarboxylic acids)、P((CH2nCOOH)3およびそれらの酸化物O=P((CH2nCOOH)3が挙げられ、ここでnは6以上、好ましくはnは8以上、より好ましくはnは10〜12である。カルボン酸は脱プロトン化されて、親水性成分を提供し得る。他の適切な分子としては、ジヒドロリポ酸、HSCH2CH2CH(SH)(CH24COOH、またより一般的にはHSCH2CH2CH(SH)(CH2nCOOH(ここでnは1〜10である)のような二座配位子が挙げられる。配位子の長さは、標準的なカルボジイミドカップリング方法により増加され、式HSCH2CH2CH(SH)(CH24CONH(CH2nCOOHを有する化学種(species)が形成される。市販の多くの前駆物質により、nは2から少なくとも10にまで容易に変えられる。さらに詳細なカルボジイミドカップリング反応は、Rich et al. (1979) The Peptides Vol. 1, Academic Press, pp. 241-2561で見出される。
【0118】
他の適切な二座配位子としては、上記分子の第一アミン含有類似体、H2NCH2CH2CH(NH2)(CH2nCOOH;(HOOC(CH2n)HNCH2CH2NH((CH2nCOOH)のようなエチレンジアミンの誘導体;(HOOC(CH2n2PCH2CH2P((CH2nCOOH)2のようなジホスフィン;および相当するジホスフィンオキシド(HOOC(CH2n2P(O)CH2CH2P(O)((CH2nCOOH)2が挙げられる。上述のカルボン酸誘導体を用いる利点としては、それら自身に広範囲の化学的特性を与えることである。例えば、水溶性半導体ナノ結晶は、分析で使用するために、生物学的親和性を有する分子とカップリングされ得る。他の例として、水溶性半導体ナノ結晶は、物を追跡もしくは同定するため、ビーズ、固形支持体または関心のある対象物にカップリングされ得る。さらに詳細には、共に出願中の米国出願番号第09/156,457号および第09/160,458号を参照。
【0119】
当業者にとって、これらに限定されないが、ヒドロキシド、例えばポリエチレングリコールのようなポリエーテル等ならびにアミンのような広範囲の荷電された基または極性基で、さらにカルボキシレート、スルホネート、ホスフェート、ニトレート、アンモニウム塩等のような荷電基で、上記で列挙した分子のカルボン酸成分が置換され得ることは明らかであろう。例えばここで列挙されたような分子は、市販されている、または、当業界で周知の方法で合成され得る。さらに、上述の疎水性領域および親水性基に関する修飾が、本発明の外層被覆における使用に適した配位子の調整において、前述の分子に取り入れられ得る、ということも明らかであろう。
【0120】
本発明の他の観点において、水溶性外層は、半導体表面に親和性を有する内層(inner layer)、および、水性媒体に親和性を有する親水性層において末端化されている外層(outer layer)から構成される二重層であり得る。図5Aは、本発明の外部二重層に用いられる具体的な分子を示している。該分子、ジオクチルスルホスクシネート(aerosol OT TM)は、疎水性炭化水素領域52(図5において概略的に「−−−−」として示される)、荷電された親水性領域54(図5Aにおいて「O」として示される)を含む。具体的な二重層分子は図5Bに示され、ここで内層40は、半導体表面に親和性を有する結合成分44を持つ分子42(ここではTOPO)を含む。疎水性テール(hydrophobic tail)48は結合成分から延長される。第二外層50は、水性媒体との好適な相互作用のための内層疎水性領域(inner hydrophobic region)52および末端親水性成分(terminal hydrophilic moiety)54からなる。内層および外層の疎水性領域48、52はそれぞれ、水性媒体中で優先的に相互作用し、そこでナノ結晶をカプセル化したミセルを形成する。図5Bもまた、本発明の二重層の形成を生じる変換反応を説明している。
【0121】
内層は、一般的に半導体ナノ結晶の製造に用いられる溶媒が配位されたものを含んでもよい。具体的な分子としては、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、トリブチルホスフィン(TBP)等のようなトリアルキルホスフィンならびにホスフィンオキシドが挙げられる。ヘキサデシルアミンは、特にZnSeを溶媒和するために使用可能な溶媒である。
【0122】
第二外層は、非極性テール(non-polar tail)および極性ヘッド(polar head)を有する任意の界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤の例としては、これらに限定されないが、ジオクチルスルホスクシネートナトリウム(商標名AOT soapとして知られる)、C1225(OCH2CH223OH(Brij35(登録商標))、C1837(OCH2CH210OH(Brij76(登録商標))およびC1837(OCH2CH220OH(Brij98(登録商標))が挙げられる。さらに、Ivory(登録商標)石鹸のような一般的なハンドソープも本発明の水溶性ナノ結晶の調製に好適に用いられ得る。
【0123】
水溶性ナノ結晶の調製方法を以下に示す。該方法は、CdSe(ZnS)、すなわちZnSシェルを持つCdSeコアの半導体ナノ結晶のために説明されているが、該方法は既知の半導体物質からの半導体ナノ結晶の調製に応用され得ることが理解される。
【0124】
まずほとんど単分散性のナノ結晶の集合体を調製する。ナノ結晶の実際のサイズは使用される物質によって変化するであろう。CdSeに関して、粒子は、直径が約5〜10%rmsの粒度偏差を示す、直径が約12Å〜約150Åのサイズ範囲である。単分散性のナノ結晶は、高温コロイド成長プロセス(high-temperature colloidal growth process)を用いて得られ、必要であれば、続いてサイズ選択的析出を行う。スペクトル放出線幅が所望のものほど狭くない場合、サイズ選択的析出が用いられ、狭い粒度分布の半導体ナノ結晶の集合体を得ることができる。Murray et al. (1993), the Murray thesis (1995)およびKuno et al.を参照。
【0125】
次に半導体ナノ結晶コアを、適切な半導体オーバーコーティング層、すなわちシェルで被覆し得る。実質的に単分散性の第一半導体ナノ結晶および第二半導体物質に熱変換可能な前駆体を、配位溶媒に導入することによって、被覆されたナノ結晶を調製し得る。配位溶媒は、前駆体を第二半導体物質に変換するのに十分であるが、第一半導体ナノ結晶の単分散性を実質的に変えるのには不十分な温度で維持される。好ましくは、第二半導体物質は第一半導体ナノ結晶より大きいバンドギャップを有する。第二半導体物質のオーバーコーティングシェルは、第一半導体ナノ結晶の上に形成される。ナノ結晶の単分散性は、前駆体の変換および第一半導体ナノ結晶のオーバーコーティング中、モニターされる。さらに、粒度分布は、サイズ選択的析出によって改善される。本発明の水溶性ナノ結晶で使用するための、被覆された半導体ナノ結晶の析出に関するさらなる詳細は、1997年11月13日付で出願された、上記Dabbousi等の、名称が「高発光の色−選択的物質(Highly Luminescent Color-Selective Materials)」である米国番号第08/969,302号で見出される。
【0126】
形成されたナノ結晶の外部表面は、キャッピング層を成長させるプロセス(capping layer growth process)中に用いられる配位溶媒から生じる有機層を含む。ナノ結晶表面は、本発明の水溶性ナノ結晶を得るために、過量の競合する配位基(coordinating group)に繰り返し晒すことによって修飾される。例えば、半導体ナノ結晶の分散物(dispersion)を本明細書中で説明されたような配位有機分子で処理することによって、水中で容易に分散するが、脂肪族炭化水素中ではもはや分散しないナノ結晶を製造する。このような表面交換プロセスは、例えば、ホスフィン、チオール、アミン、ホスフィンオキシドおよびアミンオキシドのような、キャップされた半導体ナノ結晶の外部表面に配位または結合できる種々の分子を用いて行われ得る。
【0127】
具体的な反応は、図6で説明される。半導体ナノ結晶60は、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)のような配位有機溶媒中で調製され、これは半導体ナノ結晶表面上に不活性化TOPO層62の形成をもたらす。水溶性ナノ結晶66を得るために、この層は、長鎖のメルカプトカルボン酸として表される本発明の外層からなる配位子54によって、少なくとも部分的に変換される。変換は、外層の被覆形成に用いられる配位子を高濃度で含む溶媒中で、半導体ナノ結晶またはオーバーコートされた半導体ナノ結晶を分散させることによって生じる。媒体は、配位子を含むニートリキッド(neat liquid)であり得、またそれは高濃度溶液であり得る。高濃度であることによって変換反応が促進され、外部被覆の分子によるナノ結晶の表面被覆が最大化される。水溶性ナノ結晶を得るために、TOPO層の変換は完了させる必要がないことに留意すべきである。
【0128】
望ましくは、ナノ結晶は配位子溶液へ繰り返し晒される。外部被覆は、本発明の、ナノ結晶の調整に用いられる最初の極性有機溶媒、および、外部被覆に用いられる水溶性分子の混合物を含み得る。水溶性分子の置換は、分子を水溶性にするのに十分であればよく、完了させる必要はない。いくつかの実施形態において、置換は約25〜50%、好ましくは60%を超過して完了される。水中で可溶化されるのに必要な実際の置換の程度は、水溶性分子上の荷電された基または極性基の数に依存する。荷電された基または極性基が多いほど、表面置換は水溶性を達成するためにより低いレベルでよい。
【0129】
また、ナノ結晶の外部被覆上に他の配位子を含むことも、本発明の範囲内である。追加の配位子が含まれることによって、追加の化学反応がナノ結晶に対して可能になる。例えば、カルボン酸、ハロゲン化アシル等の反応性基で末端化されている配位子が、ナノ結晶の外部表面に追加され得る。
【0130】
本発明は、好ましい特定の実施形態について説明されているが、前述の説明および下記の実施例も同様に、単に説明することを意図しており本発明の範囲を限定するものではないことが解されるべきである。本発明の範囲内の他の観点、利点および改変は、本発明が属する分野の当業者には明白であろう。
【0131】
下記実施例は、当該分野における通常の知識を有するものに本発明の新規な組成物をどのようにして作製、使用するかの完全な開示及び説明を提供することを意図するものであり、本発明者らが発明としてみなしている概念を制限するものではない。使用される数(例えば、量、温度など)に関する正確さを保証することに努力がなされているが、実験上の誤差や偏差は、いうまでもなく、ある程度許容されるべきである。特記しない限り、部は重量部であり、温度は摂氏温度であり、圧力は気圧であるいは気圧付近である。
【0132】
本発明の実施は、特記しない限り、当該分野における知識に含まれる、合成有機化学、生化学、分子生物学などの公知の技術を用いるものであろう。このような技術は、文献で十分説明される。例えばKirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology; House’s Modern Synthetic Reactions; the Marvel et al. text ORGANIC SYNTHESIS; Collective Volume 1を参照。
【0133】
実施例1
TOPOでキャップしたCdSe(ZnS)の調製
(a)CdSeの調製 トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO、純度90%)およびトリオクチルホスフィン(TOP、純度95%)を、それぞれストレーム社(Strem)およびフルカ社(Fluka)から得た。ジメチルカドミウム(CdMe2)およびジエチル亜鉛(ZnEt2)を、それぞれアルファ社(Alfa)およびフルカ社より得て、両方の物質を、不活性雰囲気のボックス内で0.2mフィルターにより別々にろ過した。セレン化トリオクチルホスフィン(Trioctylphosphine selenide)を、TOP100ml中に一回分のSe0.1モルを溶解することによって調製し、このようにしてTOPSeの1M溶液を製造した。ヘキサメチル(ジシラチアン)(Hexamethyl(disilathiane))(TMS2S)をアルドリッチ社(Aldrich)より得た。HPLCグレードのn−ヘキサン、メタノール、ピリジンおよびn−ブタノールをEMサイエンシズ社(EM Sciences)より得た。
【0134】
TOP/TOPOでキャップされたCdSeナノ結晶の具体的な調製を以下に示す。TOPO(30g)をフラスコに入れ、吸引下(〜1Torr)、180℃で1時間乾燥した。次にそのフラスコを窒素で満たし、350℃に加熱した。不活性雰囲気の乾燥ボックス内で、CdMe2(200μL、2.78mmol)、1MTOPSe溶液(4.0mL、4.0mmol)およびTOP(16mL)からなる注入溶液を調整した。その注入溶液を徹底的に混合し、シリンジに充填し、乾燥ボックスより取り出した。
【0135】
熱を反応フラスコから取り除き、その試薬混合物を一回の連続した注入で強く攪拌しているTOPOに導入した。これによって、470〜500nmの鋭い吸収特徴を有する濃黄色/橙色の溶液を得て、さらに温度を〜240℃に急激に下げた。反応フラスコを再び加熱し、温度を徐々に260〜280℃に上げた。
【0136】
反応溶液の一定量を規則的なインターバル(5〜10分)で分取し、吸収スペクトルを測定して微結晶の成長をモニターした。吸収スペクトルにおける特徴の鋭さから推測されるような粒度分布の変化に応じて成長温度を調節することによって、2〜3時間の一定した成長期間の後、最も良いサンプルを調製した。粒度分布の増加に応じて、温度を5〜10℃下げた。あるいは、反応をこの時点で止めることもできる。成長が停止したようにみえる時点で、温度を5〜10℃上げた。望ましい吸収特徴が得られた時点で、反応フラスコを約60℃まで冷却し、ブタノール20mLを加えてTOPOの固化を防止した。かなり過量のメタノールを添加することによって、粒子を凝集させた。その凝集物を遠心分離によって上澄み液から分離した。生じた粉末を様々な有機溶媒(アルカン、エーテル、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエンなど)に分散させ、必要であれば透明な溶液を製造した。
【0137】
その粉末はさらに、必要であればサイズ選択的析出方法で最適化されうる。ナノ微結晶をヘキサン中の〜10%ブタノール溶液に分散させた。次にメタノールを、乳白光が持続するまでこの攪拌溶液に滴下して加えた。遠心分離によって上澄みと凝集物とを分離して、サンプル中に最大の微結晶が豊富な析出物を製造した。この方法を、光学的吸収スペクトルの鋭さがもはやみられなくなるまで繰り返した。サイズ選択的析出は、例えばピリジン/ヘキサンおよびクロロホルム/メタノールのような種々の溶媒/非溶媒対中で行うことができる。
【0138】
(b)CdSe(ZnS)の調製 TOPO5gを含むフラスコを、吸引下で数時間、190℃まで加熱し、次に60℃まで冷却し、その後トリオクチルホスフィン(TOP)を0.5mL加えた。CdSeナノ結晶0.1〜0.4μmolをざっとヘキサン中に分散させ、シリンジを用いて反応容器へ移し、溶媒をポンプで抜き取った。ジエチル亜鉛(ZnEt2)およびヘキサメチルジシラチアン((TMS)2S)をそれぞれZnおよびS前駆体として用いた。特定のサンプルに関する粒度分布は、粒度がわかっている既知半導体ナノ結晶の粒度分布に関する光学的データと比較することによって測定された。各CdSeサンプルにおいて望ましい厚さのZnSシェルを成長させるのに必要なZnおよびS前駆体の量を、球状のコアおよびシェルを想定しかつCdSeおよびZnSのバルクの格子パラメータを考慮した、コア量に対するシェル量の割合に基づき計算した。より大きい粒子の、同じ厚さのシェルを達成するために必要なCdに対するZnの割合は、より小さいナノ結晶に比べて小さい。CdSeコア上で成長するZnSの実際の量は、前駆体の不完全反応や添加中にフラスコの壁で多少物質が失われることに起因して、概して加えられた量より少なかった。
【0139】
等モル量の前駆体を、不活性雰囲気のグローブボックス内でTOP2〜4mLに溶解した。その駆体溶液をシリンジに充填し、反応フラスコに取り付けられた添加漏斗へ移した。TOPOおよびTOP中に分散したCdSeナノ結晶を含む反応フラスコを、N2雰囲気下で加熱した。前駆体が添加される温度は、直径が23Åであるナノ結晶に対する140℃から、直径が55Åであるナノ結晶に対する220℃の範囲であった。望ましい温度に到達した時に、ZnおよびS前駆体を、5〜10分以上かけて強く攪拌している反応混合物中に滴下して加えた。
【0140】
添加が完了した後、その混合物を90℃に冷却し、数時間攪拌しつづけた。ブタノール(5mL)をその混合物に加えて、室温へ冷却するときTOPOが固化することを防止した。オーバーコートされた粒子をそれらの成長溶液中で保存し、ナノ結晶表面がTOPOで不活性化されていることを確認した。それらは後で、メタノールで析出させることにより粉末形状で回収され、ヘキサン、クロロホルム、トルエン、THFおよびピリジンを含む様々な溶媒に再分散させた。
【0141】
実施例2
長鎖のメルカプトカルボン酸を用いた水溶性半導体ナノ結晶の調製
TOPOでキャップされたCdSe(ZnS)半導体ナノ結晶を、実施例1で説明したように調整した。オーバーコートされたCdSe(ZnS)ナノ結晶を、ブタノールおよびメタノールの混合物を用いた成長溶液で析出させた。析出した半導体ナノ結晶を得るために、その溶液を5〜10分遠心分離し、その上澄み液をデカンテーションし、残留物をメタノール(2%)で洗浄した。
【0142】
残留物の質量を計量した。TOPOキャップの質量は総質量の30%と推測され、30倍を超過するモル量の、新たなキャッピング分子である11−メルカプトウンデカン酸(MUA)を添加した。残留物およびMUA(ニート溶液(neat solution))を60℃で8〜12時間攪拌した。添加されたMUAに等しい量のテトラヒドロフラン(THF)をMUA/ナノ結晶混合物に添加し、その間その混合物は熱いままであった。生じた透明溶液および被覆された半導体ナノ結晶をTHF中で保存した。
【0143】
被覆された半導体ナノ結晶を、MUAのカルボン酸官能基の脱プロトン化によって水溶性にした。脱プロトン化は、t−ブトキシドカリウム(potassium t-butoxide)のTHFの懸濁液を、MUA−半導体ナノ結晶/THF溶液に添加することによって達成された。ゲルが生じ、次に遠心分離して上澄み液を除去した。残留物を二回THFで洗浄し、それぞれにおいて遠心分離し、上澄み液を除去した。最終的な残留物を10分間空気乾燥した。脱イオン水(ミリポア社(Millipore))を、透明溶液が形成されるまでその残留物に加えた。
【0144】
半導体ナノ結晶を被覆した結果物を、光ルミネセンス量子収量について試験した。上述のように被覆されたZnSの4つの単層被覆を有するCdSe半導体ナノ結晶は、480nmにおいて吸収バンド、500nmにおいて12%の量子収量を有する光ルミネセンスバンドを有していた。上述のように被覆されたZnSの4つの単層被覆を有する第二CdSe半導体ナノ結晶は、526nmにおいて吸収バンド、542nmにおいて18%の量子収量を有する光ルミネセンスバンドを有していた。
【0145】
実施例3
多座配位子を用いた水溶性半導体ナノ結晶の調製
二座配位子であるジヒドロリポ酸を用いた以外は実施例2で説明されたように、水溶性半導体ナノ結晶を調整した。二座配位のジチオール配位子の合成を、補酵素リポ酸の還元によって達成した。一般的な方法は、Gunsalus et al. (1956) J. Am. Chem. Soc. 78:17631766で説明される。0℃の0.25M炭酸水素ナトリウム水溶液117mL中のリポ酸(6.0g)の攪拌懸濁液に、水素化硼素ナトリウム(1.2g)を30〜50mgに分配して加えた。反応を0℃で45分攪拌して行い、その後、トルエン100mLを加えて、その混合物を塩酸を用いて〜pH2に酸性化した。トルエン層を回収し保存した。水層を15mLトルエンで3回洗浄した。有機層を合わせて、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、吸引下で溶媒を除去し、生成したジヒドロリポ酸を黄色のオイルとして得た(収率80%)。
【0146】
キャップの交換を、11−メルカプトウンデカン酸に関して説明されたのと同じ方法を用いて行った。TOPOでキャップされたCdSe(ZnS)半導体ナノ結晶を溶液で析出し、メタノールで2回洗浄した。残留した粉末を、透明溶液を製造するのに必要な最小量のジヒドロリポ酸(通常、300〜600mg)に、70℃で溶解した(窒素雰囲気下)。この混合物を70℃で6時間攪拌し、室温で保存した。ナノ結晶を、メルカプトカルボン酸配位子で説明されたように、THF中のt−ブトキシドカリウム(potassium tbutoxide)で処理することによって水溶性にした。
【0147】
実施例4
界面活性剤を用いた水溶性半導体ナノ結晶の調製
TOPOでキャップされたCdSe(ZnS)半導体ナノ結晶を、実施例1で説明されたように調整した。半導体ナノ結晶をヘキサン中に溶解し、CdSe(ZnS)ナノ結晶の約0.001〜0.01モル濃度の溶液を得た。十分量の界面活性剤ジオクチルスルホスクシネート(商標名AOT)を混合物に加え、5質量%の界面活性剤を含む溶液を製造した(ただし、液体Ivory(登録商標)石鹸も用いられた)。ヘキサン溶媒を吸引下で揮発させた。生じた固体残留物を水に溶解し、その量子収量が最初のサンプルとほぼ同じ(最初の値の〜75%)である透明溶液を得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の水溶性ナノ結晶の概略図である。
【図2】 図2は、ナノ結晶の水溶性層の、いくつかの選択しうる実施形態の概略図である。
【図3】 図3は、本発明の架橋炭化水素親水性主鎖を有する水溶性ナノ結晶の図である。
【図4】 図4は、本発明のポリメタクリレート領域を含む水溶性ナノ結晶の図である。
【図5】 図5は、本発明の二重層水溶性ナノ結晶の概略図である。
【図6】 図6は、本発明の水溶性ナノ結晶の構成において使用される変換反応の図である。

Claims (32)

  1. エネルギー放出が可能な水溶性半導体ナノ結晶であって、
    選択されたバンドギャップエネルギーを有する半導体ナノ結晶コア;
    該半導体ナノ結晶コアをオーバーコートするシェル層(該シェルは、該コアのものより大きいバンドギャップエネルギーを有する半導体物質を含む);
    ナノ結晶への付着用の少なくとも一つの結合基を含む第一部分および少なくとも一つの親水性基を含む第二部分を有する配位子を含む外層
    を含み、
    該配位子は、構造式(I):
    Figure 0004404489
    ここで、Xは該配位子の第一部分であり、N、PまたはO=Pであり;
    nは6以上であり;並びに
    zおよびyはXの原子価の必要条件を満たすように選択される、
    で表される分子またはその塩を含む、水溶性半導体ナノ結晶。
  2. エネルギー放出が可能な水溶性半導体ナノ結晶であって、
    選択されたバンドギャップエネルギーを有する半導体ナノ結晶コア;および
    ナノ結晶への付着用の少なくとも一つの結合基を含む第一部分および少なくとも一つの親水性基を含む第二部分を有する配位子を含む外層
    を含み、
    該配位子は、構造式(I):
    Figure 0004404489
    ここで、Xは配位子の第一部分であり、N、PまたはO=Pであり;
    nは6以上であり;並びに
    zおよびyはXの原子価の必要条件を満たすように選択される、
    で表される分子またはその塩を含む、水溶性半導体ナノ結晶。
  3. エネルギー放出が可能な水溶性半導体ナノ結晶であって、
    選択されたバンドギャップエネルギーを有する半導体ナノ結晶コア;
    該半導体ナノ結晶コアをオーバーコートするシェル層(該シェルは、該半導体ナノ結晶のものより大きいバンドギャップエネルギーを有する半導体物質を含む);および
    該シェルをオーバーコートする二重層(該二重層は、
    該シェルに親和性を有する内層;および
    ナノ結晶への付着用の少なくとも一つの結合基を含む第一部分および少なくとも一つの親水性基を含む第二部分を有する配位子を含む外層
    を含む)
    を含み、
    該親水性基は、該内層に近接する疎水性領域により該内層から離れて間隔があけられ、
    該配位子は、構造式(I):
    Figure 0004404489
    ここで、Xは配位子の第一部分であり、N、PまたはO=Pであり;
    nは6以上であり;並びに
    zおよびyはXの原子価の必要条件を満たすように選択される、
    で表される分子またはその塩を含む、水溶性半導体ナノ結晶。
  4. エネルギー放出が可能な水溶性半導体ナノ結晶であって、
    選択されたバンドギャップエネルギーを有する半導体ナノ結晶コア;
    該半導体ナノ結晶コアをオーバーコートするシェル層(該シェルは、該コアのものより大きいバンドギャップエネルギーを有する半導体物質を含む);
    ナノ結晶への付着用の少なくとも一つの結合基を含む第一部分および少なくとも一つの親水性基を含む第二部分を有する配位子を含む外層
    を含み、
    該配位子は、構造式(II)
    Figure 0004404489
    ここで、
    Yは親水性成分であり;
    Zは少なくとも6個の原子からなる主鎖を有する疎水性領域であり;
    XおよびX’は、個々にもしくは一緒に結合基であり、同一もしくは異なるものであり、S、N、PおよびO=Pからなる群より選択され、または一緒に結合してナノ結晶表面に配位時に5員〜8員環を形成する、
    で表される多座配位の分子を含む、水溶性半導体ナノ結晶。
  5. エネルギー放出が可能な水溶性半導体ナノ結晶であって、
    選択されたバンドギャップエネルギーを有する半導体ナノ結晶コア;ならびに
    ナノ結晶への付着用の少なくとも一つの結合基を含む第一部分および少なくとも一つの親水性基を含む第二部分を有する配位子を含む外層
    を含み、
    該配位子は、構造式(II)
    Figure 0004404489
    ここで、
    Yは親水性成分であり;
    Zは少なくとも6個の原子からなる主鎖を有する疎水性領域であり;
    XおよびX’は、個々にもしくは一緒に結合基であり、同一もしくは異なるものであり、S、N、PおよびO=Pからなる群より選択され、または一緒に結合してナノ結晶表面に配位時に5員〜8員環を形成する、
    で表される多座配位の分子を含む、水溶性半導体ナノ結晶。
  6. エネルギー放出が可能な水溶性半導体ナノ結晶であって、
    選択されたバンドギャップエネルギーを有する半導体ナノ結晶コア;
    該半導体ナノ結晶コアをオーバーコートするシェル層(該シェルは、該半導体ナノ結晶のものより大きいバンドギャップエネルギーを有する半導体物質を含む);および
    該シェルをオーバーコートする二重層(該二重層は、
    該シェルに親和性を有する内層;および
    ナノ結晶への付着用の少なくとも一つの結合基を含む第一部分および少なくとも一つの親水性基を含む第二部分を有する配位子を含む外層
    を含む)
    を含み、
    該親水性基は、該内層に近接する疎水性領域により該内層から離れて間隔があけられ、
    該配位子は、構造式(II):
    Figure 0004404489
    ここで、
    Yは親水性成分であり;
    Zは少なくとも6個の原子からなる主鎖を有する疎水性領域であり;
    XおよびX’は、個々にもしくは一緒に結合基であり、同一もしくは異なるものであり、S、N、PおよびO=Pからなる群より選択され、または一緒に結合してナノ結晶表面に配位時に5員〜8員環を形成する、
    で表される多座配位の分子を含む、水溶性半導体ナノ結晶。
  7. エネルギー放出が可能な水溶性半導体ナノ結晶であって、
    選択されたバンドギャップエネルギーを有する半導体ナノ結晶コア;
    該半導体ナノ結晶コアをオーバーコートするシェル層(該シェルは、該コアのものより大きいバンドギャップエネルギーを有する半導体物質を含む);
    ナノ結晶への付着用の少なくとも一つの結合基を含む第一部分および少なくとも一つの親水性基を含む第二部分を有する配位子を含む外層
    を含み、
    該配位子は、構造式(III):
    Figure 0004404489
    ここで、
    Yは親水性成分であり;
    Zは少なくとも6個の原子からなる主鎖を有する疎水性領域であり;
    X、X’およびX”は、個々にもしくは一緒に結合基であり、同一もしくは異なるものであり、S、N、PおよびO=Pからなる群より選択され、または一緒に結合してナノ結晶表面に配位時に5員〜8員環を形成する、
    で表される多座配位の分子を含む、水溶性半導体ナノ結晶。
  8. エネルギー放出が可能な水溶性半導体ナノ結晶であって、
    選択されたバンドギャップエネルギーを有する半導体ナノ結晶コア;ならびに
    ナノ結晶への付着用の少なくとも一つの結合基を含む第一部分および少なくとも一つの親水性基を含む第二部分を有する配位子を含む外層
    を含み、
    該配位子は、構造式(III):
    Figure 0004404489
    ここで、
    Yは親水性成分であり;
    Zは少なくとも6個の原子からなる主鎖を有する疎水性領域であり;
    X、X’およびX”は、個々にもしくは一緒に結合基であり、同一もしくは異なるものであり、S、N、PおよびO=Pからなる群より選択され、または一緒に結合してナノ結晶表面に配位時に5員〜8員環を形成する、
    で表される多座配位の分子を含む、水溶性半導体ナノ結晶。
  9. エネルギー放出が可能な水溶性半導体ナノ結晶であって、
    選択されたバンドギャップエネルギーを有する半導体ナノ結晶コア;
    該半導体ナノ結晶コアをオーバーコートするシェル層(該シェルは、該半導体ナノ結晶のものより大きいバンドギャップエネルギーを有する半導体物質を含む);および
    該シェルをオーバーコートする二重層(該二重層は、
    該シェルに親和性を有する内層;および
    ナノ結晶への付着用の少なくとも一つの結合基を含む第一部分および少なくとも一つの親水性基を含む第二部分を有する配位子を含む外層
    を含む)
    を含み、
    該親水性基は、該内層に近接する疎水性領域により該内層から離れて間隔があけられ、
    該配位子は、構造式(III):
    Figure 0004404489
    ここで、
    Yは親水性成分であり;
    Zは少なくとも6個の原子からなる主鎖を有する疎水性領域であり;
    X、X’およびX”は、個々にもしくは一緒に結合基であり、同一もしくは異なるものであり、S、N、PおよびO=Pからなる群より選択され、または一緒に結合してナノ結晶表面に配位時に5員〜8員環を形成する、
    で表される多座配位の分子を含む、水溶性半導体ナノ結晶。
  10. エネルギー放出が可能な水溶性半導体ナノ結晶であって、
    選択されたバンドギャップエネルギーを有する半導体ナノ結晶コア;
    該半導体ナノ結晶コアをオーバーコートするシェル層(該シェルは、該コアのものより大きいバンドギャップエネルギーを有する半導体物質を含む);
    ナノ結晶への付着用の少なくとも一つの結合基を含む第一部分および少なくとも一つの親水性基を含む第二部分を有する配位子を含む外層
    を含み、
    該配位子は、式:
    Figure 0004404489
    ここで、
    Xは、同一もしくは異なるものであり、S、N、PまたはO=Pであり、原子価の必要条件を満たすように他の置換基を含んでもよく;Yは親水性成分であり;Rは水素原子または極性成分であり;R’は水素原子または非極性成分であり;mは3〜100の範囲であり;nは3〜100の範囲である、
    で表される多座配位の分子を含む、水溶性半導体ナノ結晶。
  11. エネルギー放出が可能な水溶性半導体ナノ結晶であって、
    選択されたバンドギャップエネルギーを有する半導体ナノ結晶コア;ならびに
    ナノ結晶への付着用の少なくとも一つの結合基を含む第一部分および少なくとも一つの親水性基を含む第二部分を有する配位子を含む外層
    を含み、
    該配位子は、式:
    Figure 0004404489
    ここで、
    Xは、同一もしくは異なるものであり、S、N、PまたはO=Pであり、原子価の必要条件を満たすように他の置換基を含んでもよく;Yは親水性成分であり;Rは水素原子または極性成分であり;R’は水素原子または非極性成分であり;mは3〜100の範囲であり;nは3〜100の範囲である、
    で表される多座配位の分子を含む、水溶性半導体ナノ結晶。
  12. エネルギー放出が可能な水溶性半導体ナノ結晶であって、
    選択されたバンドギャップエネルギーを有する半導体ナノ結晶コア;
    該半導体ナノ結晶コアをオーバーコートするシェル層(該シェルは、該半導体ナノ結晶のものより大きいバンドギャップエネルギーを有する半導体物質を含む);および
    該シェルをオーバーコートする二重層(該二重層は、
    該シェルに親和性を有する内層;および
    ナノ結晶への付着用の少なくとも一つの結合基を含む第一部分および少なくとも一つの親水性基を含む第二部分を有する配位子を含む外層
    を含む)
    を含み、
    該親水性基は、該内層に近接する疎水性領域により該内層から離れて間隔があけられ、
    該配位子は、式:
    Figure 0004404489
    ここで、
    Xは、同一もしくは異なるものであり、S、N、PまたはO=Pであり、原子価の必要条件を満たすように他の置換基を含んでもよく;Yは親水性成分であり;Rは水素原子または極性成分であり;R’は水素原子または非極性成分であり;mは3〜100の範囲であり;nは3〜100の範囲である、
    で表される多座配位の分子を含む、水溶性半導体ナノ結晶。
  13. 該結合基は、アミン、チオール、ホスフィン、ホスフィンオキシドおよびアミンオキシドからなる群より選択される成分を含む、請求項4〜12のいずれか1項に記載の水溶性ナノ結晶。
  14. 該親水性基は、荷電された基または極性基である、請求項4〜13のいずれか1項に記載の水溶性ナノ結晶。
  15. 該親水性基は、カルボン酸、カルボキシレート(−CO )、スルホネート(−SO )、ヒドロキシド(−OH)、アルコキシド、アンモニウム塩(−NH )ならびにホスフェート(−PO 2−)およびホスホネート(−PO 2−)からなる群より選択される、請求項4〜14のいずれか1項に記載の水溶性ナノ結晶。
  16. 該親水性基は、架橋または重合されうる不飽和親水性基を含む、請求項4〜15のいずれか1項に記載の水溶性ナノ結晶。
  17. 該不飽和親水性基は、メタクリル酸、アクリル酸および親水性に誘導されたスチレン(hydrophilically derivatized styrene)からなる群より選択される、請求項16に記載の水溶性ナノ結晶。
  18. 配位子は、2以上の親水性基を含む、請求項4〜17のいずれか1項に記載の水溶性ナノ結晶。
  19. 該第一部分は、疎水性領域により該第二部位と離れて間隔があけられている、請求項1または2に記載の水溶性ナノ結晶。
  20. 該疎水性領域は、式−(CH2n−(ここで、nは6以上である)の炭化水素鎖を含む、請求項19に記載の水溶性ナノ結晶。
  21. nは、10〜12の範囲である、請求項20に記載の水溶性ナノ結晶。
  22. 該ナノ結晶コアは、II−VI族、III−V族またはIV族の半導体である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の水溶性ナノ結晶。
  23. 該コアは、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、MgTe、GaAs、GaP、GaSb、GaN、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InSb、InN、AlAs、AlP、AlSb、AlS、PbS、PbSe、Ge、Si、それらの合金またはそれらの混合物を含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の水溶性ナノ結晶。
  24. 該シェルは、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaAs、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、それらの合金またはそれらの混合物を含む、請求項1〜23のいずれか1項に記載の水溶性ナノ結晶。
  25. 該コアはCdSeであり、該シェルはZnSである、請求項1〜24のいずれか1項に記載の水溶性ナノ結晶。
  26. 該コアは単分散性の粒子の集合体の要素である、請求項1〜25のいずれか1項に記載の水溶性ナノ結晶。
  27. 該単分散性の粒子の集合体は、照射された場合、該集合体は、半値全幅(FWHM)が40nm未満のスペクトルにおいて光を放出することを特徴とする、請求項26に記載の水溶性ナノ結晶。
  28. 該単分散性の粒子の集合体は、コアの直径が10%rms以下の偏差を示すという特徴を有する、請求項27に記載の水溶性ナノ結晶。
  29. 該内層は、トリアルキルホスフィン、トリアルキルホスフィンオキシドおよびアルキルアミンからなる群より選択される配位親液性化合物(coordinating lyophilic compound)を含む、請求項3、6、9のいずれか1項に記載の水溶性ナノ結晶。
  30. 該外層は、界面活性剤を含む、請求項3、6、9のいずれか1項に記載の水溶性ナノ結晶。
  31. 該界面活性剤は、ジオクチルスルホスクシネートナトリウム、C1225(OCHCH23OH、C1837(OCHCH10OHおよびC1837(OCHCH20OHからなる群より選択される、請求項30に記載の水溶性ナノ結晶。
  32. 水溶性ナノ結晶を含む組成物であって、
    該水溶性ナノ結晶は、
    選択されたバンドギャップエネルギーを有する半導体ナノ結晶コアと、
    該半導体ナノ結晶コアをオーバーコートするシェル層(該シェル層は、該コアのものより大きいバンドキャップエネルギーを有する半導体物質を含む)と、
    ナノ結晶の表面への配位子の付着用の少なくとも一つの結合基、および疎水性領域での電荷移動を防ぐのに十分な疎水性領域により該結合基から離れて間隔があけられている少なくとも一つの親水性基を有する少なくとも一つの親水性基を有する、少なくともひとつの水溶性配位子を含む外層と、
    を含み、
    該配位子は、構造式(I):
    Figure 0004404489
    ここで、Xは結合基であり、N、PまたはO=Pであり;
    nは6以上であり;並びに
    zおよびyはXの原子価の必要条件を満たすように選択される、
    で表される分子またはその塩を含み、
    該水溶性ナノ結晶は水性媒体中に分散または溶解されてなる、組成物。
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