JP4395977B2 - ポリアミド繊維の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリアミド繊維の製造方法に関するものである。さらに詳細には、直接紡糸延伸によるポリアミド繊維の製造方法における延伸工程の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ナイロン6、ナイロン66をはじめとするポリアミド繊維の製造方法には、紡糸した糸条を一旦巻き取り、次行程で延伸を行う二行程法と、紡糸後一旦巻き取ることなく直ちにゴデローラ(以下、GD)の速度差を利用するなどした機械的な延伸をする直接紡糸延伸法や、高速で引き取ることにより延伸行程を省略した直接紡糸法等の一工程法とがあり、近年ではこれらの一工程法が衣料用、産業資材用を問わず多種の分野で採用されている。
【0003】
この一工程法の中で糸条を延伸する手段として、表面速度の異なるローラ上を通過させることにより糸条を延伸させる方法と、糸条に応力を付与した状態で空気や水蒸気等の熱媒により糸条を加熱、軟化させ、糸の応力により延伸させる方法が一般的に用いられている。
【0004】
これらの方法で高強度な繊維を得ようとした場合、以下に挙げるような様々な問題点が発生する。
【0005】
前者の機械延伸方法で高強度繊維を得ようとした場合、ローラ間で高倍率で延伸する必要がある。この場合、ローラ表面と糸条とのスリップを防ぐためには、長尺ネルソンローラを用いて複数回数ローラへ巻き付けたり、ローラを大径化することで、糸条とローラ表面との接触長を長くしたり、ローラを追加して延伸を多段化することで倍率を各々の延伸ローラ間で分散し、延伸張力を低下させている。しかし、これらのいずれの手法を用いてもGDの長尺化、大径化、ローラの追加等による生産設備の大型化を招く。
【0006】
また、後者の熱媒による加熱延伸方式で、フィラメント間での糸物性ばらつきを小さくするために、糸条が集束する以前、すなわち油剤付与装置通過以前に糸条を熱処理する方法が特開平10-292221号公報や特開平10-121320号公報等で提案されている。しかし、この方法においてもフィラメント内での硬度差を解消できないのみでなく、糸条の集束位置がより下流側に移動するため、単繊維繊度が細い品種や高速紡糸条件下では糸条の随伴気流により紡糸応力が高くなり、糸切れによる収率低下や、同一伸度に調整した際の糸条の強度が低下してしまうという問題を招く。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決し、ポリアミド繊維を一工程の多糸条取りかつ省スペースで製造する方法であって、給油後の糸条が集束した状態で糸条ごと非接触の、例えば、輻射式熱処理などで延伸することにより高強度な繊維を得ることができるポリアミド繊維の製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のポリアミド繊維の製造方法は、主として次の構成を有する。すなわち、ポリアミドを紡糸冷却後、油剤付与装置により油剤を付与し、集束させた繊維糸条を非接触で加熱し、しかる後にゴデローラで引き取るに際し、ゴデローラが引取用の単一の第1ゴデローラとそれに続いて糸道の方向を下向きに転換するための単一の第2ゴデローラとからなり、両ゴデローラに対する繊維糸条の巻き付け角度が360゜未満であり、上記加熱は油剤付与後、第1ゴデローラにより引き取る前に行ない、且つ加熱温度が200℃以上であることを特徴とするポリアミド繊維の製造方法、である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態の一例であって、直接紡糸延伸方法において本発明のポリアミド繊維の製造方法を模式的に表した概略工程図である。
【0011】
まず、ポリアミドを紡糸口金1から溶融紡糸した糸条Yを、冷却風を吹き付けて冷却する冷却装置2によって冷却固化し、油剤付与装置3により油剤を付与する。
油剤付与装置を通過してフィラメントが集束した糸条を非接触で、好ましくは、輻射式の熱処理装置4の中を通過させて延伸時の加熱温度が200℃以上となるよう加熱延伸する。引き続いて第1ゴデローラ(引取ローラ)5で引き取り、第2ゴデローラ6等を介した後、巻取装置7で巻き取る。
【0012】
上記工程において、溶融紡糸した糸条を冷却装置で一旦冷却固化し、油剤付与装置で油剤付与、フィラメントを集束させた後、非接触で加熱延伸する。
【0013】
本発明の方法において、延伸時の加熱は非接触で行うものである。接触加熱では、熱処理装置との接触部とそれ以外の部分とで糸条の温度に差が生じ、フィラメント内、フィラメント間での物性差が発現し、強度低下の原因となる。
【0014】
この延伸時の非接触での加熱は輻射により行うことが好ましい。これにより、輻射波の透過性により糸条束の中心部に位置するフィラメント、またフィラメントの内層にまで輻射波が届き、均一に加熱されるため、フィラメントが集束した状態においてでも、集束糸条の内側・外側の位置や、単繊維の表層・内層に関係なく、均一にフィラメントを加熱することができ、熱処理装置内もしくは装置通過以降の延伸の安定性が向上し、フィラメント間、繊維糸条間の物性差の少ない均整度に優れた繊維を得ることができる。
【0015】
なお、本発明のポリアミド繊維の製造方法においては、延伸時の加熱温度が200℃以上である必要がある。加熱温度が200℃以上であると、フィラメントの硬度が紡糸応力によって延伸可能なレベルにまで低下し、熱処理による延伸効果が十分に発現する。温度の上限については特に限定されるものではないが、あまり高温になると熱処理装置内での張力低下により紡糸の安定性が向上せず、糸切れ率を増加させるため、1000℃未満とすることが好ましい。
【0016】
また、本発明のポリアミド繊維の製造方法においては、ゴデローラが引取用の単一の第1ゴデローラとそれに続いて糸道の方向を下向きに転換するための単一の第2ゴデローラとからなり、両ゴデローラに対する繊維糸条の巻き付け角度が360゜未満であることが、延伸装置の省スペース多糸条化、小型化の観点から好ましい。
【0017】
さらに染色等の後加工工程での強度保持の観点から第2ゴデローラの表面温度を110℃以上とすることがより好ましい。
【0018】
また、第2ゴデローラの表面速度V2m/分と第1ゴデローラの表面速度V1m/分の比V2/V1が1.0〜3.0であることがより好ましい。かかる範囲であると、延伸張力が低下しすぎて第1ゴデローラ表面に糸条が巻き付き糸切れが生じることはないし、一方、ゴデローラ間の糸条の張力によりゴデローラ上で糸条がスリップもしくは延伸切れを起こすことはなく、品質、操業の両面から好ましい結果が得られる。
【0019】
熱処理装置を適応する繊維製造プロセスについては特に限定するものではないが、生産効率の観点から一工程法であることが好ましい。
【0020】
【実施例】
次に本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0021】
なお、実施例中の特性値の測定は、次のとおりに行った。
(a)破断伸度
引張試験機(ORIENTEC社製TENSILON RTM-100)を用い、資料長50cm、引張速度100cm/分の条件で応力歪み曲線を求め、この曲線から求めた。
(2)糸斑
ウースター糸斑測定装置(ZELLWEGER社製USTER TESTERII)を用いて測定した。
(3)糸速度、スリップ量
糸速度についてはレーザードップラー糸速度計(MALVERN社製TYPE6200)を用いて測定した。また、スリップ量については、上記測定により求めたゴデローラ表面速度とゴデローラ上での糸速度との差から次式により求め、−5m/分以上をスリップ有りと判定した。
【0022】
スリップ量(m/分)=(ゴデローラ表面速度)−(ゴデローラ上での糸速度)
(実施例1〜24、比較例1〜11)
図1に示す工程に従って行った。相対粘度(96%硫酸を溶媒とし、試料濃度1g/l、室温25℃で測定)が2.62のナイロン6チップを溶融押出機に供給し、紡糸温度270℃で溶融し、孔径が0.25mmの紡糸孔を20個有する紡糸口金1より吐出させた。これを冷却装置2より風温20℃、風速30m/分の冷却風を吹き付けて糸条Yを冷却し、油剤付与装置3により油剤を付与、糸条を収束させた後、紡糸口金1面より3.0m下方に位置する有効熱処理長が0.9mの非接触輻射式熱処理装置4を通過させ、輻射波により熱処理した。熱処理装置を出た糸条を第1ゴデローラにより引き取り、第2ゴデローラ(表面温度140℃)を介して4000m/分で引き取り、巻き取り装置7で4000m/分で巻き取って60d/20fの繊維を得た。このとき熱処理装置温度、ローラ間延伸倍率を表1に示すように種々変更して行った。また、測定により得られた第1ゴデローラ上での糸速度、スリップ量、破断伸度を表1に示す。表1から明らかなように、実施例1〜24では第1ゴデローラ上での糸条のスリップもなく、結果得られた繊維の糸斑にも異常な波形は見られなかった。また、熱処理装置を用いなかった時との伸度差についても3%以上であり、熱処理装置内での延伸効果が発現させることができた。比較例1〜10では熱処理装置の温度が低かったため、第1ゴデローラ速度をどのように設定しても糸条加熱による延伸効果が得られなかった。
【0023】
【表1】
(比較例11〜25)
熱処理装置内を通過させず、ローラ間延伸倍率を表1に示すように種々変更して行った以外は実施例1と同様に行った。測定により得られた第1ゴデローラ上での糸速度、スリップ量、破断伸度を表1に併せて示す。
【0024】
比較例11〜25では熱処理装置の温度が低かったため、第1ゴデローラ速度をどのように設定しても糸条加熱による延伸効果が得られなかった。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、給油後の糸条が集束した状態で糸条ごと熱処理装置内で延伸することにより、一工程法の多糸条取りかつ省スペースで、高強度でかつ糸斑異常のない繊維を製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリアミドの製造方法の一実施態様を示す概略工程図である。
【符号の説明】
1:紡糸口金
2:冷却装置
3:油剤付与装置
4:輻射式熱処理装置
5:第1ゴデローラ
6:第2ゴデローラ
7:巻取装置
Y:糸条
Claims (2)
- ポリアミドを紡糸冷却後、油剤付与装置により油剤を付与し、集束させた繊維糸条を非接触で加熱し、しかる後にゴデローラで引き取るに際し、ゴデローラが引取用の単一の第1ゴデローラとそれに続いて糸道の方向を下向きに転換するための単一の第2ゴデローラとからなり、両ゴデローラに対する繊維糸条の巻き付け角度が360゜未満であり、上記加熱は、油剤付与後、第1ゴデローラにより引き取る前に行ない、且つ加熱温度が200℃以上であることを特徴とするポリアミド繊維の製造方法。
- 輻射により加熱することを特徴とする請求項1記載のポリアミド繊維の製造方法。
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