JP4392151B2 - タイヤモデルの作成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、要素数の大幅な増加を招くことなく路面と接地するパターン部の解析精度を高めうるタイヤモデルの作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、タイヤの開発は、試作品を作り、それを実験し、実験結果から改良品をさらに試作するという繰り返し作業で行われていた。この方法では、試作品の製造や実験に多くの費用と時間を要するため、開発効率の向上には限界がある。かかる問題点を克服するために、近年では数値解析法などを用いたコンピューターシミューションにより、タイヤを試作しなくてもある程度の性能を予測・解析する方法が提案されている。
【0003】
コンピュータシミュレーションには、種々の数値解析法が用いられ、例えば有限要素法を用いたものが良く知られている。この有限要素法(Finite Element Method )では、図19(A)に示すようなタイヤTを、有限個の要素e、e…からなるタイヤモデルmに置き換え、これに各種の境界条件を与えて系全体を解析する。
【0004】
このような数値解析法では、タイヤTをより小さな要素eで分割するほど解析精度を向上させることができる。しかしながら、小さな要素eで分割すると、タイヤモデルmに含まれる要素の数が増大し、解析に要する計算時間が著しく大となる欠点がある。つまり、解析精度の向上と計算時間の短縮化とは二律背反事項となる。
【0005】
また、図20(A)、(B)に誇張して示すように、実際のタイヤTは路面と接地するパターン部aが滑らかな円形輪郭をなすが、タイヤモデルmでは要素eの各節点nを頂点とする多角形状となる。よって、計算時間を短縮するためにタイヤモデルmの要素数を減じると、そのパターン部bが凸凹化し、例えば転動シミュレーションを行った際に上下力が大きく振動するなど実際の走行状況とは異なった解析結果を示す欠点がある。
【0006】
本発明では、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、カーカス、ベルトなどを含むタイヤボディ部を要素でモデル化したボディモデルを設定するボディモデル設定ステップと、このボディモデルよりも小さい周方向ピッチの要素でモデル化したリング状のパターンモデルとを設定し、前記ボディモデルの外周面と前記パターンモデルの内周面とを結合してタイヤモデルをする結合するとともに、パターンモデルの外周面及び内周面が、前記ボディモデルの外周面と平行に近づく向きに該パターンモデルの節点を移動させることを基本として、計算時間の増大を抑制しつつ解析精度の向上を図るのに役立つタイヤモデルの作成方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、評価しようとするタイヤを数値解析が可能な有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成するタイヤモデルの作成方法であって、少なくともカーカス、ベルトを含むコード補強材と、サイドウォールゴム、ビードゴムを含むゴム部と、ビードコアとがタイヤ周方向に同一断面形状で連続するタイヤボディ部を要素でモデル化したボディモデルを設定するボディモデル設定ステップと、前記タイヤボディ部よりもタイヤ半径方向外側をなすパターン部を、前記ボディモデルよりも小さい周方向ピッチの要素でモデル化したリング状のパターンモデルを設定するパターンモデル設定ステップと、前記ボディモデルの外周面と前記パターンモデルの内周面とを結合してタイヤモデルをする結合ステップと、前記タイヤモデルにおいて、パターンモデルの外周面が前記ボディモデルの外周面と平行に近づく向きに該パターンモデルの節点を移動させることにより、前記パターンモデルの節点と前記ボディモデルの外周面との相対距離を変える変形ステップとを含むことを特徴としている。
【0008】
また請求項2記載の発明は、前記変形ステップは、前記パターンモデルの外周面を、前記ボディモデルの外周面と平行として該パターンモデルの前記ボディモデルの外周面からの厚さを実質的に一定とすることを特徴とする請求項1記載のタイヤモデルの作成方法である。
【0009】
また請求項3記載の発明は、前記変形ステップは、前記パターンモデルの外周面を、前記ボディモデルの外周面と平行とするのに要する各節点の移動量の0.3〜0.7倍の移動量で前記各節点を移動させることを特徴とする請求項1記載のタイヤモデルの作成方法である。
【0010】
また請求項4記載の発明は、前記パターンモデルは、前記要素の周方向ピッチが前記ボディモデルの要素の周方向ピッチの1/n(ただし、nは2以上の整数)であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のタイヤモデルの作成方法である。
【0011】
また請求項5記載の発明は、前記ボディモデル設定ステップは、前記タイヤボディ部のタイヤ子午線断面に定義された各節点を、仮想のタイヤ回転軸の周りに周方向ピッチで連続して複写する処理を含んで前記ボディモデルを設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のタイヤモデルの作成方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
本実施形態では、図1に示すような乗用車用ラジアルタイヤ(以下、単にタイヤということがある。)Tの性能をシミュレートするものを例示している。タイヤTは、トレッド部12からサイドウォール部13を経てビード部14のビードコア15の回りで折り返されたカーカスプライ16aからなるカーカス16と、このカーカス16のタイヤ半径方向外側かつトレッド部12の内方に配されるベルト層17とを含むコード補強材Fを具える。
【0013】
前記カーカスプライ16aは、例えばポリエステルなどの有機繊維コードからなるカーカスコードをトッピングゴムで被覆して構成される。また前記ベルト層17は、本例ではスチールからなるベルトコードをタイヤ周方向に対して小角度(例えば10〜25度程度)で傾けて配列した内、外2枚のベルトプライ17A、17Bを、前記ベルトコードが互いに交差する向きに重ね合わせて構成される。なおコード補強材Fには、これらカーカス16、ベルト層17の他、バンドプライやビード補強プライなど各種のプライを含む場合がある。
【0014】
前記トレッド部12には、タイヤ周方向にのびる縦溝G1と、この縦溝G1と交わる向きにのびる横溝G2とが形成される。本例では縦溝G1と横溝G2との溝深さをともに同一としている。
【0015】
またタイヤTは、前記コード補強材Fの外側に、トレッドゴム20、サイドウォールゴム21、ビードゴム22などが配されている。またビード部14には、タイヤ半径方向外側に先細状でのびるビードエーペックスゴム18が配されている。前記トレッドゴム20は、前記ベルト層17の半径方向外側に配されている。該トレッドゴム20は、タイヤ子午断面において前記縦溝G1、横溝G2の溝底ラインL1とベルト層7の外面との間に配されるベースゴム部20aと、このベースゴム部20aの外側に配されトレッド部12の表面を含むことにより路面と接触するキャップゴム部20bとに物理的に或いは仮想的に区分できる。
【0016】
本発明では、評価しようとするこのようなタイヤTを数値解析が可能な有限個の要素でモデル化したタイヤモデル2を作成する方法を提供する。このような方法には、図2に示すようなコンピュータ装置1が好適に用いられる。該コンピュータ装置1は、本体1aと、入力手段としてのキーボード1b、マウス1cと、出力手段としてのディスプレイ装置1dとから構成されている。本体1aには、図示していないが、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリー、磁気ディスクなどの大容量の記憶装置、CD−ROMやフレキシブルディスクのドライブ1a1、1a2などの記憶装置を適宜具えている。そして、前記記憶装置には後述する方法を実行するための予め処理手順(プログラム)が記憶されている。好適には、EWSaが用いられる。
【0017】
図3には、本実施形態のタイヤモデルの作成方法の一例としてフローチャートを示す。先ず、本実施形態では、タイヤ周方向に同一断面形状(かつ好ましくは実質的に同じ材料)で連続するタイヤボディ部Bを要素でモデル化したボディモデル2を設定する(ボディモデル設定ステップS1)。タイヤボディ部Bは、本実施形態では、前記カーカス16とベルト17とを含むコード補強材F、サイドウォールゴム21とビードゴム22とビードエーペックスゴム18とインナーライナゴム19とトレッドゴム20のベースゴム部20aとを含むゴム部、及びビードコア15とからなるトロイド状体として定められる。つまり本実施形態のタイヤボディ部Bは、タイヤTからトレッドゴム20のキャップゴム部20bを除いた部分として定められる。
【0018】
図4はこのボディモデル3の一例を示す斜視図、図5はこのようなボディモデル3を設定するための一例を示すフローチャートである。本例では、図6に示すように、タイヤボディ部Bのタイヤ回転軸を含む子午線断面において、節点nを定義する(ステップS11)。節点nは、連続体であるタイヤボディ部を有限個の要素に分割するための分割点であって、少なくともタイヤボディ部Bの輪郭線上と、コード補強材Fとゴム部との境界部など物理的に材料が異なる部分の界面、さらには各材料内を微小領域に分割する位置に定めるのが望ましい。そして、定められた全ての節点nの座標(Xi、Yi、Zi)が前記コンピュータ装置1の記憶部に記憶される。
【0019】
節点nの配置方法は、特に限定されることなく慣例に従って種々実施することができるが、当該一の子午線断面に含まれる節点数が少なすぎると、解析精度が低下しやすく、逆に多すぎても計算時間を大とする傾向があり好ましくない。このような観点より、前記一の子午線断面に含まれる節点数を定めるのが望ましい。
【0020】
次に本実施形態では、図7に示すように、前記一の子午線断面に定めた各節点nを、仮想のタイヤ回転軸の周りに周方向ピッチSaで連続して複写する処理を行う(ステップS12)。即ち、任意の節点n1は、n2、n3…と順次タイヤ1周分に亘って複写される。前記周方向ピッチSaは、小さすぎると節点数が著しく増加し、大きすぎるとボディモデルのモデル化がラフなものとなり解析精度が低下しやすい。このような観点より、特に限定はされないが、例えばコーナリングシミュレーションのようにタイヤの1ケ所に着目しない場合、周方向ピッチSaは、タイヤ回転軸に対する角度ピッチで2〜10°、より好ましくは4〜8°程度で一定に設定するのが望ましい。他方、突起乗り越し時のシミュレーションのように、突起との接地部に着目するような場合には、前記接地部付近を1〜15°、より好ましくは1〜9°程度とし、それ以外を前記角度よりも大、例えば10〜12°程度とするのが望ましい。
【0021】
次に、タイヤ周方向で隣り合う各節点ni 、ni+1 (iは自然数)を適宜互いに繋ぎ合わせて要素化する(ステップS13)。これは、例えば図8(A)に示すようにタイヤ子午線断面内の他の節点を取り込んで六面体要素e1や五面体要素e2のような3次元要素と定義される場合の他、図8(B)のように、四辺形要素e3といった平面要素として設定することができる。例えば前記ゴム部、ビードコア等は3次元要素に、またコード補強材Fは平面要素として要素化するのが好ましい。各要素には、それらがモデル化する各ゴム、コードの弾性率や剛性などの材料特性が定義され前記記憶装置に記憶設定される。なお前記3次元要素の場合、いずれも該要素を形成する各表面は曲面ではなく平面で構成される。従って、ボディモデル3の外周面3oの輪郭は円でなく円に近似させた多角形状となる。
【0022】
特に好ましくは図9に示すように、コード補強材Fの微小領域は、コード材cを四辺形膜要素5a、5bに、また該コード材cを被覆しているトッピングゴムtgについては、六面体ソリッド要素5c、5d、5eでモデル化したコード補強材モデル5とするのが望ましい。前記四辺体膜要素5aには、その厚さを例えばコード材cの直径とし、コード材cの配列方向とこれと直交する方向とにおいて剛性の異なる直交異方性材料を定義する。またコード補強材Fのトッピングゴムtgを表す六面体ソリッド要素5c〜5eは、他のゴム部材と同様、例えば超粘弾性材料として定義するのが望ましい。
【0023】
以上のような処理を行うことにより、図4に示したようなボディモデル3を設定することができる。なおボディモデル3を設定する方法は、上記に限定されるものではなく、例えば3次元CADデータからのデータを取り込むことなどによっても設定できる。
【0024】
次に本実施形態では、図10及びその部分展開図である図11に視覚化して示すように、パターン部Pをモデル化したパターンモデル4を設定する処理を行う(パターンモデル設定ステップS2)。なおこのパターンモデル設定ステップS2は、ボディモデル設定ステップS1よりも先に行っても良く、また並列して行うこともできる。前記パターン部Pは、図1に示したように、タイヤボディ部Bの外側に形成される部分であり、本例ではキャップゴム部20b(ただし、縦溝G1、横溝G2の溝底面は含んでいない。)がこれに相当する。
【0025】
このパターン部Pは、縦溝G1と横溝G2とが凹設されることにより、断面形状がタイヤ周方向には連続していない。従って、タイヤボディ部Bと同様にはモデル化できない。パターンモデル4は、計算上、路面と接地させることとなる外周面4oと、前記ボディモデル3と計算上結合される内周面4iとを有したリング状をなし、主に前記3次元要素、好ましくは複雑な溝形状なども比較的モデル化が容易な四面体要素ないし六面体要素を適宜組み合わせることにより、縦溝G1、横溝G2、さらにはサイピングなどもほぼ忠実にモデル化している。このモデル化に際しては、特に限定されないが、3次元CADデータから各部の座標値などを転用する方法、また汎用モデリングプログラムを用いる方法などで行いうる。
【0026】
またパターンモデル4は、前記ボディモデル3よりも小さい周方向ピッチSbで有限個の多数の要素4a、4b…によりモデル化される。前記周方向ピッチSbは、タイヤ軸方向の各部で一定としても良いし、また本例のように異ならせることもできる。いずれの場合においても前記ボディモデル3の周方向ピッチSaよりも小さく設定する。これはパターン部Pでは路面と接地、解放を繰り返すことにより、複雑な応力、歪が生じるため、このようなパターン部Pの運動をより詳細に検討するためである。このような観点より、特に限定はされないが、このパターンモデル4の要素の周方向ピッチSbは、前記ボディモデル3の要素の周方向ピッチSaの1/2〜1/20であるのが好ましい。また、ピッチ比(Sb/Sa)を1/n(このnは、2以上の整数)とするのが望ましい。
【0027】
次に本実施形態では、前記ボディモデル3の外周面3oと前記パターンモデル4の内周面4iとを結合することにより、図12に視覚化して示すように、タイヤモデル2を設定する処理を行う(結合ステップS3)。前記結合は、ボディモデル3の外周面3oとパターンモデル4の内周面4iとを数値上結合させること、さらに換言すれば、図13に誇張して示すように、ボディモデル3の外周面3oを形成する各平面p1、p2…と、この外周面3oに向き合うパターンモデル4の内周面4iに現れる各節点nとの相対距離が変位しないように境界条件を定めることを意味する。この条件は、タイヤモデル2が変形したときにも維持される。
【0028】
本発明ではモデル化を行う際の周方向ピッチが、ボディモデル3とパターンモデル4とで異なるため、両部材の結合部において全ての節点を共有させることができない。むしろ節点を共有させようとすると、いずれかの周方向ピッチに合わせてモデル化を行う必要があり、前述の如く解析精度の低下を招いたり或いは計算時間の著しい増大を招く。そこで本発明のように、ボディモデル3とパターンモデル4とで、モデル化に際しての周方向ピッチを違えつつも、上述のようにボディモデル3とパターンモデル4とを計算上結合することによって、解析精度の低下と計算時間の著しい増大とを防止できる。またタイヤモデル2において、パターンを違えた複数種類のパターンモデル4を準備しておけば、このパターンモデル4だけを取り替えて種々のトレッドパターンのタイヤモデル2を容易に設定することができる。
【0029】
なお図14に誇張して略示するように、本実施形態のタイヤモデル2では、パターンモデル4の前記周方向ピッチSbが、ボディモデル3の前記周方向ピッチSaに比べて小さいため、より滑らかとなって円形に近づく。このような形状の相違により、両モデルを結合すると、パターンモデル4の、前記ボディモデル3の外周面3oからの厚さtがタイヤ周方向で異なる。具体的には、ボディモデル3の節点位置での厚さtaが小さくなり、かつボディモデル3のタイヤ周方向で隣り合う前記節点の中間位置での厚さtbが大きくなる(tb>ta)。そして、このようなタイヤモデル2では、例えば接地シミュレーション又は転動シミュレーションを行った場合、実車評価等では本来接地圧が均一化する部分であるにも拘わらず、接地圧分布が不均一となり、解析結果が実車評価とはかけ離れたものとなる。
【0030】
そこで、本発明では、タイヤモデル2において、前記パターンモデル4の外周面4oが、前記ボディモデル3の外周面3oと平行に近づく向きに該パターンモデル4の節点を移動させる処理を行う(変形ステップS4)。この変形ステップS4の一態様としては、例えば図15に示すように、前記パターンモデル4の外周面4oが、前記ボディモデル3の外周面3oと平行な外周面4o1に変化するようにその節点を移動させることができる。この場合、パターンモデル4の前記厚さta、tbをタイヤ周方向で実質的に一定とすることができる。従って、シミュレーションによる接地圧の均一化などを図り、実車評価時と近似した解析結果を得ることができる。
【0031】
前記パターンモデル4の外周面の節点nを移動させる方法は、特に限定されず、種々の方法で実施することができる。例えば、図16に誇張して示すように、ボディモデル3の外周面3oから厚さtで平行な仮想面VPを設定し、現在のパターンモデル4の外周面4oに現れる各節点nからこの仮想面VPまでの法線ベクトルj1、j2…を求め、これに基づき各節点nを移動させればよい。これにより、前記パターンモデル4の節点nと前記ボディモデル3の外周面3oとの相対距離が変えることができる。そして移動後の節点n’の位置は、コンピュータ装置1の記憶装置に記憶させることができる。
【0032】
また前記変形ステップS4の他の態様として、前記パターンモデル4の外周面4oを、前記ボディモデルの外周面と平行とするのに要する各節点nの移動量J(これは前記各法線ベクトルj1、j2…の大きさにより与えられる)の0.3〜0.7倍の移動量Jaで各節点nを移動させることができる。図16には、比(Ja/J)を0.5に設定した場合の移動後のパターンモデル4の外周面4o2を3点鎖線にて示している。この例では、パターンモデル4の前記厚さはタイヤ周方向で一定とするものではないが、一定に近づけつつパターンモデル4の該主面の滑らかな円弧形状を維持させることができる。これは、例えばタイヤモデル2を仮想路面で走行させる転動シミュレーションを行う際に、路面と接地するパターンモデル4の外周面の凸凹化を減じ、上下方向の大きな振動成分が生じるのを効果的に防止できる。
【0033】
ここで、前記移動量の比(Ja/J)が0.3未満であれば、パターンモデル4の厚さの不均一が解析精度の低下に現れやすく、逆に0.7倍を超えると、外周面の滑らかさが損なわれ、多角形化が進むため、転動シミュレーションにおいて不利となり易い。このような観点より、前記節点の移動量の比(Ja/J)は、0.4〜0.6程度とするのが特に望ましい。
【0034】
【実施例】
(テスト1)
表1に示す仕様に基づいてタイヤモデルを設定した。実施例1、実施例2は本発明の方法により作成したタイヤモデル(タイヤサイズ205/65R15)である。実施例1のタイヤモデルは、図15に示すようにパターンモデルの外周面をボディモデルの外周面と実質的に平行としたもの、実施例2は図16に3点鎖線で示すように、移動量の比をコントロール(Ja/J=0.5)とし、パターンモデルの外周面の滑らかさと厚さの均一化との両立を狙ったものである。また比較例1は、実施例1、2から変形ステップを行わなかったもの、比較例2は比較例1と同様であるがボディモデルの周方向ピッチに合わせてモデル化したものを示す。
【0035】
【表1】
Figure 0004392151
【0036】
上記各タイヤモデルを使用して、内圧200kPa、リム6.5JJ、縦荷重4.5kN、スリップ角1゜、速度10km/Hかつ平坦な仮想路面上で転動シミュレーションを行った。シミュレーションでは、上記転動走行により得られたコーナリングフォースを出力するとともに、計算時間を測定した。なおシミュレーションは、汎用解析ソフトウエア「LS−DYNA」と日本電気製のコンピュータSX−4を使用して行なった。なお表1には実際のタイヤについて測定した結果を合わせて表示し、解析精度を比較した。テストの結果などを表1に示す。
【0037】
テストの結果、実施例のものは解析精度を高めつつ計算時間の短縮化を図っていることが確認できた。次に、比較例1と実施例1とを仮想路面に静的に接地させたシミュレーションを行い接地形状を求めた。これを図17、図18に示す。色の濃淡で接地圧の分布を示すが、実施例1のものは比較例1のものに比べてより均一化していることが確認できる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明では、カーカス、ベルトを含みかつタイヤ周方向に同一断面形状で連続するタイヤボディ部を要素でモデル化したボディモデルと、前記タイヤボディ部よりもタイヤ半径方向外側をなすパターン部を、前記ボディ部要素モデルよりも小さい周方向ピッチの要素でモデル化したリング状のパターンモデルとをそれぞれ個別に設定し、前記ボディモデルの外周面と前記パターンモデルの内周面とを結合してタイヤモデルを設定しているため、路面と接地するパターン部においては、より詳細に解析することができる。またボディモデルの要素は、パターンモデルに比して相対的に大きいため、タイヤモデルの要素数が大幅に増大するのを防止できる。従って、解析精度の向上を図りつつ、計算時間の短縮化が期待できる。
【0039】
また請求項1記載の発明では、タイヤモデルにおいて、パターンモデルの外周面及び内周面が、前記ボディ部要素モデルの外周面と平行に近づく向きに該パターンモデルの節点を移動させる変形ステップを含むことによって、要素数の相違に基づく、ボディモデルの外周面からのパターンモデルの外周面までの厚さの変化を減じることでさらに解析精度を向上させることができる。
【0040】
また請求項2記載の発明のように、変形ステップが、前記パターンモデルの外周面及び内周面を、前記ボディ部要素モデルの外周面と平行として該パターンモデルの前記ボディモデルの外周面からの厚さを実質的に一定とするときには、パターン部の解析精度をより向上するのに役立つ。
【0041】
また請求項3記載の発明のように、前記変形ステップは、前記パターンモデルの外周面及び内周面を、前記ボディ部要素モデルの外周面と平行とするのに要する各節点の移動量Lの0.3〜0.7倍の移動量で各節点を移動させるときにはパターンモデルの外周面の滑らかさを維持しつつパターン部の解析精度を向上するのに役立つ。
【0042】
また請求項4記載の発明のように、前記パターンモデルは、要素の周方向ピッチが前記ボディモデルの要素の周方向ピッチの1/n(ただし、nは2以上の整数)であるときには、前記変形ステップの計算を簡素化でき、モデルの作成からの計算時間をさらに短縮化しうる。
【0043】
また請求項5記載の発明のように、前記ボディ設定ステップは、タイヤ子午線断面に定義された各節点を、仮想のタイヤ回転軸の周りに周方向ピッチで連続して複写することにより前記ボディモデルを設定することにより、モデルの作成からの計算時間をさらに短縮化しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タイヤの断面図である。
【図2】コンピュータ装置の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】ボディモデルの一例を示す斜視図である。
【図5】ボディモデル設定ステップの一例を示すフローチャートである。
【図6】ボディモデルの断面図である。
【図7】ボディモデルを設定方法を例示する斜視図である。
【図8】(A)、(B)は要素化を例示する斜視図である。
【図9】コード補強材のモデル化を示す概念図である。
【図10】パターンモデルの斜視図である。
【図11】パターンモデルの展開図である。
【図12】タイヤモデルの展開図である。
【図13】ボディモデルとパターンモデルとの結合を説明する側面略図である。
【図14】ボディモデルとパターンモデルとの結合を説明する側面略図である。
【図15】パターンモデルの変形ステップを例示する側面略図である。
【図16】パターンモデルの変形ステップの他の例を示す側面拡大略図である。
【図17】実施例1の接地圧分布図である。
【図18】比較例1の接地圧分布図である。
【図19】(A)はタイヤ、(B)はそのタイヤモデルをそれぞれ示す斜視図である。
【図20】(A)はタイヤのトレッド面、(B)はタイヤモデルのトレッド面をそれぞれ示す斜視図である。
【符号の説明】
T タイヤ
2 タイヤモデル
3 ボデイモデル
4 パターンモデル
5 コード補強材要素モデル
7 仮想路面

Claims (5)

  1. 評価しようとするタイヤを数値解析が可能な有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを作成するタイヤモデルの作成方法であって、
    少なくともカーカス、ベルトを含むコード補強材と、サイドウォールゴム、ビードゴムを含むゴム部と、ビードコアとがタイヤ周方向に同一断面形状で連続するタイヤボディ部を要素でモデル化したボディモデルを設定するボディモデル設定ステップと、
    前記タイヤボディ部よりもタイヤ半径方向外側をなすパターン部を、前記ボディモデルよりも小さい周方向ピッチでモデル化したリング状のパターンモデルを設定するパターンモデル設定ステップと、
    前記ボディモデルの外周面と前記パターンモデルの内周面とを結合してタイヤモデルを設定する結合ステップと、
    前記タイヤモデルにおいて、パターンモデルの外周面が前記ボディモデルの外周面と平行に近づく向きに該パターンモデルの節点を移動させることにより、前記パターンモデルの節点と前記ボディモデルの外周面との相対距離を変える変形ステップとを含むことを特徴とするタイヤモデル作成方法。
  2. 前記変形ステップは、前記パターンモデルの外周面を、前記ボディモデルの外周面と実質的に平行とすることを特徴とする請求項1記載のタイヤモデルの作成方法。
  3. 前記変形ステップは、前記パターンモデルの外周面を、前記ボディモデルの外周面と実質的に平行とするのに要する各節点の移動量の0.3〜0.7倍の移動量で前記各節点を移動させることを特徴とする請求項1記載のタイヤモデルの作成方法。
  4. 前記パターンモデルは、前記要素の周方向ピッチが前記ボディモデルの要素の周方向ピッチの1/n(ただし、nは2以上の整数)であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のタイヤモデルの作成方法。
  5. 前記ボディモデル設定ステップは、前記タイヤボディ部のタイヤ子午線断面に定義された各節点を、仮想のタイヤ回転軸の周りに小さな周方向ピッチで連続して複写する処理を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のタイヤモデルの作成方法。
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