以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔第一実施形態〕
図1−1,図1−2は、本発明の第一実施形態にかかる回転式電子部品付き多方向押圧型スイッチ(以下簡略化のため「多方向押圧型スイッチ」という)1−1の分解斜視図である。また図2はこの多方向押圧型スイッチ1−1の概略断面図(但し図示の都合上、切断面は各部で異ならせている)である。図1−1,1−2に示すようにこの多方向押圧型スイッチ1−1は、その上側から、回転つまみ10と、ロックつまみ30と、揺動つまみ50と、第二連結部材(以下「連結部材」という)70と、押釦つまみ90と、固定部材110と、クリック板140と、板バネ150と、回転型物170と、フレキシブル基板190と、取付板240とを具備して構成されている。以下各構成部品について説明する。
回転つまみ10は成形樹脂製であり、略円板状で中央に円形の開口部13を有する上面部11と、上面部11の外周辺から下方向に向かう側壁部12とを具備し、さらに上面部11の所定位置に略楕円形状に開口するロックつまみ挿入部15を設けるとともに、上面部11の下面のロックつまみ挿入部15の両側に小突起状のストッパー部17−1,2を設けて構成されている。また側壁部12の所定位置には四つ(図1−1では二つのみ示す)の貫通する係止孔18が設けられている。
ロックつまみ30は成形樹脂製であり、前記回転つまみ10のロックつまみ挿入部15に上下動自在に挿入される楕円柱形状のつまみ本体部31と、つまみ本体部31の下部外周から水平方向に張り出すつば部33と、つまみ本体部31の下方に設けられて下記する固定部材110のロック係合部123にその上下方向に向かって係合・離脱するロック部35とを具備して構成されている。
図3は揺動つまみ50を下面側から見た斜視図である。図1−1,図3に示すように揺動つまみ50は成形樹脂製であり、円板状の本体部51の中央に下記する押釦つまみ90のつまみ本体部91を上下動自在に挿入する円形の開口からなるつまみ挿入部53を設け、また本体部51の外周下面から半径方向外側に向けてつば部55を突出し、また本体部51の下面から下方向に向けて突出する四本の柱状の押圧部59を設けて構成されている。各押圧部59の根元部分の外周には、180°対向する位置に一対ずつ小突起状の固定部61が設けられている。さらに本体部51の下面の各押圧部59よりもつまみ挿入部53側の位置(四ヶ所)には、それぞれ二本の小突起を突出することでその間にガイド溝63を形成している。
連結部材70は可撓性を有する合成樹脂フイルム(例えばポリエチレンテレフタレートフイルム)製であり、略四角形状であって且つその中央に四角形状の開口部73を設けた連結部71の四隅から外方に向けて四本のアーム部75を突出し、各アーム部75の先端に円形の固定部77を設け、各固定部77の内部に貫通する円形の小孔からなる固定孔79を設け、一方連結部71を構成する各辺の中央位置から外方に向けて四つの舌片状の固定部81を突出し、各固定部81の内部に貫通する固定孔83を設けて構成されている。固定孔83は円形の小孔の両側に矩形状の切り欠きを設けて構成されており、ちょうど前記揺動つまみ50の押圧部59とその両側の固定部61とを同時に挿入できる寸法形状に形成されている。
図4は押釦つまみ90を下面側から見た斜視図である。図4及び図1−1に示すように、押釦つまみ90は成形樹脂製であり、円柱状のつまみ本体部91の下面外周からつば部93を突出し、またつば部93の外周からさらに等間隔に四本のガイド突起95を突出し、またつば部93の外周の180°対向する位置から一対の突出部97を設けてそれらの下面から小突起状の固定部99を突出して構成されている。
図5は固定部材110を下面側から見た斜視図である。図5及び図1−1に示すように固定部材110は成形樹脂製であり、略円板状の基部111の中央に円形の開口部113を設けると共に、開口部113を跨ぐ一対の第一連結部材(以下「ヒンジ」という)115,115が設けられ、その連結部材115,115間に押釦つまみ載置部117を一体に設けて構成されている。開口部113の周囲には下方向に向かって略円筒状に突出する軸支部116が設けられている。軸支部116の下面には四本の小突起状の固定部118が設けられている。また基部111の上面には、前記連結部材70の固定孔79に挿入する小突起状の固定突起119が四つと、その上面を前記回転つまみ10の上面部11の裏面に当接して回転つまみ10を支持する小突起状の回転つまみ支持部120が六つ設けられている。一方基部111の外周からは平板状で扇状に張り出すロック用基部121が設けられ、その外周には前記ロックつまみ30のロック部35を上下動自在に挿入する寸法形状の矩形状の切り欠きからなるロック係合部123が設けられ、またロック用基部121の上面の外周近傍には二つの小突起状のストッパー部125,126が設けられている。
次に前記開口部113の内周面の対向する位置からは平板状の補強部127,127が突出して設けられ、各補強部127,127の先端辺中央にはそれぞれ前記揺動つまみ50の対向する二つの押圧部59を上下動自在に挿入して揺動つまみ50の回り止めを行う切り欠き状の回り止め部129,129が設けられている。
次に押釦つまみ載置部117は、平板矩形状であってその両側辺から舌片状の突出部131,131を突出する形状に形成され、また突出部131,131に小孔からなる取付部132,132を設けて構成されている。なお両取付部132は、押釦つまみ90の両固定部99を挿入する寸法形状に形成されている。
さらに固定部材110の開口部113の内周面からは一対の舌片状の支持部137が突出し、各支持部137の下面からは小突起状の固定部139が突出している。
クリック板140は、金属板をリング状に形成して中央に開口147を設けて構成されており、その所定位置には開口からなるクリック係合部141が設けられ、またその内周からは舌片状の一対の突起143が突出してその内部に前記固定部材110の固定部139を挿入する小孔からなる係止部145が設けられている。
板バネ150は弾性金属板をリング状に形成して中央に開口165を設けて構成されており、その所定位置に上方向に向かって少し持ち上げられた円弧状のクリック用アーム部151と、クリック用アーム部151に対向する位置に設けられ上方向に向かって少し持ち上げられた円弧状のロックつまみ押上用アーム部153と、両アーム部151,153の間の位置に設けられ外方向に突出する突出面155の内部に形成される開口部157と、両アーム部151,153のそれぞれ根元部分に設けられる四つの小孔からなる取付部159とを具備して構成されている。そしてクリック用アーム部151の中央には突状のクリック係合部161が設けられ、ロックつまみ押上用アーム部153の中央には舌片状に外周及び上方に突出する押し上げ部163が設けられている。
図6は回転型物170を下面側から見た斜視図である。図6及び図1−2に示すように、回転型物170は成形樹脂製であり、リング状で平板状に形成されることでその中央に軸支孔171を設け、またその上面の前記板バネ150の各取付部159に対向する位置に小突起状の固定部173を設け、またその外周の前記ロックつまみ30に対向する位置に切り欠き状でロックつまみ30のロック部35を上下動自在に挿入するロック部収納部175を設け、さらに回転型物170の下面に摺動子収納凹部177を設けて構成されている。回転型物170の上面の前記摺動子収納凹部177に対向する位置には、摺動子収納凹部177を設けることでその肉厚が薄くなるのを防止するために突出部179が形成されている。また摺動子収納凹部177内には、摺動子固定用突起181と、摺動子位置決め突起183とが二つずつ設けられている。また回転型物170の外周側辺の前記回転つまみ10の係止孔18に対応する位置には、これに係合する係止突起184が設けられている。
摺動子185は弾性金属板製であり、下側に折り返したアーム部186の先端に摺接部187が設けられ、またその所定位置には前記摺動子固定用突起181と摺動子位置決め突起183に挿入される二つずつの貫通孔188,189が設けられている。
フレキシブル基板190は可撓性を有する円形の合成樹脂フイルム191上に、四つの外周スイッチ193を円周状に設けると共に、その周囲に所望の円弧状の摺接パターン194を設け、さらに三つの係止穴197とスイッチ取付部201とを設けて構成されている。四つの外周スイッチ193は、フレキシブル基板190の中央に設けた円形開口からなる挿通穴192の周囲にリング状に等間隔に設置されている。各外周スイッチ193はフレキシブル基板190に形成された図示しない接点パターンを覆うように弾性金属板をドーム形状に形成してなる反転板(可動接点板)195を取り付けて構成されている。摺接パターン194は、前記摺動子185の摺接部187が摺接する位置に設けられる円弧状のパターンであり、スイッチパターンであっても抵抗体パターンであっても良い。三つの係止穴197は何れも前記固定部材110の下面に設けた固定部118を挿入する位置に設けられている。
一方スイッチ取付部201は、帯状の連結部203の先端に設けられ、略矩形状で前記固定部材110の押釦つまみ載置部117と略同一の外形寸法形状に形成され、その対向する一対の外周辺からは舌片状の突出部211が突出し、各突出部211には貫通孔からなる取付部213が設けられている。スイッチ取付部201の中央には中央スイッチ215が設けられている。中央スイッチ215はスイッチ取付部201に形成された図示しない接点パターンを覆うように弾性金属板をドーム形状に形成してなる反転板(可動接点板)216を取り付けて構成されている。
取付板240は金属製又は成形樹脂製の硬質板であり、前記フレキシブル基板190の外形形状と略同一外形形状(円形)に形成され、前記固定部材110の下面に設けた固定部118に対向する位置にそれぞれ係止孔241を四つ設け、また前記フレキシブル基板190の挿通穴192に対向する位置にこの挿通穴192を貫通する寸法の円形の突起からなる押圧部243を設けて構成されている。
次にこの多方向押圧型スイッチ1−1の組み立て方法の一例を説明する。まず予め揺動つまみ50の下面側に連結部材70を配置して、揺動つまみ50の各押圧部59を連結部材70の各固定孔83内に挿入し、連結部材70の下面側に突出した固定部61を熱カシメによって潰すことで、連結部材70を揺動つまみ50に取り付けておく。
一方固定部材110の下面にクリック板140を配置し、クリック板140の各係止部145に固定部材110の下面から突出する固定部139を挿入してその先端を熱カシメすることで、固定部材110にクリック板140を取り付けておく。
また回転型物170の上面に板バネ150を載置して回転型物170の各固定部173を板バネ150の各取付部159に挿入し、その先端を熱カシメすることで取り付ける。このとき板バネ150の開口部157内に、回転型物170の突出部179が挿入される。一方回転型物170の下面の摺動子収納凹部177内に摺動子185を収納し、その際回転型物170に設けた摺動子固定用突起181と摺動子位置決め用突起183とを、それぞれ摺動子185に設けた貫通孔188,189に挿入し、摺動子固定用突起181の先端を熱カシメすることで取り付けておく。
そしてフレキシブル基板190のスイッチ取付部201を、図1−2に示す状態からフレキシブル基板190の上面側に折り返した上で、回転型物170の軸支孔171及び板バネ150の開口165を通して、固定部材110の押釦つまみ載置部117の下面に載置する。このときスイッチ取付部201に取り付けたスイッチ215の反転板216は下向きとなっている。そしてこの押釦つまみ載置部117上に、押釦つまみ90を載置し、そのとき押釦つまみ90の各固定部99を、押釦つまみ載置部117の取付部132と、スイッチ取付部201の取付部213とに挿入し、スイッチ取付部201の下面から突出する固定部99先端を熱カシメによって取り付ける。なおこの実施形態では押釦つまみ載置部117と押釦つまみ90とを別部品で構成したが、これらは一体成形品で構成しても良い。
そして前記固定部材110の上面に、前記連結部材70を取り付けた揺動つまみ50を配置し、その際揺動つまみ50のつまみ挿入部53に押釦つまみ90のつまみ本体部91を挿入し、同時に連結部材70の各固定孔79に固定部材110の各固定突起119を挿入してその先端を熱カシメして取り付ける。
次に回転つまみ10のロックつまみ挿入部15にその下面側からロックつまみ30のつまみ本体部31を挿入したものを、揺動つまみ50の上から被せ、一方クリック板140付の固定部材110の下面側に板バネ150付の回転型物170を設置し、回転つまみ10の外周に設けた係止孔18に回転型物170の外周に設けた係止突起184を係合し、一体に回転するように取り付ける。このとき固定部材110の軸支部116が回転型物170の軸支孔171に挿入されることで、回転型物170及びこれに固定された回転つまみ10は軸支部116を中心軸として回動自在となる。またこのときロックつまみ30のロック部35は固定部材110のロック係合部123と回転型物170のロック部収納部175内に挿入される。
そして回転型物170の下面側にフレキシブル基板190と取付板240とを配置し、その際フレキシブル基板190に設けた各係止穴197と、取付板240に設けた各係止孔241に固定部材110の下面の固定部118を挿入し、その先端を取付板240の下面で熱カシメする。これによってこの多方向押圧型スイッチ1−1が完成する。このとき取付板240の押圧部243はフレキシブル基板190の挿通穴192に挿入される。
以上のようにして構成された多方向押圧型スイッチ1−1は、図2に示すように、フレキシブル基板190及び取付板240上に固定部材110を固定し、固定部材110の軸支部116に回転型物170を回動自在に軸支し、また固定部材110の上部に取り付けた連結部材70によって揺動つまみ50を揺動自在に保持し、また固定部材110の開口部113内の中央にヒンジ115によって支持された押釦つまみ載置部117上に押釦つまみ90を取り付けることで押釦つまみ90を上下動自在に設置して構成されている。
またこの多方向押圧型スイッチ1−1は、押釦つまみ載置部117の下面に設置した中央スイッチ215の反転板216の上に取付板240に設けた押圧部243を当接又は接近して配置し、揺動つまみ50の各押圧部59先端を各外周スイッチ193の反転板195上に当接又は接近して配置している。また回転型物170に取り付けた摺動子185の摺接部187はフレキシブル基板190上の摺接パターン194(図1−2参照)に弾接している。また板バネ150のクリック係合部161はクリック板140に弾接しており、同時に板バネ150の押し上げ部163はロックつまみ30のロック部35の下面を上方向に弾発して押し上げている。
またこのとき押釦つまみ90の各ガイド突起95(図4参照)は、揺動つまみ50下面の各ガイド溝63内に挿入され、揺動つまみ50に対して押釦つまみ90を上下動自在にガイド(回り止め)している。
次にこの多方向押圧型スイッチ1−1の動作を説明する。図2はロックつまみ30が前記板バネ150の押し上げ部163によって押し上げられて、そのロック部35が固定部材110のロック係合部123内に係合して回転つまみ10がロックされた状態を示している。なおこのとき回転つまみ10の一方のストッパー部17−1(図1−1参照)は、固定部材110のロック係合部123に近い側のストッパー部125(図1−1参照)に当接していて、その位置よりも図1−1に示す矢印A1方向には回動できない状態となっている。そしてこの状態からロックつまみ30のつまみ本体部31を下方向に押圧すれば、押し上げ部163の弾発力に抗してロックつまみ30が下降してそのロック部35がロック係合部123の下側に移動することでロックが解除され、この状態のまま回転つまみ10を図1−1に示す矢印A2方向に回動すれば、ロックつまみ30のロック部35は固定部材110のロック用基部121の下面側を通過した後にロック用基部121が無くなった部分(図1−1に示す側面121aの部分)において押し上げ部163の弾発力によって上方向に押し上げられ、その状態のままさらに回動を続ければ回転つまみ10のストッパー部17−2が固定部材110のもう一方のストッパー部126(図1−1参照)に当接してその回動ができなくなるまで回動する。この位置から再び回転つまみ10を逆方向(矢印A1方向)に回動すると、回転つまみ10は回動を続け、ロックつまみ30のロック部35側面がロック用基部121の側面121aに当接した位置で一旦停止する。そしてロックつまみ30のつまみ本体部31を下方向に押圧すれば、押し上げ部163の弾発力に抗してロックつまみ30が下降してそのロック部35がロック用基部121の下面側に移動し、この状態のまま回転つまみ10を矢印A1方向に回動することが可能となり、さらに回転つまみ10を回転すると、ストッパー部17−1がストッパー部125に当接すると同時にロック部35が固定部材110のロック係合部123に係合して上昇してロックされ、それよりも矢印A1方向へは回転つまみ10を回動できなくなる。そして上記回転つまみ10の回転によってこれと一体に回転する回転型物170に取り付けた摺動子185の摺接部187が摺接パターン194上を摺動することで、その電気的出力が変化する。
一方中央の押釦つまみ90のつまみ本体部91を押圧すると、ヒンジ115が撓むことで押釦つまみ載置部117が下降し、取付板240の押圧部243が反転板216を押圧してこれを反転し、中央スイッチ215をオンする。前記押釦つまみ90への押圧を解除すれば、反転板216及びヒンジ115の弾性復帰力によって押釦つまみ90は元の位置に自動復帰し、前記中央スイッチ215はオフする。
また揺動つまみ50の所定位置を押圧すると、連結部材70が撓むことで、押圧した部分が下降(揺動)し、これによって下降した側の揺動つまみ50の押圧部59がこれに対向する反転板195を押圧してこれを反転し、その外周スイッチ193をオンする。前記揺動つまみ50への押圧を解除すれば、反転板195及び連結部材70の弾性復帰力によって揺動つまみ50は元の位置に自動復帰し、前記外周スイッチ193はオフする。
なお上述のように、揺動つまみ50の外周を囲む位置に設置される回転式電子部品は、回転つまみ10,回転つまみ10と一体に回転して回転式電子部品の電気的出力を変化する回転型物170及び摺動子185及びフレキシブル基板190の摺接パターン194等によって構成されている。
以上のように本実施形態においては、押釦つまみ90と、押釦つまみ90を囲むように設置される揺動つまみ50と、押釦つまみ90によって押圧される位置に設置される中央スイッチ215と、前記中央スイッチ215の周囲であって揺動つまみ50によって押圧される位置に設置される外周スイッチ193と、揺動つまみ50の外周を囲む位置に設置されて回転つまみ10を回動することで電気的出力を変化する回転式電子部品とを具備して多方向押圧型スイッチ1−1を構成したので、多方向押圧型スイッチ1−1の外周部分のスペースをそのまま回転式電子部品として利用することができ、容易に多方向押圧型スイッチ1−1に回転式電子部品の機能をも一体に併せ持たせることができる。
また回転つまみ10に、この回転つまみ10を所定位置でロック及びロック解除を行うロック機構を設けたので、回転つまみ10の回転を制限することができる。
また回転つまみ10と一体に回転する回転型物170の中央に設けた軸支孔171に挿入されてこの回転型物170及び回転つまみ10を回動自在に軸支する軸支部116を有する固定部材110を設置したので、回転式電子部品を多方向押圧型スイッチ1−1の外周に簡単な構造で容易に設置することが可能となる。
またこの実施形態では、固定部材110の軸支部116内に設けた開口部113内に、この固定部材110と一体に、ヒンジ(可撓性を有する連結部材)115と、このヒンジ115によって上下動自在に保持される押釦つまみ載置部117とを成形し、この押釦つまみ載置部117に中央スイッチ215及び押釦つまみ90を設置しているので、回転型物170及び回転つまみ10を回動自在に軸支する固定部材110を、中央スイッチ215及び押釦つまみ90の保持部材として兼用できる。
またこの実施形態においては、前記図11に示すように、揺動つまみ330を揺動自在に保持する連結部材350に押釦つまみ310を取り付けず、その代わりに押釦つまみ90を固定部材110に上下動自在に保持する第一連結部材となるヒンジ115と、揺動つまみ50を固定部材110に揺動自在に保持する第二連結部材となる連結部材70とを別部品で構成したので、押釦つまみ90と揺動つまみ50とが直接連結されず、従って例えば押釦つまみ90の押圧ストロークが長くなってもこれに容易に対応できる。従って例えば押釦つまみ90の下に設置するスイッチは、この実施形態のように一段ではなく、上下に二段以上の、押圧方向に複数に積層されて構成された多段スイッチで構成しても良い。
〔第二実施形態〕
図7−1,図7−2は、本発明の第二実施形態にかかる回転式電子部品付き多方向押圧型スイッチ(以下簡略化のため「多方向押圧型スイッチ」という)1−2の分解斜視図である。また図8はこの多方向押圧型スイッチ1−2の概略断面図(但し図示の都合上、切断面は各部で異ならせている)である。この実施形態において前記第一実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
即ちこの実施形態にかかる多方向押圧型スイッチ1−2においても、その上側から、回転つまみ10と、ロックつまみ30と、揺動つまみ50と、連結部材(第二連結部材)70と、押釦つまみ90と、固定部材110と、クリック板140と、板バネ150と、回転型物170と、フレキシブル基板190と、取付板240とを具備して構成されている。そして回転つまみ10と、ロックつまみ30と、揺動つまみ50と、連結部材70と、クリック板140と、板バネ150と、回転型物170と、取付板240とは、前記第一実施形態と全く同一なので、以下、押釦つまみ90と固定部材110とフレキシブル基板190について、第一実施形態との相違点を中心に説明する。
図10は押釦つまみ90を下面側から見た斜視図である。図10及び図7−1に示すように、押釦つまみ90は成形樹脂製であり、前記第一実施形態の押釦つまみ90と同様に、円柱状のつまみ本体部91の下面外周からつば部93を突出し、またつば部93の外周からさらに等間隔に四本のガイド突起95を突出して構成されている。この実施形態にかかる押釦つまみ90は、前記図4に示す押釦つまみ90と相違し、突出部97や固定部99を設けず、その代りにその下面中央に小突起状の押圧部96を設けている。
図9は固定部材110を下面側から見た斜視図である。図9及び図7−1に示す固定部材110において、前記第一実施形態にかかる固定部材110と相違する点は、押釦つまみ載置部117の突出部131,131に小孔からなる取付部132,132を設ける代りに、突出部131,131の上下面からそれぞれ小突起状の取付突部133,134を突出した点のみである。
図7−2に示すフレキシブル基板190において、前記図1−2に示すフレキシブル基板190と相違する点は、スイッチ取付部201に接続部217を介して第二スイッチ取付部219を設けた点のみである。即ち第二スイッチ取付部219は、スイッチ取付部201と略同一形状・構造であり、具体的には、略矩形状で前記スイッチ取付部201と略同一の外形寸法形状に形成され、その対向する一対の外周辺から舌片状の突出部221を突出し、各突出部221に貫通孔からなる取付部223を設けている。第二スイッチ取付部219の中央には第二中央スイッチ225が設けられている。第二スイッチ225は第二スイッチ取付部219に形成された図示しない接点パターンを覆うように弾性金属板をドーム形状に形成してなる反転板(可動接点板)227を取り付けて構成されている。
次にこの多方向押圧型スイッチ1−2の組み立て方法の一例を説明すると、まず予め揺動つまみ50の下面側に連結部材70を配置して、前記第一実施形態の場合と同じ方法によって連結部材70を揺動つまみ50に取り付ける。また固定部材110の下面にクリック板140を取り付け、前記第一実施形態の場合と同じ方法によって固定部材110にクリック板140を取り付ける。また回転型物170の上面に板バネ150を載置して、前記第一実施形態の場合と同じ方法によって板バネ150を回転型物170に取り付ける。一方回転型物170の下面の摺動子収納凹部177内に摺動子185を前記第一実施形態の場合と同じ方法によって取り付ける。
そしてフレキシブル基板190のスイッチ取付部201及び第二スイッチ取付部219を、図7−2に示す状態からフレキシブル基板190の上面側に折り返した上で、回転型物170の軸支孔171及び板バネ150の開口165に通し、スイッチ取付部201の反転板216を取り付けた反対側の面を固定部材110の押釦つまみ載置部117の下面に載置し、このとき押釦つまみ載置部117の下面に設けた取付突部134をスイッチ取付部201の取付部213に挿入し、その先端を熱カシメして取り付ける。次に接続部217の部分を折り返すことで第二スイッチ取付部219を押釦つまみ載置部117の上面側に載置し、このとき押釦つまみ載置部117の上面に設けた取付突部133を第二スイッチ取付部219の取付部223に挿入し、その先端を熱カシメして取り付ける。これによって図8に示すように、スイッチ取付部201に取り付けた中央スイッチ215の反転板216は下向きとなり、第二スイッチ取付部219に取り付けた第二中央スイッチ225の反転板227は上向きとなる。
そして前記固定部材110の上面に、前記連結部材70を取り付けた揺動つまみ50を配置し、前記第一実施形態と同じ方法によってこれら連結部材70及び揺動つまみ50を固定部材110に固定し、次に回転つまみ10のロックつまみ挿入部15にその下面側からロックつまみ30のつまみ本体部31を挿入したものを、揺動つまみ50の上から被せ、一方固定部材110の下面側に回転型物170を設置し、回転つまみ10の外周に設けた係止孔18に回転型物170の外周に設けた係止突起184を係合し、一体に回転するように固定する。このとき固定部材110の軸支部116が回転型物170の軸支孔171に挿入されることで、回転型物170及びこれに固定された回転つまみ10は軸支部116を中心にして回動自在となる。またこのときロックつまみ30のロック部35は固定部材110のロック係合部123と回転型物170のロック部収納部175内に挿入される。
そして回転型物170の下面側にフレキシブル基板190と取付板240とを配置し、その際フレキシブル基板190に設けた各係止穴197と、取付板240に設けた各係止孔241に固定部材110の下面の固定部118を挿入し、その先端を取付板240の下面で熱カシメする。これによってこの多方向押圧型スイッチ1−2が完成する。このとき取付板240の押圧部243はフレキシブル基板190の挿通穴192に挿入される。
以上のようにして構成された多方向押圧型スイッチ1−2は、図8に示すように、フレキシブル基板190及び取付板240上に固定部材110を固定し、固定部材110の軸支部116に回転型物170を回動自在に軸支し、また固定部材110の上部に取り付けた連結部材70によって揺動つまみ50を揺動自在に保持し、また固定部材110の開口部113内の中央にヒンジ115によって支持された押釦つまみ載置部117に押圧方向に複数積層された中央スイッチ215,第二中央スイッチ225及び押釦つまみ90を上下動自在に設置して構成されている。
またこの多方向押圧型スイッチ1−2は、押釦つまみ載置部117の下面に設置したスイッチ215の反転板216の上に取付板240に設けた押圧部243を当接又は接近して配置し、押釦つまみ載置部117の上面に設置した第二中央スイッチ225の反転板227の上に押釦つまみ90の押圧部96を当接又は接近して配置し、さらに揺動つまみ50の各押圧部59先端を各外周スイッチ193の反転板195上に当接又は接近して配置している。また回転型物170に取り付けた摺動子185の摺接部187はフレキシブル基板190上の摺接パターン194(図7−2参照)に弾接している。また板バネ150のクリック係合部161はクリック板140に弾接しており、同時に板バネ150の押し上げ部163はロックつまみ30のロック部35の下面を上方向に弾発して押し上げている。またこのとき押釦つまみ90の各ガイド突起95は、揺動つまみ50下面の各ガイド溝63(図3参照)内に挿入され、揺動つまみ50に対して押釦つまみ90を上下動自在にガイド(回り止め)している。
次にこの多方向押圧型スイッチ1−2の動作を説明する。なおロック機構の操作を含む回転つまみ10の動作は上記第一実施形態と同一なので、その説明は省略する。そして中央の押釦つまみ90のつまみ本体部91を押圧すると、揺動つまみ50下面のガイド溝63(図3参照)に上下動自在にガイドされている押釦つまみ90が下降し、その押圧部96が押釦つまみ固定部117の上面側に設置した反転板227を押圧してこれを反転し、第二中央スイッチ225をオンする。さらに押釦つまみ90を押圧して下降すると、押釦つまみ固定部117全体がヒンジ115を撓めながら下降し、取付板240の押圧部243が押釦つまみ固定部117の下面に設けた反転板216を押圧してこれを反転し、中央スイッチ215をオンする。前記押釦つまみ90への押圧を解除していけば、反転板216及びヒンジ115及び反転板227の弾性復帰力によって押釦つまみ90は元の位置に自動復帰してゆき、前記中央スイッチ215と第二中央スイッチ225はこの順番でオフしていく。なお反転板216,227の反転に必要な押圧力を変更することで、前記スイッチ215,225のオンオフの順番を変更できることはいうまでもない。このようにこの実施形態では押釦つまみ90によって押圧される中央のスイッチが、押圧方向に複数に積層されて構成された二段スイッチとなっている。
また揺動つまみ50については前記第一実施形態と同様に、揺動つまみ50の所定位置を押圧すると、連結部材70が撓むことで、押圧した部分が下降(揺動)し、これによって下降した側の揺動つまみ50の押圧部59がこれに対向する反転板195を押圧してこれを反転し、その外周スイッチ193をオンする。前記揺動つまみ50への押圧を解除すれば、反転板195及び連結部材70の弾性復帰力によって揺動つまみ50は元の位置に自動復帰し、前記外周スイッチ193はオフする。
以上のようにこの実施形態においても、多方向押圧型スイッチ1−2の外周部分のスペースをそのまま回転式電子部品として利用することができ、容易に多方向押圧型スイッチ1−2に回転式電子部品の機能をも一体に併せ持たせることができる。また回転つまみ10に、この回転つまみ10を所定位置でロック及びロック解除を行うロック機構を設けたので、回転つまみ10の回転を制限することができる。また回転型物170及び回転つまみ10を回動自在に軸支する固定部材110を、中央スイッチ215及び押釦つまみ90の載置部材として兼用できる。
またこの実施形態においても、前記図11に示すように、揺動つまみ330を揺動自在に保持する連結部材350に押釦つまみ310を取り付けず、その代わりに押釦つまみ90を固定部材110のヒンジ(第一連結部材)115に連結された押釦つまみ載置部117上に載置して保持したので、押釦つまみ90と揺動つまみ50とが直接連結されず、従って押釦つまみ90によって多段スイッチをオンオフ操作させる場合にその押圧ストロークが長くなってもこれに容易に対応できる。
図12は図7−1,2に示す多方向押圧型スイッチ1−2の変形例を示す多方向押圧型スイッチ1−2Aの分解斜視図(上側部分)である。なお多方向押圧型スイッチ1−2Aの下側部分は図7−2と同一なのでその表示は省略する。この変形例において図7−1,2に示す多方向押圧型スイッチ1−2と相違する点は、連結部材70の中央に円形の押釦つまみ載置部85を設け、これを四本の中間連結部87によってそれぞれ連結部71の中央に連結し、この押釦つまみ載置部85の上に押釦つまみ90を接着剤や熱カシメ等の取付手段によって取り付けた点のみである。
このように押釦つまみ90を連結部材70に取り付ければ、押釦つまみ90の位置決めが正確になり、その上下動が正確に行え、図7−2に示す第二中央スイッチ225の反転板227の中央を正確に押圧できる。なおこの変形例の場合、揺動つまみ50と押釦つまみ90を何れも連結部材70に取り付けることとなるので、押釦つまみ90の押圧方向のストロークが図7−1,2に示す多方向押圧型スイッチ1−2の押釦つまみ90ほど長く取れない恐れがあるが、連結部材70の固定孔79間の距離が長い場合は前記ストロークを長く取れ、実際上問題ない。
図13は図7−1,2に示す多方向押圧型スイッチ1−2の他の変形例を示す多方向押圧型スイッチ1−2Bの分解斜視図(下側部分)である。なお多方向押圧型スイッチ1−2Bの上側部分は図7−1と同一なのでその表示は省略する。この変形例において図7−1,2に示す多方向押圧型スイッチ1−2と相違する点は、フレキシブル基板190に設けた挿通穴192とスイッチ取付部201、及び取付板240に設けた押圧部243を省略した点と、その代りにフレキシブル基板190上面の四つの外周スイッチ193の中央に中央スイッチ215を設置した点のみである。中央スイッチ215はフレキシブル基板190の中央に設けた図示しない接点パターンを覆うように反転板(可動接点板)216を取り付けて構成されている。
そして第二スイッチ取付部219は図7−1に示す固定部材110の押釦つまみ載置部117の上面側に載置され、第二実施形態の取付方法と同一の取付方法によって取り付けられる。従ってこの変形例の場合、押釦つまみ90の下側に上向きとなった第二中央スイッチ225の反転板227が位置し、固定部材110の押釦つまみ載置部117の下側に中央スイッチ215の反転板216が位置する。従ってこの変形例においても、押釦つまみ90を押圧することで例えば先に反転板227が反転して第二中央スイッチ225がオンし次に反転板216が反転して中央スイッチ215がオンする。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記各実施形態では、揺動つまみ50の外周を囲む位置に回転つまみ10を設置したが、押釦つまみ90を固定部材110上に上下動自在に保持する第一連結部材となるヒンジ115と、前記揺動つまみ50を固定部材110に揺動自在に保持する第二連結部材となる連結部材70とを、別部品で構成して押釦つまみ90の押圧ストロークを長くするという目的のためには回転つまみ10は必ずしも必要なく、その目的だけの多方向押圧型スイッチであれば回転つまみ10を省略しても良い。