以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔第一実施形態(請求項1〜4に対応する実施形態)〕
図1−1,図1−2は、本発明の第一実施形態にかかる回転式電子部品付き多方向押圧型スイッチ(以下簡略化のため「多方向押圧型スイッチ」という)1の分解斜視図である。また図2はこの多方向押圧型スイッチ1の概略断面図(但し図示の都合上、切断面は各部で異ならせている)である。図1−1,1−2に示すようにこの多方向押圧型スイッチ1は、その上側から、回転つまみ10と、ロックつまみ30と、揺動つまみ50と、連結部材70と、押釦つまみ90と、固定部材110と、クリック板140と、板バネ150と、回転型物170と、フレキシブル基板190と、取付板240とを具備して構成されている。以下各構成部品について説明する。
回転つまみ10は成形樹脂製であり、略円板状で中央に円形の開口部13を有する上面部11と、上面部11の外周辺から下方向に向かう側壁部12とを具備し、さらに上面部11の所定位置に略楕円形状に開口するロックつまみ挿入部15を設けるとともに、上面部11の下面のロックつまみ挿入部15の両側に小突起状のストッパー部17−1,2を設けて構成されている。また側壁部12の所定位置には四つ(図1−1では二つのみ示す)の貫通する係止孔18が設けられている。
ロックつまみ30は成形樹脂製であり、前記回転つまみ10のロックつまみ挿入部15に上下動自在に挿入される楕円柱形状のつまみ本体部31と、つまみ本体部31の下面外周から水平方向に張り出すつば部33と、つまみ本体部31の下方に設けられて下記する固定部材110のロック係合部123にその上下方向に向かって係合・離脱するロック部35とを具備して構成されている。
図3は揺動つまみ50を下面側から見た斜視図である。図1−1,図3に示すように揺動つまみ50は成形樹脂製であり、円板状の本体部51の中央に下記する押釦つまみ90のつまみ本体部91を上下動自在に挿入する円形の開口からなるつまみ挿入部53を設け、また本体部51の外周下面から半径方向外側に向けてつば部55を突出し、また本体部51の下面から下方向に向けて突出する四本の柱状の押圧部59を設けて構成されている。各押圧部59の根元部分の外周には、180°対向する位置に一対ずつ小突起状の固定部61が設けられている。さらに本体部51の下面の各押圧部59よりもつまみ挿入部53側の位置(四ヶ所)には、それぞれ二本の小突起を突出することでその間にガイド溝63を形成している。
連結部材70は可撓性を有する合成樹脂フイルム(例えばポリエチレンテレフタレートフイルム)製であり、略四角形状であって且つその中央に四角形状の開口部73を設けた連結部71の四隅から外方に向けて四本のアーム部75を突出し、各アーム部75の先端に円形の固定部77を設け、各固定部77の内部に貫通する円形の小孔からなる固定孔79を設け、一方連結部71を構成する各辺の中央位置から外方に向けて四つの舌片状の固定部81を突出し、各固定部81の内部に貫通する固定孔83を設けて構成されている。固定孔83は円形の小孔の両側に矩形状の切り欠きを設けて構成されており、ちょうど前記揺動つまみ50の押圧部59とその両側の固定部61とを同時に挿入できる寸法形状に形成されている。
図4は押釦つまみ90を下面側から見た斜視図である。図4及び図1−1に示すように、押釦つまみ90は透明な成形樹脂製であり、円柱状のつまみ本体部91の下面外周からつば部93を突出し、またつば部93の外周からさらに等間隔に四本のガイド突起95を突出し、またつば部93の外周の180°対向する位置から一対の突出部97を設けてそれらの下面から小突起状の固定部99を突出し、さらにつまみ本体部91の下面中央に円形の凹部からなる収納部101を設けて構成されている。
図5は固定部材110を下面側から見た斜視図である。図5及び図1−1に示すように固定部材110は成形樹脂製であり、略円板状の基部111の中央に円形の開口部113を設けると共に、開口部113を跨ぐ一対のヒンジ115,115が設けられ、そのヒンジ115,115間には押釦つまみ固定部117を一体に設けて構成されている。開口部113の周囲には下方向に向かって略円筒状に突出する軸支部116が設けられている。軸支部116の下面には四本の小突起状の固定部118が設けられている。また基部111の上面には、前記連結部材70の固定孔79を挿入する小突起状の固定突起119が四つと、その上面を前記回転つまみ10の上面部11の裏面に当接して回転つまみ10を支持する小突起状の回転つまみ支持部120が六つ設けられている。一方基部111の外周からは平板状で扇状に張り出すロック用基部121が設けられ、その外周には前記ロックつまみ30のロック部35を上下動自在に挿入する寸法形状の矩形状の切り欠きからなるロック係合部123が設けられ、またロック用基部121の上面の外周近傍には二つの小突起状のストッパー部125,126が設けられている。
次に前記開口部113の内周面の対向する位置からは平板状の補強部127,127が突出して設けられ、各補強部127,127の先端辺中央にはそれぞれ前記揺動つまみ50の対向する二つの押圧部59を上下動自在に挿入して揺動つまみ50の回り止めを行う切り欠き状の回り止め部129,129が設けられている。
次に押釦つまみ固定部117は、平板矩形状であってその両側辺から舌片状の突出部131,131を突出する形状に形成され、その上面中央に凹部からなる挟持部材逃げ部133を設け、また突出部131,131に小孔からなる取付部132,132を設け、さらにその下面中央に小突起状の押圧部135を設けて構成されている。なお両取付部132は、押釦つまみ90の両固定部99を挿入する寸法形状に形成されている。
さらに固定部材110の開口部113の内周面からは一対の舌片状の支持部137が突出し、各支持部137の下面からは小突起状の固定部139が突出している。
クリック板140は、金属板をリング状に形成して中央に開口147を設けて構成されており、その所定位置には開口からなるクリック係合部141が設けられ、またその内周からは舌片状の一対の突起143が突出してその内部に前記固定部材110の固定部139を挿入する小孔からなる係止部145が設けられている。
板バネ150は弾性金属板をリング状に形成して中央に開口165を設けて構成されており、その所定位置に上方向に向かって少し持ち上げられた円弧状のクリック用アーム部151と、クリック用アーム部151に対向する位置に設けられ上方向に向かって少し持ち上げられた円弧状のロックつまみ押上用アーム部153と、両アーム部151,153の間の位置に設けられ外方向に突出する突出面155の内部に形成される開口部157と、両アーム部151,153のそれぞれ根元部分に設けられる四つの小孔からなる取付部159とを具備して構成されている。そしてクリック用アーム部151の中央には突状のクリック係合部161が設けられ、ロックつまみ押上用アーム部153の中央には舌片状に外周及び上方に突出する押し上げ部163が設けられている。
図6は回転型物170を下面側から見た斜視図である。図6及び図1−2に示すように、回転型物170は成形樹脂製であり、リング状で平板状に形成されることでその中央に軸支孔171を設け、またその上面の前記板バネ150の各取付部159に対向する位置に小突起状の固定部173を設け、またその外周の前記ロックつまみ30に対向する位置に切り欠き状でロックつまみ30のロック部35を上下動自在に挿入するロック部収納部175を設け、さらに回転型物170の下面に摺動子収納凹部177を設けて構成されている。回転型物170の上面の前記摺動子収納凹部177に対向する位置には、摺動子収納凹部177を設けることでその肉厚が薄くなるのを防止するための平面状の突出部179が形成される。また摺動子収納凹部177内には、摺動子固定用突起181と、摺動子位置決め突起183とが二つずつ設けられている。また回転型物170の外周の前記回転つまみ10の係止孔18に対応する位置には、これに係合する係止突起184が設けられている。
摺動子185は弾性金属板製であり、下側に折り返したアーム部186の先端に摺接部187が設けられ、またその所定位置には前記摺動子固定用突起181と摺動子位置決め突起183に挿入される二つずつの貫通孔188,189が設けられている。
フレキシブル基板190は可撓性を有する円形の合成樹脂フイルム191上に、五つのスイッチ193A,193Bを設けると共に、その周囲に所望の円弧状の摺接パターン194を設け、さらに三つの係止穴197と発光素子取付部201とを設けて構成されている。五つのスイッチ193は、中央スイッチ193Aの周囲に四つの外周スイッチ193Bをリング状に等間隔に設置して構成されている。各スイッチ193A,193Bはその上部に弾性金属板をドーム形状に形成してなる反転板(可動接点板)195が図示されていないフレキシブル基板190に形成された接点パターンを覆うように取り付けて構成されている。摺接パターン194は、前記摺動子185の摺接部187が摺接する位置に設けられる円弧状のパターンであり、スイッチパターンであっても抵抗体パターンであっても良い。三つの係止穴197は何れも前記固定部材110の下面に設けた固定部118を挿入する位置に設けられている。
一方発光素子取付部201は、帯状の連結部203の先端に設けられている。図7は図1−2に示す発光素子取付部201を反対面側から見た分解斜視図、図8は図1−2に示す発光素子取付部201を裏面側から見た斜視図である。図7に示すように発光素子取付部201は、略矩形状で前記固定部材110の押釦つまみ固定部117と略同一の外形寸法形状に形成され、その対向する一対の外周辺からは舌片状の突出部211が突出し、各突出部211には貫通孔からなる取付部213が設けられている。発光素子取付部201の中央には開口部215が設けられ、その中央にはこの開口部215を横切るように一本の連結部217が設けられ、連結部217の中央の素子取付部218の両側部からは一対の舌片状の突出部219を突出し、両突出部219の部分に端子接続パターン221を設け、これら端子接続パターン221から回路パターン223をフレキシブル基板190に向けて引き出している。
そしてこの発光素子取付部201にはチップ形の発光素子230が機械的に取り付けられるが、その取り付け方法は、前記発光素子取付部201の素子取付部218上に発光素子230を載置し、その際発光素子230の両端に設けた端子部231をそれぞれ端子接続パターン221に接続し、素子取付部218の下側側の面に略コ字状の弾性金属板からなる挟持部材235を押し付け、この挟持部材235によって図8に示すように両突出部219を上方向に折り曲げてこの突出部219と共に発光素子230の両側部を挟持し、固定する。これによって発光素子230は発光素子取付部201に機械的に固定され、電気的に接続される。なお発光素子230の固定方法は、この方法に限定されず、導電性接着材や半田等によって固定しても良い。
図1−2に戻って、取付板240は金属製又は成形樹脂製の硬質板であり、前記フレキシブル基板190の外形形状と略同一外形形状(円形)に形成され、前記固定部材110の下面に設けた固定部118に対向する位置にそれぞれ係止孔241を四つ(図では一つのみ示す)設けて構成されている。
次にこの多方向押圧型スイッチ1の組み立て方法の一例を説明する。まず予め揺動つまみ50の下面側に連結部材70を配置して、揺動つまみ50の各押圧部59を連結部材70の各固定孔83内に挿入し、連結部材70の下面側に突出した固定部61を熱カシメによって潰すことで、連結部材70を揺動つまみ50に取り付けておく。
一方固定部材110の下面にクリック板140を配置し、クリック板140の各係止部145に固定部材110の下面から突出する固定部139を挿入してその先端を熱カシメすることで、固定部材110にクリック板140を取り付けておく。
また回転型物170の上面に板バネ150を載置して回転型物170の各固定部173を板バネ150の各取付部159に挿入し、その先端を熱カシメすることで取り付ける。このとき板バネ150の開口部157内に、回転型物170の突出部179が挿入される。一方回転型物170の下面の摺動子収納凹部177内に摺動子185を収納し、その際回転型物170に設けた摺動子固定用突起181と摺動子位置決め用突起183とを、それぞれ摺動子185に設けた貫通孔188,189に挿入し、摺動子固定用突起181の先端を熱カシメすることで取り付けておく。
そしてフレキシブル基板190の発光素子230を取り付けた発光素子取付部201を、図1−2に示す状態からフレキシブル基板190の上面側に折り返した上で、回転型物170の軸支孔171及び板バネ150の開口165と、クリック板140の開口147と、固定部材110の開口部113内の隙間を通して固定部材110の上側に導き出し、固定部材110の押釦つまみ固定部117上に載置する。このとき発光素子取付部201に取り付けた発光素子230は上向きとなっている。なおこのとき挟持部材235の下面は押釦つまみ固定部117に設けた挟持部材逃げ部133内に収納される(図2参照)。そしてこの押釦つまみ固定部117上に載置した発光素子取付部201の上に、押釦つまみ90を載置し、そのとき押釦つまみ90の各固定部99を、発光素子取付部201の取付部213と、押釦つまみ固定部117の取付部132に挿入し、押釦つまみ固定部117の下面から突出する固定部99先端を熱カシメによって取り付ける。このとき発光素子230は押釦つまみ90の収納部101内に位置する。
そして前記固定部材110の上面に、前記連結部材70を取り付けた揺動つまみ50を配置し、その際揺動つまみ50のつまみ挿入部53に押釦つまみ90のつまみ本体部91を挿入し、同時に連結部材70の各固定孔79に固定部材110の各固定突起119を挿入してその先端を熱カシメする。
次に回転つまみ10のロックつまみ挿入部15にその下面側からロックつまみ30のつまみ本体部31を挿入したものを、揺動つまみ50の上から被せ、一方クリック板140付の固定部材110の下面側に板バネ150付の回転型物170を設置し、回転つまみ10の外周に設けた係止孔18に回転型物170の外周に設けた係止突起184を係合し、一体に回転するように取り付ける。このとき固定部材110の軸支部116が回転型物170の軸支孔171に挿入されることで、回転型物170及びこれに固定された回転つまみ10は軸支部116を中心軸として回動自在となる。またこのときロックつまみ30のロック部35は固定部材110のロック係合部123内に挿入される。
そして回転型物170の下面側にフレキシブル基板190と取付板240とを配置し、その際フレキシブル基板190に設けた各係止穴197と、取付板240に設けた各係止孔241に固定部材110の下面の固定部118を挿入し、その先端を取付板240の下面で熱カシメする。これによってこの多方向押圧型スイッチ1が完成する。
以上のようにして構成された多方向押圧型スイッチ1は、図2に示すように、フレキシブル基板190及び取付板240上に固定部材110を固定し、固定部材110の軸支部116に回転型物170を回動自在に軸支し、また固定部材110の上部に取り付けた連結部材70によって揺動つまみ50を揺動自在に固定し、また固定部材110の開口部113内の中央にヒンジ115によって支持された押釦つまみ固定部117上に押釦つまみ90を取り付けることで押釦つまみ90を上下動自在に設置して構成されている。
またこの多方向押圧型スイッチ1は、押釦つまみ固定部117の下面に設けた押圧部135先端を中央スイッチ193Aの反転板195上に当接又は接近して配置し、揺動つまみ50の各押圧部59先端を各外周スイッチ193Bの反転板195上に当接又は接近して配置している。また回転型物170に取り付けた摺動子185の摺接部187はフレキシブル基板190上の摺接パターン194(図1−2参照)に弾接している。また板バネ150のクリック係合部161はクリック板140に弾接しており、同時に板バネ150の押し上げ部163はロックつまみ30のロック部35の下面を上方向に弾発して押し上げている。
またこのとき押釦つまみ90の各ガイド突起95(図4参照)は、揺動つまみ50下面の各ガイド溝63内に挿入され、揺動つまみ50に対して押釦つまみ90を上下動自在にガイドしている。
次にこの多方向押圧型スイッチ1の動作を説明する。図2はロックつまみ30が前記板バネ150の押し上げ部163によって押し上げられて、そのロック部35が固定部材110のロック係合部123内に係合して回転つまみ10がロックされた状態を示している。なおこのとき回転つまみ10の一方のストッパー部17−1(図1−1参照)は、固定部材110のロック係合部123に近い側のストッパー部125(図1−1参照)に当接していて、その位置よりも図1−1に示す矢印A1方向には回動できない状態となっている。そしてこの状態からロックつまみ30のつまみ本体部31を下方向に押圧すれば、押し上げ部163の弾発力に抗してロックつまみ30が下降してそのロック部35がロック係合部123の下側に移動することでロックが解除され、この状態のまま回転つまみ10を図1−1に示す矢印A2方向に回動すれば、ロックつまみ30のロック部35は固定部材110のロック用基部121の下面側を通過した後にロック用基部121が無くなった部分(図1−1に示す側面121aの部分)において押し上げ部163の弾発力によって上方向に押し上げられ、その状態のままさらに回動を続ければ回転つまみ10のストッパー部17−2が固定部材110のもう一方のストッパー部126(図1−1参照)に当接してその回動ができなくなるまで回動する。この位置から再び回転つまみ10を逆方向(矢印A1方向)に回動すると、回転つまみ10は回動を続け、ロックつまみ30のロック部35側面がロック用基部121の側面121aに当接した位置で一旦停止する。そしてロックつまみ30のつまみ本体部31を下方向に押圧すれば、押し上げ部163の弾発力に抗してロックつまみ30が下降してそのロック部35がロック用基部121の下面側に移動し、この状態のまま回転つまみ10を矢印A1方向に回動することが可能となり、さらに回転つまみ10を回転すると、ストッパー部17−1がストッパー部125に当接すると同時にロック部35が固定部材110のロック係合部123に係合し、それよりも矢印A1方向へは回転つまみ10を回動できなくなる。そして上記回転つまみ10の回転によってこれと一体に回転する回転型物170に取り付けた摺動子185の摺接部187が摺接パターン194上を摺動することで、その電気的出力が変化する。
一方中央の押釦つまみ90のつまみ本体部91を押圧すると、ヒンジ115が撓むことで押釦つまみ固定部117が下降し、その押圧部135が中央の反転板195を押圧してこれを反転し、中央スイッチ193Aをオンする。前記押釦つまみ90への押圧を解除すれば、反転板195及びヒンジ115の弾性復帰力によって押釦つまみ90は元の位置に自動復帰し、前記中央スイッチ193Aはオフする。
また揺動つまみ50の所定位置を押圧すると、連結部材70が撓むことで、押圧した部分が下降(揺動)し、これによって下降した側の揺動つまみ50の押圧部59がこれに対向する反転板195を押圧してこれを反転し、外周スイッチ193Bをオンする。前記揺動つまみ50への押圧を解除すれば、反転板195及び連結部材70の弾性復帰力によって揺動つまみ50は元の位置に自動復帰し、前記外周スイッチ193Bはオフする。
そして発光素子230を発光すれば、透明な材料によって形成されている押釦つまみ90が、その下面側から表面側に向けて照光され、明るく照らし出される。押釦つまみ90の上面に所望の装飾を印刷等によって形成しておけば、さらに効果的にその表面を照らし出せる。また揺動つまみ50や回転つまみ10を透明な材料で構成しておけば、これらのつまみ50,10も前記発光素子230によって照明することができる。逆にこれらつまみ50,10を不透光性の材料で構成したり又はその表面を不透光性の塗料で覆ったような場合は、押釦つまみ10のみを効果的に照明することができる。
なお上述のように、揺動つまみ50の外周を囲む位置に設置される回転式電子部品は、回転つまみ10,回転つまみ10と一体に回転して回転式電子部品の電気的出力を変化する回転型物170及び摺動子185及びフレキシブル基板190の摺接パターン194等によって構成されている。
以上のように本実施形態においては、押釦つまみ90と、押釦つまみ90を囲むように設置される揺動つまみ50と、押釦つまみ90によって押圧される位置に設置される中央スイッチ193Aと、前記中央スイッチ193Aの周囲であって揺動つまみ50によって押圧される位置に設置される外周スイッチ193Bと、揺動つまみ50の外周を囲む位置に設置されて回転つまみ10を回動することで電気的出力を変化する回転式電子部品とを具備してなる多方向押圧型スイッチ1において、前記押釦つまみ90に発光素子230を設置することで、発光素子230から発射される光によって押釦つまみ90を照光するように構成したので、この種の構造の多方向押圧型スイッチ1の押釦つまみ90の照光が図れる。また同時に、多方向押圧型スイッチ1の外周部分のスペースをそのまま回転式電子部品として利用することができ、容易に多方向押圧型スイッチ1に回転式電子部品の機能をも一体に併せ持たせることができる。
また回転つまみ10と一体に回転する回転型物170の中央に設けた軸支孔171に挿入されてこの回転型物170及び回転つまみ10を回動自在に軸支する軸支部116を有する固定部材110を設置したので、回転式電子部品を多方向押圧型スイッチ1の外周に簡単な構造で容易に設置することが可能となる。
またこの実施形態では、固定部材110の軸支部116内に設けた開口部113内に、この固定部材110と一体に、ヒンジ115と、このヒンジ115によって上下動自在に保持される押釦つまみ固定部117とを成形すると共に、この押釦つまみ固定部117上に発光素子230及び押釦つまみ90を取り付けているので、回転型物170及び回転つまみ10を回動自在に軸支する固定部材110を、発光素子230と押釦つまみ90の取付部材として兼用できる。
またこの実施形態においては、前記図9に示すように、揺動つまみ330を揺動自在に保持する連結部材350に押釦つまみ310を取り付けず、その代わりに別途固定部材110に設けた押釦つまみ固定部117上に押釦つまみ90を取り付けることとしたので、押釦つまみ90への発光素子230の設置が容易になる。何故なら、スイッチ193をオンオフする押圧部135をその下面に設けた押釦つまみ固定部117の上に発光素子230を載置できるので、押圧部135に邪魔されることなく、発光素子230を押釦つまみ90の真下等の任意の位置に容易に設置することができるからである。
〔第二実施形態(請求項1〜4に対応する実施形態)〕
上記実施形態においては、押釦つまみ固定部117上に押釦つまみ90を別部品として設置したが、図10に示す回転式電子部品付き多方向押圧型スイッチ(以下簡略化のため「多方向押圧型スイッチ」という)1−2のように、押釦つまみ固定部117と押釦つまみ90とを発光素子230と発光素子取付部201とを内蔵した状態で一体成形(インサート成型)することで、押釦つまみ固定部117上に発光素子230と押釦つまみ90を設置してもよい。この実施形態の場合、発光素子230の発光素子取付部201への電気的・機械的固定は導電性接着剤や半田等によって行っており、従って発光素子取付部201には取付部213以外の開口は設けられていない(もちろん設けても良い)。また押釦つまみ固定部117と押釦つまみ90間は発光素子取付部201に設けた取付部213を介して一体に連結されている。このとき押釦つまみ固定部117は、中央の押圧部135と周囲の取付部213の下面側のリング状の部分との間を、放射状の連結部117aによって連結して構成されている。即ちこの実施形態の場合、押釦つまみ90と押釦つまみ固定部117と発光素子230と発光素子取付部201とをインサート成型により一体化しているので、これら各部材を一つずつ組み立てていく複雑な組み立て工程が不要になり、製造工程の簡素化が図れる。
〔第三実施形態(請求項5〜7に対応する実施形態)〕
図11〜図14は本発明の第三実施形態にかかる回転式電子部品付き多方向押圧型スイッチ(以下簡略化のため「多方向押圧型スイッチ」という)1−3を示す図であり、図11,図12は多方向押圧型スイッチ1−3の内の回転式電子部品を除いた中央部分(多方向押圧型スイッチ本体部500のみの部分)の分解斜視図、図13は多方向押圧型スイッチ1−3全体の分解斜視図、図14は多方向押圧型スイッチ1−3の概略断面図(但し図示の都合上、切断面は各部で異ならせている)である。なお図12に示すフレキシブル基板520と発光素子取付部531とは連結部530によって連結されているが、図示の都合上、両者は連結部530の部分で分断して示している。
ここでまず図11,図12を用いて多方向押圧型スイッチ本体部500の部分について説明すると、多方向押圧型スイッチ本体部500は、静止側部材である取付板510上に、フレキシブル基板520と、操作部形成部561と押圧部形成部(発光素子載置部材でもある)571と、操作部形成部561と押圧部形成部571の間に設置される発光素子取付部531に取り付けた発光素子590と、スイッチ作動部材620と、静止側部材であるケース640と、静止側部材であるケース取付部材660と、覆い部680と、操作つまみ710とを具備して構成されている。なお操作部形成部561と押圧部形成部571と操作つまみ710とを合わせて、押釦兼揺動つまみ560とする。以下各構成部品について説明する。
取付板510は剛性を有する金属板であるが、合成樹脂によって構成しても良い。そしてその表面はフレキシブル基板520を載置する平面状の載置面511となっている。そしてその所定位置には複数(この実施形態では四つ)の貫通孔からなる取付部513が設けられている。これら取付部513の内の二つの取付部513の端部は円弧状に形成されることで位置決め部515が形成されている。
フレキシブル基板520は、一枚の可撓性を有する合成樹脂フイルム(例えばポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリイミドフイルム等)に、中央スイッチ521Aと、中央スイッチ521Aの周囲の複数箇所(本実施形態では四ヶ所)に設置される外周スイッチ521Bと、取付板510の四つの取付部513の内の三つの取付部513に対向する位置に設置されそれぞれの取付部513と同一形状の固定部532と、もう一つの取付部513に対向する位置に形成される切欠き部534と、外周スイッチ521Bのさらに外側に形成される複数本(この実施形態では二本)の円弧状の摺接パターン605と、フレキシブル基板520の外周から外部の回路に引き出される引出部607と、切欠き部534の部分から帯状の連結部530を介して連結されている発光素子取付部531と、発光素子取付部531の連結部530とは180°反対側から帯状に突出する取付部541とを具備して構成されている。中央スイッチ521A及び外周スイッチ521Bは、フレキシブル基板520の上面に形成した回路パターンの一部に設けたスイッチパターンの上に弾性金属板製の反転板537を取り付けて構成されている。摺接パターン605は印刷(スクリーン印刷等)等によって形成されており、例えば回転式可変抵抗器用のパターンとしたり、回転式コードスイッチ用のパターンとしたりしている。発光素子取付部531は略矩形状であり、左右二ヶ所に矩形状の貫通部532を設け、それらの間に設けた帯状の素子取付部533の中央に、弾性金属板からなる挟持部材535によって発光素子590を機械的に固定している。発光素子590の取付構造は、前記図7,図8に示す発光素子230の挟持部材235による固定構造と同一である。発光素子590には、フレキシブル基板520に形成している回路パターンから連結部530を介して発光素子取付部531上に引き出されて形成されている回路パターンに電気的に接続されている。なお発光素子590の発光素子取付部531への固定構造は上記構造に限定されず、他の種々の機械的固定構造や接着材や半田による固定構造等であっても良い。発光素子取付部531の外周から突出する取付部541は略帯状であってその先端近傍に矩形状の貫通孔からなる固定部536を設けている。
操作部形成部561と押圧部形成部571は、何れも合成樹脂の成形品である。操作部形成部561は、その上面を略半球面状に形成してなる基部上部563と、基部上部563の上面中央から真上に向けて突出する円筒状の操作部565とを具備している。基部上部563の下面中央には凹状の発光素子収納部567(図14参照)が設けられ、またその下面の複数ヶ所(本実施形態では四ヶ所)からは柱状の固定部568(図12では二本のみ示す)が突出している。操作部565の中央には略円形の上下に貫通する貫通孔である挿入取付部569が設けられている。一方押圧部形成部571は略平板状であり、前記固定部568に対応する位置にはこれら固定部568を挿入する貫通孔からなる挿入固定部573が設けられ、またその上面中央には前記挟持部材535の厚み分凹む凹部575が設けられ、またその下面の前記中央スイッチ521Aの中央に対向する位置には柱状の押圧部577(図14参照)が設けられている。そして以下で説明する組み立て工程で発光素子取付部531を挟持して一体化される操作部形成部561の基部上部563と押圧部形成部571とを合わせて基部579が構成される。
スイッチ作動部材620は合成樹脂を略円板状に成形して構成されており、その中央部分を上方向に略ドーム状に凸とすることでその上面を摺接面621とし、その下面側の空間を基部収納部622とし、また摺接面621の中央部分には前記操作部565を突出する開口部623が設けられ、またその外周の複数ヶ所(本実施形態では各外周スイッチ521Bに対向する4ヶ所)には下方向に向かって突出する押圧部625を設け、また各押圧部625の根元部分には半径方向外側に向かって突出する位置決め部627を設けている。
ケース640は合成樹脂の成形品であり、その形状は下面を開放した略円筒形状であり、その上面を覆う上板部641の中央に円形の開口643を設け、開口643の内周下端辺のリング状の部分を前記スイッチ作動部材620の摺接面621を当接する当接部645としている。またケース640の側壁面外周部分には、上下方向に向かう複数本(本実施形態では四本)のガイド溝647が設けられている。またケース640の側壁の下端部のガイド溝647を設けていない部分を凹部648とし、ガイド溝647を設けた部分(本実施形態では4ヶ所)の下端部をそれぞれ押圧部649としている。さらにケース640の側壁の下端部の前記取付板510の各位置決め部515(本実施形態では二ヶ所)に対向する位置にはこれに挿入する位置決め突起651が二本設けられている。また図示はしないが、ケース640の側壁の内周面部分には、上下方向に向かってスイッチ作動部材620の位置決め部627を上下動自在にガイドするガイド溝が設けられている。ケース取付部材660は金属板製であり、前記ケース640の上面形状と略同一形状の略リング状の覆い部661と、覆い部661の中央に設けられ前記ケース640の開口643と略同一形状寸法に形成された開口663と、覆い部661の外周から突出して下方向に向けて折り曲げられて前記ケース640の各ガイド溝647に挿入されるアーム部665とを具備して構成されている。覆い部680は合成樹脂の成形品であり、略ドーム形状であってその中央に係止用開口681を設けて構成されている。係止用開口681は下記する導光部材702を通す円形の開口の周囲に放射状に複数(本実施形態では四つ)の切り欠き683を設けて構成され、また各切り欠き683の間の部分には円形の貫通孔685を設けている。操作つまみ710は不透光性の操作つまみ本体部701と、操作つまみ本体部701の中央で操作つまみ本体部701を上下に貫く透光性の導光部材702とを具備して構成されている。この実施形態では操作つまみ710は操作つまみ本体部701と導光部材702とを二材成形手法にて一体に成形することで構成されているが、導光部材702を操作つまみ本体部701の内部に後から組み込むことで構成しても良い。操作つまみ本体部701の下面の導光部材702が突出している部分の周囲の前記各切り欠き683に対向する位置には各切り欠き683を挿入する板状の突出部707が突出して設けられ、またその下面の各貫通孔685に対向する位置には各貫通孔685に挿入される挿入突部709が突出して設けられている。
多方向押圧型スイッチ本体部500の組立方法の一例を説明すると、まず予め操作つまみ710を覆い部680の上側からその係止用開口681に挿入することで、覆い部680の各切り欠き683に操作つまみ710の各突出部707を挿入し、同時に覆い部680の各貫通孔685に操作つまみ710の各挿入突部709を挿入して各挿入突部709の先端を熱カシメして操作つまみ710と覆い部780とを一体化しておく。一方発光素子590を取り付けた発光素子取付部531の上下を操作部形成部561と押圧部形成部571とによって挟み込み、その際操作部形成部561の各固定部568を発光素子取付部531の貫通部532を通して押圧部形成部571の各挿入固定部573に挿入し、その先端を押圧部形成部571の下面で熱カシメし、これによって発光素子取付部531を挟持した状態で操作部形成部561と押圧部形成部571とを一体化する。このとき発光素子590は発光素子収納部567内に位置する。そして操作部形成部561と押圧部形成部571とを一体化したものを連結部530の部分を折り曲げることによって連結部530を介して図12に示すようにフレキシブル基板520上に配置した状態でフレキシブル基板520を取付板510上に設置し、さらに操作部形成部561の上にスイッチ作動部材620とケース640とケース取付部材660とを被せ、その際ケース取付部材660の各アーム部665をケース640の各ガイド溝647に挿入し、さらに各アーム部665の先端をフレキシブル基板520の各固定部532及び切欠き部534を介して取付板510の各取付部513に挿入し、それらの先端を図14に示すように外方向(多方向押圧型スイッチ本体部500から離れる方向)に向けて折り曲げて固定する。このとき、フレキシブル基板520の一つの固定部532の上には、取付部541の固定部536が重ねられているので、この固定部532と同時に固定部536にもアーム部665が挿入され、取付部541は他の固定部532の部分と同様に、ケース640の押圧部649によって取付板510に強固に押し付けられ、これによって取付部541及び連結部530のフレキシブル基板520の近傍部分(必ずしも連結部530の根元部分でなくても良く、その周囲部分であっても良い)は固定される。そして覆い部680と一体化した操作つまみ710の下面から突出する導光部材702を、挿入取付部569に挿入すれば、この多方向押圧型スイッチ本体部500が完成する。
以上のように組み立てた多方向押圧型スイッチ本体部500の外周に回転式電子部品800を設置して多方向押圧型スイッチ1−3を組み立てるには、図13に示すように、多方向押圧型スイッチ本体部500の上側から多方向押圧型スイッチ本体部500の外周を囲むように、回転式電子部品800を構成する部品である回転つまみ720や回転型物760等を取り付けた固定部材(以下この実施形態では「外側ケース」という)750を設置する。外側ケース750の上面にはクリック板740が載置され、回転つまみ720の下面には板バネ730が取り付けられ、回転型物760の下面には摺動子770が取り付けられる。なお回転式電子部品800は、回転つまみ720、板バネ730、クリック板740、外側ケース750、回転型物760、摺動子770、フレキシブル基板520に形成した摺接パターン605によって構成されている。
これら各構成部品について図13及び図14を用いて説明すると、まず回転つまみ720は合成樹脂を円板状に成形して構成されており、その中央には前記押釦兼揺動つまみ560を挿通する円形の開口721を設け、また回転つまみ720の下面の開口721の周囲から筒状の軸支部723を突出して設けて構成されている。軸支部723の下端辺の所定位置(180°対向する二ヵ所、図13では一ヵ所のみ示す)からは小突起状の取付部725を突出して設けている。また回転つまみ720の軸支部723の外側下面の所定位置(二ヵ所、図14では一ヶ所のみ示す)からも小突起状の固定部727が突出して設けられている。板バネ730は弾性金属板をリング状に形成して構成されており、前記固定部727に対向する二ヵ所にそれぞれ係止孔731を設けると共に、両係止孔731の間を連結するクリック用アーム部733のそれぞれ中央部分に下方向に突出するように湾曲するクリック弾接部735を設けている。クリック板740は金属板をリング状に形成して構成されており、その面に所定の個数の矩形状に貫通するクリック係合部741を設けると共に、180°対向する所定位置に小径の取付孔743を設けている。外側ケース750は合成樹脂を略円形の筒状に成形して構成されており、その上面にはクリック板740を載置するリング状の載置面751が設けられ、載置面751上の前記クリック板740の各取付孔743に対向する位置に小突起状の取付固定部753を設けている。また外側ケース750の中央の円形の開口は、前記回転つまみ720の軸支部723の外周を回動自在に軸支する軸支用開口部755となっている。また外側ケース750の内部の軸支用開口部755の下側の空間は、図14に示すように、軸支用開口部755の内径よりもその内径を大きくした回転型物等収納部757となっている。回転型物760は成形樹脂をリング状に成形して構成されており、前記回転つまみ720の各取付部725に対向する位置(180°対向する二ヵ所)には各取付部725を挿入する挿入孔761が設けられ、またその下面側の所定位置には摺動子取付面763が設けられ、摺動子取付面763には小突起765が突設されている。摺動子770は弾性金属板製であり、略矩形状の基部771と、基部771の一辺から突出して下面側に折り曲げられる二本の摺動冊子773とを具備して構成されている。基部771には小孔からなる取付孔775が設けられている。
そして多方向押圧型スイッチ本体部500の周囲に回転式電子部品800を設置する組立方法の一例を説明すると、まず予め回転つまみ720の下面に板バネ730を配置して回転つまみ720の固定部727(図14参照)を板バネ730の係止孔731を挿入してその先端を熱カシメして固定する。一方外側ケース750の載置面751上にクリック板740を載置してクリック板740の各取付孔743に外側ケース750の取付固定部753を挿入し、その先端を熱カシメして固定する。また回転型物760下面の摺動子取付面763に摺動子770の基部771を設置し、その際摺動子取付面763に設けた小突起765を摺動子770の取付孔775に挿入してその先端を熱カシメして固定する。
そして外側ケース750の上に回転つまみ720を設置し、このとき回転つまみ720の軸支部723を外側ケース750の軸支用開口部755に回動自在に挿入する。次に外側ケース750下面の回転型物等収納部757内に回転型物760を挿入し、その際回転つまみ720の各取付部725を回転型物760の挿入孔761に挿入してその先端を回転型物760の下面で熱カシメし、これによって回転つまみ720と回転型物760とを外側ケース750に対して回転自在に一体化する。そしてこの外側ケース750を前記多方向押圧型スイッチ本体部500の上に被せ、回転つまみ720の軸支部723の内側に多方向押圧型スイッチ本体部500を設置し、外側ケース750と取付板510間を図示しない位置で固定すれば、この多方向押圧型スイッチ1−3の組み立てが完了する。このとき回転型物760に取り付けた摺動子770の摺動冊子773がフレキシブル基板520に設けた摺接パターン605に弾接している。
即ちこの多方向押圧型スイッチ1−3は、図14に示すように、上下動すると共に揺動する押釦兼揺動つまみ560と、押釦兼揺動つまみ560を上下動自在に貫通すると共に押釦兼揺動つまみ560を揺動することでこれと一体に揺動するスイッチ作動部材620と、押釦兼揺動つまみ560の上下動によって押圧される位置に設置される中央スイッチ521Aと、中央スイッチ521Aの周囲であってスイッチ作動部材620の揺動によって押圧される位置に設置される外周スイッチ521Bとを具備し、押釦兼揺動つまみ560に発光素子590を設置することで、発光素子590から発射される光によって押釦兼揺動つまみ560を照光するように構成されている。またこの多方向押圧型スイッチ1−3は、回転つまみ720を回動することで電気的出力を変化する回転式電子部品800を、押釦兼揺動つまみ590の外周を囲む位置に設置して構成されている。またこの多方向押圧型スイッチ1−3は、回転つまみ720の中央に押釦兼揺動つまみ560を挿通する開口721を有すると共に回転つまみ720の下面の開口721の周囲から軸支部723を突出して設け、回転つまみ720の軸支部723の下部に、回転つまみ720と一体に回転して回転式電子部品800の電気的出力を変化する回転型物760を取り付けると共に、回転つまみ720の軸支部723の外周を回動自在に軸支する外側ケース(固定部材)750を設置して構成されている。
以上のように構成された多方向押圧型スイッチ1−3において、回転つまみ720を回動すると、これと一体に回転型物760及び摺動子770が回動し、摺動子770の摺動冊子773がフレキシブル基板520の摺接パターン605上を摺動することでその電気的出力を変化する。一方押釦兼揺動つまみ560の操作つまみ710を真下に押圧すれば、スイッチ作動部材620は元の位置のままで押釦兼揺動つまみ560のみが下降してその押圧部577が反転板537を反転して中央スイッチ521Aをオンする。操作つまみ710への押圧を解除すれば、反転板537が元の形状に自動復帰して中央スイッチ521Aがオフすると同時に、押釦兼揺動つまみ560も元の位置に自動復帰する。一方操作つまみ710を揺動すると、押釦兼揺動つまみ560と一体にスイッチ作動部材620も揺動し(このときケース640の当接部645上をスイッチ作動型物620の摺接面621が摺動する)、下降した側のスイッチ作動部材620の押圧部625によってこれに対向している反転板537が反転されて外周スイッチ521Bがオンする。操作つまみ710の揺動を解除すれば、反転板537が元の形状に自動復帰して外周スイッチ521Bがオフすると同時に、押釦兼揺動つまみ560とスイッチ作動部材620も元の位置に自動復帰する。
そして発光素子590を発光すれば、押釦兼揺動つまみ560の中央の透明な導光部材702の部分がその下面側から表面側に向けて照光され、明るく照らし出される。導光部材702の表面及び/又は不透光性部材からなる操作つまみ本体部701の表面に、所望の装飾を塗料(不透光性のものも含む)の印刷等によって形成しておけば、押釦兼揺動つまみ560の表面の内の所望の部分のみを照らし出したり、効果的な装飾を行なったりすることができる。なお操作つまみ本体部701を透光性を有する材料で構成しても良い。つまりこの実施形態においても、多方向押圧型スイッチ1−3の押釦兼揺動つまみ560の照光が図れ、また多方向押圧型スイッチ1−3の外周部分のスペースをそのまま回転式電子部品800として利用でき、容易に多方向押圧型スイッチ1−3に回転式電子部品の機能をも一体に併せ持たせることができる。
〔参考例〕
図15は、本発明の参考例にかかる回転式電子部品付き多方向押圧型スイッチ(以下簡略化のため「多方向押圧型スイッチ」という)1−4の概略断面図(図2の断面と同一部分を切断している)である。この多方向押圧型スイッチ1−4は、第一実施形態にかかる多方向押圧型スイッチ1と多くの部分が同一形状・構造なので、同一部分又は相当部分には第一実施形態のものと同一符号を付する。なお以下で説明する事項以外の事項については、第一実施形態と同じである。同図に示す多方向押圧型スイッチ1−4において、前記多方向押圧型スイッチ1と相違する概要は、多方向押圧型スイッチ1の揺動つまみ50と押釦つまみ90とを一体にした一つの透明な成形品からなる押釦兼揺動つまみ50−4とした点と、これによって押釦兼揺動つまみ50−4全体が連結部材70に保持されることで不要となったヒンジ115,115を省略した点と、ヒンジ115,115の省略によって独立した部材となった押釦つまみ固定部117の名称を押圧部形成部117−4とした点と、押釦兼揺動つまみ50−4の非動作時に押釦兼揺動つまみ50−4に設けた各押圧部59の先端とこれに対向する反転板195との間に隙間を設けた点とである。
即ちこの多方向押圧型スイッチ1−4は、図15に示すように、フレキシブル基板190及び取付板240上に固定部材110を固定し、固定部材110の軸支部116に回転型物170を回動自在に軸支し、また固定部材110の上部に取り付けた連結部材70によって押釦兼揺動つまみ50−4を揺動及び上下動自在に固定し、また押釦兼揺動つまみ50−4の中央下面の収納部101の下側にその上面に発光素子230を取り付けた発光素子取付部201を載置した押圧部形成部(発光素子載置部材でもある)117−4を取り付ける構造に構成されている。またこの多方向押圧型スイッチ1−4は、上下動すると共に揺動する押釦兼揺動つまみ50−4と、前記押釦兼揺動つまみ50−4の上下動によって押圧される位置に設置される中央スイッチ193Aと、前記中央スイッチ193Aの周囲であって前記押釦兼揺動つまみ50−4の揺動によって押圧される位置に設置される外周スイッチ193Bとを具備し、前記押釦兼揺動つまみ50−4に発光素子230を設置することで、発光素子230から発射される光によって押釦兼揺動つまみ50−4を照光する構造に構成されている。
以上のように構成された多方向押圧型スイッチ1−4において、回転つまみ10を回転すると、これと一体に回転型物170に取り付けた摺動子185の摺接部187が摺接パターン194上を摺動してその電気的出力を変化する。一方押釦兼揺動つまみ50−4の中央部分を真下方向に向けて押圧すると、連結部材70が撓むことで押圧部形成部117−4が下降し、その押圧部135が中央スイッチ193Aをオンする。前記押釦兼揺動つまみ50−4への押圧を解除すると押釦兼揺動つまみ50−4は元の位置に自動復帰し、中央スイッチ193Aはオフする。一方押釦兼揺動つまみ50−4の周囲の所定位置を押圧すると連結部材70が撓むことで押圧した部分が下降(揺動)し、下降した側の押圧部59がこれに対向する外周スイッチ193Bをオンする。押釦兼揺動つまみ50−4ヘの押圧を解除すれば、押釦兼揺動つまみ50−4は元の位置に自動復帰し、外周スイッチ193Bはオフする。
そして発光素子230を発光すれば、透明な押釦兼揺動つまみ50−4の中央部分がその下面側から表面側に向けて照光され、明るく照らし出される。押釦兼揺動つまみ50−4の表面に所望の装飾を塗料(不透光性のものも含む)の印刷等によって形成しておけば、押釦兼揺動つまみ50−4の表面の内の所望の部分のみを照らし出したり、効果的な装飾を行なったりすることができる。つまりこの参考例においても、多方向押圧型スイッチ1−4の押釦兼揺動つまみ50−4の照光が図れ、また多方向押圧型スイッチ1−4の外周部分のスペースをそのまま回転式電子部品として利用でき、容易に多方向押圧型スイッチ1−4に回転式電子部品の機能をも一体に併せ持たせることができる。
この参考例においても、第二実施形態(図10の例)と同様に、押圧部形成部117−4と押釦兼揺動つまみ50−4とを発光素子230と発光素子取付部201とを内蔵した状態で一体成形(インサート成形)してもよい。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。