JP4389296B2 - 車両の運動制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の運動制御装置に関し、特に、車両の旋回を含む車両運動中に、ブレーキペダルの操作の有無に関係なく各車輪に対して制動力を付与することにより車両の運動状態を安定させる車両の運動制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
近時、車両の運動特性、特に旋回特性を制御する手段として、制動力の左右差制御により旋回モーメントを直接制御する手段が注目され、実用に供されている。例えば、特開平9−164932号公報には、車両が旋回中に過度のオーバーステアと判定したときには、車両に対し外向きのモーメントが生ずるように車両の各車輪に制動力を付与しオーバーステア抑制制御を行なうと共に、車両が旋回中に過度のアンダーステアと判定したときには、車両に対し内向きのモーメントが生ずるように車両の各車輪に制動力を付与しアンダーステア抑制制御を行なう運動制御装置が開示されている。同公報では、特に、推定した路面摩擦係数の変化割合に応じて各車輪に付与する制動力が増減するように補正制御を行なうことが提案されている。
【0003】
また、特開平9−109852号公報においては、特開平6−24304号公報に記載の従来の挙動制御装置に関し、車両の旋回時に荷重移動により旋回外輪の接地荷重は増大するが旋回内輪の接地荷重は減少するので、ドリフトアウト抑制制御により旋回外輪及び内輪のスリップ率が同一になるようそれらの制動力が制御されると、旋回内輪の横力の減少が過大となり、特にドリフトアウト状態が収束に向かうドリフトアウト抑制制御の後半においてスピン状態が発生し易くなるおそれがあるとして、ドリフトアウト抑制制御の後半に旋回内側後輪の制動力が過大になることを防止することを課題としている。そして、同公報では、後輪の制動力を制御することによりドリフトアウトを抑制する車両の挙動制御装置において、ドリフトアウト抑制制御中の途中の時点以降においては旋回内輪の制動力を旋回外輪の制動力よりも小さくすることが提案されている。具体的には、ドリフトアウト状態量が減少し始めた時点より所定時間が経過した後は旋回内側後輪のスリップ率を小さくするように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平9−109852号公報に記載の装置においては、前掲の特開平9−164932号公報に記載のような路面摩擦係数に変化に応じた対応がなされているものではない。このため、路面摩擦係数が低い場合にはドリフトアウト抑制制御の目的で車両後方の両車輪に対して制動力を付与すると却って安定性を損なうおそれがある。特開平9−109852号公報に記載の装置によれば、ドリフトアウト状態量が減少し始めた時点より所定時間が経過した後は旋回内側後輪のスリップ率を小さくするように制御されるが、必ずしも路面摩擦係数の変化とは対応しない。
【0005】
そこで、本発明は、アンダーステア抑制制御時に車両の後輪に対し制動力を付与する車両の運動制御装置において、路面摩擦係数が変化する場合にも後輪に対し適切に制動力を付与し、円滑にアンダーステア抑制制御を行ない得るようにすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は請求項1に記載のように、車両の前輪及び後輪の各車輪に対し少なくともブレーキペダルの操作に応じて制動力を付与する制動力付与手段と、前記車両の旋回を含む車両運動中における安定性を判定する車両運動状態判定手段と、該車両運動状態判定手段の判定結果に基づき前記制動力付与手段を制御し、前記車両が旋回中に過度のアンダーステアと判定したときには少くとも前記車両の後輪に対し制動力を付与してアンダーステアを抑制するように制御する制動力制御手段とを備えた車両の運動制御装置において、前記車両の走行路面の摩擦係数を推定する摩擦係数推定手段と、前記各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、少くとも該車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記各車輪のスリップ率を演算するスリップ率演算手段と、前記車両運動状態判定手段の判定結果に基づき前記各車輪に対し目標スリップ率を設定する目標スリップ率設定手段とを備え、前記制動力制御手段は、前記目標スリップ率設定手段が設定した目標スリップ率と前記スリップ率演算手段が演算したスリップ率の偏差に基づき、前記各車輪に付与する制動力を制御すると共に、前記車両の後輪に対する制動力制御に際し、前記摩擦係数推定手段の推定摩擦係数が所定の基準値より大であるときには前記車両の両側の後輪に対し制動力を付与するように構成し、前記摩擦係数推定手段の推定摩擦係数が旋回外側の後輪用基準値より小であるときには前記推定摩擦係数の低下に応じて前記目標スリップ率を減少させた値に基づいて旋回外側の後輪に付与する制動力を制御し、前記摩擦係数推定手段の推定摩擦係数が、前記旋回外側の後輪用基準値より小に設定した旋回内側の後輪用基準値より小であるときには、前記目標スリップ率設定手段が設定した旋回内側の後輪に対する目標スリップ率を前記推定摩擦係数の低下に応じて減少させた値に基づき、旋回内側の後輪に付与する制動力を制御するように構成すると共に、前記摩擦係数推定手段の推定摩擦係数が所定の基準値以下であるときには前記車両の旋回内側の後輪のみに対し制動力を付与するように構成したものである。
【0008】
前記制動力制御手段は、請求項に記載のように、前記車両の旋回外側の前輪に対する制動力制御に際し、前記摩擦係数推定手段の推定摩擦係数が前輪用基準値より小であるときには前記目標スリップ率設定手段が設定した旋回外側の前輪に対する目標スリップ率を前記推定摩擦係数の低下に応じて減少させた値に基づき、前記車両の旋回外側の前輪に付与する制動力を制御するように構成するとよい。
【0009】
尚、前記車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記車両の車体速度を推定し、この推定車体速度と前記検出車輪速度に基づき前記スリップ率を演算するように構成することができる。また、前記摩擦係数推定手段は、前記車両の横加速度及び前後加速度を検出し、これらの検出結果に基づき摩擦係数を演算するように構成することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の望ましい実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の運動制御装置の一実施形態を示すもので、車両の前輪FR,FL及び後輪RR,RLの各車輪に対し少なくともブレーキペダルBPの操作に応じて制動力を付与する制動力付与手段BFと、車両の旋回を含む車両運動中における安定性を判定する車両運動状態判定手段VCと、この車両運動状態判定手段VCの判定結果に基づき制動力付与手段BFを制御し、車両が旋回中に過度のアンダーステアと判定したときには少くとも車両の後輪RR,RLに対し制動力を付与してアンダーステアを抑制するように制御する制動力制御手段BRと、車両の走行路面の摩擦係数を推定する摩擦係数推定手段FEを備えている。そして、制動力制御手段BRは、摩擦係数推定手段FEの推定摩擦係数が所定の基準値より大であるときには両側の後輪RR,RLに対し制動力を付与し、摩擦係数推定手段FEの推定摩擦係数が所定の基準値以下であるときには旋回内側の後輪のみに対し制動力を付与するように構成されている。
【0011】
本実施形態では、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段WDと、少くともその検出車輪速度に基づき各車輪のスリップ率を演算するスリップ率演算手段ASと、車両運動状態判定手段VCの判定結果に基づき各車輪に対し目標スリップ率を設定する目標スリップ率設定手段DSを具備している。そして、制動力制御手段BRは、目標スリップ率設定手段DSが設定した目標スリップ率とスリップ率演算手段ASが演算したスリップ率の偏差に基づき、各車輪に付与する制動力を制御すると共に、後輪RR,RLに対する制動力制御に際し、摩擦係数推定手段FEの推定摩擦係数が旋回外側の後輪用基準値より小であるときには推定摩擦係数の低下に応じて目標スリップ率を減少させた値に基づいて旋回外側の後輪に付与する制動力を制御し、摩擦係数推定手段FEの推定摩擦係数が、旋回外側の後輪用基準値より小に設定した旋回内側の後輪用基準値より小であるときには、目標スリップ率設定手段DSが設定した旋回内側の後輪に対する目標スリップ率を推定摩擦係数の低下に応じて減少させた値に基づき、旋回内側の後輪に付与する制動力を制御するように構成されている。
【0012】
更に、制動力制御手段BRは、旋回外側の前輪に対する制動力制御に際し、摩擦係数推定手段FEの推定摩擦係数が前輪用基準値より小であるときには目標スリップ率設定手段DSが設定した旋回外側の前輪に対する目標スリップ率を推定摩擦係数の低下に応じて減少させた値に基づき、旋回外側の前輪に付与する制動力を制御するように構成されている。
【0013】
図2は前記運動制御装置を含む車両の全体構成を示すものであり、エンジンEGはスロットル制御装置TH及び燃料噴射装置FIを備えた内燃機関で、スロットル制御装置THにおいてはアクセルペダルAPの操作に応じてメインスロットルバルブMTのメインスロットル開度が制御される。また、電子制御装置ECUの出力に応じて、スロットル制御装置THのサブスロットルバルブSTが駆動されサブスロットル開度が制御されると共に、燃料噴射装置FIが駆動され燃料噴射量が制御されるように構成されている。本実施形態のエンジンEGは変速制御装置GS及びデファレンシャルギヤDFを介して車両後方の車輪RL,RRに連結されており、所謂後輪駆動方式が構成されている。制動系については、車輪FL,FR,RL,RRに夫々ホイールシリンダWfl,Wfr,Wrl,Wrrが装着されており、これらのホイールシリンダWfl等にブレーキ液圧制御装置BCが接続されている。尚、車輪FLは運転席からみて前方左側の車輪を示し、以下車輪FRは前方右側、車輪RLは後方左側、車輪RRは後方右側の車輪を示しており、本実施形態では所謂X配管が構成されている。
【0014】
車輪FL,FR,RL,RRには車輪速度センサWS1乃至WS4が配設され、これらが電子制御装置ECUに接続されており、各車輪の回転速度、即ち車輪速度に比例するパルス数のパルス信号が電子制御装置ECUに入力されるように構成されている。更に、ブレーキペダルBPが踏み込まれたときにオンとなるブレーキスイッチBS、車両前方の車輪FL,FRの舵角θf を検出する前輪舵角センサSSf、車両の横加速度を検出する横加速度センサYG、及び車両重心を通る鉛直軸回りの車両回転角(ヨー角)の変化速度、即ちヨー角速度(ヨーレイト)を検出するヨーレイトセンサYS等が電子制御装置ECUに接続されている。
【0015】
本実施形態の電子制御装置ECUは、図2に示すように、バスを介して相互に接続されたプロセシングユニットCPU、メモリROM,RAM、入力ポートIPT及び出力ポートOPT等から成るマイクロコンピュータCMPを備えている。上記車輪速度センサWS1乃至WS4、ブレーキスイッチBS、前輪舵角センサSSf、ヨーレイトセンサYS、横加速度センサYG等の出力信号は増幅回路AMPを介して夫々入力ポートIPTからプロセシングユニットCPUに入力されるように構成されている。また、出力ポートOPTからは駆動回路ACTを介してスロットル制御装置TH及びブレーキ液圧制御装置BCに夫々制御信号が出力されるように構成されている。
【0016】
マイクロコンピュータCMPにおいては、メモリROMは図3乃至図5に示したフローチャートを含む種々の処理に供するプログラムを記憶し、プロセシングユニットCPUは図示しないイグニッションスイッチが閉成されている間当該プログラムを実行し、メモリRAMは当該プログラムの実行に必要な変数データを一時的に記憶する。尚、スロットル制御等の各制御毎に、もしくは関連する制御を適宜組合せて複数のマイクロコンピュータを構成し、相互間を電気的に接続することとしてもよい。
【0017】
上記のように構成された本実施形態においては、電子制御装置ECUにより制動操舵制御、アンチスキッド制御等の一連の処理が行なわれ、イグニッションスイッチ(図示せず)が閉成されると図3乃至図5等のフローチャートに対応したプログラムの実行が開始する。図3は車両の制御作動全体を示すもので、先ずステップ101にてマイクロコンピュータCMPが初期化され、各種の演算値がクリアされる。次にステップ102において、車輪速度センサWS1乃至WS4の検出信号が読み込まれると共に、前輪舵角センサSSfの検出信号(舵角θf )、ヨーレイトセンサYSの検出ヨーレイトγa及び横加速度センサYGの検出加速度(即ち、実横加速度でありGyaで表す)が読み込まれる。
【0018】
次に、ステップ103に進み、各車輪の車輪速度Vw** (**は各車輪FR等を表す)が演算されると共に、これらが微分され各車輪の車輪加速度DVw** が求められる。続いて、ステップ104において各車輪の車輪速度Vw** の最大値が車両重心位置での推定車体速度Vsoとして演算される(Vso=MAX( Vw**))。また、各車輪の車輪速度Vw** に基づき各車輪毎に推定車体速度Vso**が求められ、必要に応じ、車両旋回時の内外輪差等に基づく誤差を低減するため正規化が行われる。更に、推定車体速度Vsoが微分され、車両重心位置での推定車体加速度(符号が逆の推定車体減速度を含む)DVsoが演算される。
【0019】
次に、ステップ105において、上記ステップ102及び103で求められた各車輪の車輪速度Vw** と推定車体速度Vso**(あるいは、正規化推定車体速度)に基づき各車輪の実スリップ率Sa** がSa** =(Vso**−Vw** )/Vso**として求められる。次に、ステップ106おいて、車両重心位置での推定車体加速度DVsoと横加速度センサYGの検出信号の実横加速度Gyaに基づき、路面摩擦係数μが近似的に(DVso2 +Gya2)1/2 として求められる。あるいは、所定時間内における前後加速度のピーク値及び横加速度のピーク値に基づき、上記と同様の近似式を用いて演算することもできる。更に、路面摩擦係数を検出する手段として、直接路面摩擦係数を検出するセンサ等、種々の手段を用いることができる。
【0020】
続いて、ステップ108にて車体横すべり角速度Dβが演算されると共に、車体横すべり角βが演算される。この車体横すべり角βは、車両の進行方向に対する車体のすべりを角度で表したもので、次のように演算し推定することができる。即ち、車体横すべり角速度Dβは車体横すべり角βの微分値dβ/dtであり、ステップ107にてDβ=Gya/Vso−γa として求めることができ、これをステップ108にて積分しβ=∫(Gya/Vso−γa )dtとして車体横すべり角βを求めることができる。
【0021】
そして、ステップ109に進み制動操舵制御モードとされ、後述するように制動操舵制御に供する目標スリップ率が設定され、後述のステップ118の液圧サーボ制御により、車両の運動状態に応じて各車輪に対する制動力が制御される。この制動操舵制御は、後述する全ての制御モードにおける制御に対し重畳される。この後ステップ110に進み、アンチスキッド制御開始条件を充足しているか否かが判定され、開始条件を充足し制動操舵時にアンチスキッド制御開始と判定されると、初期特定制御は直ちに終了しステップ111にて制動操舵制御及びアンチスキッド制御の両制御を行なうための制御モードに設定される。
【0022】
ステップ110にてアンチスキッド制御開始条件を充足していないと判定されたときには、ステップ112に進み前後制動力配分制御開始条件を充足しているか否かが判定され、制動操舵制御時に前後制動力配分制御開始と判定されるとステップ113に進み、制動操舵制御及び前後制動力配分制御の両制御を行なうための制御モードに設定され、充足していなければステップ114に進みトラクション制御開始条件を充足しているか否かが判定される。制動操舵制御時にトラクション制御開始と判定されるとステップ115にて制動操舵制御及びトラクション制御の両制御を行なうための制御モードに設定され、制動操舵制御時に何れの制御も開始と判定されていないときには、ステップ116にて制動操舵制御開始条件を充足しているか否かが判定される。
【0023】
ステップ116において制動操舵制御開始と判定されるとステップ117に進み制動操舵制御のみを行なう制御モードに設定される。そして、これらの制御モードに基づきステップ118にて液圧サーボ制御が行なわれた後ステップ102に戻る。尚、前後制動力配分制御モードにおいては、車両の制動時に車両の安定性を維持するように、後輪に付与する制動力の前輪に付与する制動力に対する配分が制御される。ステップ116において制動操舵制御開始条件も充足していないと判定されると、ステップ119にて全ての電磁弁のソレノイドがオフとされた後ステップ102に戻る。尚、ステップ111,113,115,117に基づき、必要に応じ、車両の運動状態に応じてスロットル制御装置THのサブスロットル開度が調整されエンジンEGの出力が低減され、駆動力が制限される。
【0024】
図4は図3のステップ109における制動操舵制御の具体的処理内容を示すもので、制動操舵制御にはオーバーステア抑制制御及びアンダーステア抑制制御が含まれ、各車輪に関しオーバーステア抑制制御及び/又はアンダーステア抑制制御に応じた目標スリップ率が設定される。先ず、ステップ201,202においてオーバーステア抑制制御及びアンダーステア抑制制御の開始・終了判定が行なわれる。
【0025】
ステップ201で行なわれるオーバーステア抑制制御の開始・終了判定は、図8に示す制御領域(平行な一対の一点鎖線の外側領域)にあるか否かに基づいて行なわれる。即ち、判定時における車体横すべり角βと車体横すべり角速度Dβの値に応じて制御領域に入ればオーバーステア抑制制御が開始され、制御領域を脱すればオーバーステア抑制制御が終了とされ、図8に矢印の曲線で示したように制御される。また、図8に一点鎖線で示した境界から制御領域の外側に向かうに従って制御量が大となるように各車輪の制動力が制御される。
【0026】
一方、ステップ202で行なわれるアンダーステア抑制制御の開始・終了判定は、図9に斜線で示す制御領域にあるか否かに基づいて行なわれる。即ち、判定時において目標横加速度Gytに対する実横加速度Gyaの変化に応じて、一点鎖線で示す理想状態から外れて制御領域に入ればアンダーステア抑制制御が開始され、制御領域を脱すればアンダーステア抑制制御が終了とされ、図9に矢印の曲線で示したように制御される。
【0027】
続いて、ステップ203にてオーバーステア抑制制御が制御中か否かが判定され、制御中でなければステップ204にてアンダーステア抑制制御が制御中か否かが判定され、これも制御中でなければそのままメインルーチンに戻る。ステップ204にてアンダーステア抑制制御と判定されたときにはステップ205に進み、各車輪の目標スリップ率が後述するアンダーステア抑制制御用に設定される。ステップ203にてオーバーステア抑制制御と判定されると、ステップ206に進みアンダーステア抑制制御か否かが判定され、アンダーステア抑制制御でなければステップ207において各車輪の目標スリップ率は後述するオーバーステア抑制制御用に設定される。また、ステップ206でアンダーステア抑制制御が制御中と判定されると、オーバーステア抑制制御とアンダーステア抑制制御が同時に行なわれることになり、ステップ208にて同時制御用の目標スリップ率が設定される。
【0028】
ステップ205においてアンダーステア抑制制御が行なわれるときの各車輪の目標スリップ率は、標準目標スリップ率に補正係数を乗じた値とされる。即ち、旋回外側の前輪の目標スリップ率は、標準目標スリップ率Stufoに補正係数Kfoを乗じた値(Kfo・Stufo)に設定される。そして、旋回外側の後輪の目標スリップ率は標準目標スリップ率Sturoに補正係数Kroを乗じた値(Kro・Sturo)に設定され、旋回内側の後輪の目標スリップ率は標準目標スリップ率Sturiに補正係数Kriを乗じた値(Kri・Sturi)に設定される。ここで示したスリップ率(S)の符号については "t"は「目標」を表し、後述の「実測」を表す "a"と対比される。 "u"は「アンダーステア抑制制御」を表し、 "r"は「後輪」を表し、 "o"は「外側」を、 "i"は「内側」を夫々表す。尚、上記の補正係数Kfo,Kro,Kriについては、図6及び図7を参照して後述する。
【0029】
これに対し、ステップ207においてオーバーステア抑制制御が行なわれるときの各車輪の目標スリップ率は、旋回外側の前輪がStefoに設定され、旋回内側の後輪がSteriに設定されるが、後者の目標スリップ率Steriは本実施形態では0とされる。ここで、 "e"は「オーバーステア抑制制御」を表す。そして、ステップ208における各車輪の目標スリップ率は、旋回外側の前輪はStefoに設定されるが、旋回外側の後輪はKro・Sturoに設定され、旋回内側の後輪はKri・Sturiに夫々設定される。即ち、オーバーステア抑制制御とアンダーステア抑制制御が同時に行なわれるときには、旋回外側の前輪はオーバーステア抑制制御の目標スリップ率と同様に設定され、後輪は何れもアンダーステア抑制制御の目標スリップ率と同様に設定される。尚、何れの場合も旋回内側の前輪(即ち、後輪駆動車における従動輪)は推定車体速度演算用のため非制御とされている。
【0030】
ステップ207におけるオーバーステア抑制制御用の目標スリップ率の設定には、車体横すべり角βと車体横すべり角速度Dβが用いられるが、アンダーステア抑制制御における標準目標スリップ率の設定には、目標横加速度Gytと実横加速度Gyaとの差が用いられる。例えば、オーバーステア抑制制御に供する旋回外側の前輪の目標スリップ率Stefoは、Stefo=K1 ・β+K2 ・Dβとして設定され、旋回内側の後輪の目標スリップ率Steriは”0”とされる。ここで、K1 ,K2は定数で、加圧方向(制動力を増大する方向)の制御を行なう値に設定される。
【0031】
一方、アンダーステア抑制制御に供する標準目標スリップ率は、目標横加速度Gytと実横加速度Gyaの偏差ΔGy に基づいて以下のように設定される。即ち、旋回外側の前輪に対する標準目標スリップ率StufoはK3 ・ΔGy と設定され、定数K3 は加圧方向(もしくは減圧方向)の制御を行なう値に設定される。同様に、旋回外側の後輪に対する標準目標スリップ率SturoはK4・ΔGy に設定され、定数K4は加圧方向の制御を行なう値に設定される。そして、旋回内側の後輪に対する標準目標スリップ率SturiはK5・ΔGy に設定され、定数K5は加圧方向の制御を行なう値に設定される。
【0032】
ここで、ステップ205及び208のアンダーステア抑制制御に供される補正係数Kro,Kri,Kfoは、図6及び図7に示すように設定される。先ず、旋回外側の後輪用の補正係数Kroは図6に実線で示すように、ステップ106にて推定された路面摩擦係数μが旋回外側の後輪用基準値Kμo (例えば、0.5 )より大であるときには補正係数Kroは1とされ、標準目標スリップ率Sturoがそのまま目標スリップ率として用いられる。路面摩擦係数μが旋回外側の後輪用基準値Kμo より小であるときには路面摩擦係数μの低下に応じて補正係数Kroが減少し、後輪用基準値Kμr (例えば、0.3 )で0となるように設定される。つまり、路面摩擦係数μが後輪用基準値Kμr より小となると、旋回外側の後輪に対しては制動力が付与されず、旋回内側の後輪のみに対して制動力が付与される。
【0033】
これに対し、旋回内側の後輪用の補正係数はKriは図6に破線で示すように、路面摩擦係数μが旋回内側の後輪用基準値Kμi (例えば、0.2 )より大であるときには補正係数Kriは1とされ、標準目標スリップ率Sturiがそのまま用いられる。路面摩擦係数μが旋回内側の後輪用基準値Kμi より小であるときには路面摩擦係数μの低下に応じて補正係数Kriが減少し、路面摩擦係数μが0で補正係数Kriが0となるように設定される。而して、路面摩擦係数μが後輪用基準値Kμr より小となると、アンダーステア抑制制御時における旋回外側の後輪に対する目標スリップ率は0とされ、旋回内側の後輪のみに対し目標スリップ率Kri・Sturiに従った制動力制御が行なわれ、この目標スリップ率Kri・Sturiは路面摩擦係数μの低下に応じて減少した値に設定される。
【0034】
尚、旋回外側の前輪のアンダーステア抑制制御に供される補正係数Kfoは、図7に示すように、路面摩擦係数μが前輪用基準値Kμf (例えば、0.3 )より大であるときには1とされ、標準目標スリップ率Stufo,Stufiがそのまま用いられる。路面摩擦係数μが前輪用基準値Kμf より小であるときには路面摩擦係数μの低下に応じて補正係数Kfoが減少し、例えば旋回内側の後輪用基準値Kμi と同じ値(例えば、0.2 )で0となるように設定される。
【0035】
図5は図3のステップ118で行なわれる液圧サーボ制御の処理内容を示すもので、各車輪についてホイールシリンダ液圧のスリップ率サーボ制御が行なわれる。先ず、前述のステップ205,207又は208にて設定された目標スリップ率St** がステップ301にて読み出され、これらがそのまま各車輪の目標スリップ率St** として読み出される。
【0036】
続いてステップ302において、各車輪毎にスリップ率偏差ΔSt** が演算されると共に、ステップ303にて車体加速度偏差ΔDVso**が演算される。ステップ302においては、各車輪の目標スリップ率St** と実スリップ率Sa** の差が演算されスリップ率偏差ΔSt** が求められる(ΔSt** =St** −Sa** )。また、ステップ303においては車両重心位置での推定車体加速度DVsoと制御対象の車輪における車輪加速度DVw** の差が演算され、車体加速度偏差ΔDVso**が求められる。このときの各車輪の実スリップ率Sa** 及び車体加速度偏差ΔDVso**はアンチスキッド制御、トラクション制御等の制御モードに応じて演算が異なるが、これらについては説明を省略する。
【0037】
続いて、ステップ304に進み、各制御モードにおけるブレーキ液圧制御に供する一つのパラメータY**がGs** ・ΔSt** として演算される。ここでGs** はゲインであり、車体横すべり角βに応じて図10に実線で示すように設定される。また、ステップ305において、ブレーキ液圧制御に供する別のパラメータX**がGd** ・ΔDVso**として演算される。このときのゲインGd** は図10に破線で示すように一定の値である。この後、ステップ306に進み、各車輪毎に、上記パラメータX**,Y**に基づき、図11に示す制御マップに従って液圧モードが設定される。図11においては予め急減圧領域、パルス減圧領域、保持領域、パルス増圧領域及び急増圧領域の各領域が設定されており、ステップ306にてパラメータX**及びY**の値に応じて、何れの領域に該当するかが判定される。尚、非制御状態では液圧モードは設定されない(ソレノイドオフ)。
【0038】
ステップ306にて判定された領域が増圧モードであるときには、更にステップ307にて特定液圧モードが設定されるが、。また、ステップ306にて(今回)判定された領域が、前回判定された領域に対し、増圧から減圧もしくは減圧から増圧に切換わる場合には、ブレーキ液圧の立下りもしくは立上りを円滑にする必要があるので、ステップ308において増減圧補償処理が行われる。例えば急減圧モードからパルス増圧モードに切換るときには、急増圧制御が行なわれ、その時間は直前の急減圧モードの持続時間に基づいて決定される。上記液圧モード、特定液圧モード及び増減圧補償処理に応じて、ステップ309にて液圧制御ソレノイドの駆動処理が行なわれ、ブレーキ液圧制御装置BCのソレノイドが駆動され、各車輪の制動力が制御される。このブレーキ液圧制御装置BCの構成については、図12を参照して後述する。
【0039】
そして、ステップ310にて、ブレーキ液圧制御装置BCにおける液圧ポンプ駆動用モータの駆動処理が行なわれる。尚、上記の実施形態ではスリップ率によって制御することとしているが、制御目標としてはスリップ率のほか、各車輪のホイールシリンダのブレーキ液圧等、各車輪に付与される制動力に対応する目標値であればどのような値を用いてもよい。
【0040】
尚、図12はブレーキ液圧制御装置BCを含む制動系を示すもので、ブレーキペダルBPの操作に応じてバキュームブースタVBを介してマスタシリンダMCが倍力駆動され、低圧リザーバLRS内のブレーキ液が昇圧されて車輪FR,RL側及び車輪FL,RR側の二つのブレーキ液圧系統にマスタシリンダ液圧が出力されるように構成されている。マスタシリンダMCは二つの圧力室を有するタンデム型のマスタシリンダで、一方の圧力室は車輪FR,RL側のブレーキ液圧系統に連通接続され、他方の圧力室は車輪FL,RR側のブレーキ液圧系統に連通接続されている。尚、マスタシリンダMCの出力側には、その出力液圧(マスタシリンダ液圧)を検出する圧力センサPSが設けられている。
【0041】
本実施形態の車輪FR,RL側のブレーキ液圧系統においては、一方の圧力室は主液圧路MF及びその分岐液圧路MFr,MFlを介して夫々ホイールシリンダWfr,Wrlに接続されている。主液圧路MFには常開の第1の開閉弁SC1(所謂カットオフ弁として機能するもので、以下、単に開閉弁SC1という)が介装されている。また、一方の圧力室は補助液圧路MFcを介して後述する逆止弁CV5,CV6の間に接続されている。補助液圧路MFcには常閉の第2の開閉弁SI1(以下、単に開閉弁SI1という)が介装されている。これらの開閉弁は何れも2ポート2位置の電磁開閉弁で構成されている。分岐液圧路MFr,MFlには夫々、常開型の2ポート2位置電磁開閉弁PC1及びPC2(以下、単に開閉弁PC1,PC2という)が介装されている。また、これらと並列に夫々逆止弁CV1,CV2が介装されている。
【0042】
逆止弁CV1,CV2は、マスタシリンダMC方向へのブレーキ液の流れを許容しホイールシリンダWfr,Wrl方向へのブレーキ液の流れを制限するもので、これらの逆止弁CV1,CV2及び第1の位置(図示の状態)の開閉弁SC1を介してホイールシリンダWfr,Wrl内のブレーキ液がマスタシリンダMCひいては低圧リザーバLRSに戻されるように構成されている。而して、ブレーキペダルBPが解放されたときに、ホイールシリンダWfr,Wrl内の液圧はマスタシリンダMC側の液圧低下に迅速に追従し得る。また、ホイールシリンダWfr,Wrlに連通接続される排出側の分岐液圧路RFr,RFlに、夫々常閉型の2ポート2位置電磁開閉弁PC5,PC6(以下、単に開閉弁PC5,PC6という)が介装されており、分岐液圧路RFr,RFlが合流した排出液圧路RFはリザーバRS1に接続されている。
【0043】
車輪FR,RL側のブレーキ液圧系統においては、上記開閉弁PC1,PC2,PC5,PC6によって本発明にいうモジュレータが構成されている。また、開閉弁PC1,PC2の上流側で分岐液圧路MFr,MFlに連通接続する液圧路MFpに、液圧ポンプHP1が介装され、その吸込側には逆止弁CV5,CV6を介してリザーバRS1が接続されている。また、液圧ポンプHP1の吐出側は、逆止弁CV7及びダンパDP1を介して夫々開閉弁PC1,PC2に接続されている。液圧ポンプHP1は、液圧ポンプHP2と共に一つの電動モータMによって駆動され、吸込側からブレーキ液を導入し所定の圧力に昇圧して吐出側から出力するように構成されている。リザーバRS1は、マスタシリンダMCの低圧リザーバLRSとは独立して設けられるもので、アキュムレータということもでき、ピストンとスプリングを備え、種々の制御に必要な容量のブレーキ液を貯蔵し得るように構成されている。
【0044】
マスタシリンダMCは液圧路MFcを介して液圧ポンプHP1の吸込側の逆止弁CV5と逆止弁CV6との間に連通接続されている。逆止弁CV5はリザーバRS1へのブレーキ液の流れを阻止し、逆方向の流れを許容するものである。また、逆止弁CV6,CV7は液圧ポンプHP1を介して吐出されるブレーキ液の流れを一定方向に規制するもので、通常は液圧ポンプHP1内に一体的に構成されている。而して、開閉弁SI1は、図12に示す常態の閉位置でマスタシリンダMCと液圧ポンプHP1の吸込側との連通が遮断され、開位置でマスタシリンダMCと液圧ポンプHP1の吸込側が連通するように切り換えられる。
【0045】
更に、開閉弁SC1に並列に、マスタシリンダMCから開閉弁PC1,PC2方向へのブレーキ液の流れを制限し、開閉弁PC1,PC2側のブレーキ液圧がマスタシリンダMC側のブレーキ液圧に対し所定の差圧以上大となったときにマスタシリンダMC方向へのブレーキ液の流れを許容するリリーフ弁RV1と、ホイールシリンダWfr,Wrl方向へのブレーキ液の流れを許容し逆方向の流れを禁止する逆止弁AV1が介装されている。リリーフ弁RV1は、液圧ポンプHP1から吐出される加圧ブレーキ液がマスタシリンダMCの出力液圧より所定の差圧以上大となったときに、マスタシリンダMCを介して低圧リザーバLRSにブレーキ液を還流するもので、これにより液圧ポンプHP1の吐出ブレーキ液が所定の圧力に調圧される。また、液圧ポンプHP1の吐出側にダンパDP1が配設され、後輪側のホイールシリンダWrlに至る液圧路にプロポーショニングバルブPV1が介装されている。
【0046】
車輪FL,RR側のブレーキ液圧系統においても同様に、リザーバRS2、ダンパDP2及びプロポーショニングバルブPV2をはじめ、常開型の2ポート2位置電磁開閉弁SC2、常閉型の2ポート2位置電磁開閉弁SI2,PC7,PC8、常開型の2ポート2位置電磁開閉弁PC3,PC4、逆止弁CV3,CV4,CV8乃至CV10、リリーフ弁RV2並びに逆止弁AV2が配設されている。液圧ポンプHP2は、電動モータMによって液圧ポンプHP1と共に駆動され、電動モータMの起動後は両液圧ポンプHP1,HP2は連続して駆動される。
【0047】
上記開閉弁SC1,SC2,SI1,SI2並びに開閉弁PC1乃至PC8は電子制御装置ECUによって駆動制御され、上記の制動操舵制御を初めとする各種制御が行なわれる。例えば、例えば過度のオーバーステアを防止する場合には、これに対抗するモーメントを発生させる必要があり、車輪FR,RL側のブレーキ液圧系統においては、制動操舵制御時に開閉弁SC1が閉位置に切換えられると共に、開閉弁SI1が開位置に切換えられ、電動モータMが駆動され、液圧ポンプHP1からブレーキ液が吐出される。そして、開閉弁PC1,PC2,PC5,PC6が電子制御装置ECUによって適宜開閉制御され、ホイールシリンダWfr,Wrlの液圧がパルス増圧(緩増圧)、減圧又は保持され、車輪FL,RR側のブレーキ液圧系統も含め、前後の車輪間の制動力配分が車両のコーストレース性を維持し得るように制御される。
【0048】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、本発明の車両の運動制御装置においては、摩擦係数推定手段の推定摩擦係数が所定の基準値より大であるときには両側の後輪に対し制動力を付与するように構成され、旋回外側の後輪用基準値より小であるときには推定摩擦係数の低下に応じて目標スリップ率を減少させた値に基づいて旋回外側の後輪に付与する制動力を制御し、旋回内側の後輪用基準値より小であるときには、旋回内側の後輪に対する目標スリップ率を推定摩擦係数の低下に応じて減少させた値に基づき、旋回内側の後輪に付与する制動力を制御するように構成されると共に、推定摩擦係数が基準値以下であるときには旋回内側の後輪のみに対し制動力を付与するように構成されているので、アンダーステア抑制制御時に路面摩擦係数が変化する場合にも後輪に対し適切に制動力を付与することができ、円滑にアンダーステア抑制制御を行ない、安定した車両の運動状態を維持することができる。
【0050】
更に、請求項に記載のように、前輪に対する制御も行なう構成とすることにより、一層円滑にアンダーステア抑制制御を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の運動制御装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の運動制御装置の一実施形態の全体構成図である。
【図3】本発明の一実施形態における車両の制動制御の全体を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態における制動操舵制御に供する目標スリップ率設定の処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態における液圧サーボ制御の処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態において後輪用のスリップ率の補正係数を設定するためのグラフである。
【図7】本発明の一実施形態において前輪用のスリップ率の補正係数を設定するためのグラフである。
【図8】本発明の一実施形態におけるオーバーステア抑制制御の開始・終了判定領域を示すグラフである。
【図9】本発明の一実施形態におけるアンダーステア抑制制御の開始・終了判定領域を示すグラフである。
【図10】本発明の一実施形態における液圧制御に供するパラメータ演算用のゲインを示すグラフである。
【図11】本発明の一実施形態に供する制御マップを示すグラフである。
【図12】本発明の車両の運動制御装置の液圧系を示す構成図である。
【符号の説明】
BP ブレーキペダル, MC マスタシリンダ
M 電動モータ, HP1,HP2 液圧ポンプ
RS1,RS2 リザーバ
Wfr,Wfl,Wrr,Wrl ホイールシリンダ
WS1〜WS4 車輪速度センサ
FR,FL,RR,RL 車輪
SC1,SC2,SI1,SI2 開閉弁
PC1〜PC8 開閉弁
EG エンジン, ECU 電子制御装置

Claims (2)

  1. 車両の前輪及び後輪の各車輪に対し少なくともブレーキペダルの操作に応じて制動力を付与する制動力付与手段と、前記車両の旋回を含む車両運動中における安定性を判定する車両運動状態判定手段と、該車両運動状態判定手段の判定結果に基づき前記制動力付与手段を制御し、前記車両が旋回中に過度のアンダーステアと判定したときには少くとも前記車両の後輪に対し制動力を付与してアンダーステアを抑制するように制御する制動力制御手段とを備えた車両の運動制御装置において、前記車両の走行路面の摩擦係数を推定する摩擦係数推定手段と、前記各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、少くとも該車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記各車輪のスリップ率を演算するスリップ率演算手段と、前記車両運動状態判定手段の判定結果に基づき前記各車輪に対し目標スリップ率を設定する目標スリップ率設定手段とを備え、前記制動力制御手段は、前記目標スリップ率設定手段が設定した目標スリップ率と前記スリップ率演算手段が演算したスリップ率の偏差に基づき、前記各車輪に付与する制動力を制御すると共に、前記車両の後輪に対する制動力制御に際し、前記摩擦係数推定手段の推定摩擦係数が所定の基準値より大であるときには前記車両の両側の後輪に対し制動力を付与するように構成し、前記摩擦係数推定手段の推定摩擦係数が旋回外側の後輪用基準値より小であるときには前記推定摩擦係数の低下に応じて前記目標スリップ率を減少させた値に基づいて旋回外側の後輪に付与する制動力を制御し、前記摩擦係数推定手段の推定摩擦係数が、前記旋回外側の後輪用基準値より小に設定した旋回内側の後輪用基準値より小であるときには、前記目標スリップ率設定手段が設定した旋回内側の後輪に対する目標スリップ率を前記推定摩擦係数の低下に応じて減少させた値に基づき、旋回内側の後輪に付与する制動力を制御するように構成すると共に、前記摩擦係数推定手段の推定摩擦係数が所定の基準値以下であるときには前記車両の旋回内側の後輪のみに対し制動力を付与するように構成したことを特徴とする車両の運動制御装置。
  2. 前記制動力制御手段は、前記車両の旋回外側の前輪に対する制動力制御に際し、前記摩擦係数推定手段の推定摩擦係数が前輪用基準値より小であるときには前記目標スリップ率設定手段が設定した旋回外側の前輪に対する目標スリップ率を前記推定摩擦係数の低下に応じて減少させた値に基づき、前記車両の旋回外側の前輪に付与する制動力を制御するように構成したことを特徴とする請求項記載の車両の運動制御装置。
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