JP4374660B2 - 血液透析装置、血液透析装置を使用した血液処理方法および該血液透析装置を制御する記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は血液処理装置に関し、特に血液透析の際に生じ易い過剰な除水や逆の除水不足を防止するため、除水速度を血液処理時に操作者が容易にコントロールあるいは変更でき、また、その結果を容易に記録媒体に保存することができる血液透析装置および血液透析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
腎機能が損なわれた患者の治療のため、従来から半透膜を介した透析・濾過によって血液を浄化する治療が行われてきた。この装置では、安全で効果的な血液浄化を行うため、患者の体内循環血液量を適正に維持することが重要である。急激あるいは過度の水分除去は患者の循環血液量を過剰に減少させ、それによって血圧低下、ショック等を引き起こす恐れがある。しかし、逆に水分除去が遅いと血液浄化に長時間を要し、十分な除水ができないと高血圧や心不全等を引き起こす恐れがある。
【0003】
そのため、患者の血液状態を監視しながら除水を行う血液透析装置が開発されている。例えば、特公平6−83723号公報には、ヘマトクリットメーターによって体液状態を推定する推定器と、その推定器の出力によって血液ポンプや限外圧を制御する制御装置が記載されている。この装置では、計測した体液状態によってダイレクトに除水が制御されるために便利であるが、その反面、計測値によって除水が直接制御されるため、計測手段が正確でなかったり、異常をきたすと大きな問題になる。そのため、このようなフィードバック制御では、制御ラインとは別に独立したラインを設け、そのラインに安全機構を装着するのが一般的である。しかし、独立したラインや安全機構を設けると装置が複雑になり、操作が面倒である。また、装置がコストアップになってしまう。
【0004】
そこで、特開平9−149935号公報に記載されたような簡易な装置も考案された。即ち、患者の血液状態を監視しながら、状態によっては警報を鳴らし、除水ポンプを停止するようにしたものである。しかし、この装置は透析開始前に測定した血液濃度と比較することによって、透析開始時の制御条件で除水制御が行われているかどうかを認識するだけであり、各患者に適応した除水を行うことはできず、また条件通りに除水が行われていない場合、従事者がその都度、除水量や補液量を調整しなくてはならない。そのため、安全ではあるが、面倒で人的負担が大きかった。さらに、上記装置は血液回路の静脈液側ラインに血液状態を測定する手段を設けているため、血液処理器(ダイアライザー)を通った後の血液状態が計測されることになり、患者のダイレクトな血液状態を反映しない恐れがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記各問題を解消し、各患者の血液状態を監視しながら、経時的に各患者に適応した血液透析の条件設定、特に除水速度を容易に変更、設定できる血液透析装置、該血液透析装置を使用した血液透析方法、およびこれら血液透析装置と血液透析方法を制御する制御システムソフトウエアを提供することである。
【0006】
本発明は患者の血液パラメータを計測する血液計測手段、患者に対し血液透析処理を行う実働部、および所定の透析条件(例えば除水速度、血液流量即ち体外循環血流速度、補液速度、透析液濃度、透析液温度、透析時の患者姿勢、ナトリウム注入速度等が含まれるが、特に除水速度)で血液透析処理を行うように実働部を制御する制御部で少なくとも有して構成される血液透析装置において、前記制御部が、血液透析装置の除水速度の制御手段として、血液指標値が透析経過時間で予め設定された設定血液指標値範囲内で推移するか、否かを監視し、該指標値が前記設定血液指標値範囲外になった場合には、該設定血液指標値範囲内に入るように除水速度を制御するものであることを特徴とする。
【0007】
以下、本発明の血液透析装置の各構成部、および該血液装置の除水制御を説明する。
【0008】
実働部実働部は血液透析の実質的な操作を行う部位であり、例えば血液透析器、血液透析器と患者とを連絡するための血液回路、血液回路に装着され患者の血液を送液するための血液ポンプ、透析液供給源と血液透析器とを連絡するための透析液回路、透析液回路に装着され患者血液からの除水を行う除水ポンプ等がこれに該当する。透析処理は、半透膜を使用する透析あるいは濾過により行うHDF(血液濾過透析)等の透析処理に適用できる。
【0009】
血液計測手段血液計測手段は、血液の光透過度、電解質量、血液浸透圧等各種血液パラメータを計測する装置であり、透析条件を選択するために、計測したパラメータを適当な血液指標値に換算しなくてはならないが、この指標値としては、例えばヘマトクリット値(全血に占める赤血球の容積率を示す。以下、Ht値ともいう)や各患者における循環血液量の状態をチェックするための指標値である循環血液量指数(以下、BloodVolumeを略してBVともいう。)、%BV、PRR(プラズマリフィリング:Plasma Refilling Rateの略、血しょうが体内から血管に再補充される速度を意味する。)等がある。PRR測定は、透析時の各時点での患者の除水能力を示すものであり、%BVとはこのPRRの測定結果を知ることにより、適切な除水速度を設定することができる。BV値とは、下式によって定義されるBV変化値(BV△)を意味し、%BV値とは該BV値を百分率で表したものである。
【0010】
【数1】
BV変化値(BVΔ)=(透析開始時のHt値/測定時のHt値)−1
【0011】
また、以下、本明細書では、血液指標値として主にBV変化値について説明しているが、本発明において血液指標値はBV変化値に限定されるものではなく、BV変化値は血液指標値の一例に過ぎず、ヘマトクリット値そのものやその他、血液中の溶質濃度等の血液循環量を規定する血液指標値であれば、何れでも本発明は適用可能である。
【0012】
制御部
制御部は、所定の条件で実働部が血液透析を行うように制御する部位であり、いくつかの重要な機能を有する。該制御部の第1の機能は、様々な透析条件や処理・操作を設定すること、第2は血液計測手段から得られたデータ(血液パラメータ)を、制御部において使い易いように適当な血液指標値或いはその変化値に変換すること、そして、その血液のデータに基づいて、予め設定されていた適当な透析条件を選択すること、第3は選択された透析条件や処理・操作を実働部に指令し、制御することである。
【0013】
制御部の構成の一例として、機能によって構成を2つに分けたものが挙げられる。即ち、様々な透析条件や処理・操作を設定し、それを実働部に指令し制御する機能を受け持つ主制御部、そして、血液計測手段からのデータを変換し、それに基づいて予め設定された適当な透析条件を選択する機能を受け持つ補助制御部(以下、コントロール・ユニットという)の2つである。制御部の具体的な例として、コンピュータを付設した患者監視装置(以下、コンソールとも称する)等を挙げることができる。
【0014】
次に、制御部と血液計測部の構成および制御操作について説明する。
制御部と血液計測部を構成するシステム
本発明の血液透析処理装置の血液計測部および制御を構成するシステムは、例えば図1に示すようなシステムで構成される。図1の中央に位置するパネルコンピュータはシステム制御可能なソフトウエアでシステム制御を行う。また、パネルコンピュータは、血液計測装置(以下、CLMとも言う)との通信機能および患者監視装置(以下、コンソールとも言う)との通信機能を有する。前記パネルコンピュータは、そのシステム制御ソフトウエアが動作中は常にCLMおよびコンソールと通信を行い、情報を送信および/または受信を行うことができる。
上述の説明では、CLMとパネルコンピュータとコンソールが別個に独立し、それらが連絡されている状態のシステムについて説明したが、必ずしも上述のシステムに限定されるものではない。血液指標値の基になるデータを取出す手段が患者の近傍にあればよく、その他の装置、例えばパネルコンピュータ等で代表されるコンピュータ等はコンソールに搭載されていても良く、その方がコンパクトになる。
上述の説明の通信機能は、CLMとパネルコンピュータの間の通信機能はCLM→コンピュータの一方向のみであるが、コンピュータとコンソールとの間の通信機能は双方向が可能である。
【0015】
CLM通信機能
CLMからは通信で、例えば(1)計測時間(2)Hct(3)%BV値等を取り込み、また、特定時間の間、例えば10秒間、CLMからデータ計測値が来ない場合は通信異常を検出し、通信の再開を試みる。
【0016】
コンソールから変換ユニット経由で通信によりデータ計測値を取り込み、さらには制御のために情報を送信する。コンソールから通信で取り込むデータ計測値としては、例えば1.BV値の基になるヘマト値2.目標除水量3.除水速度4.目標透析時間5.現在除水量6.透析経過時間7.透析残り時間8.血流量9.除水ポンプ運転フラグ10.最高血圧12.最低血圧20.平均血圧13.脈拍数がある。
コンソールに対して送信される制御情報は、除水速度変化率と除水速度がある。コンソールにコマンドを送って特定時間の間、例えば5秒間、応答が無い場合、通信異常を検出し、通信の再開を試みる。
【0017】
制御部の制御操作
透析開始と同時にタッチパネル画面を有するパネルコンピュータに数種類の警報パターン等の血液透析に関する患者データが記録された記録媒体、たとえばフロッピーディスク(FD)をセットし、制御システムのソフトウエアを立ち上げ、血液透析時の患者の条件に適合した警報パターンを選択し、タッチパネル画面上に図2に示すBVグラフ画面を表示させる。なお、上述の制御操作は2回目以降の制御操作についてであり、初回の制御はドクターが患者の特性を考慮しながら、設定する。
また、、本実施態様は、記録媒体としてFDについて説明するが、記録媒体はFDに限定されるものではない。
【0018】
前記BVコントロール画面において、X軸はコンソール(変換器)から得られる透析経過時間の位置、Y軸は%BVを示す。1、2は患者FD中にあらかじめ設定されている警報ライン1および2である。3は患者から現在サンプリングされている%BVを示す現す折れ線グラフである。本実施態様の場合、CLMから受信している%BV△の移動平均値を1分毎に折れ線グラフ表示させる。
【0019】
透析操作開始後、%BV値が設定%BV値範囲内にある場合は、そのまま操作を続行、また、%BV値が設定%BV値範囲を下回った場合は、除水速度を当初除水速度に比較して予め設定した所定の変化率分だけ低下させ、設定%BV値範囲を上回った場合は、除水速度を当初除水速度に比較して予め設定した所定の変化率分だけ上昇させ、%BV値が前記警報ライン1、2の間の領域に入るように、コンソールの除水速度をコントロールする。
【0020】
前記警報ライン1は、透析時間を複数に分割したポイント領域の時間軸とポイント毎に許容される血液指標値の上限値の交点1(図3における接点A)同士を結んで形成された警報ラインであり、また前記警報ライン2は透析時間を複数に分割したポイント領域の時間軸とポイント毎に許容される血液指標値の下限値の交点2(図3における接点B)同士を結んで形成された警報ラインであり、かつ前記警報ライン1と警報ライン2によって警報範囲が設定される。
また、前記各交点は患者の特性を考慮して変更することができる。そして、各交点を設定することによって、予め目標となる除水パターンを描き、それに沿って血液透析を行うことができる。
例えば、図3に示す警報1、2の条件設定画面を表示させ、該設定画面のポイントボタン1〜4により、任意で分割される各ポイントを選択し、また警報ボタン1および警報ボタン2により、設定血液指標値を昇降させて各ポイントの接点Aと接点Bを設定して行うことができる。
前記警報1、2の条件設定に際しては、警報1選択中は、%BV値の警報1逸脱時の選択ブロックで採用される除水速度変化率の加算量を、警報2選択中は、%BV値の警報2逸脱時の選択ブロックで採用されるの減算量を設定する(前記選択ブロックで採用される除水速度変化率を設定除水速度変化率とも言う。)。この加算量および減算量は、患者の特性、または目標とする除水パターンに合わせて任意に変更できる。
図3には前記除水速度変化率を表示する除水速度変化率表示部が設けられている。
前記警報1、2選択中で採用される設定除水速度変化率での除水は、予め設定した一定時間(以下、設定警報監視時間あるいは警報感度時間とも言う)実施される。この設定警報監視時間は図3では、警報感度表示部に表示され、警報感度ボタンで設定できる。
また、上述のようにして、血液指標値が設定範囲外から範囲内に入った場合に、加算または引算されている除水速度変化率をそのまま維持、或いは変更するか選択的に制御することが可能である。
【0021】
また、前記警報1、2の条件設定とは別に、図4に示すようなフェールセーフのために一定レベルの%BV値で%BV値を複数の段階に分けた警報ゾーン(本図のものは警報3、4、5)を設定することが好ましい。前記警報ゾーンは、患者の%BV値が前記警報ゾーンに入った場合には、前記警報1ラインと警報2ラインで設定される%BV値範囲に優先して、直ちに予め設定された除水速度変化率で強制的にコンソールの除水速度を変更することができる。
【0022】
前記警報ゾーンの設定あるいは変更も、前記画面中に表示させる各ゾーンを選択する警報ボタンによって各ゾーンを選択し、また選択した各ゾーンのレベルを上下方向に移動させることのできるボタンによってレベルを移動させることによって行うことができる。また、前記画面には設定された前記各ゾーンの%BV値の変化率を表示させることができる。ただし、前記警報ゾーンの設定あるいは変更は、BV値の変化率の値が警報3>警報4>警報5と言う要件を満足して行われる。
前記のようにして設定された警報パターンはフロッピーディスクに保存していつでも再利用することができる。以上のような方法で、各患者に対して警報パターンの設定をその都度行わなくても済み、操作の簡略化が可能となる。
【0023】
本発明においては、前記のように警報1、2の条件設定とは別に、図4に示すようなフェールセーフのために一定レベルの%BVで%BVを複数の段階に分けた警報ゾーンを設けることにより、以下の利点が得られる。すなわち、前記警報1、2の条件設定範囲を外れた場合、%BV値が設定範囲内に補正されるように、除水速度変化率が維持される。条件により、警報感度時間内に%BV値が設定範囲に補正されなければ、変化率を増幅した除水速度が適用されることもある。また、ここでは除水速度変化率を小さく細かに設定可能なので、除水速度の変更を穏やかに行うことができる。そのため、警報1、2の条件設定では透析初期の除水のコントロールに好都合であり、また、フェールセーフのために設けた複数の段階に分けた警報ゾーンにおいては、除水速度変化率を一定の除水速度変化率の範囲にダイレクトに変更できるので危険領域、例えば透析終期の除水のコントロールに好都合である。
【0024】
本発明の除水速度のコントロールは、具体的には、例えば以下のようにして行う。
透析操作開始後、ある時点で%BV値が設定BV値範囲外になった場合、その時点のポイント領域の設定除水速度変化率および警報監視時間で除水を行い、前記警報監視時間を経過しても前記%BV値が設定BV値範囲内に入らない場合、さらに前記設定警報監視時間と除水速度変化率にこれと同じ設定除水速度変化率をそれぞれ加算あるいは引算させた除水速度変化率で除水を行い、前記%BV値が設定BV値範囲内に入るまで繰り返して行うように除水速度のコントロールを行うものである。
【0025】
例えば、図3に示す警報1・警報2の条件設定画面では、あらかじめポイント1領域の警報領域の除水変化率は、0〜200%、警報感度時間は0〜99分、好ましくは1〜10分に設定できるようになっている。したがって、ポイント1領域の%BV値が警報1ラインより上、あるいは警報2ラインより下になった場合、一定時間、すなわち本画面の設定の場合、10分間、除水変化率1〜99%で除水量を変化させて除水を行い、仮にこの除水変化率で前記設定%BV値領域に入らない場合には、さらに除水変化率を1〜99%変化させて除水を行うように制御する。上記の除水速度変化率や警報感度時間は、患者や目的によって任意に設定可能であるが、例えば変化率1〜10%で警報感度時間1〜10分間等のように設定する。そして、最初の10分間は10%増の除水変化率で除水したけれども、さらに除水不足であると言う場合、除水変化率20%増で除水を行うように制御する。
【0026】
除水速度は主に限外濾過圧、除水ポンプの速度(駆動・停止)、血液ポンプの速度によって影響されるので、適当な除水速度になるように上記の各装置を制御する。また、血液透析時間の経過と共に患者の経時的な%BV値が低下して、除水ポンプが停止、また血液ポンプが減速された結果、設定された%BV値に達した後、直ぐに除水ポンプを駆動し始めると、除水の開始に伴って%BV値が再び低下してしまう。そうすると、駆動し始めたポンプがまた停止することになる。このように短時間でオン・オフを繰り返すと、ポンプがチャタリングを起こし好ましくない。そこで、血液指標値が設定範囲外から設定範囲内に入った場合に、遅延時間を設けることによって、患者の血液指標値を望ましい範囲内で一定に保持することができる。或いは、設定した除水速度変化率を(加算または引算せずに)そのまま維持できるようにすることによって、上記目的を達することができる。
【0027】
また、上述の遅延時間の代わりにヘマトクリット値や%BV値等の血液指標値に規定の許容範囲を設定しておいても良い。この場合は透析条件の変更が血液指標値の推移によって直ぐに指示されないで、上記の血液指標値の許容範囲を超えたときに初めて指示される。設定する血液指標値やその許容範囲は特に限定されないが、へマトクリット値であれば、Δ0.25,Δ0.50,Δ1.00(Δは変化を示す)の許容範囲の設定が好ましい。
【0028】
さらに、血液透析時間の経過と共に患者の経時的な%BV値が低下して、除水ポンプが停止、また血液ポンプの作動を開始する場合、それと共に補液装置の作動を開始し、患者体内へ補液の注入を行い、患者の減少したBVを上昇させ処理を行うこともできる。この場合、補液することで除水ポンプの停止や血液ポンプの減速は必要無くなることもあり、除水を中断することなく、効率的な血液透析が行える。また、前記補液操作は、半透膜を使用する透析あるいは濾過により行うHDF(血液濾過透析)による透析処理を行う際に便利である。さらに、この補液は患者が脱水症状を起こした時などの緊急に血液循環量を補充する必要がある場合にも有用である。
【0029】
前記BVグラフ画面のPRR測定ボタンを押すことによって除水量を設定するPRR測定が即時開始させ、またこのPRR測定が実施された場合(例えばPRRl〜PRRn回)、前記BV画面にPRR値を表示させても良い。PRR測定手順は、以下の通りである。
(a)PRR測定開始時にコンソールからの降水速度を記憶しておき、コンソソールに対してPRR測定除水速度設定値を設定する。
(b)その後PRR測定除水時間経過後に、コンソールに対して除水停止指令を送信する。
(c)さらにPRR測定遅れ時間及びPRR測定除水停止時間経過俊にPRR計算を行い、開始時に記憶した除水速度をコンソソールに設定し、設定を終了させる。
前記PRR測定は図5の傾きで示され、下式(2)によって求めることができる。
【0030】
【数2】
PRR=UFR÷(1−(%BVΔ1÷T1)÷(%BVΔ2÷T2))・・・・・・・・(2)
前式において、UFRは図5における除水速度である。
【0031】
以上の実施態様においては、本発明の特徴点である制御部について主に説明したが、前記実働部や血液計測手段としては、従来公知の手段を採用し、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、本発明の特徴点である制御部と前記実働部や血液計測手を様々なバリエーションで組合せることができる。このようにして、PRR値を測定することにより、予め測定した除水条件やパターンが患者に適合するものかどうか、或いは透析の所定時間後の患者の容体を予測することが可能となる。
【0032】
【発明の効果】
患者の血液状態を監視しながら、その時々に応じて患者に適合した血液処理が可能となるように、血液処理条件の設定・変更も容易に行われるため、医療従事者の負担は軽減される。さらに、本発明の装置は簡易な構成であるため、施設に導入し易く、また装置本体のコストも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の血液透析処理装置の血液計測部および制御部を構成するシステムの一例を示す図である。
【図2】本発明の血液透析処理装置の制御システムを構成するパネルコンピュータのタッチパネル画面に表示されるBVグラフ画面を示す図である。
【図3】本発明の血液透析処理装置の制御システムを構成するパネルコンピュータのタッチパネル画面に表示される警報1、2の条件設定画面を示す図である。
【図4】本発明の血液透析処理装置の制御システムを構成するパネルコンピュータのタッチパネル画面に表示されるフェールセーフのために一定レベルの%BV値で%BV値を複数の段階に分けた警報ゾーンの条件設定画面を示す図である。
【図5】PRR測定法を説明する図である。
【符号の説明】
1 患者FD中にあらかじめ設定されている警報ライン1
2 患者FD中にあらかじめ設定されている警報ライン2
3 患者から現在サンプリングされている%BVを現す折れ線グラフ
Claims (8)
- 患者の血液パラメータを計測する血液計測手段(A)と、血液処理を行う実働部(B)と、所定の除水速度で血液処理を行うように実働部を制御する制御部(C)とを少なくとも有して構成される血液透析装置において、制御部(C)が以下の(1)〜(3)の制御を行うことを特徴とする血液透析装置。
1.前記血液計測手段(A)によってサンプリングされた血液パラメータを、下式(1)で表されるBV変化値(BVΔ)あるいは該BV変化値(BVΔ)を百分率で表した%BV値(以下、血液指標値という)として取込み、該取込まれた血液指標値が予め設定されたBV変化値(BVΔ)あるいは%BVの範囲(以下、設定血液指標値範囲とも言う)内で推移するか否かを監視して、前記血液指標値の現在値が前記設定血液指標値範囲を逸脱した場合には前記設定血液指標値内に入るように実働部(B)の除水速度を制御するものであること。
BV変化値(BVΔ)=(透析開始時のHt値/測定時のHt値)−1・・(1)
2.前記1の制御において、血液指標値の現在値が設定血液指標値範囲を下回った場合には当初除水速度から各設定血液指標値範囲に予め設定された所定の除水速度変化率分の除水速度を引算した除水速度で除水を行い、また、血液指標値の現在値が設定血液指標値を上回った場合は当初除水速度から各設定血液指標値範囲に予め設定された所定の除水速度変化率分だけ加算した除水速度で除水を行い、前記除水によって血液指標値の現在値が設定血液指標値範囲内に入るように実働部(B)の除水速度を制御するものであること。
3.前記2の制御において、前記加算した除水速度による除水を一定時間の警報監視時間(以下、設定警報監視時間とも言う)で行い、前記血液指標値の現在値が前記設定警報監視時間を経過しても前記設定血液指標値範囲内に入らない場合には、引き続いて前記加算した除水速度にさらに同じ除水速度変化率分を加算させた除水速度変化率で除水を行うか、あるいは前記引算した除水速度による除水を一定時間の設定警報監視時間で行い、血液指標値の現在値が前記設定警報監視時間を経過しても前記設定血液指標値範囲内に入らない場合には、引き続いて前記引算した除水速度にさらに同じ除水速度変化率分を引算させた除水速度変化率で除水を行う制御制御を、血液指標値の現在値が設定警報監視時間内に設定血液指標値範囲内に入るまで繰り返して行うこと。 - 制御部(C)が、血液指標値の現在値が設定血液指標値範囲内に入ると実施中の加算あるいは引算した除水速度による除水に代えて直ちに当初除水速度による除水を行うのではなく、遅延時間を設け、該遅延時間の経過後に実施中の加算あるいは引算した除水速度による除水に代えて当初除水速度による除水を行うよう制御するものである請求項1に記載の血液透析装置。
- 患者の血液パラメータを計測する血液計測手段(A)と、血液処理を行う実働部(B)と、所定の除水速度で血液処理を行うように実働部を制御する制御部(C)とを少なくとも有して構成される血液透析装置において、制御部(C)が以下の1〜3の制御を行うことを特徴とする血液透析装置。
1.前記血液計測手段(A)によってサンプリングされた血液パラメータを、下式(1)で表されるBV変化値(BVΔ)あるいは該BV変化値(BVΔ)を百分率で表した%BV値(以下、血液指標値という)として取込み、該取込まれた血液指標値が予め設定されたBV変化値(BVΔ)あるいは%BVの範囲(以下、設定血液指標値範囲とも言う)内で推移するか否かを監視して、前記血液指標値の現在値が前記設定血液指標値範囲を逸脱した場合には前記設定血液指標値内に入るように実働部(B)の除水速度を制御するものであること。
BV変化値(BVΔ)=(透析開始時のHt値/測定時のHt値)−1・・(1)
2.前記1の制御において、血液指標値の現在値が設定血液指標値範囲を下回った場合には当初除水速度から各設定血液指標値範囲に予め設定された所定の除水速度変化率分の除水速度を引算した除水速度で除水を行い、また、血液指標値の現在値が設定血液指標値を上回った場合は当初除水速度から各設定血液指標値範囲に予め設定された所定の除水速度変化率分だけ加算した除水速度で除水を行い、前記除水によって血液指標値の現在値が設定血液指標値範囲内に入るように実働部(B)の除水速度を制御するものであること。
3.前記2の制御において、血液指標値の現在値が設定血液指標値範囲内に入ると実施中の加算あるいは引算した除水速度による除水に代えて直ちに当初除水速度による除水を行うのではなく、遅延時間を設け、該遅延時間の経過後に実施中の加算あるいは引算した除水速度による除水に代えて当初除水速度による除水を行うよう制御するものであること。 - 制御部(C)が、設定血液指標値範囲を透析時間を複数に分割したポイント領域の時間軸とポイント毎に許容される血液指標値の上限値の交点1(以下、警報上限値と言う)同士を結んで形成された警報ライン(以下、警報ライン1とも言う)と透析時間を複数に分割したポイント領域の時間軸とポイント毎に許容される血液指標値の下限値の交点2(以下、警報下限値と言う)同士を結んで形成された警報ライン(以下、警報ライン2とも言う)の間に設定し、かつ前記交点1および/または交点2を任意に設定および変更できるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の血液透析装置。
- 制御部(C)が、血液指標値の現在値がその時点の警報値の上限値を越えている場合には除水速度変化率を上げる方向、また警報下限値に達していない場合には除水速度変化率を下げる方向に制御できるものである請求項4に記載の血液透析装置
- 制御部(C)が、設定血液指標値範囲に加えてフエールセーフのため血液指標値について複数の警報ゾーンをさらに設定し、血液指標値の現在値が前記複数の警報ゾーンのいずれかに入った場合には、優先的に該ゾーンで設定された除水速度変化率で直ちに除水するよう制御可能なものである請求項1〜5のいずれかに記載の血液透析装置。
- 患者の血液パラメータを計測する血液計測手段(A)と、血液処理を行う実働部(B)と、所定の除水速度で血液処理を行うように実働部を制御する制御部(C)とを少なくとも有して構成される血液透析装置において、制御部(C)が以下の1〜3の制御を行うことを特徴とする血液透析装置。
1.前記血液計測手段(A)によってサンプリングされた血液パラメータを、下式(1)で表されるBV変化値(BV△)あるいは該BV変化値(BV△)を百分率で表した%BV値(以下、血液指標値という)として取込み、該取込まれた血液指標値が予め設定されたBV変化値(BV△)あるいは%BVの範囲(以下、設定血液指標値範囲とも言う)内で推移するか否かを監視して、前記血液指標値の現在値が前記設定血液指標値範囲を逸脱した場合には前記設定血液指標値内に入るように実働部(B)の除水速度を制御すること。
BV変化値(BV△)=(透析開始時のHt値/測定時のHt値)−1・・(1)
2.前記1の制御において、血液指標値の現在値が設定血液指標値範囲を下回った場合には当初除水速度から各設定血液指標値範囲に予め設定された所定の除水速度変化率分の除水速度を引算した除水速度で除水を行い、また、血液指標値の現在値が設定血液指標値を上回った場合は当初除水速度から各設定血液指標値範囲に予め設定された所定の除水速度変化率分だけ加算した除水速度で除水を行い、前記除水によって血液指標値の現在値が設定血液指標値範囲内に入るように実働部(B)の除水速度を制御すること。
3.設定血液指標値範囲に加えてフェールセーフのため血液指標値について複数の警報ゾーンをさらに設定し、血液指標値の現在値が前記複数の警報ゾーンのいずれかに入った場合には、優先的に該ゾーンで設定された除水速度変化率で直ちに除水するよう制御すること。 - 患者の血液パラメータを計測する血液計測手段(A)と、血液処理を行う実働部(B)と、所定の除水速度で血液処理を行うように実働部を制御する制御部(C)とを少なくとも有して構成される血液透析装置の血液透析処理制御情報として、下記1〜3の制御情報を記録した記録媒体。
1.血液計測手段(A)によってサンプリングされた血液パラメータを、下式(1)で表されるBV変化値(BV△)あるいは該BV変化値(BV△)を百分率で表した%BV値(以下、血液指標値という)として取込み、該取込まれた血液指標値が予め設定されたBV変化値(BV△)あるいは%BVの範囲(以下、設定血液指標値範囲とも言う)内で推移するか否かを監視して、前記血液指標値の現在値が前記設定血液指標値範囲を逸脱した場合には前記設定血液指標値内に入るように実働部(B)の除水速度を制御する制御情報。
BV変化値(BV△)=(透析開始時のHt値/測定時のHt値)−1・・(1)
2.前記1の制御において、血液指標値の現在値が設定血液指標値範囲を下回った場合には当初除水速度から各設定血液指標値範囲に予め設定された所定の除水速度変化率分の除水速度を引算した除水速度で除水を行い、また、血液指標値の現在値が設定血液指標値を上回った場合は当初除水速度から各設定血液指標値範囲に予め設定された所定の除水速度変化率分だけ加算した除水速度で除水を行い、前記除水によって血液指標値の現在値が設定血液指標値範囲内に入るように実働部(B)の除水速度を制御する制御情報。
3.前記設定血液指標値範囲に加えてフェールセーフのため血液指標値について複数の警報ゾーンをさらに設定し、血液指標値の現在値が前記警報ゾーンのいずれかに入った場合には、優先的に該ゾーンで設定された除水速度変化率で直ちに除水するように実働部(B)を制御する制御情報。
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