JP2007190235A - 血液透析装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ダイアライザの動脈側に血液ポンプを有する動脈側血液回路を、静脈側に静脈側血液回路を接続し、ダイアライザの側面に、第1送液手段を有する透析液供給ライン及び第2送液手段を有する透析液排出ラインを接続してなる透析装置において、透析液供給ライン内、又は透析液供給・排出ライン内の両方に、電解質濃度測定用検出器を設け、透析液供給・排出ラインの少なくとも一方に、上流側と下流側とを連絡するバイパスラインを設け、該バイパスラインに透析液の量を調整可能とする第3送液手段を設け、第3送液手段を用いて逆濾過を行って血液回路側の電解質濃度を調整するように構成した。
【選択図】図1
Description
このような高ナトリウム透析治療によって、供給される透析液供給ライン中の透析液のナトリウム濃度を高くし、ダイアライザ内での拡散により透析液から血液にナトリウムイオンを移動させ、血中のナトリウム濃度を上昇させて浸透圧を高くすることにより、細胞内の水分や溶質をスムースに引出し、除水することで透析を行う。このような細胞から血管への円滑な水分の移行を図ることで、できるだけ心臓の負荷を軽減し血圧の低下を防止する。
また、上記したNaに限らず、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)などの電解質についても、その過不足が患者の心臓機能などに重大な影響を及ぼすことが知られており、これらの濃度を適正に保つことが必要とされている。本発明では、これらNa、K、Mg、Ca等の電解質の濃度をコントロールすることできる血液透析装置を対象とする。
また、血圧低下などの症状の改善と合わせて、高ナトリウム透析の副作用である口渇感や体重増加などの症状の出現を抑制するために、血液透析時にナトリウムを主成分とする高張液を血液回路及び透析液回路の少なくとも一方の途中にて、注入制御手段を介して所定時間おきに所定量ずつ間欠的に注入する装置が、特許文献2にて提案されている。
なお、上記の問題は高ナトリウム透析の場合において説明したが、同様の問題は先に掲記した他の電解質(K、Mg、Ca等)についても起こり得ることである。
本発明は、このような従来例の問題点を解決するために、Naなどの電解質注入用のポンプ手段で電解質を含む溶液を透析液に注入すると共に、もしくは前記ポンプ手段を用いることなく、逆濾過により透析液を血液に補液することによって、血中電解質濃度を迅速に変更することができ、かつ、より少ない溶液消費により従来と同等の効果を奏することが可能な血液透析装置を提供するものである。また、本発明は、血液ポンプ、逆濾過ポンプ及び電解質注入用ポンプのうち、少なくとも2個のポンプを連動制御することにより、効率的な電解質濃度の調整が可能な血液透析装置を提供することを他の目的とする。
(1)ダイアライザの動脈側に血液ポンプを有する動脈側血液回路を接続し、ダイアライザの静脈側に静脈側血液回路を接続するとともに、ダイアライザの側面に、第1送液手段を有する透析液供給ライン及び第2送液手段を有する透析液排出ラインをそれぞれ接続して構成された透析装置において、前記透析液供給ラインライン内に、もしくは透析液供給ライン及び排出ライン内の両方に、電解質濃度を測定する濃度検出器を設けると共に、前記透析液供給ライン及び透析液排出ラインの少なくとも一方のラインに、第1送液手段或いは第2送液手段の上流側と下流側とを連絡するバイパスラインを設け、該バイパスラインに透析液の量を調整可能とする正逆両方向に送液可能な第3送液手段を設け、該第3送液手段を用いて逆濾過を行うことにより血液回路側の電解質濃度を調整するように構成したことを特徴とする血液透析装置。
(2)前記静脈側血液回路内に静脈圧を測定する静脈圧計を設けると共に、前記血液ポンプ及び第3送液手段を連動制御するための制御手段を設け、該制御手段により前記静脈圧計からの静脈圧に基づいて血液ポンプ及び第3送液手段の流速の少なくともいずれかを制御して静脈圧の変動を抑制することを特徴とする(1)記載の血液透析装置。
(3)前記透析液供給ラインに、電解質注入ポンプを介して電解質溶液貯蔵タンクを連結し、ダイアライザにて拡散による電解質の移動と逆濾過による電解質の注入により、血液回路側の電解質濃度を調整するように構成したことを特徴とする(1)記載の血液透析装置。
(4)透析液供給・排出ライン内の電解質濃度を各検出器で測定し、得られた電解質濃度によって体内に入った電解質量を予測し、この予測量が設定値以下の場合に、電解質注入ポンプを作動させ電解質溶液を注入することを特徴とする(3)記載の血液透析装置。
(5)透析液供給・排出ライン内の電解質濃度を各検出器で測定し、得られた電解質濃度によって体内に入った電解質量を予測し、この予測量が設定値以下の場合に、第3送液手段による逆濾過により電解質溶液を注入すると共に、血液ポンプ及び第3送液手段の流速の少なくともいずれかを制御して静脈圧の変動を抑制ことを特徴とする(1)記載の血液透析装置。
また、逆濾過速度と血液ポンプの速度を連動制御することにより、かつ、必要に応じて電解質注入ポンプを加えて連想制御することにより、血中電解質濃度を任意にコントロールすることが可能となる。
更に、本発明によれば、透析液の濃度、組成は一定にしたままで、逆濾過のみの作用により、血中電解質濃度を変化させることができ、その応用性は非常に広い。加えて、ポンプの小型化も図ることができ、その実用性も高い。
図1は本発明を適用するに適した血液透析装置の一例を示すもので、血液の体外循環により血液浄化を行うダイアライザ1の動脈側に動脈側血液回路2を接続し、静脈側に静脈側血液回路3を接続するとともに、ダイアライザ1の側面に、透析液供給ライン4及び透析液排出ライン5がそれぞれ接続している。動脈側血液回路2には、患者の動脈側接続部6aから脱血しダイアライザ1に導く正逆回転可能な血液ポンプ7と、回路内に混入した気泡を除去するなどの機能を有する動脈側チャンバ8が設けられている。また、患者の静脈側接続部6bに返血するための静脈側血液回路3には、回路内に混入した気泡及び余剰な透析液をオーバーフローライン9に排出する機能を有する静脈側チャンバ10が設けられている。
なお、図1に示すように、予め透析液供給ライン及び透析液排出ライン内に、それぞれのラインにおけるナトリウム濃度を測定するための検出器15、16を設置しておき、それぞれの検出器で測定されたナトリウム濃度に基づいて所望の濃度にコントロールすることが好ましい。例えば、両方の検出値による濃度差が適正範囲に入っているかを判断し、これに基づいてフィードバック制御を行えばよい。また、この濃度差によって体内への電解質の移動を推測することができ、更には体内に導入された電解質量を推定する精度も向上する。
また、濃度検出器は、透析液供給ライン及び透析液排出ラインの両方に設ける場合以外に、いずれか一方に設けることでも対応可能である。透析液供給ラインのみに濃度検出器を設けた場合には、ダイアライザの液のみ確認(ダイアライザの液の電解質濃度の確認)すればよい。
具体的な濃度コントロールの手段としては、逆濾過(BF)の速度、流量、回数、時間などの調整を第3送液手段(ポンプ)14を介して行うことで濃度調整が可能であり、その際、制御装置17を設けておき、濃度検出器からの信号をもとに適正(設定)濃度を演算し、ポンプに制御信号を出力することで濃度コントロールができる。
実際の操業では、逆濾過ポンプはダイアライザを介する制御となることから、直接的に血液回路の流速を調整し得る血液ポンプ7を優先して使用することが望ましい。勿論、何らかの理由で血液ポンプによる調整が困難な場合に逆濾過ポンプ14を用いることができるが、場合によっては両ポンプを併用することもできる。
図2における具体的な制御操作としては、2個の濃度検出器15、16による濃度測定値により、制御装置17において体内に入ったナトリウムの量を予測演算し、体内に入る量が設定値よりも少ないときは、ナトリウム注入ポンプ20に指令を出してナトリウム貯蔵タンク19からのナトリウム溶液流量を増やし、反対に体内に入る量が設定値よりも多いときは、ナトリウム溶液流量を減らせばよい。(請求項1)
また、この透析設備においては、図3に示す如く、透析液供給ライン4に設けたバイパスライン22における第4送液手段21の入側に、2種の電解質溶液を貯蔵する第1溶液(例えば、ナトリウム)貯蔵タンク23および第2溶液(例えば、カリウム)貯蔵タンク24と、途中に注入ポンプ25と前記両タンク23、24の切り替えを行う切替弁26を設置した溶液供給ライン27を接続している。また、透析液供給及び排出ライン4、5における透析液中の電解質濃度を検出する検出器15、16とを設置している。なお、貯蔵タンク23、24、注入ポンプ25、切替弁26を有する溶液供給ライン27は、第4送液手段21の入側ではなく、第4送液手段21の出側に接続することも可能である(この形態は図3の破線部分に示す)。
3 静脈側血液回路 4 透析液供給ライン
5 透析液排出ライン 6a 動脈側接続部
6b 静脈側接続部 7 血液ポンプ
8 動脈側チャンバ 9 オーバーフローライン
10 静脈側チャンバ 11 第1送液手段
12 第2送液手段 13 バイパスライン
14 第3送液手段 15、16 濃度検出器
17 制御装置 18 静脈圧計
19 ナトリウム貯蔵タンク 20 ナトリウム注入ポンプ
21 第4送液手段 22 バイパスライン
23 第1溶液貯蔵タンク 24 第2溶液貯蔵タンク
25 電解質注入ポンプ 26切替弁
27 溶液供給ライン BF 逆濾過
Claims (5)
- ダイアライザの動脈側に血液ポンプを有する動脈側血液回路を接続し、ダイアライザの静脈側に静脈側血液回路を接続するとともに、ダイアライザの側面に、第1送液手段を有する透析液供給ライン及び第2送液手段を有する透析液排出ラインをそれぞれ接続して構成された透析装置において、
前記透析液供給ライン内に、もしくは透析液供給ライン及び排出ライン内の両方に、電解質濃度を測定する濃度検出器を設けると共に、前記透析液供給ライン及び透析液排出ラインの少なくとも一方のラインに、第1送液手段或いは第2送液手段の上流側と下流側とを連絡するバイパスラインを設け、該バイパスラインに透析液の量を調整可能とする正逆両方向に送液可能な第3送液手段を設け、該第3送液手段を用いて逆濾過を行うことにより血液回路側の電解質濃度を調整するように構成したことを特徴とする血液透析装置。 - 前記静脈側血液回路内に静脈圧を測定する静脈圧計を設けると共に、前記血液ポンプ及び第3送液手段を連動制御するための制御手段を設け、該制御手段により前記静脈圧計からの静脈圧に基づいて血液ポンプ及び第3送液手段の流速(又は流量)の少なくともいずれかを制御して静脈圧の変動を抑制することを特徴とする請求項1記載の血液透析装置。
- 前記透析液供給ラインに、電解質注入ポンプを介して電解質溶液貯蔵タンクを連結し、ダイアライザにて拡散による電解質の移動と逆濾過による電解質の注入により、血液回路側の電解質濃度を調整するように構成したことを特徴とする請求項1記載の血液透析装置。
- 透析液供給・排出ライン内の電解質濃度を各検出器で測定し、得られた電解質濃度によって体内に入った電解質量を予測し、この予測量が設定値以下の場合に、電解質注入ポンプを作動させ電解質溶液を注入することを特徴とする請求項3記載の血液透析装置。
- 透析液供給・排出ライン内の電解質濃度を各検出器で測定し、得られた電解質濃度によって体内に入った電解質量を予測し、この予測量が設定値以下の場合に、第3送液手段による逆濾過により電解質溶液を注入すると共に、血液ポンプ及び第3送液手段の流速(流量)の少なくともいずれかを制御して静脈圧の変動を抑制ことを特徴とする請求項1記載の血液透析装置。
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