以下、本発明の好ましい実施形態について、好適な実施例を挙げて添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお実施例では、前枠の正面奥部に遊技盤が収容保持された形態のパチンコ機に本発明を適用した場合を主として説明する。
まず、本実施例のパチンコ機PMの概要構成を図1〜図5の各図を参照して要約説明する。ここで、図1はパチンコ機PMの正面図、図2はパチンコ機PMの背面図、図3はガラス扉5および球皿6を開放して遊技盤10を取り外した状態におけるパチンコ機PMの正面図、図4および図5は前枠2からガラス扉5、球皿6、遊技盤10、裏セット盤30などを取り外した分解状態における各部の正面図および背面図である。
パチンコ機PMは外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載用の前枠2が互いの正面左側上下に配設されたヒンジ機構3a,3bで横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられたダブル錠と称される施錠装置4を利用して常には外枠1と係合された閉鎖状態に保持される。
前枠2の前面側には、前枠2の前面域に合わせた方形状のガラス扉5および球皿6が正面左側に設けられたヒンジ機構7a,7b,7cを利用して横開き開閉および着脱可能に組付けられ、正面右側の施錠装置4および球皿施錠装置9により前枠2の前面を覆う閉鎖状態に保持される。球皿6の右側下部には遊技球の発射操作を行う操作ハンドル8が取り付けられている。前枠2の上部には方形枠状の収容枠2aが前枠2と一体に成型されており、この収容枠2aに設けられた複数のレバーL1,L1…を利用して遊技盤10が着脱可能にセット保持される。
遊技盤10は、所定板厚の積層合板を切断およびルーター加工して、表面にセルを貼り付けた化粧板(ベニヤとも称される)11を基板として構成される。化粧板11の正面側には、帯板状のガイドレール12および上下2分割のレール飾り13が固設されて内側に略円形の遊技領域PAが区画され、この遊技領域PAに多数本の遊技釘とともに風車や各種入賞具14、遊技の進行状況に応じて所定の図柄を表示させる図柄表示装置15などが設けられている。
遊技領域PAの入口部には遊技領域PAに発射された遊技球が再び発射装置21側に戻ることを規制する球戻り規制片16が取り付けられ、遊技領域PAの下端部には入賞具14に入賞せずに落下した遊技球を遊技盤10の裏面側に排出させるアウト口17が設けられている。化粧板11の裏面側には、各入賞具14に入賞した遊技球(セーフ球という)を検出する入賞球検出器、セーフ球を集合させる球寄せカバー18、図柄表示装置15の作動制御を行う画像制御基板95などが取り付けられている。
収容枠2aの下側に位置する前枠2の下部領域には遊技補助盤と称される補助機構部が形成されており、この遊技補助盤20の各部に、遊技盤10に向けて遊技球を打ち出す打球発射装置21、所定容積の収容空間を有して球皿6に排出しきれない遊技球を一時貯留する貯留ケース25、貯留ケース25の出口に設けられた枠側シャッタ28、遊技の展開状態に応じて効果音を発生させる音響装置40などが設けられている。
前枠2の裏面側には、中央に前後連通する窓口を有して前枠2よりもやや小型の方形枠状に形成された裏セット盤30が、前枠2の裏側に設けられた複数のレバーL2,L2…を利用して着脱可能にセット保持される。裏セット盤30の各部には、遊技球を貯留する球貯留タンク31、球貯留タンク31から供給された遊技球を流下させる過程で前後2列に整列させるタンクレール32、所定数量の遊技球を整列状態で待機させる待機通路33、遊技盤10における入賞状態等に基づいて遊技球を払い出す球払出装置34、球払出装置34から払い出された遊技球を貯留ケース25に導く球払出通路35などの賞球装置が装備されるとともに、電源基盤91や主基板92などの各種回路基盤および電子部品等が取り付けられ、これらの各機器および遊技盤10の裏面に取り付けられた画像制御基板95が図示省略するワイヤーハーネスで接続されている。
パチンコ機PMは、前枠2、ガラス扉5および球皿6がともに閉止され施錠された状態で遊技に供され、球皿6に遊技球を貯留させて操作ハンドル8を回動操作することにより遊技が開始される。操作ハンドル8が回動操作されると、球皿6に貯留された遊技球が打球発射装置21により1球ずつ遊技盤10の遊技領域PAに打ち出され、以降パチンコゲームが展開される。
以上のように概要構成されるパチンコ機PMにおいて、以下、図6〜図11の各図を参照して、遊技補助盤20および球皿6の構成についてもう少し詳しく説明する。ここで、図6は図1中の矢印VI−VI方向に見たパチンコ機PMの平断面図、図7は球皿6を取り外した状態で示す遊技補助盤20の正面図、図8は遊技補助盤20を前枠2の裏面側から見た背面図、図9は球皿6の正面図、図10は球皿6の背面図、図11は後述するあて板61を取り外して球皿6の内部構造を略示する背面図である。
遊技補助盤20の左下部に打球発射装置21が配設されている。打球発射装置21は主要機構がユニット化された発射装置ユニット210を主体とし、このユニット210が遊技補助盤20の発射装置取付部21aに取り付けられて構成される(発射装置21の周辺領域を拡大して示す図12を併せて参照)。
発射装置ユニット210は、発射装置取付部21aの背面側の収容形態に合わせて形成されたベースプレート211を基板とし、その背面側にロータリーソレノイド212およびその制御回路が、前面側にハンマ213、クッションゴム214,215、発射球ホルダ216などの機構部材が取り付けられて構成される。一方、発射装置取付部21aには、発射装置ユニット210の前面側の発射機構部を挿通させる取付開口21bが形成されるとともに(図5を参照)、その開口縁部が前方に突出成型されてリブ状の仕切壁21cが形成され、発射装置21の駆動領域を区画している。
発射装置ユニット210は、前枠2の裏面側から発射装置取付部21aに装着され、ネジ218,218…によって固定保持される。発射装置取付部21aには、仕切壁21cに取り囲まれた駆動領域の前面を覆う発射装置カバー21dが横開き開閉可能に取り付けられており、遊技球の飛散を防止するとともに、保守点検時等における作業の安全性を確保している。
打球発射装置21の上方には、発射球ホルダ216から左斜め上方に延びて、平断面視凹状の発射レール21hが設けられている。発射レール21hの上部は遊技補助盤20の左上部に取り付けられたファール球回収部材22に形成されており、その上端に発射口22hが開口している。また、球皿6の背面には、この発射レール21hと位置整合して斜め上方に延びるガイドリブ72hが形成されており、球皿6を閉鎖したときに発射レール21hとガイドリブ72hとで筒状の発射球通路を形成し、打球発射装置21から打ち出された遊技球を遊技盤10のガイドレール12に向けて案内する。ファール球回収部材22には、発射口22hの左右に位置して上方に開口するファール球回収口22f,22fが形成されている。
遊技補助盤20の上部は、盤面が後方に大きく張り出されて断面視凹状の貯留ケース収容部24が形成され、この貯留ケース収容部24に貯留ケース25が収容保持される。貯留ケース25は、全体として正面左側が薄く右側が厚い底面傾斜形態の横長箱状体をなし、所定数量の遊技球を貯留可能な収容空間が形成されている。
なお、貯留ケース25を含む球通路の構成および遊技球の流れについては後に詳述するが、ここで予め簡単に概要説明すると、貯留ケース25の左側面にはファール球導入口が形成されており、ファール球回収口22fで回収された遊技球(ファール球)がこのファール球導入口からケース内に流入して流下可能になっている。また貯留ケース25の左上部には賞球導入口が形成されており、球払出装置34から払い出された遊技球(賞球)がこの賞球導入口からケース内に流入して流下可能になっている。そして、貯留ケース25の右端前面にはケース出口25dが設けられて常には閉鎖状態にある球皿6の球皿通出口61dと繋がっており、ケース内を流下した遊技球がこのケース出口25dから球皿6に排出されるようになっている。貯留ケース25は、遊技補助盤20におけるシャッタ取付部26に上下にスライド移動可能に取り付けられた係止部材27により、貯留ケース収容部24に収容セットされた状態で係止保持される。
貯留ケースのケース出口25dと位置整合して枠側シャッタ28が設けられている。枠側シャッタ28はユニット化されており、球皿6の開閉操作と連動して昇降変位する枠側シャッタブレード285を備えた枠側シャッタユニット280がシャッタ取付部26に着脱可能に取り付けられる。シャッタ取付部26の下部には誤操作防止用のシャッタストッパ29が左右にスライド移動可能に取り付けられている。なお、この枠側シャッタ28についても後に詳述する。
遊技補助盤20の中央部は後方に膨出成型されており、正面左側の発射装置取付部21a、上側のカッセット収容部24、右側のシャッタ取付部26、および下側の前枠下縁に周囲を取り囲まれるように窪んだスピーカ収容部が形成されている。そして、このスピーカ収容部からシャッタ取付部26の裏側を利用して音響装置40における遊技補助盤側の音響構造が設けられている。
遊技補助盤側の音響構造は、スピーカ41、スピーカ41をマウントするとともにスピーカ収容室51を形成させるスピーカベース42、スピーカ収容室51に隣接して取り付けられ後方音室53を形成させるエンクロージャカバー43、バスレフ効果を発揮させるダクト44などから構成される。
スピーカベース42は、正面にスピーカ41のコーンを露出させる円形開口が設けられ開口の周縁にスピーカフレームをネジ固定するネジボスが形成されたバッフルプレート部と、スピーカ収容部の形状に合わせてバッフルプレート部から後方に延びスピーカ41の左側方に仕切壁を形成させるサイドカバー部とからなる。スピーカ41はスピーカベース42にネジ固定されたうえで遊技補助盤のスピーカ収容部に取り付けられ、円形開口を通してコーンを臨ませるとともに、バッフルプレートの後方に周囲が壁面で取り囲まれスピーカ41の本体部を収容するスピーカ収容室51が形成される。
このスピーカ収容室51に隣接するシャッタ取付部26の背面側にエンクロージャカバー43が取り付けられ後方音室53が形成される。エンクロージャカバー43は、スピーカ収容室51と接する側の側壁を欠いて左右に延びる蓋状体からなり、詳細図示省略する係止突起でスピーカ収容部の側壁面およびシャッタ取付部26に係脱可能に係止され、取付ネジ48により固定される。
スピーカ収容室51と後方音室53との間を仕切る側壁面には、両室51,53を連通させる開口52が形成されており(図18を参照)、この開口52によりスピーカ収容室51と後方音室53とが一体化されて、これら両室の内容積を合わせた大容積のエンクロージャ(スピーカボックス)が形成される。後方音室53の内部にはシャッタ取付部26から後方に突出する円筒状のダクト44が設けられ、その前端がシャッタ取付部26の前面に開口してポート44pが形成されている。
このように、遊技補助盤20の背面側にスピーカ収容室51と略同一の奥行きを有して左右に延びる後方音室53を形成させることで、必要にして充分な容積のエンクロージャを備えた本格的なバスレフ型スピーカを構成することができ、これによりスピーカ口径を単純に拡大するだけでは得られなかった低音域を再生して広帯域で臨場感あふれる効果音を再生することができる。
一方、常には遊技補助盤20の前面を覆って閉鎖保持される球皿6は、この構造体の基板となるあて板61、遊技球を貯留する皿部材62、前方に張り出し成型され、あて板61および皿部材62の前方を覆う外郭カバー体63,64、あて板と外郭カバー体との間の球皿内部に設けられた通路部材65などを基本的な構造部材とし、各部に球抜き装置など種々の機構装置が装備されて構成される。
遊技補助盤20と対峙して配設されるあて板61の背面には、既述した遊技補助盤20側の各機構に対応した機構装置が装備されている。すなわち、貯留ケース25に対応して貯留ケース透視窓75が、枠側シャッタ28に対応して皿側シャッタ78が、打球発射装置21に対応して球送りカセット71がそれぞれ設けられている。
貯留ケース透視窓75は、透明樹脂材料を用いて一体成型されており、球皿6の閉鎖姿勢において貯留ケース25の直前に位置するあて板61の背面側にネジ固定される。これにより、常には閉鎖保持される球皿6の背後にあって遊技補助盤20に収容保持された貯留ケース25の内部の状態を、この貯留ケース透視窓75を通してパチンコ機PMの正面から確認できるようになっている。
あて板61には、球皿6の閉鎖姿勢において貯留ケースのケース出口25dと位置整合する球皿通出口61dが形成されており、貯留ケース25を流下した遊技球がケース出口25dおよび球皿通出口61dを通って皿部材62に排出されるようになっている。球皿通出口61dにはこの開口部を開閉する皿側シャッタ78が設けられている。皿側シャッタ78はユニット化されており、球皿6の開閉操作と連動して昇降変位する皿側シャッタブレード785を備えた皿側シャッタユニット780が取り付けられて、球皿通出口61dの開閉を行うようになっている。皿側シャッタ78は枠側シャッタ28と対峙して設けられており、これらのシャッタ機構の構成および作用については後に詳細に説明する。
あて板61の前方に取り付けられる皿部材62は、全体として上面開放の皿形態をなし、多数の遊技球を貯留可能になっている。皿部材62における皿部分は、背面視において右方向に緩く下傾するとともに傾斜下流に向けて遊技球を集合させて流下させる案内皿部62aと、この案内皿部62aと滑らかに繋がり背面視において右方向に緩く上傾する貯留皿部62bとからなり、貯留される遊技球の増加に応じて案内皿部62aから貯留皿部62bに貯留されるようになっている。案内皿部62aは、その傾斜下流部で案内通路72に繋がっており、案内皿部62aで整列された遊技球が1列に並んで流下し得るようになっている。
案内皿部62aの底面中央部には、直径3cm程度の比較的大口径の球抜き口62cが形成されるとともに第1球抜き路73が設けられ、常には閉鎖位置に保持される第1球抜き機構81の弁板815bによって閉鎖されている。案内通路72は次述する球送りカセット71に遊技球を案内する球通路であり、球送りカセット71に遊技球を供給するカセット口72bの下側でV字状に折り返され第2球抜き路74が形成されている。案内通路72と第2球抜き路74とは、常には閉鎖位置に保持される第2球抜き機構82の弁板825bよって遮断されている。
皿部材62の下方には通路部材65が設けられている。通路部材65の内側には、上部に設けられた受容口で第1球抜き路73と繋がり、背面視における右側部に設けられた合流口74bで第2球抜き路74と繋がり、これらの球抜き路73,74に排出された遊技球を球皿6の下面中央部に形成された出口開口59に導く下方導出路57が形成されている。
あて板61には、下方導出路57および案内通路72の通路位置および形状に合わせて前後に貫通する通路開口が形成されるとともに、それぞれの通路開口を覆って導出路カバー66,案内通路カバー67が揺動開閉および閉鎖保持可能に取り付けられている。これにより、下方導出路57や案内通路72の清掃や保守点検、あるいはこれらの球通路内に遊技球が詰まった場合の球抜き処置等が容易に行えるようになっている。
球送りカセット71は、遊技補助盤20の正面図を示す図7中に二点鎖線で付記するように、球皿6の閉鎖姿勢において打球発射装置21の直前に位置して配設される。上述したように、皿部材62には貯留された遊技球を一列に整列させて球送りカセット71に案内する案内通路72が形成されており、この案内通路72に整列待機された遊技球が、常には閉鎖保持される第2球抜き機構82の弁板825bの上方に開口するカセット口72bから球送りカセット71内に導かれる。
球送りカセット71の内部には、遊技球を1球ずつ受容して送り出す球送りカム71cが上下揺動可能に設けられるとともに、この球送りカム71cを揺動させる電磁石71eが装着されている。球送りカセット71の球送り作動、すなわち球送りカム71cを揺動させる電磁石のON/OFF制御は、打球発射装置21におけるハンマ213を駆動するロータリーソレノイド212の作動と同期制御されており、操作ハンドル8の回動操作に基づいて打球発射装置21から遊技球が発射されるごとに、カセット口72bから1球ずつ遊技球を受容して発射球ホルダ216に送り出すようになっている(図13を参照)。
また、あて板61には音響装置40における球皿側の音響構造が設けられている。球皿側の音響構造は、あて板61から後方に突出成型されて前方音室55を形成させる前方音室壁45、外郭カバー体63から後方に突出成型されて前方導出路56を形成させる前方導出壁46、球抜き機構81,82の排出経路を兼用し下方導出路57を形成させる通路部材65などを主体として構成される。
前方音室壁45は、あて板61から後方に突出して一体成型されたリブ状の壁面からなり、バッフルプレート部の円形開口領域からポート44pの開口領域の外周を取り囲んで遊技補助盤20とあて板61との間に前方音室55を形成させ、スピーカ41のコーンから前方に放出される効果音、およびダクト44のポート44pから前方に放出される効果音が上下または左右に拡散することを防止する。ポート44pの前方には、あて板61を前後に貫通する前方導出口が設けられ、前方導出壁46で囲まれた前方導出路56と繋がっている。
前方導出壁46は、外郭カバー体63から後方に突出して一体成型されたリブ状の壁面からなり、これらの壁面および通路部材65の側壁面によって効果音を球皿6の前方に導く前方導出路56を形成する。このため、前方音室55に発せられた効果音のうち、主としてポート44pから放出された低音域の効果音が前方導出路56を通って効率的に前方に導かれ、外郭カバー体63の前面に形成されたルーバ状の音響グリル58からパチンコ機前方に発せられる。
一方、スピーカ41の前方には、既述した下方導出路57における合流下降部が位置し、スピーカ41の正面にはこの合流下降部を覆う導出路カバー66の合流カバー部が位置している。合流カバー部には、カバー面を貫通して小径の透孔66hが多数設けられており、このカバー面を挟んで前方の下方導出路57に効果音を透過させる構造になっている。また、スピーカベース42のバッフルプレート部は取付姿勢において所定角度下向きになるように設定されており、スピーカベース42を介して取り付けられたスピーカ41が所定角度前傾した下向姿勢で配設される。
このため、前方音室55に発せられた効果音のうち、主としてスピーカ41から斜め下向きに放出された中高音域の効果音が多数の透孔66hを通って下方導出路57に放出され、この導出路で効率的に下方に導かれて、球皿6の下面に形成された出口開口59から下方に向けて発せられる。
従って、遊技補助盤20に設けられた本格的なバスレフ型スピーカ構成(遊技補助盤側の音響構造)により、広い周波数帯域にわたって臨場感あふれた効果音を再生できるとともに、球皿側の音響構造により、主として低音域の効果音が前方導出路56に導かれて球皿前方の音響グリル58からパチンコ機PMの前方に放出され、主として中高音域の効果音が下方導出路57に導かれて球皿下面の出口開口59から下向きに放出される。このため、臨場感にあふれ、かつ再生音域によって指向性が異なる複雑な効果音で、上下に広がりのある立体的な音場空間を形成させることができるようになっている。
以上のように構成されるパチンコ機PMにあって、打球発射装置21によって遊技盤10に向けて打ち出された遊技球(発射球)は、その後の遊技盤10における落下形態により次の3種類に分類称呼される。すなわち、球戻り規制片16を越えられず遊技領域PAに到達することなく打球発射装置21側に戻ってくる「ファール球」、遊技領域PAを落下する過程で落入形態の入賞装置14に入賞した「セーフ球」、入賞装置14に入賞することなく遊技領域PAを落下し下端のアウト口17に集められた「アウト球」である。
また、入賞装置14に入賞したセーフ球は、各入賞装置に設けられた入賞球検出器によって検出され、その入賞状態に応じた数量の遊技球が球払出装置34から払い出される。このように入賞状態に応じて払い出された褒賞としての遊技球は「賞球」と称呼される。
本パチンコ機PMには、これら各種の遊技球に対応した球処理構造が設けられており、以下、図12から図17の各図を併せて参照しながら説明する。ここで、図12は遊技補助盤20における発射装置21の近傍領域を拡大して示す正面図、図13は図12中の矢印XIII−XIII方向に見た側断面図、図14は球払出装置34から下方の球通路を主として示す裏セット盤30の背面図、図15は図14中の矢印XV−XV方向(図16における矢印XV−XV方向)に見た側断面図、図16は図12中の矢印XVI〜方向に見た平断面図、図17は図16と略同一高さで貯留ケース25の右側部分を見た平断面図である。
まず、個別の球処理構造を説明するに先立ち、ファール遊技球をよび賞球の球流れにおける中心的な流路構成部材となる貯留ケース25の構成について、以下詳細に説明する。
貯留ケース25は、既に概要説明したように、全体として正面左側が薄く右側が厚い底面傾斜形態の横長箱状体をなし、所定数量の遊技球を貯留可能な収容空間が形成されている。貯留ケース25の左側面にはファール球導入口25f、貯留ケースの左上部には賞球導入口25s、貯留ケースの右端前面にはケース出口25dが設けられており常には閉鎖状態にある球皿6の球皿通出口61dと繋がっている。
例示する貯留ケース25では、緩く傾斜する底面およびこの底面を取り囲む囲壁を有して上面開放の樋状に成型されたケース本体251と、このケース本体251に揺動開閉可能に枢結されてケース本体251の上部を覆う蓋部材252と、蓋部材252の前面側に着脱可能に接続された透視部材253とからなり、これら各部材に囲まれたケース内に、約400〜450球程度の所定数量の遊技球を貯留可能な収容空間(以下、「主収容空間」という)S1を形成する。
貯留ケース25を構成するケース本体251,蓋部材252,透視部材253の各部材は、例えば、ABS樹脂等の樹脂材料用いて射出成型等の成形手段で成型され、このうち少なくとも透視部材253には透明材料が用いられて成型されたうえ、各部材が係合連結されて組み立てられる。
ケース本体251は、正面左側から右前方に向けて緩く傾斜する底面およびこの底面を取り囲んで上方に立設された囲壁を主体として構成され、上面開放の樋状に成型されている。前後左右の囲壁のうち、正面左側の囲壁には前後略中央に位置して開口するファール球受容口25fが形成されており、このファール球受容口25fからケース内に遊技球を受容可能になっている。
ケース本体251の底面には適宜な間隔をおいて前後に延びるリブ251aが形成され、貯留ケース収容部24の支持面に支持される。ケース本体251の後部には、前後連通する円形の係合孔を有して下方に突出する位置決めフランジ251bが成型されており、貯留ケース収容部24に前方に突出成型された位置決め突起24bと前後方向に係脱自在に係合し、貯留ケース25が上下および左右方向に位置決めされる。またケース本体251における底面の前方には左右方向に延びる係止辺251cが一体成型されており、貯留ケース収容部24における支持面下側の前端面に当接して貯留ケース25が前後方向に位置決めされ、既述した係止部材27により係止されるようになっている(図7を参照)。
左右の囲壁の後方上部には、互いに内方に突出する軸状のヒンジ突起251dが成型されるとともに、その前後がスリット状に囲壁から切り離されて左右に弾性変位可能になっている。一方、蓋部材252には、左右のヒンジ突起251dと位置整合する左右端部にヒンジ突起251dと嵌脱可能な円孔状のヒンジ孔252dが成型されており、左右のヒンジ突起251dに軸受孔252dを嵌合接続させることで、蓋部材252が上下に揺動開閉可能に枢結される。
蓋部材252には、左側上面に上下を貫通して開口する略矩形の賞球受容口25sが形成されるとともに、この開口内側の賞球が落入してくる領域には、斜め前方に向けて主収容空間S1内に突出する庇状の緩衝ガイド部252sが設けられており、落下してくる賞球を一旦受け止めて遊技球同士の衝突による飛散を防止し、滑らかに主収容空間S1内に流入させるようになっている。
また、賞球受容開口25sの左側縁に隣接して、上方に突出して前後に延びる2本のリブ状の突起によりガイドレール252cが形成されており、貯留ケース収容部24の整合位置に下方に突出成型されたガイド突起24cと係合するようになっている。このため、貯留ケース25はガイドレール252cおよびガイド突起24cの係合により前後方向にのみスライド着脱可能に貯留ケース収容部24に支持され、貯留ケース25の上部においても左右方向に位置決めされるほか、後述するロック爪に加えて蓋部材252の開放が物理的に規制され、セルやピアノ線等を用いた不正行為を効果的に防止し得るようになっている。
透視部材253は、蓋部材252の前方に着脱可能に連結され蓋部材252と一体になってケース本体251に揺動開閉可能に取り付けられる。透視部材253の前面左側にはケース本体251の底面と係脱可能なロック爪253eが形成されており、蓋部材252を閉止させた状態で係止保持する。このように蓋部材251および透視部材253が閉止保持された状態では、透視部材253を通して貯留ケース25の内部の状態を透視することができ、主収容空間S1に貯留された遊技球の貯留状態や、ケース内を転動流下する遊技球の流下状態等を貯留ケース25の前面側から(さらに既述した透視窓75を通してパチンコ機の前面側から)視認することができる。
一方、貯留ケース25の右端部では、ケース本体251における前方の囲壁および蓋部材252の前方の縁部が切り欠かれて前方に開口するケース出口25dが形成されている。ケース出口25dの近傍部では、球皿6が閉鎖された状態における球皿通出口61dの開口高さに合わせて蓋部材252の上面高さが低く成型されて球均し部252fが設けられており(図7、および枠側シャッタ28,皿側シャッタ78の側断面を示す図18を参照)、貯留された遊技球を平らに均して球詰まりなく皿部材62に流下させるようになっている。
ここで、上記のように蓋部材252の上面を低く成型して球均し部252fを設けることで、球均し部252fの上方には貯留ケース収容部24の天井面との間に球均し部252fの容積に相当する空間が形成される。そこで、本パチンコ機PMでは、この空間を利用して遊技球を貯留可能に壁面で囲むとともに球均し部252fの下流側に上下貫通する開口252gを設け、主収容空間S1と連通して遊技球を貯留可能な補助収容空間S2を形成している。
なお、ケース本体251および蓋部材252は不透明の樹脂材料を用いることもでき,例えば、導電性を付与したABS樹脂等を用いて成型してもよい。一方、蓋部材252と透視部材253、あるいはケース本体251を含めた全部材を透明樹脂材料で成型することもでき、この場合には、貯留ケース25の前方から透視可能な範囲が拡大されるとともに、透視部材253の形状を蓋部材252に一体成型することで上下2つのパーツで同様の貯留ケースを構成することも可能である。
さて、以上のような貯留ケース25が貯留ケース収容部24にセット保持され、ガラス扉5および球皿6が閉鎖施錠された状態で操作ハンドル8が回動操作されると、球皿6の皿部材62に貯留され、案内通路72内に1列に整列待機された遊技球が、第2球抜き弁825の弁板825b上方に開口するカセット口72bから球送りカセット71内に導かれ、打球発射装置のロータリソレノイド212と同期制御される球送りカム71cによって1球ずつ遊技球を発射球ホルダ216に送り出されて、ハンマ213により遊技盤10に打ち出される。打ち出された遊技球(発射球)BHは、発射レール21hおよび球皿側のガイドリブ72hにガイドされ、図12に中に矢印Hを付記するように上端の発射口22hから遊技盤10に向けて斜め上方に打ち出される。
打ち出された発射球BHは、一定程度上昇したところで遊技盤10のガイドレール12に滑らかに接触し、上方で湾曲するガイドレール12のレール面に沿って遊技領域PAに向かう。そして、通常では、薄片バネ状の球戻り規制片16を弾性変形させてガイドレール12との隙間を拡大させ、この規制片16を乗り越えるようにして遊技領域PAに到達する。
ところが、打球発射装置21による打ち出し強度が弱いときには、発射球が球戻り規制片16を乗り越えて遊技領域PAに到達することができず、球戻り規制片16に押し戻されるように(あるいは球戻り規制片16に接することもなく)ファール球となって内外のガイドレール間を落下し、遊技補助盤側に戻ってくる。そこで、本パチンコ機PMでは、このように戻ってきたファール球BFを回収して球皿6に再循環させるファール球循環構造が設けられている。
ファール球循環構造は、ファール球BFを回収するファール球回収口22fを有したファール球回収部材22と、上述した貯留ケース25と、ファール球回収口22fと貯留ケース25との間を結んで設けられたファール球回収通路23とを主体として構成される。
ファール球回収部材22には、遊技補助盤20に成型された発射レール21と連続的に繋がる発射レール21hの上部構造が成型され、その上端部が開放されて発射口22hが形成されている。発射口22hの左右には、発射口22hを左右から挟み込むように前方に突出して上方に開口するバスケット状のファール球回収口22f,22fが設けられている。
ファール球回収口22fの内部の壁面は、この回収口22fに落入したファール球BFが跳ね返って回収口から飛び出すことなく確実に後方に反射させて導くために斜め45度以上の傾斜角で形成され、さらに、遊技盤10から落下してくるファール球の大多数が落入する正面左側のファール球受容口の壁面には、耐衝撃強度を向上させ、また壁面に衝突するときの衝突音を軽減させるために凹凸状のリブが形成されている。
なお、通常では、戻ってくるファール球BFの大多数が遊技盤10の下端部近傍でガイドレール12に沿うように矢印F方向に落下するため、正面右側のファール球回収口にファール遊技球が落入することは殆どない。しかし、例えば、発射装置21から発射された発射球が、先に発射されて戻ってくるファール球と衝突して2球ともファール球として戻ってくるような場合があり、このような場合に両球の衝突位置によっては落下経路が右方向にそれることも考え得る。このため本パチンコ機PMでは発射口22hを挟む左右にファール口22fを設けており、遊技盤10から戻ってくるファール遊技球を確実に回収できるように構成されている。ファール球回収部材22は、例えばABS樹脂等の樹脂材料を用いて射出成型等の成型手段により一体成型され、発射装置21の上方にネジ等の固定手段により取り付けられる。
ファール球回収部材22の背後に位置する遊技補助盤20の上部に、ファール球回収通路23が設けられている。ファール球回収通路23は、ファール球回収口22f,22fと貯留ケース25のファール球受容口25fとの間を結んで貯留ケース収容部24の左側方に成型されており、ファール球回収口22fに落入したファール球BFをこのファール球回収通路23を通して貯留ケース25に流入させるように構成されている。
ファール球回収通路23の通路面は、ファール球受容口25fに向けて緩く傾斜して成型されるとともに、大多数のファール遊技球が落入する左側のファール球回収口と対向する立設壁面は、ファール球受容口方向に向けて斜め45度に成型されており、ファール球受容口22fの壁面で反射されて飛び込んでくるファール球BFをこの立設壁面でもファール球受容口方向に誘導し、効率よくファール球受容口25fに流入させることができるようになっている。
このため、ファール球回収口22fに落入したファール球BFは、ファール球回収通路23を通ってファール球受容口25fから貯留ケースの主収容空間S1に流入し、貯留ケース内を転動流下してケース出口25dから皿部材62に流出し、再び案内通路72を通って打球発射装置21に導かれる。このため、このようなファール球循環構造を備えたパチンコ機PMでは、遊技領域PAに到達できずに戻ってきたファール遊技球が自動的に環流して打球発射装置21に導かれるため、遊技者が逐一手作業でファール遊技球を取り扱う必要がない。従って、遊技者はファール球の処理作業による煩雑感を感じることがなく、また手の汚れ等を気にすることなく安心して遊技を楽しむことができる。
次に、打球発射装置21により打ち出された発射球BHのうち、球戻り規制片16を乗り越えて遊技領域PAに到達した遊技球は、遊技領域PAで多数の遊技釘にはじかれながらこの領域を落下し、入賞装置14に入賞することなく遊技領域PAを落下して下端のアウト口17に集められたアウト球と、落下途中で入賞装置14に落入したセーフ球とに分類される。
このうち、アウト球は、遊技盤10における化粧板11の表裏を貫通して開口するアウト口17を通って化粧板11の裏側に出る。そして、遊技補助盤20の上部にアウト口17と位置整合して設けられたアウト球排出通路37aを通って裏セット盤30側に至り、裏セット盤30に一体成型により形成された集合排出通路37cを通って、下端の集合排出口から排出される。
一方、入賞装置14に落入したセーフ球は、各入賞装置の裏側に化粧板11を貫通して設けられた連通路を通って化粧板11の裏側に出る。そして、化粧板11の裏面に取り付けられた球寄せカバー18により盤面に沿って落下し、遊技補助盤20の上縁を転動流下したのち、裏セット盤30に一体成型により形成されたセーフ球排出通路38を通って、下端のセーフ球排出口から排出される(図4を参照)。
入賞装置14には、それぞれの入賞装置に対応してセーフ球を検出する入賞球検出装置が設けられており、セーフ球の通過を検出して入賞検出信号を主基板92に出力する。主基板92では入賞検出信号が入力されると、各入賞装置の種類や遊技展開状況に応じて予め定められた数量の賞球を払い出す払出指令信号を払出制御基板に出力し、払出制御基板はこの指令信号に基づいて球払出装置34の作動を制御して賞球の払い出し作動を行わせる。
具体的には、入賞検出信号に基づいて出力される払出指令信号は、球払出装置34に内蔵された球送りインペラを、背面視における反時計回りに所定回転角度分(例えば、払出球数で13球に相当する回転角度分)回転させることを指令する信号であり、払出制御基板はこの指令信号に応じた制御信号を球払出装置34のモータに出力し、球送りインペラを反時計方向に上記所定回転角度分回転させて、定められた数量の賞球BSを背面視における球払出装置34の左側の払出口から払い出させる。
本パチンコ機PMでは、皿部材62に貯留された遊技球が満杯になり、球払出装置34から払い出された賞球を球皿6に排出できない状態で、さらに賞球が払い出されたときに、払い出された賞球BSを貯留する賞球貯留構造が設けられている。賞球貯留構造は、上述した貯留ケース25と、球払出装置34と貯留ケース25との間を結んで設けられた球払出通路35とを主体として構成される。
球払出通路35は、裏セット盤30の背面側に立設された通路壁およびその背後を覆う通路カバーにより、球払出装置34における背面左側の払出口と貯留ケース25の賞球受容口25sとの間を結んで形成される。球払出通路35の通路面は、球払出口の直下の通路面がR状に形成されるとともに、貯留ケース25に向けて緩い傾斜をもって成型され、球払出装置34から払い出された賞球BSが滑らかに球払出通路35を転動流下し得るようになっている。
球払出通路35の下流部には、貯留ケース25における賞球受容口25sの上方に位置して裏セット盤30の盤面を貫通する賞球出口35sが開口している。賞球出口35sの近傍部では、下流に向けて後方の通路壁が斜め前方に傾斜して成型されるとともに、下流端部の通路壁面には後方の通路壁と滑らかに繋がり斜め前方に延びる案内リブ35rが設けられている。このため、球払出通路35を流下してきた賞球BSが、上記通路壁および案内リブ35rに案内されて滑らかに賞球出口35sに導かれ、この賞球出口35sから下方に開口する貯留ケースの賞球受容口25sに流入する。
前述したように、賞球受容口25sの内側には前方に向けて庇状に延びる緩衝ガイド252sが設けられており、賞球出口35sから落入した賞球BSは一旦この緩衝ガイド252sに受け止められ、緩衝ガイド252s上を転動して主収容空間S1に流入する。これにより、賞球出口35sから落下してくる賞球が、既に主収容空間S1に貯留されている遊技球と直接衝突して周囲に飛散するようなことがなく、払い出された賞球BSが滑らかに主収容空間S1に流入するようになっている。
こうして貯留ケース25の主収容空間S1に流入した賞球BSは、皿部材62上に遊技球が充満していない通常時には、貯留ケースにおけるケース本体251の底面を流下し、貯留ケース右端部に形成されたケース出口25dから球皿通出口61dを通って皿部材62に流下する。
一方、遊技展開においていわゆる大当たりが発生し、皿部材62が払い出された多量の賞球で充満すると、以降ケース出口25dから皿部材62に賞球を排出できない状態になる。本パチンコ機PMの賞球貯留構造では、このような球皿充満状態でさらに球払出装置34から賞球が払い出されたときに、払い出された賞球が貯留ケース25の主収容空間S1に貯留されるようになっている。
すなわち、本パチンコ機PMでは、球皿充満状態でさらに球払出装置34から賞球が払い出されたときに、払い出された賞球BSは傾斜下流であるケース出口25s側から貯留され、貯留球数の増大に伴って徐々に傾斜上流側にさかのぼるように貯留領域が広がってゆく。またケース本体251の底面はケース出口25sに向けて傾斜しており、主収容空間S1に貯留された賞球は上流側の賞球に押圧されて盛り上がり貯留ケース25内を満たしてゆく。そしてさらに賞球払出が続くと賞球受容口25sの上縁まで賞球が貯留され主収容空間S1が賞球で満たされる。このとき、主収容空間S1に貯留される遊技球数は約400〜450球程度である。
一方、ケース出口25dの近傍領域には、蓋部材252の上面高さが球皿通出口61dの開口高さに合わせて低く成型されて球均し部252fが設けられ、その上方に開口252gを通して主収容空間S1と連通する補助収容空間S2が形成されている。このため、主収容空間S1の貯留球数が増大してくるとこの領域に位置する賞球は上流側の賞球に押圧されて盛り上がり、開口252gを通って補助収容空間S2にあふれ出る。そして主収容空間S1の貯留球数の増大に伴ってこの補助収容空間S2にも賞球が収容され、主収容空間と併せて賞球が貯留される。補助収容空間S1に貯留される遊技球数は約100〜150球程度である。
従って、このような賞球貯留構造によれば、皿部材62に遊技球が充満して賞球を排出できない状態になった以降でも、なお500〜600球程度の賞球を貯留ケース25の収容空間S1,S2に貯留することができる。そして、例えば、大当たりの特別遊技が終了して皿部材62の貯留球数が減少してきたときには、こうして貯留ケース25に貯留された賞球が自動的に流下して皿部材62に供給される。このため、上下2段の球皿に比べて球皿や球通路の構成を簡明化することができるとともに、遊技者は皿部材の残留球数を気にしながら逐一手ですくって皿部材に戻す煩雑な作業が減少し、また手の汚れ等を気にすることなく安心して遊技を楽しむことができる。
なお、貯留ケースの賞球受容口25sはファール球受容口25fよりも傾斜下流側に所定間隔をおいて形成され、かつファール球回収通路23は球貯留ケースの比較的高い位置でファール球受容口25fに繋がっている(図15を参照)。このため、貯留ケースの収容空間S1,S2が完全に充満状態になるまで常時ファール球BFが貯留ケース内に流入可能であり、ファール球の流下が妨げられてファール球回収口22fから溢れ出るようなことがない。
また、賞球受容口25sの左側方はガイド突起24cとガイドレール252cとの係合により仕切られ、賞球受容口25sの右側方は蓋部材に立設されたリブ状の仕切壁で仕切られている。このため、貯留ケースの収容空間S1,S2が完全に充満状態になった後さらに賞球が払い出されても、払い出された賞球が貯留ケース25から遊技補助盤20の前面側にあふれ出ることがないようになっている。なお、この場合には払い出された賞球は球払出通路35の通路空間に、この通路空間をさかのぼるように貯留される。
本パチンコ機PMには球払出装置34を利用した球抜き構造も設けられており、以下、図5および図14を参照しながら簡潔に説明する。この球抜き構造は、詳細図示省略する球抜きスイッチと、球払出装置34と、球払出装置34と集合排出通路37cとの間を結ぶ球抜き経路37bとを主体として構成される。
球抜き通路37bは、裏セット盤30の表裏に立設された通路壁および裏セット盤の背後を覆う通路カバーにより、球払出装置34における背面右側の払出口と集合排出通路37cとの間を結んで形成される。球抜き通路37bは、上記右側の払出口の直下で裏セット盤の前面側に導かれるとともにレバーL2を避けて斜行し、球払出通路35と表裏並んで下降した後、再び裏セット盤の裏側に出て前述したアウト球排出通路37aと合流し、集合排出通路37cとなって下端の集合排出口に繋がっている。
そして、球抜きスイッチが操作されると操作信号が主基板92に入力され、主基板92はこの操作信号に基づいて球抜き指令信号を払出制御基板に出力し、払出制御基板がこの指令信号に基づいて球払出装置34の作動を制御して遊技球の球抜き作動を行わせる。
球抜き指令信号は、例えば、球払出装置34に内蔵された球送りインペラを背面視における時計回りに所定時間回転させることを指令する信号であり、払出制御基板はこの指令信号に応じた制御信号を球払出装置34のモータに出力し、球送りインペラを時計回りに上記所定時間回転させて、球払出装置34よりも上流側の球通路に位置する遊技球を背面視における球払出装置34の右側の払出口から排出させる。こうして排出された遊技球は、上記球抜き通路37bを流下して集合排出路37cに流入し、この集合排出通路37cを通って、下端の集合排出口から排出される。
さて、以上のように貯留ケース25を備えて皿部材62に排出しきれない賞球を収容し貯留するパチンコ機PMにあって、例えば、遊技中に打球発射装置21や球送りカセット71に異常が発生し、あるいは案内通路72に球詰まりが生じたような場合には、皿部材62および貯留ケース25にともに遊技球が貯留された状態で球皿6を開放しなければならない事態が発生し得る。このようなときに、皿部材62および貯留ケース25に貯留された遊技球を全量排出させなければ球皿6を開放できないとすれば、作業が繁雑で保守・点検作業が円滑に行えないばかりか、ゲームを中断される遊技者にとっても多大な迷惑である。
そこで、本パチンコ機PMには、皿部材62および貯留ケース25にともに遊技球が貯留された状態のままでも球皿6を開放できるように、前枠側および球皿側にシャッタ機構が備えられている。
シャッタ機構は、貯留ケースのケース出口25dに設けられた枠側シャッタ28と、この枠側シャッタ28と対峙して球皿の球皿通出口61dに設けられた皿側シャッタ78とからなり、両方のシャッタが球皿6の開閉に連動して作動しそれぞれの出口を開閉するように構成されている。
以下では、既に参照した図17および図18〜図24の各図を参照して、このシャッタ機構について詳細に説明する。ここで、図18は球皿6が閉鎖保持された状態の両シャッタ28,78の連携関係を主として示す側断面図、図19は球皿6が閉鎖保持された状態における枠側シャッタ28の正面図、図20は球皿6を開放した状態における枠側シャッタ28の正面図、図21は枠側シャッタ28を構成する枠側シャッタユニット280の分解正面図(A)および右側面図(B)、図22は球皿6を開放した状態で球皿6の裏面側から皿側シャッタ78を見た背面図、図23は皿側シャッタ78を構成する皿側シャッタユニット780の正面図(A)および分解背面図(B)、図24は球皿6を開閉したときの皿側シャッタ78の作用を説明する側断面図である。
枠側シャッタ28は、昇降変位可能な枠側シャッタブレード285を備えてユニット化された枠側シャッタユニット280を主体とし、この枠側シャッタユニット280がシャッタ取付部26に着脱可能に取り付けられて構成される。
枠側シャッタユニット280は、このユニットの基板となるシャッタベース281、シャッタベース281に揺動可能に枢支された第1リンクアーム282および第2リンクアーム283、第1および第2リンクアーム282,283の先端側に枢支された枠側シャッタブレード285、第2リンクアーム283とシャッタベース281との間に張り渡された引っ張りバネ284、シャッタベース281の前面側に取着されたシャッタケース286、シャッタベース281のアーム支持部281bに前後傾動可能に取り付けられたロックアーム287、アーム支持部281bの上端部とロックアーム287との間に配設されたコイルバネ288等からなる。バネ284,288を除く各部材はABS樹脂等の樹脂材料を用いて射出成型等の成形手段で図示する形状に成型される。
シャッタベース281は、概略矩形で薄型フレーム形態のベース部281a、ベース部281aの右側に上方に延びて形成されたアーム支持部281b、ベース部の左側に左方に突出して成型された干渉突起281fなどからなる。ベース部281aの中央部右側には、前方に突出して円筒軸状の支軸281sが上下に並んで2カ所設けられ、第1,第2リンクアーム282,283を軸支可能になっている。アーム支持部281bには、左右に突出する支ピン281cおよび前方に突出するバネ支柱281dがそれぞれ一体成型されている。
ベース部281aの左右側縁にはそれぞれ左右外方に突出して上下に延びるガイドリブ281rが成型されており、遊技補助盤20のシャッタ取付部26にガイドリブ281rを挟み込むようにレール状に成型された左右のガイドレール26rと係脱可能になっている。またベース部281aの下部中央には、上辺および左右辺が切り離されて前後に弾性変形可能なロック爪281jが成型されるとともに、このロック爪281jから前方に延びてロック解除レバー281kが成型されている。ロック爪281jはシャッタ取付部26に位置整合して形成されたロック爪係合孔と係合して、左右のガイドレール26rに支持されたシャッタユニット280を係止保持可能になっている。
第1リンクアーム282,第2リンクアーム283は、それぞれ左右に延びるアーム部に前後方向に円筒ボス状の軸受支点が設けられて構成される。第1リンクアーム282には3カ所の軸受部が設けられており、シャッタベース281に成型された上側の支軸281sに嵌合支持される揺動支点282s、シャッタブレード285の裏面側に突出成型された上側のリンク突起285tを嵌合支持するリンク支点282t、リンク支点282tと反対側のアーム端部に形成され前方に突出する金属製のピンが打ち込まれた押圧支点282uの3支点である。
第2リンクアーム283にはアーム両端に2カ所の軸受支点が設けられており、シャッタベース281に成型された下側の支軸281sに嵌合支持される揺動支点283s、枠側シャッタブレード285の裏面側に突出成型された下側のリンク突起285tを嵌合支持するリンク支点283tの2支点である。
また、第1リンクアーム282には、揺動支点282sに隣接するアーム部の背面側にアーム部から上方に突出してブロック状の係止部282eが成型されており、その上端に斜め前方に傾斜する斜面状の係止面が形成されている。
枠側シャッタブレード285は、全体としては、上下の平坦なプレートが前後にオフセットされたクランク状の形態をなし、上方に遊技球の流下を堰き止める平坦なプレート部285aが、下方にこの枠側シャッタブレード285を昇降させる昇降機構部285bが設けられ、またプレート部285aと昇降機構部285bとの間を結んで前後に延びる壁面には、後述する支持フォーク286fを受容する受容開口が形成され、開口縁部に係止突起が成型されている。昇降機構部285bの背面側には後方に突出して、第1,第2リンクアームのリンク支点282t,283tと係脱可能な軸状のリンク突起285tが上下に並んで成型されている。
シャッタケース286は、左右および下方に側壁を有してシャッタベース281の前方を覆うケース状に成型され、シャッタベース281の下部左右に設けられたロック爪形態の係止片によりシャッタベース281に嵌着されて固定保持される。シャッタケース286の前面中央部には、前方に突出して側面視三角形状の案内突起286gが一体成型され略45度の俯角に設定された案内面が形成されている。
シャッタケース286の前面上部には、上方に突出する舌片状の支持フォーク286fが2カ所成型されており、枠側シャッタブレード285を上昇させたときに支持フォーク286fの裏面で昇降機構部285bの前面を支持可能になっている。また、シャッタケース286の前面中央部には、シャッタベース281から後方に延びるロック解除レバー281kを挿通させる開口部が形成されており、シャッタケースの前面からこのロック解除レバー281kを操作できるようになっている。
ロックアーム287は、上下に延びるアームの中間部に前方に突出するフランジ部が形成されてその中心に左右の支ピン281cを受容して嵌合するピン係合孔287cが形成され、バネ支柱281dとの整合位置に前後連通してバネ支柱281dを挿通させるバネ支柱挿通孔287dが形成されている。ロックアーム287の下端部には斜め前方に延びる斜面状の係止辺部287eが成型され、ロックアーム287の上端部には前方に突出する連繋凸部287fが成型されている。
枠側シャッタユニット280では、シャッタベース281の上下の支軸281s,281sに、それぞれ第1リンクアーム282の揺動支点282sおよび第2リンクアーム283の揺動支点283sを枢支させ、両アームの先端側のリンク支点282t,283tに、枠側シャッタブレード285のリンク突起285t,285tを嵌合させて枢支さることで、これら4部材による平行リンクが形成され、第1リンクアーム282の押圧支点282uを上下動させたときにシャッタブレード285がスウィングするように昇降する昇降機構が構成される。
そして、第2リンクアーム283とシャッタベース281の係止フックとの間に引っ張りバネ284を張り渡すことで、第2リンクアーム283が支軸281sまわりに反時計回りに付勢され、上記リンク機構の作用によりシャッタブレード285が常時下方に引き込まれるように付勢支持されるようになっている。
シャッタケース286は、シャッタベース281に第1,第2リンクアーム282,283、引っ張りバネ284およびシャッタブレード285を組み付けた後、これらの前方を覆ってベースプレート281の前面側に嵌着され、ベースプレート281の前面とシャッタケース286の背面との間に上記各部材を収容保持する。また、ロックアーム287は、バネ支柱281dにコイルバネ288を支持させた状態で、前方から支ピン281cにピン係合孔287cを嵌合接続させることでアーム支持部281bに揺動自在に枢結され、コイルバネ288のバネ力によってアーム上端の連繋凸部287fが前方に付勢され、アーム下端の係止辺部287eが後方に付勢された状態で支持される。
さて、このように組み立てられた枠側シャッタユニット280が、遊技補助盤のシャッタ取付部26に取り付けられる。枠側シャッタユニット280の装着は、シャッタストッパ29を左方にスライドさせて待避させたうえで、シャッタベース左右のガイドリブ281rの上端部をシャッタ取付部のガイドレール26rの下端に係合させ、ガイドリブ281rの上端面がガイドレール26rの上端に当接するまで枠側シャッタユニット280を上方にスライドさせる。このとき、シャッタベース背面のロック爪281jがシャッタ取付部26のロック爪係合孔に突出して係合し枠側シャッタユニット280が所定の取付位置に位置決めされて係止される。シャッタユニット取付後は、シャッタストッパ29を図19および図20に実線で示す右端の通常位置にセット保持させておく。
こうして枠側シャッタユニット280がシャッタ取付部26に取着された枠側シャッタ28にあって、球皿6が閉鎖された遊技状態では、ロックアーム上端の連繋凸部287fが球皿6の上縁部に押圧されて図21(B)中の二点鎖線で付記するような傾斜角度位置にあり、ロックアーム下端の支持片部287eは第1リンクアーム282における係止部282eよりも前方に位置する。このため、枠側シャッタブレード285は、上述した平行リンクの作用および第2リンクアーム283とシャッタベース281との間に張り渡された引っ張りバネ284のバネ力により下方に引き込まれ、枠側シャッタブレード285の係止突起がシャッタケース286の上縁部に当接支持された開放位置に保持される。
開放位置では、図18および図19に示すように、枠側シャッタブレード285におけるプレート部285aの上端部が、貯留ケース25におけるケース出口25dの通路面よりも下方に位置して配設され、遊技球がケース出口25dを自由に通過可能になっている。
球皿6を閉鎖保持する球皿施錠装置9は、遊技補助盤20の下部領域に枠側シャッタ28と隣接して設けられており、ガラス扉5を開放したときに操作可能となる操作レバー9aを下方に押圧すると、遊技補助盤20の裏面側に昇降可能に支持された昇降杆9bが下動し、この昇降杆9bと一体に形成されて遊技補助盤から前方に突出する上下2カ所の係止フック9fが下動されて、球皿9の係止が解除されるようになっている。昇降杆9bは詳細図示省略する付勢バネによって常時上方に付勢されるとともに、上下の係止フック9fの間には第1リンクアーム282の押圧支点282uと係合可能な押圧片9uが形成されている。
そこで、球皿6を開放させるために操作レバー9aを下方に押圧操作すると、昇降杆9bが下動して上下の係止フック9fが下動するとともに、押圧片9uが下動して第1リンクアーム282の押圧支点282uを下向きに押圧し、押圧支点282uを下方に移動させる。
押圧支点282uが下動されると、第1リンクアーム282は揺動支点282sを中心として時計回りに回動され、平行リンクの作用によって枠側シャッタブレード285が上昇する。このため、枠側シャッタブレード285のプレート部285aがケース出口25dの前方にせり上がり、図20に示すように、第1リンクアームの支持片部287eとロックアームの係止部287eとが同一高さになって、シャッタブレードのプレート部285aがケース出口25dを塞ぐ閉止位置に上昇する。
そして、さらに昇降杆9bが下動されると、上下の係止フック9fによる球皿6の施錠が解除される。このとき、枠側シャッタブレード285は図20に示す閉止位置よりも上方に位置しており、第1リンクアーム282の係止部282eはロックアーム287の支持片部287eよりも下方に位置した状態になっている。そこで、作業者が球皿6を開放方向に開くと(あるいは、コイルバネ288のバネ力によって球皿6が開放方向に揺動されると)、球皿6の上縁部に押圧されていたロックアーム287の連繋凸部287fの押圧力が開放され、ロックアーム287が図21(B)中の矢印と逆方向に揺動変位して、支持片部287eが係止部282eの上方に位置する状態になる。
この状態で操作レバー9aの押圧力を開放すると、昇降杆9bが上動して押圧片が上昇し、これに伴って第1および第2リンクアームが引っ張りバネ284のバネ力で反時計回りに回動し枠側シャッタブレード285がわずかに下降する。しかし、今度は第1リンクアーム282の係止部282eの上方に、上記揺動変位した支持片部287eが位置しており、第1リンクアームの係止辺部282eが支持片部287eに当接支持されると(図21(B)中の部分拡大図を参照)、それ以降、第1,第2リンクアーム282,283が回動することなく、シャッタブレードのプレート部285aがケース出口25dを塞ぐ閉止位置に係止保持される。
これにより、球皿6の開放時には枠側シャッタブレード285が上昇してプレート部285aがケース出口25dを塞ぐ閉止位置に係止保持され、貯留ケース25内に遊技球が貯留されているときにはその流下が規制される。このとき、プレート部285aには、貯留された遊技球から前方に向けて押圧力が作用するが、左右の支持フォーク286fが昇降機構部285bの前面側を支持し、シャッタブレード285が過度に撓んだり、第1,第2リンクアーム282,283等に無理な応力が作用したりすることがないようになっている。
そして、枠側シャッタブレード285が上記のように閉止位置に係止保持された状態で球皿6を閉鎖すると、ロックアーム上端の連繋凸部287fが球皿6の上縁部に押圧されて図21(B)中の矢印方向に押圧されて揺動変位する。その結果、ロックアーム下端の支持片部287eと第1リンクアームの係止部282eとの係止が解除され、引っ張りバネ284のバネ力により枠側シャッタブレード285が下降して前述した開放位置に自己復帰する。
従って、このような枠側シャッタ28によれば、球皿6の開閉操作に連動して枠側シャッタブレード285が昇降変位し、貯留ケースのケース出口25dを自動的に閉止および開放する。このため、貯留ケース25内に賞球が貯留された状態であっても、球抜き処理やケース出口の閉止処理等の煩雑な処理操作を行うことなく、随時球皿6の開閉を行うことができる。
なお、シャッタ取付部26には枠側シャッタユニット280の下方に位置してシャッタストッパ29が設けられている。シャッタストッパ29は矩形ブロック状の本体の右側に支持突起29b、上側に操作つまみ部29cを有して、図20に二点鎖線で待避位置を付記するように左右にスライド移動可能にシャッタ取付部26取り付けられており、実線で示す通常位置においてのみ球皿6が閉止できるようになっている。一方、シャッタユニット280は、シャッタストッパ29を待避位置に移動させて支持突起29bを待避させた状態でなければ、ガイドリブ281rとガイドレール26rとの係合が完全には解除されないようになっている。
このため、球皿開放時に誤ってロック解除レバー281kを押し込んでロックを解除させてしまい、枠側シャッタユニット280が下動してしまったような場合等においても、支持突起29bが枠側シャッタユニット280の底面を支持して係合の離脱を防止し、枠側シャッタユニット280を落下させて破損させてしまうことがないようになっている。
また、シャッタベース281の上部に左方に突出成型された干渉突起281fは、貯留ケース25を貯留ケース収容部24に収容セット状態で係止保持させる係止部材27の前面に覆いかぶさり、かつ係止部材の上部に後方に突出成型された干渉部27fの下側に位置して配設される。このため、例えば、貯留ケース25内に遊技球が貯留され、枠側シャッタブレード285が上昇した閉止位置で遊技球の流下を止めているような状態で、貯留ケース25を取り外すようなことができないようになっている。
一方、皿側シャッタ78は、昇降変位可能な皿側シャッタブレード785を備えてユニット化された皿側シャッタユニット780を主体とし、この皿側シャッタユニット780が球皿6の裏面側にネジ固定されて構成される。なお、皿側シャッタ78は球皿6の裏面側に取り付けられており、前後方向は球皿6が前枠2に閉鎖された状態を基準として説明する。
皿側シャッタユニット780は、このユニットの基板となるベースプレート781、ベースプレート781にガイド軸783およびコイルバネ784を介して上下に昇降移動可能に支持された皿側シャッタブレード785などからなる。ベースプレート781および皿側シャッタブレード785はABS樹脂等の樹脂材料を用いて射出成型等の成形手段で図示する形状に成型される。
ベースプレート781は、全体として概略矩形で平板状のベース部781a、ベース部781aの中央に前方に突出成型されて後方に開く箱状の機構収容部781b、ベース部781aの左右側部に前後連通して形成された縦長スリット状のガイドスリット781c、ベース部781aから左右外方に突出する固定フランジ781f等が成型されている。機構収容部781bの上下面にはガイド軸783の軸部を挿通させる支軸孔が穿設され、ガイド軸783を軸支可能になっている。
皿側シャッタブレード785には、平板状のプレート部785a、プレート部785aの中央下部に前方に突出成型されたスライダ部785b、スライダ部785bから後方に延びる側面視三角形状のスライド突起785g、プレート部785の左右側部に前方に突出成型されてベースプレート781の左右のガイドスリット781cと係合可能なガイド突起785c、プレート部785aの左右側部が下方に延出成型された支持フォーク785fなどが成型されている。スライダ部785bには、上下連通してガイド軸783を受容可能な軸受孔が形成され、スライド突起785gには略45度の仰角に設定されたスライダ面が形成されている。
皿側シャッタブレード785は、スライダ部785bの下側にコイルバネ784を掛止させて、ベースプレート781の裏面側(図23における(B)図に示す側)から、機構収容部781bに挿入して収容させるとともに、左右のガイド突起785cをガイドスリット781cに係合させ、機構収容部781bの上面側の支軸孔からガイド軸783を挿入してスライダ部785bの軸受孔を通して下面側の支軸孔に挿通させ、下側に突出した軸端のリング溝にEリング786を嵌着して支持させる。
これにより、皿側シャッタブレード785が、ガイド軸783に上下に昇降可能に支持されるとともに、コイルバネ784のバネ力によって常時上方に付勢され、ユニット単体時にはスライダ部785bの上端が機構収容部781bの天井面に当接する上端位置(閉止位置)に付勢支持された、皿側シャッタユニット780が構成される。
このように組み立てられた皿側シャッタユニット780が、球皿6の裏面側に取り付けられる。球皿6のあて板61には、球皿通出口61dの下部の盤面がベースプレート781のベース部781aの外形形状に合わせて開口されるとともに、その下縁にベース部の下部周縁を支持する支持リブ61rが成型され、また左右の固定フランジ781fをネジ固定するネジボスが成型されている。
皿側シャッタユニット780は、球皿6の裏面側からベース部781aの下部周縁を支持ボス61rに係合させ、ベース部781aの上部に球皿62の形状に合わせて前方に張り出し成型された球皿係合部781gを球皿62に掛止させて、フランジ部781fの裏面側からネジを螺合締結することにより、球皿6の裏面側に取り付けられる。そして、このように皿側シャッタユニット780が取り付けられると、コイルバネ784のバネ力によって上方に付勢支持された皿側シャッタブレード785のプレート部785aが球皿通出口61dを塞ぐ閉止位置に配設される。
ここで、皿側シャッタブレード785におけるスライド突起785gの配設位置は、球皿6を閉鎖させた状態で皿側シャッタ78と対峙する枠側シャッタ28の案内突起286gと互いに向かい合う整合位置にあり、球皿6の閉鎖施錠時にスライド突起785gのスライド面と案内突起286gの案内面とが重なり合って配設されるように相互の位置関係が設定されている(図17および図18を参照)。
このため、球皿6の開放状態から球皿6を閉鎖方向に揺動させると、まずスライド突起785gの先端部が案内突起286gの案内面の上部に当接して下方に押圧され、さらに球皿6が閉鎖方向に揺動されるとスライド突起785gのスライド面が案内突起286gの案内面を滑るように沈み込んで、コイルバネ784を圧縮変形させながら下降する。そして、球皿6が球皿施錠装置9により閉鎖施錠されるまで揺動されると、スライド突起785gの先端部が案内突起286gの基端部近傍に至るまで下降し、球皿施錠装置9による閉鎖施錠とともにこの状態に保持される。
上記球皿6の閉鎖保持状態では、図18に示すように、皿側シャッタブレード785におけるプレート部785aの上端縁部が球皿通出口61dの下縁と同一高さ、若しくはこれよりも下方に引き込まれた開放位置にあり、また、枠側シャッタ28のシャッタブレード285も既述したとおりケース出口25dよりも下方に収容されて係止保持される。このため、貯留ケース25内を流下する遊技球は、枠側シャッタブレード285および皿側シャッタブレード785のいずれにも妨げられることなく、ケース出口25dおよび球皿通出口61dを通って皿部材62上に流下することができる。
一方、球皿6の閉鎖保持状態から、前述したようにして球皿6の施錠が解除され、球皿6が開放方向に揺動されると、皿側シャッタにおけるスライド突起785gのスライド面が、枠側シャッタにおける案内突起286gの案内面から離れる方向に移動する。すると、今度はコイルバネ784のバネ力によって皿側シャッタブレード785が上動され、スライド突起785gのスライド面が案内突起286gの案内面を滑るように浮き上がって、皿側シャッタブレード785が上昇する。そして、スライド突起785の先端部が案内突起286gの上部まで上昇すると、スライダ部785bの上端が機構収容部781bの天井面に当接して皿側シャッタブレード785が閉止位置に付勢保持される。
これにより、球皿6の開放時には皿側シャッタブレード785のプレート部785aが球皿通出口61dを塞ぐ閉止位置に係止保持され、皿部材62に遊技球が貯留されているときには貯留された遊技球が球皿通出口61dを逆流して球皿の裏面側にこぼれ落ちることを防止する。このとき、プレート部785aには、貯留された遊技球から球皿6の裏面方向に向けて押圧力が作用するが、左右の支持フォーク785fがこの押圧力を分担して支持し、スライダ部785bやガイド軸783に無理な力が作用しないようになっている。また、左右のガイドスリット781cとガイド突起785cとの係合により、スライダ部785bおよびガイド軸783に無理な応力を作用させないとともに、皿側シャッタブレード785の滑らかな垂直昇降を可能としている。
従って、以上説明したような枠側シャッタ28および皿側シャッタ78によれば、球皿6の開閉操作に連動してシャッタブレード285,785が昇降変位し、貯留ケースのケース出口25dおよび球皿通出口61dをともに自動的に閉止および開放する。このため、球皿6や貯留ケース25に遊技球が貯留された状態であっても、球抜き処理や両出口の閉止処理等の煩雑な処理操作を行うことなく、また球皿からの球こぼれを心配することもなく、随時必要に応じて球皿6の開閉を行うことができる。
さて、球皿6の内部には、皿部材62に貯留された遊技球を排出させる球抜き機構80が設けられている。球抜き機構80は、皿部材62に貯留された遊技球を第1球抜き路73を通して短時間で排出させる第1球抜き機構81と、主として第1球抜き機構81による球抜き後に案内通路72に残留した遊技球を第2球抜き路74から排出させる第2球抜き機構82とからなる。本パチンコ機PMにおいては、これらの球抜き機構の機構部が一体化されて球抜きユニット800として構成され、この球抜きユニット800が球皿6の組み立てと別工程で部分組み立てされた後、ユニットごと皿部材62の底面に取り付けられるようになっている。
以下、図25〜図32の各図を参照しながら、本パチンコ機の球抜き機構について詳細に説明する。ここで、図25は球抜きユニット800の分解状態を主として示す平面図、図26は球抜きユニット800を皿部材の底面に取り付けて第1および第2球抜き機構をともに開状態にしたときの平面図、図27は皿部材62の底面に取り付けられた球抜きユニット800の底面図、図28および図29は皿部材62の底面に取り付けられた球抜きユニット800の正面図および背面図、図30は球皿6の組み立て状態における第2球抜き弁の近傍の背面図、図31は第1球抜き機構81による球抜き状態を主として示す側断面図、図32は球抜き機構80に併設された満杯報知システムのブロック図である。
球抜きユニット800は、皿部材62の底面にネジ固定されるベースフレーム801を基体とし、このベースフレーム801に第1球抜き機構81の機構構造と、第2球抜き機構82の機構構造とが取り付けられて構成される。
このうち第1球抜き機構81は、球抜き時に押圧操作を行う第1操作ボタン811、発光ダイオードなどの発光体(満杯報知ランプ)が実装されたランプ基板812、ベースフレーム801に前後方向にスライド移動可能に取り付けられた第1ボタンベース813、ベースフレーム801と第1ボタンベース813との間に配設されて第1ボタンベース813を常時前方に付勢する付勢バネ814、ベースフレーム801に水平面内に揺動可能に枢支された第1球抜き弁815、第1球抜き弁815を常時閉鎖方向に付勢する捻りバネ816などから構成される。
また、第2球抜き機構82は、球抜き時に押圧操作を行う第2操作ボタン821、ベースフレーム801に前後方向にスライド移動可能に取り付けられた第2ボタンベース823、ベースフレーム801と第2ボタンベース823との間に配設されて第2ボタンベース823を常時前方に付勢する付勢バネ824、ベースフレーム801に水平面内に揺動可能に枢支された第2球抜き弁825、第2球抜き弁825を常時閉鎖方向に付勢する引っ張りバネ826などから構成される。
ベースフレーム801は、中央部に、第1ボタンベース813、第2ボタンベース823を隣接して前後方向にのみスライド移動可能に収容すべくそれぞれ左右側壁および後壁を有して階段状に形成されるとともに、各収容部の底面に前後に延びるスリット状の第1ボタンベース支持スリット801a,801a、および第2ボタンベース支持スリット801b,801bが形成されている。
なお、ランプ基板812やバネ814,816,824,826を除く上記各部材は、例えば、ABS樹脂等の樹脂材料を用いて射出成型等の成形手段で各図に示す形状に一体成型される。また、第1操作ボタン811は有色透明を含む透明な樹脂材料を用いて成型される。
ベースフレーム801は、中央のボタンベース収容部から左右に延びて成型され、右方には第1球抜き弁を枢支する第1支軸801s、左方には第2球抜き弁を支持する第2支軸801tがそれぞれ上方に突出して一体成型されている。また、右方に延びるベースフレーム801の後部には皿部材62に形成された球抜き口62cと位置整合してダクト状の球通し口801eが成型されており、下方に位置する通路部材65との間を繋いで、球抜き口62cと下方導出路57との間を結ぶ第1球抜き路73を形成させる。ベースフレーム801の各部には皿部材62の底面から下方に突出成型された取付ボス62f,62f…と位置整合してこのボスと嵌合する嵌合接続部801f,801f…が設けられている。
第1球抜き弁815は、各図に示すように、皿部材62の底面傾斜に合わせてやや傾斜した横長円形の閉鎖面を有し球抜き口62cを塞ぐ弁板815bと、この弁板815bからクランク状に延びる基部とを主体として一体成型により形成され、基部には円筒状の軸受部815sと、軸状の押圧作用軸815cがともに下方に突出して一体成型されている。また、弁板815bの下面には球通し口801eの上端面と係合する円弧状のリブ815eが成型され、弁板815bの先端部にはベースフレーム801に形成されたガイドリブ801rの上端面と係合する舌片状の支持突辺815rが成型されており、ともに弁板815bの滑らかな開閉と補強とを兼ね備えた構成になっている。
第1球抜き弁815は、軸受部815sの外周に捻りバネ816を係合させた状態で、この軸受部815sをベースフレームの第1支軸801sに枢支させ、捻りバネ816の両端部を第1支軸801sの左右に位置するベースフレームの側壁に掛止させて、軸受部815sの上方から第1支軸801sにねじを螺合させることで、第1支軸801sに水平面内に揺動可能に枢支され、常には捻りバネ816の付勢力で弁板815bが球通し口801eを塞ぐ閉鎖角度位置に保持される。
第1操作ボタン811、ランプ基板812、第1ボタンベース813は、第1ボタンベース813にランプ基板812を係止保持させ、その前方から第1操作ボタン811を第1ボタンベース813に圧入または接着固定することにより一体化され、一体の操作ボタンとして機能する。第1ボタンベース813の下端左右には左右に弾性変形可能なロック爪状のスライド突起813a,813aが下方に突出して成型され、第1ボタンベースの背面側には付勢バネ814の内周を支持する支持突起813dが成型されている。
前面側に第1操作ボタン811およびランプ基板812を組み付け、背面側に付勢バネ814を掛止させた第1ボタンベース813は、ベースフレーム801の上方から第1ボタンベースの収容部に挿入し、左右のスライド突起813a,813aを第1ボタンベース支持スリット801a,801aに係合させることで、ベースフレーム801に前後方向にのみスライド移動可能に支持され、常には付勢バネ814のバネ力で前方に付勢されて、第1ボタンベース813の前面下端部がベースフレーム801の前端に形成された係止リブに係合した前端位置に保持される。
第1ボタンベース813の右上部には、第1球抜き弁815における押圧作用軸815cの外周面と係合可能な押圧壁813cが形成されており、上記のように第1ボタンベース813をベースフレーム801に組み付けたときに、押圧壁813cが押圧作用軸815cの前方に位置し、第1操作ボタン811が後方に押し込まれたときに、その押圧力を押圧作用軸815cに伝達可能になっている。
このため、付勢バネ814のバネ力に抗して第1操作ボタン811を後方に押し込むと、一体化された第1操作ボタン811,ランプ基板812,第1ボタンベース813が後方にスライド移動し、これとともに移動する押圧壁813cに押圧作用軸815cが押圧されて第1球抜き弁815が第1支軸801sを揺動軸として平面視における時計回りに揺動し、弁板815bが開く右斜め前方に移動する。そして、第1ボタンベース813の後端がベースフレーム801の後壁面に当接するまで押し込まれると、弁板815bが球通し口801eの上方から待避した開放角度位置に配設されるようになっている。
一方、第2球抜き弁825は、上下に延びるリブを有してボックス状に形成された基部とこの基部から細長く延びる板状の弁板825bとを有して一体成型により形成され、基部には下方に延びる円筒状の軸受部825tと、上面から上方に突出成型された軸状の押圧作用軸825cが形成されている。弁板825bの先端部は後方に向けて薄くなる斜面状に成型されており、弁板825bの開閉を容易、確実化させるとともに、弁板825bが案内通路72と第2球抜き通路との間を仕切る閉鎖位置において、遊技球をカセット口72b方向(後方)に案内して滑らかに球送りカセット71に送り出せるようになっている。また、基部の上面には引っ張りバネ826を掛止するバネフック825uが成型され、ベースフレーム801の左端にも同様のバネフック801uが成型されている。
第2球抜き弁825は、軸受部825tをベースフレームの第2支軸801tに枢支させ、軸受部825tの上方から第2支軸801tにねじを螺合させることで第2支軸801tに水平面内に揺動可能に枢支され、さらに引っ張りバネ826を第2球抜き弁のバネフック825uとベースフレームのバネフック801uとに掛止させて張り渡すことで、常には引っ張りバネ826の付勢力で弁板825bが案内通路72と第2球抜き通路74との間を仕切る閉鎖角度位置に保持される。
第2操作ボタン821と第2ボタンベース823とは、全体としては、前述した第1操作ボタン811およびボタンベース813と同様に成型され、第2ボタンベース823の前方に第2操作ボタン821を圧入または接着固定することにより接合されて一体の操作ボタンとして機能する。第2ボタンベース823の下部左右には左右に弾性変形可能なロック爪状のスライド突起823b,823bが下方に突出して成型され、第2ボタンベース823の背面側には付勢バネ824の内周を支持する支持突起823dが成型されている。
第2操作ボタン821が接合された第2ボタンベース823は、背面側に付勢バネ824を掛止させて、ベースフレーム801の上方から第2ボタンベースの収容部に挿入し、左右のスライド突起823b,823bを第2ボタンベース支持スリット801b,801bに係合させることで、ベースフレーム801に前後方向にのみスライド移動可能に支持され、常には付勢バネ824のバネ力で前方に付勢されて、第2ボタンベース823の前面下端部がベースフレーム801の前端に形成された係止リブに係合した前端位置に保持される。
第2ボタンベース823の左上部には、後方に突出して第2球抜き弁825における押圧作用軸825cと係合可能な押圧リブ823cが形成されており、上記のように第2ボタンベース823をベースフレーム801に組み付けたときに、押圧リブ823cが押圧作用軸825cの前方に位置し、第2操作ボタン821が後方に押し込まれたときに、その押圧力を押圧作用軸825cに伝達可能になっている。
このため、付勢バネ824のバネ力に抗して第2操作ボタン821を後方に押し込むと、一体化された第2操作ボタン821と第2ボタンベース823とが後方にスライド移動し、これとともに移動する押圧リブ823cに押圧作用軸825cが押圧されて第2球抜き弁825が第2支軸801tを揺動軸として平面視における反時計回りに揺動し、弁板825bが開く前方に移動する。そして、第2ボタンベース823の後端がベースフレーム801の後壁面に当接するまで押し込まれると、弁板825bが案内通路72と第2球抜き路74との間から待避した開放位置に配設されるようになっている。
このように部分組み立てされた球抜きユニット800は、皿部材62の底面に突出成型された複数の取付ボス62f,62f…に、それぞれ対応してベースフレーム801に成型された嵌合接続部801f,801f…を嵌合させ、下面側からネジ806を螺合締結することにより、皿部材62の底面下側に取り付けられる。そして、皿部材62の前方に上下の外郭カバー体63,64、皿部材の後方に通路部材65が取り付けられたあて板61を組み付けることで、球皿6が組み立てられる。
こうして球皿6が組み立てられると、球皿6の前面に、第1操作ボタン811および第2操作ボタン821が露出し、押圧操作可能に配設される。また、球皿6の内部では、第1球抜き弁の弁板815bが皿部材の球抜き口62と第1球抜き路73との間に位置して、常には捻りバネ816の付勢力で球抜き口62cを閉鎖する閉鎖角度位置に配設され、皿部材62に貯留された遊技球が皿部材に貯留保持されるとともに、この弁板815bの上面を転動して案内通路72に流下する。
また、案内通路72の下流端部では、第2球抜き弁の弁板825bが案内通路72と第2球抜き路74との間に位置して、常には引っ張りバネ826の付勢力でこれらの通路の連通を遮断する閉鎖角度位置に配設され、案内通路72内の遊技球をカセット口72bから球送りカセット71に案内する。
第1操作ボタン811が押圧され、付勢バネ814の付勢力に抗して後方に押し込まれると、第1操作ボタン811,ランプ基板812,第1ボタンベース813が後方にスライド移動し、押圧壁813cが第1球抜き弁815の押圧軸815cを押圧して第1球抜き弁815を平面視における時計回りに揺動させ、弁板815bが開方向に移動して球抜き口62cと第1球抜き路73とを連通させる。そして、第1ボタンベース813の後端がベースフレーム801の後壁面に当接するまで押し込まれると、弁板815bが球抜き口62cの下方から待避して開口のほぼ全体を開放する開放角度位置に配設される。
このため、皿部材62に貯留されていた遊技球は、球抜き口62cおよび第1球抜き路73を通って通路部材65に囲まれた下方導出路57を流下し、球皿下端の出口開口59から排出される。従って、遊技者は遊技島に設置されたテーブル上に球貯留箱を載置して第1球抜きボタン811を押圧操作することで、皿部材62に貯留された遊技球を球貯留箱に排出させることができる。この第1球抜き機構81による排出経路では、直径が約3cm程度と比較的大口径の球抜き口62cが案内皿部62aの中央部に設けられており、かつ、球抜き口62aのほぼ全体が開放されるため、皿部材62に貯留された遊技球を大量且つ迅速に排出させる球抜き操作(例えば、大当たり発生時に遊技を続行しながら行う球抜き操作や遊技終了後に行う球抜き操作)に適した構成になっている。
一方、第2操作ボタン821が押圧され、付勢バネ824の付勢力に抗して後方に押し込まれると、第2操作ボタン821と一体化された第2ボタンベース823が後方にスライド移動し、押圧リブ823cが第2球抜き弁825の押圧軸825cを押圧して第2球抜き弁825を平面視における反時計回りに揺動させ、弁板825bが開く前方に移動する。そして、第2ボタンベース823の後端がベースフレーム801の後壁面に当接するまで押し込まれると、弁板825bが案内通路72と第2球抜き路74との間から完全に待避した開放位置に配設される。
このため、案内通路72に位置していた遊技球は、第2球抜き路74を通って下流端の合流口74bから下方導出路57に流出し、この下方導出路57を流下して球皿下端の出口開口59から排出される。従って、例えば上記第1球抜き機構81による球抜き処理を行った後に、なお案内通路72に残留する遊技球をこの第2球抜き機構82を利用して球貯留箱に全量排出させることができる。
なお、第2抜き機構82では、案内通路72に位置する遊技球が1列の整列状態で排出されるため、この第2球抜き機構82のみをもって第1球抜き機構81のように大量且つ迅速な球抜き処理することはできない。しかし、第1球抜き機構81と第2球抜き機構82とを同時に開放操作して球抜き処理を行えば、さらに迅速な球抜き処理を行うことができる。
本パチンコ機PMに装備された球抜き機構80では、第1球抜き機構81の操作ボタン811と第2球抜き機構82の操作ボタン821とを球皿6の前面に隣接して配設するとともに、両ボタンの操作形態をともに同一方向への押圧操作としている。このため、遊技者は第1球抜き機構81と第2球抜き機構82とを各々独立して選択操作できるほか、第1操作ボタン811と第2操作ボタン821とを片手で、しかも同一方向への簡単な押圧操作で同時に開放操作することができ、第1球抜き機構81と第2球抜き機構82とを同時に開放させて迅速な球抜き処理を行うことができる。
なお、球抜き機構80では、第1操作ボタン811および第2操作ボタン821を前後に一定範囲でスライド移動可能に支持する支持構造を、ベースフレーム801とボタンベース813,823との間に設けており、第1操作ボタン811と第2操作ボタン821とを相互に隣接させて、これらを区分する区分壁を設けない構成とすることもできる。このような構成によれば、第1操作ボタン811と第2操作ボタン821とを同時に押圧操作する場合であっても、指が区分壁に当接するようなことがなく軽快に球抜き処理を行うことができる。
さて、本パチンコ機PMでは、上記球抜き機構80に満杯報知システム900が併設されている。この満杯報知システム900は図32にブロック図を示すように、満杯報知検出スイッチ910、払出制御基板920、ランプ制御基板930、および既述した主基板92、ランプ基板812等からなり、連続した大当たりなどによって皿部材62に遊技球が充満し、さらに貯留ケース25の収容空間S1,S2まで遊技球が満杯となって球払出装置34から賞球を払い出せない状態になったときに、この満杯状態を報知するとともに、第1球抜きボタン811を操作して球抜き処理を行うように促すシステムである。
この満杯報知システムの代表例として、球払出装置34の直下に位置する球払出通路35に賞球路満杯検出スイッチ911を設けた場合について説明する。図14および図16に示すように、球払出通路35の通路カバーには球払出装置34の直下に位置して前後に揺動可能に満杯検出レバー36が設けられており、常には、図示省略するバネによって満杯検出レバー36の下部が球払出通路35にわずかに突出した通常位置に配設されている。
一方、連続した大当たりの発生等によって皿部材62および貯留ケース25の収容空間S1,S2まで遊技球が満杯となり、払い出された賞球が球払出通路35をさかのぼるように充満して満杯検出レバー36の配設位置まで貯留されると、貯留された賞球によって満杯検出レバー36が後方に押圧されて揺動し、このレバーの背後に位置する賞球路満杯検出スイッチ911の接点を反転させて満杯状態が検出される。
賞球路満杯検出スイッチ911の検出信号は球払出基板920の満杯判定部921に入力されており、満杯判定部921は賞球路満杯検出スイッチ911から満杯状態の検出信号が入力されると、満杯コマンド送信部921に信号を出力して満杯コマンド信号を主基板92に出力する。
主基板92には満杯コマンド信号を受信する満杯コマンド受信部92aと、満杯コマンド信号が受信されたときに満杯報知ランプ信号を送信する満杯報知ランプ信号送信部92bとが設けられており、主基板92は満杯コマンド受信部に満杯コマンド信号が入力されたときに満杯報知ランプ信号送信部92bから満杯報知ランプ信号をランプ制御基板930に出力させる。
ランプ制御基板930には、満杯報知ランプ信号を受信する満杯報知ランプ信号受信部931と、満杯報知ランプ信号が受信されたときにその信号に応じた駆動電流を出力するランプ駆動部932とが実装されており、満杯報知ランプ信号受信部931に満杯報知ランプ信号が入力されると、ランプ駆動部932からその信号に応じた駆動電流、例えばパルス状の駆動電流をランプ基板812の満杯報知ランプ812hに出力し、満杯報知ランプ812hを点滅させる。
ここで、前述したように、ランプ基板812は球抜き機構80における第1球抜き操作ボタン811と第1ボタンベース813との間に内蔵されており、満杯報知ランプ812hはこのランプ基板812に実装されている。また、第1操作ボタン811は有色透明を含む透明な樹脂材料で一体成型されている。
このため、遊技中に連続した大当たりが発生して皿部材62に遊技球が充満し、さらに貯留ケース25の収容空間S1,S2まで遊技球が満杯となって球払出装置34から賞球を払い出せない状態になったときに、満杯報知システム900によって第1操作ボタン811内の満杯報知ランプ812hが点滅発光され、球払出通路35が満杯で賞球を払い出せない旨報知するとともに、遊技を続行しながら迅速に球抜き処理できる第1球抜きボタン811を点滅させて明示し、球抜き処理を行うように促す。第1操作ボタン811の前面には「PUSH」の文字が浮き出すように一体成型されており、上記点滅表示と相まって遊技者に直感的にその意味内容が理解されるようになっている。
従って、遊技者は第1操作ボタン811が点滅発光したときに、貯留ケース25が既に満杯で球抜き処理が必要であることを直ちに理解できるとともに、当該点滅発光している第1操作ボタン811を押圧操作することで、迷うことなく的確な球抜き処理を行うことができる。
なお、以上では、満杯検出スイッチ910の一例として、球払出通路35に賞球路満杯検出スイッチ911を設けた例を示したが、図32中に二点鎖線で付記したように球貯留ケース25にその満杯状態を検出する貯留ケース満杯検出スイッチ912を設ける構成としてもよい。また、主基板92に満杯判定部92cを設けて満杯検出スイッチ910からの検出信号を直接入力させ、この満杯判定部92cによる判定結果に基づいて満杯報知ランプ信号送信部92bから満杯報知ランプ信号を出力させるように構成してもよい。